特開 2022-152979 印刷装置、印刷準備方法、及び印刷準備プログラム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022152979

(43)【公開日】2022-10-12

(54)【発明の名称】印刷装置、印刷準備方法、及び印刷準備プログラム

(51)【国際特許分類】

   B65H 7/14 20060101AFI20221004BHJP

   B41J 3/36 20060101ALI20221004BHJP

   B41J 15/04 20060101ALI20221004BHJP

   B65H 23/18 20060101ALI20221004BHJP

【ＦＩ】

B65H7/14

B41J3/36 Z

B41J15/04

B65H23/18

【審査請求】未請求

【請求項の数】21

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021055963

(22)【出願日】2021-03-29

(71)【出願人】

【識別番号】000005267

【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100104178

【弁理士】

【氏名又は名称】山本 尚

(74)【代理人】

【識別番号】100143960

【弁理士】

【氏名又は名称】藤田 早百合

(72)【発明者】

【氏名】▲高▼尾 嘉洋

【テーマコード（参考）】

2C055

2C060

3F048

3F105

【Ｆターム（参考）】

2C055CC01

2C055CC05

2C055EE02

2C055JJ00

2C055JJ07

2C060BA04

2C060BA08

2C060BC03

2C060BC04

2C060BC12

2C060BC14

2C060BC22

2C060BC99

3F048AA05

3F048AB01

3F048AC04

3F048BA06

3F048BA20

3F048DA06

3F048DC13

3F048DC14

3F048EA15

3F048EB22

3F105AA02

3F105AB03

3F105BA30

3F105CA09

3F105CC01

3F105DA02

3F105DC12

3F105DC13

(57)【要約】

【課題】従来よりも、印刷開始までの時間を短くすることが可能な印刷装置、印刷準備方法、及び印刷準備プログラムを提供すること。
【解決手段】印刷装置は、供給部、印刷部、搬送部、張力付与部、搬送駆動部、制御部、及び媒体検出部を備える。供給部は、長尺状の媒体を供給する。印刷部は、供給部から供給される媒体に画像を印刷する。搬送部は、媒体を供給部から印刷部に向かう搬送方向と、搬送方向とは反対の戻し方向とに搬送する。制御部は、搬送駆動部を制御して、媒体を搬送方向に搬送した後、媒体を戻し方向に搬送する往復搬送中に、張力付与部により媒体に張力を付与することを複数回繰り返す斜行補正処理を行う（Ｓ８からＳ１０）。制御部は、複数回の往復搬送のうちの一の往復搬送中に、媒体検出部から出力された検出結果に基づき、媒体の属性を検出する検出処理を行う（Ｓ９）。
【選択図】図５

【特許請求の範囲】

【請求項1】

長尺状の媒体を供給する供給部と、
前記供給部から供給される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、
前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向と、前記搬送方向とは反対の戻し方向とに搬送する搬送部と、
前記媒体に張力を付与する張力付与部と、
前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、
前記印刷部と、前記搬送駆動部とを制御する制御部と
前記媒体の検出結果を前記制御部に出力する媒体検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記搬送駆動部を制御して、前記媒体を前記搬送方向に搬送した後、前記媒体を前記戻し方向に搬送する往復搬送中に、前記張力付与部により前記媒体に前記張力を付与することを複数回繰り返す斜行補正処理と、
複数回の前記往復搬送のうちの一の前記往復搬送中に、前記媒体検出部から出力された前記検出結果に基づき、前記媒体の属性を検出する検出処理と
を実行することを特徴とする印刷装置。

【請求項2】

前記媒体検出部は、透過型センサ又は反射型センサであり、
前記制御部は、
前記複数回の往復搬送のうちの他の前記往復搬送中に、前記媒体検出部を調整する調整処理を更に実行することを特徴とする請求項１に記載の印刷装置。

【請求項3】

前記制御部は、前記調整処理後に前記検出処理を行うことを特徴とする請求項２に記載の印刷装置。

【請求項4】

前記制御部は、
前記一の往復搬送の搬送距離に、前記斜行補正処理に要する搬送距離と、前記検出処理に要する搬送距離とのうちの長い方を設定し、前記一の往復搬送の搬送速度に前記斜行補正処理に要する搬送速度と、前記検出処理に要する搬送速度とのうちの遅い方を設定する条件設定処理を更に実行し、
前記斜行補正処理の前記一の往復搬送の少なくとも一部を、前記条件設定処理で設定された前記搬送速度で、前記搬送距離搬送して行うことを特徴とする請求項１から３の何れかに記載の印刷装置。

【請求項5】

前記制御部は、
前記他の往復搬送の搬送距離に、前記斜行補正処理に要する搬送距離と、前記調整処理に要する搬送距離とのうちの長い方を設定し、前記他の往復搬送の搬送速度に前記斜行補正処理に要する搬送速度と、前記調整処理に要する搬送速度とのうちの遅い方を設定する条件設定処理を更に実行し、
前記斜行補正処理のうちの前記他の往復搬送の少なくとも一部を、前記条件設定処理で設定された前記搬送速度で、前記搬送距離搬送して行うことを特徴とする請求項２に記載の印刷装置。

【請求項6】

前記制御部は、
前記斜行補正処理前に前記媒体の残量を取得する残量取得処理を更に実行することを特徴とする請求項１から５の何れかに記載の印刷装置。

【請求項7】

前記張力付与部により前記媒体に加えられる前記張力を出力する張力検出部を更に備え、
前記制御部は、前記残量取得処理で、前記張力検出部により検出された前記張力に基づき、前記媒体の前記残量を取得することを特徴とする請求項６に記載の印刷装置。

【請求項8】

前記制御部は、前記斜行補正処理で、前記残量取得処理で検出された前記残量に応じて前記搬送駆動部の駆動量を調整することを特徴とする請求項６又は７に記載の印刷装置。

【請求項9】

前記媒体を切断する切断部を更に備え、
前記制御部は、
前記複数の往復搬送のうちの前記他の往復搬送後において、前記搬送駆動部を制御して、前記張力付与部により前記媒体に前記張力が付与された状態で前記媒体を切断位置まで、前記搬送方向に搬送した後、前記切断部を駆動して、前記媒体を切断する切断処理を更に実行することを特徴とする請求項２又は５に記載の印刷装置。

【請求項10】

前記制御部は、前記斜行補正処理で、前記複数の往復搬送の各々において、前記媒体を前記搬送方向に搬送した後、前記媒体を所定の原点まで前記戻し方向に搬送することを特徴とする請求項１から９の何れかに記載の印刷装置。

【請求項11】

前記媒体は、台紙と、前記台紙に張り付けられた複数のラベルとを含み、
前記制御部は、
前記斜行補正処理で、前記複数の往復搬送の各々において、前記張力付与部により前記媒体に前記張力が付与された状態で前記媒体を前記搬送方向に搬送した後、前記張力付与部により前記媒体に前記張力を付与せずに前記戻し方向に搬送し、
前記調整処理で、前記他の往復搬送中の前記媒体検出部の複数の前記検出結果に基づき、前記ラベルを検出する際の閾値を調整し、
前記検出処理で、前記一の往復搬送中の前記媒体検出部の複数の前記検出結果と前記閾値に基づき、前記媒体の前記搬送方向の大きさを検出することを特徴とする請求項２、５、及び９の何れかに記載の印刷装置。

【請求項12】

長尺状の媒体を供給する供給部と、
前記供給部から供給される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、
前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向と、前記搬送方向とは反対の戻し方向とに搬送する搬送部と、
前記媒体に張力を付与する張力付与部と、
前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、
前記印刷部と、前記搬送駆動部とを制御する制御部と
前記媒体の検出結果を前記制御部に出力する媒体検出部とを備えた印刷装置の前記制御部により実行される印刷準備方法であって、
前記搬送駆動部を制御して、前記媒体を前記搬送方向に搬送した後、前記媒体を前記戻し方向に搬送する往復搬送中に、前記張力付与部により前記媒体に前記張力を付与することを複数回繰り返す斜行補正工程と、
複数回の前記往復搬送のうちの一の前記往復搬送中に、前記媒体検出部から出力された前記検出結果に基づき、前記媒体の属性を検出する検出工程と
を備えることを特徴とする印刷準備方法。

【請求項13】

前記媒体検出部は、透過型センサ又は反射型センサであり、
前記印刷準備方法は、
前記複数回の往復搬送のうちの他の前記往復搬送中に、前記媒体検出部を調整する調整工程を更に備えることを特徴とする請求項１２に記載の印刷準備方法。

【請求項14】

前記制御部は、前記調整工程後に前記検出工程を行うことを特徴とする請求項１３に記載の印刷準備方法。

【請求項15】

前記一の往復搬送の搬送距離に、前記斜行補正工程に要する搬送距離と、前記検出工程に要する搬送距離とのうちの長い方を設定し、前記一の往復搬送の搬送速度に前記斜行補正工程に要する搬送速度と、前記検出工程に要する搬送速度とのうちの遅い方を設定する条件設定工程を更に備え、
前記制御部は前記斜行補正工程の前記一の往復搬送の少なくとも一部を、前記条件設定工程で設定された前記搬送速度で、前記搬送距離搬送して行うことを特徴とする請求項１２から１４の何れかに記載の印刷準備方法。

【請求項16】

前記他の往復搬送の搬送距離に、前記斜行補正工程に要する搬送距離と、前記調整工程に要する搬送距離とのうちの長い方を設定し、前記他の往復搬送の搬送速度に前記斜行補正工程に要する搬送速度と、前記調整工程に要する搬送速度とのうちの遅い方を設定する条件設定工程を更に備え、
前記制御部は、前記斜行補正工程のうちの前記他の往復搬送の少なくとも一部を、前記条件設定工程で設定された前記搬送速度で、前記搬送距離搬送して行うことを特徴とする請求項１３に記載の印刷準備方法。

【請求項17】

長尺状の媒体を供給する供給部と、
前記供給部から供給される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、
前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向と、前記搬送方向とは反対の戻し方向とに搬送する搬送部と、
前記媒体に張力を付与する張力付与部と、
前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、
前記印刷部と、前記搬送駆動部とを制御する制御部と
前記媒体の検出結果を前記制御部に出力する媒体検出部とを備えた印刷装置の前記制御部により実行される指示を含む印刷準備プログラムであって、
前記搬送駆動部を制御して、前記媒体を前記搬送方向に搬送した後、前記媒体を前記戻し方向に搬送する往復搬送中に、前記張力付与部により前記媒体に前記張力を付与することを複数回繰り返す斜行補正処理と、
複数回の前記往復搬送のうちの一の前記往復搬送中に、前記媒体検出部から出力された前記検出結果に基づき、前記媒体の属性を検出する検出処理と
を前記印刷装置の前記制御部に実行させるための指示を含むことを特徴とする印刷準備プログラム。

【請求項18】

前記媒体検出部は、透過型センサ又は反射型センサであり、
前記印刷準備プログラムは、
前記複数回の往復搬送のうちの他の前記往復搬送中に、前記媒体検出部を調整する調整処理を前記印刷装置の前記制御部に実行させるための指示を含むことを特徴とする請求項１７に記載の印刷準備プログラム。

【請求項19】

前記制御部が、前記調整処理後に前記検出処理を行う前記指示を含むことを特徴とする請求項１８に記載の印刷準備プログラム。

【請求項20】

前記一の往復搬送の搬送距離に、前記斜行補正処理に要する搬送距離と、前記検出処理に要する搬送距離とのうちの長い方を設定し、前記一の往復搬送の搬送速度に前記斜行補正処理に要する搬送速度と、前記検出処理に要する搬送速度とのうちの遅い方を設定する条件設定処理を前記印刷装置の前記制御部に実行させるための指示を含み、
前記制御部が、前記斜行補正処理の前記一の往復搬送の少なくとも一部を、前記条件設定処理で設定された前記搬送速度で、前記搬送距離搬送して行うための指示を含むことを特徴とする請求項１７から１９の何れかに記載の印刷準備プログラム。

【請求項21】

前記他の往復搬送の搬送距離に、前記斜行補正処理に要する搬送距離と、前記調整処理に要する搬送距離とのうちの長い方を設定し、前記他の往復搬送の搬送速度に前記斜行補正処理に要する搬送速度と、前記調整処理に要する搬送速度とのうちの遅い方を設定する条件設定処理を前記印刷装置の前記制御部に実行させるための指示を含み、
前記制御部が、前記斜行補正処理のうちの前記他の往復搬送の少なくとも一部を、前記条件設定処理で設定された前記搬送速度で、前記搬送距離搬送して行うための指示を含むことを特徴とする請求項１８に記載の印刷準備プログラム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、印刷装置、印刷準備方法、及び印刷準備プログラムに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、長尺の媒体に画像を印刷する印刷装置は、例えば、特許文献１に記載の印刷装置のように、媒体の装着後に、印刷に先立って、装着された媒体の属性の検出、及び媒体の斜行の補正等の複数の処理を行う。また、従来の印刷装置は、例えば、特許文献２に記載の印刷装置のように、印刷に先立って、媒体を媒体の進行方向に対し反対方向に付勢した状態で、搬送方向と戻し方向とに数回往復搬送することで斜行を補正する。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開平８－２３１０８３号公報

【特許文献2】特許第５６７８６１８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

従来の印刷装置では、印刷に先立って行われる複数の処理の分、媒体を搬送方向と戻し方向とに複数回往復搬送するので、印刷開始までに時間がかかる。

【0005】

本発明は、従来よりも、印刷開始までの時間を短くすることが可能な印刷装置、印刷準備方法、及び印刷準備プログラムを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の第一態様に係る印刷装置は、長尺状の媒体を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向と、前記搬送方向とは反対の戻し方向とに搬送する搬送部と、前記媒体に張力を付与する張力付与部と、前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、前記印刷部と、前記搬送駆動部とを制御する制御部と、前記媒体の検出結果を前記制御部に出力する媒体検出部とを備え、前記制御部は、前記搬送駆動部を制御して、前記媒体を前記搬送方向に搬送した後、前記媒体を前記戻し方向に搬送する往復搬送中に、前記張力付与部により前記媒体に前記張力を付与することを複数回繰り返す斜行補正処理と、複数回の前記往復搬送のうちの一の前記往復搬送中に、前記媒体検出部から出力された前記検出結果に基づき、前記媒体の属性を検出する検出処理とを実行する。第一態様の印刷装置は、斜行補正処理中に検出処理を行うことで、斜行補正処理と検出処理とを別々に行う場合に比べ、印刷開始までの時間を従来よりも短くできる。

【0007】

本発明の第二態様に係る印刷準備方法は、長尺状の媒体を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向と、前記搬送方向とは反対の戻し方向とに搬送する搬送部と、前記媒体に張力を付与する張力付与部と、前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、前記印刷部と、前記搬送駆動部とを制御する制御部と、前記媒体の検出結果を前記制御部に出力する媒体検出部とを備えた印刷装置の前記制御部により実行される印刷準備方法であって、前記搬送駆動部を制御して、前記媒体を前記搬送方向に搬送した後、前記媒体を前記戻し方向に搬送する往復搬送中に、前記張力付与部により前記媒体に前記張力を付与することを複数回繰り返す斜行補正工程と、複数回の前記往復搬送のうちの一の前記往復搬送中に、前記媒体検出部から出力された前記検出結果に基づき、前記媒体の属性を検出する検出工程とを備える。第二態様の印刷準備方法は、斜行補正処理中に検出処理を行うことで、斜行補正処理と検出処理とを別々に行う場合に比べ、印刷開始までの時間を従来よりも短くできる。

【0008】

本発明の第三態様に係る印刷準備プログラムは、長尺状の媒体を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向と、前記搬送方向とは反対の戻し方向とに搬送する搬送部と、前記媒体に張力を付与する張力付与部と、前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、前記印刷部と、前記搬送駆動部とを制御する制御部と、前記媒体の検出結果を前記制御部に出力する媒体検出部とを備えた印刷装置の前記制御部により実行される指示を含む印刷準備プログラムであって、前記搬送駆動部を制御して、前記媒体を前記搬送方向に搬送した後、前記媒体を前記戻し方向に搬送する往復搬送中に、前記張力付与部により前記媒体に前記張力を付与することを複数回繰り返す斜行補正処理と、複数回の前記往復搬送のうちの一の前記往復搬送中に、前記媒体検出部から出力された前記検出結果に基づき、前記媒体の属性を検出する検出処理とを前記印刷装置の前記制御部に実行させるための指示を含む。第三態様の印刷準備プログラムは、印刷装置の制御部に実行されることにより、斜行補正処理中に検出処理を行うことで、斜行補正処理と検出処理とを別々に行う場合に比べ、印刷開始までの時間を従来よりも短くできる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】印刷装置１の斜視図である。

【図2】印刷装置１の内部構成を示す断面図である。

【図3】印刷装置１の電気的構成を示すブロック図である。

【図4】（Ａ）は台紙Ｍ１と、複数のラベルＭ２とを含む媒体Ｍの模式図であり、（Ｂ）は媒体検出部５３が制御部３０に出力する出力結果の模式図である。

【図5】印刷準備処理のフローチャートである。

【図6】図５の印刷準備処理で実行される第一搬送処理のフローチャートである。

【図7】図５の印刷準備処理で実行される第二搬送処理のフローチャートである。

【図8】図５の印刷準備処理で実行される第三搬送処理のフローチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0010】

本発明の一実施形態に係る印刷装置１について、図面を参照して順に説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、図１の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、印刷装置１の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。

【0011】

図１及び図２を参照して、印刷装置１の物理的構成を説明する。図１に示すように、印刷装置１は、筐体２、表示部３、及び操作部４を備える。筐体２は、前壁２４、右壁２５、後壁２６、下壁２７、上壁２８、左壁２９、及びカバー２３を有する。筐体２は、卓上に載置可能な大きさの直方体状である。筐体２には、排出口２１及び開口２２が形成される。排出口２１は、筐体２の前壁２４に、正面視左右方向に長い矩形状に形成される。開口２２は、筐体２の右壁２５の後下部に、右側面視矩形状に形成される。カバー２３は、右側面視矩形状の板であり、図１中実線で図示する、開口２２を塞ぐ閉位置と、図１中一点鎖線で図示する、開口２２を解放する開位置とに回動可能に筐体２の右側面の後下部に支持される。表示部３は、筐体２の前壁２４の前面右上部に設けられ、画像を表示する。操作部４は、筐体２の前壁２４の前面右上部のうち、表示部３の下方に設けられ、各種指示を入力する複数のボタンである。表示部３及び操作部４は、排出口２１の上方に設けられる。

【0012】

図２に示すように、印刷装置１は、筐体２の内部に、供給部５、搬送部７、１０、１５、１９、４８、隔壁５５、張力付与部８、媒体検出部５３、印刷部６、定着ユニット４０、読取部４５、及び切断部５０を収容する。印刷装置１は、長尺状の媒体Ｍに印刷を行うインクジェットプリンタである。媒体Ｍは、例えば、筒状の紙管Ｋにロール状に巻回された長尺状である。

【0013】

供給部５は、図１に実線で示す閉位置にあるカバー２３の左方、且つ、印刷装置１の後下部の、図２に示す隔壁５５と後壁２６とによって囲まれた空間に設けられる。供給部５は、ロールＲを保持する。ロールＲは、媒体Ｍがロール状に巻かれたものである。本実施形態の供給部５は、軸部５１、及びマガジン５２を備える。軸部５１は、左右方向に延び、ロールＲの紙管Ｋに挿通される。マガジン５２は、正面視Ｕ字状の支持台である。マガジン５２は、軸部５１の左右両端部を、軸部５１が左右方向に延びる軸周りに回動可能に支持する。軸部５１は、マガジン５２に取り外し可能に支持される。マガジン５２は、印刷装置１に取り外し可能に支持される。ユーザはロールＲを交換する場合、図１に示すカバー２３を開位置に配置して、図２に示すマガジン５２を筐体２の内部から取り出し、ロールＲの交換作業を行う。隔壁５５は、筐体２の下壁２７から上方に延びる第一壁部５６と、第一壁部５６の上端から後方に延びる第二壁部５７とを有し、筐体２の内部空間を仕切る。第二壁部５７は、筐体２の後壁２６と前後方向に離隔する。

【0014】

印刷部６は、供給部５から供給される媒体Ｍに画像を印刷する。本実施形態の印刷部６は、液体Ｇを吐出方向に吐出する複数のノズル６０を備え、複数のノズル６０から液体Ｇを吐出することで、媒体Ｍに画像に印刷を行うインクジェットヘッドである。本実施形態の吐出方向は下方であり、印刷部６は、媒体Ｍの搬送経路Ｑの上方に、複数のノズル６０が下方を向く姿勢で設けられる。搬送経路Ｑは、供給部５から繰り出され、排出口２１から筐体２の外部に排出されるまでの、媒体Ｍが搬送される経路である。液体Ｇは、図示しないチューブを介して筐体２の内部に配置されたタンク２０から印刷部６に供給される。

【0015】

搬送部７は、媒体Ｍを供給部５から印刷部６に向かう搬送方向Ｆと、搬送方向Ｆとは反対の戻し方向Ｂとに搬送する。搬送方向Ｆは供給部５から印刷部６に向かう搬送経路Ｑに沿った方向である。搬送方向Ｆは、ロールＲの回転軸の延設方向である左右方向に交差する方向であり、搬送経路Ｑ上の位置に応じて変化する方向である。供給部５から張力付与部８までの搬送方向Ｆは、媒体Ｍの残量に応じて変化する方向であり、図２に示すように媒体Ｍの残量が初期値、すなわち、ロールＲ交換直後の残量値である場合、概ね上方である。張力付与部８から排出口２１までの搬送方向Ｆは、概ね前方である。つまり印刷装置１では、媒体Ｍが張力付与部８に当接する部分で、搬送経路Ｑが屈曲し、搬送方向Ｆが上方から前方に変化する。

【0016】

搬送部７は、印刷部６に対し搬送方向上流側、且つ 供給部５に対し搬送方向下流側に設けられる。つまり搬送部７は、媒体Ｍの搬送経路Ｑにおいて、印刷部６と、供給部５との間に設けられる。本実施形態の搬送部７は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ７１と、ピンチローラ７２とを有し、搬送ローラ７１と、ピンチローラ７２とで媒体Ｍを上下に挟んでニップ搬送を行う。

【0017】

媒体検出部５３は、媒体Ｍの検出結果を制御部３０に出力する。本実施形態の媒体検出部５３は、透過型センサ又は反射型センサである。媒体検出部５３が反射型センサである場合、媒体検出部５３は、例えば、台紙Ｍ１と、ラベルＭ２との反射率の差によって、ラベルＭ２の先端を検出する。台紙Ｍ１が搬送方向Ｆに所定間隔で列設された複数の孔を備え、媒体検出部５３が透過型センサである場合、媒体検出部５３は、例えば、台紙Ｍ１に複数の孔を透過するか否かによって、ラベルＭ２の先端を検出する。

【0018】

搬送部１０は、搬送部７よりも搬送方向下流に設けられ、媒体Ｍを搬送方向Ｆ及び戻し方向Ｂに搬送する。本実施形態の搬送部１０は、供給部５に保持されたロールＲを回動して、媒体Ｍを戻し方向Ｂに搬送して、ロールＲに巻き取る。本実施形態の搬送部１０は、供給部５の軸部５１と取り外し可能に係合する。搬送部１０は、供給部５に保持されたロールＲを回動して、媒体Ｍを搬送方向Ｆに搬送して、ロールＲから媒体Ｍを印刷部６に向けて繰り出させる。

【0019】

張力付与部８は、搬送経路Ｑにおいて、供給部５と搬送部７との間の媒体Ｍに張力を付与する。張力は、媒体Ｍの進行方向とは逆方向に作用する張力である。張力付与部８は、搬送部７よりも搬送方向下流側、且つ、搬送部１０よりも搬送方向上流側に配置され、媒体Ｍに当接して媒体Ｍを搬送方向Ｆと交差する方向に付勢する。つまり、張力付与部８は、搬送経路Ｑにおいて、搬送部７と、搬送部１０との間に設けられる。張力付与部８は、搬送部７の後方、且つ、供給部５の上方に設けられる。

【0020】

搬送部１５は、印刷部６の下方、且つ、搬送部７に対し搬送方向下流側に設けられ、媒体Ｍを搬送方向Ｆに搬送する。搬送部１５は、駆動ローラ１３、従動ローラ１４、及び無端ベルト１６を備える。駆動ローラ１３と、従動ローラ１４とは、前後方向に互いに離隔している。無端ベルト１６は、駆動ローラ１３と、従動ローラ１４とに掛け渡される。無端ベルト１６の回転に伴い、従動ローラ１４が回転する。無端ベルト１６の外周面の上端は、搬送部７により媒体Ｍがニップされる部分の上下位置と略同じであり、印刷部６の複数のノズル６０と対向する。無端ベルト１６の外周面の上端は、搬送方向Ｆにおいて、搬送部７と、搬送部１９との間で搬送される媒体Ｍを下方から、静電気又は負圧により無端ベルト１６に吸着させた状態で搬送する。

【0021】

定着ユニット４０は、印刷部６に対し搬送方向下流側且つ搬送部１９に対し搬送方向上流側に配置される。定着ユニット４０は、ハロゲンヒータであり、ハロゲンランプ４１、反射板４２、及び筐体４３を有する。筐体４３の下壁には、左右方向に沿った開口４４が形成されている。定着ユニット４０は、開口４４を通じて赤外光を輻射し、開口４４の直下を通過する媒体Ｍを加熱する。これにより、印刷部６により媒体Ｍ上に吐出された液体Ｇは媒体Ｍに定着する。

【0022】

搬送部１９は、印刷部６及び定着ユニット４０に対し搬送方向下流側、且つ、読取部４５、切断部５０、及び排出口２１に対し搬送方向上流側に設けられ、媒体Ｍを搬送方向Ｆと、戻し方向Ｂとに搬送する。搬送部１９は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ１７と、ピンチローラ１８とを有し、搬送ローラ１７と、ピンチローラ１８とで媒体Ｍを上下に挟んでニップ搬送を行う。

【0023】

読取部４５は、印刷部６及び搬送部１９に対し搬送方向下流側、且つ、切断部５０及び排出口２１に対し搬送方向上流側に設けられる。読取部４５は、搬送経路Ｑの直上に位置する。媒体ＭのラベルＭ２の表面に印刷された画像を光学的に読み取り、読み取られた画像を示す画像信号を出力する。読取部４５は、例えば、媒体Ｍの幅方向、つまり、左右方向に長いＣＩＳ（Ｃｏｎｔａｃｔ Ｉｍａｇｅ Ｓｅｎｓｏｒ）等のラインイメージセンサである。

【0024】

搬送部４８は、読取部４５に対し搬送方向下流側、且つ、切断部５０及び排出口２１に対し搬送方向上流側に設けられ、媒体Ｍを搬送方向Ｆと、戻し方向Ｂとに搬送する。搬送部４８は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ４６と、ピンチローラ４７とを有し、搬送ローラ４６と、ピンチローラ４７とで媒体Ｍを上下に挟んでニップ搬送を行う。

【0025】

切断部５０は、読取部４５及び搬送部４８に対し搬送方向下流側、且つ、排出口２１に対し搬送方向上流側に設けられ、搬送経路Ｑの直上に位置する。切断部５０は、下方に延出する刃５９を有している。刃５９は、切断位置と、待機位置とに移動可能であり、搬送経路Ｑにおいて排出口２１の直後の位置で媒体Ｍを切断する。図２において実線で示すように、切断位置は、刃５９が搬送経路Ｑと交差する位置である。図２において点線で示すように、待機位置は、刃５９が搬送経路Ｑから離隔し、搬送経路Ｑの直上に配置される位置である。

【0026】

図３を参照し、印刷装置１の電気的構成を説明する。印刷装置１は、制御部３０と、制御部３０に電気的に接続された記憶部３１、操作部４、表示部３、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９、印刷部６、ハロゲンランプ４１、エンコーダ３３から３７、媒体検出部５３、張力検出部５４、読取部４５、及び切断部５０とを備える。制御部３０は、印刷装置１の制御を司り、印刷部６、ハロゲンランプ４１、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９、及び切断部５０を制御する。記憶部３１は、制御部３０による各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータ等を記憶するＲＯＭ、ＲＡＭ、及びフラッシュメモリ等を含む。

【0027】

搬送駆動部９は、制御部３０の制御により、搬送部７を回転駆動する。搬送駆動部１１は、制御部３０の制御により、搬送部１０を回転駆動する。搬送駆動部３８は、制御部３０の制御により、搬送部１５の駆動ローラ１３を回転させることで、搬送部１５の無端ベルト１６を回転させる。搬送駆動部３９は、制御部３０の制御により、搬送部１９を回転駆動する。搬送駆動部４９は、制御部３０の制御により、搬送部４８を回転駆動する。搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９は各々、例えば、正逆回転可能なステッピングモータである。エンコーダ３３は、搬送駆動部９に駆動量に応じた値を制御部３０に入力する。エンコーダ３４は、搬送駆動部１１に駆動量に応じた値を制御部３０に入力する。エンコーダ３５は、搬送駆動部３８に駆動量に応じた値を制御部３０に入力する。エンコーダ３６は、搬送駆動部３９に駆動量に応じた値を制御部３０に入力する。エンコーダ３７は搬送駆動部４９に駆動量に応じた値を制御部３０に入力する。張力検出部５４は、張力付与部８により、張力付与部８と、搬送部７との間の媒体Ｍに付与された張力に応じた検出結果を制御部３０に出力する。

【0028】

図４を参照し、媒体Ｍの構成を説明する。図４に示すように、媒体Ｍは長尺状の台紙Ｍ１と、台紙Ｍ１に添付された複数のラベルＭ２とを含む。各ラベルＭ２は、長手方向の長さが長さＬ、長手方向に直交する幅方向の長さが横幅Ｗである矩形状である。複数のラベルＭ２は台紙Ｍ１に間隔Ｊをあけて搬送方向Ｆに等間隔で貼付されている。

【0029】

図５から図８を参照して、印刷装置１の制御部３０によって実行される印刷準備処理について説明する。印刷準備処理は、印刷装置１において媒体Ｍが交換された後、最初に印刷の指示が検出された場合に実行される。指示には、媒体Ｍの斜行補正の印刷準備処理を行う指令と、印刷データと、印刷データに基づき印刷処理を実行する指示とが含まれる。以下の説明において、各処理のステップを「Ｓ」と略記する。印刷準備処理開始時において、媒体Ｍは、搬送部７に挟まれており、媒体Ｍの属性がユーザにより印刷装置１に入力されている。

【0030】

図５に示すように、制御部３０は、切断部５０を制御して、刃５９を初期位置に移動させる（Ｓ１）。刃５９の初期位置は、図２において点線で示す、刃５９が搬送経路Ｑの上方に離隔する待機位置である。制御部３０は、処理開始時の媒体Ｍの先端、つまり、媒体Ｍの前端の位置Ｐ０を所定の原点位置として記憶する（Ｓ２）。制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を所定の駆動量で制御して、媒体Ｍを搬送方向Ｆに搬送する処理を開始する（Ｓ３）。所定の駆動量は、媒体Ｍの張力を取得する際の駆動量として予め設定され、記憶部３１に記憶されている。制御部３０は、張力検出部５４の出力値に基づき、媒体Ｍが搬送方向Ｆに搬送されている期間の媒体Ｍの張力を取得する（Ｓ４）。Ｓ３では媒体Ｍの残量によらず同じ駆動量で、搬送駆動部１１が駆動されるので、搬送部１０により繰り出される媒体Ｍの搬送速度は、媒体Ｍの残量に応じて変化する。搬送部１０により繰り出される媒体Ｍの搬送速度と、搬送部７による媒体Ｍの搬送速度との差に応じて、媒体Ｍに付与される張力は変化する。制御部３０は、記憶部３１に記憶された張力及び媒体Ｍの残量の対応と、Ｓ４で取得された張力とに基づき、媒体Ｍの残量を取得する（Ｓ５）。制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、媒体Ｍの先端の位置がＳ２で記憶された位置Ｐ０まで戻し方向Ｂに媒体Ｍを搬送する（Ｓ６）。

【0031】

制御部３０は、斜行補正処理の変数として、速度Ｖ０、距離Ｄ０を決定する（Ｓ７）。速度Ｖ０と距離Ｄ０との決定方法は適宜設定されればよい。例えば、速度Ｖ０と距離Ｄ０とは、記憶部３１に記憶された値に決定されてもよいし、ユーザによって設定された値に決定されてもよい。制御部３０は第一搬送処理を行う（Ｓ８）。制御部３０は、第一搬送処理で、斜行補正処理の複数回の往復搬送のうちの一回目の往復搬送と、媒体検出部５３を調整する調整処理とを実行する。制御部３０は、斜行補正処理では、複数の往復搬送の各々において、張力付与部８により媒体Ｍに張力が付与された状態で媒体Ｍが搬送方向Ｆに搬送した後、張力付与部８により媒体Ｍに張力を付与せずに戻し方向Ｂに搬送する。本実施形態の制御部３０は、調整処理において、媒体検出部５３により媒体Ｍの先端を検出する処理及び後述の検出処理に用いる閾値を設定する。

【0032】

図６に示すように、第一搬送処理では、制御部３０は調整処理の変数として、速度Ｖ１と距離Ｄ１とを決定する（Ｓ１１）。速度Ｖ１と距離Ｄ１との決定方法は適宜設定されればよい。距離Ｄ１は、例えば、位置Ｐ０と、読取部４５との間の距離に応じて予め設定され、記憶部３１に記憶された値に決定されてもよい。速度Ｖ１は、例えば媒体検出部５３の検出性能に応じて予め設定され、記憶部３１に記憶された値に決定されてもよい。速度Ｖ１と距離Ｄ１とは、ユーザによって設定された値が決定されてもよい。

【0033】

制御部３０は、Ｓ７で決定された速度Ｖ０よりも、Ｓ１１で決定された速度Ｖ１の方が大きいかを判断する（Ｓ１２）。速度Ｖ１が速度Ｖ０よりも大きい場合（Ｓ１２：ＹＥＳ）、制御部３０は、搬送速度Ｖに速度Ｖ０を設定する（Ｓ１３）。速度Ｖ１が速度Ｖ０よりも大きくはない場合（Ｓ１２：ＮＯ）、制御部３０は、搬送速度Ｖに速度Ｖ１を設定する（Ｓ１４）。Ｓ１２からＳ１４の処理により、制御部３０は、搬送速度Ｖに斜行補正処理に要する搬送速度Ｖ０と、調整処理に要する搬送速度Ｖ１とのうちの遅い方を設定する。

【0034】

制御部３０は、Ｓ７で決定された距離Ｄ０よりも、Ｓ１１で決定された距離Ｄ１の方が大きいかを判断する（Ｓ１５）。距離Ｄ１が距離Ｄ０よりも大きい場合（Ｓ１５：ＹＥＳ）、制御部３０は、搬送距離Ｄに距離Ｄ１を設定する（Ｓ１６）。距離Ｄ１が距離Ｄ０よりも大きくはない場合（Ｓ１５：ＮＯ）、制御部３０は、搬送距離Ｄに距離Ｄ０を設定する（Ｓ１７）。Ｓ１５からＳ１７の処理により、制御部３０は、搬送距離Ｄに、斜行補正処理に要する搬送距離Ｄ０と、調整処理に要する搬送距離Ｄ１とのうちの長い方を設定する。

【0035】

制御部３０は、媒体検出部５３を起動する（Ｓ１８）。媒体検出部５３は所定周期で検出結果を制御部３０に出力する。所定周期は、例えば、数ミリ秒を一周期とする周期である。制御部３０は、媒体検出部５３から出力された検出結果を随時記憶部３１に記憶する。制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、媒体Ｍを搬送方向Ｆに、搬送速度Ｖで、搬送距離Ｄだけ搬送する（Ｓ１９）。制御部３０は、搬送速度Ｖで搬送するための搬送駆動部１１の駆動量を、Ｓ５で取得された媒体Ｍの残量に応じて設定する。Ｓ１９では、張力付与部８により所定の張力が媒体Ｍに付与される。これにより制御部３０は、斜行補正処理のうちの一回目の往復搬送の往路搬送、つまり搬送方向Ｆの搬送を、Ｓ１３又はＳ１４の処理で設定された搬送速度Ｖで、Ｓ１６又はＳ１７の処理で設定された搬送距離Ｄだけ搬送して行う。

【0036】

制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、媒体Ｍの先端の位置がＳ２で記憶された位置Ｐ０まで戻し方向Ｂに媒体Ｍを搬送する（Ｓ２０）。Ｓ２０の処理により、制御部３０は、斜行補正処理の複数の往復搬送のうちの一回目の往復搬送において、媒体Ｍが搬送方向Ｆに搬送された後、媒体Ｍを所定位置Ｐ０まで戻し方向Ｂに搬送する。Ｓ２０では、張力付与部８により所定の張力は媒体Ｍに付与されない。Ｓ２０の搬送速度はＳ１３又はＳ１４で設定された値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。

【0037】

制御部３０は、Ｓ１８で起動された媒体検出部５３の検出結果の中に、最大値及び最小値のデータがあるかを判断する（Ｓ２１）。制御部３０は、例えば、検出結果の最大値と、最小値との差が所定値以上の時に、検出結果の中に、最大値及び最小値のデータがあると判断する。検出結果の中に、最大値及び最小値のデータがないと判断された場合（Ｓ２１：ＮＯ）、制御部３０は媒体検出部５３のエラーを記憶して（Ｓ２３）、印刷準備処理を終了させる。最大値及び最小値のデータがあると判断された場合（Ｓ２１：ＹＥＳ）、制御部３０は、媒体検出部５３により、台紙Ｍ１に張り付けられたラベルＭ２の先端、つまりラベルＭ２の前端を検出するための閾値を設定する（Ｓ２２）。制御部３０は、例えば、検出結果の最大値と最小値との平均値を閾値に設定してもよい。制御部３０は以上で、第一搬送処理を終了し、処理を図５の印刷準備処理に戻す。

【0038】

制御部３０は、Ｓ８の次に、第二搬送処理を行う（Ｓ９）。制御部３０は、第二搬送処理により、斜行補正処理の複数回の往復搬送のうちの二回目の往復搬送中に、媒体検出部５３から出力された検出結果に基づき、媒体Ｍの属性を検出する検出処理を行う。本実施形態の制御部３０は、媒体Ｍの属性として、図４（Ａ）に示す、隣接する複数のラベルＭ２間の距離Ｐと、ラベルＭ２の横幅Ｗとを検出する。制御部３０は、距離Ｐを媒体検出部５３の検出結果に基づき検出する。制御部３０は、調整処理後に検出処理を行い、調整処理で設定された閾値を用いて距離Ｐを検出する。制御部３０は、横幅Ｗを読取部４５により読み取られた画像に基づき検出する。

【0039】

図７に示すように、第二搬送処理では、制御部３０は検出処理の変数として、速度Ｖ２と距離Ｄ２とを決定する（Ｓ３１）。速度Ｖ２と距離Ｄ２との決定方法は適宜設定されればよい。距離Ｄ２は、例えば、位置Ｐ０と、読取部４５との間の距離に応じて予め設定され、記憶部３１に記憶された値に決定されてもよい。速度Ｖ２は、例えば媒体検出部５３の検出性能に応じて予め設定され、記憶部３１に記憶された値に決定されてもよい。速度Ｖ２と距離Ｄ２とは、ユーザによって設定された値が決定されてもよい。制御部３０は、Ｓ７で決定された速度Ｖ０よりも、Ｓ３１で決定された速度Ｖ２の方が大きいかを判断する（Ｓ３２）。速度Ｖ２が速度Ｖ０よりも大きい場合（Ｓ３２：ＹＥＳ）、制御部３０は、搬送速度Ｖに速度Ｖ０を設定する（Ｓ３３）。速度Ｖ２が速度Ｖ０よりも大きくはない場合（Ｓ３２：ＮＯ）、制御部３０は、搬送速度Ｖに速度Ｖ２を設定する（Ｓ３４）。Ｓ３２からＳ３４の処理により、制御部３０は、搬送速度Ｖに斜行補正処理に要する搬送速度Ｖ０と、検出処理に要する搬送速度Ｖ２とのうちの遅い方を設定する。

【0040】

制御部３０は、Ｓ７で決定された距離Ｄ０よりも、Ｓ３１で決定された距離Ｄ２の方が大きいかを判断する（Ｓ３５）。距離Ｄ２が距離Ｄ０よりも大きい場合（Ｓ３５：ＹＥＳ）、制御部３０は、搬送距離Ｄに距離Ｄ２を設定する（Ｓ３６）。距離Ｄ２が距離Ｄ０よりも大きくはない場合（Ｓ３５：ＮＯ）、制御部３０は、搬送距離Ｄに距離Ｄ０を設定する（Ｓ３７）。Ｓ３５からＳ３７の処理により、制御部３０は、搬送距離Ｄに、斜行補正処理に要する搬送距離Ｄ０と、検出処理に要する搬送距離Ｄ２とのうちの長い方を設定する。制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、媒体Ｍを搬送方向Ｆに、搬送速度Ｖで、搬送距離Ｄだけ搬送する（Ｓ３８）。制御部３０は、搬送速度Ｖで搬送するための搬送駆動部１１の駆動量を、Ｓ５で取得された媒体Ｍの残量に応じて設定する。Ｓ３８では、張力付与部８により所定の張力が媒体Ｍに付与される。これにより制御部３０は、斜行補正処理の二回目の往復搬送の往路搬送を、Ｓ３３又はＳ３４で設定された搬送速度Ｖで、Ｓ３６又はＳ３７で設定された搬送距離Ｄだけ搬送して行う。制御部３０は、搬送方向Ｆの媒体Ｍの距離Ｐを推定する（Ｓ４０）。制御部３０は、第一搬送処理中の調整処理において設定された閾値を用いて、媒体Ｍの搬送方向Ｆの大きさに対応する距離Ｐを推定する。図４（Ｂ）に示すように、制御部３０は、例えば、媒体検出部５３の検出結果が示す、隣合う極大値の平均値を距離Ｐとして推定する。

【0041】

制御部３０は、Ｓ４１で推定された長さと、設定された媒体Ｍの長さが一致するかを判断する（Ｓ４１）。設定された媒体Ｍの長さは、印刷準備処理開始前にユーザにより設定された媒体Ｍの属性に基づき取得される。制御部３０は、Ｓ４１で推定された長さと、設定された媒体Ｍの長さとの差が所定範囲に収まる場合に、両者が一致すると判断してもよい。推定された長さと、設定された媒体Ｍの長さとが一致していないと判断された場合（Ｓ４１：ＮＯ）、制御部３０は媒体不一致のエラーを記憶して（Ｓ４８）、印刷準備処理を終了させる。

【0042】

推定された長さと、設定された媒体Ｍの長さとが一致していると判断された場合（Ｓ４１：ＹＥＳ）、制御部３０は、搬送速度Ｖに、速度Ｖｗを設定する（Ｓ４２）。速度Ｖｗは、読取部４５により読み取られた画像に基づきラベルＭ２の横幅Ｗを検出するのに適した速度である。本実施形態の制御部３０は、検出処理において、距離Ｐに加え、読取部４５によって読み取られた画像に基づき、媒体Ｍの横幅Ｗを検出する。読取部４５は、位置Ｐ０から、距離Ｄ０及びＤ２以上離れている。このため制御部３０は、Ｓ３８で搬送距離Ｄだけ搬送した後、搬送速度ＶにＶｍを設定し、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、媒体Ｍを搬送方向Ｆに、搬送速度Ｖで搬送する（Ｓ４３）。制御部３０は、搬送速度Ｖで搬送するための搬送駆動部１１の駆動量を、Ｓ５で取得された媒体Ｍの残量に応じて設定する。Ｓ４３では、張力付与部８により所定の張力が媒体Ｍに付与される。制御部３０は、媒体Ｍの先端が横幅検出位置にあるかを判断する（Ｓ４４）。横幅検出位置は、少なくとも媒体Ｍの先端部のラベルＭ２が読取部４５の下方に位置する位置である。制御部３０は、媒体Ｍの先端が横幅検出位置に達するまで待機する（Ｓ４４：ＮＯ）。媒体Ｍの先端が横幅検出位置にある時（Ｓ４４：ＹＥＳ）、制御部３０は、読取部４５により読み取られた画像を公知の方法で解析して、媒体Ｍの横幅Ｗを検出する（Ｓ４５）。

【0043】

制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、媒体Ｍの先端の位置がＳ２で記憶された位置Ｐ０まで戻し方向Ｂに媒体Ｍを搬送する（Ｓ４６）。Ｓ４６の処理により制御部３０は、斜行補正処理の複数の往復搬送のうちの二回目の往復搬送において、媒体Ｍが搬送方向Ｆに搬送された後、媒体Ｍを所定位置Ｐ０まで戻し方向Ｂに搬送する。Ｓ４６では、張力付与部８により所定の張力は媒体Ｍに付与されない。Ｓ４６の搬送速度はＳ３３又はＳ３４で設定された値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。制御部３０は、Ｓ４６で検出された横幅Ｗと、設定された横幅が一致するかを判断する（Ｓ４７）。設定された横幅は、印刷準備処理開始前にユーザにより設定された媒体Ｍの属性に基づき取得される。検出された横幅Ｗが、設定された横幅と一致しないと判断された場合（Ｓ４７：ＮＯ）、制御部３０は媒体不一致のエラーを記憶して（Ｓ４８）、印刷準備処理を終了させる。検出された横幅Ｗが、設定された横幅と一致すると判断された場合（Ｓ４７：ＹＥＳ）、制御部３０は、以上で第二搬送処理を終了し、処理を図５の印刷準備処理に戻す。

【0044】

制御部３０は、Ｓ９の次に、第三搬送処理を行う（Ｓ１０）。制御部３０は、第三搬送処理で、斜行補正処理の複数の往復搬送のうちの三回目の往復搬送と、媒体Ｍを切断する切断処理とを行う。図８に示すように、第三搬送処理では、制御部３０は切断処理の変数として、速度Ｖ３と距離Ｄ３とを決定する（Ｓ５１）。Ｓ１１、Ｓ３１と同様に、速度Ｖ３と距離Ｄ３との決定方法は適宜設定されればよい。制御部３０は、Ｓ７で決定された速度Ｖ０よりも、Ｓ５１で決定された速度Ｖ３の方が大きいかを判断する（Ｓ５２）。速度Ｖ３が速度Ｖ０よりも大きい場合（Ｓ５２：ＹＥＳ）、制御部３０は、搬送速度Ｖに速度Ｖ０を設定する（Ｓ５３）。速度Ｖ３が速度Ｖ０よりも大きくはない場合（Ｓ５２：ＮＯ）、制御部３０は、搬送速度Ｖに速度Ｖ３を設定する（Ｓ５４）。Ｓ５２からＳ５４の処理により、制御部３０は、搬送速度Ｖに斜行補正処理に要する搬送速度Ｖ０と、切断処理に要する搬送速度Ｖ３とのうちの遅い方を設定する。

【0045】

制御部３０は、Ｓ７で決定された距離Ｄ０よりも、Ｓ５１で決定された距離Ｄ３の方が大きいかを判断する（Ｓ５５）。距離Ｄ３が距離Ｄ０よりも大きい場合（Ｓ５５：ＹＥＳ）、制御部３０は、搬送距離Ｄに距離Ｄ３を設定する（Ｓ５６）。距離Ｄ３が距離Ｄ０よりも大きくはない場合（Ｓ５５：ＮＯ）、制御部３０は、搬送距離Ｄに距離Ｄ０を設定する（Ｓ５７）。Ｓ５５からＳ５７の処理により、制御部３０は、搬送距離Ｄに、斜行補正処理に要する搬送距離Ｄ０と、切断処理に要する搬送距離Ｄ３とのうちの長い方を設定する。制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、媒体Ｍを搬送方向Ｆに、搬送速度Ｖで、搬送距離Ｄだけ搬送する（Ｓ５８）。制御部３０は、搬送速度Ｖで搬送するための搬送駆動部１１の駆動量を、Ｓ５で取得された媒体Ｍの残量に応じて設定する。Ｓ３８では、張力付与部８により所定の張力が媒体Ｍに付与される。これにより制御部３０は、斜行補正処理の三回目の往復搬送の往路搬送を、Ｓ５３又はＳ５４で設定された搬送速度Ｖで、Ｓ５６又はＳ５７で設定された搬送距離Ｄだけ搬送して行う。

【0046】

制御部３０は、媒体Ｍが切断位置にあるかを判断する（Ｓ５９）。搬送距離Ｄに距離Ｄ３が設定された場合、制御部３０は媒体Ｍが切断位置にあると判断する。媒体Ｍが切断位置にある場合（Ｓ５９：ＹＥＳ）、制御部３０は、切断部５０を制御して、媒体Ｍの先端部を切断する（Ｓ６１）。媒体Ｍが切断位置にない場合（Ｓ５９：ＮＯ）、制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、媒体Ｍを切断位置まで戻し方向Ｂに搬送した後（Ｓ６０）、Ｓ６１の処理を行う。Ｓ６０では、張力付与部８により所定の張力は媒体Ｍに付与されない。制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、Ｓ６１で切断後の媒体Ｍの先端の位置がＳ２で記憶された位置Ｐ０まで戻し方向Ｂに媒体Ｍを搬送する（Ｓ６２）。Ｓ６２の処理により制御部３０は、斜行補正処理の複数の往復搬送のうちの三回目の往復搬送において、媒体Ｍが搬送方向Ｆに搬送された後、媒体Ｍを所定位置Ｐ０まで戻し方向Ｂに搬送する。Ｓ４６では、張力付与部８により所定の張力は媒体Ｍに付与されない。Ｓ６２の搬送速度はＳ５３又はＳ５４で設定された値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。制御部３０は、以上で第三搬送処理を終了し、処理を図５の印刷準備処理に戻す。図５に示すように、Ｓ１０の後、制御部３０は以上で印刷準備処理を終了する。制御部３０は、印刷準備処理終了後、印刷データに基づく印刷処理を実行する。

【0047】

上記実施形態において、印刷装置１、供給部５、印刷部６、張力付与部８、制御部３０、及び媒体検出部５３は各々、本発明の印刷装置、供給部、印刷部、張力付与部、制御部、及び媒体検出部の一例である。搬送部７、１０、１５、１９、４８は、本発明の搬送部の一例である。搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９は、本発明の搬送駆動部の一例である。図６のＳ１９、Ｓ２０、図７のＳ３８、Ｓ４３、Ｓ４６、図８のＳ５８、Ｓ６２は本発明の斜行補正処理、斜行補正工程の一例である。Ｓ４０、Ｓ４５は、本発明の検出処理、検出工程の一例である。Ｓ１８、Ｓ２１、Ｓ２２は、本発明の調整処理、調整工程の一例である。Ｓ１２からＳ１７、Ｓ３２からＳ３７の処理は、本発明の条件設定処理、条件設定工程の一例である。Ｓ５は、本発明の残量取得処理の一例である。切断部５０は、本発明の切断部の一例である。Ｓ６１は、本発明の切断処理の一例である。

【0048】

上記実施形態の印刷装置１は、供給部５、印刷部６、搬送部７、１０、１５、１９、４８、張力付与部８、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９、制御部３０、及び媒体検出部５３を備える。供給部５は、長尺状の媒体Ｍを供給する。印刷部６は、供給部５から供給される媒体Ｍに画像を印刷する。搬送部７、１０、１５、１９、４８は、媒体Ｍを供給部５から印刷部６に向かう搬送方向Ｆと、搬送方向Ｆとは反対の戻し方向Ｂとに搬送する。張力付与部８は、媒体Ｍに張力を付与する。搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９は各々、搬送部７、１０、１５、１９、４８を駆動する。制御部３０は、印刷部６と、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９とを制御する。媒体検出部５３は、媒体Ｍの検出結果を制御部３０に出力する。制御部３０は、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、媒体Ｍを搬送方向Ｆに搬送した後、媒体Ｍを戻し方向Ｂに搬送する往復搬送中に、張力付与部８により媒体Ｍに張力を付与することを複数回繰り返す斜行補正処理（図６のＳ１９、Ｓ２０、図７のＳ３８、Ｓ４３、Ｓ４６、図８のＳ５８、Ｓ６２）を行う。制御部３０は、複数回の往復搬送のうちの一の往復搬送、つまり、二回目の往復搬送中に、媒体検出部５３から出力された検出結果に基づき、媒体Ｍの属性を検出する検出処理（Ｓ４０、Ｓ４５）を行う。印刷装置１は、斜行補正処理中に検出処理を行うことで、斜行補正処理と検出処理とを別々に行う場合に比べ、印刷開始までの時間を従来よりも短くできる。

【0049】

印刷装置１の媒体検出部５３は、透過型センサ又は反射型センサである。制御部３０は、複数回の往復搬送のうちの他の往復搬送中に、媒体検出部５３を調整する調整処理（Ｓ１８、Ｓ２１、Ｓ２２）を行う。印刷装置１は、斜行補正処理中に検出処理と、調整処理とを行うことで、斜行補正処理と検出処理及び調整処理とを別々に行う場合に比べ、印刷開始までの時間を従来よりも短くできる。

【0050】

印刷装置１の制御部３０は、調整処理後に検出処理を行う。印刷装置１は、調整処理後に検出処理を行うことで、調整処理により閾値が設定された媒体検出部５３の検出結果に基づき検出処理を行うことができる。印刷処理は、調整処理により閾値が設定されずに媒体検出部５３の検出結果に基づき検出処理を行う場合に比べ、検出処理を適切に行うことができる。

【0051】

印刷装置１の制御部３０は、第二搬送処理において、斜行補正処理の複数の往復搬送のうちの一の往復搬送、つまり二回目の往復搬送の搬送距離Ｄに、斜行補正処理に要する搬送距離Ｄ０と、検出処理に要する搬送距離Ｄ２とのうちの長い方を設定し、二回目の往復搬送の搬送速度Ｖに斜行補正処理に要する搬送速度Ｖ０と、検出処理に要する搬送速度Ｖ２とのうちの遅い方を設定する（Ｓ３２からＳ３７）。制御部３０は、斜行補正処理の二回目の往復搬送を、Ｓ３２からＳ３７で設定された搬送速度Ｖで、搬送距離Ｄだけ搬送して行う。印刷装置１は、斜行補正処理と検出処理との双方を行うのに適した条件で、斜行補正処理の複数の往復搬送のうちの二回目の往復搬送を行うことができる。

【0052】

印刷装置１の制御部３０は、第一搬送処理において、斜行補正処理の複数の往復搬送のうちの検出処理を行う往復搬送とは別の往復搬送、つまり、一回目の往復搬送の搬送距離Ｄに、斜行補正処理に要する搬送距離Ｄ０と、調整処理に要する搬送距離Ｄ１とのうちの長い方を設定し、一回目の往復搬送の搬送速度Ｖに斜行補正処理に要する搬送速度Ｖ０と、調整処理に要する搬送速度Ｖ１とのうちの遅い方を設定する（Ｓ１２からＳ１７）。制御部３０は、斜行補正処理のうちの一回目の往復搬送を、Ｓ１２からＳ１７で設定された搬送速度Ｖで、搬送距離Ｄだけ搬送して行う。印刷装置１は、斜行補正処理と調整処理との双方を行うのに適した条件で一回目の往復搬送を行うことができる。

【0053】

印刷装置１の制御部３０は、斜行補正処理前に媒体Ｍの残量を取得する（Ｓ５）。印刷装置１は、斜行補正処理前に媒体Ｍの残量を取得できる。

【0054】

印刷装置１は、張力付与部８により媒体Ｍに加えられる張力を出力する張力検出部５４を備える。制御部３０は、Ｓ５で、張力検出部５４により検出された張力に基づき、媒体Ｍの残量を取得する（Ｓ５）。印刷装置１は、媒体Ｍに加えられる張力に基づき、媒体Ｍの残量を比較的簡単な処理で検出できる。

【0055】

印刷装置１は、斜行補正処理では、Ｓ５で検出された残量に応じて搬送駆動部１１の駆動量を調整する（Ｓ１９、Ｓ３８、Ｓ４３、Ｓ５８）。印刷装置１は、媒体Ｍの残量に応じて搬送駆動部１１の駆動量を適切に調整でき、媒体Ｍに適切な張力を付与できる。

【0056】

印刷装置１は、媒体Ｍを切断する切断部５０を備える。制御部３０は、複数の往復搬送のうちの一の往復搬送、つまり、二回目の往復搬送後において、搬送駆動部９、１１、３８、３９、４９を制御して、張力付与部８により媒体Ｍに張力が付与された状態で媒体Ｍを切断位置まで、搬送方向Ｆに搬送した後、切断部５０を駆動して、媒体Ｍを切断する切断処理（Ｓ６１）を行う。印刷装置１は、切断位置に配置した媒体Ｍを切断できる。印刷装置１は、媒体Ｍの先端部に折り曲げられた部分があった場合にも、当該先端部を切断することできる。印刷装置１は、媒体Ｍの先端部に折り曲げられた部分があることに起因する不具合が生じることを回避できる。

【0057】

印刷装置１の制御部３０は、斜行補正処理で、複数の往復搬送の各々において、媒体Ｍが搬送方向Ｆに搬送された後、媒体Ｍをまで戻し方向Ｂに搬送させる（Ｓ２０、Ｓ４６、Ｓ６０）。上記実施形態の所定の原点は、位置Ｐ０である。印刷装置１は、複数の往復搬送の各々において、媒体Ｍを所定の原点に位置させることができる。印刷装置１は、斜行補正処理後、媒体Ｍを所定の原点に配置させることができる。

【0058】

媒体Ｍは、台紙Ｍ１と、台紙Ｍ１に張り付けられた複数のラベルＭ２とを含む。制御部３０は、斜行補正処理で、複数の往復搬送の各々において、張力付与部８により媒体Ｍに張力が付与された状態で媒体Ｍが搬送方向Ｆに搬送した後、張力付与部８により媒体Ｍに張力を付与せずに戻し方向Ｂに搬送する。制御部３０は、調整処理で、一回目の往復搬送中の媒体検出部５３の複数の検出結果に基づき、ラベルＭ２を検出する際の閾値を調整する。制御部３０は、検出処理で、二回目の往復搬送中の媒体検出部５３の複数の検出結果と閾値に基づき、媒体Ｍの搬送方向Ｆの大きさを検出する。印刷装置１は、比較的簡単な処理で、斜行補正処理中に調整処理と、検出処理とを実行できる。斜行補正処理では搬送方向Ｆへの搬送時に斜行の補正を行い、戻し方向Ｂへの搬送時は、媒体Ｍの搬送方向Ｆに対する傾きが補正された状態を維持した状態で、戻し方向Ｂに搬送できる。

【0059】

本発明の印刷装置、印刷準備方法、及び印刷準備プログラムは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。

【0060】

供給部５は長尺状の媒体Ｍを供給できればよく、適宜構成を変更されてよい。媒体Ｍは、用紙に刻まれたミシン目に沿って折りたたまれているファンフォールド紙でもよい。搬送部７は、搬送ベルトなどの他の搬送部材により、媒体Ｍを搬送してもよい。搬送部１０は、戻し方向Ｂのみに媒体Ｍを搬送可能でもよいし、供給部５の構成に応じて構成が変更されてもよいし、省略されてもよい。斜行補正処理の複数の往復搬送の内の往路搬送時の搬送駆動部１１の駆動量は媒体Ｍの残量によらず同じでもよい。ロールＲは、紙管Ｋを有さず、供給部５に装着可能にロール状に巻回されてもよい。

【0061】

印刷部６の構成は適宜変更されてよく、カラー印刷可能なインクジェットヘッドでもよいし、電子写真式又は感熱式のサーマルヘッドでもよい。定着ユニット４０は、印刷装置１の印刷方式に応じて、省略されてもよいし、構成が変更されてもよい。印刷装置１は、切断部５０を省略してもよい。切断部５０は、ユーザのマニュアル操作で媒体Ｍを切断してもよい。搬送部１５、１９、４８の少なくとも何れかは、必要に応じて省略されてもよいし、構成が変更されてもよい。読取部４５は、例えば、ＣＣＤ（Ｃｈａｒｇｅ Ｃｏｕｐｌｅｄ Ｄｅｖｉｃｅｓ）等の他の装置であってもよい。

【0062】

張力付与部８の構成は適宜変更されてよい。張力付与部８は、例えば、ロールＲが媒体Ｍを繰り出す方向、つまり上記実施形態では、右側面視反時計方向に回転する場合に、軸部５１に所定の摩擦力を加えることで、媒体Ｍに張力を付与してもよい。印刷装置１は、搬送部７による媒体Ｍの搬送速度と、搬送部１０による媒体Ｍの搬送速度とを調整することで、媒体Ｍに張力を付与してもよい。この場合、搬送駆動部９、１１が、張力付与部として機能する。媒体検出部５３は、透過型センサ及び反射型センサ以外のセンサでもよい。

【0063】

図５の印刷準備処理を実行させるための指令を含むプログラムは、制御部３０がプログラムを実行するまでに、印刷装置１の記憶装置に記憶されればよい。従って、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は、適宜変更してもよい。制御部３０が実行するプログラムは、ケーブル又は無線通信を介して、他の装置から受信し、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、ＰＣ、及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。

【0064】

印刷装置１の印刷準備処理の各ステップは、制御部３０によって実行される例に限定されず、一部又は全部が他の電子機器（例えば、ＡＳＩＣ）によって実行されてもよい。印刷準備処理の各ステップは、複数の電子機器、例えば、複数のＣＰＵによって分散処理されてもよい。印刷準備処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。印刷装置１上で稼動しているオペレーティングシステム（ＯＳ）等が、制御部３０からの指令に基づき印刷準備処理の一部又は全部を行う態様も、本発明の範囲に含まれる。例えば、印刷準備処理に以下の変更が適宜加えられてもよい。

【0065】

斜行補正処理の往復搬送回数は適宜変更されてよい。制御部３０は、斜行補正処理のうちの復路搬送時のみ、張力付与部８により媒体Ｍに張力を付与してもよいし、往路搬送時及び復路搬送時の各々で、張力付与部８により媒体Ｍに張力を付与してもよい。制御部３０は、斜行補正処理の復路搬送時に、媒体Ｍの先端が位置Ｐ０となる位置まで搬送しなくてもよい。斜行補正処理の復路の搬送距離は適宜変更されてよい。

【0066】

検出処理、調整処理、切断処理の各々は、斜行補正処理の複数の往復搬送のうちの何れの回で実行されてもよい。検出処理、調整処理の各々は、斜行補正処理のうちの復路搬送時に実行されてもよい。調整処理、切断処理の各々は、斜行補正処理とは別途実行されてもよい。斜行補正処理の往復搬送時の搬送速度Ｖと、搬送距離Ｄとの決定方法は適宜変更されてもよく、複数の往復搬送の各々において、互いに同じ値に設定されてもよいし、互いに異なる値が設定されてもよい。制御部３０は、Ｓ２３及びＳ４８の少なくとも何れかで、表示部３にエラーを表示してもよい。

【符号の説明】

【0067】

１：印刷装置、５：供給部、６：印刷部、７、１０、１５、１９、４８：搬送部、８：張力付与部、９、１１、３８、３９、４９：搬送駆動部、３０：制御部、４５：読取部、５０：切断部、５３：媒体検出部、５４：張力検出部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】