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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153009
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20221004BHJP
   G01S 13/931 20200101ALN20221004BHJP
【FI】
G01S7/03 220
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056002
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】村上 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐東 将行
(72)【発明者】
【氏名】川路 聡
(72)【発明者】
【氏名】錦戸 正光
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB18
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AD05
5J070AD09
5J070AE01
5J070AE07
5J070AE09
5J070AF03
5J070AF05
5J070AF06
5J070AH12
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK28
(57)【要約】
【課題】物体を検出するための信号を送受信する際のノイズ対策を改善した電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、送信アンテナから送信波を送信する送信部と、送信波が反射された反射波を受信アンテナから受信する受信部と、送信信号及び受信信号に基づいて、送信波を反射する物体を検出する制御部と、これらの少なくともいずれかに電力を供給する電源デバイスと、これらが配置される基板と、を備える。送信アンテナ及び受信アンテナは、基板の第1面に配置され、制御部及び電源デバイスは基板の第1面と反対側の第2面に配置される。基板は、第1面と第2面との間で送信波及び反射波の少なくとも一方を導く導波管を備える。導波管は、基板の第2面から送信波又は反射波の波長の1/4の距離だけ離間させた電磁波シールド部材によって覆われる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナから送信波を送信する送信部と、
前記送信波が反射された反射波を受信アンテナから受信する受信部と、
前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出する制御部と、
前記送信部、前記受信部、及び前記制御部の少なくともいずれかに電力を供給する電源デバイスと、
前記送信アンテナ、前記受信アンテナ、前記制御部、及び前記電源デバイスが配置される基板と、
を備える電子機器であって、
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナは、前記基板の第1面に配置され、
前記制御部及び前記電源デバイスは、前記基板の前記第1面と反対側の第2面に配置され、
前記基板は、前記第1面と前記第2面との間で前記送信波及び前記反射波の少なくとも一方を導く導波管を備え、
前記導波管は、前記基板の前記第2面から前記送信波又は前記反射波の波長の1/4の距離だけ離間させた電磁波シールド部材によって覆われる、電子機器。
【請求項2】
前記電源デバイスは、前記基板の第2面側において電磁波シールド部材によって覆われる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電源デバイスは、低ドロップアウトレギュレータを含んで構成される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電源デバイスと前記電磁波シールド部材との間に放熱シートを介在させる、請求項2を引用する請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電源デバイスは、スイッチング電源を含んで構成される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記基板の前記第1面から前記送信波又は前記反射波の波長の1/2の距離だけ離間させた樹脂製部材によって覆われる、請求項1から5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記送信部及び前記受信部は、前記基板の前記第2面に配置される、請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に関連する産業などの分野において、自車両と所定の物体との間の距離などを測定する技術が重要視されている。特に、近年、ミリ波のような電波を送信し、障害物などの物体に反射した反射波を受信することで、物体との間の距離などを測定するレーダ(RADAR(Radio Detecting and Ranging))の技術が、種々研究されている。このような距離などを測定する技術の重要性は、運転者の運転をアシストする技術、及び、運転の一部又は全部を自動化する自動運転に関連する技術の発展に伴い、今後ますます高まると予想される。
【0003】
上述したレーダのような技術において、物体を検出するための信号を送受信する際のノイズ対策として、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1は、高周波回路部を電源回路部から離れた位置に配置することにより、電源回路部から発生するノイズが高周波回路部に影響を及ぼしにくくし得るレーダ装置を開示している。また、特許文献2は、プリント基板と筐体との隙間を狭くすることにより、隙間を介して装置の内外にノイズが通過しにくくし得るレーダ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-64632号公報
【特許文献2】特開2014-219227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
送信された送信波が所定の物体に反射した反射波を受信することにより当該物体を検出する電子機器において、当該物体を検出するための信号を送受信する際のノイズを極力低減することが望ましい。
【0006】
本開示の目的は、物体を検出するための信号を送受信する際のノイズ対策を改善した電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る電子機器は、
送信アンテナから送信波を送信する送信部と、
前記送信波が反射された反射波を受信アンテナから受信する受信部と、
前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出する制御部と、
前記送信部、前記受信部、及び前記制御部の少なくともいずれかに電力を供給する電源デバイスと、
前記送信アンテナ、前記受信アンテナ、前記制御部、及び前記電源デバイスが配置される基板と、
を備える。
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナは、前記基板の第1面に配置され、
前記制御部及び前記電源デバイスは、前記基板の前記第1面と反対側の第2面に配置される。
前記基板は、前記第1面と前記第2面との間で前記送信波及び前記反射波の少なくとも一方を導く導波管を備える。
前記導波管は、前記基板の前記第2面から前記送信波又は前記反射波の波長の1/4の距離だけ離間させた電磁波シールド部材によって覆われる。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態によれば、物体を検出するための信号を送受信する際のノイズ対策を改善した電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る電子機器の使用態様を説明する図である。
図2】一実施形態に係る電子機器の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】一実施形態に係る送信信号の構成を説明する図である。
図4】一実施形態に係る電子機器における基板に配置された機能部の例を示す図である。
図5】一実施形態に係る電子機器において対策し得るノイズの例を示す図である。
図6】一実施形態に係る電子機器における基板に配置された電磁波シールド部材の例を示す図である。
図7】一実施形態に係る電子機器における部材の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
一実施形態に係る電子機器は、例えば自動車などのような乗り物(移動体)に搭載されることで、当該移動体の周囲に存在する所定の物体を検出することができる。このために、一実施形態に係る電子機器は、移動体に設置した送信アンテナから、移動体の周囲に送信波を送信することができる。また、一実施形態に係る電子機器は、移動体に設置した受信アンテナから、送信波が反射された反射波を受信することができる。送信アンテナ及び受信アンテナの少なくとも一方は、例えば移動体に設置されたレーダセンサ等に備えられてもよい。
【0012】
以下、典型的な例として、一実施形態に係る電子機器が、乗用車のような自動車に搭載される構成について説明する。しかしながら、一実施形態に係る電子機器が搭載されるのは、自動車に限定されない。一実施形態に係る電子機器は、バス、トラック、オートバイ、自転車、船舶、航空機、トラクターなどの農作業装置、除雪車、清掃車、パトカー、救急車、及びドローンなど、種々の移動体に搭載されてよい。また、一実施形態に係る電子機器が搭載されるのは、必ずしも自らの動力で移動する移動体にも限定されない。例えば、一実施形態に係る電子機器が搭載される移動体は、トラクターにけん引されるトレーラー部分などとしてもよい。一実施形態に係る電子機器は、センサ及び所定の物体の少なくとも一方が移動し得るような状況において、センサと物体との間の距離などを測定することができる。また、一実施形態に係る電子機器は、センサ及び物体の双方が静止していても、センサと物体との間の距離などを測定することができる。
【0013】
まず、一実施形態に係る電子機器による物体の検出の例を説明する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る電子機器の使用態様を説明する図である。図1は、一実施形態に係る送信アンテナ及び受信アンテナを備えるセンサを、移動体に設置した例を示している。
【0015】
図1に示す移動体100には、一実施形態に係る送信アンテナ及び受信アンテナを備えるセンサ5が設置されている。また、図1に示す移動体100は、一実施形態に係る電子機器1を搭載(例えば内蔵)しているものとする。電子機器1の具体的な構成については後述する。センサ5は、例えば送信アンテナ及び受信アンテナの少なくとも一方を備えるものとしてよい。また、センサ5は、電子機器1に含まれる制御部10(図2)の少なくとも一部など、他の機能部の少なくともいずれかを、適宜含んでもよい。図1に示す移動体100は、乗用車のような自動車の車両としてよいが、任意のタイプの移動体としてよい。図1において、移動体100は、例えば図に示すZ軸正方向(進行方向)に移動(走行又は徐行)していてもよいし、他の方向に移動していてもよいし、また移動せずに静止していてもよい。
【0016】
図1に示すように、移動体100には、送信アンテナを備えるセンサ5が設置されている。図1に示す例において、送信アンテナ及び受信アンテナを備えるセンサ5は、移動体100の前方に1つだけ設置されている。ここで、センサ5が移動体100に設置される位置は、図1に示す位置に限定されるものではなく、適宜、他の位置としてもよい。例えば、図1に示すようなセンサ5を、移動体100の左側、右側、及び/又は、後方などに設置してもよい。また、このようなセンサ5の個数は、移動体100における測定の範囲及び/又は精度など各種の条件(又は要求)に応じて、1つ以上の任意の数としてよい。センサ5は、移動体100の内部に設置されているとしてもよい。移動体100の内部とは、例えばバンパー内の空間、ボディ内の空間、ヘッドライト内の空間、又は運転スペースの空間などでよい。
【0017】
センサ5は、送信アンテナから送信波として電磁波を送信する。例えば移動体100の周囲に所定の物体(例えば図1に示す物体200)が存在する場合、センサ5から送信された送信波の少なくとも一部は、当該物体によって反射されて反射波となる。そして、このような反射波を例えばセンサ5の受信アンテナによって受信することにより、移動体100に搭載された電子機器1は、当該物体を検出することができる。
【0018】
送信アンテナを備えるセンサ5は、典型的には、電波を送受信するレーダ(RADAR(Radio Detecting and Ranging))センサとしてよい。しかしながら、センサ5は、レーダセンサに限定されない。一実施形態に係るセンサ5は、例えば光波によるLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)の技術に基づくセンサとしてもよい。これらのようなセンサは、例えばパッチアンテナなどを含んで構成することができる。RADAR及びLIDARのような技術は既に知られているため、詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略することがある。
【0019】
図1に示す移動体100に搭載された電子機器1は、センサ5の送信アンテナから送信された送信波の反射波を受信アンテナから受信する。このようにして、電子機器1は、移動体100から所定の距離内に存在する所定の物体200を検出することができる。例えば、図1に示すように、電子機器1は、自車両である移動体100と所定の物体200との間の距離Lを測定することができる。また、電子機器1は、自車両である移動体100と所定の物体200との相対速度も測定することができる。さらに、電子機器1は、所定の物体200からの反射波が、自車両である移動体100に到来する方向(到来角θ)も測定することができる。
【0020】
ここで、物体200とは、例えば移動体100に隣接する車線を走行する対向車、移動体100に並走する自動車、及び移動体100と同じ車線を走行する前後の自動車などの少なくともいずれかとしてよい。また、物体200とは、オートバイ、自転車、ベビーカー、歩行者などの人間、動物、昆虫その他の生命体、ガードレール、中央分離帯、道路標識、歩道の段差、壁、障害物など、移動体100の周囲に存在する任意の物体としてよい。さらに、物体200は、移動していてもよいし、停止していてもよい。例えば、物体200は、移動体100の周囲に駐車又は停車している自動車などとしてもよい。
【0021】
図1において、センサ5の大きさと、移動体100の大きさとの比率は、必ずしも実際の比率を示すものではない。また、図1において、センサ5は、移動体100の外部に設置した状態を示してある。しかしながら、一実施形態において、センサ5は、移動体100の各種の位置に設置してよい。例えば、一実施形態において、センサ5は、移動体100のバンパーの内部に設置して、移動体100の外観に現れないようにしてもよい。
【0022】
以下、典型的な例として、センサ5の送信アンテナは、ミリ波(30GHz以上)又は準ミリ波(例えば20GHz~30GHz付近)などのような周波数帯の電波を送信するものとして説明する。例えば、センサ5の送信アンテナは、77GHz~81GHzのように、4GHzの周波数帯域幅を有する電波を送信してもよい。
【0023】
図2は、一実施形態に係る電子機器1の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。以下、一実施形態に係る電子機器1の構成の一例について説明する。
【0024】
ミリ波方式のレーダによって距離などを測定する際、周波数変調連続波レーダ(以下、FMCWレーダ(Frequency Modulated Continuous Wave radar)と記す)が用いられることが多い。FMCWレーダは、送信する電波の周波数を掃引して送信信号が生成される。したがって、例えば79GHzの周波数帯の電波を用いるミリ波方式のFMCWレーダにおいて、使用する電波の周波数は、例えば77GHz~81GHzのように、4GHzの周波数帯域幅を持つものとなる。79GHzの周波数帯のレーダは、例えば24GHz、60GHz、76GHzの周波数帯などの他のミリ波/準ミリ波レーダよりも、使用可能な周波数帯域幅が広いという特徴がある。以下、このような実施形態について説明する。
【0025】
図2に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、センサ5とECU(Electronic Control Unit)50とから構成される。ECU60は、移動体100の様々な動作を制御する。ECU60は、少なくとも1以上のECUにより構成されるものとしてよい。本開示において、「電子機器」とは、例えば図2に示すような電子機器1(すなわち例えばセンサ5及びECU60を含む)を意味するものとしてもよいし、例えば図2に示すようなセンサ5を意味するものとしてもよい。
【0026】
一実施形態に係る電子機器1は、制御部10を備えている。また、一実施形態に係る電子機器1は、送信部20、及び受信部30A~30Dなどの少なくともいずれかのような、他の機能部を適宜含んでもよい。図2に示すように、電子機器1は、受信部30A~30Dのように、複数の受信部を備えてよい。以下、受信部30Aと、受信部30Bと、受信部30Cと、受信部30Dとを特に区別しない場合、単に「受信部30」と記す。また、図2に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、電源デバイス50を備えてもよい。図2に示すように、電源デバイス50は、一実施形態に係るセンサ5に含まれてもよい。
【0027】
制御部10は、距離FFT処理部11、速度FFT処理部12、到来角推定部13、及び物体検出部14を備えてよい。制御部10に含まれるこれらの機能部については、さらに後述する。
【0028】
送信部20は、図2に示すように、信号生成部21、シンセサイザ22、位相制御部23A、23B、及び23C、増幅器24A、24B、及び24C、並びに、送信アンテナ26A、26B、及び26Cを備えてよい。以下、位相制御部23Aと、位相制御部23Bと、位相制御部23Cとを区別しない場合、単に「位相制御部23」と記す。また、以下、増幅器24Aと、増幅器24Bと、増幅器24Cとを区別しない場合、単に「増幅器24」と記す。また、以下、送信アンテナ26Aと、送信アンテナ26Bと、送信アンテナ26Cとを区別しない場合、単に「送信アンテナ26」と記す。
【0029】
受信部30は、図2に示すように、それぞれ対応する受信アンテナ31A~31Dを備えてよい。以下、受信アンテナ31Aと、受信アンテナ31Bと、受信アンテナ31Cと、受信アンテナ31Dとを区別しない場合、単に「受信アンテナ31」と記す。また、複数の受信部30は、それぞれ、図2に示すように、LNA33、位相制御部34、ミキサ35、IF部36、及びAD変換部37を備えてよい。受信部30A~30Dは、それぞれ同様の構成としてよい。図2においては、代表例として、受信部30Aのみの構成を概略的に示してある。
【0030】
上述のセンサ5は、例えば送信アンテナ26及び受信アンテナ31を備えるものとしてよい。また、センサ5は、制御部10などの他の機能部の少なくともいずれかを適宜含んでもよい。
【0031】
一実施形態に係る電子機器1が備える制御部10は、電子機器1を構成する各機能部の制御をはじめとして、電子機器1全体の動作の制御を行うことができる。制御部10は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)のような、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。制御部10は、まとめて1つのプロセッサで実現してもよいし、いくつかのプロセッサで実現してもよいし、それぞれ個別のプロセッサで実現してもよい。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)ともいう。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。一実施形態において、制御部10は、例えばCPU及び当該CPUで実行されるプログラムとして構成してよい。制御部10は、任意のメモリを適宜含んでもよい。一実施形態において、任意のメモリは、送信アンテナ26から送信する送信波T及び受信アンテナ31から受信する反射波Rによって物体を検出する範囲を設定するための各種パラメータを記憶してよい。
【0032】
一実施形態に係る電子機器1において、制御部10は、送信部20及び受信部30の少なくとも一方を制御することができる。この場合、制御部10は、例えば任意のメモリに記憶された各種情報に基づいて、送信部20及び受信部30の少なくとも一方を制御してよい。また、一実施形態に係る電子機器1において、制御部10は、信号生成部21に信号の生成を指示したり、信号生成部21が信号を生成するように制御したりしてもよい。
【0033】
信号生成部21は、制御部10の制御により、送信アンテナ26から送信波Tとして送信される信号(送信信号)を生成する。信号生成部21は、送信信号を生成する際に、例えば制御部10による制御に基づいて、送信信号の周波数を割り当ててよい。具体的には、信号生成部21は、制御部10によって設定されたパラメータにしたがって、送信信号の周波数を割り当ててよい。例えば、信号生成部21は、制御部10から周波数情報を受け取ることにより、例えば77~81GHzのような周波数帯域の所定の周波数の信号を生成する。信号生成部21は、例えば電圧制御発振器(VCO)のような機能部を含んで構成してよい。
【0034】
信号生成部21は、当該機能を有するハードウェアとして構成してもよいし、例えばマイコンなどで構成してもよいし、例えばCPUのようなプロセッサ及び当該プロセッサで実行されるプログラムなどとして構成してもよい。以下説明する各機能部も、当該機能を有するハードウェアとして構成してもよいし、可能な場合には、例えばマイコンなどで構成してもよいし、例えばCPUのようなプロセッサ及び当該プロセッサで実行されるプログラムなどとして構成してもよい。
【0035】
一実施形態に係る電子機器1において、信号生成部21は、例えばチャープ信号のような送信信号(送信チャープ信号)を生成してよい。特に、信号生成部21は、周波数が周期的に線形に変化する信号(線形チャープ信号)を生成してもよい。例えば、信号生成部21は、周波数が時間の経過に伴って77GHzから81GHzまで周期的に線形に増大するチャープ信号としてもよい。また、例えば、信号生成部21は、周波数が時間の経過に伴って77GHzから81GHzまで線形の増大(アップチャープ)及び減少(ダウンチャープ)を周期的に繰り返す信号を生成してもよい。信号生成部21が生成する信号は、例えば制御部10において予め設定されていてもよい。また、信号生成部21が生成する信号は、例えば任意のメモリなどに予め記憶されていてもよい。レーダのような技術分野で用いられるチャープ信号は既知であるため、より詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。信号生成部21によって生成された信号は、シンセサイザ22に供給される。
【0036】
図3は、信号生成部21が生成するチャープ信号の例を説明する図である。
【0037】
図3において、横軸は経過する時間を表し、縦軸は周波数を表す。図3に示す例において、信号生成部21は、周波数が周期的に線形に変化する線形チャープ信号を生成する。図3においては、各チャープ信号を、c1,c2,…,c8のように示してある。図3に示すように、それぞれのチャープ信号において、時間の経過に伴って周波数が線形に増大する。
【0038】
図3に示す例において、c1,c2,…,c8のように8つのチャープ信号を含めて、1つのサブフレームとしている。すなわち、図3に示すサブフレーム1及びサブフレーム2などは、それぞれc1,c2,…,c8のように8つのチャープ信号を含んで構成されている。また、図3に示す例において、サブフレーム1~サブフレーム16のように16のサブフレームを含めて、1つのフレームとしている。すなわち、図3に示すフレーム1及びフレーム2など、それぞれ16のサブフレームを含んで構成されている。また、図3に示すように、フレーム同士の間には、所定の長さのフレームインターバルを含めてもよい。図3に示す1つのフレームは、例えば30ミリ秒から50ミリ秒程度の長さとしてよい。
【0039】
図3において、フレーム2以降も同様の構成としてよい。また、図3において、フレーム3以降も同様の構成としてよい。一実施形態に係る電子機器1において、信号生成部21は、任意の数のフレームとして送信信号を生成してよい。また、図3においては、一部のチャープ信号は省略して示している。このように、信号生成部21が生成する送信信号の時間と周波数との関係は、例えば任意のメモリなどに記憶しておいてよい。
【0040】
このように、一実施形態に係る電子機器1は、複数のチャープ信号を含むサブフレームから構成される送信信号を送信してよい。また、一実施形態に係る電子機器1は、サブフレームを所定数含むフレームから構成される送信信号を送信してよい。
【0041】
以下、電子機器1は、図3に示すようなフレーム構造の送信信号を送信するものとして説明する。しかしながら、図3に示すようなフレーム構造は一例であり、例えば1つのサブフレームに含まれるチャープ信号は8つに限定されない。一実施形態において、信号生成部21は、任意の数(例えば任意の複数)のチャープ信号を含むサブフレームを生成してよい。また、図3に示すようなサブフレーム構造も一例であり、例えば1つのフレームに含まれるサブフレームは16に限定されない。一実施形態において、信号生成部21は、任意の数(例えば任意の複数)のサブフレームを含むフレームを生成してよい。信号生成部21は、異なる周波数の信号を生成してよい。信号生成部21は、周波数fがそれぞれ異なる帯域幅の複数の離散的な信号を生成してもよい。
【0042】
図2に戻り、シンセサイザ22は、信号生成部21が生成した信号の周波数を、所定の周波数帯の周波数まで上昇させる。シンセサイザ22は、送信アンテナ26から送信する送信波Tの周波数として選択された周波数まで、信号生成部21が生成した信号の周波数を上昇させてよい。送信アンテナ26から送信する送信波Tの周波数として選択される周波数は、例えば制御部10によって設定されてもよい。例えば、送信アンテナ26から送信する送信波Tの周波数として選択される周波数は、制御部10によって選択された周波数としてよい。また、送信アンテナ26から送信する送信波Tの周波数として選択される周波数は、例えば任意のメモリに記憶されていてもよい。シンセサイザ22によって周波数が上昇された信号は、位相制御部23及びミキサ35に供給される。位相制御部23が複数の場合、シンセサイザ22によって周波数が上昇された信号は、複数の位相制御部23のそれぞれに供給されてよい。また、受信部30が複数の場合、シンセサイザ22によって周波数が上昇された信号は、複数の受信部30におけるそれぞれのミキサ35に供給されてよい。
【0043】
位相制御部23は、シンセサイザ22から供給された送信信号の位相を制御(調整)する。具体的には、位相制御部23は、例えば制御部10による制御に基づいて、シンセサイザ22から供給された信号の位相を適宜早めたり遅らせたりすることにより、送信信号の位相を調整してよい。この場合、位相制御部23は、複数の送信アンテナ26から送信されるそれぞれの送信波Tの経路差に基づいて、それぞれの送信信号の位相を調整してもよい。位相制御部23がそれぞれの送信信号の位相を適宜調整することにより、複数の送信アンテナ26から送信される送信波Tは、所定の方向において強め合ってビームを形成する(ビームフォーミング)。この場合、ビームフォーミングの方向と、複数の送信アンテナ26がそれぞれ送信する送信信号の制御すべき位相量との相関関係は、例えば任意のメモリに記憶しておいてよい。位相制御部23は、例えば任意のフェイズシフタなどを含んで構成されてもよい。位相制御部23によって位相制御された送信信号は、増幅器24に供給される。
【0044】
増幅器24は、位相制御部23から供給された送信信号のパワー(電力)を、例えば制御部10による制御に基づいて増幅させる。センサ5が複数の送信アンテナ26を備える場合、複数の増幅器24は、複数の位相制御部23のうちそれぞれ対応するものから供給された送信信号のパワー(電力)を、例えば制御部10による制御に基づいてそれぞれ増幅させてよい。送信信号のパワーを増幅させる技術自体は既に知られているため、より詳細な説明は省略する。増幅器24は、送信アンテナ26に接続される。
【0045】
送信アンテナ26は、増幅器24によって増幅された送信信号を、送信波Tとして出力(送信)する。センサ5が複数の送信アンテナ26を備える場合、複数の送信アンテナ26は、複数の増幅器24のうちそれぞれ対応するものによって増幅された送信信号を、それぞれ送信波Tとして出力(送信)してよい。送信アンテナ26は、既知のレーダ技術に用いられる送信アンテナと同様に構成することができるため、より詳細な説明は省略する。
【0046】
このようにして、一実施形態に係る電子機器1は、送信アンテナ26を備え、送信アンテナ26から送信波Tとして送信信号(例えば送信チャープ信号)を送信することができる。ここで、電子機器1を構成する各機能部のうちの少なくとも1つは、1つの筐体に収められてもよい。また、この場合、当該1つの筐体は、容易に開けることができない構造としてもよい。例えば送信アンテナ26、受信アンテナ31、増幅器24が1つの筐体に収められ、かつ、この筐体が容易に開けられない構造となっているとよい。さらに、ここで、センサ5が自動車のような移動体100に設置される場合、送信アンテナ26は、例えばレーダカバーのようなカバー部材を介して、移動体100の外部に送信波Tを送信してもよい。この場合、レーダカバーは、例えば合成樹脂又はゴムのような、電磁波を通過させる物質で構成してよい。このレーダカバーは、例えばセンサ5のハウジングとしてもよい。レーダカバーのような部材で送信アンテナ26を覆うことにより、送信アンテナ26が外部との接触により破損したり不具合が発生したりするリスクを低減することができる。また、上記レーダカバー及びハウジングは、レドームとも呼ばれることがある。
【0047】
図2に示す電子機器1は、送信アンテナ26を3つ備える例を示している。しかしながら、一実施形態において、電子機器1は、任意の数の送信アンテナ26を備えてもよい。一方、一実施形態において、電子機器1は、送信アンテナ26から送信される送信波Tが所定方向にビームを形成するようにする場合、複数の送信アンテナ26を備えてよい。一実施形態において、電子機器1は、複数の送信アンテナ26に対応させて、位相制御部23及び増幅器24もそれぞれ複数備えてよい。そして、複数の位相制御部23は、シンセサイザ22から供給されて複数の送信アンテナ26から送信される複数の送信波の位相を、それぞれ制御してよい。また、複数の増幅器24は、複数の送信アンテナ26から送信される複数の送信信号のパワーを、それぞれ増幅してよい。また、この場合、センサ5は、複数の送信アンテナを含んで構成してよい。このように、図2に示す電子機器1は、複数の送信アンテナ26を備える場合、当該複数の送信アンテナ26から送信波Tを送信するのに必要な機能部も、それぞれ複数含んで構成してよい。
【0048】
受信アンテナ31は、反射波Rを受信する。反射波Rは、送信波Tが所定の物体200に反射したものである。受信アンテナ31は、例えば受信アンテナ31A~受信アンテナ31Dのように、複数のアンテナを含んで構成してよい。受信アンテナ31は、既知のレーダ技術に用いられる受信アンテナと同様に構成することができるため、より詳細な説明は省略する。受信アンテナ31は、LNA33に接続される。受信アンテナ31によって受信された反射波Rに基づく受信信号は、LNA33に供給される。
【0049】
一実施形態に係る電子機器1は、複数の受信アンテナ31から、例えばチャープ信号のような送信信号(送信チャープ信号)として送信された送信波Tが所定の物体200によって反射された反射波Rを受信することができる。このように、送信波Tとして送信チャープ信号を送信する場合、受信した反射波Rに基づく受信信号は、受信チャープ信号と記す。すなわち、電子機器1は、受信アンテナ31から反射波Rとして受信信号(例えば受信チャープ信号)を受信する。ここで、センサ5が自動車のような移動体100に設置される場合、受信アンテナ31は、例えばレーダカバーのようなカバー部材を介して、移動体100の外部から反射波Rを受信してもよい。この場合、レーダカバーは、例えば合成樹脂又はゴムのような、電磁波を通過させる物質で構成してよい。このレーダカバーは、例えばセンサ5のハウジングとしてもよい。レーダカバーのような部材で受信アンテナ31を覆うことにより、受信アンテナ31が外部との接触により破損又は不具合が発生するリスクを低減することができる。また、上記レーダカバー及びハウジングは、レドームとも呼ばれることがある。
【0050】
また、受信アンテナ31が送信アンテナ26の近くに設置される場合、これらをまとめて1つのセンサ5に含めて構成してもよい。すなわち、1つのセンサ5には、例えば少なくとも1つの送信アンテナ26及び少なくとも1つの受信アンテナ31を含めてもよい。例えば、1つのセンサ5は、複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31を含んでもよい。このような場合、例えば1つのレーダカバーのようなカバー部材で、1つのレーダセンサを覆うようにしてもよい。
【0051】
LNA33は、受信アンテナ31によって受信された反射波Rに基づく受信信号を低ノイズで増幅する。LNA33は、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier)としてよく、受信アンテナ31から供給された受信信号を低雑音で増幅する。LNA33によって増幅された受信信号は、位相制御部34に供給される。
【0052】
位相制御部34は、LNA33から供給された受信信号の位相を制御(調整)する。具体的には、位相制御部34は、例えば制御部10による制御に基づいて、LNA33から供給された信号の位相を適宜早めたり遅らせたりすることにより、受信信号の位相を調整してよい。この場合、位相制御部34は、複数の受信アンテナ31から受信するそれぞれの反射波Rの経路差に基づいて、それぞれの受信信号の位相を調整してもよい。この場合、複数の受信アンテナ31からそれぞれ受信する受信信号の制御すべき位相量は、例えば任意のメモリに記憶しておいてよい。位相制御部34は、例えば任意のフェイズシフタなどを含んで構成されてもよい。位相制御部34によって位相制御された送信信号は、ミキサ35に供給される。
【0053】
ミキサ35は、位相制御部34から供給されるRF周波数の受信信号を、シンセサイザ22から供給される送信信号に混合する(掛け合わせる)ことにより、ビート信号を生成する。ミキサ35によって混合されたビート信号は、IF部36に供給される。
【0054】
IF部36は、ミキサ35から供給されるビート信号に周波数変換を行うことにより、ビート信号の周波数を中間周波数(IF(Intermediate Frequency)周波数)まで低下させる。IF部36によって周波数を低下させたビート信号は、AD変換部37に供給される。
【0055】
AD変換部37は、IF部36から供給されたアナログのビート信号をデジタル化する。AD変換部37は、任意のアナログ-デジタル変換回路(Analog to Digital Converter(ADC))で構成してよい。AD変換部37によってデジタル化されたビート信号は、制御部10の距離FFT処理部11に供給される。受信部30が複数の場合、複数のAD変換部37によってデジタル化されたそれぞれのビート信号は、距離FFT処理部11に供給されてよい。
【0056】
距離FFT処理部11は、AD変換部37から供給されたビート信号に基づいて、電子機器1を搭載した移動体100と、物体200との間の距離を推定する。距離FFT処理部11は、例えば高速フーリエ変換を行う処理部を含んでよい。この場合、距離FFT処理部11は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform(FFT))処理を行う任意の回路又はチップなどで構成してよい。
【0057】
距離FFT処理部11は、AD変換部37によってデジタル化されたビート信号に対してFFT処理を行う(以下、適宜「距離FFT処理」と記す)。例えば、距離FFT処理部11は、AD変換部37から供給された複素信号にFFT処理を行ってよい。AD変換部37によってデジタル化されたビート信号は、信号強度(電力)の時間変化として表すことができる。距離FFT処理部11は、このようなビート信号にFFT処理を行うことにより、各周波数に対応する信号強度(電力)として表すことができる。距離FFT処理部11は、距離FFT処理によって得られた結果においてピークが所定の閾値以上である場合、そのピークに対応する距離に、所定の物体200があると判断してもよい。例えば、定誤差確率(CFAR(Constant False Alarm Rate))検出処理のように、外乱信号の平均電力又は振幅から閾値以上のピーク値が検出された場合、送信波を反射する物体(反射物体)が存在するものと判断する方法が知られている。
【0058】
このように、一実施形態に係る電子機器1は、送信波Tとして送信される送信信号、及び、反射波Rとして受信される受信信号に基づいて、送信波Tを反射する物体200を検出することができる。
【0059】
距離FFT処理部11は、1つのチャープ信号(例えば図3に示すc1)に基づいて、所定の物体との間の距離を推定することができる。すなわち、電子機器1は、距離FFT処理を行うことにより、図1に示した距離Lを測定(推定)することができる。ビート信号にFFT処理を行うことにより、所定の物体との間の距離を測定(推定)する技術自体は公知のため、より詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われた結果(例えば距離の情報)は、速度FFT処理部12に供給されてよい。また、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われた結果は、物体検出部14にも供給されてよい。
【0060】
速度FFT処理部12は、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われたビート信号に基づいて、電子機器1を搭載した移動体100と、物体200との相対速度を推定する。速度FFT処理部12は、例えば高速フーリエ変換を行う処理部を含んでよい。この場合、速度FFT処理部12は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform(FFT))処理を行う任意の回路又はチップなどで構成してよい。
【0061】
速度FFT処理部12は、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われたビート信号に対してさらにFFT処理を行う(以下、適宜「速度FFT処理」と記す)。例えば、速度FFT処理部12は、距離FFT処理部11から供給された複素信号にFFT処理を行ってよい。速度FFT処理部12は、チャープ信号のサブフレーム(例えば図3に示すサブフレーム1)に基づいて、所定の物体との相対速度を推定することができる。上述のようにビート信号に距離FFT処理を行うと、複数のベクトルを生成することができる。これら複数のベクトルに対して速度FFT処理を行った結果におけるピークの位相を求めることにより、所定の物体との相対速度を推定することができる。すなわち、電子機器1は、速度FFT処理を行うことにより、図1に示した移動体100と所定の物体200との相対速度を測定(推定)することができる。距離FFT処理を行った結果に対して速度FFT処理を行うことにより、所定の物体との相対速度を測定(推定)する技術自体は公知のため、より詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果(例えば速度の情報)は、到来角推定部13に供給されてよい。また、速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果は、物体検出部14にも供給されてよい。
【0062】
到来角推定部13は、速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果に基づいて、所定の物体200から反射波Rが到来する方向を推定する。電子機器1は、複数の受信アンテナ31から反射波Rを受信することで、反射波Rが到来する方向を推定することができる。例えば、複数の受信アンテナ31は、所定の間隔で配置されているものとする。この場合、送信アンテナ26から送信された送信波Tが所定の物体200に反射されて反射波Rとなり、所定の間隔で配置された複数の受信アンテナ31はそれぞれ反射波Rを受信する。そして、到来角推定部13は、複数の受信アンテナ31がそれぞれ受信した反射波Rの位相、及びそれぞれの反射波Rの経路差に基づいて、反射波Rが受信アンテナ31に到来する方向を推定することができる。すなわち、電子機器1は、速度FFT処理が行われた結果に基づいて、図1に示した到来角θを測定(推定)することができる。
【0063】
速度FFT処理が行われた結果に基づいて、反射波Rが到来する方向を推定する技術は各種提案されている。例えば、既知の到来方向推定のアルゴリズムとしては、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)、及びESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Technique)などが知られている。したがって、公知の技術についてのより詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。到来角推定部13によって推定された到来角θの情報(角度情報)は、物体検出部14に供給されてよい。
【0064】
物体検出部14は、距離FFT処理部11、速度FFT処理部12、及び到来角推定部13の少なくともいずれかから供給される情報に基づいて、送信波Tが送信された範囲に存在する物体を検出する。物体検出部14は、供給された距離の情報、速度の情報、及び角度情報に基づいて例えばクラスタリング処理を行うことにより、物体検出を行ってもよい。データをクラスタリングする際に用いるアルゴリズムとして、例えばDBSCAN(Density-based spatial clustering of applications with noise)などが知られている。クラスタリング処理においては、例えば検出される物体を構成するポイントの平均電力を算出してもよい。物体検出部14において検出された物体の距離の情報、速度の情報、角度情報、及び電力の情報は、ECU60に供給されてよい。この場合、移動体100が自動車である場合、例えばCAN(Controller Area Network)のような通信インタフェースを用いて通信を行ってもよい。
【0065】
制御部10は、送信波Tを反射波Rとして反射する物体を検出する送信信号及び受信信号を規定する各種のパラメータを設定する。すなわち、制御部10は、送信アンテナ26から送信波Tを送信するための各種のパラメータ、及び受信アンテナ31から反射波Rを受信するための各種のパラメータを設定する。
【0066】
特に、一実施形態において、制御部10は、物体の検出を行うために、送信波Tの送信及び反射波Rの受信に係る各種のパラメータを設定してよい。例えば、制御部10は、反射波Rを受信して物体検出範囲における物体を検出するために、反射波Rを受信したい範囲などを規定してもよい。また、例えば、制御部10は、複数の送信アンテナ26から送信波Tを送信して物体検出範囲における物体を検出するために、送信波Tのビームを向けたい範囲などを規定してもよい。その他、制御部10は、送信波Tの送信及び反射波Rの受信を行うための種々のパラメータを設定してよい。
【0067】
制御部10によって設定された各種のパラメータは、信号生成部21に供給されてよい。これにより、信号生成部21は、制御部10によって設定された各種のパラメータに基づいて、送信波Tとして送信される送信信号を生成することができる。制御部10によって設定された各種のパラメータは、物体検出部14に供給されてもよい。これにより、物体検出部14は、制御部10によって設定された各種のパラメータに基づいて決定される物体検出範囲において、物体を検出する処理を行うことができる。
【0068】
電源デバイス50は、図2に示す各機能部に電力を供給する機能を有する任意の部材としてよい。具体的には、電源デバイス50は、例えば図2に示すように、送信部20、受信部30、及び制御部10の少なくともいずれかに電力を供給してよい。一実施形態において、電源デバイス50は、例えばスイッチング電源を含んで構成されてもよい。ここで、電源デバイス50は、例えば、スイッチングレギューレータとして機能するDC/DCコンバータを含んで構成されてもよい。また、一実施形態において、電源デバイス50は、例えば低ドロップアウト(LDO)レギュレータを含んで構成されてもよい。
【0069】
一実施形態に係る電子機器1が備えるECU60は、移動体100を構成する各機能部の制御をはじめとして、移動体100全体の動作の制御を行うことができる。ECU60は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)のような、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。ECU60は、まとめて1つのプロセッサで実現してもよいし、いくつかのプロセッサで実現してもよいし、それぞれ個別のプロセッサで実現してもよい。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)ともいう。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。一実施形態において、ECU60は、例えばCPU及び当該CPUで実行されるプログラムとして構成してよい。ECU60は、ECU60の動作に必要なメモリを適宜含んでもよい。また、制御部10の機能の少なくとも一部がECU60の機能とされてもよいし、ECU60の機能の少なくとも一部が制御部10の機能とされてもよい。
【0070】
図2に示す電子機器1は、3つの送信アンテナ26及び4つの受信アンテナ31を備えている。しかしながら、一実施形態に係る電子機器1は、任意の複数の送信アンテナ26及び任意の複数の受信アンテナ31を備えてもよい。このように、一実施形態に係る電子機器1は、送信波を送信する複数の送信アンテナ26と、送信波が反射された反射波を受信する複数の受信アンテナ31とを備えてよい。例えば、2つの送信アンテナ26及び4つの受信アンテナ31を備えることにより、電子機器1は、仮想的に8本のアンテナにより構成される仮想アンテナアレイを備えるものと考えることができる。このように、電子機器1は、例えば仮想8本のアンテナを用いることにより、図3に示す16のサブフレームの反射波Rを受信してもよい。
【0071】
次に、一実施形態に係る電子機器1に含まれるセンサ5の構成について、さらに説明する。一実施形態に係るセンサ5は、物体を検出するための信号を送受信する際のノイズ対策を改善する。したがって、以下、一実施形態に係るセンサ5について、ノイズ対策に関連する内容について重点的に述べ、その他の一般的な内容については、適宜、簡略化又は省略する。
【0072】
図4は、一実施形態に係るセンサ5の基板上に各機能部を実装した配置の例を示す図である。
【0073】
図4に示すように、一実施形態に係るセンサ5は、基板70上に各種の機能を実現する電子部品などを実装する。基板70は、図4に示すZ軸の正方向を向く第1面71、及び、第1面71とは反対側すなわちZ軸の負方向を向く第2面を有する。図4においては、基板70の第2面72が目視可能に示されている。
【0074】
図4に示す基板70の第2面72とは反対側の面、すなわち基板70の第1面71には、例えば図2に示した送信アンテナ26及び受信アンテナ31が配置されてよい。一方、基板70の第2面72には、図4に示すように、電子部品15及び電源デバイス50が配置されてよい。図4に示す電源デバイス50は、図2において説明した電源デバイス50に対応する機能部としてよい。
【0075】
また、図4に示す電子部品15は、図2において説明した制御部10を含む機能部としてよい。また、図4に示す電子部品15は、図2に示した送信部20及び受信部30の少なくとも一方を含んで構成してもよい。以下、図4に示す電子部品15は、図2に示した制御部10、送信部20、及び受信部30を含むものとして説明する。制御部10は、図2において説明したように、送信波として送信される送信信号及び反射波として受信される受信信号に基づいて、送信波を反射する物体を検出する。また、送信部20は、図2において説明したように、送信アンテナ26から送信波を送信する。また、受信部30は、図2において説明したように、送信波が反射された反射波を受信アンテナ31から受信する。
【0076】
このように、一実施形態に係るセンサ5において、基板70には、送信アンテナ26、受信アンテナ31、制御部10、及び電源デバイス50が配置される。送信アンテナ26及び受信アンテナ31は、基板70の第1面71に配置されてよい。また、制御部10及び電源デバイス50は、基板70の第2面72に配置されてよい。また、上述したように、一実施形態に係るセンサ5において、送信部20及び受信部30は、基板70の第2面72に配置されてもよい。
【0077】
また、基板70の第2面72には、図4に示すように、例えば、導波管40A及び導波管40Bなどを適宜形成してもよい。図4においては、導波管40A及び導波管40Bのように2つの導波管を例示してある。しかしながら、一実施形態に係るセンサ5において、必要に応じて1以上の任意の数の導波管を形成してもよい。以下、導波管40Aと、導波管40Bとを特に区別しない場合、単に「導波管40」と記す。
【0078】
導波管40は、図4に示す基板70の第2面72と、基板70の第1面71との間を貫通させて形成する任意の導波路としてよい。導波管40は、例えば制御部10が送信部20を含む場合、送信部20において生成された送信信号が(基板70の第1面71に配置された)送信アンテナ26に出力される際に当該送信信号が導かれる経路としてよい。また、導波管40は、例えば制御部10が受信部30を含む場合、(基板70の第1面71に配置された)受信アンテナ31によって受信された受信信号が送信部20に入力される際に当該受信信号が導かれる経路としてよい。このように、一実施形態に係るセンサ5において、基板70は、導波管40を備えてよい。この場合、導波管40は、第1面71と第2面72との間で送信波及び反射波の少なくとも一方を導いてよい。
【0079】
例えば、図2及び図4に示すセンサ5は、レーダの技術に基づくセンサとして、77/79GHz帯で電波を送受信することができるものとする。この場合、例えば電子部品15に含まれる受信部30のミキサ35、及びIF部36における中間周波数のフィルタを経て、AD変換部37に入力される受信信号の周波数は、DC(直流)~数10MHzとなる。このような周波数帯に、例えば電源デバイス50におけるスイッチング電源等のインパルスノイズが入ると、前記周波数付近においてレーダの特性が低くなり得る。
【0080】
このようにレーダの特性が低くなることを極力回避するために、電源デバイス50は、上述のように、例えば低ドロップアウト(Low Dropout:LDO)レギュレータ、又はスイッチング電源(DC/DCコンバータ)を含んでもよい。
【0081】
LDOは、スイッチング電源に比べて低ノイズである。しかしながら、LDOは、入力-出力間に電位差があると、その電位差に出力電流を乗じた電力が熱損失に代わる。このため、LDOにおいては、消費電力が増加し、放熱対策が必要になる。一方、スイッチング電源は、LDOに比べると大電流を流す際の効率が良いため、システムとしての消費電力を比較的低くすることができる。しかしながら、スイッチング電源において、スイッチング時に発生するノイズが放射ノイズとして問題になり易い。特に、電源デバイスから平滑化フィルタまでの箇所において、放射ノイズが問題になり易い。このため、スイッチング電源においては、回路構成及び/又はパターン配線が正しく設計されないと、伝導ノイズも問題になり得る。また、スイッチング電源は、固定の周波数で動作させる場合が多い。このため、その周波数の電波が導波管に回り込むと、レーダの特定の周波数が劣化し得る。
【0082】
図5は、一実施形態に係るセンサ5において、ノイズ対策を適切に行わない場合に発生し得るノイズの例を示す図である。
【0083】
図4に示すセンサ5において、ノイズ対策を適切に行わない場合、図5に示すように、例えばノイズN1及びN2のようなノイズが特定の周波数において発生し得る。図5の横軸は周波数を示し、図5の縦軸は信号の振幅を示す。図5に示すように、信号の振幅は、特定の周波数において急峻なピーク(ノイズN1及びN2)を示すことがある。図5に示す急峻なピーク(ノイズN1及びN2)以外の曲線は例えば受信信号のAD変換部37におけるノイズフロアである場合、ノイズN1及びN2のような急峻なピークは、物体として誤検出してしまう原因となり得る。
【0084】
このようなノイズに対応するために、一実施形態に係るセンサ5において、導波管40及び/又は電源デバイス50が電磁波シールド部材によってシールドされるようにする。
【0085】
図6は、一実施形態に係るセンサ5において、ノイズ対策を施した構成の例を示す図である。
【0086】
一実施形態に係るセンサ5において、図4に示した導波管40Aは、図6に示すように電磁波シールド部材80Aによってシールドされるようにしてよい。また、一実施形態に係るセンサ5において、図4に示した導波管40Bは、図6に示すように電磁波シールド部材80Bによってシールドされるようにしてよい。以下、電磁波シールド部材80Aと、電磁波シールド部材80Bとを特に区別しない場合、単に「電磁波シールド部材80」と記す。ここで、電磁波シールド部材80によるシールドとは、例えば、導波管40の周囲を、グランドに導通させたシールド板で覆うこととしてよい。
【0087】
電磁波シールド部材80は、電磁波をシールドする部材であれば、任意の部材を用いて構成してよい。また、電磁波シールド部材80は、例えば厚さ0.25mm程度の板状の部材としてもよい。一般的に、シールドは比較的厚く構成する方が効果を高め得る。一実施形態に係るセンサ5において、電磁波シールド部材80の厚さは、例えば望ましい効果及び/又はコストを考慮して、適宜決定してよい。図6においては、2つの導波管40を、それぞれ電磁波シールド部材80によってシールドしてある。しかしながら、一実施形態に係るセンサ5において、例えば、複数の導波管40の一部を電磁波シールド部材80によってシールドしてもよい。
【0088】
また、電磁波シールド部材80は、導波管40が形成された基板70の第2面から所定の距離だけ離間させた位置において、導波管40をシールドするように配置してもよい。
【0089】
図7は、基板70と電磁波シールド部材80との位置関係を説明する図である。図7に示すように、電磁波シールド部材80(80A,80B)は、基板70の第2面から所定の距離だけ離間させてよい。ここで、所定の距離とは、図7に示すように、例えば送信波又は受信波の波長λの1/4としてもよい。
【0090】
このように、一実施形態に係るセンサ5において、導波管40は、基板70の第2面72から送信波又は反射波の波長λの1/4の距離だけ離間させた電磁波シールド部材80によって覆われるように構成してよい。
【0091】
また、一実施形態に係るセンサ5において、図4に示した電源デバイス50も、図6に示すように電磁波シールド部材82によってシールド化してもよい。ここで、電磁波シールド部材82によるシールド化とは、例えば、電源デバイス50及び/又はコンデンサ等の周辺回路の周囲を、グランドに導通させたシールド板で覆うこととしてよい。
【0092】
電磁波シールド部材82は、電磁波をシールドする部材であれば、任意の部材を用いて構成してよい。また、電磁波シールド部材82は、例えば厚さ0.25mm程度の板状の部材としてもよい。上述のように、シールドは比較的厚く構成する方が効果を高め得る。一実施形態に係るセンサ5において、電磁波シールド部材82の厚さも、例えば望ましい効果及び/又はコストを考慮して、適宜決定してよい。
【0093】
電磁波シールド部材82は、上述の電磁波シールド部材80とは異なり、基板70の第2面から所定の距離だけ離間させなくてもよい。例えば、電源デバイス50は、基板70の第2面72からほぼ離間させずに、電磁波シールド部材82によって覆われるようにしてもよい。
【0094】
このように、一実施形態に係るセンサ5において、電源デバイス50は、基板70の第2面72側において電磁波シールド部材82によって覆われてもよい。
【0095】
一実施形態に係るセンサ5によれば、電源デバイス50が電磁波シールド部材82によってシールド化される。これにより、電源デバイス50が上述のようにLDOを含む場合、電磁波シールド部材82は、電源デバイス50の放熱を促進する部材として機能する。この場合、電磁波シールド部材82と電源デバイス50との間に、放熱を促進するための放熱シートを介在させてよい。このように、一実施形態に係るセンサ5において、電源デバイス50と電磁波シールド部材82との間に放熱シートを介在させてもよい。
【0096】
一方、電源デバイス50が上述のようにスイッチング電源を含む場合、電源デバイス50が電磁波シールド部材82によってシールド化されることにより、電磁波シールド部材82は、電源デバイス50のノイズ対策を促進する部材として機能する。したがって、一実施形態に係るセンサ5によれば、電源デバイス50を電磁波シールド部材82によりシールド化しつつ、アナログの導波管40もシールドすることにより、電源デバイス50から発生するノイズの回り込みを低減し得る。
【0097】
また、導波管40を電磁波シールド部材80によってシールドする場合、上述のように両者の距離をλ/4とすることにより、レーダの反射特性を打ち消すことができる。したがって、一実施形態に係るセンサ5によれば、ノイズに対して有効な対策を講じつつ、レーダの特性を充足させ得る。
【0098】
以上説明したように、一実施形態に係るセンサ5によれば、物体を検出するための信号を送受信する際のノイズ対策を改善することができる。
【0099】
上述のように、一実施形態に係るセンサ5は、例えばレドームのようなレーダカバー又はハウジング(筐体)により覆われるようにしてもよい。例えば、一実施形態に係るセンサ5は、図2に示したセンサ5として囲んで示した部分を、例えば樹脂製部材90により覆ってもよい。樹脂製部材90は、例えば樹脂製のレーダカバー又はハウジングのような部材としてよい。このように、センサ5を樹脂製部材90で覆うことにより、センサ5の堅牢性を著しく向上し得る。
【0100】
この場合、樹脂製部材90は、図7に示すように、基板70の第1面71からから所定の距離だけ離間させた位置に配置してもよい。ここで、所定の距離とは、図7に示すように、例えば送信波又は受信波の波長λの1/2としてもよい。このように、一実施形態に係る電子機器(センサ5)は、基板70の第1面71から送信波又は反射波の波長λの1/2の距離だけ離間させた樹脂製部材90によって覆われてもよい。一実施形態に係る電子機器(センサ5)によれば、樹脂製部材90の作用により、レーダの特性をさらに向上し得る。
【0101】
また、樹脂製部材90は、送信波又は受信波の波長をλとして、また樹脂の比誘電率をεとして、例えば、以下の式(1)に示すような厚さで構成してもよい。
【数1】
ここで、樹脂製部材90の厚さは、図7に示すZ軸方向の厚さとしてよい。これにより、樹脂製部材90の厚さ方向における送信波又は受信波の反射の影響を低減し得る。
【0102】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施され得る。つまり、本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことができる。したがって、これらの変形および修正は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段、各ステップなどは論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段、各ステップなどと置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段、各ステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0103】
上述した実施形態は、電子機器(センサ5)としての実施のみに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、電子機器(センサ5)のような機器の制御方法として実施してもよい。さらに、例えば、上述した実施形態は、電子機器(センサ5)のような機器の制御プログラムとして実施してもよい。
【0104】
一実施形態に係る電子機器は、最小の構成としては、例えばセンサ5又は制御部10の一方のみの少なくとも一部を備えるものとしてよい。一方、一実施形態に係る電子機器は、制御部10の他に、図2に示すような、信号生成部21、シンセサイザ22、位相制御部23、増幅器24、及び送信アンテナ26の少なくともいずれかを、適宜含んで構成してもよい。また、一実施形態に係る電子機器は、上述の機能部に代えて、又は上述の機能部とともに、受信アンテナ31、LNA33、位相制御部34、ミキサ35、IF部36、AD変換部37の少なくともいずれかを、適宜含んで構成してもよい。さらに、一実施形態に係る電子機器は、任意のメモリを含んで構成してもよい。このように、一実施形態に係る電子機器は、種々の構成態様を採ることができる。また、一実施形態に係る電子機器が移動体100に搭載される場合、例えば上述の各機能部の少なくともいずれかは、移動体100内部などの適当な場所に設置されてよい。一方、一実施形態においては、例えば送信アンテナ26及び受信アンテナ31の少なくともいずれかは、移動体100の外部に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 電子機器
5 センサ
10 制御部
11 距離FFT処理部
12 速度FFT処理部
13 到来角推定部
14 物体検出部
15 電子部品
20 送信部
21 信号生成部
22 シンセサイザ
23 位相制御部
24 増幅器
26 送信アンテナ
30 受信部
31 受信アンテナ
33 LNA
34 位相制御部
35 ミキサ
36 IF部
37 AD変換部
40 導波管
50 電源デバイス
60 ECU
70 基板
80,82 電磁波シールド部材
90 樹脂製部材
100 移動体
200 物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7