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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152926
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/79 20180101AFI20221004BHJP
   H02P 8/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F24F11/79
H02P8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055888
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 行輔
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】石川 和人
(72)【発明者】
【氏名】坂梨 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】宮前 和博
【テーマコード(参考)】
3L260
5H580
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA07
3L260BA41
3L260FC14
5H580AA10
5H580BB01
5H580FA14
5H580FA22
(57)【要約】
【課題】送風ファンの送風量及び上下風向板を駆動するステッピングモーターのトルクを確保しつつ、消費電力の省力化を図ることができる空気調和機を提供することを目的とする。
【解決手段】空気調和機1は、所定の角度に傾いて送風方向を偏向させる上下風向板87と、上下風向板87を駆動する風向板用モーター17と、上下風向板87を傾ける角度を指示する角度指示値に応じて風向板用モーター17を駆動制御して上下風向板87の傾きを制御する上下風向板制御部130とを備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の角度に傾いて送風方向を偏向させる風向板と、
前記風向板を駆動するステッピングモーターと、
前記風向板を傾ける角度を指示する角度指示値に応じて前記ステッピングモーター駆動制御して前記風向板の傾きを制御する風向板制御部と
を備える空気調和機。
【請求項2】
前記風向板制御部は、前記角度指示値に基づく前記ステッピングモーターの第一トルクを算出する第一算出部を有し、前記第一トルクに基づいて前記ステッピングモーターを駆動制御する
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第一算出部は、前記ステッピングモーターの出力可能な最大トルクに対する比率で前記第一トルクを算出する
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記風向板制御部は、
前記ステッピングモーターをパルス幅変調によって制御するモーター制御部と、
前記モーター制御部によって生成されて前記ステッピングモーターを制御するためのパルスパターンのパルス幅を前記第一トルクに基づいて制限するパルス幅制限部と、
前記パルス幅制限部で制限されたパルスパターンに基づいて前記ステッピングモーターを回転させて前記風向板を駆動する駆動部と
を有する
請求項2又は3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記風向板制御部は、送風用のファンモーターの回転数を指示する回転数指示値に基づく前記ステッピングモーターの第二トルクを算出する第二算出部を有し、前記第一トルク及び前記第二トルクに基づいて前記ステッピングモーターを駆動制御する
請求項2又は3に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記第二換算部は、前記ステッピングモーターの出力可能な最大トルクに対する比率で前記第二トルクを算出する
請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記風向板制御部は、前記第一トルク及び前記第二トルクを演算して前記角度指示値及び前記回転数指示値に基づく第三トルクを算出する第三算出部を有する
請求項6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記風向板制御部は、
前記ステッピングモーターをパルス幅変調によって制御するモーター制御部と、
前記モーター制御部によって生成されて前記ステッピングモーターを制御するためのパルスパターンのパルス幅を前記第三トルクに基づいて制限するパルス幅制限部と、
前記パルス幅制限部で制限されたパルスパターンに基づいて前記ステッピングモーターを回転させて前記風向板を駆動する駆動部と
を有する
請求項7に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風方向を変更することができる空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機に設けられた室内機の吹出口から送風される空気は、上下風向板の傾く角度により風向が変更される。この上下風向板は、ステッピングモーターによって回動し傾く角度が変更される。上下風向板は、送風ファンから送風される空気の風向を水平付近から垂直(真下)付近まで変えられる。このため、上下風向板は、送風される空気に対抗して回動したり角度を保持したりするために、上下風向板を駆動するステッピングモーターは所定のトルクを出力することが必要である。上下風向板を駆動するステッピングモーターは、このトルクを発生させるために、所定の電圧が印加される。このため、空気調和機は、上下風向板を駆動させる場合に加えて、室内機から所定方向に空気を吹き出すために所定角度を保持している場合にも上下風向板を駆動するステッピングモーターは所定の消費電力が発生する。
【0003】
上下風向板を駆動するステッピングモーターは、消費電力を低減させるために印加電圧を下げて駆動し、この印加電圧が下げられることによって不足するトルクに対応するために、上下風向板の傾く角度を変更する際に送風ファンの回転数を低下させる技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-247947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術は、上下風向板の回動時に送風ファンの送風量が低下するため空調能力が低下してしまうという問題が生じる。特にスイング送風のように上下風向板が傾く角度を常に上下に変更する場合に顕著である。
【0006】
本発明の目的は、送風ファンの送風量及び上下風向板を駆動するステッピングモーターのトルクを確保しつつ、消費電力の省力化を図ることができる空気調和機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による空気調和機は、所定の角度に傾いて送風方向を偏向させる風向板と、前記風向板を駆動するステッピングモーターと、前記風向板を傾ける角度を指示する角度指示値に応じて前記ステッピングモーターを駆動制御して前記風向板の傾きを制御する風向板制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、送風ファンの送風量及び上下風向板を駆動するステッピングモーターのトルクを確保しつつ、消費電力の省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1及び第2実施形態による空気調和機の概略構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1及び第2実施形態による空気調和機の概略構成の一例を示す図であって、空気調和機に設けられた上下風向板が可動範囲内の最小角度に設定された状態を示す図である。
図3】本発明の第1及び第2実施形態による空気調和機の概略構成の一例を示す図であって、空気調和機に設けられた上下風向板が可動範囲内の中間付近の角度に設定された状態を示す図である。
図4】本発明の第1及び第2実施形態による空気調和機の概略構成の一例を示す図であって、空気調和機に設けられた上下風向板が可動範囲内の最大角度に設定された状態を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態による空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図である。
図6】本発明の第1実施形態による空気調和機に備えられた上下風向板制御部の概略構成の一例を示すブロック図である。
図7】本発明の第1実施形態による空気調和機の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図8】本発明の第2実施形態による空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図である。
図9】本発明の第2実施形態による空気調和機に備えられた上下風向板制御部の概略構成の一例を示すブロック図である。
図10】本発明の第2実施形態による空気調和機の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態による空気調和機について図1から図7を用いて説明する。まず、本実施形態による空気調和機1の概略構成について図1から図6を用いて説明する。
【0011】
(空気調和機に設けられた室内機の外観構成)
図1から図4は、本実施形態による空気調和機1(図5参照)に設けられた室内機10の概略構成の一例を示す図である。図1は、吹出口82を閉じた状態の室内機10の断面図である。図2は、吹出口82が壁面を基準にして水平方向に風を吹き出す状態(上下風向板87の角度を水平方向に対して最小角度(0°付近)に設定された状態)の室内機10の断面図である。図3は、吹出口82の斜め下向きに風を吹き出す状態(下風向板87の角度の可動範囲の中間付近の角度(水平方向に対して45°付近)に設定された状態)の室内機10の断面図である。図4は、吹出口82の下向きに風を吹き出す状態(上下風向板87の角度の可動範囲の最大角度(水平方向に対して90°付近)に設定された状態)の室内機10の断面図である。
【0012】
図1から図4に示すように、本実施形態による空気調和機1に備えられた室内機10は、吸込口81と吹出口82とを結ぶ空気通路に、吸込口81から吸い込まれた空気中の塵埃を除去するエアフィルタ83と、塵埃が除去された清浄空気を熱交換する熱交換器84と、熱交換された空気を吹出口82に送出する送風ファン85とを有している。
【0013】
吹出口82を構成する所定長さの送風路82aの下壁には、左右風向板群86が支軸部6aにより回動自在に軸支されている。左右風向板群86は、左右方向の風向を偏向する複数の左右風向板(不図示)を有している。複数の左右風向板は、互いに連結されている。また、左右風向板群86の前方であって送風路82aの上壁82bには、支軸部88が突設されている。支軸部88は、上下方向の風向を偏向する上下風向板87を回動自在に軸支している。また、支軸部88の下流側には補助支軸部90が設けられている。補助支軸部90は、補助上下風向板89を回動自在に軸支している。
【0014】
送風路82aの下壁は、支軸部93により回動自在に軸支されたディフューザ92によって延長されるように構成されている。図1に示すように、吹出口82は、室内機10の運転停止時に上下風向板87及びディフューザ92で閉じられるようになっている。
【0015】
運転時に送風ファン85によって吹出口82から吹き出される空気は、吹出口82までの所定長さの送風路82aを風量の減少を極力抑えるようにして流通する。
【0016】
補助支軸部90は、上述したとおり支軸部88の下流側に設けられているが、支軸部88とほぼ同等の位置に設けられていてもよい。これにより、補助支軸部90は、補助上下風向板89によって吹出口82を構成する送風路を延長できる位置に設けられ、また、吹出口82の上壁82bと上下風向板87との間を流通する空気を偏向できる位置に設けられることになる。その結果、送風路において風量が大幅に減少してしまうことが防止される。
【0017】
補助上下風向板89は、補助支軸部90を構成する支持片90aを有している。補助上下風向板89は、上下風向板87の支軸部88の下流側となる送風路82aの上壁82b寄りに補助支軸部90によって回動自在に軸支されている。これによって、吹出口82から吹き出される空気は、上壁82bと、下壁を延長するように構成されたディフューザ92とで上下部が構成される所定長さの送風路82aを風量の減少を極力抑えて流通する。
【0018】
補助上下風向板89を回動自在に軸支した補助支軸部90は、送風路82aの上壁82bの前方を拡開するように段部91として形成した拡開部に設けられている。これによって、吹出口82から吹き出される空気への抵抗が大きくならないように抑えることができるようになっている。
【0019】
図2に示すように、補助上下風向板89は、段部91の前方に収容されるように回動して送風路92aの上壁92bを延長させるようになっている。補助上下風向板89は、例えば冷房運転時には、吹出口82から吹き出される空気への抵抗が大きくならないように抑えるとともに、風向偏向には寄与しない位置に回動して室内空気の巻き込みをなくす。これにより、送風路92aの上壁92bに結露が生じることを防止できる。また、室内機10は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92の組み合わせにより、冷風を水平方向に吹き出すことができる。
【0020】
また、図3および図4に示すように、補助上下風向板89は、例えば暖房運転時には、上下風向板87及びディフューザ92とともに下方に向いて送風路82aの上壁82bを延長させる位置に回動し、送風路82aの上壁82bと上下風向板87との間を流通する空気を偏向できる。図3に示すように、室内機10は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92を斜め下方(図2に示す水平方向よりも下方)に向けることにより、吹出口82の斜め下方に風を吹き出すことができる。また、図4に示すように、室内機10は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92を下方(図3に示す斜め下方よりも下方)に向けることにより、吹出口82の下方に風を吹き出すことができる。
【0021】
室内機10に設けられた送風ファン85は、室内機10の背面側から下方に向かって送風路82aに流入する。このため、送風ファン85から送風される空気は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92の傾く角度が0°付近(図2に示す水平方向に相当する)の場合、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92に衝突した後に送風路82aを通って吹出口82から室内に吹き出される。
【0022】
また、送風ファン85から送風される空気は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92の傾く角度が45°付近(図3に示す斜め下向きに相当する)である場合も補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92に衝突しながら吹出口82から室内に吹き出される。しかしながら、送風ファン85から送風される空気が補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92に衝突する量は、当該角度が0°の場合よりも当該角度が45°の場合の方が少なくなる。
【0023】
さらに、送風ファン85から送風される空気は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92の傾く角度が90°付近(図4に示す下向きに相当する)である場合も補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92に衝突しながら吹出口82から室内に吹き出される。しかしながら、送風ファン85から送風される空気が補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92に衝突する量は、当該角度が45°の場合よりも当該角度が90°の場合の方が少なくなる。
【0024】
このため、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92は、送風ファン85から送風される空気に対抗して所定の角度に駆動(すなわち、回動または停止・保持の状態をいう)する際に、当該角度が小さいほど大きいトルクが必要となる。詳細は後述するが、本実施形態による空気調和機1は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92を傾ける角度に応じて補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92を駆動する風向板用モーター17(図1から図4では不図示、図5参照)に駆動制御する電力を変化させる。具体的には、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92は、設定された角度が大きいほどトルクが小さくても送風ファン85から送風される空気に対抗できる。このため、空気調和機1は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92に設定された角度が大きいほど風向板用モーター17を駆動制御して電力を小さくできる。
【0025】
つまり、空気調和機1は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92が例えば45°の角度に設定、保持されている場合よりも例えば90°の角度に設定、保持されている場合の方が風向板用モーター17を駆動する電力を小さくできる。また、空気調和機1は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92が例えば0°の角度に設定、保持されている場合よりも例えば45°の角度に設定、保持されている場合の方が風向板用モーター17を駆動する電力を小さくできる。これにより、空気調和機1は、補助上下風向板89、上下風向板87及びディフューザ92を設定した角度に駆動する際に、風向板用モーター17のトルクは過剰にならないので、風向板用モーター17を駆動制御する電力が最適化されて消費電力の省力化を図ることができる。本実施形態では、上下風向板87、補助上下風向板89及びディフューザ92は例えば、風向板用モーター17によって連動して駆動するようになっている。このため、以下、風向板用モーター17によって駆動する当該3つを総称する構成要素として上下風向板87を用いる。
【0026】
(空気調和機の構成及び機能)
次に、本実施形態による空気調和機1の構成及び機能について図1から図4を参照しつつ図5及び図6を用いて説明する。
【0027】
図5に示すように、空気調和機1は、室内に配置される室内機10と、室内機10と通信接続されて室外に配置される室外機30と、ユーザーが空気調和機1を操作するために使用する遠隔操作機器50とを備えている。
【0028】
室内機10は、ユーザーの操作に基づいて遠隔操作機器50から送信される指示信号を受信する受信部13と、受信部13で受信された指示信号に基づいて室内機10を制御する室内機制御部11とを有している。また、室内機10は、送風ファン85(図1から図4参照)を回転させるファン用モーター15を有している。さらに、空気調和機1に備えられた室内機10は、所定の角度に傾いて送風方向を偏向させる上下風向板(風向板の一例)87(図1から図4参照)と、上下風向板87を駆動する風向板用モーター17とを有している。本実施形態では、ファン用モーター15及び風向板用モーター17として、例えば2相のステッピングモーターが用いられている。
【0029】
室内機制御部11は、図5で示すように統括制御部110、上下風向板制御部130、ファンモーター駆動部150を備えている。
【0030】
統括制御部110は、受信部13で受信された指示信号S13が入力され、入力された指示信号S13に含まれる指示情報に従って室内機10を制御する。また、統括制御部110は、室外機30との間で運転制御信号S110aを双方向に通信できるようになっている。このため、統括制御部110は、例えば指示信号S13に運転開始の指示情報が含まれている場合に室外機30を制御して室外機30を起動したり、室外機30の動作状態などの情報を室外機30から受信したりする。
【0031】
ファンモーター駆動部150は、統括制御部110からの回転数の指示する回転数指示信号S110cの回転数指示値に基づいてファン用モーター15を駆動する。
【0032】
上下風向板制御部130(風向板制御部の一例)は、統括制御部110からの上下風向板87を傾ける角度を指示する角度指示値に応じて風向板用モーター17を駆動制御して上下風向板87の傾きを制御する。
【0033】
ここで、上下風向板制御部130の概略構成について図6を用いて説明する。図6では、上下風向板制御部130に接続された統括制御部110及び風向板用モーター17が併せて図示されている。
【0034】
図6に示すように、上下風向板制御部130は、統括制御部110に接続されたモーター制御部131と、モーター制御部131に接続された風向/トルク率算出部(第一算出部の一例)133とを有している。また、上下風向板制御部130は、モーター制御部131及び風向/トルク率算出部133に接続されたパルス幅制限部135と、パルス幅制限部135及び風向板用モーター17に接続された上下風向板駆動部(駆動部の一例)137を有している。
【0035】
モーター制御部131は、風向板用モーター17をパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)によって制御するようになっている。モーター制御部131は、統括制御部110からの動作指示信号S110bに含まれる角度指示値角度指示信号S131aを取得し、取得した角度指示値を風向/トルク率算出部133に出力する。
【0036】
また、モーター制御部131は、動作指示信号S110bに含まれる上下風向板87を駆動する風向板用モーター17の回転を指示する回転数指示値を取得し、取得した回転数指示値に基づいて風向板用モーター17をPWM制御するためのパルスパターン信号S131bを生成する。生成したパルスパターン信号S131bをパルス幅制限部135に出力する。
【0037】
風向/トルク率算出部133は、角度指示値から上下風向板87を駆動させるのに必要な風向板用モーター17のトルク(以下、「風向板用トルク」とよぶことがある)を算出する。風向板用トルクは第一トルクの一例に相当する。具体的には、風向/トルク率算出部133は、モーター制御部131から入力される角度指示信号S131aに基づいて、風向板用モーター17の出力可能な最大トルクに対する比率である風向板用トルク率を算出する。なお、この風向板用トルク率の算出には、上下風向板の角度に応じたトルク率のテーブルが予め設けられている。
【0038】
上述のとおり、上下風向板87に設定された角度によって、送風される空気に対抗して上下風向板87を駆動させるために必要な風向板用モーター17のトルクが異なる。。例えば、図2図3図4で示す上下風向板87の角度の場合、送風される空気に対抗して上下風向板87を駆動させるために必要なトルクは、角度が小さいほど大きくなる。風向/トルク率算出出部133は、角度指示信号S131aの角度指示値が例えば0°(図2に示すほぼ水平方向に相当する)の場合、例えば風向板用トルク率を40%と算出する。また、風向/トルク率算出部133は、角度指示信号S131aの角度指示値が例えば45°(図3に示す斜め下向に相当する)の場合、例えば風向板用トルク率を30%と算出する。さらに、風向/トルク率算出部133は、角度指示信号S131aの角度指示値が例えば90°(図4に示すほぼ下向きに相当する)の場合、例えば風向板用トルク率を20%と算出する。
【0039】
風向/トルク率算出部133は、算出した風向板用トルク率S133をパルス幅制限部135に出力する。
【0040】
パルス幅制限部135は、モーター制御部131によって生成されて風向板用モーター17を制御するためのパルスパターンのパルス幅を風向板用トルクに基づいて制限するようになっている。すなわち、パルス幅制限部135は、モーター制御部131から入力されるパルスパターン信号S131bに含まれているパルスパターンのパルス幅を、風向/トルク率算出部133から入力される風向板用トルク率S133に基づいて制限する。より具体的には、パルス幅制限部135は、モーター制御部131から入力されるパルスパターンのパルス幅(信号レベルがハイレベルの幅)を風向板用トルク率S133に応じて短くする。パルス幅制限部135は、風向板用トルク率S133が小さいほどパルスパターンのパルス幅が小さくなるように制限する。
【0041】
つまり、パルス幅制限部135は、モーター制御部131から入力されるパルスパターンのオンデューティ比を風向/トルク率算出部133から入力される風向板用トルク率S133に応じて小さくする。ここで、パルスパターンのオンデューティ比は、パルスパターンの1周期に対するパルスパターンの信号レベルがハイレベルの期間の比である。パルスパターンのデューティ比に応じて風向板用モーター17に供給される平均電流量が変わるので、風向板用モーター17を駆動制御する電力も変わる。このように、上下風向板制御部130は、風向板用トルクに基づいて風向板用モーター17を駆動制御することで供給される電力を変更する。
【0042】
パルス幅制限部135は、パルス幅が制限されたパルスパターンであるパルス制限パターン信号S135を生成し、生成したパルス制限パターン信号S135を上下風向板駆動部137に出力する。
【0043】
上下風向板駆動部137は、パルス幅制限部135で制限されたパルスパターンに基づいて風向板用モーター17を回転させて上下風向板87を駆動させる。上下風向板駆動部137は、パルス幅制限部135から入力されるパルス制限パターン信号S135に基づいて風向板用モーター17を駆動するための駆動信号S137を生成し、生成した駆動信号S137によって風向板用モーター17を駆動する。上下風向板駆動部137が生成する駆動信号S137には、風向/トルク率算出部133で算出された風向板用トルク率、すなわち上下風向板87の角度が反映されている。このため、上下風向板制御部130は、設定された角度に上下風向板87を駆動する際に、当該角度に応じて必要最小限の電力で風向板用モーター17を駆動できる。これにより、空気調和機1は、風向板用モーター17の消費電力を低減することができる。
【0044】
(空気調和機の動作)
次に、本実施形態による空気調和機1の動作について図1から図6を参照しつつ図7を用いて説明する。図7は、上下風向板87を傾ける角度が変更された場合の上下風向板制御部130の動作の一例を示すタイミングチャートである。図7中の「送風量」は、送風ファン85の送風量を示し、「MAX」は送風ファン85の送風量が最大であることを示し、「MIN」は送風ファン85の送風量が最小であることを示している。図7では、送風ファン85の送風量が最大である場合のタイミングチャートが図示されている。本実施形態では、送風ファン85から最大送風量の空気が当たっても風向板用モーター17が回転できるだけのトルクを出せるようになっている。このため、上下風向板87が傾けられる角度が同一であれば送風ファン85の送風量によらず、上下風向板87を駆動するトルクは同一である。したがって、送風ファン85の送風量が異なっていても、図7に示すタイミングチャートは同一となる。
【0045】
図7中の「上下風向板角度[°]」は、上下風向板87が傾けられる角度を示している。図7中の「クロックパルス」は、風向板用モーター17の回転速度を決定するクロックパルス信号を示している。図7中の「パルスパターン」は、風向板用モーター17のステッピングモーターが2相モーターで、「A」、「B」、「C」及び「D」の4つの制御信号で風向板用モーター17を制御する。
【0046】
図7中の「パルスパターン(制限前)」は、モーター制御部131で生成されるパルスパターンを示している。図7中の「パルスパターン(制限前)」に対応付けられた「A」、「B」、「C」及び「D」は、風向板用モーター17をPWM制御するための制御信号を示している。例えば「パルスパターン(制限前)」に対応付けられた「パルスパターンA」は、風向板用モーター17を制御するための4つの制御信号のうちの1つのパルスパターン(すなわち信号パターン)であってパルス幅が制限される前のパターンを示す。
【0047】
図7中の「パルスパターン(制限後)」は、パルス幅制限部135で生成されるパルス制限パターンを示している。図7中の「パルスパターン(制限後)」に対応付けられた「A」、「B」、「C」及び「D」は、風向板用モーター17をPWM制御するための制御信号(すなわち駆動信号S137)を示している。例えば「パルスパターン(制限後)」に対応付けられた「パルスパターンA」は、風向板用モーター17を制御するための4つの駆動信号S137のうちの1つのパルスパターン(すなわち信号パターン)であってパルス幅が制限された後のパターンを示している。
【0048】
「パルスパターン(制限前)のパルスパターンA」のパルス幅が制限されたパターンが「パルスパターン(制限後)のパルスパターンA」である。「パルスパターン(制限前)のパルスパターンB」のパルス幅が制限されたパターンが「パルスパターン(制限後)のパルスパターンB」である。「パルスパターン(制限前)のパルスパターンC」のパルス幅が制限されたパターンが「パルスパターン(制限後)のパルスパターンC」である。「パルスパターン(制限前)のパルスパターンD」のパルス幅が制限されたパターンが「パルスパターン(制限後)のパルスパターンD」である。「パルスパターン(制限前)」及び「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンA~Dで表されるそれぞれの制御信号は、上述のクロックパルス信号に同期する。
【0049】
図7中の「制御ポート出力数」は、風向板用モーター17をPWM制御するための4つの制御信号(パルスパターン(制御後)のパルスパターンA~Dの信号)のうちの信号レベルがハイレベルの信号数を示している。図7中の「デューティ(制限前)」は、パルスパターン(制御前)のパルスパターンA~Dの制御信号で風向板用モーター17を駆動した場合、パルスパターンA~Dのいずれかの制御信号がハイレベル(H)で風向板用モーター17に供給される電力のオンデューティを示している。「デューティ(制限前)」は、どの期間でも常にオンデューティとなっている。図7中の「デューティ(制限後)」は、パルスパターン(制御後)のパルスパターンA~Dの制御信号で風向板用モーター17を駆動した場合の風向板用モーター17に供給される電力のオンデューティを示していて、ローレベル(L)期間では、風向板用モーター17に電力が供給されているどうかを表している。
【0050】
図7に示すように、上下風向板87(図1から図4参照)の傾く角度が0°である期間T1,T5、上下風向板87の傾く角度が45度である期間T2,T4及び上下風向板87の傾く角度が90度である期間T5のいずれの期間でも、送風ファン85(図1から図4参照)の送風量は最大である。また、期間T1~T5のいずれの期間でもクロックパルス信号は同一周期のパルス信号である。このため、上下風向板87の回転速度は、期間T1~T5において一定である。
【0051】
パルス幅が制限される前のパルスパターンA~D(すなわちパルスパターン信号S131bに相当する)のいずれも、信号レベルがクロックパルス信号の3パルス分だけハイレベルとなり、クロックパルス信号の5パルス分だけローレベルとなる。パルス幅が制限される前のパルスパターンA~Dは、信号レベルがこのように繰り返し変化するパターンを有しているが、互いに位相がずれている。当該パルスパターンBは、当該パルスパターンAよりもクロックパルス信号の2パルス分だけ位相が遅れている。当該パルスパターンCは、当該パルスパターンBよりもクロックパルス信号の2パルス分だけ位相が遅れている。当該パルスパターンDは、当該パルスパターンCよりもクロックパルス信号の2パルス分だけ位相が遅れている。当該パルスパターンAは、当該パルスパターンDよりもクロックパルス信号の2パルス分だけ位相が遅れている。
【0052】
図7に示すように、期間T1では、上下風向板87を傾ける角度が0°である。このため、パルス幅制限部135においてパルスパターンが上下風向板87の角度指示値に基づいて制限される。期間T1では、例えば、「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンA(すなわちパルス制限パターン信号S135に相当する)は、期間T1におけるクロックパルス信号の3パルス目の1周期のうちの半分の期間(後半の期間)において信号レベルがローレベルになる。これにより、パルスパターンAは、上下風向板87の傾く角度に応じてパルス幅が制限されて、パルス幅の制限前と比較してクロックパルス信号の半パルス分だけ短くなる。
【0053】
また、期間T1におけるクロックパルス信号の1及び2パルス目の期間では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうち、パルスパターンAの信号レベルがハイレベルであり、パルスパターンB~Dの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「1」となる。また、期間T1におけるクロックパルス信号の3パルス目の1周期のうちの半分の期間(後半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうち、パルスパターンA,Bの信号レベルはハイレベルであり、パルスパターンC,Dの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「2」となる。期間T1におけるクロックパルス信号の3パルス目の1周期のうちの半分の期間(後半の期間)及び4パルス目の1周期の期間では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうち、パルスパターンBの信号レベルがハイレベルであり、パルスパターンA,C,Dの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「1」となる。
【0054】
また、期間T1では、制御ポート出力数が「1」又は「2」となるので、風向板用モーター17(図5参照)には、上下風向板87を傾ける角度が0°に保持(停止)するために必要なトルクを含む駆動制御される。このため、期間T1では、図7中のデューティで見ると、パルス幅の制限前のオンデューティを100%とすると、パルス幅の制限後のオンデューティは、パルス幅の制限前のオンデューティと同様に100%となる。
【0055】
図7に示すように、期間T2では、上下風向板87を傾ける角度が45°である。このため、パルス幅制限部135において、当該角度が0°の場合よりもパルスパターンが制限されてパルス幅が小さくなる。例えば、「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンCは、期間T2におけるクロックパルス信号の2及び3パルス目の1周期のうちの半分の期間(後半の期間)において信号レベルがローレベルになる。また例えば、「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンDは、期間T2におけるクロックパルス信号の4及び5パルス目の1周期のうちの半分の期間(後半の期間)において信号レベルがローレベルになる。これにより、パルスパターンC,Dは、上下風向板87の傾く角度に応じてパルス幅が制限されて、パルス幅の制限前と比較してクロックパルス信号の1パルス分だけ短くなる。
【0056】
また、期間T2におけるクロックパルス信号の1、3及び5パルス目の1周期のうちの半分の期間(前半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうちのいずれか2つのパルスパターンの信号レベルがハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「2」となる。期間T2におけるクロックパルス信号の1、3及び5パルス目の1周期のうちの半分の期間(後半の期間)及びクロックパルス信号の2及び4パルス目の1周期のうちの半分の期間(前半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうちのいずれか1つのパルスパターンの信号レベルがハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「1」となる。さらに、期間T2におけるクロックパルス信号の2及び4パルス目の1周期のうちの半分の期間(後半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dの全ての信号レベルがローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「0」となる。
【0057】
期間T2では、パルスパターンA~Dをそれぞれ単独で見た場合、パルスパターンC,Dで示すように、パルス幅の制限前の信号のハイレベルの期間が3クロックパルス信号からパルス幅の制限後の信号のハイレベルの期間が1パルス分だけ短くなるようにパルス幅が制限される。このため、期間T2では、図7中のデューティで見ると、パルス幅の制限前のオンデューティが100%に対して、パルス幅の制限後のオンデューティは1パルス分のローレベル期間があるためオンデューティは80%と小さくなる。なお、上記で説明したパルスパターンDで見た場合、パルス幅の制限前のハイレベルの期間3パルスが、パルス幅の制限後のオンデューティは2パルスになっており、オンディーティは66.7%と小さくなっている。このため、上下風向板87を駆動させるトルクを生成するために風向板用モーター17に供給する電力は、上下風向板87を傾ける角度が0°の場合よりも45°の場合の方が少なくなる。これにより、空気調和機1は、上下風向板87を傾ける角度に応じて消費電力の省力化を図ることができる。
【0058】
本実施形態において、パルスパターンA~Dのいずれの信号レベルもローレベルとなって制御ポート出力数が「0」となる期間があっても、「0」となる期間の前後の制御信号によって風向板用モーター17のトルクが維持される。これにより、上下風向板87は、設定された角度を保持できる。
【0059】
図7に示すように、期間T3では、上下風向板87を傾ける角度が90°である。このため、パルス幅制限部135において、当該角度が45°の場合よりもパルスパターンが制限されてパルス幅が小さくなる。例えば、「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンA~Cは、期間T3におけるクロックパルス信号の各パルスにおける1周期のうちの半分の期間(後半の期間)において信号レベルがローレベルになる。なお、上下風向板87を傾ける角度を90°とする期間に、パルスパターンDの信号レベルがハイレベルになる場合、図7中の期間T3におけるパルスパターンA~Cと同様に、クロックパルス信号の各パルスにおける1周期のうちの半分の期間(後半の期間)において信号レベルがローレベルになる。これにより、パルスパターンA~Cは、上下風向板87の傾く角度に応じてパルス幅が制限されて、パルス幅の制限前と比較してクロックパルス信号の1.5パルス分だけ短くなる。すなわち、上下風向板87を傾ける角度を90°とする期間における制限後のパルスパターンA~Dのパルス幅は、制限前のパルス幅の半分の長さになる。
【0060】
また、期間T3におけるクロックパルス信号の1、3及び5パルス目の1周期のうちの半分の期間(前半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうちのいずれか1つのパルスパターンの信号レベルがハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「1」となる。また、期間T3におけるクロックパルス信号の全てのパルスの1周期のうちの半分の期間(後半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dの全ての信号レベルがローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「0」となる。さらに、期間T3における2及び4パルス目の前半の1/2の期間では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうちのいずれか2つのパルスパターンの信号レベルがハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「2」となる。
【0061】
期間T3では、パルスパターンA~Dをそれぞれ単独で見た場合、パルスパターンA~Cで示すように、信号レベルがハイレベルの期間が半分となるようにパルス幅が制限される。このため、期間T3では、図7中のデューティで見ると、パルス幅の制限前のオンデューティが100%に対して、パルス幅の制限後のオンデューティは2.5パルス分のローレベル期間がある50%と小さくなる。なお、上記で説明したパルスパターンAで見た場合、パルス幅の制限前のハイレベルの期間3パルスが、パルス幅の制限後のオンデューティは半分の1.5パルスになっており、オンディーティは50%と小さくなる。さらに、パルス幅の制限後のオンデューティは、上下風向板87を傾ける角度が45°の場合よりも90°の場合の方が小さくなる。このため、上下風向板87を駆動させるトルクを生成するために風向板用モーター17に供給する電力は、上下風向板87を傾ける角度が0°及び45°の場合よりも90°の場合の方が少なくなる。これにより、空気調和機1は、上下風向板87を傾ける角度に応じて消費電力の省力化を図ることができる。
【0062】
期間T4は、上下風向板87の傾ける角度が90°から45°に変更される期間であるが、上下風向板制御部130は、期間T2と同様に風向板用モーター17を制御するため、説明は省略する。また、期間T5は、上下風向板87の傾ける角度が45°から0°に変更される期間であるが、上下風向板制御部130は、期間T1と同様に風向板用モーター17を制御するため、説明は省略する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態による空気調和機1は、所定の角度に傾いて送風方向を偏向させる上下風向板87と、上下風向板87を駆動させる風向板用モーター17と、上下風向板87を傾ける角度を指示する角度指示値に応じて風向板用モーター17に供給する電力を変更して上下風向板87の傾きを制御する上下風向板制御部130とを備えている。
【0064】
これにより、空気調和機1は、送風ファン85の送風量によらず、上下風向板87を駆動させる必要最小限の風向板用モーター17のトルクを確保することができる。このため、空気調和機1は、送風ファン85の送風量及び上下風向板87を駆動する風向板用モーター17トルクを確保しつつ、消費電力の省力化を図ることができる。
【0065】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態による空気調和機1について図1から図4及び図7から図10を用いて説明する。本実施形態による空気調和機は、上下風向板を駆動させるトルクの算出に、上下風向板の傾けられる角度に加えて送風ファンの送風量も反映させる点に特徴を有している。まず、本実施形態による空気調和機2の概略構成について図1から図4図8及び図9を用いて説明する。
【0066】
(空気調和機に設けられた室内機の外観構成)
本実施形態による空気調和機2に設けられた室内機20は、上記第1実施形態に空気調和機1に設けられた室内機10と同様の外観構成を有している。このため、室内機20の外観構成の説明は省略する。
【0067】
(空気調和機の構成及び機能)
次に、本実施形態による空気調和機2の構成及び機能について図1から図4を参照しつつ図8及び図9を用いて説明する。空気調和機2の説明に当たって、上記第1実施形態による空気調和機1と同様の作用・機能を有する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0068】
図8に示すように、空気調和機2に設けられた室内機20は、受信部13で受信された指示信号に基づいて室内機10を制御する室内機制御部21を有している。室内機制御部21は、統括制御部110から出力される回転数指示値を示す回転数指示信号S110c及び動作指示信号S110bが入力される上下風向板制御部230を有している。このように、空気調和機2は、上下風向板制御部230の構成が異なる点を除いて、上記第1実施形態による空気調和機1と同様の構成を有している。
【0069】
次に、本実施形態による空気調和機2に備えられた上下風向板制御部230について図1から図4及び図8を参照しつつ図9を用いて説明する。
図9に示すように、本実施形態における上下風向板制御部230(風向板制御部の一例)は、風向板用モーター17をパルス幅変調によって制御するモーター制御部131を有している。また、上下風向板制御部230は、モーター制御部131によって生成されて風向板用モーター17を制御するためのパルスパターンのパルス幅を合計トルク(第三トルクの一例)に基づいて制限するパルス幅制限部235を有している。合計トルクの詳細については後述する。また、上下風向板制御部230は、パルス幅制限部235で制限されたパルスパターンに基づいて風向板用モーター17を駆動させて上下風向板87を駆動する上下風向板駆動部(駆動部の一例)137を有している。
【0070】
また、上下風向板制御部230は、モーター制御部131から入力された角度指示信号S131aの角度指示値に応じた風向板用モーター17の必要とされる第一風向板用トルク(第一トルクの一例)に算出する風向/トルク率算出部133を有している。風向/トルク率算出部133は、モーター制御部131から入力される角度指示信号S131aの角度指示値に基づいて、風向板用モーター17の出力可能な最大トルクに対する比率である第一風向板用トルク率で第一風向板用トルクを算出する。
【0071】
図9に示すように、上下風向板制御部230は、統括制御部110から出力される回転数指示信号S110cの回転数指示値よってファン用モーター15が回転することによる送風ファン85の送風量に上下風向板87が対抗するため回転数指示値に応じた風向板用モーター17に印加される第二風向板用トルク(第二トルクの一例)に算出する回転/トルク率算出部(第二算出部の一例)231を有している。
【0072】
回転/トルク率算出部231は、統括制御部110から入力される回転数指示値を示す回転数指示信号S110cの回転数指示値に基づいて、風向板用モーター17の出力可能な最大トルクに対する比率である第二風向板用トルク率を算出する。送風ファン85の送風量が大きいほど、送風ファン85から送風される空気から上下風向板87が受ける力は強くなる。換言すると、送風ファン85の回転数が多いほど、送風ファン85から送風される空気から上下風向板87が受ける力は強くなる。このため、回転/トルク率算出部231は、回転数指示信号S110cの回転数指示値が例えば最小値の100回転の場合、例えば第二風向板用トルク率を30%に算出する。また、回転/トルク率算出部231は、回転数指示信号S110cの回転数指示値が例えば最大値の1000回転の場合、例えば第二風向板用トルク率を60%に算出する。回転/トルク率算出部231は、回転数指示値が最小値及び最大値の間の値である場合は、最小回転数に対する第二風向板用トルク率と最大回転数に対する第二風向板用トルク率に基づいて、当該値を比例計算によって所定値の第二風向板用トルク率に算出する。回転数指示信号S110c回転数指示値が例えば550回転の場合、回転/トルク率算出部231は、第二風向板用トルク率を45%に算出する。回転/トルク率算出部231は、算出した第二風向板用トルク率S231をトルク率算出部233に出力する。
【0073】
図9に示すように、上下風向板制御部230は、角度指示値及び回転数指示値に基づく第一風向板用トルク率S133及び第二風向板用トルク率S231を入力して合計トルク率を算出するトルク率算出部(第三算出部の一例)233を有している。
【0074】
トルク率算出部233は、第一風向板用トルク率S133と、第二風向板用トルク率S231とを加算して合計トルク率を算出する。合計トルク率の最大値が100%となるように、第一風向板用トルク率及び第二風向板用トルク率は設定されている。このため、送風ファン85の回転数が最大値であり、かつ上下風向板87が傾けられる角度が0°の場合に、合計トルク率は最大値の100%(=60%+40%)となる。一方、送風ファン85の回転数が最小値であり、かつ上下風向板87が傾けられる角度が90°の場合に、合計トルク率は最小値の50%(=30%+20%)となる。
【0075】
トルク率算出部233算出した合計トルク率S233をパルス幅制限部235に出力する。
【0076】
パルス幅制限部235は、モーター制御部131から入力されるパルスパターン信号S131bのパルス幅を、トルク率算出部233から入力される合計トルク率S233に基づいて制限する。より具体的には、パルス幅制限部235は、モーター制御部131から入力されるパルスパターンのパルス幅(信号レベルがハイレベルの幅)をトルク率算出部233から入力される合計トルク率に応じて短くする。パルス幅制限部235は、合計トルク率が小さいほどパルスパターンのパルス幅が小さくなるように制限する。
【0077】
つまり、パルス幅制限部235は、モーター制御部131から入力されるパルスパターンのデューティ比を風向/トルク率算出部133で算出された第一風向板用トルク率及び回転/トルク率算出部231で算出された第二風向板用トルク率に応じて小さくする。パルスパターンのオンデューティに応じて風向板用モーター17の駆動制御する平均電圧が変更されるので、風向板用モーター17に供給される電力も変更される。このように、上下風向板制御部230は、第一風向板用トルク率及び第二風向板用トルク率に基づいて風向板用モーター17の駆動制御を変更して供給される電力を変更するようになっている。
【0078】
パルス幅制限部235は、パルス幅が制限されたパルスパターンを含むパルス制限パターン信号S235を生成し、生成したパルス制限パターン信号S235を上下風向板駆動部137に出力する。
【0079】
上下風向板駆動部137は、パルス幅制限部135で制限されたパルスパターンに基づいて風向板用モーター17を駆動させて上下風向板87を駆動するようになっている。本実施形態おける上下風向板駆動部137が生成する駆動信号S137には、送風ファン85の回転数及び上下風向板87が傾く角度が反映されている。このため、上下風向板制御部230は、設定された角度に上下風向板87を駆動する際に、送風ファン85の送風量及び設定された角度に応じて必要最小限の消費電力で風向板用モーター17を駆動できる。これにより、空気調和機2は、消費電力の省力化を図ることができる。
【0080】
(空気調和機の動作)
次に、本実施形態による空気調和機2の動作について図1から図4図7から図9を参照しつつ図10を用いて説明する。空気調和機2は、送風ファン85の送風量が最大、すなわち送風ファン85の回転数が最大の場合には、図7に示すタイミングチャートにおける動作と同様に動作する。このため、送風ファン85の回転数が最大の場合における空気調和機2の説明は省略する。図10は、送風ファン85の送風量が最小、すなわち送風ファン85の回転数が最小であり、かつ上下風向板87を傾ける角度が変更された場合の上下風向板制御部230の動作の一例を示すタイミングチャートである。図10中の「送風量」などは、図7中に示す「送風量」などと同じ内容を示すため、説明は省略する。
【0081】
図10に示すように、上下風向板87(図1から図4参照)の傾く角度が0°である期間T11,T15、上下風向板87の傾く角度が45度である期間T12,T14及び上下風向板87の傾く角度が90度である期間T15のいずれの期間でも、送風ファン85(図1から図4参照)の送風量は最小である。また、期間T11~T15のいずれの期間でもクロックパルス信号は、期間T1~T5(図7参照)と同一周期のパルス信号である。このため、上下風向板87の回動速度は、期間T1~T5及び期間T11~T15において一定である。
【0082】
パルス幅が制限される前の期間T11~T15でのパルスパターンA~D(パルスパターン信号S131bに相当する)は、パルス幅が制限される前の期間T1~T5でのパルスパターンA~Dと同一のパターンである。また、パルス幅が制限される前の期間T11~T15でのパルスパターンA~Dの位相は、パルス幅が制限される前の期間T1~T5でのパルスパターンA~Dの位相と相対関係が同一である。
【0083】
図10に示すように、期間T11では、送風ファン85(図2参照)の送風量が最小かつ上下風向板87(図2参照)を傾ける角度が0°である。このため、パルス幅制限部235(図9参照)においてパルスパターンが、送風ファン85の回転数指示値及び上下風向板87の角度指示値に基づいて制限される。期間T11では、期間T1と比較して、送風ファン85から送風される空気に対抗する上下風向板87の力は、送風ファン85の送風量が小さい分だけ弱くてよいので、パルスパターンのパルス幅を小さくできる。
【0084】
図10に示すように、期間T11では例えば、「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンA~Cは、期間T11におけるクロックパルス信号の各パルスにおける1周期のうちの半分の期間(後半の期間)において信号レベルがローレベルになる。なお、上下風向板87を傾ける角度を0°とする期間にパルスパターンDの信号レベルがハイレベルになる場合、パルスパターンDは、図10中の期間T11におけるパルスパターンA~Cと同様に、クロックパルス信号の各パルスにおける1周期のうちの半分の期間(後半の期間)において信号レベルがローレベルになる。これにより、パルスパターンA~Cは、上下風向板87の傾く角度に応じてパルス幅が制限されて、パルス幅の制限前と比較してクロックパルス信号の1.5パルス分だけ短くなる。すなわち、送風ファン85の回転数が最小であり、かつ上下風向板87を傾ける角度が0°となる期間における制限後のパルスパターンA~Dのパルス幅は、制限前のパルス幅の半分の長さになる。
【0085】
このように、送風ファン85の回転数が最小であり、かつ上下風向板87を傾ける角度が0°となる期間におけるパルス幅制限後のパルスパターン(期間T11におけるパルスパターン)は、送風ファン85の回転数が最大であり、かつ上下風向板87を傾ける角度が0°となる期間におけるパルス幅制限後のパルスパターン(図7中の期間T1におけるパルスパターン)よりもパルス幅が小さくなる。
【0086】
また、期間T11におけるクロックパルス信号の1、3及び4パルス目の1周期のうちの半分の期間(前半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうちのいずれか1つのパルスパターンの信号レベルがハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「1」となる。また、期間T11におけるクロックパルス信号の全てのパルスの1周期のうちの半分の期間(後半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dの全ての信号レベルがローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「0」となる。さらに、期間T11における3及び5パルス目の1周期のうちの半分の期間(前半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうちのいずれか2つのパルスパターンの信号レベルがハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「2」となる。
【0087】
期間T11では、パルスパターンA~Cで示すように、パルスパターンA~Dをそれぞれ単独で見た場合、信号レベルがハイレベルの期間が半分となるようにパルス幅が制限される。このため、期間T11では、図11中のデューティで見ると、パルス幅の制限前のオンデューティが100%に対して、パルス幅の制限後のオンデューティは、2.5パルス分のローレベル期間がある50%と小さくなる。なお、上記で説明したパルスパターンAで見た場合、パルス幅の制限前のハイレベルの期間3パルスが、パルス幅の制限後のオンデューティは半分の1.5パルスになっており、オンディーティは50%と小さくなっている。さらに、期間T11でのパルス幅の制限後のオンデューティは、期間T1でのオンデューティの100%よりも小さくなる。このため、上下風向板87を駆動させるトルクを生成するために風向板用モーター17に供給する電力は、上下風向板87を傾ける角度が0°で同一であったとしても、送風ファン85の送風量が小さい場合に小さくできる。
【0088】
図10に示すように、期間T12では、送風ファン85の送風量が最小かつ上下風向板87を傾ける角度が45°である。このため、パルス幅制限部235において、当該角度が0°の場合よりもパルスパターンが制限されてパルス幅が小さくなる。さらに、パルスパターンは、期間T2の場合よりも期間T12の場合の方がパルス幅制限部235において制限されてパルス幅が小さくなる。例えば、「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンCは、期間T12におけるクロックパルス信号の2パルス目の1周期のうちの3/4の期間において信号レベルがローレベルになる。また例えば、「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンDは、期間T12におけるクロックパルス信号の2及び3パルス目の1周期のうちの半分の期間(前半の期間)及び4パルス目の1周期のうちの3/4の期間において信号レベルがローレベルになる。これにより、パルスパターンC,Dは、送風ファン85の送風量及び上下風向板87の傾く角度に応じてパルス幅が制限されて、パルス幅の制限前と比較してクロックパルス信号の1.75パルス分だけ短くなる。また例えば、「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンAは、期間T12におけるクロックパルス信号の4及び5パルス目の1周期のうちの半分の期間(後半の期間)において信号レベルがローレベルになる。これにより、パルスパターンAは、送風ファン85の送風量及び上下風向板87の傾く角度に応じてパルス幅が制限されて、パルス幅の制限前と比較してクロックパルス信号の1パルス分だけ短くなる。
【0089】
また、期間T12におけるクロックパルス信号の1、3及び5パルス目のそれぞれの1周期のうちの半分の期間(前半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうち、1つのパルスパターンの信号レベルがハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「1」となる。また、期間T12におけるクロックパルス信号の2及び4パルス目の1周期のうちの1/4の期間では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうち、2つのパルスパターンの信号レベルはハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「1」となる。期間T12における全てのクロックパルス信号のそれぞれの1周期のうちの半分の期間(後半の期間)では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dの全ての信号レベルがローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「0」となる。
【0090】
期間T12では、パルスパターンDで示すように、パルスパターンA~Dをそれぞれ単独で見た場合、信号レベルがハイレベルの期間がクロックパルス信号の1.75パルス分だけ短くなるようにパルス幅が制限される。このため、期間T12では、図11中のデューティで見ると、期間T11と同様にパルス幅の制限前のオンデューティが100%に対して、パルス幅の制限後のオンデューティは50%と変わらないが、上記で説明したパルスパターンDで見た場合、パルス幅の制限前のハイレベルの期間3パルスが、パルス幅の制限後のオンデューティは1.25パルスになっており、オンディーティは41.7%と小さくなっている。また、送風ファン85の送風量が最小の場合、上下風向板87を駆動させるトルクを生成するために風向板用モーター17に供給する電力は、上下風向板87を傾ける角度が0°よりも45°の方が少なくなる。さらに、45°の角度に傾けるために上下風向板87を駆動させるトルクを生成するために風向板用モーター17に供給する電力は、送風ファン85の送風量が期間T2よりも少ない期間T12の方が小さくなる。これにより、空気調和機2は、送風ファン85の送風量及び上下風向板87を傾ける角度に応じて消費電力の省力化を図ることができる。
【0091】
図10に示すように、期間T13では、送風ファン85の送風量が最小であり、かつ上下風向板87を傾ける角度が90°である。このため、パルス幅制限部235において、当該角度が45°の場合よりもパルスパターンが制限されてパルス幅が小さくなる。さらに、パルスパターンは、期間T3の場合よりも期間T13の場合の方がパルス幅制限部235において制限されてパルス幅が小さくなる。例えば、「パルスパターン(制限後)」のパルスパターンA~Dは、期間T13におけるクロックパルス信号の各パルスにおける1周期のうちの3/4の期間において信号レベルがローレベルになる。これにより、パルスパターンA~Dは、送風ファン85の送風量(すなわち送風ファン85の回転数)及び上下風向板87の傾く角度に応じてパルス幅が制限されて、パルス幅の制限前と比較してクロックパルス信号の2.25パルス分だけ短くなる。すなわち、送風ファン85の送風量(すなわち送風ファン85の回転数)が最小であり、かつ上下風向板87を傾ける角度が90°とされる期間におけるパルス幅制限後のパルスパターンA~Dのパルス幅は、パルス幅制限前のパルスパターンA~Dのパルス幅の1/4の長さになる。
【0092】
また、期間T13におけるクロックパルス信号の1、3及び5パルス目のそれぞれの1周期のうちの1/4の期間では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうちのいずれか2つのパルスパターンの信号レベルがハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「2」となる。期間T13におけるクロックパルス信号の2及び4パルス目のそれぞれの1周期のうちの1/4の期間では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dのうちのいずれか1つのパルスパターンの信号レベルがハイレベルであり、残余のパルスパターンの信号レベルはローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「1」となる。さらに、期間T13におけるクロックパルス信号の全てのパルスの3/4の期間では、パルス幅の制限後のパルスパターンA~Dの全ての信号レベルがローレベルである。このため、当該期間での制御ポート出力数は「0」となる。
【0093】
期間T13では、パルスパターンA~Dをそれぞれ単独で見た場合、パルスパターンB~Dで示すように、信号レベルがハイレベルの期間が1/4となるようにパルス幅が制限される。このため、期間T13では、図11中のデューティで見ると、パルス幅の制限前のオンデューティが100%に対して、パルス幅の制限後のオンデューティは、1.25パルス分となり25%と小さくなる。なお、上記で説明したパルスパターンBで見た場合、パルス幅の制限前のハイレベルの期間3パルスが、パルス幅の制限後のオンデューティは半分の0.75パルスになっており、オンデューティは25%と小さくなる。また、送風ファン85の送風量が最小の場合、上下風向板87を駆動させるトルクを生成するために風向板用モーター17に供給する電力は、上下風向板87を傾ける角度が90°の場合よりも45°の場合の方が少なくなる。さらに、90°の角度に傾けるために上下風向板87を駆動させるトルクを生成するために風向板用モーター17に供給する電力は、送風ファン85の送風量が期間T3よりも少ない期間T13の方が小さくなる。これにより、空気調和機2は、送風ファン85の送風量及び上下風向板87を傾ける角度に応じて消費電力の省力化を図ることができる。
【0094】
期間T14は、上下風向板87の傾ける角度が90°から45°に変更される期間であるが、上下風向板制御部230は、期間T12と同様に風向板用モーター17を制御するため、説明は省略する。また、期間T15は、上下風向板87の傾ける角度が45°から0°に変更される期間であるが、上下風向板制御部230は、期間T11と同様に風向板用モーター17を制御するため、説明は省略する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態による空気調和機2は、所定の角度に傾いて送風方向を偏向させる上下風向板87と、上下風向板87を駆動する風向板用モーター17と、上下風向板87を傾ける角度を指示する角度指示値に応じて風向板用モーター17を駆動制御して上下風向板87の傾きを制御する上下風向板制御部230とを備えている。
【0096】
これにより、空気調和機2は、送風ファン85の送風量によらず、上下風向板87を駆動させる必要最小限の風向板用モーター17のトルクを確保することができる。このため、空気調和機2は、送風ファン85の送風量及び上下風向板87を駆動する風向板用モーター17のトルクを確保しつつ、消費電力の省力化を図ることができる。
【0097】
さらに、空気調和機2に備えられた上下風向板制御部230は、送風ファン85の送風量に繋がるファン用モーター15の回転数を指示する回転数指示値に応じた風向板用モーター17の必要とされる第二風向板用トルクに算出する回転/トルク率算出部231を有し、第一風向板用トルク及び第二風向板用トルクに基づいて風向板用モーター17を駆動制御して供給される電力を変更するようになっている。
【0098】
これにより、空気調和機2は、送風ファン85の送風量及び上下風向板87を傾ける角度に応じて、上下風向板87を駆動する必要最小限の風向板用モーター17のトルクを確保することができる。このため、空気調和機2は、送風ファン85の送風量及び上下風向板87を駆動する風向板用モーター17のトルクを確保しつつ、消費電力の省力化を図ることができる。
【0099】
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上記第1実施形態及び第2実施形態による空気調和機では、上下風向板、補助上下風向板及びディフューザは、1つの風向板用モーターで駆動するように構成されているが、本発明はこれに限られない。上下風向板、補助上下風向板及びディフューザは、個別のモーターで駆動するように構成されていてもよい。この場合、上下風向板、補助上下風向板及びディフューザのそれぞれに対してトルクが算出されることにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0100】
上記第1実施形態及び第2実施形態による空気調和機は、上下風向板が傾けられる角度や送風ファンの回転数をトルク率に算出するように構成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、上下風向板が傾けられる角度や送風ファンの回転数がトルクに算出するように構成されていても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0101】
上記第1実施形態及び第2実施形態による空気調和機では、風向板用モーターは2相のステッピングモーターが適用されているが、本発明はこれに限られない。例えば、風向板用モーターは2相以外の多相のステッピングモーターが適用されていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態は、上下風向板を駆動するステッピングモーターについて記載しているが、左右風向板を駆動するステッピングモーターについても適用されてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1,2 空気調和機
6a,88,93 支軸部
10,20 室内機
11 室内機制御部
13 受信部
15 ファン用モーター
17 風向板用モーター
20 室内機
21 室内機制御部
50 遠隔操作機器
81 吸込口
82 吹出口
82a,92a 送風路
82b,92b 上壁
83 エアフィルタ
84 熱交換器
85 送風ファン
86 左右風向板群
87 上下風向板
89 補助上下風向板
90 補助支軸部
90a 支持片
91 段部
92 ディフューザ
110 統括制御部
130 上下風向板制御部
131 モーター制御部
133 風向/トルク率算出部
135 パルス幅制限部
137 上下風向板駆動部
150 ファンモーター駆動部
230 上下風向板制御部
231 回転/トルク率算出部
233 トルク率算出部
235 パルス幅制限部
S13 指示信号
S110a 運転制御信号
S110b 動作指示信号
S110c 回転数指示信号
S131a 角度指示信号
S131b パルスパターン信号
S133 風向板用トルク率(第一風向板用トルク率)
S135 パルス制限パターン信号
S137 駆動信号
S231 第二風向板用トルク率
S233 合計トルク率
S235 パルス制限パターン信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10