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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152938
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】文具用ケース
(51)【国際特許分類】
   B43K 19/14 20060101AFI20221004BHJP
   B43K 23/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B43K19/14
B43K23/00 100P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055905
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000134589
【氏名又は名称】株式会社トンボ鉛筆
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】三家 聖哉
(72)【発明者】
【氏名】山元 さつき
(57)【要約】
【課題】筒状本体に対するキャップ体の着脱を繰り返しても、筒状本体に傷が付きにくい文具用ケースを提供する。
【解決手段】本発明の文具用ケース1は、軸A方向に延び且つ被収納物を収納する収納孔10dが内部に設けられた筒状本体10と、筒状本体10の軸A方向の一端側に着脱可能で、軸A方向に延びる外装筒部21、外装筒部21の内部を軸A方向に延びる内挿軸部22、及び、外装筒部21と内挿軸部22とを一端側で連結する端面蓋部23、を有するキャップ体20と、を備え、キャップ体20が筒状本体10に装着されたときに、外装筒部21は、外装筒部21の外装内周面21bと筒状本体10の本体外周面10aとの間に隙間dが設けられた状態で本体外周面10aの一端側を覆い、内挿軸部22は、内挿軸部22の内挿外周面22aが本体内周面10bと嵌合した状態で、筒状本体10の収納孔10dに挿入される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延び且つ被収納物を収納する収納孔が設けられた筒状本体と、
前記筒状本体の前記軸方向の一端側に着脱可能で、前記軸方向に延びる外装筒部、前記外装筒部の内部を前記軸方向に延びる内挿軸部、及び、前記外装筒部と前記内挿軸部とを前記一端側で連結する端面蓋部、を有するキャップ体と、を備え、
前記キャップ体が前記筒状本体に装着されたときに、
前記外装筒部は、前記外装筒部の外装内周面と前記筒状本体の本体外周面との間に隙間が設けられた状態で前記本体外周面の一端側を覆い、
前記内挿軸部は、前記内挿軸部の内挿外周面が前記筒状本体の本体内周面と嵌合した状態で、前記筒状本体の前記収納孔に挿入される、
文具用ケース。
【請求項2】
前記筒状本体は、木製又は紙製である、
請求項1に記載の文具用ケース。
【請求項3】
前記外装内周面には、前記軸方向に延び且つ内側に突出したリブ部が複数設けられ、
前記キャップ体が前記筒状本体に装着されたときに、
前記リブ部は前記本体外周面と近接又は当接する、
請求項1又は請求項2に記載の文具用ケース。
【請求項4】
前記リブ部の前記本体外周面と近接又は当接する頂部には丸みが設けられている、
請求項3に記載の文具用ケース。
【請求項5】
前記筒状本体は、前記本体外周面の前記軸方向と直交する直交方向断面が多角形であり、
前記外装筒部は、外装外周面及び前記外装内周面の前記直交方向断面が、前記本体外周面と同じ多角形であり、
前記リブ部は、前記外装内周面の平坦面に設けられ、
前記キャップ体が前記筒状本体に装着されたときに、前記リブ部は前記本体外周面の平坦面と近接又は当接する、
請求項3から又は請求項4に記載の文具用ケース。
【請求項6】
前記内挿軸部には、前記筒状本体への挿入方向の先端面から前記内挿外周面に沿って、前記軸方向に延びる凹条溝が設けられている、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の文具用ケース。
【請求項7】
前記筒状本体の前記軸方向の他端側に装着され、
円柱部と、
前記円柱部における前記軸方向の前記一端側に設けられる一端側円錐台部と、
前記円柱部の円柱外周面から径方向外側に突出して設けられた突部と、を有する略樽型の尾栓体を備え、
前記突部は、
前記円柱部の軸と直交する直交方向断面の形状が、
前記円柱外周面に沿った直交方向底辺と、
前記直交方向底辺の両端から延びる2つの斜辺と、を有し、
前記2つの斜辺の間の角度は90度以下の略三角形で、
前記軸を通り且つ前記軸に沿った軸方向断面の形状が、
前記円柱外周面に沿った軸方向底辺と、
前記軸方向底辺の前記一端側から延びる一端側斜辺と、
前記軸方向底辺の前記他端側から延びる他端側斜辺と、を有し、
前記軸方向底辺と前記一端側斜辺との間の角度が45度以下で、
前記軸方向底辺と前記他端側斜辺との間の角度が90度以上の三角形である、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の文具用ケース。
【請求項8】
前記円柱部における前記軸方向の他端側に設けられる他端側錐台部をさらに備え、
前記直交方向断面における前記他端側斜辺は、前記円柱部と前記他端側錐台部との境界部から延びている、
請求項7に記載の文具用ケース。
【請求項9】
前記筒状本体の本体内周面の前記他端側には、
前記筒状本体の前記他端側の端部から、前記尾栓体の前記軸方向の長さに相当する位置に、前記他端側における前記本体内周面の径が大きくなるように段部が設けられている、
請求項7又は請求項8に記載の文具用ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シャープペンシル用の芯を収納する替芯ケース等の文具用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
文具用ケースとして、例えば替芯ケースは、近年、構造が複雑な合成樹脂製のものが多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。一方、環境問題や天然素材の温もりが好まれるといった観点から、合成樹脂を使用せずに木等の天然素材を用いた替芯ケースの需要が高まっている。天然素材を用いて替芯ケースを製造する場合、替芯を収納する木製の筒状本体と、筒状本体の一端の替芯を取り出す取出口を覆う筒状のキャップ体といったシンプルな構造が取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-171801公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、木製の筒状本体と、筒状本体の一端の替芯を取り出す取出口を覆う筒状のキャップ体という構造にした場合、着脱を繰り返すと木製の筒状本体に傷が付き、外観が損なわれる。
【0005】
従って、本発明は、筒状本体に対するキャップ体の着脱を繰り返しても、筒状本体に傷が付きにくい文具用ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、軸方向に延び且つ被収納物を収納する収納孔が設けられた筒状本体と、前記筒状本体の前記軸方向の一端側に着脱可能で、前記軸方向に延びる外装筒部、前記外装筒部の内部を前記軸方向に延びる内挿軸部、及び、前記外装筒部と前記内挿軸部とを前記一端側で連結する端面蓋部、を有するキャップ体と、を備え、前記キャップ体が前記筒状本体に装着されたときに、前記外装筒部は、前記外装筒部の外装内周面と前記筒状本体の本体外周面との間に隙間が設けられた状態で前記本体外周面の一端側を覆い、前記内挿軸部は、前記内挿軸部の内挿外周面が前記筒状本体の本体内周面と嵌合した状態で、前記筒状本体の前記収納孔に挿入される、文具用ケースに関する。
【0007】
また、前記筒状本体は、木製又は紙製であることが好ましい。
【0008】
また、前記外装内周面には、前記軸方向に延び且つ内側に突出したリブ部が複数設けられ、前記キャップ体が前記筒状本体に装着されたときに、前記リブ部は前記本体外周面と近接又は当接することが好ましい。
【0009】
また、前記リブ部の前記本体外周面と近接又は当接する頂部には、丸みが設けられていることが好ましい。
【0010】
また、前記筒状本体は、前記本体外周面の前記軸方向と直交する直交方向断面が多角形であり、前記外装筒部は、外装外周面及び前記外装内周面の前記直交方向断面が、前記本体外周面と同じ多角形であり、前記リブ部は、前記外装内周面の平坦面に設けられ、前記キャップ体が前記筒状本体に装着されたときに、前記リブ部は前記本体外周面の平坦面と近接又は当接することが好ましい。
【0011】
また、前記内挿軸部には、前記筒状本体への挿入方向の先端面から前記内挿外周面に沿って、前記軸方向に延びる凹条溝が設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記筒状本体の前記軸方向の他端側に装着され、円柱部と、前記円柱部における前記軸方向の前記一端側に設けられる一端側円錐台部と、前記円柱部の円柱外周面から径方向外側に突出して設けられた突部と、を有する略樽型の尾栓体を備え、前記突部は、前記円柱部の軸と直交する直交方向断面の形状が、前記円柱外周面に沿った直交方向底辺と、前記直交方向底辺の両端から延びる2つの斜辺と、を有し、前記2つの斜辺の間の角度は90度以下の略三角形で、前記軸を通り且つ前記軸に沿った軸方向断面の形状が、前記円柱外周面に沿った軸方向底辺と、前記軸方向底辺の前記一端側から延びる一端側斜辺と、前記軸方向底辺の前記他端側から延びる他端側斜辺と、を有し、前記軸方向底辺と前記一端側斜辺との間の角度が45度以下で、前記軸方向底辺と前記他端側斜辺との間の角度が90度以上の三角形であることが好ましい。
【0013】
また、前記円柱部における前記軸方向の他端側に設けられる他端側錐台部をさらに備え、前記直交方向断面における前記他端側斜辺は、前記円柱部と前記他端側錐台部との境界部から延びていることが好ましい。
【0014】
また、前記筒状本体の本体内周面の前記他端側には、前記筒状本体の前記他端側の端部から、前記尾栓体の前記軸方向の長さに相当する位置に、前記他端側における前記本体内周面の径が大きくなるように段部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、筒状本体に対するキャップ体の着脱を繰り返しても、筒状本体に傷が付きにくい文具用ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】文具用ケース1の全体斜視図である。
図2】文具用ケース1の分解斜視図である。
図3】キャップ体20の断面斜視図であり、筒状本体10を点線で示す。
図4】キャップ体20の斜視図であり、(a)は実施形態のキャップ体20であり、(b)、(c)、(d)は変形例のキャップ体20A、20B、20Cである。
図5】キャップ体20における外装内周面21bを示す部分断面斜視図である。
図6図1の点線で示す位置Bから文具用ケース1の一端側を見たときの直交方向断面である。
図7】端面蓋部23を一端側から見たキャップ体20の斜視図である。
図8】(a)は実施形態の尾栓体30、(b)は変形例の尾栓体30Aを示す。
図9】尾栓体30を他端側から見た平面図であり、(a)は実施形態の尾栓体30、(b)~(f)は変形例の尾栓体30B、30C、30D、30E、30Fである。
図10】尾栓体30が筒状本体10に装着された状態の断面図であり、(a)は実施形態の尾栓体30及び筒状本体10、(b)は変形例の尾栓体30G及び筒状本体10Gである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の文具用ケース1について説明する。図1は文具用ケース1の全体斜視図である。図2は文具用ケース1の分解斜視図である。以下の説明において、文具用ケース1として、被収納物としてシャープペンシルの替芯を収納する替芯ケースを例に説明する。ただし、本発明はこれに限定されず、替芯以外を収納するものであってもよい。
【0018】
(文具用ケース1)
文具用ケース1は、替芯を収納する筒状本体10と、筒状本体10の軸A方向の一端側である替芯の取出口側に着脱可能なキャップ体20と、筒状本体10の軸A方向の他端側に装着される尾栓体30と、を備える。なお、明細書中、図1で示すように、文具用ケース1においてキャップ体20が装着される側を一端側、尾栓体30が装着されている側を他端側として説明する。
【0019】
(筒状本体10)
筒状本体10は、軸A方向に延び、軸Aに沿った収納孔10dが内部に設けられた筒状部材である。筒状本体10は、軸Aに対して直交する直交方向断面において、筒状本体10の外周面である本体外周面10aの輪郭は六角形で、筒状本体10の内周面である本体内周面10bの輪郭は円形である。なお、実施形態では、筒状本体10は、軸A方向に延び、軸Aに対して直交方向断面において半円状の溝のある2枚の板状部材を接着により接合することで形成されているが、1本の棒状部材に収納孔10dを形成して筒状本体10を形成してもよい。実施形態では、このように筒状本体10の本体外周面10aの輪郭は六角形であるが、これに限定されず、六角形以外の多角形や、円形であってもよい。また、本明細書において、多角形とは、頂点部分が尖った多角形のみならず、頂点部分に若干丸みが設けられた(頂点部分にRが形成された)多角形を含む。
【0020】
筒状本体10の直交方向断面の大きさは、外周面が六角形の一般的な鉛筆の断面と略同様であり、このような外周面が六角形の鉛筆を模擬したシャープペンシルとともに、例えばペンケースに収納された場合に、一体感がある。
筒状本体10は、実施形態において、環境問題や天然素材の温もりが好まれるといった観点から、木製である。筒状本体10は、木製であるため手触りがよく、美観に優れているが、合成樹脂や金属と比べて柔らかいので傷が付きやすい。
【0021】
(キャップ体20)
図3は、キャップ体20の断面斜視図であり、筒状本体10を点線で示す。図4は、キャップ体20の斜視図であり、図4(a)は実施形態のキャップ体20、図4(b)、(c)、(d)は変形例のキャップ体20A、20B、20Cである。
キャップ体20は、筒状本体10に取り付けられた状態で軸A方向に延びる外装筒部21と、外装筒部21の内部を軸A方向に延びるとともに筒状本体10の一端側の開口を塞ぐ内挿軸部22と、外装筒部21と内挿軸部22とを一端側で連結する端面蓋部23と、を備える。
【0022】
(外装筒部21)
外装筒部21は、端面蓋部23から軸A方向の他端側に延びている。外装筒部21の外周面である外装外周面21aの直交方向断面、及び外装筒部21の内周面である外装内周面21bの直交方向断面は、ともに、筒状本体10の本体外周面10aの直交方向断面と相似な六角形を有する。
外装筒部21は、木製の筒状本体10より硬い合成樹脂等で製造された成型部品である。外装筒部21の外装内周面21bは、一端側においては筒状本体10の本体外周面10aと略同じ大きさである。しかし、必要な抜きテーパを設けてキャップ体20を金型から離型可能とするために、外装内周面21bの直交方向断面の大きさは一端側から他端側に向かってわずかに大きなっている。また、外装筒部21の外装外周面21aの直交方向断面の肉厚は一端側から他端側まで一定である。
【0023】
筒状本体10の本体外周面10aは、直交方向断面の大きさが一定である。ゆえに、キャップ体20が筒状本体10に装着された状態で、図3に示すように、外装筒部21の外装内周面21bと筒状本体10の本体外周面10aとの間には、一端側から他端側に向かうにつれて大きくなる隙間dが設けられる。
【0024】
(リブ部24)
図5は、キャップ体20における外装内周面21bを示す部分断面斜視図である。図6図1の点線で示す位置Bから文具用ケース1の一端側を見たときの直交方向断面である。図示するように、外装内周面21bには、軸A方向に延び且つ軸Aに向かって内側に突出したリブ部24が設けられている。実施形態で外装筒部21は六角形であるので、6面の外装内周面21bを有し、リブ部24は1面おきの3面にそれぞれ設けられている。リブ部24が配置される面は、3面に限定されないが、外装内周面21bの複数面に均等な間隔で設けられていることが好ましい。また、外装筒部21が円形の場合は、等間隔で設けられていることが好ましい。
【0025】
リブ部24の頂部は尖っておらず、頂部には丸み(所定のR)が設けられている。
また、上述したように軸A方向の一端側から他端側に向かうにつれて外装内周面21bの直交方向断面は大きくなるので、外装内周面21bと軸Aとの距離は開いていく。しかし、軸A方向の一端側から他端側に向かうにつれて、外装内周面21bからのリブ部24の外装内周面21bから軸A方向に向かう高さは高くなり、リブ部24の稜線と軸Aとは平行を保ち、リブ部24の稜線と軸Aとの間の距離xは一定となっている。この距離xは、軸Aから筒状本体10の本体外周面10aまでの距離よりわずかに大きく設定される。これにより、キャップ体20を筒状本体10に取り付けたときに、リブ部24の稜線と筒状本体10本体外周面10aとの間にはdより小さい微小隙間Δdが形成される。
【0026】
(内挿軸部22)
内挿軸部22は、外装筒部21の内側を、端面蓋部23から軸A方向の他端側に延びる略円柱部材である。内挿軸部22の外径は、筒状本体10の収納孔10dの径と同じか、わずかに大きい。そして、内挿軸部22の外周面である内挿外周面22aには、筒状本体10への挿入方向の先端面22cから軸A方向の一端側に延びる所定幅の凹条溝25が設けられている。実施形態で凹条溝25は、軸Aから内挿外周面22aまで径方向に均等な間隔で3方向に延びるように3本設けられている。
【0027】
(端面蓋部23)
図7は端面蓋部23を一端側から見た斜視図である。端面蓋部23は、外周が外装筒部21の外装外周面21aと同じ六角形の板状に形成され、中央に内挿軸部22と略同径の円形の孔23aが設けられている。外装筒部21は、端面蓋部23の外縁部から、軸A方向他端側に延びている。内挿軸部22は、端面蓋部23の孔23aから軸A方向他端側に引っ込んだ位置から、軸A方向他端側に向かって延びている。
図5及び図6等に示すように、端面蓋部23の内面には、突条部26が形成されている。突条部26は、端面蓋部23の内面側を、孔23aから外装筒部21の外装内周面21bに向かって延びている。突条部26の孔23a側の端部は、内挿軸部22の内挿外周面22aに連結されている。これにより、内挿軸部22は端面蓋部23に一端側が固定されて保持される。しかし、内挿軸部22の一端側端面が、端面蓋部23の孔23aから軸A方向他端側に引っ込んだところに位置することから、端面蓋部23と内挿軸部22の一端側端面との間における、突条部26による連結部分以外の部分には、端面蓋部23との間に通気部27が形成されている。
【0028】
(キャップ体20の装着)
キャップ体20は、筒状本体10の一端側から、筒状本体10の収納孔10dの替芯取出口となる一端側を覆うように装着される。そうすると、キャップ体20の外装筒部21は筒状本体10の本体外周面10aを覆い、キャップ体20の内挿軸部22は筒状本体10の収納孔10dに挿入される。
【0029】
このとき、上述したように、キャップ体20の外装筒部21の外装内周面21bと、筒状本体10の本体外周面10aとの間には、一端側から他端側に向かうにつれて大きくなる隙間dが設けられている。したがって、キャップ体20の外装筒部21の外装内周面21bは、筒状本体10の本体外周面10aを押圧しない。
【0030】
一方、キャップ体20の内挿軸部22の外径は、筒状本体10の収納孔10dの径と同じか、わずかに大きい。ゆえに、キャップ体20の内挿軸部22と筒状本体10の収納孔10dとが隙間なく嵌合し、キャップ体20は筒状本体10に保持される。
さらに、実施形態で内挿軸部22には凹条溝25が設けられ、凹条溝25は先端面22cから軸A方向の一端側に延びている。内挿軸部22は、上述のように例えば合成樹脂製であるので、ある程度の弾性を有している。したがって、内挿軸部22が筒状本体10の収納孔10dに挿入されたとき、内挿軸部22の凹条溝25を挟んだ一方と他方とが弾性で互いに近づき、内挿軸部22の先端面22cの径が小さくなる。すなわち内挿軸部22の直交方向断面の大きさが小さくなる。ゆえに、内挿軸部22は筒状本体10の収納孔10dの内部に容易に挿入可能となる。そして、内挿軸部22が筒状本体10の収納孔10dに挿入されると、凹条溝25を挟んだ一方と他方との復元力により、内挿軸部22の内挿外周面22aが筒状本体10の本体内周面10bを押圧するので、内挿軸部22は筒状本体10により強固に保持される。また、内挿軸部22の内挿外周面22aの面で本体内周面10bを押圧するため、押圧力が分散され、本体内周面10bの凹みを抑えることができる。そのため、キャップ体20を筒状本体10に対して繰り返し着脱しても、嵌合力が低下しにくい。さらに、筒状本体10を形成する2枚の板状部材の接合部が破壊されにくい。
【0031】
すなわち、キャップ体20は内挿軸部22の筒状本体10への保持力によって筒状本体10に保持され、一方、外装筒部21は、筒状本体10の本体外周面10aを押圧しない。ゆえに、キャップ体20の筒状本体10への着脱を繰り返しても、外装筒部21は、筒状本体10の本体外周面10aを傷つけにくい。
【0032】
一方、外装筒部21の外装内周面21bと、筒状本体10の本体外周面10aとの間には、一端側から他端側に向かうにつれて大きくなる隙間dが設けられているため、外装内周面21bと本体外周面10aとの間にはガタつきが生じる可能性がある。
しかし、実施形態では、外装内周面21bにリブ部24が設けられている。リブ部24の稜線と本体外周面10aとは接触しないが、その間の微小隙間Δdは、外装内周面21bと本体外周面10aとの間の隙間dよりも小さい。すなわち、キャップ体20が筒状本10体に装着されたときに、リブ部24は本体外周面10aに近接する。したがって、筒状本体10にキャップ体20を装着したときのガタつきが抑制される。
キャップ体20を筒状本体10に着脱するときに、外装筒部21を設けることで、キャップ体を軸A方向の一端側に長くしなくても、指でつまむ箇所を十分にとることができる。
【0033】
仮に、リブ部24が本体外周面10aと接触しても、接触する箇所は、リブ部24の頂部だけで、リブ部24の頂部には、直交方向断面において、所定Rの丸みが設けられている。ゆえにリブ部24と本体外周面10aとの接触面積が少ないので筒状本体10本体外周面20aには傷が付きにくい。
【0034】
また、キャップ体20の端面蓋部23には通気部27が形成されている。したがって、幼児等がキャップ体20を誤飲したとしても、窒息の危険がないと考えられる。
【0035】
(キャップ体20の変形例)
実施形態でキャップ体20の内挿軸部22の凹条溝25は、図4(a)に示すように内挿軸部22の軸Aから内挿外周面22aまで径方向に延びる3本であったが、これに限定されず、凹条溝25は以下のように設けられていてもよい。
図4(b)は、凹条溝25が、内挿軸部22の軸Aから内挿外周面22aまで径方向に延びる1本の場合の変形例としてのキャップ体20Aの斜視図である。
図4(c)は、凹条溝25が、内挿軸部22の軸Aから内挿外周面22aまで径方向に延びる2本の場合の変形例としてのキャップ体20Bの斜視図である。キャップ体20Bの内挿軸部22に設けられた2本の凹条溝25は、同一直線上を直径方向に延びる連続した1本の凹条溝となっている。
図4(d)は、凹条溝25が、内挿軸部22の軸Aから内挿外周面22aまで径方向に延びる4本の場合の変形例としてのキャップ体20Cの斜視図である。キャップ体20Cの内挿軸部22に設けられた4本の凹条溝25は、2本ずつ同一直線上を直径方向に延びる連続した1本の凹条溝となり、合計2本の直径方向に延びる凹条溝を形成し、その2本の直径方向に延びる凹条溝は互いに直交して十字を形成している。
【0036】
(尾栓体30)
図8は尾栓体30の側面図であり、(a)は実施形態の尾栓体30、(b)は変形例の尾栓体30Aを示す。図9は尾栓体30を他端側から見た平面図であり、(a)は実施形態の尾栓体30、(b)~(f)は変形例の尾栓体30B、30C、30D、30E、30Fである。図10は尾栓体30が筒状本体10に装着された状態の断面図であり、(a)は実施形態の尾栓体30及び筒状本体10、(b)は変形例の尾栓体30G及び筒状本体10Gである。
【0037】
尾栓体30は、筒状本体10の軸A方向の他端側に装着されている。尾栓体30は、外径が筒状本体10の収納孔10dの径と略等しい円柱部31と、円柱部31における軸A方向の一端側に設けられる一端側円錐台部32と、円柱部31における軸A方向の他端側に設けられる他端側錐台部33と、円柱部31の円柱外周面31aから径方向外側に突出して設けられた突部34と、を有する略樽型形状である。尾栓体30は、これに限定されないが、木製の筒状本体10より硬い合成樹脂等で製造された成型部品である。
【0038】
突部34は、三角錐形状を有する。
突部34は、図9で示すように、尾栓体30を軸A方向の他端側から見たときに、円柱部31の外周面である円柱外周面31aに沿った底辺と、底辺から延びる2つの斜辺とを有し、斜辺間の直交方向断面角度θが90度以下の直角又は鋭角の略三角形である。なお、底辺は、円柱外周面31aに沿っているので厳密には直線ではないが、ここでは略直線として説明する。
【0039】
また、突部34は、図10に示す軸Aを通り且つ軸Aに沿った軸方向断面において、円柱外周面31aに沿った底辺と、円柱部31の一端側から軸方向断面の三角形の頂点に延びる一端側斜辺と、円柱部31の他端側から軸方向断面の三角形の頂点に延びる他端側斜辺と、を有する三角形である。
【0040】
挿入方向にある、底辺と一端側斜辺との間の挿入側軸方向断面角度φは45度以下である。図8(a)は挿入側軸方向断面角度φが30度程度の突部34を有する実施形態の尾栓体30を示すが、本発明はこれに限定されず、図8(b)に示すように、挿入側軸方向断面角度φが45度程度の突部34を有する変形例の尾栓体30Aであってもよい。
【0041】
軸方向断面において、他端側斜辺は、円柱部31と他端側錐台部33との境界線を始点として頂点に向かって延びている。そして、他端側斜辺と底辺との間の他端側軸方向断面角度ψは、90度以上であることが好ましく、実施形態では90度である。
【0042】
(尾栓体30の装着)
尾栓体30は、筒状本体10の他端側から、筒状本体10の収納孔10dに圧入することで装着される。尾栓体30は木より硬めの合成樹脂等で製造されている。したがって、尾栓体30を筒状本体10の収納孔10dに圧入すると、突部34は筒状本体10の本体内周面10bに食い込んで本体内周面10bを変形させながら収納孔10d内部に挿入されていく。
【0043】
このとき、軸方向断面において、突部34は、挿入方向である一端側の底辺と一端側斜辺との間の挿入側軸方向断面角度φが45度以下の三角形である。すなわち、挿入方向の角度が小さいので、尾栓体30は、筒状本体10の孔の収納孔10dに滑らかに挿入されていく。
また、本体内周面10bの変形は、突部34によって食い込まれる部分だけである。ゆえに、突部34が設けられておらず尾栓体30の外周面全体で本体内周面10bを押圧する通常圧入とは異なり、打ち込み後の本体内周面10bに加わり続ける引張応力は突部34により変形された部分のみと最小化することができるので、筒状本体10の割れの可能性を軽減することができる。
また、突部34は、挿入方向と直交する直交方向断面角度θが90度以下の直角又は鋭角の略三角形であるので、筒状本体10の割れの可能性をさらに軽減することができる。筒状本体10を形成する2枚の板状部材の接合部の破壊も軽減できる。
【0044】
そして、突部34が本体内周面10bを変形させて食い込んでいくので、筒状本体10に対して尾栓体30が強固に固定されて保持される。ゆえに、接着材を用いる必要がなく、且つ組立工数を削減することができる。
【0045】
さらに、尾栓体30は、筒状本体10の収納孔10dの内部に圧入されるので、筒状本体10の外観を損傷させることがなく美観を損ねることがない。
【0046】
また、他端側軸方向断面角度ψが90度以上であることにより、尾栓体30が筒状本体10の本体内周面10bの内部に挿入されたときに、突部34の他端側斜辺が筒状本体10の本体内周面10bに食い込んで、尾栓体30の抜けが防止される。
【0047】
なお、尾栓体30は、円柱部31と他端側錐台部33との間の境界線で分離した2つの金型で成型する場合、実施形態で突部34の他端側軸方向断面角度ψは90度であるので、成型も容易である。
【0048】
(尾栓体30の変形例)
図9(a)から(f)は実施形態の尾栓体30及び変形例の尾栓体30B、30C、30D、30E、30Fを他端側から見た図である。
図9(a)は実施形態の尾栓体30であり、図9(b)、(c)は突部34の直交方向断面角度θが異なる尾栓体30B、30Cである。図9(a)の実施形態は、尾栓体30の突部34の直交方向断面角度θが約90度である。本発明は90度に限定されないが、90度以下が好ましく、例えば、図9(b)の変形例に示すように、尾栓体30Bの突部34の直交方向断面角度θが約60度であってもよく、図9(c)の変形例に示すように、尾栓体30Bの突部34の直交方向断面角度θが約30度であってもよい。
【0049】
図9(d)から(f)は突部34の数が異なる尾栓体30D、30E、30Fである。図9(a)の実施形態の尾栓体30は突部34の数が3つであるが、これに限定されず、複数であればよい。図9(d)の変形例の尾栓体30Dは突部34の数が2つ、図9(e)に示す変形例の尾栓体30Dは突部34の数が4つ、図9(d)の変形例の尾栓体30Fは突部34の数が6つである。ただし、突部34は直交方向断面において円柱部31の外周に均等に配置されていることが好ましく、また、3つ以上配置されることが好ましい。
【0050】
図10(a)は、筒状本体10の収納孔10dの径が、一端から他端まで一定の実施形態であるが、本発明はこれに限定されない。
例えば図10(b)に変形例として示すように、本体内周面10bの他端側における、尾栓体30の軸A方向の長さに略対応する位置に、本体内周面10bの他端側の径が大径となるように段部10cを設けてもよい。そして、尾栓体30Gの一端側円錐台部32の一端側の径を、本体内周面10bの収納孔10dの、段部10cを挟んだ一端側の大径部分の径と、他端側の小径部分の径との中間の径とする。
図10(b)の変形例のようにすると、尾栓体30Gを筒状本体10Gの他端側から収納孔10dの内部に打ち込んだときに、尾栓体30の一端側円錐台部32の一端側の面は、段部10cと当接する。ゆえに、尾栓体30の位置決めが可能となり、尾栓体30の他端側の面を筒状本体10の他端側の面と面一にできる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態では、筒状本体として木製のものを用いたが、これに限らない。即ち、筒状本体として紙製のものやキャップ体及び尾栓体よりも軟質の合成樹脂製のものを用いてもよい。また、尾栓を用いない場合には、有底状の筒状本体であってもよい。
また、実施形態では、キャップ体20が筒状本10体に装着されたときに、リブ部24を本体外周面10aに近接させたが、これに限らない。すなわち、キャップ体20が筒状本10体に装着されたときに、リブ部24を本体外周面10aに当接させてもよい。
【符号の説明】
【0052】
θ 直交方向断面角度
φ 挿入側軸方向断面角度
ψ 他端側軸方向断面角度
A 軸
1 文具用ケース
10 筒状本体
10a 本体外周面
10b 本体内周面
10c 段部
10d 収納孔
20 キャップ体
21 外装筒部
21a 外装外周面
21b 外装内周面
22 内挿軸部
22a 内挿外周面
22c 先端面
23 端面蓋部
23a 孔
24 リブ部
25 凹条溝
26 突条部
27 通気部
30 尾栓体
31 円柱部
31a 円柱外周面
32 一端側円錐台部
33 他端側錐台部
34 突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10