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特開2022-153000通信制御システム、通信システム、及び給湯システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153000
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】通信制御システム、通信システム、及び給湯システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/02 20090101AFI20221004BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20221004BHJP
   H04W 8/18 20090101ALI20221004BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H04W48/02
H04W48/16 132
H04W8/18
A47K3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055992
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉井 淳基
(72)【発明者】
【氏名】中島 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】前田 和茂
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 福郎
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 弘明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼溝 将輝
(72)【発明者】
【氏名】牟田 幹彦
(72)【発明者】
【氏名】長江 悠介
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA26
5K067BB45
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE16
5K067FF25
5K067GG01
(57)【要約】
【課題】ユーザが意図しないタイミングにおいて、通信部が情報端末と無線接続することを防止する通信制御システム、通信システム、及び給湯システムを提供する。
【解決手段】通信制御システム100は、記憶部11と、通信部12と、変化値算出部13と、特定部14と、判定部15と、を備える。記憶部11は、ユーザが入浴したときの水位上昇値を、ユーザが所有する情報端末4に紐づけて、登録データとして予め記憶する。変化値算出部13は水位の変化量を変化値として求める。特定部14は、変化値を登録データと照合し、登録データと紐づけられている情報端末4を特定情報端末として特定する。判定部15は特定情報端末から受信した受信信号の電波強度である特定電波強度が電波強度条件を満たしているか否かを判定する。特定電波強度が電波強度条件を満たしている場合、通信部12は、特定情報端末と無線接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが入浴したときに浴槽の水位が上昇する値である水位上昇値を、前記ユーザが所有する情報端末と紐づけて、登録データとして予め記憶する記憶部と、
前記情報端末から信号を受信信号として受信する通信部と、
前記浴槽の前記水位のデータを取得し、前記水位の変化量を変化値として求める変化値算出部と、
前記変化値を前記登録データと照合し、前記変化値に対応する前記登録データに紐づけられている前記情報端末を特定情報端末として特定する特定部と、
前記特定情報端末から受信した前記受信信号の電波強度である特定電波強度に基づき、前記特定電波強度が電波強度条件を満たしているか否かを判定する判定部と、を備え
前記特定電波強度が前記電波強度条件を満たしている場合、前記通信部は、前記特定情報端末と無線接続する
通信制御システム。
【請求項2】
前記ユーザは複数であり、
前記記憶部は、前記複数のユーザのそれぞれに対応する前記水位上昇値を、前記複数のユーザのそれぞれが所有する前記情報端末と紐づけて、前記登録データとして予め記憶し、
前記特定部は、前記変化値を前記登録データと照合し、前記複数の情報端末のうち、前記変化値に対応する前記登録データに紐づけられている前記情報端末を前記特定情報端末として特定する
請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項3】
前記電波強度条件は、前記複数の情報端末のそれぞれから受信する前記受信信号の電波強度のうち、前記特定電波強度が最も高いことを含む
請求項2に記載の通信制御システム。
【請求項4】
前記電波強度条件は、前記特定電波強度が閾値以上になることを含む
請求項1~3のいずれか1項に記載の通信制御システム。
【請求項5】
前記通信部は、前記特定情報端末から音データを受信する
請求項1~4のいずれか1項に記載の通信制御システム。
【請求項6】
前記音データを出力する音出力部を更に備える
請求項5に記載の通信制御システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の通信制御システムと、
前記浴槽の前記水位を検出する水位センサと、を備える
通信システム。
【請求項8】
請求項7に記載の通信システムと、
前記浴槽に湯を供給する給湯部と、を備える
給湯システム。
【請求項9】
前記給湯部を制御する浴室リモコンを更に備え、
少なくとも前記通信部、前記特定部、及び前記判定部のいずれかが、前記浴室リモコンに設けられる
請求項8に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、通信制御システム、通信システム、及び給湯システムに関する。より詳細には、本発明は、情報端末と無線接続する通信制御システム、通信システム、及び給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入浴者判定装置を備える健康管理システムが開示されている。この入浴者判定装置は、浴槽の脚部に重量センサを設け、入浴が行なわれる前の重量と、入浴中の重量とを測定し、その差から入浴者の体重を測定する。また、入浴者判定装置は、水位センサを設け、入浴前および入浴中の水位差を検出する。そして、入浴時の水位の変化と、測定された体重と、入浴者の情報とに基づき体脂肪率を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-287591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、情報端末と無線接続できる通信部を備える浴室内の装置が普及している。通信部は、情報端末の所有者(以下、ユーザとする)が浴室に近づくだけで、情報端末と自動的に接続してしまうため、ユーザが意図しないタイミングにおいて、通信部が情報端末と無線接続するという問題があった。
【0005】
本発明の目的とするところは、ユーザが意図しないタイミングにおいて、通信部が情報端末と無線接続することを防止する通信制御システム、通信システム、及び給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る通信制御システムは、記憶部と、通信部と、変化値算出部と、特定部と、判定部と、を備える。前記記憶部は、ユーザが入浴したときに浴槽の水位が上昇する値である水位上昇値を、前記ユーザが所有する情報端末に紐づけて、登録データとして予め記憶する。前記通信部は、前記情報端末から信号を受信信号として受信する。前記変化値算出部は、前記浴槽の前記水位のデータを取得し、前記水位の変化量を変化値として求める。前記特定部は、前記変化値を前記登録データと照合し、前記変化値に対応する前記登録データと紐づけられている前記情報端末を特定情報端末として特定する。前記判定部は、前記特定情報端末から受信した前記受信信号の電波強度である特定電波強度に基づき、前記特定電波強度が電波強度条件を満たしているか否かを判定する。前記特定電波強度が前記電波強度条件を満たしている場合、前記通信部は、前記特定情報端末と無線接続する。
【0007】
請求項2の発明に係る通信制御システムでは、請求項1の発明に係る通信制御システムにおいて、前記ユーザは複数である。前記記憶部は、前記複数のユーザのそれぞれに対応する前記水位上昇値を、前記複数のユーザのそれぞれが所有する前記情報端末と紐づけて、前記登録データとして予め記憶する。前記特定部は、前記変化値を前記登録データと照合し、前記複数の情報端末のうち、前記変化値に対応する前記登録データに紐づけられている前記情報端末を前記特定情報端末として特定する。
【0008】
請求項3の発明に係る通信制御システムでは、請求項2の発明に係る通信制御システムにおいて、前記電波強度条件は、前記複数の情報端末のそれぞれから受信する前記受信信号の電波強度のうち、前記特定電波強度が最も高いことを含む。
【0009】
請求項4の発明に係る通信制御システムでは、請求項1~3の発明のいずれか1つに係る通信制御システムにおいて、前記電波強度条件は、前記特定電波強度が閾値以上になることを含む。
【0010】
請求項5の発明に係る通信制御システムでは、請求項1~4の発明のいずれか1つに係る通信制御システムにおいて、前記通信部は、前記特定情報端末から音データを受信する。
【0011】
請求項6の発明に係る通信制御システムは、請求項5の発明に係る通信制御システムにおいて、前記音データを出力する音出力部を更に備える。
【0012】
請求項7の発明に係る通信システムは、請求項1~6の発明のいずれか1つに係る通信制御システムと、水位センサと、を備える。前記水位センサは、前記浴槽の前記水位を検出する。
【0013】
請求項8の発明に係る給湯システムは、請求項7の発明に係る通信システムと、給湯部と、を備える。前記給湯部は、前記浴槽に湯を供給する。
【0014】
請求項9の発明に係る給湯システムは、請求項8の発明に係る給湯システムにおいて、前記給湯部を制御する浴室リモコンを更に備える。少なくとも前記通信部、前記特定部、及び前記判定部のいずれかが、前記浴室リモコンに設けられる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明に係る通信制御システムでは、特定部が浴槽の水位の変化に基づいて通信部と無線接続する情報端末を特定し、通信部が特定情報端末から受信する信号の電波強度が電波強度条件を満たした場合、通信部は特定情報端末と無線接続する。これにより、ユーザが意図しないタイミングにおいて、通信部が情報端末と無線接続することを防止できるという利点がある。
【0016】
請求項2の発明に係る通信制御システムでは、特定部が浴槽の水位の変化に基づいて複数の情報端末のうち通信部と無線接続する情報端末を特定し、特定情報端末から受信する信号の電波強度が電波強度条件を満たした場合、通信部は特定情報端末と無線接続する。これにより、ユーザが意図しないタイミングにおいて、複数の情報端末が存在する場合でも、通信部が情報端末と無線接続することを防止できるという利点がある。
【0017】
請求項3の発明に係る通信制御システムでは、通信部が複数の情報端末のそれぞれから受信する受信信号の電波強度のうち、通信部が特定情報端末から受信する信号の受信強度が最も高い場合に、通信部が特定情報端末と接続する。これにより、通信部は、ユーザが意図して浴室の近くに持ち込んだ情報端末と無線接続することができるという利点がある。
【0018】
請求項4の発明に係る通信制御システムでは、通信部が特定情報端末から受信する信号の受信強度が閾値以上になる場合に、通信部が特定情報端末と接続する。これにより、通信部は、ユーザが意図して浴室の近くに持ち込んだ情報端末と無線接続することができるという利点がある。
【0019】
請求項5の発明に係る通信制御システムでは、通信部は、特定情報端末から音データを受信する。これにより、ユーザによる操作を必要とすることなく、ユーザは、浴室内で音楽データを確認することができるという利点がある。
【0020】
請求項6の発明に係る通信制御システムでは、音出力部は、音データを出力することができる。これにより、ユーザによる操作を必要とすることなく、通信制御システムは、浴室内で音楽データを出力することができるという利点がある。
【0021】
請求項7の発明に係る通信システムでは、水位センサが検出した浴槽の水位に基づいて、通信部と無線接続する情報端末を特定する。これにより、ユーザが意図しないタイミングにおいて、通信部が情報端末と無線接続することを防止する通信システムを提供できるという利点がある。
【0022】
請求項8の発明に係る給湯システムでは、浴槽の水位の変化に基づいて、通信部と無線接続する情報端末を特定する。これにより、ユーザが意図しないタイミングにおいて、通信部が情報端末と無線接続することを防止する給湯システムを提供できるという利点がある。
【0023】
請求項9の発明に係る給湯システムでは、少なくとも通信部、特定部、及び判定部のいずれかが、浴室リモコンに設けられる。これにより、ユーザが意図しないタイミングにおいて、通信部が情報端末と無線接続することを防止する浴室リモコンを提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る給湯システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、同上の通信制御システムが設けられている浴室の概略図である。
図3図3は、同上のユーザと情報端末との関係を説明する説明図である。
図4図4Aは、同上のユーザが入浴していない場合の浴槽の水位を説明する説明図ある。図4Bは、ユーザが入浴している場合の浴槽の水位を説明する説明図である。
図5図5は、同上の通信制御システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態)
以下、実施形態に係る通信制御システム100、通信システム200、及び給湯システム300について、図面を参照して説明する。下記の実施形態等において参照する図2図4は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比は、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0026】
(1)概要
以下、実施形態に係る通信制御システム100の概要について、図1図2図3を参照して説明する。
【0027】
通信制御システム100は、図1に示すように、記憶部11と、通信部12と、変化値算出部13と、特定部14と、判定部15と、を備える。例えば、通信制御システム100は、浴室9(図2参照)に設けられた装置が情報端末4と接続するために用いられる。本実施形態では、後述する浴室リモコン1が通信制御システム100を有する。ここでいう浴室9は、図2に示すように、洗い場空間91と浴槽空間92とを備えており、浴室リモコン1は浴室9内の壁に設置される。また、ユーザ5は、図3に示すように、情報端末4を所有する。
【0028】
図1に示す記憶部11は、少なくとも1人のユーザ5が入浴したときに浴槽93の水位が上昇する値である水位上昇値を、少なくとも1人のユーザ5が所有する情報端末4と紐づけて、登録データΔLrとして予め記憶する。通信部12は、情報端末4から信号を受信信号として受信する。
【0029】
変化値算出部13は、浴槽93の水位のデータを取得し、水位の変化量を変化値として求める。特定部14は、変化値を登録データと照合し、変化値に対応する登録データと紐づけられている情報端末4を特定情報端末として特定する。判定部15は、特定情報端末から受信した受信信号の電波強度である特定電波強度に基づき、特定電波強度が電波強度条件を満たしているか否かを判定する。ここでは、電波強度条件は、通信部12と情報端末4を接続させるために、ユーザ5が浴室9の近く(例えば、脱衣所等)に情報端末4を持ち込んでいるか、否かを判定できるように決められる。特定電波強度が電波強度条件を満たしている場合、通信部12は、特定情報端末と無線接続する。
【0030】
この構成によれば、特定部14が水位の変化値に基づき特定情報端末を特定し、かつ、特定電波強度が電波強度条件を満たした場合のみ、通信部12は情報端末4と無線接続する。具体的には、ユーザ5が入浴している、かつ、入浴しているユーザ5が所有している情報端末4が浴室9の近くに持ち込まれている場合のみ、通信部12が入浴しているユーザ5が所有している情報端末4と無線接続する。一方、ユーザ5が入浴していない場合、情報端末4が通信部12に近づいたときでも、通信部12は情報端末4と無線接続しない。また、入浴しているユーザ5が所有している情報端末4が浴室9の近くに持ち込まれていない場合、ユーザ5が入浴しているときでも、通信部12は情報端末4と無線接続しない。
【0031】
すなわち、通信制御システム100は、ユーザ5が意図しないタイミングにおいて、通信部12が情報端末4と無線接続することを防止できるという利点がある。
【0032】
(2)詳細な構成
(2-1)通信制御システム
以下、本実施形態での通信制御システム100について、図1図4を用いて詳細に説明する。
【0033】
本実施形態の通信制御システム100は、図1に示すように、記憶部11と、通信部12と、変化値算出部13と、特定部14と、判定部15と、を備える。
【0034】
本実施形態では、ユーザ5は複数である。本説明では、図3に示すように、ユーザ5は3人存在することを想定する。例えば、ユーザ5Aは男性のユーザ5であり、ユーザ5Bは女性のユーザ5であり、ユーザ5Cは子供のユーザ5である。また、ユーザ5A、5B、及び5Cのそれぞれは、情報端末4A、4B、及び4Cを所有する。
【0035】
記憶部11は、複数のユーザ5のそれぞれに対応する水位上昇値を、複数のユーザ5のそれぞれが所有する情報端末4と紐づけて、登録データΔLrとして予め記憶する。複数の水位上昇値は、複数のユーザ5の体格によってそれぞれ異なる値になる。より具体的には、体格が大きいユーザ5の水位上昇値は、体格が小さいユーザ5の水位上昇値よりも大きくなる。例えば、男性のユーザ5であるユーザ5Aと、女性のユーザ5であるユーザ5Bと、は体格が異なるために、ユーザ5A及びユーザ5Bの水位上昇値は、それぞれ異なる値になる。同様に、男性のユーザ5であるユーザ5Aと、子供のユーザ5であるユーザ5Cと、は体格が異なるために、ユーザ5A及びユーザ5Cの水位上昇値は、それぞれ異なる値になる。記憶部11は、ユーザ5Aに対応する水上昇データを、情報端末4Aと結びつけて、登録データΔLrとして予め記憶する。同様に、記憶部11は、ユーザ5B及び5Cに対応する水上昇データのそれぞれを、情報端末4B及び4Cのそれぞれと結びつけて、登録データΔLrとして予め記憶する。
【0036】
本実施形態の記憶部11は、ユーザ5が後述する浴室リモコン1の操作部19を介して入力する水位上昇値を、複数のユーザ5のそれぞれが所有する情報端末4に紐づけて、登録データΔLrとして予め記憶する。なお、記憶部11は、後述する水位センサ2が測定したユーザ5が実際に入浴したときに浴槽93の水位が上昇する値を、複数のユーザ5のそれぞれが所有する情報端末4に紐づけて、登録データΔLrとして予め記憶してもよい。
【0037】
例えば、本実施形態の記憶部11は、磁気コアメモリや半導体メモリ等の記憶装置である。また、記憶部11はSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置であってもよい。
【0038】
通信部12は、複数の情報端末4から信号を受信信号として受信する。通信部12と情報端末4との間の通信方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。
【0039】
本実施形態の情報端末4は、例えばユーザ5が携帯する端末であり、具体的にはスマートフォン又はタブレット型のコンピュータである。また、情報端末4は、例えばラップトップ型のパーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイス、又は通信機能を備えた音楽プレイヤーであってもよい。
【0040】
変化値算出部13は、後述する水位センサ2が検出した浴槽93の水位のデータを取得し、水位の変化量を変化値ΔLmとして求める。より具体的に、説明する。図4Aに示すように、ユーザ5が入浴していない場合には、浴室9の浴槽93には水位L1まで湯が貯められている。その後、ユーザ5が入浴すると、浴槽93の湯が水位L2まで上昇する。変化値算出部13は、(1)式に基づき、水位の変化量を変化値ΔLmとして求める。
ΔLm=|L2-L1| ……… (1)式
特定部14は、変化値ΔLmを登録データΔLrと照合し、複数の情報端末4のうち、変化値ΔLmに対応する登録データΔLrに紐づけられている情報端末4を特定情報端末として特定する。より詳細に説明する。複数のユーザ5毎に登録された登録データΔLrのうち、変化値ΔLmと一致する登録データΔLrがある場合、特定部14は、変化値ΔLmと一致する登録データΔLrに紐づけられている情報端末4を、特定情報端末として特定する。一方、複数のユーザ5毎に登録された登録データΔLrのうち、変化値ΔLmと一致する登録データΔLrがない場合、特定部14は、情報端末4を特定しない。
【0041】
具体的には、変化値ΔLmを登録データΔLrと照合した結果、ユーザ5Aに対応する登録データΔLrが変化値ΔLmと一致した場合、特定部14は、複数の情報端末4のうち、情報端末4Aを特定情報端末として特定する。
【0042】
また、ユーザ5が入浴した直後は、浴槽93の水位が安定しておらず、水位センサ2が検出する水位のデータのばらつきが大きくなるため、変化値算出部13が求める変化値ΔLmのばらつきも大きくなることが考えられる。そのため、特定部14は、変化値ΔLmのばらつきが所定範囲内に収まり、予めユーザ5によって設定された一定範囲の値に変化値ΔLmが収束したときに、変化値ΔLmを登録データΔLrと照合する。
【0043】
判定部15は、特定情報端末から受信した受信信号の電波強度である特定電波強度に基づき、特定電波強度が電波強度条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、特定部14が情報端末4Aを特定情報端末として特定した場合、特定電波強度は、複数の情報端末4から受信した受信信号の電波強度のうち、情報端末4Aから受信した受信信号の電波強度である。本実施形態の電波強度条件は、特定電波強度が閾値以上になることである。受信信号の電波強度は、例えば、受信信号強度(RSSI)である。
【0044】
より詳細に、閾値について説明する。本実施形態では、記憶部11は、登録データΔLrに紐づける処理を行ったときの情報端末4の電波強度を、初期電波強度として更に記憶する。判定部15は、初期電波強度に基づき決められた値を閾値とする。例えば、判定部15は、初期電波強度に0.7を乗じた値を閾値とする。判定部15は、特定電波強度が閾値よりも小さい場合、ユーザ5が通信部12と特定情報端末との無線接続を必要としておらず、ユーザ5が意図して特定情報端末を浴室9の近くに持ち込んでいないと判定できる。
【0045】
特定電波強度が電波強度条件を満たしている場合、通信部12は、特定情報端末と無線接続する。本実施形態では、通信部12は、特定情報端末と無線接続し、特定情報端末から音データを受信する。音データは、特定情報端末内に保存されている。なお、音データは、サーバに保存されており、特定情報端末を介して通信部12へ転送されてもよい。
【0046】
通信制御システム100は、音データを出力する音出力部16を更に備えている。音出力部16は、例えば小型スピーカを有し、通信部12が受信した音データを音にて出力してユーザ5に伝える。本実施形態では、図2に示すように、浴室リモコン1が音出力部16を備える。なお、音出力部16は、浴室リモコン1とは別体の装置になっていてもよく、浴室9の天井に設置されていてもよい。
【0047】
通信制御システム100は、コンピュータシステムを備えることが好ましい。コンピュータシステムでは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することによって、変化値算出部13、特定部14、及び判定部15の各機能が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0048】
(2-2)通信システム
通信システム200は、図1に示すように、上述した通信制御システム100と、水位センサ2と、を備える。
【0049】
水位センサ2は、浴室9内の浴槽93の水位を検出する。より詳細には、水位センサ2は、給湯路の浴槽93への連結箇所に設けられた圧力センサにて構成されている。浴槽93内の水位が上昇すると、圧力センサにて検出される圧力が高くなる。水位センサ2は、検出される圧力に基づいて、浴槽93内の水位を検出する。
【0050】
(2-3)給湯システム
給湯システム300は、図1に示すように、上述した通信システム200と、給湯部3と、を備える。
【0051】
給湯部3は、浴室9内の浴槽93に湯を供給する。より具体的には、水道にて供給される水をガス燃焼式のバーナにて加熱した湯を、給湯路(図示せず)を通して浴室9の浴槽93に供給する。例えば、本実施形態の給湯部3は、ガス給湯器である。なお、給湯部3は、電気や灯油を使用して水を加熱してもよい。
【0052】
また、給湯システム300は、給湯部3を制御する浴室リモコン1を更に備える。より詳細に、説明する。浴室リモコン1は、給湯制御部17と、表示部18と、操作部19と、を有する。表示部18は、例えば表示パネル(液晶パネル)を有し、浴槽93(図2参照)に貯えられる湯の温度及び水位、シャワーから出力される湯水の温度等、各種の情報を表示する。操作部19は、複数(図2では5つ)の操作ボタン191~195を有し、湯水の温度及び水位の変更等、ユーザ5の種々の操作を受け付ける。給湯制御部17は、操作部19が受け付けたユーザ5の種々の操作に基づき、給湯部3を制御する。
【0053】
(3)動作
(3-1)特定情報端末と無線接続するまでの動作
実施形態において、通信部12が特定情報端末と無線接続するまでの通信制御システム100の動作を、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
まず、ユーザ5が浴室9内の浴槽93で入浴を開始する(S1)。そして、変化値算出部13は、水位センサ2が検出した浴槽93の水位のデータを取得し、水位の変化量を変化値ΔLmとして算出する(S2)。
【0055】
その後、特定部14は、変化値算出部13が算出した変化値ΔLmのばらつきが所定範囲に収まり、変化値ΔLmが一定範囲の値に収束したとき、変化値ΔLmを記憶部11が記憶している登録データΔLrと照合する(S3)。特定部14が情報端末4を特定可能でない場合(S4:NO)、特定部14は情報端末4を特定しない(S6)。より具体的には、登録データΔLrが変化値ΔLmと一致しない場合、特定部14は情報端末4を特定しない。そして、通信部12は、情報端末4と無線接続しない(S9)。
【0056】
一方、特定部14が情報端末4を特定可能である場合(S4:YES)、特定部14は、複数の情報端末4のうち、登録データΔLrと紐づけられている情報端末4を特定情報端末として特定する(S5)。より具体的には、登録データΔLrが変化値ΔLmと一致する場合、特定部14は、複数の情報端末4のうち、登録データΔLrと紐づけられている情報端末4を特定情報端末として特定する。
【0057】
そして、通信部12が特定情報端末から受信した受信信号の電波強度である特定電波強度に基づき、判定部15は、特定電波強度が電波強度条件を満たしているか否かを判定する(S7)。特定電波強度が電波強度条件を満たしていない場合(S7:NO)、通信部12は情報端末4と無線接続しない(S9)。
【0058】
一方、特定電波強度が電波強度条件を満たしている場合(S7:YES)、通信部12は情報端末4と無線接続する(S8)。
【0059】
図5のフローチャートは、実施形態の通信制御システム100の動作の一例に過ぎず、その処理の順序が適宜入れ替わっていてもよいし、いずれかの処理について適宜省略されてもよい。
【0060】
(4)変形例
上述の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されていてもよい。
【0061】
上述の実施形態では、電波強度条件は、特定電波強度が閾値以上になることであるが、電波強度条件は、複数の情報端末4のそれぞれから受信する受信信号の電波強度のうち、特定電波強度が最も高いことであってもよい。なお、電波強度条件は、特定電波強度が閾値以上になり、かつ、複数の情報端末4のそれぞれから受信する受信信号の電波強度のうち、特定電波強度が最も高いことであってもよい。
【0062】
複数のユーザ5のうち、少なくとも2人のユーザ5の体格が類似しているとき、複数の登録データΔLrのうち少なくとも2つの登録データΔLrが変化値ΔLmと一致する場合がある。そのため、特定部14は、複数の情報端末4のうち少なくとも2つ情報端末4を特定情報端末として特定することが考えられる。この場合、電波強度条件は、複数の情報端末4のそれぞれから受信する受信信号の電波強度のうち、特定電波強度が最も高いことであってもよい。このとき、通信部12は、少なくとも2つの特定情報端末のうち、電波強度条件を満たす特定情報端末と無線接続する。より詳細には、通信部12は、少なくとも2つの特定情報端末のうち、最も強い電波強度を送信する特定情報端末と無線接続する。これによって、通信部12は、ユーザ5が意図して浴室9の近くに持ち込んだ情報端末4と無線接続することが可能である。
【0063】
また、上述の実施形態では、通信部12、特定部14、及び判定部15が浴室リモコン1に設けられているが、少なくとも通信部12、特定部14、及び判定部15のいずれかが、浴室リモコン1に設けられていてもよい。
【0064】
また、一態様に係る特定部14は、変化値ΔLmと一致する登録データΔLrがある場合、特定部14は、複数の情報端末4のうち、登録データΔLrと紐づけられている情報端末4を特定情報端末として特定する。しかし、特定部14は、変化値ΔLmと登録データΔLrの差が予め決められた許容値以下である場合、複数の情報端末4のうち、登録データΔLrと紐づけられている情報端末4を特定情報端末として特定してもよい。これによって、変化値ΔLmのばらつきによる特定部14の誤特定が防止される。許容値は、予めユーザ5によって決められ、記憶部11に記憶される。
【0065】
また、一態様に係る特定部14は、変化値ΔLmのばらつきが所定範囲内に収まり、予めユーザ5によって設定された一定範囲の値に変化値ΔLmが収束したときに、変化値ΔLmを登録データΔLrと照合する。しかし、特定部14は、予め決められた時間毎に、変化値ΔLmを登録データΔLrと照合してもよい。
【0066】
また、一態様に係る通信部12は、特定情報端末と無線接続し、特定情報端末から音データを受信するが、通信部12は、特定情報端末から映像データを受信してもよい。このとき、通信制御システム100は、映像データを出力する映像出力部を更に備えていてもよい。なお、通信部12は、特定情報端末から静止画データを受信してもよい。このとき、通信制御システム100は、静止画データを出力する静止画出力部を更に備えていてもよい。
【0067】
また、一態様に係る通信部12は、中継器を介して特定情報端末から音データを受信してもよい。具体的には、入浴しているユーザが所有している情報端末4が中継器とともに浴室9の近くに持ち込まれている場合において、通信部12は、中継器を介して情報端末4から音データ等を受信してもよい。このとき、中継器は、通信部12へ送信する音データ等を保持していない場合においても、情報端末4が保持している音データ等を通信部12へ送信することが可能になる。中継器は、例えば、入浴しているユーザが所有している情報端末とは異なる情報端末である。
【0068】
また、中継器は浴室9の近くに持ち込まれており、かつ、入浴しているユーザ5が所有している情報端末4が脱衣室とは異なる場所(例えば、リビング等)に存在している場合が考えられる。この場合において、入浴しているユーザ5が所有している情報端末4と中継器との通信はWi-Fi(登録商標)を使用し、中継器と通信部12との通信はBluetooth(登録商標)を使用してもよい。このとき、中継器だけが浴室9の近くに持ち込まれており、入浴しているユーザ5が所有している情報端末4が浴室9の近くに持ち込まれていない場合において、通信部12は中継器を介して情報端末4から音データを受信することが可能になる。
【0069】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0070】
100 通信制御システム
200 通信システム
300 給湯システム
1 浴室リモコン
11 記憶部
12 通信部
13 変化値算出部
14 特定部
15 判定部
16 音出力部
2 水位センサ
3 給湯部
4 情報端末
5 ユーザ
93 浴槽
図1
図2
図3
図4
図5