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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152983
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】打撃装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/04 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
G01N29/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055968
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】519429989
【氏名又は名称】株式会社テクノコンサルタント
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】小石 明
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA10
2G047AA12
2G047BC04
2G047CA03
2G047GD02
(57)【要約】
【課題】検査対象物を打撃して、打撃に基づく振動や音を評価する検査において、簡易な構造でありながら、検査対象物に一定の打撃力を与えることができ、かつ、使い勝手が良く、再現性に優れた検査を可能にする打撃装置を提供する。
【解決手段】本発明を適用した検査装置の一例である打撃装置Aは、打撃機構1と、接触ローラー2と、振動センサ3と、制御機構4を備えている。また、打撃機構1は、打撃ハンマー10と、カム11と、駆動部12と、ばね13と、エンコーダ14を有している。打撃装置Aは、検査対象物の対象面に沿って接触ローラーを介して移動可能であり、対象面を打撃して発生する弾性波を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を打撃して所定の検査を行うための打撃装置であって、
検査対象物の対象面に接触して打撃を伝達すると共に、前記対象面に沿って移動可能に構成された対象接触部と、
前記対象接触部を直接打撃して、前記対象面に伝達する打撃力を付与する打撃機構と、を備える
打撃装置。
【請求項2】
前記対象接触部は、前記対象面に接触して回転自在に構成されたローラー部、または、前記対象面に接触して回転自在に構成されたボール部である
請求項1に記載の打撃装置。
【請求項3】
検査対象物を打撃して所定の検査を行うための打撃装置であって、
検査対象部の対象面に接触して打撃を伝達する対象接触部と、
前記対象接触部を直接打撃して、前記対象面に伝達する打撃力を付与する打撃機構と、
前記対象面における前記対象接触部とは異なる位置に配置され、同対象接触部から前記対象面に伝達された打撃に基づく振動波形を検出する振動センサと、を備える
打撃装置。
【請求項4】
前記対象接触部に取り付けられ、同対象接触部から前記対象面に伝達された打撃に基づく振動波形を検出する振動センサを有する
請求項1または請求項2に記載の打撃装置。
【請求項5】
前記打撃機構が、前記対象接触部を打撃したタイミングの情報を検出する打撃時機検出手段を備える
請求項3または請求項4に記載の打撃装置。
【請求項6】
前記対象接触部から前記対象面に伝達された打撃に基づく打音を計測する打音計測手段を備える
請求項1または請求項2に記載の打撃装置。
【請求項7】
前記対象接触部及び前記振動センサは、前記対象面と当接、または、同対象面から離間可能に構成され、
回転自在な複数の車輪を有し、前記対象接触部及び前記振動センサが、前記対象接触部から離間した状態で、同対象接触部及び同振動センサの前記対象面に沿った移動を可能にする移動機構と、
前記複数の車輪のうち、1つの車輪のみを前記対象面に当接させた状態にする車輪位置調整機構を備え、
前記所定の検査を行う際に、前記1つの車輪、前記対象接触部、及び、前記振動センサの三点のみで前記対象面に当接可能に構成された
請求項3に記載の検査機構。
【請求項8】
前記打撃機構は、
回転可能に構成され、その回転角度を変えることで、その先端が前記対象接触部に当接可能である打撃ハンマーと、
前記打撃ハンマーに当接して回転し、同打撃ハンマーの回転角度を、待機位置の角度と、同打撃ハンマーの先端が前記対象接触部から一定の距離離れた、打撃前の振り上げ位置の角度に切り替え可能なカム部と、
前記打撃ハンマーに取り付けられ、前記打撃ハンマーの回転角度が、前記待機位置の角度になるように付勢力を付与する弾性部と、を有し、
前記カム部の回転に伴って、前記打撃ハンマーを回転させ、その回転角度が、前記打撃前の振り上げ位置の角度から前記待機位置の角度に戻ろうとする際に、前記打撃ハンマーに働く前記弾性部の付勢力により、同打撃ハンマーの先端で前記対象接触部を打撃する
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の打撃装置。
【請求項9】
前記打撃機構は、
ソレノイドを駆動源として、前記接触対象部と当接または離間する方向に進退動可能に構成されたハンマー部を有する
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の打撃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は打撃装置に関する。詳しくは、検査対象物を打撃して、打撃に基づく振動や音を評価する検査において、簡易な構造でありながら、検査対象物に一定の打撃力を与えることができ、かつ、使い勝手が良く、再現性に優れた検査を可能にする打撃装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物や樹木等の内部状況を検査するために、検査対象物に打撃を与え、振動や打音を測定して、検査対象物の内部の欠損等を評価する検査が行われている。
【0003】
このような検査として、例えば、検査対象となるコンクリート面を作業者がハンマー等で打撃して、打撃時に発生する打撃音を音響センサで収集して、これを解析する打音検査が行われている。
【0004】
また、打音検査の他には、例えば、衝撃弾性波法を用いて、検査対象物に衝撃を与えた際に発生する反射波を検知して、地中に埋設された構造物等における亀裂位置の確認や先端位置を測定する弾性波を利用した検査も行われている。
【0005】
ここで、検査対象物を打撃する際に、作業者の人力による打撃ではなく、ソレノイド等から生じる駆動力で打撃部を動かして、検査対象物の対象面を打撃する打撃装置が利用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
例えば、非特許文献1に記載された打撃装置では、枠状の筐体に、ソレノイドの駆動力で対象面を打撃する打撃部と、打撃音を収音するマイクと、対象面に接する4つの車輪部が配置され、この筐体が長尺のロッド部材の先端に取り付けられた装置となっている。
【0007】
この非特許文献1に記載された打撃装置は、コンクリート構造物等における対象面に対して、ソレノイドを介して打撃部を進退動させ、連続的に打撃力を付与するように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】" 首都高技術株式会社 TOP 技術紹介 見えないところをなくすための技術 こんこん~連続打音検査装置~"、[online]、[令和3年3月15日検索]、インターネット<URL: https://www.shutoko-eng.jp/technology/tapping.php >
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、非特許文献1に記載された打撃装置では、検査対象物の対象面に起伏や凹凸があった場合、打撃装置の位置によっては、対象面に対する打撃位置や打撃角度がずれ、打撃力が一定にならないおそれがあった。
【0010】
また、検査対象物の対象面に起伏や凹凸があった場合、対象面と打撃部との距離が大きくなり、打撃部が対象面に向かって移動しても、その先端が対象面に届かず、打撃ができず空振りしてしまうおそれがあった。
【0011】
したがって、打音検査及び弾性波を利用した検査で打撃装置を利用する場合、検査対象物の対象面に起伏や凹凸が存在しても、確実に打撃力が付与できる性能が求められている。
【0012】
また、弾性波を利用した検査では、弾性波の速度と、反射波が検出されるまでの伝播時間の情報を用いて、評価したい亀裂や先端位置までの長さを算出することが行われるが、ハンマーや打撃装置による打撃位置や打撃力の違いにより、反射波の伝播時間の起点となる時間、即ち、打撃のタイミングの時間情報が正確に取得できない問題があった。
【0013】
ここで、打撃のタイミングの時間情報が変わってしまうと、反射波が検出されるまでの伝播時間の情報において誤差が生じ、その後の解析の精度が下がってしまう。そのため、より正確に、検査対象物の対象面に対する打撃のタイミングの時間情報を検出するという点で改善の余地があった。
【0014】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、検査対象物を打撃して、打撃に基づく振動や音を評価する検査において、簡易な構造でありながら、検査対象物に一定の打撃力を与えることができ、かつ、使い勝手が良く、再現性に優れた検査を可能にする打撃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の打撃装置は、検査対象物を打撃して所定の検査を行うための打撃装置であって、検査対象物の対象面に接触して打撃を伝達すると共に、前記対象面に沿って移動可能に構成された対象接触部と、前記対象接触部を直接打撃して、前記対象面に伝達する打撃力を付与する打撃機構と、を備える。
【0016】
ここで、打撃機構が、対象接触部を打撃して、対象面に伝達する打撃力を付与し、対象接触部が、検査対象物の対象面に接触して打撃を伝達することによって、対象接触部を介して、対象面に確実に打撃力を付与することができる。また、対象面に対する打撃位置を安定させることができる。
【0017】
また、打撃機構が、対象接触部を直接打撃することによって、対象接触部に対して、確実に打撃力を付与することができる。この結果、対象接触部を介して、検査対象物の対象面にも確実に打撃力を伝達させることが可能となる。
【0018】
また、対象接触部が、対象面に沿って移動可能に構成されたことによって、対象面の所望の位置で、打撃力を付与することができる。また、起伏や凹凸がある対象面であっても、その起伏等に沿って対象接触部を移動させて、確実に対象接触部が対象面に接触した状態を作り出すことができる。これにより、対象面を打撃できないような現象を抑止でき、確実に打撃力を付与することができる。
【0019】
また、対象接触部は、対象面に接触して回転自在に構成されたローラー部、または、対象面に接触して回転自在に構成されたボール部である場合には、簡易な構成で、対象接触部が移動する構造を実現することができる。
【0020】
また、上記の目的を達成するために、本発明の打撃装置は、検査対象物を打撃して所定の検査を行うための打撃装置であって、検査対象部の対象面に接触して打撃を伝達する対象接触部と、前記対象接触部を直接打撃して、前記対象面に伝達する打撃力を付与する打撃機構と、前記対象面における前記対象接触部とは異なる位置に配置され、同対象接触部から前記対象面に伝達された打撃に基づく振動波形を検出する振動センサと、を備える
【0021】
ここで、打撃機構が、対象接触部を打撃して、対象面に伝達する打撃力を付与し、対象接触部が、検査対象物の対象面に接触して打撃を伝達することによって、対象接触部を介して、対象面に確実に打撃力を付与することができる。また、対象面に対する打撃位置を安定させることができる。
【0022】
また、打撃機構が、対象接触部を直接打撃することによって、対象接触部に対して、確実に打撃力を付与することができる。この結果、対象接触部を介して、検査対象物の対象面にも確実に打撃力を伝達させることが可能となる。
【0023】
また、振動センサが、対象面における対象接触部とは異なる位置に配置され、対象接触部から対象面に伝達された打撃に基づく振動波形を検出することによって、対象面の内部で、打撃に基づき発生する弾性波を利用した検査を行うことが可能となる。
【0024】
また、対象接触部に取り付けられ、対象接触部から対象面に伝達された打撃に基づく振動波形を検出する振動センサを有する場合には、対象面の内部で、打撃に基づき発生した弾性波が、さらに接触対象部に伝ってきたものを、振動センサで検知し、弾性波を利用した検査を行うことが可能となる。また、振動センサが、対象接触部に取り付けられ、振動センサと対象面とが直接接触することがないため、対象接触部の対象面に沿って、スムーズに移動させることができる。
【0025】
また、打撃機構が、対象接触部を打撃したタイミングの情報を検出する打撃時機検出手段を備える場合には、安定した打撃に対して、打撃のタイミングの時間情報を正確に検知することが可能となる。また、対象接触部を打撃した打撃のタイミングの時間情報を、反射波の伝播時間の起点となる時間として利用することができる。これにより、弾性波を利用した検査において、反射波が検出されるまでの伝播時間の情報で誤差が生じることを抑止でき、弾性波の波形の解析を、精度高く行うことが可能となる。
【0026】
また、対象接触部から対象面に伝達された打撃に基づく打音を計測する打音計測手段を備える場合には、打音検査を行うことが可能となる。
【0027】
また、対象接触部及び振動センサが、対象面と当接、または、対象面から離間可能に構成され、回転自在な複数の車輪を有し、対象接触部及び振動センサが、対象接触部から離間した状態で、対象接触部及び振動センサの対象面に沿った移動を可能にする移動機構を備える場合には、対象面に対する対象接触部及び振動センサの位置を、検査時と移動時で切り替えて、打撃装置を移動させることが可能となる。また、対象面の所望の位置で、打撃力を付与することができる。また、起伏や凹凸がある対象面であっても、その起伏等に沿って打撃装置を移動させて、確実に対象接触部が対象面に接触した状態を作り出すことができる。これにより、対象面を打撃できないような現象を抑止でき、確実に打撃力を付与することができる。
【0028】
また、複数の車輪のうち、1つの車輪のみを対象面に当接させた状態にする車輪位置調整機構を備え、所定の検査を行う際に、1つの車輪、対象接触部、及び、振動センサの三点のみで対象面に当接可能に構成された場合には、対象面上で、打撃装置の姿勢を安定させた上で、対象面に対して、対象接触部及び振動センサが確実に接触した状態にすることができる。即ち、例えば、2つの車輪、対象接触部、及び、振動センサの四点の部材が、対象面に当接可能な構成であるとすれば、対象面の起伏や凹凸によっては、対象接触部、または、振動センサのどちらかが、対象面に当接しない状態になる可能性がある。つまり、対象面が打撃できなかったり、打撃に基づき対象面の内部で発生した弾性波を検出できなかったりすることが想定される。しかしながら、1つの車輪、対象接触部、及び、振動センサの三点のみで対象面に当接させることで、安定した三点支持の状態となり、対象接触部、または、振動センサのどちらかが、対象面に当接しない状態を回避することができる。
【0029】
また、打撃機構が、回転可能に構成され、その回転角度を変えることで、その先端が対象接触部に当接可能である打撃ハンマーと、打撃ハンマーに当接して回転し、打撃ハンマーの回転角度を、待機位置の角度と、打撃ハンマーの先端が対象接触部から一定の距離離れた、打撃前の振り上げ位置の角度に切り替え可能なカム部と、打撃ハンマーに取り付けられ、打撃ハンマーの回転角度が、待機位置の角度になるように付勢力を付与する弾性部と、を有し、カム部の回転に伴って、打撃ハンマーを回転させ、その回転角度が、打撃前の振り上げ位置の角度から待機位置の角度に戻ろうとする際に、打撃ハンマーに働く弾性部の付勢力により、打撃ハンマーの先端で対象接触部を打撃する場合には、簡易な構成で、打撃機構を構築することができる。また、カム部を介した打撃ハンマーの回転と、弾性部の付勢力の組み合わせで、対象接触部に対して、安定して、一定の打撃力を付与することが可能となる。さらに、カム部を用いたことで、カム部のサイズを変えたり、打撃ハンマーに対するカム部の作用点を調整したりすることで、打撃ハンマーのストロークを容易に変更することが可能となる。
【0030】
また、打撃機構が、ソレノイドを駆動源として、接触対象部と当接または離間する方向に進退動可能に構成されたハンマー部を有する場合には、ソレノイドに対する電流のON/OFFの切り替えで、ハンマー部を動かし、対象接触部に対して、安定して、一定の打撃力を付与することが可能となる。また、簡易な構成で、打撃機構を構築することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る打撃装置は、検査対象物を打撃して、打撃に基づく振動や音を評価する検査において、簡易な構造でありながら、検査対象物に一定の打撃力を与えることができ、かつ、使い勝手が良く、再現性に優れた検査を可能なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明を適用した打撃装置の第1の実施の形態の全体概略図である。
図2】(a)は、第1の実施の形態における打撃機構及びその周辺部材の概略正面図であり、(b)は、打撃機構の概略斜視図である。
図3】(a)は、第2の実施の形態における打撃機構及びその周辺部材の概略正面図であり、(b)は、打撃機構の概略斜視図である。
図4】本発明を適用した打撃装置の第3の実施の形態の全体概略図である。
図5】本発明を適用した打撃装置の第4の実施の形態の検査時の全体概略図である。
図6】本発明を適用した打撃装置の第4の実施の形態の移動時の全体概略図である。
図7】第4の実施の形態における打撃機構及びその周辺部材の概略正面図である。
図8】(a)は、ヒンジ機構を伴う三点支持状態を形成する移動機構の一例を示す概略図であり、(b)は、三点支持状態を形成する移動機構の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、以下に示す内容は本発明を適用した打撃装置の一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではなく、適宜設定変更することが可能である。
【0034】
[第1の実施の形態]
本発明を適用した打撃装置の一例である第1の実施の形態の打撃装置Aは、検査対象物の対象面に沿って接触ローラーを介して移動可能であり、対象面を打撃して発生する弾性波を検出するための装置である。
【0035】
この打撃装置Aは、例えば、衝撃弾性波法によるコンクリート構造物等の地下埋設深さ等の検査に利用することができる。
【0036】
図1に示すように、打撃装置Aは、打撃機構1と、接触ローラー2と、振動センサ3と、制御機構4を備えている。なお、図1では、打撃装置Aの全体構造を示すため、各部材の構造を簡略化して示しており、打撃機構1と接触ローラー2の部材に関する詳細な構造は、図2に示している。
【0037】
また、打撃機構1と、振動センサ3及び制御機構4は、筐体5の内部に収容されている。また、接触ローラー2は、筐体5の外部に露出して、検査対象物の対象面Sに当接して、回転可能に構成されている(図1参照)。
【0038】
また、打撃機構1は、制御機構4を介して駆動が制御され、接触ローラー2を打撃する機構である。
【0039】
また、接触ローラー2は、検査対象物の対象面Sに当接して、打撃機構1による打撃を対象面Sに伝達する部材である。また、接触ローラー2は、回転自在に構成され、対象面Sに当接し、対象面Sに沿った打撃装置Aの移動を可能にする部材である。
【0040】
また、振動センサ3は、接触ローラー2から伝達された打撃に基づき、検査対象物で生じた弾性波を検出するセンサである。
【0041】
また、制御機構4は、外部の端末(図示省略)に接続され、打撃機構1の駆動を制御する制御信号を送信する機構である。また、制御機構4は、振動センサ3が検出した弾性波の計測データを、データの解析を行う外部の端末に送信する機能も有している。
【0042】
また、筐体5は、打撃装置Aの本体を構成する部分である。なお、打撃装置Aでは、この筐体5に、ロッド等を取り付けて、作業者がロッドを手に持って使用する態様や、別途のモーター等の駆動源と制御部を設けて、打撃装置Aを自動で走行させて使用する態様が考えられる。
【0043】
また、図1に示すように、振動センサ3は、後述する支持ブラケット20を介して、接触ローラー2に取り付けられている。また、振動センサ3と支持ブラケット20の間には、振動センサ3を支持ブラケット20に接着させるための、ジェルやシリコングリス等の適切な音響インピーダンスを有した素材で形成されたカプラント33が用いられている。
【0044】
また、図1に示すように、制御機構4は、モーターコントローラ40と、制御装置41を有している。モーターコントローラ40は、制御装置41から受信した制御信号に基づき、打撃機構1の駆動を制御する部分である。また、制御装置41は、外部の端末(図示省略)との間で、制御信号や、振動センサ3の計測データの送受信を行う部材である。
【0045】
また、図1に示すように、打撃機構1は、打撃ハンマー10と、カム11と、駆動部12と、ばね13と、エンコーダ14を有している。また、駆動部12は、モーター及びギアボックスから構成されている。
【0046】
より詳細には、図2(a)及び図2(b)に示すように、打撃機構1は、本体基板15を有し、本体基板15の一方の面側に、カム11が取り付けられている。カム11は駆動部12により回転して、後述するハンマー本体15を回転させ、その回転角度を、待機位置の角度から、打撃前の振り上げ位置の角度まで回転させるための部材である。
【0047】
また、カム11は、本体基板15の他方の面側に設けられた駆動部12(図2(b)参照)に接続され、モーター及びギアボックスに接続した回転軸(図示省略)を介して、図2(a)で見る反時計周りの方向に回転するように構成されている。
【0048】
また、接触ローラー2は、支持ブラケット20を介して、本体基板15に回転自在に軸支されている(図2(a)及び図2(b)参照)。また、接触ローラー2は、ゴムで形成されている。また、接触ローラー2を形成するゴムは、例えば、ウレタンゴムまたはニトリルゴム等が採用しうる。なお、図2においては、振動センサ3の記載は省略している。
【0049】
また、打撃ハンマー10は、ハンマー本体16の先端を構成し、ハンマー本体16を介して、本体基板15に回転可能に軸支されている。打撃ハンマー10は、ばね13の付勢力と、ハンマー本体16の回転により、接触ローラー2に当接して、接触ローラー2を打撃する部材である。
【0050】
また、打撃ハンマー10は金属部材で形成されている。また、打撃ハンマー10を形成する金属部材は、例えば、ステンレスまたは鉄等が採用しうる。
【0051】
また、ハンマー本体16は回転軸(符号省略)を介して、本体基板15に回転可能に軸支されている。また、ハンマー本体16には、ばね13の一端が取り付けられ、ばね13の付勢力により、その回転角度が、待機位置の角度になるように付勢されている(図2(a)参照)。
【0052】
また、エンコーダ14はカム11に取り付けられ、その回転位置を検出するための部材である(図2(a)及び図2(b)参照)。このエンコーダ14により、打撃ハンマー10で打撃をしない時に、打撃ハンマー10が、接触ローラー2等に接触しないように、カム11の回転角度を調整するために用いられる。
【0053】
続いて、ハンマー本体16の回転と打撃ハンマー10による打撃について、簡単に説明する。
【0054】
まず、ハンマー本体16における待機位置の角度とは、打撃ハンマー10が、接触ローラー2の上端に当接せず、その上端近傍に打撃ハンマー10が位置した状態となる、ハンマー本体16の回転角度である。
【0055】
また、ハンマー本体16はカム11の先端部110と当接可能に構成されている。また、ハンマー本体16は、待機位置の角度の状態から、カム11が反時計周りに回転することで、先端部110により押され、図2(a)で見る時計周りの方向に回転する。
【0056】
また、ハンマー本体16がカム11の先端部110に押され、時計周りの方向に最も傾いた状態で、打撃前の振り上げ位置の角度となる。即ち、打撃ハンマー10と、接触ローラー2の上端との距離が大きく離れた状態となる。
【0057】
この状態で、ばね13が、ハンマー本体16を待機位置の角度、即ち、図2(a)で見る時計回りの方向に戻そうとする付勢力が最大となる。
【0058】
さらに、カム11が回転して、カム11の先端部110がハンマー本体16から離れると、ばね13の付勢力により、ハンマー本体16が時計回りの方向に、待機位置に戻るように回転し、さらに待機位置の角度を超えて、打撃ハンマー10が接触ローラー2の上端を打撃する。
【0059】
このように、打撃機構1では、カム11及びハンマー本体16の回転と、ばね13の付勢力を組み合わせて、打撃ハンマー10で、接触ローラー2の上端を打撃するように構成されている。また、接触ローラー2は、打撃ハンマー10の打撃を、検査対象物の対象面Sに伝達する。
【0060】
ここで、打撃装置Aでは、必ずしも、接触ローラー2がゴムで形成され、かつ、打撃ハンマー10が金属部材で形成される必要はない。即ち、弾性波を用いた検査において、検査対象物の種類や評価したい内容に応じて、打撃の際に発生する打撃音の周波数を異ならせるために、素材の組み合わせを変えることができる。また、採用されるゴムや金属部材の種類も適宜変更することができる。
【0061】
例えば、数kHzから数十kHzの高い音を発生させたい場合には、接触ローラー2及び打撃ハンマー10をいずれも金属部材で形成することができる。また、数百Hz程度の低い音を発生させたい場合には、接触ローラー2及び打撃ハンマー10をゴム等の弾性部材で形成することができる。さらに、接触ローラー2を金属部材で形成し、打撃ハンマー10をゴム等の弾性部材で形成することも可能である。
【0062】
なお、接触ローラー2及び打撃ハンマー10をいずれも金属部材で形成した場合には、後述するトリガー検出機構6の電極61を設けることなく、各部材に直接、導線を接続して、トリガー検出用の回路を形成することができる。
【0063】
また、必ずしも、カム11にエンコーダ14が取り付けられる必要はない。但し、上述したように、カム11の回転角度を調整しやすくなる点から、カム11にエンコーダ14が取り付けられることが好ましい。また、打撃ハンマー10の位置が検出できれば充分であるため、例えば、エンコーダ14の代わりに、打撃ハンマー10の位置を検出するスイッチ等をハンマー位置検出機構として採用することもできる。
【0064】
また、打撃装置Aでは、必ずしも、打撃機構1が、打撃ハンマー10、カム11、駆動部12、ばね13、及び、エンコーダ14で構成される必要はなく、駆動の制御が可能であり、接触ローラー2に、一定の打撃力を付与できる機構であれば充分である。但し、カム11の機構に基づく打撃機構1を採用することで、打撃ハンマー10のストロークを容易に変更することができる。即ち、カム11のサイズを変えたり、カム11の形状を変え、打撃ハンマーに対するカム11の作用点を調整したりすることで、打撃ハンマー10のストロークを容易に調整することが可能となる。
【0065】
また、例えば、カムの機構に基づく打撃機構1の代わりに、ソレノイドを駆動源として打撃ハンマーを駆動させる打撃機構を採用することもできる。ソレノイドを用いた場合には、ソレノイドがコイルと磁石を有し、コイルを流れる電流に応じて、接触ローラーに対して打撃可能な位置で、打撃ハンマーを駆動させる構造とすることができる。なお、ソレノイドは、既知の構造が採用可能である。
【0066】
図2(a)に示すように、打撃機構1では、打撃ハンマー10で、接触ローラー2の上端を打撃したタイミング、即ち、打撃のタイミングの時間情報を、トリガー検出機構6で検出可能に構成されている。
【0067】
図2(a)に示すように、トリガー検出機構6は、打撃ハンマー10に接続された導線60と、金属片で形成され、接触ローラー2に密着して取り付けられ、打撃時に、打撃ハンマー10とも当接する電極61と、電極61に接続された導線62と、導線60及び導線62と繋がった計測装置63を有している。
【0068】
このようなトリガー検出機構6は、打撃ハンマー10で接触ローラー2を打撃した際に、金属部材で形成された打撃ハンマー10、電極61、計測装置63、導線60及び導線62が繋がって、電流が流れるトリガー検出用の回路が形成される。
【0069】
即ち、打撃ハンマー10で接触ローラー2を打撃したことで、トリガー検出用の回路に流れる電流を、計測装置63で検知して、その電流を検知した時刻を、打撃のタイミングの時間情報とすることができる。
【0070】
また、計測装置63は、制御機構4に接続され(図示省略)、打撃のタイミングの時間情報を外部の端末に送信可能となっている。
【0071】
この打撃のタイミングの時間情報は、打撃機構1及び接触ローラー2による一定の打撃力に基づく打撃に関するものであり、常に、打撃ハンマー10と接触ローラー2が接触した時刻が、正確に反映された情報である。
【0072】
そのため、このような打撃のタイミングの時間情報を正確に検知することで、弾性波を利用した検査において、反射波が検出されるまでの伝播時間の情報で誤差が生じることを抑止でき、弾性波の波形の解析を、精度高く行うことができる。
【0073】
ここで、トリガー検出機構6では、必ずしも、導線60、電極61、導線62、及び、計測装置63で構成される必要はなく、打撃の際に、打撃ハンマー10と接触ローラー2との接触が検知できる仕組みであれば、その構成部材は特に限定されるものではない。また、上述したように、打撃ハンマー10と接触ローラー2を形成する素材に応じて、電極の取り付け位置や、導線との接続を適宜変更することができる。
【0074】
以上のとおり、本発明の第1の実施の形態である打撃装置Aは、接触ローラー2が、検査対象物の対象面に沿って移動可能であり、この接触ローラー2に対して、打撃機構1が打撃力を付与するように構成されている。そのため、起伏や凹凸がある対象面であっても、その起伏等に沿って接触ローラー2を移動させて、確実に接触ローラー2が、対象面に接触した状態にして、確実に打撃力を付与することができる。
【0075】
また、打撃装置Aでは、打撃機構1によって、一定の打撃力で接触ローラー2を打撃することができ、安定した打撃に基づき、検査対象物に弾性波を生じさせることができる。
【0076】
また、打撃装置Aでは、トリガー検出機構6により、打撃のタイミングの時間情報を正確に検知可能であり、弾性波の波形の解析を、精度高く行うことができる。また、トリガー検出機構6は、簡易な構成で、打撃のタイミングの検知することができる。
【0077】
[第2の実施の形態]
続いて、本発明を適用した打撃装置の一例である第2の実施の形態について説明する。なお、以下では、上述した第1の実施の形態と重複する部材については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明を行う。
【0078】
図3(a)及び図3(b)に示すように、第2の実施の形態の打撃装置は、打撃機構1と、ボールキャスター21を有している。第2の実施の形態と、上述した第1の実施の形態との違いは、第1の実施の形態における接触ローラー2が、ボールキャスター21に変更されている点にある。
【0079】
この第2の実施の形態の打撃装置では、本体基板15にボールキャスター21が取り付けられ、ボールキャスター21は、回転自在に支持されたボールを有しており、このボールが検査対象物の対象面に沿って、移動可能に構成されている。
【0080】
そして、打撃機構1の打撃ハンマー10が、ボールキャスター21を打撃することで、これを介して、検査対象物に打撃が伝達されるようになっている。
【0081】
このように、接触ローラー2の代わりに、回転自在なボールキャスター21を取り付けた打撃装置とすることも可能である。
【0082】
[第3の実施の形態]
本発明を適用した打撃装置の一例である第3の実施の形態について説明する。なお、以下では、上述した第1の実施の形態と重複する部材については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明を行う。
【0083】
図4に示すように、第3の実施の形態の打撃装置Bは、打撃機構1と、接触ローラー2と、音響センサ30と、制御機構4Aを有している。
【0084】
この打撃装置Bは、接触ローラー2から検査対象物に伝達された打撃に基づき発生する打音を検査する装置である。
【0085】
この打撃装置Bは、例えば、法面コンクリート下に発生した空洞の有無の検査に利用することができる。
【0086】
この第2の実施の形態における、上述した第1の実施の形態との違いは、第1の実施の形態における振動センサ3が、音響センサ30に変更されている点にある。また、打撃装置Bは、トリガー検出機構6を備えていない。
【0087】
また、音響センサ30は、マイクを含んで構成され、打撃で生じた打音を計測するセンサである。音響センサ30で計測した打音から、打音における周波数ごとの音圧強度を示すパワースペクトルを得ることができる。
【0088】
また、制御機構4Aは、外部の端末(図示省略)に接続され、打撃機構1の駆動を制御する制御信号を送信する機構である。また、制御機構4Aは、音響センサ30が検出した打音の計測データを、データの解析を行う外部の端末に送信する機能も有している。
【0089】
また、図4に示すように、制御機構4Aは、モーターコントローラ40と、制御装置42を有している。制御装置42は、外部の端末(図示省略)との間で、制御信号や、音響センサ30の計測データの送受信を行う部材である。
【0090】
また、打撃装置Bにおける接触ローラー2と、打撃ハンマー10の素材について説明する。
【0091】
打撃装置Bにおいては、必ずしも、接触ローラー2がゴムで形成され、かつ、打撃ハンマー10が金属部材で形成される必要はない。即ち、打撃ハンマー10と、接触ローラー2の打撃時の接触音が過剰に大きくなり、音響センサ30が飽和して、接触ローラー2を介した対象面の打撃音が聞き取れなくなることを回避できれば、接触ローラー2と、打撃ハンマー10の素材は限定されるものではない。
【0092】
この観点から、例えば、接触ローラー2が金属部材で形成され、かつ、打撃ハンマー10がゴムで形成される態様や、接触ローラー2及び打撃ハンマー10の両方がゴムで形成される態様も採用しうる。
【0093】
以上のように、本発明を適用した打撃装置は、音響センサ30を備えた打音検査の装置として適用することが可能である。
【0094】
[第4の実施の形態]
本発明を適用した打撃装置の一例である第4の実施の形態について説明する。なお、以下では、上述した第1の実施の形態と重複する部材については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明を行う。
【0095】
図5及び図6に示すように、第4の実施の形態の打撃装置Cは、打撃機構1と、接触ハンマー23と、振動センサ31と、制御機構4を有している。
【0096】
この打撃装置Cは、上述した第1の実施の形態と同様に、対象面を打撃して発生する弾性波を検出するための装置である。
【0097】
この第4の実施の形態における、上述した第1の実施の形態との違いは、昇降機構を介して、接触ハンマー23及び振動センサ31を、対象面に接触、または、離間させることができる点にある。なお、図5は、接触ハンマー23及び振動センサ31が対象面に接触した状態(検査時)の状態を示し、図6は、接触ハンマー23及び振動センサ31が対象面から離間した状態(移動時)の状態を示している。
【0098】
また、第4の実施の形態である打撃装置Cでは、接触ハンマー23自体は、対象面に沿って移動可能に構成されておらず、筐体5に取り付けた移動機構を介して移動するように構成されている。
【0099】
図5及び図6に示すように、打撃装置Cでは、打撃ハンマー10の下部に、接触ハンマー23が配置されている。接触ハンマー23は、検査対象物の対象面Sに当接して、打撃機構1による打撃を対象面Sに伝達する部材である。
【0100】
また、図7に示すように、打撃機構1の本体基板15に、ハンマー支持部24が取り付けられ、このハンマー支持部24に、接触ハンマー23が固定されている。また、打撃機構1は、カム11を介してハンマー本体16を回転させ、打撃ハンマー10が、ハンマー支持部24から露出した接触ハンマー23の頭部を打撃するように構成されている。
【0101】
この結果、打撃ハンマー10が、ハンマー支持部24を打撃して、この打撃が接触ハンマー23に伝わり、接触ハンマー23から対象面Sに打撃が伝達されるものとなる。
【0102】
また、打撃装置Cでは、対象面S上における、接触ハンマー23と接触した位置と異なる位置に、振動センサ31が配置されている(図5及び図6参照)。振動センサ31は、接触ハンマー23から伝達された打撃に基づき、検査対象物で生じた弾性波を検出するセンサである。
【0103】
また、振動センサ32はカプラント(符号省略)を介して、対象面Sに取り付けられている。
【0104】
このように、打撃装置Cでは、対象面Sに直接、振動センサ32が取り付けられているため、検査対象物で生じた弾性波を、より精度高く検出することができる。
【0105】
また、図5図8においては、トリガー検出機構6を図示していないが、打撃装置Cでは、トリガー検出機構6と同様に、電極や導線を設けて、打撃ハンマー10が接触ハンマー23を打撃するタイミングを検知可能となるトリガー検出機構を有している。
【0106】
また、打撃装置Cは、昇降機構8を有している(図5及び図6参照)。昇降機構8は、筐体5及び移動タイヤ70を昇降させる機構である。
【0107】
この昇降機構8が、筐体5を、対象面に対して昇降させることで、接触ハンマー23及び振動センサ31を、対象面に接触させた状態(図5参照)や、対象面から離間させた状態(図6参照)にすることができる。
【0108】
また、打撃装置Cは、昇降機構8に取り付けられた移動タイヤ70を有している。移動タイヤ7は、接触ハンマー23及び振動センサ31を、対象面から離間させた状態で、筐体5を対象面Sに沿って移動させる移動機構の一部である。なお、図5及び図6では、移動機構を簡略化して記載している。
【0109】
打撃装置Cでは、例えば、図8(a)及び図8(b)に示すような移動機構を設けることができる。
【0110】
図8(a)に示す移動機構7では、筐体5の一端側に、昇降機構8に取り付けられた移動タイヤ70が設けられている。また、移動機構7では、筐体5の他端側に、一対の移動タイヤ71が設けられている。
【0111】
即ち、移動機構7では、筐体5の両端に設けられた3つのタイヤで移動可能に構成されている。また、移動機構7を介した移動は、筐体5に、ロッド等を取り付けて、作業者がロッドを手に持って移動させる態様や、別途のモーター等の駆動源と制御部を設けて、打撃装置Cを自動で走行させる態様が考えられる。
【0112】
また、移動タイヤ71と筐体5の間の接続部分には、ヒンジ機構72が設けられている。このヒンジ機構72は、一対の移動タイヤ71の対象面Sに対する接地角度を調整する部分である。
【0113】
このヒンジ機構72を設けることで、打撃装置Cは、検査の際に、対象面S上で、安定した三点支持の状態を形成することができる。より詳しくは、検査の際には、接触ハンマー23と振動センサ31を、対象面Sに安定して接触させる必要がある。
【0114】
また、移動機構7では、検査の際に、昇降機構8で移動タイヤ70を持ち上げ、2つのタイヤ71と、接触ハンマー23、及び、振動センサ31が対象面に当接しうる状態となる。
【0115】
ここで、対象面S上で、上記各部材の4点で筐体5が支持されると、対象面Sに起伏や凹凸がある場合、四点のうち一点が、対象面Sに当接せずに、浮いた状態となるおそれがある。即ち、接触ハンマー23、または、振動センサ31のいずれかが、対象面Sに接触しなくなってしまう。
【0116】
そのため、移動機構7では、ヒンジ機構72を設けて、一対の移動タイヤ71のうち、1つだけが対象面Sに当接するように接地角度を調整することができる。これにより、一対の移動タイヤ71のうち1つと、接触ハンマー23、及び、振動センサ31が対象面Sに接触した三点支持の状態を形成することができる。
【0117】
このように、移動機構7では、昇降機構8とヒンジ機構72の組み合わせにより、検査の際に、接触ハンマー23、及び、振動センサ31が対象面Sに当接した状態を担保することができる。また、三点支持の状態となるため、筐体5の姿勢も安定させることができる。
【0118】
また、図8(b)に示す移動機構7Aでは、筐体5の一端側に、昇降機構8に取り付けられた一対の移動タイヤ73が設けられている。また、移動機構7Aでは、筐体5の他端側に、移動タイヤ74が設けられている。
【0119】
この移動機構7Aでは、検査の際に、昇降機構8で、一対の移動タイヤ73を持ち上げ、1つのタイヤ74と、接触ハンマー23、及び、振動センサ31が対象面に当接しうる状態となる。即ち、三点支持の状態を形成することができる。
【0120】
このように、移動機構7Aでは、昇降機構8とタイヤの組み合わせにより、検査の際に、接触ハンマー23、及び、振動センサ31が対象面Sに当接した状態を担保することができる。また、三点支持の状態となるため、筐体5の姿勢も安定させることができる。
【0121】
以上のとおり、本発明の第4の実施の形態である打撃装置Cは、検査の際に、対象面Sに直接、振動センサ32が取り付けられているため、検査対象物で生じた弾性波を、より精度高く検出することができる。
【0122】
また、打撃装置Cでは、昇降機構と移動機構を設けることで、接触ハンマー23、及び、振動センサ31が、対象面に当接、または、離間した状態となり、対象面Sに沿って移動させることができる。
【0123】
また、打撃装置Cでは、対象面に当接した接触ハンマー23に、打撃機構1が打撃力を付与するように構成されている。そのため、起伏や凹凸がある対象面であっても、確実に接触ハンマー23が、対象面に接触した状態にして、確実に打撃力を付与することができる。
【0124】
また、打撃装置Cでは、トリガー検出機構により、打撃のタイミングの時間情報を正確に検知可能であり、弾性波の波形の解析を、精度高く行うことができる。また、トリガー検出機構は、簡易な構成で、打撃のタイミングの検知することができる。
【0125】
また、打撃装置Cでは、昇降機構8と移動機構の組み合わせにより、検査の際に、接触ハンマー23、及び、振動センサ31が対象面Sに当接した状態を担保することができる。
【0126】
以上のように、本発明の打撃装置は、検査対象物を打撃して、打撃に基づく振動や音を評価する検査において、簡易な構造でありながら、検査対象物に一定の打撃力を与えることができ、かつ、使い勝手が良く、再現性に優れた検査を可能なものとなっている。
【符号の説明】
【0127】
A 打撃装置
1 打撃機構
10 打撃ハンマー
11 カム
110 先端部
12 駆動部
13 ばね
14 エンコーダ
15 本体基板
16 ハンマー本体
2 接触ローラー
20 支持ブラケット
21 ボールキャスター
3 振動センサ
33 カプラント
4 制御機構
40 モーターコントローラ
41 制御装置
5 筐体
6 トリガー検出機構
60 導線
61 電極
62 導線
63 計測装置
B 打撃装置
4A 制御機構
42 制御装置
30 音響センサ
C 打撃装置
23 接触ハンマー
31 振動センサ
7 移動機構
70 移動タイヤ
71 一対の移動タイヤ
72 ヒンジ機構
7A 移動機構
73 一対の移動タイヤ
74 移動タイヤ
8 昇降機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8