(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152954
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及びスペース活用評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20221004BHJP
【FI】
G06Q10/10 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055922
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】首藤 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 義信
(72)【発明者】
【氏名】古川 淳一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】所定のスペースが利用目的に沿った形で利用されているかどうかを評価できるようにする。
【解決手段】サーバー10は、クライアント施設内のコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンにおける利用者の利用状況を示す利用状況情報を取得し、取得された利用状況情報と、予め設定されたコラボゾーン、Web会議ゾーン及び実験ゾーンの利用目的に関する情報と、に基づいて、前記利用者の利用状況が対象となる場所(ワークプレイス)の利用目的に合致しているかどうかを評価し、前記評価の結果の出力を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の所定のスペースにおける利用者の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得処理と、
前記取得処理により取得された前記利用状況情報と、予め設定された前記スペースの利用目的に関する情報と、に基づいて、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致しているかどうかを評価する評価処理と、
前記評価処理によりなされた前記評価の結果の出力を制御する出力制御処理と、
をコンピューターに実行させるプログラム。
【請求項2】
前記スペースの利用目的に関する情報を設定する設定処理をコンピューターに実行させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記評価処理では、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致している度合を導出し、
前記出力制御処理では、前記評価処理により導出された前記度合を前記評価の結果として当該評価の結果の出力を制御する、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記所定のスペースは、複数のスペースからなり、
前記評価処理では、前記複数のスペースそれぞれを対象として各スペースの前記度合を導出するとともに当該各スペースの度合の平均を導出し、
前記出力制御処理では、前記評価処理により導出された前記各スペースの前記度合の平均を前記評価の結果として当該評価の結果の出力を制御する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記評価処理では、前記度合を正規化した前記スペースの活用指標を導出し、
前記出力制御処理では、前記評価処理により導出された前記スペースの活用指標を前記評価の結果として当該評価の結果の出力を制御する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記所定のスペースは、複数のスペースからなり、
前記評価処理では、前記複数のスペースそれぞれを対象として各スペースの前記度合を導出するとともに当該各スペースの度合の平均を正規化した前記所定のスペースの活用指標を導出し、
前記出力制御処理では、前記評価処理により導出された前記所定のスペースの活用指標を前記評価の結果として当該評価の結果の出力を制御する、
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記取得処理では、前記利用状況情報として前記スペースに同席した利用者の人数を示す利用者人数情報を取得し、
前記スペースの利用目的に関する情報は、前記スペースの利用に適した基準人数に関する情報を含み、
前記評価処理では、前記取得処理により取得された前記利用者人数情報と前記基準人数に関する情報とに基づいて、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致している度合を導出する、
請求項3~6のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記取得処理では、前記利用状況情報として前記スペースに継続して滞在した時間を示す利用時間情報を取得し、
前記スペースの利用目的に関する情報は、前記スペースの利用に適した基準利用時間に関する情報を含み、
前記評価処理では、前記取得処理により取得された前記利用時間情報と前記基準利用時間に関する情報とに基づいて、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致している度合を導出する、
請求項3~7のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記取得処理では、前記利用状況情報として前記スペースで行われた作業の内容を示す作業内容情報を取得し、
前記スペースの利用目的に関する情報は、前記スペースの利用に適した作業項目に関する情報を含み、
前記評価処理では、前記取得処理により取得された前記作業内容情報と前記作業項目に関する情報とに基づいて、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致している度合を導出する、
請求項3~8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
施設内の所定のスペースにおける利用者の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記利用状況情報と、予め設定された前記スペースの利用目的に関する情報と、に基づいて、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致しているかどうかを評価する評価手段と、
前記評価手段によりなされた前記評価の結果の出力を制御する出力制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
前記利用者が使用する端末装置から提供される当該利用者の行動を示す行動情報を記憶する記憶手段を備え、
前記取得手段は、前記記憶手段から前記行動情報に基づいた前記利用状況情報を取得する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
施設内の所定のスペースの利用者が使用する端末装置と、
情報処理装置と、
を備え、
前記端末装置は、
前記利用者の行動を示す行動情報を提供する提供手段を備え、
前記情報処理装置は、
前記提供手段により提供される前記行動情報に基づいた前記所定のスペースにおける前記利用者の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記利用状況情報と、予め設定された前記スペースの利用目的に関する情報と、に基づいて、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致しているかどうかを評価する評価手段と、
前記評価手段によりなされた前記評価の結果の出力を制御する出力制御手段と、
を備える、
ことを特徴とするスペース活用評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置及びスペース活用評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会議室の利用状況を適切に評価し、効率的に会議室を利用できるようにした装置が提案されている。例えば、特許文献1には、上記装置として、会議室に設置された各設備の電力使用量を収集し、収集された各設備の電力使用量を用いて、当該各設備が稼働しているか否かを判別し、会議室の利用状況を算出する、そして、算出された会議室の利用状況と、会議室の予約内容に関する情報とを比較し、会議室の予約内容通りに会議室が利用されているかを示す度合いを評価する会議室適正利用評価装置が開示されている。また、特許文献2には、照度センサによる会議室の内部状況の検出結果を示す照度データと温度センサによる会議室の内部状況の検出結果を示す温度データとの両方を用いて会議室が使用中であるか否かを判定する判定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-182306号公報
【特許文献2】特開2018-85045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1や上記特許文献2に開示されている装置では、会議室が当該会議室の利用目的に沿った形で利用されているかどうかを評価することができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、所定のスペースが利用目的に沿った形で利用されているかどうかを評価できるプログラム、情報処理装置及びスペース活用評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、
施設内の所定のスペースにおける利用者の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得処理と、
前記取得処理により取得された前記利用状況情報と、予め設定された前記スペースの利用目的に関する情報と、に基づいて、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致しているかどうかを評価する評価処理と、
前記評価処理によりなされた前記評価の結果の出力を制御する出力制御処理と、
をコンピューターに実行させる。
【0007】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、
施設内の所定のスペースにおける利用者の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記利用状況情報と、予め設定された前記スペースの利用目的に関する情報と、に基づいて、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致しているかどうかを評価する評価手段と、
前記評価手段によりなされた前記評価の結果の出力を制御する出力制御手段と、
を備える。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るスペース活用評価システムは、
施設内の所定のスペースの利用者が使用する端末装置と、
情報処理装置と、
を備え、
前記端末装置は、
前記利用者の行動を示す行動情報を提供する提供手段を備え、
前記情報処理装置は、
前記提供手段により提供される前記行動情報に基づいた前記所定のスペースにおける前記利用者の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記利用状況情報と、予め設定された前記スペースの利用目的に関する情報と、に基づいて、前記利用者の利用状況が対象となるスペースの利用目的に合致しているかどうかを評価する評価手段と、
前記評価手段によりなされた前記評価の結果の出力を制御する出力制御手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定のスペースが利用目的に沿った形で利用されているかどうかを評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】サーバーの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】業務用PCの機能構成を示すブロック図である。
【
図5】企業評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】ワークプレイス活用評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図7】従業員の位置情報に関するログデータの内容例を示す図である。
【
図8】利用目的設定テーブルの内容例を示す図である。
【
図9】(a)は各従業員によるコラボゾーンの利用状況を示した表であり、(b)は各従業員によるWeb会議ゾーンの利用状況を示した表であり、(c)は各従業員による実験ゾーンの利用状況を示した表である。
【
図10】(a)はコラボゾーンのワークプレイス活用度の導出結果を示す表であり、(b)はWeb会議ゾーンのワークプレイス活用度の導出結果を示す表であり、(c)は実験ゾーンのワークプレイス活用度の導出結果を示す表であり、(d)はワークプレイス活用度の平均の導出結果を示す表である。
【
図11】ワークスタイル柔軟度評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図12】利用ワークプレイスの柔軟度指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図13】目標利用数設定テーブルの内容例を示す図である。
【
図14】ワークプレイスの利用数の導出結果を示す表である。
【
図15】ログオン時間の柔軟度指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図16】従業員のログオン操作に関するログデータの内容例を示す図である。
【
図17】各従業員のログオン時間とログオン平均時間の導出結果を示す表である。
【
図18】ログオフ時間の柔軟度指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図19】従業員のログオフ操作に関するログデータの内容例を示す図である。
【
図20】各従業員のログオフ時間とログオフ平均時間の導出結果を示す表である。
【
図21】勤務時間の柔軟度指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図22】各従業員の勤務時間と平均勤務時間の導出結果を示す表である。
【
図23】コミュニケーションスタイル評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図24】メール能動指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図25】従業員のメール送受信に関するログデータの内容例を示す図である。
【
図26】能動指数目標値設定テーブルの内容例を示す図である。
【
図27】メールの送受信回数及びメール能動指数の導出結果を示す表である。
【
図28】Web会議能動指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図29】従業員のWeb会議に関するログデータの内容例を示す図である。
【
図30】Web会議の主催回数及び参加回数並びにWeb会議能動指数の導出結果を示す表である。
【
図31】人事評価に対する納得度評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図32】人事評価に関するアンケート調査の結果データの内容例を示す図である。
【
図33】エンゲージメントレベル評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図34】エンゲージメントに関するアンケート調査の結果データの内容例を示す図である。
【
図35】ウェルネス度評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図36】心と体に関するアンケート調査の結果データの内容例を示す図である。
【
図37】評価結果の表示用データの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0012】
≪企業評価システムの構成≫
まず、
図1を参照して、本実施形態の構成を説明する。
図1は、本実施形態の企業評価システム(スペース活用評価システム)100を示す概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、企業評価システム100は、サーバー10と、企業評価の対象となるクライアントの従業員に所持させる携帯端末20及び業務用PC(Personal Computer)30と、クライアント施設内の所定のワークプレイス(スペース)であるコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンのそれぞれに設置されるビーコン発信機40と、を備える。携帯端末20及び業務用PC30のそれぞれはサーバー10と通信ネットワークNを介して情報通信可能に接続される。なお、携帯端末20及び業務用PC30の台数は、上記クライアントの従業員数によるものであり、特に限定されない。ここで、コラボゾーンとは、従業員同士が様々な話題について気軽に会話できる場所(わいがやスペース)である。Web会議ゾーンとは、クライアント施設とは別の拠点との間でオンライン会議を行うための場所である。実験ゾーンとは、各種の実験を行うための場所である。
【0014】
サーバー(情報処理装置)10は、上述のコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンのそれぞれが利用目的に沿った形で活用されているかどうかを評価するワークプレイス活用評価を始め、当該クライアントに関する各種の評価(後述)を行う装置である。サーバー10は、例えば、上記クライアントの拠点に設けられる。
【0015】
携帯端末20は、上記クライアントの各従業員が携帯して使用する端末装置である。携帯端末20は、例えば、スマートフォンや携帯電話機等であり、自端末の位置情報を取得し当該位置情報をサーバー10に送信する。なお、携帯端末20により取得された位置情報に関しては、一旦通信ネットワークNを介して所定のクラウドサーバー(図示省略)にアップロードし、サーバー10が当該所定のクラウドサーバーから各携帯端末20の位置情報を取得するようにしてもよい。
【0016】
業務用PC30は、クライアントの各従業員が業務用として使用する端末装置である。業務用PC30は、例えば、上述の所定のワークプレイスへの持ち運びが可能なノートPC等である。業務用PC30は、自端末を用いて業務が行われると、通信ネットワークNを介して、当該業務が行われた際のPC操作に関する情報(PC操作情報)を取得してサーバー10へ送信する。
【0017】
ビーコン発信機40は、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)の通信方式により、予め設定されたビーコンIDを含むビーコン情報を所定時間ごとに発信する。ビーコンIDは、ビーコン発信機40を識別するための識別情報である。したがって、ビーコン発信機40が発信するビーコンIDによって、当該ビーコン発信機40が設置されたワークプレイスを識別可能となっている。
【0018】
通信ネットワークNは、例えば、インターネットであるものとするが、他のネットワークとしてもよい。
【0019】
<サーバーの構成>
次に、
図2を参照して、サーバー10の機能構成について説明する。
図2は、サーバー10の機能構成を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、サーバー10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、操作部14と、表示部15と、通信部16と、計時部17と、バス18と、を備えている。サーバー10の各部は、バス18を介して接続されている。
【0021】
CPU11は、サーバー10の各部を制御するプロセッサである。CPU11は、記憶部13に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM12に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行する。
【0022】
RAM12は、例えば、揮発性のメモリであり、CPU11により読み出された各種のプログラムやデータを一時的に格納するワークエリアを有する。
【0023】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)といった、データの書き込み及び読み出しが可能な記憶装置を備え、各種のプログラムやデータ等を記憶する。
【0024】
記憶部13に記憶されるプログラムとしては、例えば、業務用PC30でのPC操作に関する情報(PC操作情報)をログ管理するための操作ログ管理アプリ131がある。また、記憶部13に記憶されるデータとしては、利用目的設定テーブル132(後述)、目標利用数設定テーブル133(後述)、能動指数目標値設定テーブル134(後述)がある。また、記憶部13には、携帯端末20から受信した当該携帯端末20の位置情報、業務用PC30から受信したPC操作情報、並びに、人事評価、エンゲージメント及び心と体(ウェルネス)に関するアンケート調査の結果を記録するためのログファイル135が設けられている。
【0025】
操作部14は、キーボード等のキー入力部と、マウス等のポインティングデバイスと、を有し、ユーザーからのキー操作入力及び位置操作入力を受け付け、その操作情報を、CPU11に出力する。CPU11は、操作部14から送信された情報に基づいて、ユーザーの入力操作を受け付ける。
【0026】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、CPU11から指示された表示情報に従い各種表示を行う。
【0027】
通信部16は、ネットワークカード等により構成されている。通信部16は、通信ネットワークNに通信接続されて、通信ネットワークN上の機器との通信を行う。
【0028】
計時部17は、RTC(Real Time Clock)等により構成され、現在日時を取得してCPU11に出力する。
【0029】
<携帯端末の構成>
次に、
図3を参照して、携帯端末20の機能構成について説明する。
図3は、携帯端末20の機能構成を示すブロック図である。
【0030】
図3に示すように、携帯端末20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、操作部24と、表示部25と、通信部26と、近距離無線通信部27と、計時部28と、バス29と、を備えている。携帯端末20の各部は、バス29を介して接続されている。
【0031】
CPU21は、携帯端末20の各部を制御するプロセッサである。CPU21は、記憶部23に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM22に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行する。
【0032】
RAM22は、例えば、揮発性のメモリであり、CPU21により読み出された各種のプログラムやデータを一時的に格納するワークエリアを有する。
【0033】
記憶部23は、例えばフラッシュメモリ等のデータの書き込み及び読み出しが可能な記憶装置を備え、各種のプログラムやデータ等を記憶する。記憶部13に記憶されるプログラムとしては、携帯端末20の位置情報を取得してサーバー10へ送信するための位置情報取得アプリ231等がある。
【0034】
操作部24は、筐体に設けられる各種の機能ボタン(図示省略)や、表示部25上に設けられるタッチセンサ等(図示省略)を有して構成され、ユーザーの入力操作を受け付けて、操作内容を電気信号に変換してCPU21に出力する。
【0035】
表示部25は、LCDディスプレイ等で構成され、CPU21から指示された表示情報に従い各種表示を行う。
【0036】
通信部26は、アンテナ、変復調回路、信号処理回路などを有する通信モジュールである。通信部26は、所定の通信プロトコルに従って、通信ネットワークN上の外部機器との間で無線通信によるデータの送受信を行う。
【0037】
近距離無線通信部27は、BLEの通信方式により、各ワークプレイスに設置されているビーコン発信機40(
図1参照)から発信されたビーコン情報を受信する。近距離無線通信部27によりビーコン情報が受信された場合、当該ビーコン情報を受信した日時と、当該ビーコン情報に含まれているビーコンIDに対応するワークプレイスとの各情報を含む携帯端末20の位置情報が記憶部23に記憶される。
【0038】
計時部28は、RTC等により構成され、現在日時を取得してCPU21に出力する。
【0039】
<業務用PCの構成>
次に、
図4を参照して、業務用PC30の機能構成について説明する。
図4は、業務用PC30の機能構成を示すブロック図である。
【0040】
図4に示すように、業務用PC30は、CPU31と、RAM32と、記憶部33と、操作部34と、表示部35と、通信部36と、計時部37と、バス38と、を備えている。業務用PC30の各部は、バス38を介して接続されている。
【0041】
CPU31は、業務用PC30の各部を制御するプロセッサである。CPU31は、記憶部33に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM32に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行する。
【0042】
RAM32は、例えば、揮発性のメモリであり、CPU31により読み出された各種のプログラムやデータを一時的に格納するワークエリアを有する。
【0043】
記憶部33は、HDD、SSDといった、データの書き込み及び読み出しが可能な記憶装置を備え、各種のプログラムやデータ等を記憶する。記憶部13に記憶されるプログラムとしては、例えば、業務用PC30でのPC操作に関する情報(PC操作情報)を取得しサーバー10へ送信するためのPC操作情報取得アプリ331がある。ここで、PC操作情報には、メールの送受信に関する情報や、Web会議の主催者・参加者などWeb会議に関する情報が含まれるものとする。
【0044】
操作部34は、キーボード等のキー入力部と、マウス等のポインティングデバイスと、を有し、ユーザーからのキー操作入力及び位置操作入力を受け付け、その操作情報を、CPU31に出力する。CPU31は、操作部34から送信された情報に基づいて、ユーザーの入力操作を受け付ける。
【0045】
表示部35は、LCD、ELディスプレイ等で構成され、CPU31から指示された表示情報に従い各種表示を行う。
【0046】
通信部36は、アンテナ、変復調回路、信号処理回路などを有する通信モジュールである。通信部36は、所定の通信プロトコルに従って、通信ネットワークN上の外部機器との間で無線通信によるデータの送受信を行う。
【0047】
計時部37は、RTC等により構成され、現在日時を取得してCPU31に出力する。
【0048】
≪企業評価システムの動作≫
次に、企業評価システム100の動作について説明する。
【0049】
<企業評価処理>
図5は、サーバー10により実行される企業評価処理の制御手順を示すフローチャートである。企業評価処理は、サーバー10の使用権限を有する従業員(例えば、人事部に所属する特定の従業員等)による操作部14の操作に応じて、或る期間を対象とした企業評価の開始指示がなされたことを契機として実行される。以下では、2021年3月8日を対象とした企業評価の開始指示がなされた場合を例示して説明を行う。
【0050】
図5に示すように、企業評価処理が開始されると、サーバー10のCPU11は、まず、ワークプレイス活用評価処理を行う(ステップS1)。ワークプレイス活用評価とは、上述したようにコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンのそれぞれが利用目的に沿った形で活用されているかどうかを評価するものである。
【0051】
なお、ワークプレイス活用評価の対象となるワークプレイスは、例えば、企業評価処理の開始時に、上記の従業員による操作部14の操作に応じて指定することが可能である。以下では、クライアント施設内の全ワークプレイス、すなわちコラボゾーン、Web会議ゾーン及び実験ゾーンがワークプレイス活用評価の対象として指定された場合を例示して説明を行う。
【0052】
図6は、ワークプレイス活用評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、ワークプレイス活用評価処理が開始されると、CPU11は、まず、ログファイル135から2021年3月8日を対象とした従業員の位置情報(当該従業員が携帯する携帯端末20の位置情報)に関するログデータD1を取得する(ステップS11)。以下では、従業員は、従業員A、従業員B、従業員C、従業員Dの4名であるものとして説明を行う。
【0053】
図7は、従業員の位置情報に関するログデータD1の内容例を示す図である。
図7に示すように、ログデータD1には、日時、従業員名、場所(ワークプレイス)の各項目の情報が対応付けられて記憶されている。このログデータD1では、例えば、2021年3月8日の9時00分の時点において、従業員Aと従業員Bがコラボゾーンに存しし従業員Cと従業員DがWeb会議ゾーンに存していたことが示されている。
【0054】
次いで、CPU11は、利用目的設定テーブル132(
図2参照)で設定されている各ワークプレイスの利用目的に関する情報を取得する(ステップS12)。
【0055】
図8は、利用目的設定テーブル132の内容例を示す図である。
図8に示すように、利用目的設定テーブル132では、ワークプレイス(場所)ごとに、目的人数、目的時間、座席数の各項目の情報が設定されている。目的人数とは、対象のワークプレイスの利用に適した基準人数を示すものである。目的時間とは、対象のワークプレイスの利用に適した基準利用時間を示すものである。座席数とは、対象のワークプレイスにおいて着座できる席数を示すものである。
【0056】
CPU11は、ステップS12の処理において、コラボゾーンの利用目的に関する情報として、目的人数“2(人)”、目的時間“2(時間)”、座席数“6(席)”の各情報を取得する。また、CPU11は、Web会議ゾーンの利用目的に関する情報として、目的人数“1(人)”、目的時間“1(時間)”、座席数“4(席)”の各情報を取得する。また、CPU11は、実験ゾーンの利用目的に関する情報として、目的人数“3(人)”、目的時間“1(時間)”、座席数“4(席)”の各情報を取得する。
【0057】
次いで、CPU11は、ステップS11で取得されたログデータD1と、ステップS12で取得された各ワークプレイスの利用目的に関する情報と、に基づいて、各ワークプレイスの利用時間と利用目的に合致した時間とを導出する(ステップS13)。
【0058】
ここで、各ワークプレイスの利用時間及び利用目的に合致した時間の導出方法について、
図9(a)~
図9(c)を参照して説明する。
図9(a)は、ログデータD1と、コラボゾーンの利用目的に関する情報と、に基づいて、各従業員によるコラボゾーンの利用状況を示した表T1である。
図9(b)は、ログデータD1と、Web会議ゾーンの利用目的に関する情報と、に基づいて、各従業員によるWeb会議ゾーンの利用状況を示した表T2である。
図9(c)は、ログデータD1と、実験ゾーンの利用目的に関する情報と、に基づいて、各従業員による実験ゾーンの利用状況を示した表T3である。
【0059】
図9(a)~
図9(c)に示すように、各表T1~T3では対象のワークプレイスが利用された時間帯の欄であって当該時間帯に当該ワークプレイスを利用した従業員に対応する欄が“レ”で記され、更に当該ワークプレイスを目的人数かつ目的時間で利用した従業員に対応する欄が“〇レ”で記されるようになっている。
例えば、
図9(a)の表T1では、9時00分~9時29分の時間帯、9時30分~9時59分の時間帯、10時00分~10時29分の時間帯、及び、10時30分~10時59分の時間帯、すなわち9時00分~10時59分までの2時間の間、従業員Aと従業員Bがコラボゾーンに継続して滞在していたことが示されており、この従業員Aと従業員Bによるコラボゾーンの利用が目的人数“2(人)”に合致するとともに目的時間“2(時間)”に合致するため、従業員Aと従業員Bのそれぞれの9時00~10時59分までの各時間帯の欄には“〇レ”が記されている。一方、従業員Cはコラボゾーンに10時30分~10時59分の時間帯に滞在していただけであり、従業員Cによるコラボゾーンの利用は目的時間“2(時間)”に合致しないため、従業員Cの10時30分~10時59分の時間帯の欄には“レ”が記されている。
【0060】
また、各表T1~T3の最下段では時間ごとの満席率が示されるようになっている。時間ごとの満席率とは、対象となるワークプレイスの各時間帯における利用人数を当該ワークプレイスの座席数(
図8参照)で除することで表される値である。例えば、
図9(a)の表T1では、9時00分~9時29分の時間帯において、従業員Aと従業員Bの2人が座席数6であるコラボゾーンを利用しているため、当該時間帯における満席率は0.3(=2÷6)となっている。
【0061】
CPU11は、
図9(a)~
図9(c)に示されている表T1~T3ごとに“〇レ”と“レ”の個数を計数し、計数された“〇レ”及び“レ”の総数と当該表T1~T3の各欄が示す時間の間隔(0.5時間(30分))とを掛け合わせた時間を利用時間として導出する(ステップS13)。例えば、
図9(a)の表T1(コラボゾーン)では、“〇レ”及び“レ”の総数が28であるため、この総数“28”に時間の間隔“0.5時間”を掛け合わせることで得られる14時間が利用時間として導出されることとなる。
【0062】
また、CPU11は、
図9(a)~
図9(c)に示されている表T1~T3ごとに“〇レ”の個数を計数し、計数された“〇レ”の総数と、当該表T1~T3の各欄が示す時間の間隔(0.5時間(30分))とを掛け合わせた時間を利用目的に合致した時間として導出する(ステップS13)。例えば、
図9(a)の表T1(コラボゾーン)では、“〇レ”の総数が16であるため、この総数“16”に時間の間隔“0.5時間”を掛け合わせることで得られる8時間が利用目的に合致した時間として導出されることとなる。
【0063】
次いで、CPU11は、各ワークプレイスのワークプレイス活用度を導出する(ステップS14)。具体的には、CPU11は、ステップS13で導出されたワークプレイスの利用目的に合致した時間を当該ワークプレイスの利用時間で除した値を当該ワークプレイスのワークプレイス活用度として導出する。
【0064】
図10(a)は、コラボゾーンのワークプレイス活用度の導出結果(コラボゾーン集計結果)を示す表T4である。
図10(a)の表T4に示すように、コラボゾーンにおいては、利用時間が14時間であり、利用目的に合致した時間が8時間であるため、ワークプレイス活用度は0.57(=8÷14)となっている。なお、ワークプレイス活用度を導出する際に、
図10(a)の表T4に示すように、コラボゾーンの平均満席率(%)及び時間利用率(%)を導出するようにしてもよい。平均満席率(%)とは、上述した時間ごとの満席率の平均値をパーセント(%)で表したものである。時間利用率(%)とは、各ワークプレイスの利用時間を合計した総利用時間に対する各ワークプレイスの利用時間の割合をパーセント(%)で表したものである。
【0065】
図10(b)は、Web会議ゾーンのワークプレイス活用度の導出結果(Web会議ゾーン集計結果)を示す表T5である。
図10(b)の表T5に示すように、Web会議ゾーンにおいては、利用時間が6.5時間であり、利用目的に合致した時間が2時間であるため、ワークプレイス活用度は0.31(=2÷6.5)となっている。なお、ワークプレイス活用度を導出する際に、
図10(b)の表T5に示すように、Web会議ゾーンの平均満席率(%)及び時間利用率(%)を導出するようにしてもよい。
【0066】
図10(c)は、実験ゾーンのワークプレイス活用度の導出結果(実験ゾーン集計結果)を示す表T6である。
図10(c)の表T6に示すように、実験ゾーンにおいては、利用時間が9.5時間であり、利用目的に合致した時間が3時間であるため、ワークプレイス活用度は0.32(=3÷9.5)となっている。なお、ワークプレイス活用度を導出する際に、
図10(c)の表6に示すように、実験ゾーンの平均満席率(%)及び時間利用率(%)を導出するようにしてもよい。
【0067】
次いで、CPU11は、ワークプレイス活用度の平均を導出する(ステップS15)。
【0068】
図10(d)は、ワークプレイス活用度の平均の導出結果を示す表T7である。
図10(d)の表T7に示されている利用時間は、各ワークプレイスの利用時間を合計した総利用時間“30時間”である。同じく表T7に示されている目的に合致した時間は、各ワークプレイスの目的に合致した時間を合計した総利用時間“13時間”である。ワークプレイス活用度の平均(表T7に示されているワークプレイス活用度)は、この各ワークプレイスの目的に合致した時間を合計した総利用時間“13時間”を当該各ワークプレイスの利用時間を合計した総利用時間“30時間”で除した値“0.43”となっている。なお、ワークプレイス活用度の平均を導出する際に、
図10(d)に示すように、各ワークプレイスの平均満席率(%)の平均を導出するようにしてもよい。
【0069】
次いで、CPU11は、ワークプレイス活用指標を導出する(ステップS16)。このワークプレイス活用指標は、後述する5つの指標(ワークスタイル柔軟度指標、コミュニケーションスタイル指標、人事評価に対する納得度指標、エンゲージメントレベル指標、ウェルネス度指標)と評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS15で導出されたワークプレイス活用度の平均“0.43”を下記の線形回帰式(1)に代入することで、ワークプレイス活用指標“2.73”を導出する。この線形回帰式(1)は、ワークプレイス活用度を5段階評価での値に変換するための式である。
ワークプレイス活用指標=ワークプレイス活用度の平均×4+1・・・(1)
【0070】
次いで、CPU11は、処理を企業評価処理(
図5参照)に戻し、ワークスタイル柔軟度評価処理を行う(ステップS2)。ワークスタイル柔軟度評価とは、従業員が多くのワークプレイスを利用すること、従業員による業務用PC30のログオン時間及びログオフ時間が区々であること、並びに、従業員の勤務時間が区々であることがワークスタイルの柔軟性が高いとみなし、この柔軟性を評価するものである。
【0071】
図11は、ワークスタイル柔軟度評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
図11に示すように、ワークスタイル柔軟度評価処理が開始されると、CPU11は、まず、利用ワークプレイスの柔軟度指標導出処理を行う(ステップ21)。
【0072】
図12は、利用ワークプレイスの柔軟度指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
図12に示すように、利用ワークプレイスの柔軟度指標導出処理が開始されると、CPU11は、まず、ログファイル135から2021年3月8日を対象とした従業員の位置情報に関するログデータD1(
図7参照)を取得する(ステップS211)。
【0073】
次いで、CPU11は、目標利用数設定テーブル133(
図2参照)で設定されているワークプレイスの目標利用数に関する情報を取得する(ステップS212)。
【0074】
図13は、目標利用数設定テーブル133の内容例を示す図である。
図13に示すように、目標利用数設定テーブル133では、ワークプレイス(場所)の目標利用数の項目の情報が設定されている。
図13に示されている目標利用数設定テーブル133では、ワークプレイス(場所)の目標利用数が3に設定されている。
【0075】
CPU11は、ステップS212の処理において、ワークプレイスの目標利用数に関する情報として、ワークプレイス(場所)の目標利用数“3”の情報を取得する。
【0076】
次いで、CPU11は、ステップS211で取得されたログデータD1に基づいて、従業員ごとにワークプレイスの利用数を導出する(ステップS213)。
【0077】
図14は、ワークプレイスの利用数の導出結果を示す表T8である。
図14に示すように、表T8では、従業員A、従業員B、従業員C、従業員Dがいずれも2021年3月8日に3つのワークプレイス(場所)、すなわちコラボゾーン、Web会議ゾーン及び実験ゾーンを利用したことが示されている。また、表T8では、ステップS212で取得されたワークプレイス(場所)の目標利用数“3”の情報が示されている。
【0078】
次いで、CPU11は、ステップS213で導出された各従業員のワークプレイスの利用数x、ステップS212で取得されたワークプレイス(場所)の目標利用数μ、及び、従業員数nを下記の算出式(2)に代入することで、利用ワークプレイスの乖離度σ
placeを導出する(ステップS214)。
【数1】
【0079】
次いで、CPU11は、利用ワークプレイスの柔軟度指標を導出する(ステップS215)。この利用ワークプレイスの柔軟度指標は、後述する3つの柔軟度指標(ログオン時間の柔軟度指標、ログオフ時間の柔軟度指標、勤務時間の柔軟度指標)と評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS214で導出された利用ワークプレイスの乖離度σplace“0”を下記の線形回帰式(3)に代入することで、利用ワークプレイスの柔軟度指標“5.00”を導出する。この線形回帰式(3)は、利用ワークプレイスの乖離度σplaceを5段階評価での値に変換するための式である。
利用ワークプレイスの柔軟度指標=利用ワークプレイスの乖離度σplace ×(-4/3)+5・・・(3)
【0080】
次いで、CPU11は、処理をワークスタイル柔軟度評価処理(
図11参照)に戻し、ログオン時間の柔軟度指標導出処理を行う(ステップS22)。
【0081】
図15は、ログオン時間の柔軟度指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
図15に示すように、ログオン時間の柔軟度指標導出処理が開始されると、CPU11は、まず、ログファイル135から2021年3月8日を対象とした従業員のログオン操作に関するログデータD2を取得する(ステップS221)。
【0082】
図16は、従業員のログオン操作に関するログデータD2の内容例を示す図である。
図16に示すように、ログデータD2には、日時、従業員名、操作種別の各項目の情報が対応付けられて記憶されている。このログデータD2では、例えば、2021年3月8日の8時00分に従業員Aがログオン操作を行ったことが示されている。
【0083】
次いで、CPU11は、ステップS221で取得されたログデータD2に基づいて、各従業員のログオン時間とログオン平均時間を導出する(ステップS222)。
【0084】
図17は、各従業員のログオン時間とログオン平均時間の導出結果を示す表T9である。
図17に示すように、表T9では、従業員Aが8時00分に、従業員Bと従業員Cが8時30分に、従業員Dが9時00分にログオン操作を行ったことが示されている。また、表T9では、各従業員のログオン平均時間“8:30” が示されている。
【0085】
次いで、CPU11は、ステップS222で導出された各従業員のログオン時間x、ログオン平均時間μ、及び、従業員数nを下記の算出式(4)に代入することで、ログオン時間のばらつきσ
logonを導出する(ステップS223)。
【数2】
【0086】
次いで、CPU11は、ログオン時間の柔軟度指標を導出する(ステップS224)。このログオン時間の柔軟度指標は、他の3つの柔軟度指標(利用ワークプレイスの柔軟度指標、ログオフ時間の柔軟度指標、勤務時間の柔軟度指標)と評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS223で導出されたログオン時間のばらつきσlogon“0:21:13”を24時間あたりの割合に換算した値“0.0147(=(0+21/60+13/3600)/24)”を下記の線形回帰式(5)に代入することで、ログオン時間の柔軟度指標“1.71”を導出する。この線形回帰式(5)は、ログオン時間のばらつきσlogonを5段階評価での値に変換するための式である。
ログオン時間の柔軟度指標= ログオン時間のばらつきσlogon×48+1・・・(5)
【0087】
次いで、CPU11は、処理をワークスタイル柔軟度評価処理(
図11参照)に戻し、ログオフ時間の柔軟度指標導出処理を行う(ステップS23)。
【0088】
図18は、ログオフ時間の柔軟度指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
図18に示すように、ログオフ時間の柔軟度指標導出処理が開始されると、CPU11は、まず、ログファイル135から2021年3月8日を対象とした従業員のログオフ操作に関するログデータD3を取得する(ステップS231)。
【0089】
図19は、従業員のログオフ操作に関するログデータD3の内容例を示す図である。
図19に示すように、ログデータD3には、日時、従業員名、操作種別の各項目の情報が対応付けられて記憶されている。このログデータD3では、例えば、2021年3月8日の17時30分に従業員Bがログオフ操作を行ったことが示されている。
【0090】
次いで、CPU11は、ステップS231で取得されたログデータD3に基づいて、各従業員のログオフ時間とログオフ平均時間を導出する(ステップS232)。
【0091】
図20は、各従業員のログオフ時間とログオフ平均時間の導出結果を示す表T10である。
図20に示すように、表T10では、従業員Aが20時00分に、従業員Bが17時30分に、従業員Cが19時00分に、従業員Dが18時00分にログオフ操作を行ったことが示されている。また、表T10では、各従業員のログオフ平均時間“18:37” が示されている。
【0092】
次いで、CPU11は、ステップS232で導出された各従業員のログオフ時間x、ログオフ平均時間μ、及び、従業員数nを下記の算出式(6)に代入することで、ログオフ時間のばらつきσ
logoffを導出する(ステップS233)。
【数3】
【0093】
次いで、CPU11は、ログオフ時間の柔軟度指標を導出する(ステップS234)。このログオフ時間の柔軟度指標は、他の3つの柔軟度指標(利用ワークプレイスの柔軟度指標、ログオン時間の柔軟度指標、勤務時間の柔軟度指標)と評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS233で導出されたログオフ時間のばらつきσlogoff“0:57:37”を24時間あたりの割合に換算した値“0.0400(=(0+57/60+37/3600)/24)”を下記の線形回帰式(7)に代入することで、ログオフ時間の柔軟度指標“2.92”を導出する。この線形回帰式(7)は、ログオフ時間のばらつきσlogoffを5段階評価での値に変換するための式である。
ログオフ時間の柔軟度指標= ログオフ時間のばらつきσlogoff ×48+1・・・(7)
【0094】
次いで、CPU11は、処理をワークスタイル柔軟度評価処理(
図11参照)に戻し、勤務時間の柔軟度指標導出処理を行う(ステップS24)。
【0095】
図21は、勤務時間の柔軟度指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
図21に示すように、勤務時間の柔軟度指標導出処理が開始されると、CPU11は、まず、上記ステップS221で取得されたログデータD2と、上記ステップS231で取得されたログデータD3と、に基づいて、従業員ごとにログ時間とログオフ時間との差分をとることで各従業員の勤務時間を導出するとともに当該各従業員の平均勤務時間を導出する(ステップS241)。
【0096】
図22は、各従業員の勤務時間と平均勤務時間の導出結果を示す表T11である。
図22に示すように、表T11では、従業員Aの勤務時間が12時間、従業員Bの勤務時間が9時間、従業員Cの勤務時間が10時間30分、従業員Dの勤務時間が9時間であることが示されている。また、表T11では、各従業員の平均勤務時間“10:07” が示されている。
【0097】
次いで、CPU11は、ステップS241で導出された各従業員の勤務時間x、平均勤務時間μ、及び、従業員数nを下記の算出式(8)に代入することで、勤務時間のばらつきσ
wtを導出する(ステップS242)。
【数4】
【0098】
次いで、CPU11は、勤務時間の柔軟度指標を導出する(ステップS243)。この勤務時間の柔軟度指標は、他の3つの柔軟度指標(利用ワークプレイスの柔軟度指標、ログオン時間の柔軟度指標、ログオフ時間の柔軟度指標)と評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS242で導出された勤務時間のばらつきσwt“1:14:37”を24時間あたりの割合に換算した値“0.0518(=(1+14/60+37/3600)/24)”を下記の線形回帰式(9)に代入することで、勤務時間の柔軟度指標“3.49”を導出する。この線形回帰式(9)は、勤務時間のばらつきσwtを5段階評価での値に変換するための式である。
勤務時間の柔軟度指標= 勤務時間のばらつきσwt ×48+1・・・(9)
【0099】
次いで、CPU11は、処理をワークスタイル柔軟度評価処理(
図11参照)に戻し、ワークスタイル柔軟度指標を導出する(ステップS25)。具体的には、CPU11は、ステップS215で導出された利用ワークプレイスの柔軟度指標“5.00”、ステップS224で導出されたログオン時間の柔軟度指標“1.71”、ステップS234で導出されたログオフ時間の柔軟度指標“2.92”、及び、ステップS243で導出された勤務時間の柔軟度指標“3.49”の平均“3.28”をワークスタイル柔軟度指標として導出する。
【0100】
次いで、CPU11は、処理を企業評価処理(
図5参照)に戻し、コミュニケーションスタイル評価処理を行う(ステップS3)。コミュニケーションスタイル評価とは、従業員が他の従業員等と能動的にコミュニケーションを図っているかどうかを評価するものである。
【0101】
図23は、コミュニケーションスタイル評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
図23に示すように、コミュニケーションスタイル評価処理が開始されると、CPU11は、まず、メール能動指標導出処理を行う(ステップ31)。
【0102】
図24は、メール能動指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
図24に示すように、メール能動指標導出処理が開始されると、CPU11は、まず、ログファイル135から2021年3月8日を対象とした従業員のメール送受信に関するログデータD4を取得する(ステップS311)。
【0103】
図25は、従業員のメール送受信に関するログデータD4の内容例を示す図である。
図25に示すように、ログデータD4には、日時、メール送信者、メール受信者の各項目の情報が対応付けられて記憶されている。このログデータD4では、例えば、2021年3月8日の10時30分に、メール送信者である従業員Bからメール受信者である従業員A、従業員C、従業員Dの3人にメールが送信されことが示されている。
【0104】
次いで、CPU11は、能動指数目標値設定テーブル134(
図2参照)で設定されているメール能動指数の目標値に関する情報を取得する(ステップS312)。
【0105】
図26は、能動指数目標値設定テーブル134の内容例を示す図である。
図26に示すように、能動指数目標値設定テーブル134では、メール能動指数とWeb会議能動指数のそれぞれを対象とした目標値の項目の情報が設定されている。
図26に示されている能動指数目標値設定テーブル134では、メール能動指数とWeb会議能動指数のそれぞれの目標値が0.5に設定されている。ここで、例えば、メール能動指数が0.5とは、メールの送信回数と受信回数の割合が等しいことを表している。また、Web会議能動指数が0.5とは、Web会議の主催回数と参加回数(招待された側での参加回数)の割合が等しいことを表している。
【0106】
CPU11は、ステップS312の処理において、メール能動指数の目標値に関する情報として、当該メール能動指数の目標値“0.5”を取得する。
【0107】
次いで、CPU11は、ステップS311で取得されたログデータD4に基づいて、従業員ごとにメールの送受信回数を導出する(ステップS313)。ここで、メールの送信回数を計数する場合、当該メールの受信者の人数分を当該メールの送信回数として計数するものとする。例えば、2021年3月8日の10時30分に、従業員Bが従業員A、従業員C、従業員Dの3人に送信したメールの送信回数は3回として計数する。
【0108】
次いで、CPU11は、従業員ごとにメール能動指数を導出する(ステップS314)。具体的には、CPU11は、メールの送信回数(能動数)を当該送信回数(能動数)と受信回数(受動数)とを足し合わせた回数で除した値をメール能動指数として導出する。
【0109】
図27は、メールの送受信回数及びメール能動指数の導出結果を示す表T12である。
図27に示すように、表T12では、従業員ごとに導出されたメール送信回数(能動数)、メール受信回数(受動数)及びメール能動指数が示されている。また、表T12では、ステップS312で取得されたメール能動指数の目標値“0.5”が示されている。
【0110】
次いで、CPU11は、ステップS314で導出された各従業員のメール能動指数x、ステップS312で取得されたメール能動指数の目標値μ、及び、従業員数nを下記の算出式(10)に代入することで、目標値との乖離度σ
mailを導出する(ステップS315)。
【数5】
【0111】
次いで、CPU11は、メール能動指標を導出する(ステップS316)。このメール能動指標は、後述するWeb会議能動指標と評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS315で導出された目標値との乖離度σmail“0.149”を下記の線形回帰式(11)に代入することで、メール能動指標“3.81”を導出する。この線形回帰式(11)は、目標値との乖離度σmailを5段階評価での値に変換するための式である。
メール能動指標=目標値との乖離度σmail ×(-8)+5・・・(11)
【0112】
次いで、CPU11は、処理をコミュニケーションスタイル評価処理(
図23参照)に戻し、Web会議能動指標導出処理を行う(ステップS32)。
【0113】
図28は、Web会議能動指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
図28に示すように、Web会議能動指標導出処理が開始されると、CPU11は、まず、ログファイル135から2021年3月8日を対象とした従業員のWeb会議に関するログデータD5を取得する(ステップS321)。
【0114】
図29は、従業員のWeb会議に関するログデータD5の内容例を示す図である。
図29に示すように、ログデータD5には、日時、Web会議主催者、Web会議参加者の各項目の情報が対応付けられて記憶されている。このログデータD5では、例えば、2021年3月8日の9時00分に、Web会議主催者を従業員Aとし、Web会議参加者を従業員Bと従業員Cの2人とするWeb会議が開催されたことが示されている。
【0115】
次いで、CPU11は、上記の能動指数目標値設定テーブル134で設定されているWeb会議能動指数の目標値に関する情報“0.5”を取得する(ステップS322)。
【0116】
次いで、CPU11は、ステップS321で取得されたログデータD5に基づいて、従業員ごとにWeb会議の主催回数と参加回数を導出する(ステップS323)。ここで、Web会議の主催回数を計数する場合、当該Web会議の参加者数を当該Web会議の主催回数として計数するものとする。例えば、2021年3月8日の9時00分に開催されたWeb会議は参加者が従業員Bと従業員Cの2人であるため、当該Web会議の主催回数は2回として計数する。
【0117】
次いで、CPU11は、従業員ごとにWeb会議能動指数を導出する(ステップS324)。具体的には、CPU11は、Web会議の主催回数(能動数)を当該主催回数(能動数)と参加回数(受動数)とを足し合わせた回数で除した値をWeb会議能動指数として導出する。
【0118】
図30は、Web会議の主催回数、参加回数及びWeb会議能動指数の導出結果を示す表T13である。
図30に示すように、表T13では、従業員ごとに導出されたWeb会議の主催回数(能動数)、Web会議の参加回数(受動数)及びWeb会議能動指数が示されている。また、表T13では、ステップS322で取得されたWeb会議能動指数の目標値“0.5”が示されている。
【0119】
次いで、CPU11は、ステップS324で導出された各従業員のWeb会議能動指数x、ステップS322で取得されたWeb会議能動指数の目標値μ、及び、従業員数nを下記の算出式(12)に代入することで、目標値との乖離度σ
webを導出する(ステップS325)。
【数6】
【0120】
次いで、CPU11は、Web会議能動指標を導出する(ステップS326)。このメール能動指標は、上述したメール能動指標と評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS325で導出された目標値との乖離度σweb“0.202”を下記の線形回帰式(13)に代入することで、Web会議能動指標“3.39”を導出する。この線形回帰式(13)は、目標値との乖離度σwebを5段階評価での値に変換するための式である。
Web能動指標=目標値との乖離度σweb ×(-8)+5・・・(13)
【0121】
次いで、CPU11は、処理をコミュニケーションスタイル評価処理(
図23参照)に戻し、コミュニケーションスタイル指標を導出する(ステップS33)。具体的には、CPU11は、ステップS316で導出されたメール能動指標“3.81”と、ステップS326で導出されたWeb会議能動指標“3.39”との平均“3.60”をコミュニケーションスタイル指標として導出する。
【0122】
次いで、CPU11は、処理を企業評価処理(
図5参照)に戻し、人事評価に対する納得度評価処理を行う(ステップS4)。人事評価に対する納得度評価とは、例えば、毎月行われる人事評価に関するアンケート調査の結果に基づいて、従業員が人事評価に対して納得しているかどうかを評価するものである。
【0123】
なお、人事評価に対する納得度評価の対象月は、例えば、企業評価処理の開始時に、サーバー10の使用権限を有する従業員による操作部14の操作に応じて指定することが可能である。以下では、人事評価に対する納得度評価の対象月が2021年3月に指定された場合を例示して説明を行う。
【0124】
図31は、人事評価に対する納得度評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
図31に示すように、人事評価に対する納得度評価処理が開始されると、CPU11は、まず、ログファイル135から2021年3月を対象とした人事評価に関するアンケート調査の結果データD6を取得する(ステップS341)。
【0125】
図32は、人事評価に関するアンケート調査の結果データD6の内容例を示す図である。
図32に示すように、結果データD6には、人事評価に関するアンケート調査の結果の項目の情報が記憶されている。ここで、人事評価に関するアンケートは、例えば、100点を満点として各従業員が回答するものであり、結果データD6の人事評価に関するアンケート調査の結果の項目には、これまで毎月行われてきた同一のアンケート調査で蓄積された全従業員の平均点を基準として今回のアンケート調査での全従業員の平均点を偏差値に換算した値“60”が示されている。
【0126】
次いで、CPU11は、人事評価に対する納得度指標を導出する(ステップS342)。この、人事評価に対する納得度指標は、ワークプレイス活用指標、ワークスタイル柔軟度指標、コミュニケーションスタイル指標、エンゲージメントレベル指標(後述)、ウェルネス度指標(後述)のそれぞれと評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS341で取得された人事評価に関するアンケート調査の結果“60”を下記の線形回帰式(14)に代入することで、人事評価に対する納得度指標“4.00”を導出する。この線形回帰式(14)は、人事評価に関するアンケート調査の結果を5段階評価での値に変換するための式である。
人事評価に対する納得度指標=人事評価に関するアンケート調査の結果×0.1-2・・・(14)
【0127】
次いで、CPU11は、処理を企業評価処理(
図5参照)に戻し、エンゲージメントレベル評価処理を行う(ステップS5)。エンゲージメントレベル評価とは、例えば、毎月行われるエンゲージメントに関するアンケート調査の結果に基づいて、従業員の心理状態が仕事に対してポジティブで充実した状態にあるかどうかを評価するものである。
【0128】
なお、エンゲージメントレベル評価の対象月は、人事評価に対する納得度評価と同様に、企業評価処理の開始時に、サーバー10の使用権限を有する従業員による操作部14の操作に応じて指定することが可能である。以下では、エンゲージメントレベル評価の対象月が2021年3月に指定された場合を例示して説明を行う。
【0129】
図33は、エンゲージメントレベル評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
図33に示すように、エンゲージメントレベル評価処理が開始されると、CPU11は、まず、ログファイル135から2021年3月を対象としたエンゲージメントに関するアンケート調査の結果データD7を取得する(ステップS351)。
【0130】
図34は、エンゲージメントに関するアンケート調査の結果データD7の内容例を示す図である。
図34に示すように、結果データD7には、エンゲージメントに関するアンケート調査の結果の項目の情報が記憶されている。ここで、エンゲージメントに関するアンケートは、例えば、100点を満点として各従業員が回答するものであり、結果データD7のエンゲージメントに関するアンケート調査の結果の項目には、これまで毎月行われてきた同一のアンケート調査で蓄積された全従業員の平均点を基準として今回のアンケート調査での全従業員の平均点を偏差値に換算した値“55”が示されている。
【0131】
次いで、CPU11は、エンゲージメントレベル指標を導出する(ステップS352)。このエンゲージメントレベル指標は、ワークプレイス活用指標、ワークスタイル柔軟度指標、コミュニケーションスタイル指標、人事評価に対する納得度指標、ウェルネス度指標(後述)のそれぞれと評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS351で取得されたエンゲージメントに関するアンケート調査の結果“55”を下記の線形回帰式(15)に代入することで、エンゲージメントレベル指標“3.50”を導出する。この線形回帰式(15)は、エンゲージメントに関するアンケート調査の結果を5段階評価での値に変換するための式である。
エンゲージメントレベル指標=エンゲージメントに関するアンケート調査の結果×0.1-2・・・(15)
【0132】
次いで、CPU11は、処理を企業評価処理(
図5参照)に戻し、ウェルネス度評価処理を行う(ステップS6)。ウェルネス度評価とは、例えば、毎月行われる心と体に関するアンケート調査の結果に基づいて、従業員のウェルネス度を評価するものである。
【0133】
なお、ウェルネス度評価の対象月は、人事評価に対する納得度評価等と同様に、企業評価処理の開始時に、サーバー10の使用権限を有する従業員による操作部14の操作に応じて指定することが可能である。以下では、ウェルネス度評価の対象月が2021年3月に指定された場合を例示して説明を行う。
【0134】
図35は、ウェルネス度評価処理の制御手順を示すフローチャートである。
図35に示すように、ウェルネス度評価処理が開始されると、CPU11は、まず、ログファイル135から2021年3月を対象とした心と体に関するアンケート調査の結果データD8を取得する(ステップS361)。
【0135】
図36は、心と体に関するアンケート調査の結果データD8の内容例を示す図である。
図36に示すように、結果データD7には、心と体に関するアンケート調査の結果の項目の情報が記憶されている。ここで、心と体に関するアンケートは、例えば、100点を満点として各従業員が回答するものであり、結果データD8の心と体に関するアンケート調査の結果の項目には、これまで毎月行われてきた同一のアンケート調査で蓄積された全従業員の平均点を基準として今回のアンケート調査での全従業員の平均点を偏差値に換算した値“51”が示されている。
【0136】
次いで、CPU11は、ウェルネス度指標を導出する(ステップS362)。このウェルネス度指標は、ワークプレイス活用指標、ワークスタイル柔軟度指標、コミュニケーションスタイル指標、人事評価に対する納得度指標、エンゲージメントレベル指標のそれぞれと評価スケールを揃えることを目的として正規化された指標である。具体的には、CPU11は、ステップS361で取得された心と体に関するアンケート調査の結果“51”を下記の線形回帰式(16)に代入することで、ウェルネス度指標“3.10”を導出する。この線形回帰式(16)は、心と体に関するアンケート調査の結果を5段階評価での値に変換するための式である。
ウェルネス度指標=心と体に関するアンケート調査の結果×0.1-2・・・(16)
【0137】
次いで、CPU11は、処理を企業評価処理(
図5参照)に戻し、評価結果の表示用データD9を生成する(ステップS7)。具体的には、CPU11は、評価結果の表示用データD9として、ワークプレイス活用指標、ワークスタイル柔軟度指標、コミュニケーションスタイル指標、人事評価に対する納得度指標、エンゲージメントレベル指標、ウェルネス度指標の6つの指標をレーダーチャートで表したデータを生成する。
【0138】
次いで、CPU11は、
図37に示すように、ステップS7で生成された評価結果の表示用データD9を表示部15に表示させ(ステップS8)、企業評価処理を終了する。
なお、企業評価処理は、サーバー10の使用権限を有する従業員による操作部14の操作に応じて、企業評価の開始指示がなされるようにしたが、例えば、当該従業員が使用する業務用PC30の操作部34を介して、企業評価の開始指示を行うことができるようにしてもよい。かかる場合、CPU11は、ステップS7で生成された評価結果の表示用データD9を上記従業員が使用する業務用PC30に送信するようにする。
【0139】
以上説明したように、サーバー10は、クライアント施設内のコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンにおける利用者の利用状況を示す利用状況情報を取得し、取得された利用状況情報と、予め設定されたコラボゾーン、Web会議ゾーン及び実験ゾーンの利用目的に関する情報と、に基づいて、前記利用者の利用状況が対象となる場所(ワークプレイス)の利用目的に合致しているかどうかを評価し、前記評価の結果の出力を制御する。
したがって、サーバー10によれば、クライアント施設内のコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンが利用目的に沿った形で利用されているかどうかを評価できる。
【0140】
また、サーバー10は、利用者の利用状況が対象となる場所の利用目的に合致しているワークプレイス活用度(度合)を導出するとともに、当該ワークプレイス活用度を正規化したワークプレイス活用指標を導出し、当該ワークプレイス活用指標を前記評価の結果として当該評価の結果の出力を制御する。
したがって、サーバー10によれば、出力されるワークプレイス活用指標によってクライアント施設内のコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンが利用目的に沿った形で利用されているかどうかを評価できる。また、サーバー10によれば、ワークプレイス活用度を正規化したワークプレイス活用指標を出力することで、ワークスタイル柔軟度指標、コミュニケーションスタイル指標、人事評価に対する納得度指標、エンゲージメントレベル指標、ウェルネス度指標のそれぞれと評価スケールを揃えることができるので、多面的な企業評価を行うことができる。
【0141】
また、サーバー10は、コラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンのそれぞれを対象として各場所のワークプレイス活用度を導出するとともに当該各場所のワークプレイス活用度の平均を正規化したワークプレイス活用指標を導出し、当該ワークプレイス活用指標を前記評価の結果として当該評価の結果の出力を制御する。
したがって、サーバー10によれば、出力されるワークプレイス活用指標によってクライアント施設内のコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンが利用目的に沿った形で利用されているかどうかを総合的に評価できる。
【0142】
また、サーバー10は、利用状況情報として利用した場所に同席した利用者の人数を示す利用者人数情報を取得し、取得された利用者人数情報と目的人数(基準人数)に関する情報とに基づいて、ワークプレイス活用度を導出するので、クライアント施設内のコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンが利用目的に沿った形で利用されているかどうかを適切に評価できる。
【0143】
また、サーバー10は、利用状況情報として利用した場所に継続して滞在した時間を示す利用時間情報を取得し、取得された利用時間情報と目的時間(基準利用時間)に関する情報とに基づいて、ワークプレイス活用度を導出するので、クライアント施設内のコラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンが利用目的に沿った形で利用されているかどうかを適切に評価できる。
【0144】
〔その他〕
なお、上記実施形態は例示であり、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、クライアント施設内の所定のワークプレイス(スペース)として、コラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンの3つを例示したが、当該ワークプレイスは、3つに限定されるものではなく、1つや2つ、あるいは、4つ以上であってもよい。また、従業員については、従業員A~従業員Dの4人を例示したが、当該従業員は、4人に限定されるものではなく、1~3人、あるいは、5人以上であってもよい。
【0145】
また、上記実施形態では、ワークプレイス活用評価処理において、コラボゾーン、Web会議ゾーン、実験ゾーンの3つを対象範囲としてワークプレイス活用指標を導出するようにしたが、当該対象範囲は上記の3つに限定されるものではなく、操作部14の操作に応じて、例えば、コラボゾーンとWeb会議ゾーンの2つを対象範囲としてワークプレイス活用指標を導出するようにしてもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、ワークプレイス活用評価処理において、各ワークプレイス(場所)の利用目的に合致した時間を導出する際に、当該各ワークプレイスに同席していた利用者の人数と、当該各ワークプレイスに継続して滞在していた利用時間と、を考慮して当該利用目的に合致した時間を導出するようにしているが、更に、当該各ワークプレイスでの利用者の作業内容を考慮して当該利用目的に合致した時間を導出するようにしてもよい。かかる場合、利用目的設定テーブル132では、ワークプレイス(場所)ごとに、作業内容の項目の情報を設定しておき、ログファイル135より取得されるワークプレイスで行われた作業内容を示す情報(例えば、音声認識ツールを用いて得られる会話の内容等や、上述のPC操作情報)が利用目的設定テーブル132で設定されている作業内容の項目の情報と合致するか否かを考慮して、各ワークプレイス(場所)の利用目的に合致した時間を導出するようにする。
【0147】
また、上記実施形態では、ワークプレイス活用評価処理において、各ワークプレイスの利用目的に合致した時間を導出する際に、
図9(a)~
図9(c)に示すように、各時間帯を0.5時間(30分)とする表T1~T3を用いて導出するようにしたが、この時間帯は例えば、1分~60分の範囲で適宜設定変更できるようにしてもよい。
【0148】
また、上記実施形態では、ワークプレイス活用評価処理において、各ワークプレイスの利用目的に合致した時間を導出する際に、当該各ワークプレイスに同席していた利用者の人数を考慮することとしたが、同じ時間帯に同席したとみなす条件として、時間の誤差範囲を設定してもよい。具体的には、途中参加や途中退席を考慮し、利用者それぞれのワークプレイス利用開始時間又はワークプレイス利用終了時間が30分以内の範囲であれば、その範囲内で入退室した利用者は同じ時間帯に同席したとみなすようにしてもよい。
【0149】
また、上記実施形態では、利用目的設定テーブル132において目的人数と目的時間を設定するようにしたが、当該目的人数と当該目的時間は誤差範囲を持たせてもよい。例えば、目的人数以上かつ目的時間以上であれば対象のワークプレイスが目的通りに利用されたと判断してもよく、目的人数と目的時間がそれぞれ±10%の範囲内であれば対象のワークプレイスが目的通りに利用されたと判断してもよい。
【0150】
また、上記実施形態では、2021年3月8日を対象とした企業評価処理について説明したが、当該企業評価処理の対象を例えば、2021年3月1日~3月7日までの一週間や、2021年3月1日~3月31日までの一か月間などの期間を当該企業評価処理の対象としてもよい。かかる場合、ワークプレイス評価処理では、例えば、各日のワークプレイス活用指標とともに当該各日のワークプレイス活用指標の平均を導出するようにする。また、同様に、ワークスタイル柔軟度評価処理では、各日のワークスタイル柔軟度指標とともに当該各日のワークスタイル柔軟度指標の平均を導出するようにする。また、コミュニケーションスタイル評価処理では、各日のコミュニケーションスタイル指標とともに当該各日のコミュニケーションスタイル指標の平均を導出するようにする。
【0151】
また、上記実施形態では、ワークプレイス活用評価処理において、他の指標と評価スケールを揃えることを目的として、各ワークプレイスのワークプレイス活用度の平均を正規化した値をワークプレイス活用指標として導出したが、各ワークプレイスのワークプレイス活用度の平均をワークプレイス活用指標として導出するようにしてもよい。
【0152】
また、上記実施形態では、各従業員が所属する部署を識別可能な情報を設け、ワークプレイス活用評価処理において、ワークプレイス活用指標を導出する際に、当該部署ごとにワークプレイス活用指標を導出するようにしてもよい。ワークスタイル柔軟度指標、コミュニケーションスタイル指標、人事評価に対する納得度指標、エンゲージメントレベル指標、ウェルネス度指標も同様に部署ごとに各指標を導出するようにしてもよい。
【0153】
また、上記実施形態では、利用目的設定テーブル132、目標利用数設定テーブル133、能動指数目標値設定テーブル134のそれぞれのテーブルにおいて各情報が予め設定されているが、操作部14の操作に応じて、これらの各情報を適宜設定変更できるようにしてもよい。
【0154】
その他、上記実施形態で示した構成および制御の具体的な細部は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態で示した構成および制御を適宜組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0155】
100 企業評価システム(スペース活用評価システム)
10 サーバー(情報処理装置)
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
131 操作ログ管理アプリ
132 利用目的設定テーブル
133 目標利用数設定テーブル
134 能動指数目標値設定テーブル
135 ログファイル
14 操作部
15 表示部
16 通信部
17 計時部
20 携帯端末(端末装置)
21 CPU
22 RAM
23 記憶部
231 位置情報取得アプリ
24 操作部
25 表示部
26 通信部
27 近距離無線通信部
28 計時部
30 業務用PC(端末装置)
31 CPU
32 RAM
33 記憶部
331 PC操作情報取得アプリ
34 操作部
35 表示部
36 通信部
37 計時部
40 ビーコン発信機