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特開2022-152977端子位置決め装置および端子位置決め方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152977
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】端子位置決め装置および端子位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/02 20060101AFI20221004BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H01R43/02 Z
H02K15/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055959
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】星野 博昭
(72)【発明者】
【氏名】中川 修
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615PP01
5H615PP15
5H615QQ02
5H615SS10
5H615SS16
(57)【要約】
【課題】カメラを用いずに端子の高さ方向の位置決めを行うことが可能な端子位置決め装置を提供する。
【解決手段】この端子位置決め装置100は、一対のクランプ部材3と、端子200のZ方向(高さ方向)の位置決めを行う高さ位置決め部4と、を備える。端子位置決め装置100は、一対のクランプ部材3の各々の傾斜部30により端子200を挟み込みながら更に一対のクランプ部材3を互いに接近させることにより、端子200を、傾斜部30に沿って上方側に移動させるとともに高さ位置決め部4に当接させることによって、端子200を高さ基準位置P(所定の高さ基準位置)に位置決めするように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向における第1方向に互いに接近および離間するように移動するとともに、高さ方向に対して傾斜して延びるように設けられる傾斜部を各々が含む一対のクランプ部材と、
前記一対のクランプ部材の各々の前記傾斜部の下方端よりも上方側の所定の高さ基準位置に設けられ、導体の端子の前記高さ方向の位置決めを行う高さ位置決め部と、を備え、
前記一対のクランプ部材は、前記第1方向と直交する前記水平方向の第2方向から見て、互いの前記傾斜部同士の間の隙間が下方側に先細るテーパ状に形成されるように設けられており、
前記一対のクランプ部材の各々の前記傾斜部により前記端子を挟み込みながら更に前記一対のクランプ部材を互いに接近させることにより、前記端子を、前記傾斜部に沿って上方側に移動させるとともに前記高さ位置決め部に当接させることによって、前記端子を前記所定の高さ基準位置に位置決めするように構成されている、端子位置決め装置。
【請求項2】
前記一対のクランプ部材により前記端子を前記所定の高さ基準位置に位置決めすることによって、前記端子に接続されている配線の前記端子とは反対側の端部を、前記高さ方向において位置決めするように構成されている、請求項1に記載の端子位置決め装置。
【請求項3】
前記高さ方向に沿って延びるように設けられ、水平面内において前記端子を位置決めするピン部材をさらに備え、
前記ピン部材を前記端子に設けられた孔部に挿入することにより水平面内において前記端子を位置決めした状態で、前記一対のクランプ部材により前記端子を前記ピン部材に対して相対的に上方側に移動させるとともに前記高さ位置決め部に当接させることによって、前記高さ方向において前記端子を位置決めするように構成されている、請求項1または2に記載の端子位置決め装置。
【請求項4】
前記一対のクランプ部材の各々に設けられ、前記傾斜部の前記下方端を含む下部同士は、前記第2方向において互いにオーバラップするように、前記第1方向から見て位置が互いにずらされて配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の端子位置決め装置。
【請求項5】
水平方向における第1方向に互いに接近および離間するように移動するとともに、高さ方向に対して傾斜して延びるように設けられる傾斜部を各々が含み、かつ、前記第1方向に直交する前記水平方向の第2方向から見て、互いの前記傾斜部同士の間の隙間が下方側に先細るテーパ状に形成されるように設けられる一対のクランプ部材を、互いに接近させることによって、前記一対のクランプ部材の各々の前記傾斜部により導体の端子を前記第1方向に挟み込む挟み込み工程と、
前記挟み込み工程の後に、前記端子を挟み込みながら更に前記一対のクランプ部材を互いに接近させることにより、前記端子を、前記傾斜部に沿って上方側に移動させるとともに、前記一対のクランプ部材の各々の前記傾斜部の下方端よりも上方側の所定の高さ基準位置に設けられ、前記端子の前記高さ方向の位置決めを行う高さ位置決め部に当接させることによって、前記高さ方向において前記端子を前記所定の高さ基準位置に位置決めする高さ位置決め工程と、を備える、端子位置決め方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子位置決め装置および端子位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの動力線などの端子を位置決めする端子位置決め方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ステータのステータコイルの一端部に、動力線の一端部を溶接により接続することが記載されている。また、動力線の他端部には、端子が接続されている。ここで、動力線をステータコイルに正確に接続するためには、端子の高さ方向の位置決めを正確に行う必要がある。したがって、上記特許文献1には明記されていないが、動力線の端子の高さ方向の位置決めが行われていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-92248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には明記されていないが、端子の高さ方向の位置決めを行うためには、たとえばカメラによって端子の高さ位置を検出して位置補正を行うことが考えられる。この場合、カメラを用いる必要がある分、位置決め作業が煩雑になることや、カメラの読み込み時間を要する分、位置決め作業に要する時間が長くなることが考えられる。したがって、カメラを用いずに端子の高さ方向の位置決めを行うことが可能な端子位置決め装置および端子位置決め方法が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、カメラを用いずに端子の高さ方向の位置決めを行うことが可能な端子位置決め装置および端子位置決め方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における端子位置決め装置は、水平方向における第1方向に互いに接近および離間するように移動するとともに、高さ方向に対して傾斜して延びるように設けられる傾斜部を各々が含む一対のクランプ部材と、一対のクランプ部材の各々の傾斜部の下方端よりも上方側の所定の高さ基準位置に設けられ、導体の端子の高さ方向の位置決めを行う高さ位置決め部と、を備え、一対のクランプ部材は、第1方向と直交する水平方向の第2方向から見て、互いの傾斜部同士の間の隙間が下方側に先細るテーパ状に形成されるように設けられており、一対のクランプ部材の各々の傾斜部により端子を挟み込みながら更に一対のクランプ部材を互いに接近させることにより、端子を、傾斜部に沿って上方側に移動させるとともに高さ位置決め部に当接させることによって、端子を所定の高さ基準位置に位置決めするように構成されている。なお、テーパ状とは、傾斜部が直線状に設けられる場合と、傾斜部が直線状ではなく曲がった形状を有する場合との両方を含む意味である。
【0008】
この発明の第1の局面による端子位置決め装置は、上記のように、一対のクランプ部材の各々の傾斜部により端子を挟み込みながら更に一対のクランプ部材を互いに接近させることにより、端子を、傾斜部に沿って上方側に移動させるとともに高さ位置決め部に当接させることによって、端子を機械的に所定の高さ基準位置に位置決めするように構成されている。これにより、一対のクランプ部材の傾斜部に沿って端子を移動させるとともに端子を高さ位置決め部に当接させることによって、端子が機械的に所定の高さ基準位置に位置決めされるので、カメラによって端子の高さ方向の位置を検出して位置補正を行う必要がない。したがって、カメラを用いずに端子の高さ方向の位置決めを行うことができる。また、一対のクランプ部材を互いに接近させるだけで端子の高さ方向の位置決めを行うことができるので、手動で端子の高さ方向の位置決めを行う場合に比べて、位置決め作業を簡易化することができる。
【0009】
また、この発明の第2の局面における端子位置決め方法は、水平方向における第1方向に互いに接近および離間するように移動するとともに、高さ方向に対して傾斜して延びるように設けられる傾斜部を各々が含み、かつ、第1方向に直交する水平方向の第2方向から見て、互いの傾斜部同士の間の隙間が下方側に先細るテーパ状に形成されるように設けられる一対のクランプ部材を、互いに接近させることによって、一対のクランプ部材の各々の傾斜部により導体の端子を第1方向に挟み込む挟み込み工程と、挟み込み工程の後に、端子を挟み込みながら更に一対のクランプ部材を互いに接近させることにより、端子を、傾斜部に沿って上方側に移動させるとともに、一対のクランプ部材の各々の傾斜部の下方端よりも上方側の所定の高さ基準位置に設けられ、端子の高さ方向の位置決めを行う高さ位置決め部に当接させることによって、高さ方向において端子を所定の高さ基準位置に位置決めする高さ位置決め工程と、を備える。
【0010】
この発明の第2の局面による端子位置決め方法は、上記のように、端子を挟み込みながら更に一対のクランプ部材を互いに接近させることにより、端子を、傾斜部に沿って上方側に移動させるとともに高さ位置決め部に当接させることによって、高さ方向において端子を所定の高さ基準位置に位置決めする高さ位置決め工程を備える。これにより、一対のクランプ部材の傾斜部に沿って端子を移動させるとともに端子を高さ位置決め部に当接させることによって、端子が機械的に所定の高さ基準位置に位置決めされるので、カメラによって端子の高さ方向の位置を検出して位置補正を行う必要がない。したがって、カメラを用いずに端子の高さ方向の位置決めを行うことが可能な端子位置決め方法を提供することができる。また、一対のクランプ部材を互いに接近させるだけで端子の高さ方向の位置決めを行うことができるので、手動で端子の高さ方向の位置決めを行う場合に比べて、位置決め作業を簡易化することが可能な端子位置決め方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラを用いずに端子の高さ方向の位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による端子位置決め装置が配置される動力線の溶接システムの構成を示す概略図である。
図2】一実施形態による端子位置決め装置およびトレーを示す斜視図である。
図3】一実施形態による端子位置決め装置の構成を示す斜視図である。
図4】一実施形態による端子位置決め装置の一対のクランプ部材同士がY方向にオーバラップする状態を示した斜視図である。
図5】一実施形態による端子位置決め装置を側方から見た図である。
図6】一実施形態による端子位置決め装置を下方から見た図である。
図7】一実施形態による端子位置決め方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図7を参照して、本実施形態による端子位置決め装置100および端子位置決め方法について説明する。
【0015】
本願明細書では、X方向を、水平方向において後述するクランプ部材3が移動する方向とする。また、Y方向を、X方向と直交する水平方向における方向とする。なお、Z方向を、高さ方向とする。なお、X方向は、特許請求の範囲の「第1方向」の一例である。また、Y方向は、特許請求の範囲の「第2方向」の一例である。また、Z方向は、特許請求の範囲の「高さ方向」の一例である。
【0016】
図1に示すように、端子位置決め装置100は、端子位置決め装置100の可動域100aにおける所定の位置にベルトコンベア等により搬送されたトレー101に収容された動力線201の端子200(図3参照)を取り出すように構成されている。なお、動力線201は、特許請求の範囲の「導体」および「配線」の一例である。
【0017】
次に、端子位置決め装置100は、端子位置決め装置100の可動域100aの所定の位置に設けられた動力線セット部102に、トレー101から取り出した端子200を搬送する。動力線セット部102において、端子200に接続されている動力線201が、溶接用の図示しない治具に取り付けられる。次に、治具に取り付けられた端子200および動力線201が、端子位置決め装置100とは別個のロボットアーム等により動力線溶接部103に移動される。そして、動力線溶接部103において、動力線201の端子200とは反対側の端部201aは、ステータ104の図示しないリード線に溶接される。
【0018】
図2に示すように、トレー101には、端子200および動力線201が収容されている複数の凹部101aが設けられている。なお、トレー101は、緩衝材としての発泡樹脂により形成されている。このため、複数の凹部101aの各々に収容されている端子200および動力線201のZ方向の位置は、所定の大きさ(たとえば設定値に対して±2mm程度)だけばらついている。
【0019】
次に、端子位置決め装置100の構成および端子位置決め装置100による端子位置決め方法について説明する。
【0020】
(端子位置決め装置)
図3に示すように、端子位置決め装置100は、ロボットハンド105と連結されるロボットハンド連結部1を含む。なお、ロボットハンド105は、後述する一対のクランプ部材3およびピン部材5をZ方向(Z1方向およびZ2方向)に移動させるように構成されている。
【0021】
また、端子位置決め装置100は、アクチュエータ2を含む。アクチュエータ2は、後述する一対のクランプ部材3を、X方向に移動させるように構成されている。具体的には、アクチュエータ2は、一対のクランプ部材3を、それぞれ、X方向において互いに反対の方向に、同じ距離だけ移動させるように構成されている。なお、アクチュエータ2は、たとえばエアー駆動式のアクチュエータである。
【0022】
端子位置決め装置100は、一対のクランプ部材3を備えている。一対のクランプ部材3は、水平方向におけるX方向に互いに接近および離間するように移動する。また、一対のクランプ部材3の各々は、Z方向に延びるように設けられている。また、一対のクランプ部材3の各々は、たとえば鉄製である。なお、端子200は、たとえば銅製である。また、端子200は、水平面内(XY平面内)に延びるように設けられる平板状の部分200a(図4参照)を含む。
【0023】
一対のクランプ部材3の各々は、高さ方向に対して傾斜して延びるように設けられる傾斜部30を含む。一対のクランプ部材3は、X方向と直交する水平方向のY方向から見て、互いの傾斜部30同士の間の隙間Sが下方側(Z2側)に先細るテーパ状に形成されるように設けられている。具体的には、X1側のクランプ部材3の傾斜部30は、Z1側に向かってX1側に傾斜するように設けられている。また、X2側のクランプ部材3の傾斜部30は、Z1側に向かってX2側に傾斜するように設けられている。
【0024】
図4に示すように、一対のクランプ部材3の各々に設けられ、傾斜部30の下方端31を含む下部3a同士は、Y方向において互いにオーバラップするように、X方向から見て位置が互いにずらされて配置されている。
【0025】
これにより、一対のクランプ部材3の各々の下部3a同士をY方向にオーバラップさせながら一対のクランプ部材3同士をX方向に接近させることができるので、一対のクランプ部材3同士をより接近させることができる。
【0026】
具体的には、一対のクランプ部材3の各々には、段差部32が設けられている。段差部32は、Z方向において、傾斜部30の下方端31と上方端33との間の位置に設けられている。下部3aは、クランプ部材3のうち段差部32よりも下方側(Z2側)の部分である。
【0027】
また、図5に示すように、一対のクランプ部材3の各々のうち下部3aの上方側(Z1側)に設けられる上部3b同士は、X方向から見て、互いにオーバラップするように配置されている。上部3bは、後述するように、端子200のZ方向における位置決めが行われる部分を含む。
【0028】
これにより、X方向から見て互いにオーバラップする上部3b同士により端子200をX方向に挟むことができるので、端子200を安定的に固定した状態で、端子200のZ方向における位置決めを行うことが可能である。
【0029】
なお、上部3bは、段差部32を境界として下部3aと連続的に設けられている。
【0030】
また、図4に示すように、下部3aのY方向における厚みt1は、Z方向の位置によらず一定である。また、上部3bのY方向における厚みt2は、上方側(Z1側)に向かって徐々に大きくなる。なお、厚みt2の最小値は、厚みt1と等しい。
【0031】
また、傾斜部30の下方端31と傾斜部30の上方端33との間のZ方向における距離D(図7参照)は、トレー101に収容される端子200のZ方向の位置のばらつきに基づいて設定されている。具体的には、距離Dは、端子200のZ方向の位置が基準位置に対して±2mm程度ばらつくことに基づき、4mm以上に設定されている。
【0032】
また、図3に示すように、端子位置決め装置100は、一対のクランプ部材3の各々の傾斜部30の下方端31よりも上方側(Z1側)の高さ基準位置P(図5参照)に設けられる高さ位置決め部4を備える。高さ位置決め部4は、端子200のZ方向の位置決めを行う。なお、高さ基準位置Pは、特許請求の範囲の「所定の高さ基準位置」の一例である。
【0033】
高さ位置決め部4は、円柱部40の下方側(Z2側)の先端部に設けられている。なお、円柱部40は、アクチュエータ2の下面2aから下方側(Z2側)に延びる円柱部41の側面41aから突出するように設けられる突出部42から下方側に延びるように設けられている。
【0034】
端子位置決め装置100は、一対のクランプ部材3の各々の傾斜部30により端子200を挟み込みながら更に一対のクランプ部材3を互いに接近させることにより、端子200を、傾斜部30に沿って上方側(Z1側)に移動させるとともに高さ位置決め部4に当接させることによって、端子200を高さ基準位置Pに位置決めするように構成されている。
【0035】
これにより、一対のクランプ部材3の傾斜部30に沿って端子200を移動させるとともに端子200を高さ位置決め部4に当接させることによって、端子200が機械的に高さ基準位置Pに位置決めされるので、カメラによって端子200のZ方向の位置を検出して位置補正を行う必要がない。したがって、カメラを用いずに端子200のZ方向の位置決めを行うことができる。また、一対のクランプ部材3を互いに接近させるだけで端子200のZ方向の位置決めを行うことができるので、手動で端子200のZ方向の位置決めを行う場合に比べて、位置決め作業を簡易化することができる。
【0036】
また、一対のクランプ部材3の各々の傾斜部30は、Y方向から見て、直線状に延びるように設けられている。
【0037】
これにより、傾斜部30が直線状ではなくたとえば湾曲している場合と異なり、傾斜部30により端子200を一定の力で上方側(Z1側)に押圧することが可能である。
【0038】
具体的には、傾斜部30とX方向とのなす角度θ1(図7参照)は、たとえば、45度である。この場合、角度θが45度よりも大きい場合に比べて、端子200を上方側(Z1側)に押圧する力を大きくすることが可能である。また、角度θが45度よりも小さい場合に比べて、端子200を上方側に移動させることができる範囲(傾斜部30が設けられるZ方向の範囲(ストローク))を大きくすることが可能である。
【0039】
一対のクランプ部材3が端子200を挟みながら互いに接近することにより、端子200は、一対のクランプ部材3の各々の傾斜部30により下方側(Z2側)から押圧されて、傾斜部30を滑りながら上方側(Z1側)に移動される。なお、傾斜部30は、クランプ部材3の他の部分に比べて表面粗さが低くなるように研磨されている。これにより、端子200が、傾斜部30に沿って移動中に傾斜部30との摩擦により傷付けられるのを極力防止することが可能である。
【0040】
また、高さ位置決め部4は、Z方向において、傾斜部30の上方端33と同じ高さ位置に設けられている。これにより、端子200は、Z方向において厚みt3(図5参照)を有している分、傾斜部30に沿って移動されている途中で高さ位置決め部4に当接される。具体的には、端子200は、クランプ部材3の上部3bにおける傾斜部30により下方側(Z2側)から押圧されている状態で、高さ基準位置Pに当接される。その結果、端子200を下方側から押圧した状態で端子200のZ方向の位置決めを行うことができるので、端子200を高さ位置決め部4に安定的に位置決めすることが可能である。
【0041】
また、端子位置決め装置100は、一対のクランプ部材3により端子200を高さ基準位置Pに位置決めすることによって、端子200に接続されている動力線201の端部201aを、Z方向において位置決めするように構成されている。
【0042】
これにより、動力線201の端部201aがZ方向に位置決めされた状態で、端部201aと他の部材(本実施形態ではステータ104のリード線)とを接続(溶接)することができる。
【0043】
また、図3に示すように、端子位置決め装置100は、Z方向に沿って延びるように設けられるピン部材5を備える。ピン部材5は、水平面内において端子200を位置決めするように設けられている。ピン部材5は、円柱部41から下方側(Z2側)に突出するように設けられている。なお、ピン部材5は、たとえば鉄製である。
【0044】
図5に示すように、ピン部材5は、下方側(Z2側)の端部に設けられる先細り部50を含む。先細り部50は、下方側に向かって先細るように設けられている。言い換えると、先細り部50は、下方側に向かってテーパ状に形成されている。すなわち、先細り部50の外径r1は、下方側に向かって徐々に小さくなる。
【0045】
これにより、ピン部材5を端子200の孔部200bに容易に挿入することが可能である。
【0046】
また、ピン部材5は、先細り部50の上部に設けられる円柱形状の円柱部51を含む。円柱部51の外径r2は、Z方向の位置によらず一定である。なお、円柱部51は、先細り部50と連続的に設けられている。すなわち、先細り部50の外径r1の最大値は、円柱部51の外径r2と等しい。
【0047】
端子位置決め装置100は、ピン部材5を端子200に設けられた孔部200bに挿入することにより水平面内において端子200を位置決めした状態で、一対のクランプ部材3により端子200をピン部材5に対して相対的に上方側に移動させるとともに高さ位置決め部4に当接させることによって、Z方向において端子200を位置決めするように構成されている。
【0048】
これにより、ピン部材5により端子200をX方向およびY方向に位置決めした状態で、端子200のZ方向における位置決めを行うことができる。
【0049】
孔部200bの直径r3は、ピン部材5の円柱部51の外径r2よりも大きい。孔部200bの直径r3と円柱部51の外径r2との差分(r3-r2)は、たとえば0.1mm程度である。上記差分は、たとえば端子200の厚みt3よりも小さい。
【0050】
図6に示すように、端子位置決め装置100は、ピン部材5を端子200の孔部200bに挿入した状態で、端子200の平板状の部分200aを一対のクランプ部材3により挟み込むことによって、水平面内において端子200を位置決めするとともに、端子200に接続されている動力線201の回転方向の位置を位置決めするように構成されている。
【0051】
これにより、動力線201の端部201a(図3参照)を、水平面内および回転方向において位置決めすることが可能である。
【0052】
具体的には、Z2側から見て、動力線201は、たとえばX方向に対して所定の角度θ2だけ傾斜するように位置決め(固定)される。
【0053】
また、図5に示すように、端子位置決め装置100は、ピン部材5の側面50aに沿ってピン部材5をガイドするように設けられるガイド部6を備える。ガイド部6の下方端60は、Z方向において、高さ位置決め部4と同じ高さ位置(高さ基準位置P)に設けられている。
【0054】
高さ位置決め部4およびガイド部6の下方端60は、それぞれ、端子200の互いに異なる部分と当接することにより、Z方向において端子200を高さ基準位置Pに位置決めするように設けられている。
【0055】
これにより、端子200を高さ位置決め部4のみにより位置決めする場合と異なり、互いに異なる2点において端子200を位置決めすることができるので、端子200をより安定的に位置決めすることが可能である。
【0056】
具体的には、ガイド部6の下方端60は、端子200の孔部200bの外周縁と当接することにより、端子200を位置決めするように設けられている。また、高さ位置決め部4は、端子200の孔部200bとは離間した部分(後述する折れ曲がり部200c近傍の部分)と当接することにより、端子200を位置決めするように設けられている。
【0057】
また、高さ位置決め部4は、Z2側の端部においてZ方向と直交するように設けられる平坦面4aと、平坦面4aを取り囲むように設けられる外周縁部4bと、を含む。
【0058】
外周縁部4bは、平坦面4aと端子200とが当接した状態で、端子200に設けられるR形状(丸型形状)を有する折れ曲がり部200cに沿うようにR形状(丸型形状)を有している。
【0059】
これにより、平坦面4aと端子200とが当接した状態で、外周縁部4bと折れ曲がり部200cとが干渉するのを防止することが可能である。その結果、平坦面4aと端子200とを、より確実に当接させることが可能である。また、外周縁部4bと折れ曲がり部200cとが干渉することに起因して、端子200(折れ曲がり部200c)が傷付くのを防止することが可能である。
【0060】
(端子位置決め方法)
次に、図7を参照して、本実施形態における端子位置決め方法について説明する。
【0061】
まず、ステップS1では、端子位置決め装置100がXY平面内における所定の位置に移動される。具体的には、XY平面内において、ピン部材5の中心が、端子200の孔部200b(図6参照)の中心の座標に配置されるように、端子位置決め装置100が移動される。
【0062】
次に、ステップS2では、ロボットハンド105(図3参照)を駆動して、一対のクランプ部材3およびピン部材5をZ2側に所定の距離だけ移動させる。これにより、Z方向において、端子200(の下端)は、傾斜部30の下方端31と傾斜部30の上方端33との間の範囲に配置される。また、この際、ピン部材5が端子200の孔部200bに挿入されることにより、端子200がXY平面内において位置決めされる。
【0063】
次に、ステップS3では、一対のクランプ部材3を、互いに接近させることによって、一対のクランプ部材3の各々の傾斜部30により端子200をX方向に挟み込む挟み込み工程が行われる。この工程で、端子200に接続されている動力線201の回転方向の位置が位置決め(角度θ2(図6参照)が決定)される。
【0064】
そして、挟み込み工程(S3)の後のステップS4では、端子200を挟み込みながら更に一対のクランプ部材3を互いに接近させることにより、端子200を、傾斜部30に沿って上方側(Z1側)に移動させるとともに高さ位置決め部4に当接させることによって、Z方向において端子200を高さ基準位置Pに位置決めする高さ位置決め工程が行われる。これに伴い、動力線201の端部201aがZ方向において位置決めされる。
【0065】
これにより、一対のクランプ部材3の傾斜部30に沿って端子200を移動させるとともに端子200を高さ位置決め部4に当接させることによって、端子200が機械的に高さ基準位置Pに位置決めされるので、カメラによって端子200のZ方向の位置を検出して位置補正を行う必要がない。したがって、カメラを用いずに端子200のZ方向の位置決めを行うことが可能な端子位置決め方法を提供することができる。また、一対のクランプ部材3を互いに接近させるだけで端子200のZ方向の位置決めを行うことができるので、手動で端子200のZ方向の位置決めを行う場合に比べて、位置決め作業を簡易化することが可能な端子位置決め方法を提供することができる。
【0066】
具体的には、一対のクランプ部材3は、X方向に互いに離間した状態から、互いの下部3a(図4参照)同士がY方向から見てオーバラップする位置まで移動される。
【0067】
また、高さ位置決め工程(S4)は、挟み込み工程(S3)と連続的に行われる工程である。
【0068】
これにより、端子200をZ方向に位置決めするのに要する時間を短縮化することが可能である。
【0069】
具体的には、一対のクランプ部材3は、移動を開始してから端子200が高さ位置決め部4に当接されるまで、停止することなく連続的に移動される。
【0070】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0071】
たとえば、上記実施形態では、一対のクランプ部材3の下部3a同士は、X方向(第1方向)から見て、位置が互いにずらされているとともに、一対のクランプ部材3の上部3b同士は、X方向から見て、互いオーバラップする例を示したが、本発明はこれに限られない。一対のクランプ部材3の上部3b同士が、X方向(第1方向)から見て、互いにオーバラップすることなく位置が互いにずらされていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、傾斜部30が、Y方向(第2方向)から見て、直線状に延びるように設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。傾斜部30が、Y方向(第2方向)から見て、曲がった形状(湾曲形状および屈曲形状等)を有していてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、高さ位置決め部4が、Z方向(高さ方向)において、傾斜部30の上方端33と同じ高さ位置に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、高さ位置決め部4が、Z方向(高さ方向)において、傾斜部30の上方端33よりも下方側に設けられていてもよい。また、端子200と高さ位置決め部4とが当接するのであれば、高さ位置決め部4が、Z方向(高さ方向)において、傾斜部30の上方端33よりも上方側に設けられていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、高さ位置決め部4とガイド部6の下方端60とにより端子200の位置決めを行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、高さ位置決め部4およびガイド部6の下方端60のいずれか一方のみにより端子200の位置決めが行われてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、高さ位置決め工程(S4)が、挟み込み工程(S3)と連続的に行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一対のクランプ部材3が端子200と接触した時点でクランプ部材3の移動を一旦停止し、その後、一対のクランプ部材3を再び移動(更に互いに接近)させてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、動力線201(導体、配線)の端子200の位置決めを行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上記実施形態の端子位置決め装置(方法)は、動力線以外の配線(たとえば電気機器の配線等)の端子の位置決めを行う場合に適用されてもよい。
【0077】
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0078】
一対のクランプ部材(3)の各々のうち下部(3a)の上方側に設けられ、端子(200)の高さ方向における位置決めが行われる部分を含む上部(3b)同士は、第1(X)方向から見て、互いにオーバラップするように配置されている。
【0079】
端子位置決め装置(100)は、ピン部材(5)を端子(200)の孔部(200b)に挿入した状態で、端子(200)のうち水平方向に延びるように設けられる平板状の部分(200a)を一対のクランプ部材(3)により挟み込むことによって、水平面内において端子(200)を位置決めするとともに、端子(200)に接続されている配線(201)の回転方向の位置を位置決めするように構成されている。
【0080】
一対のクランプ部材(3)の各々の傾斜部(30)は、第2(Y)方向から見て、直線状に延びるように設けられている。
【0081】
端子位置決め装置(100)は、ピン部材(5)の側面(50a)に沿ってピン部材(5)をガイドするように設けられるガイド部(6)をさらに備える。また、ガイド部(6)の下方端(60)は、高さ方向において、高さ位置決め部(4)と同じ高さ位置に設けられている。また、高さ位置決め部(4)およびガイド部(6)の下方端(60)は、それぞれ、端子(200)の互いに異なる部分と当接することにより、高さ(Z)方向において端子(200)を所定の高さ基準位置(P)に位置決めするように設けられている。
【0082】
高さ位置決め部(4)は、下方側の端部において高さ方向と直交するように設けられる平坦面(4a)と、平坦面(4a)を取り囲むように設けられる外周縁部(4b)と、を含む。また、外周縁部(4b)は、平坦面(4a)と端子(200)とが当接した状態で、端子(200)に設けられるR形状を有する折れ曲がり部(200c)に沿うようにR形状を有している。
【0083】
ピン部材(5)は、下方側の端部に設けられ、下方側に向かって先細る先細り部(50)を含む。
【0084】
高さ位置決め工程(S4)は、挟み込み工程(S3)と連続的に行われる工程である。
【符号の説明】
【0085】
3…クランプ部材、3a…下部、4…高さ位置決め部、5…ピン部材、30…傾斜部、31…下方端(傾斜部の下方端)、100…端子位置決め装置、200…端子、200b…孔部、201…動力線(配線、導体)、201a…端部(配線の端部)、P…高さ基準位置(所定の高さ基準位置)、S…隙間、X…方向(第1方向)、Y…方向(第2方向)、Z…方向(高さ方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7