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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153061
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ハンドル
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056094
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】榊原 早也果
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA26
3D030DA35
3D030DA45
3D030DB12
(57)【要約】
【課題】把持案内時の把持の感触を良好にでき、かつ、把持時の点灯状態の確認も円滑に行えるハンドルを提供すること。
【解決手段】ハンドル10は、車両を操舵するために、操舵中心軸C回りで回転操舵する構成として、操舵中心軸側の中央部12と、中央部と連結されるとともに、操舵時に把持する把持部22を設けた操舵部14と、を備える。操舵部には、制御部50に点灯を制御されて、把持案内時に点灯される点灯部37と、把持部に配設されて、把持を検知可能な把持検知センサ35と、が配設される。把持部22(L,R)は、操舵部における操舵中心軸から離れた左右に、一対、配設される。点灯部37(LF,LB,RF,RB)は、左右の把持部の領域から外れ、かつ、把持部に隣接した把持部の両端側の4箇所に、配設されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵する構成として、
前記操舵中心軸側の中央部と、
該中央部と連結されるとともに、操舵時に把持する把持部を設けた操舵部と、
を備えるとともに、
前記操舵部に、
制御部に点灯を制御されて、把持案内時に点灯される点灯部と、
前記把持部に配設されて、把持を検知可能な把持検知センサと、
が配設されて構成されるハンドルであって、
前記把持部が、前記操舵部における前記操舵中心軸から離れた左右に、一対、配設され、
前記点灯部が、左右の前記把持部の領域から外れ、かつ、前記把持部に隣接した前記把持部の両端側の4箇所に、配設されていることを特徴とするハンドル。
【請求項2】
前記点灯部の点灯モードとして、少なくとも、
把持案内前の待機モードと、
把持案内時の案内モードと、
前記案内モードでの点灯時に、前記把持検知センサからの把持検知の信号が前記制御部に入力されない場合に移行して、前記待機モード及び前記案内モードと異なる点灯態様で点灯する注意喚起モードと、
を具備して、
前記制御部が、前記点灯部の点灯を制御していることを特徴とする請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記待機モード、前記案内モード、及び、前記注意喚起モードにおける前記点灯部のモード差は、前記点灯部の点灯の有無、点灯色の変更、輝度、点滅、点滅頻度、複数点灯箇所の点灯数の変更、のいずれかの1つ、若しくは、複数として、設定されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記点灯部が、前記案内モードでの点灯後、前記把持検知センサからの把持検知の信号が前記制御部に入力されると、前記待機モード、前記案内モード、及び、前記注意喚起モードと異なる点灯態様で、点灯するように、前記制御部に制御されていることを特徴とする請求項2若しくは請求項3に記載のハンドル。
【請求項5】
前記点灯部が、前記案内モードでの点灯後、前記把持検知センサからの把持検知の信号が前記制御部に入力されると、前記待機モードに移行するように、前記制御部に制御されていることを特徴とする請求項2若しくは請求項3に記載のハンドル。
【請求項6】
前記各点灯部が、それぞれ、隣接する前記把持部から前記各点灯部の配設方向に沿って延びる帯状の発光部として、発光体と、導光体と、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項7】
前記各点灯部が、それぞれ、点光源からなる発光部を、少なくとも一つ配設させて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項8】
前記各点灯部が、隣接する前記把持部に向かって先細り状の発光面を備えて構成されていることを特徴とする請求項7に記載のハンドル。
【請求項9】
前記各点灯部が、複数の前記発光部を、隣接する前記把持部に接近するように、並設させて構成されて、点灯時、隣接する前記把持部に向かって、離隔側の前記発光部から順次点灯可能に配設されていることを特徴とする請求項7に記載のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵するハンドルであって、特に、運転者が把持するハンドルの操舵部に、把持案内時に点灯する点灯部を設けたハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハンドルとしては、車両の自動運転から手動運転に切り替える際等に、操舵部を把持するように、操舵部に設けた点灯部を点灯させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-55632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のハンドルでは、点灯部が、操舵部の把持する部位自体に配設されていることから、把持時の感触が良好ではなく、改善の余地があり、また、把持時に点灯部が隠れる事態も招くことから、点灯状態の確認も行い難かった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、把持案内時の把持の感触を良好にでき、かつ、把持時の点灯状態の確認も円滑に行えるハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るハンドルは、車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵する構成として、
前記操舵中心軸側の中央部と、
該中央部と連結されるとともに、操舵時に把持する把持部を設けた操舵部と、
を備えるとともに、
前記操舵部に、
制御部に点灯を制御されて、把持案内時に点灯される点灯部と、
前記把持部に配設されて、把持を検知可能な把持検知センサと、
が配設されて構成されるハンドルであって、
前記把持部が、前記操舵部における前記操舵中心軸から離れた左右に、一対、配設され、
前記点灯部が、左右の前記把持部の領域から外れ、かつ、前記把持部に隣接した前記把持部の両端側の4箇所に、配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るハンドルでは、把持案内時に点灯される点灯部が、操舵部において、左右の把持部の領域から外れ、かつ、把持部に隣接した把持部の両端側の4箇所に、配設されており、把持部自体に配設されていないことから、点灯部を把持せずに、把持部自体を把持できる。さらに、把持部を把持する際には、点灯部の配設領域に隣接する把持部自体を把持して、点灯部の領域を隠す虞れもないことから、把持案内時の点灯部の点灯状態を目視して確認することができる。なお、把持部には、把持検知センサが配設されているものの、表面側に配置される点灯部と異なり、把持検知センサは、把持部の表面側の表皮層の裏面側で、かつ、操舵部の芯材周囲における被覆層と表皮層との間に、シート状に配設されるものであって、感触を悪化させるものではない。
【0008】
したがって、本発明に係るハンドルでは、把持案内時の把持の感触を良好にでき、かつ、把持時の点灯状態の確認も円滑に行うことができる。
【0009】
そして、本発明に係るハンドルでは、前記点灯部の点灯モードとして、少なくとも、
把持案内前の待機モードと、
把持案内時の案内モードと、
前記案内モードでの点灯時に、前記把持検知センサからの把持検知の信号が前記制御部に入力されない場合に移行して、前記待機モード及び前記案内モードと異なる点灯態様で点灯する注意喚起モードと、
を具備して、
前記制御部が、前記点灯部の点灯を制御していることが望ましい。
【0010】
このような構成では、点灯部の異なる種々の点灯モードにおける把持案内前の待機モードにより、把持するように案内されていないことを確認できるとともに、案内モードの点灯状態では、的確に、把持するように案内され、さらに、把持しなければ、案内モードと異なる注意喚起モードにより、点灯部が点灯することから、把持するように、一層促されて、把持し易くなる。
【0011】
これらの前記待機モード、前記案内モード、及び、前記注意喚起モードにおける前記点灯部のモード差は、前記点灯部の点灯の有無、点灯色の変更、輝度、点滅、点滅頻度、複数点灯箇所の点灯数の変更、のいずれかの1つ、若しくは、複数として、設定することができる。
【0012】
また、前記点灯部は、前記案内モードでの点灯後、前記把持検知センサからの把持検知の信号が前記制御部に入力されると、前記制御部に制御されて、前記待機モード、前記案内モード、及び、前記注意喚起モードと異なる点灯態様で、点灯するように、前記制御部に制御されたり、あるいは、前記待機モードに移行するように、制御されればよい。
【0013】
さらに、前記各点灯部は、それぞれ、隣接する前記把持部から前記各点灯部の配設方向に沿って延びる帯状の発光部として、発光体と、導光体と、を備えて構成したり、あるいは、それぞれ、点光源からなる発光部を、点状に、少なくとも一つ配設させて構成することができる。
【0014】
そして、各点灯部が、点光源からなる発光部を配設させて構成される場合、隣接する把持部に向かって先細り状の発光面を備えて構成されていれば、点灯時の発光面の先細りの向きが、把持部側となって、点灯時の点灯部が矢印のように把持部側を指す状態となることから、視覚的に、一層、把持部を注目させ易くなる。
【0015】
また、前記各点灯部が、複数の前記発光部を、隣接する前記把持部に接近するように、並設させて構成されていれば、点灯時、隣接する把持部に向かって、離隔側の発光部から順次点灯可能に配設してもよい。この場合には、発光部の発光が、把持部に接近するように、流れる状態となり、視覚的に、一層、把持部を注目させ易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態のハンドルを示す平面図である。
図2】実施形態のハンドルの断面図であり、図1のII-II部位に対応する。
図3】実施形態のハンドルの断面図であり、図1のIII-III部位に対応する。
図4】実施形態のハンドルのブロック図である。
図5】車両の自動運転から手動運転に切り替わる際の実施形態のハンドルの点灯モードを説明する図である。
図6】車両の手動運転時における手放し時における実施形態のハンドルの点灯モードを説明する図である。
図7】車両の手動運転時における手放し時における実施形態のハンドルの点灯モードを説明する図であり、図6の後の状態を示す。
図8】実施形態のハンドルの点灯状態を説明する表である。
図9】実施形態のハンドルの変形例を示す平面図である。
図10図9に示すハンドルの断面図であり、図9のX-X部位に対応する。
図11】実施形態のハンドルの他の変形例を示す平面図である。
図12】実施形態のハンドルのさらに他の変形例を示す平面図である。
図13】実施形態の変形例のハンドルにおける点灯部の点灯モードを説明する図である。
図14図13に示すハンドルの点灯モードにおける図13に示す状態のその後を説明する図である。
図15】実施形態のさらに他の変形例のハンドルの平面図である。
図16図15に示すハンドルの断面図であり、図15の XVI- XVI部位に対応する。
図17図15に示すハンドルの点灯部の要部を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のハンドル10は、図1~3に示すように、車両を操舵するために、操舵中心軸C回りで回転操舵する構成として、操舵中心軸C側の中央部12と、中央部12と連結されるとともに、操舵中心軸Cから半径方向に離れた縁側に、操舵時に把持する把持部22(L,R)を設けた操舵部14と、を備えて構成されている。
【0018】
操舵部14は、操舵中心軸Cから離れた環状(実施形態では略円状)の環状部18と、中央部12から放射状に延びて環状部18に連結される連結部16と、を備えて構成されている。連結部16は、中央部12から左方に延びる連結部16Lと、中央部12から右方に延びる連結部16Rと、中央部12から後方に延びる連結部16Bと、から構成されている。
【0019】
なお、中央部12と連結部16との上面側には、エアバッグ装置60のパッド61が配設されている。
【0020】
ちなみに、本明細書での上下・左右・前後の方向は、車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、ハンドル10の操舵中心軸Cに沿った上下方向に対応し、左右方向は、その操舵中心軸Cの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、その操舵中心軸Cの軸直交方向の車両の前後方向に対応している。
【0021】
環状部18は、左右の連結部16L,16Rとの交差部位付近を、操舵時に把持する把持部22(L,R)としている。すなわち、把持部22(L,R)は、
操舵部14における操舵中心軸Cから離れた左右に、一対、配設されている。把持部22(L,R)には、把持を検知可能な把持検知センサ35が配設されている。
【0022】
また、環状部18には、制御部50に点灯を制御されて、把持案内時に点灯される点灯部37(LF,LB,RF,RB)が配設されている。点灯部37(LF,LB,RF,RB)は、左右の把持部22(L,R)の領域から外れた表示エリア20(LF,LB,RF,RB)であって、把持部22に隣接した把持部22の両端側の4箇所に、配設されている。
【0023】
具体的には、左側の把持部22Lの前側近傍が、表示エリア20LFとして、点灯部37LFが配設され、左側の把持部22Lの後側近傍が、表示エリア20LBとして、点灯部37LBが配設されている。また、右側の把持部22Rの前側近傍が、表示エリア20RFとして、点灯部37RFが配設され、右側の把持部22Rの後側近傍が、表示エリア20RBとして、点灯部37RBが配設されている。
【0024】
ハンドル10は、各部を連結するようにアルミニウム合金等からなる芯材25を配設させている。芯材25は、中央部12に配設される中央芯材部26と、操舵部14に配設される操舵芯材部27と、を備えて、操舵芯材部27は、各連結部16(L,R,B)に配設される連結芯材部28と、環状部18に配設される外縁芯材部29と、から構成されている。中央芯材部26は、車両側の操舵中心軸Cを構成する図示しないステアリングシャフトと連結される鋼製のボス26aを配設させて構成されている。
【0025】
また、外縁芯材部29と、外縁芯材部29近傍の連結芯材部28の部位とには、ウレンタン等から被覆層31が配設され、さらに、皮革等からなる表皮層33が配設されている(図2,3参照)。
【0026】
さらに、把持部22(L,R)の領域には、被覆層31と表皮層33との間に、運転者の指等が接近する際の静電容量の増加を検出して、運転者が把持部22(L,R)を把持しているか否かを検知可能な把持検知センサ35(L,R)が、配設されている。把持検知センサ35(L,R)は、センサとしての導体からなるシート材や線材をウレタンシートに配設させたシート状のもので、運転者の手等が接近すると、静電容量が変化することを検出して、運転者の把持を検出するものであり、制御部50に接続されて、制御部50が把持検知センサ35からの信号に基づき、把持の有無を検出する。
【0027】
また、各点灯部37(LF,LB,RF,RB)は、それぞれ、隣接する把持部22(L,R)から各点灯部37(LF,LB,RF,RB)の配設方向に沿って延びる帯状の発光部41として、発光体42と、発光体42の光を発光部41の表面側に導き、出射光を拡散させて均一に光らせる導光体43と、を備えて構成されている(図1,3参照)。各点灯部37の発光部41は、実施形態の場合、隣接する把持部22(L,R)から環状部18の円環状に沿うように前後に延びた略長方形状(帯状)として、配設されている。各発光部41は、略長方形板状の発光基板40の裏面側に、LEDからなる発光体42を配設させ、導光体43は、発光体42の発する光の入射面43aを発光基板40の裏面の発光体42と対向する位置に配置させ、その側方に反射面43bを配設させ、そして、上面側に光を出射させる出光面43cを配設させて構成されている。導光体43は、断面略L字状として、前後方向に延びるような長尺状としており、発光体42が光れば、その光を前後に帯状に延びる点灯部37の全域で、拡散させた状態で、出射させることができる。なお、出光面43cには、拡散層が設けられたり、微細加工が施されて、光を拡散可能に構成されている。
【0028】
各点灯部37の発光体42は、制御部50の制御により、例えば、橙色、緑色、赤色、に点灯可能であり、さらに、それらの点滅状態として点灯することも可能としている。
【0029】
そして、各点灯部37は、樹脂製のケース38に発光部41が支持され、発光部41の上面側を透光性を有した半透明のカバー(レンズ)39で覆われたライトバーとして構成されて、表示エリア20の上面側に、配設されている。
【0030】
各点灯部37の点灯状態を制御する制御部50は、ハンドル10の中央部12に配設されて、車両側の制御部70と接続されるとともに、把持検知センサ35や各点灯部37の発光体42と接続されている。車両側の制御部70は、車両のボディ側に搭載されており、車両の自動運転等の制御を行うものであり、制御部50に対して、自動運転や手動運転等の各種の運転モードとなる際に所定の信号を出力し、また、制御部50の把持検知センサ35からの把持部22(L,R)の把持検知の信号を入力して、車両側のインストルメントパネル等に設けられたスピーカ75から所定の音声ガイドを行うように構成されている。
【0031】
さらに、実施形態の場合、ハンドル10には、例えば、中央部12に、運転モードを色で表示するモードインジケータ65が配設されており、このモードインジケータ65の一例の色とした例えば青色や橙色の点灯と消灯も、制御部50により制御される構成としている。
【0032】
制御部50によって制御される各点灯部37の点灯モードとしては、把持案内前の待機モードM0と、把持案内時の案内モードM1と、案内モードM1での点灯時に、把持検知センサ35からの把持検知の信号が制御部50に入力されない場合に移行して、待機モードM0及び案内モードM1と異なる点灯態様で点灯する注意喚起モードM2(M21,M22,M23)と、がある。さらに、点灯部37は、案内モードM1での点灯後、把持検知センサ35からの把持検知の信号が制御部50に入力されると、待機モードM0、案内モードM1、及び、注意喚起モードM2と異なる点灯態様の把持確認モードM3で、点灯したり、あるいは、待機モードM0に復帰させる場合がある(図8参照)。
【0033】
そして、点灯部37の点灯案内としては、図8の1.に示すように、車両の自動運転から手動運転への切替時の把持案内と、図8の2.に示すように、手動運転時の手放し運転の警告用の把持案内と、があり、制御部70の制御に伴なうモードインジケータ65とスピーカ75との作動とともに説明すると、つぎのように、点灯部37は点灯する。
【0034】
1.自動運転から手動運転への切替時の把持案内(図8の1.参照)
車両の自動運転時には、モードインジケータ65は、青色で点灯され、切替モード中では、橙色で点灯され、そして、手動運転時には、手動運転モードとして、モードインジケータ65は、消灯される。
【0035】
A.自動運転から手動運転に切り替わる際には、予め、制御部70が、スピーカ75から、自動運転解除通知として、「まもなく自動運転を終了します」との音声ガイドを流す。この時、制御部50は、点灯部37を消灯させた待機モードM0とするように、点灯部37を制御する(図5のA参照)。
【0036】
B.ついで、制御部50が、把持部22の把持を案内する案内モードM1として、各点灯部37を橙色で点灯させる(図5のB参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、把持案内として、「ハンドルを握ってください」との音声ガイドを流すとともに、制御部50を介して、モードインジケータ65を橙色で点灯させる。
【0037】
C.そして、把持部22(L,R)の少なくとも一方が、運転者の手H(L,R)により把持されれば、把持検知センサ35(L,R)の信号を入力した制御部50が、把持確認モードM3として、点灯部37を緑色で点灯させる(図5のC参照)。その後、制御部50は、所定時間(例えば、5秒間)、点灯部37を緑色で点灯させた後、点灯部37を消灯させて、待機モードM0に移行する(図5のF参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、「手動運転に切り替わりました」との音声ガイドを流すとともに、制御部50を介して、モードインジケータ65を消灯させる。
【0038】
D.一方、案内モードM1での点灯時、所定時間以内(例えば、5秒以内)に把持部22への把持が無ければ、制御部50は、注意喚起モードM2として、点灯部37を橙色から赤色に変化させて点灯する(図5のD参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、把持案内として、「ハンドルを握ってください」との音声ガイドを流し続けるとともに、制御部50を介して、モードインジケータ65の橙色での点灯を維持する。
【0039】
E.注意喚起モードM2での点灯時、所定時間以内(例えば、10秒以内)に把持部22への把持がなければ、制御部50は、警告度の強い注意喚起モードM21として、点灯部37を赤色点滅として点灯する(図5のE参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、手動運転の切替と自動運転とを中止する案内として「安全な場所へ退避して停車します」との音声ガイドを流す。そして、車両の停止後、制御部50は、点灯部37を消灯させて、待機モードM0に移行する(図5のF参照)。またこの時、制御部70は、スピーカ75から、「手動運転に切り替わりました」との音声ガイドを流すとともに、制御部50を介して、モードインジケータ65を消灯させる。
【0040】
F.また、注意喚起モードM2,21での点灯時、把持部22(L,R)の少なくとも一方が、運転者の手H(L,R)により把持されれば、把持検知センサ35(L,R)の信号を入力した制御部50は、点灯部37を把持確認モードM3として、点灯部37を緑色で点灯させ(図5のC参照)、所定時間(例えば、5秒)経過後、点灯部37を消灯させて、待機モードM0に移行する(図5のF参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、「手動運転に切り替わりました」との音声ガイドを流すとともに、制御部50を介して、モードインジケータ65を消灯させる。
【0041】
2.手動運転時の手放し運転の警告用の把持案内(図8の2.参照)
車両の手動運転モードにおいては、ハンドルから手を離せば走行に支障をきたすことから、手放しとなれば、把持を案内することとなる。
【0042】
A.手動運転モードにおいて、把持部22(L,R)の少なくとも一方が、手H(L,R)に把持されていれば、制御部50は、把持検知センサ35からの信号によって、把持部22(L,R)が把持されていることを検知することから、点灯部37を消灯させて、待機モードM0を維持する(図6のA参照)。その際、制御部70は、制御部50から把持部22の把持検知の信号を入力しており、音声ガイドを行わない。
【0043】
B.その後、把持部22(L,R)の両方から手HL,HRが離れた場合、把持検知センサ35からの信号を入力していた制御部50は、把持部22が把持されていないことを検知すると、把持を案内する案内モードM1として、各点灯部37を橙色で点灯させる(図6のB参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、把持案内として、「ハンドルを握ってください」との音声ガイドを流す。
【0044】
そして、把持部22(L,R)の少なくとも一方が、運転者の手H(L,R)により把持されれば、把持検知センサ35の信号を入力した制御部50が、点灯部37を消灯させて、待機モードM0に移行する(図7のG参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、「手動運転を継続します」との音声ガイドを流す。
【0045】
C.一方、案内モードM1での点灯時、所定時間以上(例えば、3秒以上)、把持部22への把持が無ければ、制御部50は、注意喚起モードM2として、点灯部37を橙色から赤色に変化させて点灯する(図6のC参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、把持案内として、「ハンドルを握ってください」との音声ガイドを流し続ける。
【0046】
そして、把持部22(L,R)の少なくとも一方が、運転者の手H(L,R)により把持されれば、把持検知センサ35の信号を入力した制御部50が、点灯部37を消灯させて、待機モードM0に移行する(図7のG参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、「手動運転に切り替わりました」との音声ガイドを流す。
【0047】
D.注意喚起モードM2での点灯時、所定時間以上(例えば、5秒以上)、把持部22への把持がなければ、制御部50は、警告度の強い注意喚起モードM21として、点灯部37を赤色点滅として点灯する(図7のD参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、ブザー音等の警告音とともに、把持を案内する「直ちにハンドルを握ってください」との音声ガイドを流す。
【0048】
E.注意喚起モードM21での点灯時、所定時間以上(例えば、15秒以上)、把持部22への把持がなければ、制御部50は、警告度のより強い注意喚起モードM22として、点灯部37を、点滅頻度の高い赤色点滅として点灯する(図7のE参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、ブザー音等の警告音とともに、把持を案内する「直ちにハンドルを握ってください」との音声ガイドを流す。
【0049】
F.注意喚起モードM22での点灯部、所定時間以上(例えば、30秒以上)、把持部22への把持がなければ、制御部50は、警告度のより強い注意喚起モードM23として、点灯部37を、より点滅頻度を高く、かつ、輝度を高くした赤色点滅として点灯する(図7のF参照)。また、制御部70は、スピーカ75から、危険を回避する案内として「減速して停車します」との音声ガイドを流す。そして、車両の停止後、制御部50は、点灯部37を消灯させて、待機モードM0に移行する(図7のG参照)。またこの時、制御部70は、スピーカ75から、「緊急停止しました」との音声ガイドを流す。
【0050】
G.また、注意喚起モードM2,21,21,22,23での点灯時、把持部22(L,R)の少なくとも一方が、運転者の手H(L,R)により把持されれば、把持検知センサ35(L,R)の信号を入力した制御部50が、点灯部37を消灯させて、待機モードM0に移行する(図7のG参照)。この時、制御部70は、スピーカ75から、「手動運転に切り替わりました」との音声ガイドを流す。
【0051】
実施形態のハンドル10では、上記のように、把持案内時に点灯される点灯部37(LF,LB,RF,RB)が、操舵部14において、左右の把持部22(L,R)の領域から外れ、かつ、把持部22(L,R)に隣接した把持部22(L,R)の前後の両端側の4箇所に、配設されており、把持部22(L,R)自体に配設されていないことから、点灯部37(LF,LB,RF,RB)を把持せずに、把持部22(L,R)自体を把持できる。さらに、把持部22(L,R)を把持する際には、点灯部37(LF,LB,RF,RB)の配設領域に隣接する把持部22(L,R)自体を把持して、点灯部37(LF,LB,RF,RB)の領域を隠す虞れもないことから(図1図5のC,D、図7のGの二点鎖線参照)、把持案内時の点灯部37(LF,LB,RF,RB)の点灯状態を目視して確認することができる。なお、図1図5のC,F,図7のGでは、手HL,HRが、後部側の点灯部37LB,37RBの前端37a(図1参照)の上方を覆っているように図示されているが、前端37a付近は、目視し難いものの、手HL,HRが接触される状態で無く、かつ、その後方側は目視できて、把持時の点灯部37(LF,LB,RF,RB)の点灯状態を目視して確認することができる。すなわち、例えば、図5のB,Cでは、案内モードM1の前部側の点灯部37(LF,RF)や後部側の点灯部37(LB,RB)の橙色や緑色の点灯状態を、容易に、目視できる。
【0052】
また、把持部22(L,R)には、把持検知センサ35が配設されているものの、表面側に配置される点灯部37(LF,LB,RF,RB)と異なり、把持検知センサ35は、把持部22の表面側の表皮層33の裏面側で、かつ、操舵部14の芯材25の外縁芯材部29の周囲における被覆層31と表皮層33との間に、シート状に配設されるものであって(図2参照)、感触を悪化させるものではない。
【0053】
したがって、実施形態のハンドル10では、把持案内時の把持の感触を良好にでき、かつ、把持時の点灯状態の確認も円滑に行うことができる。
【0054】
そして、実施形態のハンドルでは、点灯部37(LF,LB,RF,RB)の点灯モードとして、少なくとも、把持案内前の待機モードM0と、把持案内時の案内モードM1と、案内モードM1での点灯時に、把持検知センサ35からの把持検知の信号が制御部50に入力されない場合に移行して、待機モードM0及び案内モードM1と異なる点灯態様で点灯する注意喚起モードM2,M21,M22,M23と、を具備して、制御部50が、点灯部37(LF,LB,RF,RB)の点灯を制御している。
【0055】
そのため、実施形態では、点灯部37(LF,LB,RF,RB)の異なる種々の点灯モードにおける把持案内前の待機モードM0により、把持するように案内されていないことを確認できるとともに、案内モードM1の点灯状態では、的確に、把持するように案内され、さらに、把持しなければ、案内モードM1と異なる注意喚起モードM2,M21,M22,M23により、点灯部37(LF,LB,RF,RB)が点灯することから、把持するように、一層促されて、把持し易くなる。
【0056】
そして、これらの待機モードM0、案内モードM1、及び、注意喚起モードM2,M21,M22,M23における点灯部37(LF,LB,RF,RB)のモード差は、点灯部37(LF,LB,RF,RB)の点灯の有無、点灯色の変更、輝度、点滅、点滅頻度、のいずれかの1つ、若しくは、複数として、設定されており、容易に、モード差を把握しやすい。なお、既述のモード差は、後述すするように、点灯部に配置した複数点灯箇所の点灯数の変更を、採用してもよい。
【0057】
また、実施形態では、点灯部37(LF,LB,RF,RB)は、案内モードM1での点灯後、把持検知センサ35(L,R)からの把持検知の信号が制御部50に入力されると、制御部50に制御されて、待機モードM0、案内モードM1、及び、注意喚起モードM2と異なる点灯態様の把持確認モードM3(図5のC参照)で、点灯するように(実施形態では、案内モードM1の橙色や注意喚起モードM2の赤色と異なる緑色で点灯するように)、制御部50に制御されることから、運転者は、目視により、把持を確認することができる。
【0058】
なお、実施形態では、点灯部37(LF,LB,RF,RB)は、案内モードM1での点灯後、把持検知センサ35からの把持検知の信号が制御部50に入力されると、制御部50に制御されて、待機モードM0に移行するように(図7のA,G参照)、制御されており、このように構成してもよい。
【0059】
さらに、実施形態では、各点灯部37(LF,LB,RF,RB)は、それぞれ、隣接する把持部22(L,R)から各点灯部37(LF,LB,RF,RB)の配設方向(略前後方向)に沿って延びる帯状の発光部41として、発光体42と、発光体42の光を発光部41の表面側に導き、出射光を拡散させて均一に光らせる導光体43と、を備えて、環状部18の周方向に略沿った略長方形状として、配設されている(図1,3参照)。詳しくは、導光体43の出光面43cが、各点灯部37(LF,LB,RF,RB)の配設方向(略前後方向)に沿って帯状に延びており、発光部41の発光面41aが、出光面43cと同様な略長方形状として、発光する状態となる。
【0060】
そのため、各点灯部37(LF,LB,RF,RB)が、点灯時、前後方向に長く帯状に延びて光ることから、点灯状態を容易に目視できる。
【0061】
なお、点灯部として、図9,10に示すハンドル10Aのように、各点灯部37Aが、それぞれ、点光源からなる発光部41Aを、点状に、少なくとも一つ配設させて構成されていてもよい。発光部41Aは、略正方形状の発光基板40Aの表面側に、点光源LEDからなる発光体42Aを、光を拡散可能なカバー(レンズ)45で覆って、構成されている。各点灯部37Aの発光体42Aは、制御部50の制御により、橙色、緑色、赤色、に点灯可能であり、さらに、それらの点滅状態として点灯することも可能としている。すなわち、各点灯部37Aは、既述の点灯部37と同様な待機モードM0、案内モードM1、注意喚起モードM2、把持確認モードM3として、点灯可能としている。そして、各点灯部37Aは、樹脂製のケース38に発光部41Aが支持され、発光部41Aの上面側を略円形状の透光性を有した半透明のカバー(レンズ)39Aで覆われて構成されて、表示エリア20の上面側に、配設されている。発光部41Aの発光面41aは、カバー39Aの外形形状と同様な円形状とした点状として、発光することとなる。
【0062】
また、点灯部としては、図11,12に示すハンドル10B,10Cの点灯部37B,37Cのように、三角形状の発光部41B,41Cの発光面41aとしてもよい。これらの点灯部37B,37Cは、ハンドル10Aと同様に、点光源LEDからなる発光体から構成されて、点光源LEDの図示しない発光体を、所定のレンズで覆い、さらに、その上面側を三角状の透光性を有した半透明のカバー39B,39Cで覆って構成されている。そのため、点灯時には、カバー39B,39Cと同形状の三角形状の発光面41aとして、各点灯部37B,37Cが点灯することとなる。
【0063】
なお、各点灯部が、点光源からなる発光部を配設させて構成される場合、図11,12に示すようなハンドル10B,10Cの点灯部37B,37Cのように、隣接する把持部22(L,R)に向かって先細り状の角部41bを有した発光面41aを備えて構成されていれば、点灯時の発光面41aの先細りの角部41bの向きが、把持部22L,22R側に向き、矢印のように、点灯部37B,37Cが把持部22L,22Rを指す状態となることから、視覚的に、一層、把持部22L,22Rを注目させ易くなって、把持し易くなる。
【0064】
さらに、ハンドルの外形形状としては、図1,9,11に示すハンドル10,10A,10Bのように、円環状の環状部18の左右の一部に、把持部22L,22Rを配設させるほか、図12に示すハンドル10Cのように、把持部22(L,R)の前後両端付近が、連結部16LF,16LBと、連結部16RF,16RBとを利用して、中央部12と連結されるような長方形状の操舵部14Cを設けた形状としてもよい。
【0065】
さらにまた、各点灯部が、点光源からなる発光部を配設させて構成される場合、図13,14に示すハンドル10Dのように、各点灯部37Dが、複数(例えば3個)の発光部41D(1,2,3)を、隣接する把持部22(L,R)に接近するように、並設させて構成されて、点灯時、隣接する把持部22L,22Rに向かって、離隔側の発光部41Dから順次点灯させるようにしてもよい。すなわち、点灯当初には、図13のA,Bに示すように、離隔側の発光部41D1が点灯し、ついで、図14のAに示すよう、発光部41D1の点灯を維持した状態で、発光部41D2が点灯し、その後、図14のBに示すように、発光部41D3が点灯して、全ての発光部41D(1,2,3)が点灯する。このような構成では、点灯モードのモード差として、点灯部37(LF,LB,RF,RB)の点灯の有無、点灯色の変更、輝度、点滅、点滅頻度、とは別に、複数点灯箇所の点灯数を変更させて、光が流れるように、点灯部37Dを点灯させることができて、モード差の種類を増やすことができる。なお、点灯部37の各発光部41D1,41D2,42D3には、それぞれ、点光源からなる発光体(LED)42Dが配設されている。
【0066】
さらに、発光部に配設する導光体としては、図15に示すハンドル10Eの点灯部37Eのように、1つの発光体42Eに対して、ハンドル10Eの操舵部14に沿うように長く延びた導光体43Eを組み付け、さらに、ケース38Eを利用して、カバー(レンズ)39Eで覆いつつ、環状部18に配設させて(図15,16参照)、発光部41Eの発光面41aを環状部18に沿って長く配設するように構成してもよい。なお、この発光部41Eでは、点光源とした発光体42Eの光が、操舵部14の環状部18に沿って長く配設された導光体43Eにより、環状部18に沿って長く配設された発光面41aに導かれ、拡散されて均一に光る状態となる。
【符号の説明】
【0067】
10,10A,10B,10C,10D,10E…ハンドル、12…中央部、14,14C…操舵部、22,22C(L,R)…把持部、25…芯材、29…外縁芯材部、31…被覆層、33…表皮層、35(L,R)…把持検知センサ、37,37A,37B,37C,37D,37E(LF,LR,RF,RB)…点灯部、41,41A,41B,41C、41D(1,2,3),41E…発光部、41a…発光面、41b…角部、42,42A,42D,42E…発光体、43…導光体、43a…入射面、43b…反射面、43c…出光面、50…制御部、C…操舵回転軸、
M0…待機モード、M1…案内モード、M2…注意喚起モード、M21…(緊急)注意喚起モード、M22…(強緊急)注意喚起モード、M23…(停車警告)注意喚起モード、M3…把持確認モード、H(L,R)…(運転者の)手。
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