(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152990
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】キャリアプレート、これを備えたウインドレギュレータ及びワイヤ組付け方法
(51)【国際特許分類】
E05F 11/48 20060101AFI20221004BHJP
E05F 11/38 20060101ALI20221004BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
E05F11/48 B
E05F11/38 F
B60J1/17 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055979
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城間 朝敬
(72)【発明者】
【氏名】石田 正至
【テーマコード(参考)】
3D127
【Fターム(参考)】
3D127AA19
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC05
3D127DF09
3D127DF26
(57)【要約】
【課題】ガイドレールへの取付け後にワイヤを組み付けることができると共に、剛性を向上させることができるキャリアプレートを提供する。
【解決手段】上昇側スライドブッシュ11に収容する上昇側ブッシュ収容部47と、上昇側スライドブッシュ11を挿入可能な上昇側ブッシュ挿入部61と、上昇側ブッシュ挿入部61に挿入された上昇側スライドブッシュ11を、上昇側ブッシュ収容部47に導入するためのブッシュ導入開口62と、上昇側スライドブッシュ11に一端部が固定された上昇側ワイヤ4を、上昇側ブッシュ収容部47からの上昇側ワイヤ導出経路R1に、上昇側ブッシュ挿入部61側から導入するための上昇側ワイヤ導入溝63と、上昇側ワイヤ導入溝63の前側の、上昇側ブッシュ挿入部61を越えた位置において、上昇側ワイヤ導入溝63を横断する上昇側第1補強部64と、を備えた。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラスを支持すると共に、前記窓ガラスの昇降方向に沿って設けられたガイドレールに摺動自在に取り付けられるキャリアプレートであって、
ワイヤの一端部が固定されたスライド部材をスライド自在に収容する収容部と、
前記スライド部材を前記収容部に導入するための導入部と、を備え、
前記導入部は、
前記収容部に隣接して配設され、前記スライド部材を挿入可能な挿入部と、
前記収容部と前記挿入部との間に配設され、前記挿入部に挿入された前記スライド部材を、前記収容部に導入するためのスライド部材導入開口と、
前記スライド部材に一端部が固定された前記ワイヤを、前記収容部からのワイヤ導出経路に、前記挿入部側から導入するためのワイヤ導入部と、
前記ワイヤ導入部の前記挿入部側の、前記挿入部を越えた位置において、前記ワイヤ導入部を横断する補強部と、を有することを特徴とするキャリアプレート。
【請求項2】
前記導入部は、前記スライド部材導入開口の前記挿入部側の、前記挿入部を越えた位置において、前記スライド部材導入開口を横断する開口側補強部を、更に有することを特徴とする請求項1に記載のキャリアプレート。
【請求項3】
前記開口側補強部には、覗き孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のキャリアプレート。
【請求項4】
前記挿入部は、スプリングが取り付けられた状態の前記スライド部材を挿入可能に構成され、
前記スライド部材導入開口は、前記スプリングが取り付けられた状態の前記スライド部材を、前記挿入部から前記収容部に導入可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のキャリアプレート。
【請求項5】
上昇側の前記ワイヤの一端部が固定された第1の前記スライド部材をスライド自在に収容する第1の前記収容部と、
前記第1のスライド部材を前記第1の収容部に導入するための第1の前記導入部と、
下降側の前記ワイヤの一端部が固定された第2の前記スライド部材をスライド自在に収容する第2の前記収容部と、
前記第2のスライド部材を前記第2の収容部に導入するための第2の前記導入部と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のキャリアプレート。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のキャリアプレートと、
前記キャリアプレートを前記窓ガラスの昇降方向に摺動自在に支持する前記ガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って、前記キャリアプレートを昇降させる前記ワイヤと、
前記ワイヤを駆動する駆動部と、を備えたことを特徴とするウインドレギュレータ。
【請求項7】
ワイヤの一端部が固定されたスライド部材をスライド自在に収容する収容部と、
前記収容部に隣接して配設され、前記スライド部材を挿入可能な挿入部と、
前記収容部と前記挿入部との間に配設され、前記挿入部に挿入された前記スライド部材を、前記収容部に導入するためのスライド部材導入開口と、
前記スライド部材に一端部が固定された前記ワイヤを、前記収容部からのワイヤ導出経路に、前記挿入部側から導入するためのワイヤ導入部と、
前記ワイヤ導入部の前記挿入部側の、前記挿入部を越えた位置において、前記ワイヤ導入部を横断する補強部と、を備えたキャリアプレートに対し、前記ワイヤを組み付けるワイヤ組付け方法であって、
前記ワイヤの一端部を固定した状態の前記スライド部材を、前記挿入部に挿入する挿入工程と、
前記挿入部に挿入した前記スライド部材を、前記スライド部材導入開口を介して前記収容部に導入すると共に、前記スライド部材に一端部が固定された前記ワイヤを、前記ワイヤ導入部によって前記ワイヤ導出経路に導入する導入工程と、を実行することを特徴とするワイヤ組付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアプレート、これを備えたウインドレギュレータ及びワイヤ組付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガイドレールに対し摺動自在に取り付けられるキャリアプレートとして、例えば、ワイヤ導入溝がガイドレール側とは逆側に形成されたキャリアプレート(スライダベース)がある(特許文献1参照)。このキャリアプレートは、ガイドレール側の面に配設され、ガイドレールと摺動するガイドレール摺動部と、ガイドレールとは逆側の面に形成され、ワイヤの一端部が固定されたスライド部材(ワイヤエンド部材)を収容する収容部と、収容部からワイヤを導出するワイヤ導出経路に、ワイヤを導入するためのワイヤ導入溝と、を含んでいる。このキャリアプレートでは、収容部及びワイヤ導入溝がガイドレール側とは逆側に形成されているため、キャリアプレートをガイドレールに取り付けた後であっても、スライド部材及びこれに固定されたワイヤを、キャリアプレートに組み付けることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のキャリアプレートでは、ワイヤ導入溝によって、ガイドレールとは逆側の面が分断されるため、キャリアプレートの剛性が低下してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ガイドレールへの取付け後にワイヤを組み付けることができると共に、剛性を向上させることができるキャリアプレート、これを備えたウインドレギュレータ及びワイヤ組付け方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、車両の窓ガラスを支持すると共に、前記窓ガラスの昇降方向に沿って設けられたガイドレールに摺動自在に取り付けられるキャリアプレートであって、ワイヤの一端部が固定されたスライド部材をスライド自在に収容する収容部と、前記スライド部材を前記収容部に導入するための導入部と、を備え、前記導入部は、前記収容部に隣接して配設され、前記スライド部材を挿入可能な挿入部と、前記収容部と前記挿入部との間に配設され、前記挿入部に挿入された前記スライド部材を、前記収容部に導入するためのスライド部材導入開口と、前記スライド部材に一端部が固定された前記ワイヤを、前記収容部からのワイヤ導出経路に、前記挿入部側から導入するためのワイヤ導入部と、前記ワイヤ導入部の前記挿入部側の、前記挿入部を越えた位置において、前記ワイヤ導入部を横断する補強部と、を有することを特徴とするキャリアプレートを提供する。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記のキャリアプレートと、前記キャリアプレートを前記窓ガラスの昇降方向に摺動自在に支持する前記ガイドレールと、前記ガイドレールに沿って、前記キャリアプレートを昇降させる前記ワイヤと、前記ワイヤを駆動する駆動部と、を備えたことを特徴とするウインドレギュレータを提供する。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するため、ワイヤの一端部が固定されたスライド部材をスライド自在に収容する収容部と、前記収容部に隣接して配設され、前記スライド部材を挿入可能な挿入部と、前記収容部と前記挿入部との間に配設され、前記挿入部に挿入された前記スライド部材を、前記収容部に導入するためのスライド部材導入開口と、前記スライド部材に一端部が固定された前記ワイヤを、前記収容部からのワイヤ導出経路に、前記挿入部側から導入するためのワイヤ導入部と、前記ワイヤ導入部の前記挿入部側の、前記挿入部を越えた位置において、前記ワイヤ導入部を横断する補強部と、を備えたキャリアプレートに対し、前記ワイヤを組み付けるワイヤ組付け方法であって、前記ワイヤの一端部を固定した状態の前記スライド部材を、前記挿入部に挿入する挿入工程と、前記挿入部に挿入した前記スライド部材を、前記スライド部材導入開口を介して前記収容部に導入すると共に、前記スライド部材に一端部が固定された前記ワイヤを、前記ワイヤ導入部によって前記ワイヤ導出経路に導入する導入工程と、を実行することを特徴とするワイヤ組付け方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るキャリアプレート、これを備えたウインドレギュレータ及びワイヤ組付け方法は、ガイドレールへの取付け後にワイヤを組み付けることができると共に、剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るウインドレギュレータ、及び、ウインドレギュレータが設けられた車両用ドアを示した全体概略図である。
【
図2】(a)は、窓ガラスの全閉状態におけるウインドレギュレータを示した正面図であり、(b)は、窓ガラスの全開状態におけるウインドレギュレータを示した正面図である。
【
図3】(a)は、キャリアプレート周りを示した正面図であり、(b)は、キャリアプレート周りを示した要部断面図であり、(c)は、キャリアプレート周りを示した下面図である。
【
図4】(a)は、キャリアプレートを示した斜視図であり、(b)は、キャリアプレートを示した正面図であり、(c)は、キャリアプレートを示した背面図である。
【
図5】(a)は、キャリアプレートを示した上面図であり、(b)は、キャリアプレートを示した下面図である。
【
図6】(a)は、キャリアプレートを示したA-A´線断面図であり、(b)は、キャリアプレートを示したB-B´線断面図である。
【
図7】ワイヤ組付け方法における上昇側ワイヤの組付け手順を示した説明図である。
【
図8】ワイヤ組付け方法における下降側ワイヤの組付け手順を示した説明図である。
【
図9】(a)は、キャリアプレートの変形例を示した正面図であり、(b)は、キャリアプレートの変形例を示した背面図であり、(c)は、キャリアプレートの変形例を示した下面図である。
【
図10】(a)は、キャリアプレートの変形例を示したC-C´線断面図であり、(b)は、キャリアプレートの変形例を示したD-D´線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るキャリアプレート、これを備えたウインドレギュレータ及びワイヤ組付け方法について説明する。このウインドレギュレータは、自動車(車両)に設けられた車両用ドアに取り付けられ、車両用ドアの窓ガラスを昇降する昇降装置である。特に、本ウインドレギュレータは、ワイヤのキャリアプレートへの組付け構造を改善して、ガイドレールへの取付け後にワイヤを組付け可能とし且つキャリアプレートの剛性を向上させたものである。なお、以下、窓ガラスの昇降方向、上昇方向及び下降方向を、単に昇降方向、上昇方向及び下降方向と呼称する。また、以下、各図に示す通り、左右、前後及び上下を規定して説明する。なお、本実施形態では、昇降方向とウインドレギュレータの上下方向とが一致しているものとする。
【0012】
(ウインドレギュレータの構成)
図1及び
図2に示すように、ウインドレギュレータ1は、車両用ドアDのドアパネル(不図示)の内部に取り付けられており、窓ガラスGの昇降方向に沿って設けられたガイドレール2と、窓ガラスGを支持すると共に、ガイドレール2に摺動自在に取り付けられたキャリアプレート3と、ガイドレール2に沿ってキャリアプレート3を昇降させる上昇側ワイヤ4(上昇側のワイヤ)及び下降側ワイヤ5(下降側のワイヤ)と、ガイドレール2に対し昇降方向側方に位置ズレして配設され、上昇側ワイヤ4及び下降側ワイヤ5を駆動する駆動部6と、を備えている。すなわち、このウインドレギュレータ1は、ワイヤ4、5を用いてキャリアプレート3を昇降すると共に、駆動部6がガイドレール2に対し離間して配設されたワイヤ式且つデルタ式のウインドレギュレータである。
【0013】
また、ウインドレギュレータ1は、ガイドレール2の上端に配設され、上昇側ワイヤ4を方向転換するプーリ7aを有するプーリアッセンブリ7と、プーリアッセンブリ7及び駆動部6の間において、上昇側ワイヤ4を進退自在に被覆する上昇側アウターチューブ8と、ガイドレール2の下端に配設され、下降側ワイヤ5を方向転換するワイヤガイド9と、ワイヤガイド9及び駆動部6の間において、下降側ワイヤ5を進退自在に被覆する下降側アウターチューブ10と、を備えている。すなわち、駆動部6から繰り出された上昇側ワイヤ4は、上昇側アウターチューブ8内を通ってプーリアッセンブリ7に至り、プーリアッセンブリ7のプーリ7aにおいてガイドレール2に沿うように方向転換された後、その端部がキャリアプレート3に取り付けられている。一方、駆動部6から繰り出された下降側ワイヤ5は、下降側アウターチューブ10内を通ってワイヤガイド9に至り、ワイヤガイド9においてガイドレール2に沿うように方向転換された後、その端部がキャリアプレート3に取り付けられている。
【0014】
さらに、
図3(b)に示すように、ウインドレギュレータ1は、上昇側ワイヤ4のキャリアプレート3側の端部が固定された上昇側スライドブッシュ11(第1のスライド部材)と、上昇側スライドブッシュ11に取り付けられ、上昇側スライドブッシュ11を介して上昇側ワイヤ4に張力を付与する上昇側スプリング12(スプリング)と、下降側ワイヤ5のキャリアプレート3側の端部が固定された下降側スライドブッシュ13(第2のスライド部材)と、下降側スライドブッシュ13に取り付けられ、下降側スライドブッシュ13を介して下降側ワイヤ5に張力を付与する下降側スプリング14(スプリング)と、を備えている。上昇側ワイヤ4及び下降側ワイヤ5は、そのキャリアプレート3側の端部が固定された上昇側スライドブッシュ11及び下降側スライドブッシュ13が、キャリアプレート3の上昇側ブッシュ収容部47及び下降側ブッシュ収容部48(後述する)に収容されることで、キャリアプレート3に組み付けられる。
【0015】
なお、説明を容易にするため、
図3(b)では、上昇側スプリング12及び下降側スプリング14が同一の伸縮状態となっているものを図示しているが、実際には、窓ガラスGの上昇時には、上昇側ワイヤ4が引っ張られるため、上昇側スプリング12は圧縮量が大きく、下降側スプリング14は圧縮量が小さい状態となる。一方、窓ガラスGの下降時には、下降側ワイヤ5が引っ張られるため、下降側スプリング14は圧縮量が大きく、上昇側スプリング12は圧縮量が小さい状態となる。
【0016】
図1に示すように、ガイドレール2は、長板状の金属板を所定の曲率で折り曲げて形成され、車両用ドアDに対して車両前後方向の後方側に傾いて配置されており、昇降方向に沿って延在する。
図3(a)及び(c)に示すように、ガイドレール2は、その長手方向に延びる平板部21と、平板部21における長手方向に直交する幅方向の両端部から立設された右側板部22及び左側板部23と、右側板部22の先端から右側に且つ平板部21と平行に張り出した右フランジ部24と、を有している。キャリアプレート3が、昇降方向に延在する平板部21、右側板部22及び右フランジ部24に摺動自在に取り付けられることで、ガイドレール2が、キャリアプレート3を昇降方向に摺動自在に支持する。
【0017】
図2に示すように、駆動部6は、正逆回転駆動可能な減速機付きのモータ31と、上昇側ワイヤ4及び下降側ワイヤ5の端部が連結され、モータ31の駆動によって回転することにより上昇側ワイヤ4及び下降側ワイヤ5の巻取り及び繰出しを行う円筒状のドラム32と、モータ31を保持すると共にドラム32を収容するハウジング33と、を有している。
【0018】
モータ31を正転駆動すると、ドラム32が正転し、これに伴って、下降側ワイヤ5が繰り出されつつ上昇側ワイヤ4が巻き取られる。これによって、キャリアプレート3が上昇側ワイヤ4に引っ張られ上昇方向に移動する。これにより、キャリアプレート3に取り付けられた窓ガラスGが上昇する。一方、モータ31を逆転駆動すると、ドラム32が逆転し、これに伴って、上昇側ワイヤ4が繰り出されつつ下降側ワイヤ5が巻き取られる。これによって、キャリアプレート3が下降側ワイヤ5に引っ張られ下降方向に移動する。これにより、キャリアプレート3に取り付けられた窓ガラスGが下降する。
【0019】
図3(b)に示すように、上昇側スライドブッシュ11は、樹脂で形成されており、筒状の本体部と、本体部の基端部(
図3(b)中下端部)から径方向に突出した鍔部と、を有している。本体部の内部には、上昇側ワイヤ4の端部に形成された上昇側ワイヤエンド4aが固定されている。上昇側ワイヤエンド4aが本体部に固定させることで、上昇側ワイヤ4の端部が上昇側スライドブッシュ11に固定されている。
【0020】
上昇側スプリング12は、コイルスプリングにより構成されている。また、上昇側スプリング12は、上昇側スライドブッシュ11の本体部を挿通すると共に、下端が上昇側スライドブッシュ11の鍔部に固定されている。
【0021】
下降側スライドブッシュ13は、樹脂で形成されており、筒状の本体部と、本体部の基端部(
図3(b)中上端部)から径方向に突出した鍔部と、を有している。本体部の内部には、下降側ワイヤ5の端部に形成された下降側ワイヤエンド5aが固定されている。下降側ワイヤエンド5aが本体部に固定させることで、下降側ワイヤ5の端部が下降側スライドブッシュ13に固定されている。
【0022】
下降側スプリング14は、コイルスプリングにより構成されている。また、下降側スプリング14は、下降側スライドブッシュ13の本体部を挿通すると共に、上端が下降側スライドブッシュ13の鍔部に固定されている。
【0023】
(キャリアプレートの構成)
次に
図3乃至
図6を参照して、キャリアプレート3について説明する。
図3及び
図4に示すように、キャリアプレート3は、樹脂製(例えばポリアセタール樹脂製)の部材で構成されており、板状の本体部41と、本体部41の左右端部に配設された2つの取付け孔42、42と、本体部41の後面側に配設された右レール取付け部43及び左レール取付け部44と、本体部41の前面側に左右に並んで配設された上昇側ブッシュ導入部45(第1の導入部)及び下降側ブッシュ導入部46(第2の導入部)と、上昇側ブッシュ導入部45及び下降側ブッシュ導入部46の後側に配設された上昇側ブッシュ収容部47(第1の収容部)及び下降側ブッシュ収容部48(第2の収容部)と、本体部41の前面側に形成され、本体部41を補強する複数の補強リブ49と、を有している。上昇側ブッシュ収容部47及び下降側ブッシュ収容部48は、前方から見てガイドレール2と重畳するように配設され、且つ、上昇側ブッシュ収容部47が左側、下降側ブッシュ収容部48が右側となるように左右に隣接して配設されている。これに対し、上昇側ブッシュ導入部45は、上昇側ブッシュ収容部47の前方に配設され、下降側ブッシュ導入部46は、下降側ブッシュ収容部48の前方に配設されている。上昇側ブッシュ導入部45は、上昇側ブッシュ収容部47に上昇側スライドブッシュ11を導入するためのものであり、下降側ブッシュ導入部46は、下降側ブッシュ収容部48に下降側スライドブッシュ13を導入するためのものである。
【0024】
取付け孔42、42は、窓ガラスGに固定された図略のガラスホルダをボルト締結するためのものである。ボルトによって、取付け孔42、42にガラスホルダを締結することで、窓ガラスGが、ガラスホルダを介してキャリアプレート3に取り付けられている。
【0025】
図4(c)に示すように、右レール取付け部43は、本体部41の上下端部に配設され、ガイドレール2の右側板部22に摺動する上端摺動部51及び下端摺動部52と、本体部41の上下方向中間部に並んで配設され、ガイドレール2の右フランジ部24の表裏面(前後面)に摺動する3つの摺動ヒレ53と、を有している。上端摺動部51及び下端摺動部52は、右側板部22の右面に摺動する部分と、右側板部22の左面に摺動する部分と、をそれぞれ有し、右側板部22の左右両面に摺動する(
図3(c)参照)。
【0026】
左レール取付け部44は、本体部41の上下中央部から後方に突出して形成された舌片状の部材であり、ガイドレール2における平板部21の左端部に摺動する。なお、左レール取付け部44が、平板部21に加え、左側板部23に摺動する構成であっても良い。
【0027】
ガイドレール2の右側板部22と右レール取付け部43の上端摺動部51及び下端摺動部52と係合させつつ、ガイドレール2の右フランジ部24と3つの摺動ヒレ53と係合させ、さらに、左レール取付け部44をガイドレール2の平板部21に接触させることで、ガイドレール2に対しキャリアプレート3が昇降方向に摺動自在に取り付けられる。
【0028】
図3(b)及び
図5(b)に示すように、上昇側ブッシュ収容部47は、八角柱状の中空部を有し且つ上側を底側とする有底孔状に形成されており、内側面と底面とを有している。上昇側ブッシュ収容部47は、当該中空部内において、上昇側スライドブッシュ11を、上下方向にスライド自在に収容している。また、上昇側ブッシュ収容部47は、上昇側ワイヤ4の一端部が固定され、上昇側スプリング12が取り付けられた状態の上昇側スライドブッシュ11を収容している。上昇側ブッシュ収容部47に上昇側スライドブッシュ11が収容された状態では、上昇側ワイヤ4が、上昇側ブッシュ収容部47の底面から上方に導出され、上昇側スプリング12が、上昇側スライドブッシュ11の鍔部と上昇側ブッシュ収容部47の底面との間に配設されている。そのため、上昇側ブッシュ収容部47内では、上昇側スプリング12が底面を受けとして上昇側スライドブッシュ11の鍔部を下方に押圧し、これによって、上昇側スライドブッシュ11を介して、上昇側ワイヤ4に張力が付与されている。これにより、上昇側ワイヤ4の弛みが抑制されている。なお、
図6(a)に示すように、上昇側ワイヤ4を上昇側ブッシュ収容部47から上方に導出する上昇側ワイヤ導出経路R1(ワイヤ導出経路)は、上昇側ブッシュ導入部45の上昇側ワイヤ導入溝63(後述する)の底部によって構成されている。
【0029】
図6(a)に示すように、上昇側ブッシュ導入部45は、上昇側ブッシュ収容部47の前側に隣接し且つ上昇側ブッシュ収容部47に並行に配設され、上昇側スライドブッシュ11を上方から挿入可能な溝状の上昇側ブッシュ挿入部61(挿入部)と、上昇側ブッシュ挿入部61と上昇側ブッシュ収容部47との間に配設され、上昇側ブッシュ挿入部61に挿入した上昇側スライドブッシュ11を上昇側ブッシュ収容部47に導入するためのブッシュ導入開口62(スライド部材導入開口)と、上昇側スライドブッシュ11に一端部が固定された上昇側ワイヤ4を上昇側ブッシュ挿入部61から上昇側ワイヤ導出経路R1に導入するための上昇側ワイヤ導入溝63(ワイヤ導入部)と、上昇側ワイヤ導入溝63と重なる位置で、上昇側ブッシュ挿入部61を跨ぐように形成された上昇側第1補強部64(補強部)と、ブッシュ導入開口62と重なる位置で、上昇側ブッシュ挿入部61を跨ぐように形成された上昇側第2補強部65(開口側補強部)と、を有している。
【0030】
上昇側ブッシュ挿入部61は、上昇側スライドブッシュ11を上方から挿入するものであり、本体部41の上端から下方に延在し且つ後側を底側とする溝状に形成されている。上昇側ブッシュ挿入部61は、上昇側スプリング12が取り付けられた状態の上昇側スライドブッシュ11を挿入可能なように、溝幅が、上昇側スライドブッシュ11及び上昇側スプリング12の外径より大きくなっている。
【0031】
ブッシュ導入開口62は、上昇側ブッシュ挿入部61に挿入された上昇側スライドブッシュ11を、上昇側ブッシュ収容部47に導入するための開口であり、上昇側ブッシュ収容部47と上昇側ブッシュ挿入部61との間の隔壁に対し、本体部41の下端から上方に延在して形成されている。また、ブッシュ導入開口62の左右方向の幅は、上昇側スプリング12が取り付けられた状態の上昇側スライドブッシュ11を、上昇側ブッシュ収容部47に導入可能なように、上昇側スライドブッシュ11及び上昇側スプリング12の外径よりも大きく形成されている。なお、ブッシュ導入開口62は、上昇側ブッシュ収容部47の底面に対し下方に位置ズレして形成されており、当該底面からブッシュ導入開口62までの隔壁は、上昇側スライドブッシュ11の抜けを防止するための返し部として機能している。
【0032】
図5(b)及び
図6(a)に示すように、上昇側ワイヤ導入溝63は、上昇側ブッシュ挿入部61の底面に形成された溝であり、上昇側ブッシュ挿入部61の底面から上昇側ワイヤ導出経路R1まで達し且つ上昇側ブッシュ収容部47から本体部41の上端まで延在している。すなわち、上昇側ワイヤ導入溝63の底部が、上昇側ブッシュ収容部47からの上昇側ワイヤ導出経路R1となっている。また、上昇側ワイヤ導入溝63は、上昇側スライドブッシュ11を上昇側ブッシュ挿入部61から上昇側ブッシュ収容部47に導入するとき、上昇側ワイヤ4を上昇側ワイヤ導出経路R1に、上昇側ブッシュ挿入部61側から導入するためのものであり、上昇側ワイヤ導入溝63によって、上昇側ブッシュ挿入部61から上昇側ワイヤ導出経路R1に、上昇側ワイヤ4を導入できるようになっている。なお、本実施形態では、上昇側ブッシュ収容部47の底壁の上側に中空部が形成されているため、厳密には、上昇側ワイヤ導入溝63は、上昇側ブッシュ収容部47の底壁に形成された溝部と、当該溝部に連なると共に当該中空部と上昇側ブッシュ挿入部61との間の壁に形成されたスリット部と、によって構成されている。
【0033】
図4(a)及び(b)、並びに、
図6(a)に示すように、上昇側第1補強部64は、前方から見て上昇側ワイヤ導入溝63と重なる位置において、上昇側ブッシュ挿入部61を跨ぐように、帯状且つ側方視円弧状に形成されている。すなわち、上昇側第1補強部64は、上昇側ワイヤ導入溝63の開放側(上昇側ブッシュ挿入部61側)の、上昇側ブッシュ挿入部61を越えた位置において、上昇側ワイヤ導入溝63を横断するように形成されている。この上昇側第1補強部64により、キャリアプレート3の前面側の、上昇側ワイヤ導入溝63によって剛性が脆弱になる部分を補強できるようになっている。また、上昇側第1補強部64には、複数の覗き孔64aが形成されており、この複数の覗き孔64aによって、上昇側第1補強部64の内側の状態を確認できるようになっている。
【0034】
上昇側第2補強部65は、前方から見てブッシュ導入開口62と重なる位置において、上昇側ブッシュ挿入部61を跨ぐように、帯状且つ側方視円弧状に形成されている。すなわち、上昇側第2補強部65は、ブッシュ導入開口62の前側(上昇側ブッシュ挿入部61側)の、上昇側ブッシュ挿入部61を越えた位置において、ブッシュ導入開口62を横断するように形成されている。この上昇側第2補強部65により、キャリアプレート3の前面側の、ブッシュ導入開口62によって剛性が脆弱になる部分を補強できるようになっている。また、上昇側第2補強部65には、複数の覗き孔65aが形成されており、この複数の覗き孔65aによって、上昇側第2補強部65の内側の状態を確認できるようになっている。例えば、当該複数の覗き孔65aから、上昇側スライドブッシュ11が、上昇側ブッシュ収容部47に正常に導入されたか否かを確認することができる。
【0035】
また、
図6(a)に示すように、上昇側第2補強部65は、その後面が、下方に向かって上昇側ブッシュ収容部47側(後側)に傾斜した誘導斜面となっており、上昇側スライドブッシュ11を上昇側ブッシュ収容部47側に案内する案内部としても機能している。さらに、上昇側第2補強部65は、上昇側ブッシュ挿入部61から上昇側ブッシュ収容部47からに到る経路を狭めて、上昇側スライドブッシュ11が、上昇側ブッシュ収容部47から上昇側ブッシュ挿入部61に逆戻りするのを防止する逆戻り防止部としても機能している。具体的には、上昇側ブッシュ収容部47に導入するとき、上昇側スライドブッシュ11に取り付けられた上昇側スプリング12が、上昇側ブッシュ収容部47の縁に引っかかる場合があり、上昇側ブッシュ収容部47の縁に引っかかった上昇側スプリング12のバネ力によって、上昇側スライドブッシュ11が跳ね上がり、上昇側ブッシュ挿入部61に逆戻りしようとする虞がある。これに対し、上昇側第2補強部65によって、当該逆戻りを防止することができる。
【0036】
図3(b)及び
図5(a)に示すように、下降側ブッシュ収容部48は、八角柱状の中空部を有し且つ下側を底側とする有底孔状に形成されており、内側面と底面とを有している。下降側ブッシュ収容部48は、当該中空部内において、下降側スライドブッシュ13を、上下方向にスライド自在に収容している。また、下降側ブッシュ収容部48は、下降側ワイヤ5の一端部が固定され、下降側スプリング14が取り付けられた状態の下降側スライドブッシュ13を収容している。下降側ブッシュ収容部48に下降側スライドブッシュ13が収容された状態では、下降側ワイヤ5が、下降側ブッシュ収容部48の底面から下方に導出され、下降側スプリング14が、下降側スライドブッシュ13の鍔部と下降側ブッシュ収容部48の底面との間に配設されている。そのため、下降側ブッシュ収容部48内では、下降側スプリング14が底面を受けとして下降側スライドブッシュ13の鍔部を上方に押圧し、これによって、下降側スライドブッシュ13を介して、下降側ワイヤ5に張力が付与されている。これにより、下降側ワイヤ5の弛みが抑制されている。なお、
図6(b)に示すように、下降側ワイヤ5を下降側ブッシュ収容部48から下方に導出する下降側ワイヤ導出経路R2(ワイヤ導出経路)は、下降側ブッシュ導入部46の下降側ワイヤ導入溝73(後述する)の底部によって構成されている。
【0037】
図6(b)に示すように、下降側ブッシュ導入部46は、下降側ブッシュ収容部48の前側に隣接し且つ下降側ブッシュ収容部48に並行に配設され、下降側スライドブッシュ13を下方から挿入可能な溝状の下降側ブッシュ挿入部71(挿入部)と、下降側ブッシュ挿入部71と下降側ブッシュ収容部48との間に配設され、下降側ブッシュ挿入部71に挿入した下降側スライドブッシュ13を下降側ブッシュ収容部48に導入するためのブッシュ導入開口72(スライド部材導入開口)と、下降側スライドブッシュ13に一端部が固定された下降側ワイヤ5を下降側ブッシュ挿入部71から下降側ワイヤ導出経路R2に導入するための下降側ワイヤ導入溝73(ワイヤ導入部)と、下降側ワイヤ導入溝73と重なる位置で、下降側ブッシュ挿入部71を跨ぐように形成された下降側第1補強部74(補強部)と、ブッシュ導入開口72と重なる位置で、下降側ブッシュ挿入部71を跨ぐように形成された下降側第2補強部75(開口側補強部)と、を有している。下降側第1補強部74は、上昇側第2補強部65に対し右側に連なるように配設されており、下降側第2補強部75は、上昇側第1補強部64に対し右側に連なるように配設されている。
【0038】
下降側ブッシュ挿入部71は、下降側スライドブッシュ13を下方から挿入するものであり、本体部41の下端から上方に延在し且つ後側を底側とする溝状に形成されている。下降側ブッシュ挿入部71は、下降側スプリング14が取り付けられた状態の下降側スライドブッシュ13を挿入可能なように、溝幅が、下降側スライドブッシュ13及び下降側スプリング14の外径より大きくなっている。
【0039】
ブッシュ導入開口72は、下降側ブッシュ挿入部71に挿入された下降側スライドブッシュ13を、下降側ブッシュ収容部48に導入するための開口であり、下降側ブッシュ収容部48と下降側ブッシュ挿入部71との間の隔壁に対し、本体部41の上端から下方に延在して形成されている。また、ブッシュ導入開口72の左右方向の幅は、下降側スプリング14が取り付けられた状態の下降側スライドブッシュ13を、下降側ブッシュ収容部48に導入可能なように、下降側スライドブッシュ13及び下降側スプリング14の外径よりも大きく形成されている。なお、ブッシュ導入開口72は、下降側ブッシュ収容部48の底面に対し上方に位置ズレして形成されており、当該底面からブッシュ導入開口72までの隔壁は、下降側スライドブッシュ13の抜けを防止するための返し部として機能している。また、当該隔壁のブッシュ導入開口72側の端部(上端部)前面は、ブッシュ導入開口72側(上方)に向かって後側に傾斜した傾斜面となっており、下降側スライドブッシュ13が下降側ブッシュ収容部48に導入されやすくなっている。
【0040】
図5(a)及び
図6(b)に示すように、下降側ワイヤ導入溝73は、下降側ブッシュ挿入部71の底面に形成された溝であり、下降側ブッシュ挿入部71の底面から下降側ワイヤ導出経路R2まで達し且つ下降側ブッシュ収容部48から本体部41の下端まで延在している。すなわち、下降側ワイヤ導入溝73の底部が、下降側ブッシュ収容部48からの下降側ワイヤ導出経路R2となっている。また、下降側ワイヤ導入溝73は、下降側スライドブッシュ13を下降側ブッシュ挿入部71から下降側ブッシュ収容部48に導入するとき、下降側ワイヤ5を下降側ワイヤ導出経路R2に、下降側ブッシュ挿入部71側から導入するためのものであり、下降側ワイヤ導入溝73によって、下降側ブッシュ挿入部71から下降側ワイヤ導出経路R2に、下降側ワイヤ5を導入できるようになっている。
【0041】
図4(a)及び(b)、並びに、
図6(b)に示すように、下降側第1補強部74は、前方から見て下降側ワイヤ導入溝73と重なる位置において、下降側ブッシュ挿入部71を跨ぐように、帯状且つ側方視円弧状に形成されている。すなわち、下降側第1補強部74は、下降側ワイヤ導入溝73の開放側(下降側ブッシュ挿入部71側)の、下降側ブッシュ挿入部71を越えた位置において、下降側ワイヤ導入溝73を横断するように形成されている。この下降側第1補強部74により、キャリアプレート3の前面側の、下降側ワイヤ導入溝73によって剛性が脆弱になる部分を補強できるようになっている。また、下降側第1補強部74には、複数の覗き孔74aが形成されており、この複数の覗き孔74aによって、下降側第1補強部74の内側の状態を確認できるようになっている。
【0042】
下降側第2補強部75は、前方から見てブッシュ導入開口72と重なる位置において、下降側ブッシュ挿入部71を跨ぐように、帯状且つ側方視円弧状に形成されている。すなわち、下降側第2補強部75は、ブッシュ導入開口72の前側(下降側ブッシュ挿入部71側)の、下降側ブッシュ挿入部71を越えた位置において、ブッシュ導入開口72を横断するように形成されている。この下降側第2補強部75により、キャリアプレート3の前面側の、ブッシュ導入開口72によって剛性が脆弱になる部分を補強できるようになっている。また、下降側第2補強部75には、複数の覗き孔75aが形成されており、この複数の覗き孔75aによって、下降側第2補強部75の内側の状態を確認できるようになっている。例えば、当該複数の覗き孔75aから、下降側スライドブッシュ13が、下降側ブッシュ収容部48に正常に導入されたか否かを確認することができる。
【0043】
また、
図6(b)に示すように、下降側第2補強部75は、その後面が、上方に向かって下降側ブッシュ収容部48側(後側)に傾斜した誘導斜面となっており、下降側スライドブッシュ13を下降側ブッシュ収容部48側に案内する案内部としても機能している。さらに、下降側第2補強部75は、下降側ブッシュ挿入部71から下降側ブッシュ収容部48からに到る経路を狭めて、下降側スライドブッシュ13が、下降側ブッシュ収容部48から下降側ブッシュ挿入部71に逆戻りするのを防止する逆戻り防止部としても機能している。具体的には、下降側ブッシュ収容部48に導入するとき、下降側スライドブッシュ13に取り付けられた下降側スプリング14が、下降側ブッシュ収容部48の縁に引っかかる場合があり、下降側ブッシュ収容部48の縁に引っかかった下降側スプリング14のバネ力によって、下降側スライドブッシュ13が跳ね上がり、下降側ブッシュ挿入部71に逆戻りしようとする虞がある。これに対し、下降側第2補強部75によって、当該逆戻りを防止することができる。
【0044】
図4(a)及び(b)に示すように、複数の補強リブ49は、上昇側第1補強部64及び下降側第2補強部75の上側に面して左右方向に延在する第1補強リブ49aと、上昇側第1補強部64及び下降側第2補強部75の下側に面して左右方向に延在する第2補強リブ49bと、上昇側第2補強部65及び下降側第1補強部74の上側に面して左右方向に延在する第3補強リブ49cと、を含んでいる。すなわち、第1補強リブ49a、第2補強リブ49b及び第3補強リブ49cは、本体部41の剛性を向上させるのに加え、各補強部64、65、74、75を補強する役割を担っている。
【0045】
次に
図7及び
図8を参照して、本ウインドレギュレータ1におけるワイヤ組付け方法について説明する。本ワイヤ組付け方法は、キャリアプレート3の各ブッシュ収容部47、48に、各ワイヤ4、5の一端部が固定された各スライドブッシュ11、13を導入することで、キャリアプレート3に対し各ワイヤ4、5を組み付けるものである。本ワイヤ組付けは、キャリアプレート3をガイドレール2に取り付けた後の状態で、ガイドレール2側を鉛直方向下側として行われる。また、本ワイヤ組付けは、上昇側スプリング12が上昇側スライドブッシュ11に取り付けられ、且つ、下降側スプリング14が下降側スライドブッシュ13に取り付けられた状態で行われる。
【0046】
まず、
図7に示すように、キャリアプレート3に対する上昇側ワイヤ4の組付けを行う。上昇側ワイヤ4の組付けでは、まず、上昇側スライドブッシュ11を上昇側ブッシュ挿入部61に挿入する上昇側ブッシュ挿入工程(挿入工程)を実行する。上昇側ブッシュ挿入工程では、
図7(a)及び(b)に示すように、キャリアプレート3の上方から上昇側スライドブッシュ11を上昇側ブッシュ挿入部61に入れ込み、その後、上昇側ワイヤ4を手に持って、上昇側ワイヤ4を上昇側ブッシュ挿入部61に押し込んでいくことで、上昇側スライドブッシュ11をブッシュ導入開口62に到達する位置まで押し込んで、上昇側ブッシュ挿入部61に挿入する。
【0047】
上昇側スライドブッシュ11を上昇側ブッシュ挿入部61に挿入したら、上昇側スライドブッシュ11を上昇側ブッシュ収容部47に導入すると共に、上昇側ワイヤ4を上昇側ワイヤ導出経路R1に導入する上昇側導入工程(導入工程)を実行する。上昇側導入工程では、
図7(c)に示すように、上昇側ワイヤ4を押し込んで上昇側スライドブッシュ11を押し込むことで、ブッシュ導入開口62を介して、上昇側スライドブッシュ11を上昇側ブッシュ収容部47に落とし込むと共に、上昇側ワイヤ導入溝63によって、上昇側ワイヤ4を上昇側ワイヤ導出経路R1に導入する。その後、
図7(d)に示すように、上昇側ワイヤ4を上昇側ワイヤ導出経路R1の導出先側から引っ張って、上昇側スライドブッシュ11を上昇側ブッシュ収容部47の底面側に引き寄せる。これにより、上昇側ワイヤ4の組み付けが終了する。
【0048】
上昇側ワイヤ4の組付けが終了したら、キャリアプレート3に対する下降側ワイヤ5の組付けを行う。まず、下降側スライドブッシュ13を下降側ブッシュ挿入部71に挿入する下降側ブッシュ挿入工程(挿入工程)を実行する。下降側ブッシュ挿入工程では、
図8(a)及び(b)に示すように、キャリアプレート3の下方から下降側スライドブッシュ13を下降側ブッシュ挿入部71に入れ込み、その後、下降側ワイヤ5を手に持って、下降側ワイヤ5を下降側ブッシュ挿入部71に押し込んでいくことで、下降側スライドブッシュ13をブッシュ導入開口72に到達する位置まで押し込んで、下降側ブッシュ挿入部71に挿入する。
【0049】
下降側スライドブッシュ13を下降側ブッシュ挿入部71に挿入したら、下降側スライドブッシュ13を下降側ブッシュ収容部48に導入すると共に、下降側ワイヤ5を下降側ワイヤ導出経路R2に導入する下降側導入工程(導入工程)を行う。下降側導入工程では、
図8(c)に示すように、下降側ワイヤ5を押し込んで下降側スライドブッシュ13を押し込むことで、ブッシュ導入開口72を介して、下降側スライドブッシュ13を下降側ブッシュ収容部48に落とし込むと共に、下降側ワイヤ導入溝73によって、下降側ワイヤ5を下降側ワイヤ導出経路R2に導入する。その後、
図8(d)に示すように、下降側ワイヤ5を下降側ワイヤ導出経路R2の導出先側から引っ張って、下降側スライドブッシュ13を下降側ブッシュ収容部48の底面側に引き寄せる。これにより、下降側ワイヤ5の組付けが終了し、本ワイヤ組付けが終了する。
【0050】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、キャリアプレート3の厚み方向に直交する方向からスライドブッシュ11、13を挿入する形でスライドブッシュ11、13をブッシュ収容部47、48に導入できる構成とし、且つ、ワイヤ導入溝63、73を横断する第1補強部64、74を設けたことで、キャリアプレート3の剛性を向上させることができる。
【0051】
すなわち、従来のキャリアプレート3では、キャリアプレート3の前面側又は後面側に形成されたワイヤ導入溝63、73によって、キャリアプレート3の前面側又は後面側が分断されるため、キャリアプレート3の前面側又は後面側の剛性が低下する。その結果、窓ガラスGが車両前後方向に傾こうとする力が働いたとき、キャリアプレート3の前面側又は後面側が変形し(具体的には、ワイヤ導入溝63、73が拡開するように、キャリアプレート3の前面側又は後面側が変形し)、窓ガラスGの車両前後方向の傾きを抑止できず、窓ガラスGの車両前後方向の傾きが大きくなってしまうという問題があった。これに対し、上記実施形態の構成によれば、ワイヤ導入溝63、73によって分断される部分を、第1補強部64、74によって連結し補強することができるため、従来の構成に比して、キャリアプレート3の前面側又は後面側の剛性を向上させることができる。よって、窓ガラスGが車両前後方向に傾こうとする力が働いたとき、窓ガラスGの傾きを抑止することができ、窓ガラスGの車両前後方向の傾きが大きくなるのを防止することができる。
【0052】
また、上記実施形態の構成によれば、キャリアプレート3の厚み方向(前後方向)に直交する方向からスライドブッシュ11、13を挿入する形でスライドブッシュ11、13をブッシュ収容部47、48に導入できる構成であるため、キャリアプレート3をガイドレール2に取り付けた後であっても、キャリアプレート3にワイヤ4、5を組み付けることができる。これにより、ウインドレギュレータ1の組立てに際し、ワイヤ4、5が組み付けられた状態のキャリアプレート3をガイドレール2に取り付けるという煩雑な作業を避けることができる。
【0053】
また、上記実施形態の構成によれば、スプリング12、14を取り付けた状態のスライドブッシュ11、13を挿入可能なブッシュ挿入部61、71と、スプリング12、14を取り付けた状態のスライドブッシュ11、13をブッシュ収容部47、48に導入可能なブッシュ導入開口62、72とを備え、スプリング12、14を取り付けた状態のスライドブッシュ11、13を、ブッシュ収容部47、48に導入可能な構成であるため、スライドブッシュ11、13及びスプリング12、14を一体としてブッシュ収容部47.48に導入することができ、スライドブッシュ11、13とスプリング12、14とを別々に導入する手間を省くことができる。
【0054】
また、上記実施形態の構成によれば、ブッシュ挿入部61、71が、ブッシュ収容部47、48のキャリアプレート3とは逆側(前側)に隣接して配設されていることで、ガイドレール2を鉛直方向下側にしてワイヤ組付けを行ったとき、重力によって、スライドブッシュ11、13を、ブッシュ挿入部61、71からブッシュ収容部47、48に落とし込むことができ、ワイヤ組付けを容易に行うことができる。
【0055】
また、上記実施形態の構成によれば、ブッシュ導入開口62、72を横断する第2補強部65、75を設けたことで、ブッシュ導入開口62、72によって脆弱になる部分を補強することができ、キャリアプレート3の剛性をより向上させることができる。
【0056】
また、上記実施形態の構成によれば、第2補強部65、75に、覗き孔65a、75aを設けたことで、スライドブッシュ11、13がブッシュ収容部47、48に導入されたことを容易に確認することができる。
【0057】
(キャリアプレートの変形例)
次に
図9及び
図10を参照して、キャリアプレート3の変形例について説明する。ここでは、変形例のキャリアプレート3における、上記実施形態のキャリアプレート3とは異なる部分のみについて説明するものとする。
図9に示すように、変形例のキャリアプレート3では、ガイドレール2が、右フランジ部24に代えて、左側板部23の先端から左側に且つ平板部21と平行に張り出した左フランジ部25を有していることに起因して、左レール取付け部44が、本体部41の上下端部に配設され、ガイドレール2の左側板部23に摺動する上端摺動部51及び下端摺動部52を有している。そして、左レール取付け部44は、左右方向において、上昇側ブッシュ収容部47及び上昇側ブッシュ導入部45と、下降側ブッシュ収容部48及び下降側ブッシュ導入部46との間に配設されている。すなわち、本変形例では、上昇側ブッシュ収容部47及び上昇側ブッシュ導入部45が、前方から見てガイドレール2に対し左方向に位置ズレしガイドレール2と重畳しない位置に配設されている。
【0058】
また、
図10に示すように、本変形例のキャリアプレート3では、上昇側ブッシュ導入部45及び下降側ブッシュ導入部46が、第2補強部65、75に代えて、ブッシュ挿入部61、71の先側を閉塞する壁体66、76を有している。
【0059】
本変形例の構成によれば、上昇側ブッシュ収容部47及び上昇側ブッシュ導入部45と、下降側ブッシュ収容部48及び下降側ブッシュ導入部46との間の位置に、左レール取付け部44を配設することで、キャリアプレート3の左右方向寸法を大きくすることなく、上昇側ブッシュ収容部47及び上昇側ブッシュ導入部45と、下降側ブッシュ収容部48及び下降側ブッシュ導入部46とを離間させることができ、キャリアプレート3の左右方向寸法を大きくすることなく、キャリアプレート3の剛性を向上させることができる。また、ブッシュ挿入部61、71の先側を閉塞する壁体66、76を設けることで、ブッシュ導入開口62、72によって脆弱になる部分を簡単な構成で補強することができ、キャリアプレート3の剛性を向上させることができる。
【0060】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態においては、ブッシュ挿入部61、71を、ブッシュ収容部47、48の前側に隣接して配設する構成であったが、ブッシュ挿入部61、71を、ブッシュ収容部47、48の後側に隣接して配設する構成であっても良い。さらに言えば、ブッシュ挿入部61、71を、ブッシュ収容部47、48の右側に隣接して配設する構成であっても良いし、ブッシュ挿入部61、71を、ブッシュ収容部47、48の左側に隣接して配設する構成であっても良い。
【0062】
また、上記実施形態においては、上下方向からスライドブッシュ11、13をブッシュ挿入部61、71に挿入する構成であったが、キャリアプレート3の厚み方向に直交する方向から挿入する構成であれば、これに限るものではない。例えば、左右方向からスライドブッシュ11、13をブッシュ挿入部61、71に挿入する構成であっても良い。
【0063】
また、上記実施形態においては、上昇側ブッシュ収容部47及び下降側ブッシュ収容部48が、前方から見てガイドレール2と重畳する構成であったが、上昇側ブッシュ収容部47及び下降側ブッシュ収容部48の一方又は両方が、前方から見てガイドレール2から左右に位置ズレしガイドレール2と重畳しない構成であっても良い。
【0064】
また、上記実施形態においては、上昇側ブッシュ収容部47及び下降側ブッシュ収容部48の両方に、本発明を適用したが、上昇側ブッシュ収容部47及び下降側ブッシュ収容部48のいずれか一方のみに、本発明を適用しても良い。
【0065】
また、上記実施形態においては、デルタ式のウインドレギュレータ1に、本発明を適用したが、ワイヤ式のウインドレギュレータ1であれば、これに限るものではない。例えば、駆動部6をガイドレール2の下端に配設した下端レール式のウインドレギュレータに、本発明を適用しても良いし、駆動部6をガイドレール2の上下中間位置に配設したバンジョー式のウインドレギュレータに、本発明を適用しても良い。さらに言えば、ダブルレール式のウインドレギュレータに、本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0066】
1:ウインドレギュレータ、 2:ガイドレール、 3:キャリアプレート、 4:上昇側ワイヤ、 5:下降側ワイヤ、 6:駆動部、 11:上昇側スライドブッシュ、 12:上昇側スプリング、 13:下降側スライドブッシュ、 14:下降側スプリング、 45:上昇側ブッシュ導入部、 46:下降側ブッシュ導入部、 47:上昇側ブッシュ収容部、 48:下降側ブッシュ収容部、 61:上昇側ブッシュ挿入部、 62:ブッシュ導入開口、 63:上昇側ワイヤ導入溝、 64:上昇側第1補強部、 65:上昇側第2補強部、 65a:覗き孔、 71:下降側ブッシュ挿入部、 72:ブッシュ導入開口、 73:下降側ワイヤ導入溝、 74:下降側第1補強部、 75:下降側第2補強部、 75a:覗き孔、 G:窓ガラス、 R1:上昇側ワイヤ導出経路、 R2:下降側ワイヤ導出経路