(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153039
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20221004BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20221004BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H02H7/00 A
H02H7/00 K
H02H7/18
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056060
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大葉 育
(72)【発明者】
【氏名】村田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英輝
(72)【発明者】
【氏名】後藤 恵
【テーマコード(参考)】
5G053
5H730
【Fターム(参考)】
5G053AA01
5G053BA01
5G053BA04
5G053CA02
5G053CA04
5G053DA01
5G053DA03
5G053EB02
5G053EC01
5G053EC03
5G053FA05
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730BB82
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5H730FD01
5H730FD21
5H730FD31
5H730XX03
5H730XX04
5H730XX12
5H730XX13
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX25
5H730XX32
5H730XX33
5H730XX35
5H730XX42
(57)【要約】
【課題】DC-DCコンバータを搭載したシステムの過電流を抑制すること。
【解決手段】制御装置は、第1電源と、第2電源との間に設けられ、ドレイン端子が電源ラインに電気的に接続されたハイサイドスイッチ素子と、ドレイン端子がハイサイドスイッチ素子のソース端子に電気的に接続され、ソース端子がグラウンドラインに電気的に接続されたローサイドスイッチ素子とを、それぞれ少なくとも1つ含むコンバータと、一端が第1電源の正極に電気的に接続され、他端がハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第1遮断スイッチ部と、一端が第2電源の正極に電気的に接続され、他端がハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第2遮断スイッチ部と、ハイサイドスイッチ素子と、ローサイドスイッチ素子との間の中点電圧を検出する中点電圧検出部と、中点電圧検出部が中点電圧の検出を行う際に、第1遮断スイッチ部と第2遮断スイッチ部との状態をオフ状態に制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源と、第2電源との間に設けられ、ドレイン端子が電源ラインに電気的に接続されたハイサイドスイッチ素子と、ドレイン端子が前記ハイサイドスイッチ素子のソース端子に電気的に接続され、ソース端子がグラウンドラインに電気的に接続されたローサイドスイッチ素子とを、それぞれ少なくとも1つ含むコンバータと、
一端が前記第1電源の正極に電気的に接続され、他端が前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第1遮断スイッチ部と、
一端が前記第2電源の正極に電気的に接続され、他端が前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第2遮断スイッチ部と、
前記ハイサイドスイッチ素子と、前記ローサイドスイッチ素子との間の中点電圧を検出する中点電圧検出部と、
前記中点電圧検出部が前記中点電圧の検出を行う際に、前記第1遮断スイッチ部と、前記第2遮断スイッチ部との状態をオフ状態に制御する制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記中点電圧検出部による前記中点電圧の検出結果に基づいて、前記ハイサイドスイッチ素子および前記ローサイドスイッチ素子の少なくとも一方の故障を判定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ハイサイドスイッチ素子のドレインに補助電圧を印加する補助電源を備え、
前記制御部は、前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に補助電圧が印加された状態の前記中点電圧検出部による前記中点電圧の検出結果に基づいて、前記ハイサイドスイッチ素子および前記ローサイドスイッチ素子の少なくとも一方の故障を判定する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1遮断スイッチ部および前記第2遮断スイッチ部は、それぞれ、少なくとも1つの半導体素子を含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
第1電源と、第2電源との間に設けられ、ドレイン端子が電源ラインに電気的に接続されたハイサイドスイッチ素子と、ドレイン端子が前記ハイサイドスイッチ素子のソース端子に電気的に接続され、ソース端子がグラウンドラインに電気的に接続されたローサイドスイッチ素子とを、それぞれ少なくとも1つ含むコンバータにおいて、前記ハイサイドスイッチ素子と、前記ローサイドスイッチ素子との間の中点電圧を検出するステップと、
前記中点電圧の検出を行う際に、一端が前記第1電源の正極に電気的に接続され、他端が前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第1遮断スイッチ部と、一端が前記第2電源の正極に電気的に接続され、他端が前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第2遮断スイッチ部とをオフ状態に制御するステップと、
を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の電源装置として、電源装置の所定位置よりも高電圧側で異常が生じた場合でも、所定位置よりも低電圧側の蓄電部に基づく電力を低電圧側の経路に供給する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非絶縁型のDC-DCコンバータは、例えば、バッテリーや蓄電池などの電源が2つ接続された状態で車両などのシステムに搭載されている。DC-DCコンバータのメインスイッチ部が故障していた場合、動作前でも過電流が発生してヒューズを溶断してしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、DC-DCコンバータを搭載したシステムの過電流を事前にまたはDC-DCコンバータの動作前に抑制することのできる制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、第1電源と、第2電源との間に設けられ、ドレイン端子が電源ラインに電気的に接続されたハイサイドスイッチ素子と、ドレイン端子が前記ハイサイドスイッチ素子のソース端子に電気的に接続され、ソース端子がグラウンドラインに電気的に接続されたローサイドスイッチ素子とを、それぞれ少なくとも1つ含むコンバータと、一端が前記第1電源の正極に電気的に接続され、他端が前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第1遮断スイッチ部と、一端が前記第2電源の正極に電気的に接続され、他端が前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第2遮断スイッチ部と、前記ハイサイドスイッチ素子と、前記ローサイドスイッチ素子との間の中点電圧を検出する中点電圧検出部と、前記中点電圧検出部が前記中点電圧の検出を行う際に、前記第1遮断スイッチ部と、前記第2遮断スイッチ部との状態をオフ状態に制御する制御部と、を備える。
【0007】
本開示に係る制御装置において、前記制御部は、前記中点電圧検出部による前記中点電圧の検出結果に基づいて、前記ハイサイドスイッチ素子および前記ローサイドスイッチ素子の少なくとも一方の故障を判定する。
【0008】
本開示に係る制御装置において、前記ハイサイドスイッチ素子のドレインに補助電圧を印加する補助電源を備え、前記制御部は、前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に補助電圧が印加された状態の前記中点電圧検出部による前記中点電圧の検出結果に基づいて、前記ハイサイドスイッチ素子および前記ローサイドスイッチ素子の少なくとも一方の故障を判定する。
【0009】
本開示に係る制御装置において、前記第1遮断スイッチ部および前記第2遮断スイッチ部は、それぞれ、少なくとも1つの半導体素子を含む。
【0010】
本開示に係る制御方法は、第1電源と、第2電源との間に設けられ、ドレイン端子が電源ラインに電気的に接続されたハイサイドスイッチ素子と、ドレイン端子が前記ハイサイドスイッチ素子のソース端子に電気的に接続され、ソース端子がグラウンドラインに電気的に接続されたローサイドスイッチ素子とを、それぞれ少なくとも1つ含むコンバータにおいて、前記ハイサイドスイッチ素子と、前記ローサイドスイッチ素子との間の中点電圧を検出するステップと、前記中点電圧の検出を行う際に、一端が前記第1電源の正極に電気的に接続され、他端が前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第1遮断スイッチ部と、一端が前記第2電源の正極に電気的に接続され、他端が前記ハイサイドスイッチ素子のドレイン端子に電気的に接続された第2遮断スイッチ部とをオフ状態に制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、DC-DCコンバータを搭載したシステムの過電流を事前にまたはDC-DCコンバータの動作前に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電源システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、遮断スイッチ部の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、遮断スイッチ部の変形例の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、遮断スイッチ部の変形例の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、遮断スイッチ部の変形例の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、ハイサイド側のスイッチング素子と、ローサイド側のスイッチング素子との間の中点電圧を検出する方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るスイッチング素子の故障判定処理を説明するためのタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る遮断スイッチ部の故障判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係遮断スイッチ部のスイッチング素子の故障判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る電源システムの構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る放電処理を説明するためのタイミングチャートである。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係るコンバータの放電処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電源システムの構成例を示す図である。電源システム100は、第1電源1と、第2電源2と、ヒューズ3と、ヒューズ4と、制御装置10と、を含む。
【0015】
第1電源1は、制御装置10に電力を供給する電源装置である。第1電源1の電圧は、例えば、24Vまたは48Vが例示されるが、これに限定されない。第1電源1は、例えば、図示しないモータなどの動力源に電圧を出力する。
【0016】
第2電源2は、制御装置10に電力を供給する電源装置である。第2電源2は、第1電源1に比べて低い電圧を出力する電源装置である。第2電源2の電圧は、例えば、12Vが例示されるが、これに限定されない。第2電源2は、例えば、コンデンサであってもよい。第2電源2は、例えば、ワイパーなどの車載機器に電圧を出力する。
【0017】
ヒューズ3は、一端が第1電源1の正極に電気的に接続され、他端が制御装置10の電流検出部11に電気的に接続されている。ヒューズ3は、第1電源1を保護するために設けられている。ヒューズ3は、通過する電流が定格電流を超えると自己発熱により溶断する電流ヒューズである。ヒューズ3は、制御装置10から定格電流を超える過剰な電流が流れた際に溶断し、過剰な電流が第1電源1及び第1電源1に接続された各種装置に流入することを防止する。
【0018】
ヒューズ4は、一端が第2電源2の正極に電気的に接続され、他端が制御装置10の電流検出部17に電気的に接続されている。ヒューズ4は、第2電源2を保護するために設けられている。ヒューズ4は、通過する電流が定格電流を超えると自己発熱により溶断する電流ヒューズである。ヒューズ4は、制御装置10から定格電流を超える過剰な電流が流れた際に溶断し、過剰な電流が第2電源2に流入することを防止する。
【0019】
制御装置10は、電流検出部11と、遮断スイッチ部12と、過電流検出部13と、電圧検出部14と、電圧検出部15、出力コンデンサ16と、電流検出部17と、遮断スイッチ部18と、過電流検出部19と、電圧検出部20と、電圧検出部21と、出力コンデンサ22と、コンバータ23と、スイッチング素子診断部24と、中点電圧検出部25と、制御部26と、を備える。
【0020】
電流検出部11は、一端がヒューズ3に電気的に接続され、他端が遮断スイッチ部12に電気的に接続されている。電流検出部11は、コンバータ23から出力される出力電流を検出する。電流検出部11は、検出結果に応じた電流検出信号を過電流検出部13に出力する。電流検出部11は、例えば、周知の電流センサであるが、これに限定されない。
【0021】
遮断スイッチ部12は、一端が電流検出部11に電気的に接続され、他端がコンバータ23に接続されている。遮断スイッチ部12は、第1電源1と、コンバータ23との間の電気的な接続を遮断するように構成されている。遮断スイッチ部12は、第1遮断スイッチ部とも呼ばれる。
【0022】
図2は、遮断スイッチ部の構成例を示す図である。
図2では、ヒューズ3と、電流検出部11とを省略している。
図2に示すように、遮断スイッチ部12は、スイッチング素子Q11を含む。スイッチング素子Q11は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などのトランジスタである。すなわち、遮断スイッチ部12は、半導体素子で構成されている。スイッチング素子Q11は、オフ状態の時には、第1電源1と、コンバータ23との間を電気的に遮断する。スイッチング素子Q11は、ゲートに制御信号が入力されるとオン状態に切り換り、第1電源1と、コンバータ23との間を電気的に接続する。スイッチング素子Q11は、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでもよい。
【0023】
なお、遮断スイッチ部12の構成は、
図2に示す構成例に限られない。
図3と、
図4と、
図5とは、遮断スイッチ部の変形例の構成例を示す図である。
【0024】
図3に示すように、遮断スイッチ部12Aは、スイッチング素子Q11と、スイッチング素子Q12とを備えてもよい。スイッチング素子Q11は、例えば、ドレイン端子が第1電源1に電気的に接続され、ソース端子がスイッチング素子Q12のソース端子に電気的に接続されている。スイッチング素子Q12は、例えば、ソース端子がスイッチング素子Q11のソース端子に電気的に接続され、ドレイン端子がコンバータ23に電気的に接続されてよい。
図3に示す例では、スイッチング素子Q11のゲート端子及びスイッチング素子Q12のゲート端子には、それぞれ、共通の制御信号が入力されるように構成されている。
【0025】
図4に示すように、遮断スイッチ部12Bは、スイッチング素子Q11と、スイッチング素子Q12とを備えてもよい。遮断スイッチ部12Bは、スイッチング素子Q11のソース端子及びスイッチング素子Q12のゲート端子には、それぞれ、異なる制御信号が入力されるように構成されている点で、
図3に示す遮断スイッチ部12Aとは異なる。
【0026】
図5に示すように、遮断スイッチ部12Cは、リレーRYを備えてもよい。遮断スイッチ部12Cは、機械的に構成されていてもよい。この場合、リレーRYは、機械的な動作により、第1電源1と、コンバータ23との間を電気的に遮断したり、電気的に接続したりする。
【0027】
図1に戻る。過電流検出部13は、電流検出部11から受けた電流検出信号に基づいて、過電流を検出する。過電流検出部13は、例えば、制御部26からの過電流診断信号に従って、過電流を検出する。過電流検出部13は、例えば、過電流を検出した場合、過電流停止回路部32に制御信号を出力する。
【0028】
電圧検出部14は、遮断スイッチ部12と、コンバータ23との間の電圧を検出する。電圧検出部14は、遮断スイッチ部12と、コンバータ23との間の電圧の検出結果を制御部26に出力する。電圧検出部14は、第1電圧検出部とも呼ばれる。
【0029】
電圧検出部15は、ヒューズ3と、電流検出部11との間の電圧を検出する。電圧検出部15は、ヒューズ3と、電流検出部11との間の電圧の検出結果を制御部26に出力する。電圧検出部15は、第2電圧検出部とも呼ばれる。
【0030】
出力コンデンサ16は、コンバータ23からの電圧を平滑化する。出力コンデンサ16の電圧が、第1電源1側に出力される電圧となる。
【0031】
電流検出部17は、一端がヒューズ4に電気的に接続され、他端が遮断スイッチ部18に電気的に接続されている。電流検出部17は、コンバータ23から出力される出力電流を検出する。電流検出部17は、検出結果に応じた電流検出信号を過電流検出部19に出力する。電流検出部17は、例えば、周知の電流センサであるが、これに限定されない。
【0032】
遮断スイッチ部18は、一端が電流検出部17に電気的に接続され、他端がコンバータ23に接続されている。遮断スイッチ部18は、第2電源2と、コンバータ23との間の電気的な接続を遮断するように構成されている。遮断スイッチ部18は、
図2から
図5に示した遮断スイッチ部12と同様に構成することができる。遮断スイッチ部18は、第2遮断スイッチ部とも呼ばれる。
【0033】
過電流検出部19は、電流検出部17から受けた電流検出信号に基づいて、過電流を検出する。過電流検出部19は、例えば、制御部26からの過電流診断信号に従って、過電流を検出する。過電流検出部19は、例えば、過電流を検出した場合、過電流停止回路部32に制御信号を出力する。
【0034】
電圧検出部20は、遮断スイッチ部18と、コンバータ23との間の電圧を検出する。電圧検出部20は、遮断スイッチ部18と、コンバータ23との間の電圧の検出結果を制御部26に出力する。電圧検出部20は、第3電圧検出部とも呼ばれる。
【0035】
電圧検出部21は、ヒューズ4と、電流検出部17との間の電圧を検出する。電圧検出部21は、ヒューズ4と、電流検出部17との間の電圧の検出結果を制御部26に出力する。電圧検出部21は、第4電圧検出部とも呼ばれる。
【0036】
出力コンデンサ22は、コンバータ23からの電圧を平滑化する。出力コンデンサ22の電圧が、第2電源2側に出力される電圧となる。
【0037】
コンバータ23は、双方向型のDC-DCコンバータである。コンバータ23は、ハイサイド側には、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q3と、・・・、スイッチング素子Qp(pは任意の奇数)と、を備える。コンバータ23は、ローサイド側には、スイッチング素子Q2と、スイッチング素子Q4と、・・・、スイッチング素子Qn(nは任意の偶数)と、を備える。コンバータ23は、ハイサイド側とローサイド側において、それぞれ同じ数のスイッチング素子を備える。コンバータ23は、少なくともハイサイド側のスイッチング素子Q1と、ローサイド側のスイッチング素子Q2とを備えていればよい。
【0038】
ハイサイド側のスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q3と、・・・、スイッチング素子Qpは、それぞれ、ドレイン端子が高電位(第1電源1の電源ライン)に電気的に接続されている。ハイサイド側のスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q3と、・・・、スイッチング素子Qpは、それぞれ、ドレイン端子が遮断スイッチ部12に電気的に接続されている。ハイサイド側のスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q3と、・・・、スイッチング素子Qpは、それぞれ、ソース端子がローサイド側のスイッチング素子Q2と、スイッチング素子Q4と、・・・、スイッチング素子Qnのドレイン端子に電気的に接続されている。
【0039】
ローサイド側の、スイッチング素子Q2と、スイッチング素子Q4と、・・・、スイッチング素子Qnは、それぞれ、ソース端子が低電位(グラウンドライン)に電気的に接続されている。
【0040】
コンバータ23は、コンデンサC1と、コンデンサC2と、・・・、コンデンサCm(mは任意の整数)とを備える。
【0041】
コンデンサC1は、一端がスイッチング素子Q1のドレイン端子に電気的に接続され、他端がスイッチング素子Q2のソース端子に電気的に接続されている。コンデンサC2は、一端がスイッチング素子Q3のドレイン端子に電気的に接続され、他端がスイッチング素子Q4のソース端子に電気的に接続されている。コンデンサCmは、一端がスイッチング素子Qpのドレイン端子に電気的に接続され、他端がスイッチング素子Qnのソース端子に電気的に接続されている。すなわち、コンバータ23において、ハイサイド側のスイッチング素子とローサイド側のスイッチング素子とには、コンデンサが並列に接続されている。コンデンサC1からコンデンサCmは、各スイッチング素子がスイッチング動作をする際に発生するノイズを抑制する。
【0042】
コンバータ23は、コイルL1と、コイルL2と、・・・、コイルLmとを備える。
【0043】
コイルL1は、一端がスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間に電気的に接続され、他端が遮断スイッチ部18に電気的に接続されている。コイルL2は、一端がスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間に電気的に接続され、他端が遮断スイッチ部18に電気的に接続されている。コイルLmは、一端がスイッチング素子Qpとスイッチング素子Qnとの間に電気的に接続され、他端が遮断スイッチ部18に電気的に接続されている。すなわち、コンバータ23において、ハイサイド側の各スイッチ素子とローサイド側の各スイッチ素子との間と、遮断スイッチ部18との間には、コイルが電気的に接続されている。言い換えると、各コイルは、一端がハイサイド側のスイッチ素子とローサイド側のスイッチ素子との間に電気的に接続され、他端が遮断スイッチ部18に電気的に接続されている。すなわち、コンバータ23において、ハイサイド側の各スイッチ素子とローサイド側の各スイッチ素子との間には、それぞれ、遮断スイッチ部18が電気的に接続されている。
【0044】
スイッチング素子診断部24は、コンバータ23の各スイッチ素子の故障を判定するための信号を出力する。スイッチング素子診断部24は、例えば、第1電源1および第2電源2とは異なる補助電源からの電圧Vcをコンバータ23の各スイッチ素子の故障を判定するための信号として出力する。補助電源は、例えば、コンバータ23の内部で必要な電力を生成する図示しない電源である。
【0045】
中点電圧検出部25は、ハイサイド側の各スイッチ素子と、ローサイド側の各スイッチ素子の間の電圧である、中点電圧を検出する。中点電圧検出部25は、例えば、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧を検出する。
【0046】
制御部26は、遮断スイッチ駆動部30と、遮断スイッチ駆動部31と、過電流停止回路部32と、スイッチング素子制御部33と、電源制御部34と、を備える。
【0047】
遮断スイッチ駆動部30は、遮断スイッチ部12のオン状態とオフ状態を切り替える。遮断スイッチ駆動部30は、例えば、コンバータ23のハイサイド側のスイッチング素子とローサイド側のスイッチング素子との間の中点電圧を測定する際には、遮断スイッチ部12をオフ状態にする。
【0048】
遮断スイッチ駆動部31は、遮断スイッチ部18のオン状態とオフ状態を切り替える。遮断スイッチ駆動部31は、例えば、コンバータ23のハイサイド側のスイッチング素子とローサイド側のスイッチング素子との間の中点電圧を測定する際には、遮断スイッチ部18をオフ状態にする。
【0049】
過電流停止回路部32は、過電流検出部13または過電流検出部19が過電流を検出した場合に、コンバータ23の各スイッチング素子を停止させるための制御信号を出力する。
【0050】
スイッチング素子制御部33は、コンバータ23の各スイッチング素子を制御する。スイッチング素子制御部33は、例えば、過電流検出部13または過電流検出部19が過電流を検出した場合には、過電流停止回路部32からの制御信号に従って、コンバータ23の各スイッチング素子を制御する。スイッチング素子制御部33は、コンバータ23の対象となるスイッチング素子の短絡故障を判定するために、対象となるスイッチング素子をオフ状態に切り替える。スイッチング素子制御部33は、コンバータ23の対象となるスイッチング素子のオープン故障を判定するために、対象となるスイッチング素子をオン状態に切り替える。
【0051】
電源制御部34は、制御装置10の各部を制御する。電源制御部34は、例えば、過電流検出部13に対して制御信号S1を出力して、過電流を検出させる。電源制御部34は、例えば、過電流検出部19に対して制御信号S2を出力して、過電流を検出させる。電源制御部34は、例えば、制御信号S3を遮断スイッチ駆動部30に出力して、遮断スイッチ部12を制御させる。電源制御部34は、例えば、制御信号S4を遮断スイッチ駆動部31に出力して、遮断スイッチ部18を制御させる。電源制御部34は、例えば、スイッチング素子診断部24に制御信号S5を出力して、コンバータ23のハイサイド側のスイッチング素子とローサイド側のスイッチング素子との間の中点電圧を検出する処理を実行させる。電源制御部34は、例えば、制御信号S6をスイッチング素子制御部33に出力して、各スイッチング素子を制御させる。
【0052】
電源制御部34は、電圧検出部14から遮断スイッチ部12とコンバータ23との間の電圧の検出結果を取得する。電源制御部34は、電圧検出部15からヒューズ3と電流検出部11との間の電圧の検出結果を取得する。電源制御部34は、電圧検出部20から遮断スイッチ部18とコンバータ23との間の電圧の検出結果を取得する。電源制御部34は、電圧検出部21からヒューズ4と電流検出部17との間の電圧の検出結果を取得する。電源制御部34は、電圧検出部14、電圧検出部15、電圧検出部20、及び電圧検出部21からの取得した検出結果に基づいて、遮断スイッチ部12及び遮断スイッチ部18の短絡故障を判定する。
【0053】
電源制御部34は、中点電圧検出部25からコンバータ23のハイサイド側のスイッチング素子とローサイド側の間の中電電圧の検出結果を取得する。電源制御部34は、中点電圧検出部25から取得した中点電圧の検出結果に基づいて、ハイサイド側のスイッチング素子及びローサイド側のスイッチング素子の短絡故障及びオープン故障を判定する。
【0054】
図6を用いて、ハイサイド側のスイッチング素子と、ローサイド側のスイッチング素子との間の中点電圧を検出する方法について説明する。以下では、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q2との間の中点電圧を検出する方法について説明する。
【0055】
図6に示すように、スイッチング素子診断部24は、トランジスタTr1と、ダイオード241と、抵抗素子242と、を備える。
【0056】
トランジスタTr1は、例えば、バイポーラトランジスタであるが、これに限定されない。トランジスタTr1のエミッタ端子には、図示しない補助電源からの電圧Vcが入力される。トランジスタTr1のベース端子には、電源制御部34からの制御信号S5が入力される。トランジスタTr1のベース端子に制御信号S5が入力されることで、エミッタ端子に入力された電圧Vcに応じた電流が、エミッタ端子からコレクタ端子へと流れる。
【0057】
ダイオード241は、アノード端子がトランジスタTr1のコレクタ端子に電気的に接続され、カソード端子が抵抗素子242の一端に電気的に接続されている。
【0058】
抵抗素子242は、一端がダイオード241のカソード端子に電気的に接続され、他端がスイッチング素子Q1のドレイン端子に電気的に接続されている。抵抗素子242は、電流制限用の抵抗素子である。
【0059】
すなわち、スイッチング素子診断部24は、トランジスタTr1のエミッタ端子に電圧Vcが入力され、ベース端子に制御信号S5が入力されることで、スイッチング素子Q1のドレイン端子に電圧Vcを印加する。
【0060】
中点電圧検出部25は、ツェナーダイオード251と、抵抗素子252と、分圧回路253と、電圧検出部254と、を備える。
【0061】
ツェナーダイオード251は、アノード端子がスイッチング素子Q2のソース端子に電気的に接続され、カソード端子が抵抗素子252の一端に電気的に接続されている。
【0062】
抵抗素子252は、一端がツェナーダイオード251のカソード端子に電気的に接続され、他端がスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間に一端が電気的に接続されたコイルL1の他端に電気的に接続されている。
【0063】
分圧回路253は、一端がツェナーダイオード251のカソード端子に電気的に接続され、他端がツェナーダイオード251のアノード端子に電気的に接続されている。言い換えれば、分圧回路253は、ツェナーダイオード251に並列に接続されている。
【0064】
電圧検出部254は、分圧回路253からの出力によりスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧を検出する。
【0065】
スイッチング素子制御部33は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧を検出する際に、スイッチング素子Q1のオン状態とオフ状態とを切り替える。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧を検出することで、スイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q2の故障を判定することができる。
【0066】
例えば、スイッチング素子Q1がオフ状態の時、スイッチング素子Q1が正常であればスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は0である。スイッチング素子Q1が短絡故障している場合には、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は、スイッチング素子診断部24に入力された補助電源の電圧Vcとなる。
【0067】
例えば、スイッチング素子Q1がオン状態の時、スイッチング素子Q1が正常であればスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧はスイッチング素子診断部24に入力された補助電源の電圧Vcとなる。スイッチング素子Q1がオープン故障している場合には、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は0となる。スイッチング素子Q2が短絡故障をしている場合には、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は、スイッチング素子診断部24に入力された補助電源の電圧Vcから徐々に0に変化する。
【0068】
すなわち、スイッチング素子Q1の状態と、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧の値によって、スイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q2の故障を判定することができる。
【0069】
図7を用いて、第1実施形態に係るスイッチング素子の故障判定処理について説明する。
図7は、第1実施形態に係るスイッチング素子の故障判定処理を説明するためのタイミングチャートである。なお、
図7に示すタイミングチャートは、遮断スイッチ部12が
図2に示す構成であり、遮断スイッチ部18が
図3に示す構成である場合のタイミングチャートである。
【0070】
図7は、第1実施形態に係るコンバータ23のスイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q2の故障を判定する処理を示す。
【0071】
図7において、タイミングt1からタイミングt2の期間が遮断スイッチ部12と遮断スイッチ部18の短絡故障の確認期間である。タイミングt2からタイミングt5の期間がスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧の確認期間である。
【0072】
図7において、(a)は、スイッチング素子診断部24に電圧を供給する補助電源の電圧値を示す。(b)は、遮断スイッチ部12の状態を示す。(c)は、遮断スイッチ部18の状態を示す。(d)は、スイッチング素子Q1の状態を示す。(e)は、スイッチング素子Q2の状態を示す。(f)は、スイッチング素子診断部24の状態を示す。(g)は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧の電圧値を示す。(h)は、波形101が電圧検出部14の電圧の検出結果を示し、波形102が電圧検出部15の電圧の検出結果を示す。(i)は、波形201が電圧検出部20の電圧の検出結果を示し、波形202が電圧検出部21の電圧の検出結果を示す。
【0073】
補助電源の電圧値は、タイミングt1からタイミングt5の期間の間、Vcである。遮断スイッチ部12、遮断スイッチ部18、およびスイッチング素子Q2は、タイミングt1からタイミングt5の期間の間、オフ状態である。タイミングt1からタイミングt5の期間の間、電圧検出部15で検出される電圧値は、第1電源1の電圧値であるV1である。タイミングt1からタイミングt5の期間の間、電圧検出部21で検出される電圧値は、第2電源2の電圧値であるV2である。
【0074】
タイミングt1で、スイッチング素子診断部24は、制御信号S5を受けて、オン状態に切り換る。これにより、タイミングt1で、スイッチング素子Q1のドレイン端子にVcの電圧値が印加される。タイミングt1で、波形101に示すように、電圧検出部14で検出される電圧値が徐々に上昇する。
【0075】
タイミングt2で、波形101に示すように、電圧検出部14で検出される電圧値がV1aに達する。タイミングt2からタイミングt3の期間で、遮断スイッチ部12および遮断スイッチ部18の故障がなければ、電圧検出部14の検出結果がV1a、電圧検出部15の検出結果がV1、電圧検出部20の検出結果が0、電圧検出部21の検出結果がV2となる。
【0076】
タイミングt3からタイミングt4の期間は、スイッチング素子Q1がオフ状態であり、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は0である。タイミングt3からタイミングt4の期間で、スイッチング素子Q1に短絡故障が発生していれば、中点電圧の値はVcになる。
【0077】
タイミングt4で、スイッチング素子Q1は、オン状態になる。スイッチング素子Q1がオン状態になると、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は、徐々に上昇する。
【0078】
タイミングt4からタイミングt5の期間で、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は、補助電源のVcを分圧回路253に応じて分圧された分圧電圧Vc1に達する。タイミングt4からタイミングt5の期間で、スイッチング素子Q1がオープン故障している場合には、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は0になる。タイミングt4からタイミングt5の期間で、スイッチング素子Q2が短絡故障している場合には、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は、Vcに達した後に徐々に0まで変化する。タイミングt4からタイミングt5の期間で、電圧検出部20の検出結果が所定電圧値であるV2aに達する。
【0079】
タイミングt5で、スイッチング素子Q1は、オフ状態になる。
【0080】
タイミングt5からタイミングt6の期間の間で、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧は、0になる。タイミングt5からタイミングt6の期間の間で、電圧検出部20の検出結果が0になる。
【0081】
タイミングt6で、スイッチング素子診断部24は、オフ状態になる。これにより、第1実施形態に係るスイッチング素子の故障判定処理が終了する。
【0082】
[処理内容]
図8を用いて、第1実施形態に係る制御部の処理内容について説明する。
図8は、第1実施形態に係る遮断スイッチ部の故障判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0083】
図8に示す、制御部26の処理は、遮断スイッチ部12及び遮断スイッチ部18をオフ状態で実施される処理である。
【0084】
制御部26は、第2電源2側の遮断スイッチ部18の内側の電圧は所定値未満であるか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、制御部26は、電圧検出部20の電圧の検出結果が所定値未満であるか否かを判定する。遮断スイッチ部18の内側の電圧が所定値未満であると判定された場合(ステップS101;Yes)、ステップS102に進む。遮断スイッチ部18の内側の電圧が所定値未満であると判定されない場合(ステップS101;No)、ステップS104に進む。
【0085】
ステップS101でYesと判定された場合、第1電源1側の遮断スイッチ部12の内側の電圧は所定値未満であるか否かを判定する(ステップS102)。具体的には。制御部26は電圧検出部14の電圧の検出結果が所定値未満であるか否かを判定する。遮断スイッチ部12の内側の電圧が所定値未満であると判定された場合(ステップS102;Yes)、ステップS103に進む。遮断スイッチ部12の内側の電圧が所定値未満であると判定されない場合(ステップS102;No)、ステップS104に進む。
【0086】
ステップS102でYesと判定された場合は、制御部26は、遮断スイッチ部12及び遮断スイッチ部18は、正常であると判定する(ステップS103)。具体的には、制御部26は、遮断スイッチ部12及び遮断スイッチ部18は、故障していないと判定する。そして、
図8の処理を終了する。
【0087】
ステップS101又はステップS102でNoと判定された場合、制御部26は、遮断スイッチ部12又は遮断スイッチ部18は、異常であると判定する(ステップS104)。具体的には、制御部26は、ステップS101でNoと判定された場合には、遮断スイッチ部18は故障していると判定する。制御部26、ステップS102でNoと判定された場合には、遮断スイッチ部12は故障していると判定する。制御部26は、遮断スイッチ部12又は遮断スイッチ部18が故障していると判定した場合には、その旨の情報を図示しない上位装置に出力する。そして、
図8の処理を終了する。
【0088】
図9を用いて、第1実施形態に係る制御部の処理内容について説明する。
図9は、第1実施形態に係る遮断スイッチ部のスイッチング素子の故障判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下では、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2の故障を判定する場合を例に説明する。
【0089】
図9に示す、制御部26の処理は、遮断スイッチ部12及び遮断スイッチ部18は、オフ状態で実施される処理である。
【0090】
制御部26は、スイッチング素子診断部24をオン状態にする(ステップS201)。具体的には、制御部26は、制御信号S5をスイッチング素子診断部24に出力して、スイッチング素子診断部24をオン状態にする。そして、ステップS202に進む。
【0091】
制御部26は、第1電源1側の遮断スイッチ部12の内側で電圧を検出したか否かを判定する(ステップS202)。具体的には、制御部26は、電圧検出部20が電圧を検出したか否かを判定する。遮断スイッチ部12の内側で電圧を検出したと判定された場合(ステップS202;Yes)、ステップS203に進む。遮断スイッチ部12の内側で電圧を検出したと判定されない場合(ステップS202;No)、ステップS210に進む。
【0092】
ステップS202でYesと判定された場合、制御部26は、中点電圧は0であるか否かを判定する(ステップS203)。具体的には、制御部26は、中点電圧検出部25が検出した、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧が0であるか否かを判定する。中点電圧は0であると判定された場合(ステップS203;Yes)、ステップS204に進む。中点電圧は0でないと判定された場合(ステップS203;No)、ステップS210に進む。
【0093】
ステップS203でYesと判定された場合、制御部26は、スイッチング素子Q1をオン状態に切り替える(ステップS204)。そして、ステップ205に進む。
【0094】
制御部26は、中点電圧は所定値であるか否かを判定する(ステップS205)。具体的には、制御部26は、中点電圧検出部25が検出した、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧が補助電源の電圧Vcであるか否かを判定する。中点電圧は所定値であると判定された場合(ステップS205;Yes)、ステップS206に進む。中点電圧は所定値であると判定されない場合(ステップS205;No)、ステップS210に進む。
【0095】
制御部26は、第2電源2側の遮断スイッチ部18の内側の電圧は所定値以上であるか否かを判定する(ステップS206)。具体的には、制御部26は、電圧検出部20が検出した電圧が所定値以上であるか否かを判定する。遮断スイッチ部18の内側の電圧が所定値以上であると判定された場合(ステップS206;Yes)、ステップS207に進む。遮断スイッチ部18の内側の電圧が所定値以上であると判定されない場合(ステップS206;No)、ステップS210に進む。
【0096】
ステップS206でYesと判定された場合、制御部26は、正常であると判定する(ステップS207)。具体的には、制御部26は、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、コイルL1は故障していないと判定する。そして、ステップS208に進む。
【0097】
制御部26は、スイッチング素子Q1をオフ状態に切り替える(ステップS208)。そして、ステップS209に進む。
【0098】
制御部26は、スイッチング素子診断部24をオフ状態にする(ステップS209)。具体的には、制御部26は、制御信号S5を停止させて、スイッチング素子診断部24をオフ状態にする。そして、
図9の処理を終了する。
【0099】
ステップS202でNo、ステップS203でNo、ステップS205でNo、又はステップS206でNoと判定された場合、制御部26は、異常と判定する(ステップS210)。具体的には、制御部26は、ステップS202でNoと判定された場合、補助電源の異常と判定する。制御部26は、ステップS203でNoと判定された場合、スイッチング素子Q1の短絡故障であると判定する。制御部26は、ステップS205でNoと判定された場合、検出した電圧が0である場合には、Q1がオープン故障をしていると判定する。制御部26は、ステップS205でNoと判定された場合、検出した電圧が補助電源の電圧Vcから0に変化する場合には、スイッチング素子Q2が短絡故障をしていると判定する。制御部26は、ステップS206でNoと判定された場合、第2電源2に起因するプリチャージ異常であると判定する。制御部26は、ステップS206でNoと判定された場合、コイルL1に起因する故障であると判定する。コイルL1に起因する故障の一例について説明する。例えば、ステップS206では、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子診断部24は、オン状態なので、補助電源の電圧VcがコイルL1から遮断スイッチ部18に印加される。ここで、補助電源からの電圧の異常はステップS202で判定している。そのため、例えば、コイルL1がオープン故障している場合などに、制御部26は、ステップS206でNoと判定する。そして、
図9の処理を終了する。
【0100】
上述のとおり、第1実施形態では、コンバータ23に2つの電源を接続した状態で、コンバータ23のハイサイド側のスイッチング素子とローサイド側のスイッチング素子の中点電圧を測定することで、各スイッチング素子の故障判定を行うことができる。これにより、第1実施形態は、各スイッチング素子に故障が発生していた場合であっても、コンバータ23と電源との間に設けられたヒューズを溶断することなく、各スイッチング素子の故障判定を行うことができる。
【0101】
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態に係る電源システムの構成例を示す図である。電源システム100Aは、放電回路部27と、制御部26Aが放電回路駆動部35を備える点で、
図1に示す電源システム100とは異なる。
【0102】
コンバータ23が動作を開始した後、動作を終了するとコンバータ23の内部のコンデンサC1からコンデンサCmなどには電荷が残っていることがある。コンバータ23を次の動作前の中点電圧を検出する処理を行う際に、コンバータ23の内部に電荷が残っていると基準値が変化してしまうので、正確な中点電圧の値を検出することができない可能性がある。そのため、第2実施形態では、コンバータ23の動作終了後に、コンバータ23の内部の電荷を放電させる。
【0103】
放電回路部27は、一端がコンバータ23のハイサイド側のスイッチング素子のドレイン端子に電気的に接続され、他端がコンバータ23のローサイド側のスイッチング素子のソース端子に電気的に接続されている。放電回路部27は、放電回路駆動部35からの制御信号に従って、コンバータ23の内部の電荷を放電する。放電回路部27は、遮断スイッチ部12および遮断スイッチ部18がオフ状態であるときに、コンバータ23の内部の電荷を放電する。放電回路部27は、例えば、トランジスタで構成されているが、これに限定されない。
【0104】
放電回路駆動部35は、放電回路部27に制御信号を出力して放電回路部27を駆動させて、コンバータ23の内部の電荷を放電させる。放電回路駆動部35は、電源制御部34からの制御に従って、放電回路部27に制御信号を出力する。
【0105】
電源制御部34は、放電回路駆動部35に制御信号を出力して、放電回路駆動部35に放電回路部27を駆動させる。電源制御部34は、例えば、電圧検出部14および電圧検出部20の電圧の検出結果が所定の電圧値以下となると、制御信号の出力を停止する。
【0106】
図11を用いて、第2実施形態に係るコンバータの放電処理について説明する。
図11は、第2実施形態に係る放電処理を説明するためのタイミングチャートである。なお、
図11に示すタイミングチャートは、遮断スイッチ部12が
図2に示す構成であり、遮断スイッチ部18が
図3に示す構成である場合のタイミングチャートである。
【0107】
図11は、コンバータ23の動作終了後の処理を示す。
図11において、タイミングt3からタイミングt4の期間が、コンバータ23の内部の電荷を放電する期間である。
【0108】
図11において、(a)は、スイッチング素子診断部24に電圧を供給する補助電源の電圧値を示す。(b)は、遮断スイッチ部12の状態を示す。(c)は、遮断スイッチ部18の状態を示す。(d)は、スイッチング素子Q1の状態を示す。(e)は、スイッチング素子Q2の状態を示す。(f)は、スイッチング素子診断部24の状態を示す。(g)は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間の中点電圧の電圧値を示す。(h)は、波形101が電圧検出部14の電圧の検出結果を示し、波形102が電圧検出部15の電圧の検出結果を示す。(i)は、波形201が電圧検出部20の電圧の検出結果を示し、波形202が電圧検出部21の電圧の検出結果を示す。(j)は、放電回路部27の状態を示す。
【0109】
タイミングt1で、各スイッチング素子がオフの状態で遮断スイッチ部12がオフ状態になる。タイミングt1からタイミングt2の期間で、電圧検出部20で検出される電圧値は下降する。
【0110】
タイミングt2で、遮断スイッチ部18がオフ状態になる。
【0111】
タイミングt3で、放電回路部27は、オン状態になる。タイミングt3からタイミングt4の期間は、放電回路部27は、オン状態を継続する。
【0112】
タイミングt3からタイミングt4の期間は、電圧検出部14で検出される電圧値は下降する。タイミングt4で、放電回路部27は、オフ状態になる。
【0113】
タイミングt4からタイミングt5の期間で、図示しない上位装置からの命令または外部機器などから停止命令が発生していることにより補助電源はオフ状態になる。これにより、第2実施形態に係る放電処理が終了する。
【0114】
[処理内容]
図12を用いて、第2実施形態に係る制御部の処理内容について説明する。
図12は、第2実施形態に係るコンバータの放電処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0115】
図12に示す処理は、制御部26Aがコンバータの動作の終了後に、外部機器などから停止命令を受けた後に実施する処理である。
【0116】
制御部26Aは、第1電源1側の遮断スイッチ部12をオフ状態にする(ステップS301)。具体的には、制御部26Aは、遮断スイッチ部12をオフ状態にして、第1電源1と、コンバータ23とを電気的に遮断する。そして、ステップS302に進む。
【0117】
制御部26Aは、第2電源2側の遮断スイッチ部18をオフ状態にする(ステップS302)。具体的には、制御部26Aは、遮断スイッチ部18をオフ状態にして、第2電源2と、コンバータ23とを電気的に遮断する。そして、ステップS303に進む。
【0118】
制御部26Aは、放電回路部27をオン状態にする(ステップS303)。具体的には、制御部26Aは、放電回路部27をオン状態にして、コンバータ23内部の電荷を放電させる。そして、ステップS304に進む。
【0119】
制御部26Aは、所定時間待機する(ステップS304)。具体的には、制御部26Aは、コンバータ23の電荷が放電されるまで待機する。そして、ステップS305に進む。
【0120】
制御部26Aは、第2電源2側の遮断スイッチ部18の内側の電圧は所定値未満であるか否かを判定する(ステップS305)。具体的には、制御部26Aは、電圧検出部20で検出された電圧値が所定値未満であるか否かを判定する。より具体的には、制御部26Aは、電圧検出部20で検出された電圧値が第2電源2の電圧V2未満であるか否かを判定する。遮断スイッチ部18の内側の電圧は所定値未満であると判定された場合(ステップS305;Yes)、ステップS306に進む。遮断スイッチ部18の内側の電圧は所定値未満であると判定されない場合(ステップS305;No)、ステップS308に進む。
【0121】
ステップS305でYesと判定された場合、制御部26Aは、第1電源1側の遮断スイッチ部12の内側の電圧は所定値未満であるか否かを判定する(ステップS306)。具体的には、制御部26Aは、電圧検出部14で検出された電圧値が所定値未満であるか否かを判定する。より具体的には、制御部26Aは、電圧検出部14で検出された電圧値が第1電源1の電圧V1未満であるか否かを判定する。遮断スイッチ部12の内側の電圧は所定値未満であると判定された場合(ステップS306;Yes)、ステップS307に進む。遮断スイッチ部12の内側の電圧は所定値未満であると判定されない場合(ステップS306;No)、ステップS308に進む。
【0122】
ステップS306でYesと判定された場合、制御部26Aは、放電回路部27をオフ状態にする(ステップS307)。具体的には、制御部26Aは、放電回路部27をオフ状態にして、コンバータ23の放電処理を終了する。そして、
図12の処理を終了する。
【0123】
ステップS305でNoと判定された場合又はステップS306でNoと判定された場合、制御部26Aは、遮断スイッチ部12又は遮断スイッチ部18が故障していると判定する(ステップS308)。具体的には、制御部26Aは、ステップS305でNoと判定された場合、遮断スイッチ部18が短絡故障していると判定する。制御部26Aは、ステップS306でNoと判定された場合、遮断スイッチ部12が短絡故障していると判定する。そして、
図12の処理を終了する。
【0124】
上述のとおり、第2実施形態は、コンバータ23の動作終了後、コンバータ23の内部の電荷を放電させることができる。これにより、第2実施形態は、コンバータ23の起動前と終了後の状態を同一にすることができるので、コンバータ23を再起動させた際に、ハイサイド側のスイッチング素子とローサイド側のスイッチング素子との間の中点電圧を適切に検出することができる。
【0125】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0126】
1 第1電源
2 第2電源
3,4 ヒューズ
10 制御装置
11,17 電流検出部
12,18 遮断スイッチ部
13,19 過電流検出部
14,15,20,21,254 電圧検出部
16,22 出力コンデンサ
23 コンバータ
24 スイッチング素子診断部
241 ダイオード
242,252 抵抗素子
25 中点電圧検出部
251 ツェナーダイオード
253 分圧回路
26,26A 制御部
27 放電回路部
30,31 遮断スイッチ駆動部
33 スイッチング素子制御部
34 電源制御部
35 放電回路駆動部
100 電源システム