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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153063
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/233 20060101AFI20221004BHJP
   B60R 21/203 20060101ALI20221004BHJP
   B60R 21/261 20110101ALI20221004BHJP
【FI】
B60R21/233
B60R21/203
B60R21/261
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056096
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】石井 力
(72)【発明者】
【氏名】河村 功士
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA07
3D054AA13
3D054BB01
3D054CC04
3D054CC05
3D054DD09
3D054FF16
(57)【要約】
【課題】乗員が車体側部材のエアバッグ収納部位周縁に接近していても、膨張するエアバッグにより、乗員を保護可能なエアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】エアバッグ29が、流入用開口34と取付部35とを共用して、膨張完了時の外周壁30を構成するアウタバッグ31と、アウタバッグの内側で膨張するように配設されるとともに、アウタバッグへの膨張用ガスGを供給可能な複数の供給口68,71を有するインナバッグ65と、を備える。インナバッグ65は、下側壁部70に下側供給口71を備える。ガス案内テザー73が、下側供給口から供給される膨張用ガスGを、アウタバッグの内周面における車体側壁部32側に案内可能として、流入用開口を中心とする放射方向に沿うように、下側供給口の外縁71b側付近と車体側壁部32とを連結して、配設されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動時、膨張用ガスを流入させて、車体側部材に配設された収納部位から突出し、乗員を受止可能に、前記車体側部材における前記収納部位の周縁に支持されて膨張を完了させるエアバッグを備え、
前記エアバッグの膨張完了時の外周壁が、乗員を受止可能な乗員側壁部と、該乗員側壁部の外周縁に対して外周縁を接続させて、前記収納部位の周縁の前記車体側部材に支持される車体側壁部と、を備えて構成されるとともに、
前記車体側壁部の中央付近に、膨張用ガスを流入させるために開口された流入用開口と、該流入用開口の周縁に配置されて前記収納部位側に固定される取付部と、を配設させて構成されて、
前記エアバッグが、前記流入用開口と前記取付部とを共用して、膨張完了時の前記外周壁を構成するアウタバッグと、前記アウタバッグの内側で膨張するように配設されるとともに、前記アウタバッグへの膨張用ガスを供給可能な複数の供給口を有するインナバッグと、を備えて構成され、
前記インナバッグが、前記アウタバッグより先に膨張を完了させ、前記アウタバッグが、前記供給口から供給される膨張用ガスによって、膨張する構成としているエアバッグ装置であって、
前記インナバッグの膨張完了時の外周壁が、
前記アウタバッグの前記乗員側壁部と対向する上側壁部と、
該上側壁部の外周縁に対して外周縁を接続させて、前記車体側壁部と対向し、かつ、前記流入用開口と前記取付部とを配設させてなる下側壁部と、
を備えて構成され、
複数の前記供給口の少なくとも1つが、
前記下側壁部に配設される下側供給口として配設されるとともに、
前記下側供給口から供給される膨張用ガスを、前記アウタバッグの内周面における前記車体側壁部側に案内可能として、前記流入用開口を中心とする放射方向に沿うように、前記下側供給口の外縁側付近と前記車体側壁部とを連結するガス案内テザー、が配設されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記ガス案内テザーが、前記車体側壁部との連結部位を、前記車体側壁部と前記乗員側壁部との外周縁相互の接続部位に、連結させて配設されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記下側供給口が、前記インナバッグの後端部側に配設され、
前記インナバッグの前記供給口が、前記下側供給口と、前記上側壁部における前記下側供給口より前方側の左右両側に配設される上側供給口と、から構成され、
前記下側供給口が、開口時の開口面積を、開口時の前記上側供給口の合計の開口面積より、広くして、配設されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記インナバッグの前部側の左右両側に、前記インナバッグの外周縁付近から外方に延びて前記アウタバッグと連結されるずれ防止テザーが、配設されていることを特徴とする請求項3に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記エアバッグが、
ステアリングホイールにおける操舵時に把持する操舵部の中央付近に位置するボス部を、収納部位として、配設されるとともに、
膨張完了時の前記アウタバッグの前記車体側壁部を、前記操舵部における後下がりに傾斜した上面側を支持面として、支持させる構成として、
運転席用としていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動時に乗員を保護可能に膨張するエアバッグが、膨張完了時の外周壁を構成するアウタバッグと、アウタバッグの内側で膨張するように配設されるとともに、アウタバッグへの膨張用ガスを供給可能な供給口を有するインナバッグと、を備えて構成されるエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のエアバッグ装置、例えば、運転席用エアバッグ装置では、エアバッグが、ステアリングホイールにおける操舵時に把持する略円環状のリング部(操舵部)の中央付近に位置するボス部を収納部位として、折り畳まれて収納されていた(例えば、特許文献1,2参照)。エアバッグの膨張完了時の外周壁は、乗員としての運転者を受止可能な乗員側壁部(運転者側壁部)と、乗員側壁部の外周縁に対して外周縁を接続させて、リング部における後下がりに傾斜した上面側のリング面(支持面)に支持される車体側壁部と、を備えて構成されるとともに、車体側壁部の中央付近に、膨張用ガスを流入させるために開口された流入用開口と、流入用開口の周縁に配置されてボス部側に固定される取付部と、を配設させて構成されていた。エアバッグは、流入用開口と取付部とを共用して、膨張完了時の外周壁を構成するアウタバッグと、アウタバッグの内側で膨張するように配設されるとともに、アウタバッグへの膨張用ガスを供給可能な供給口を有するインナバッグと、を備えて構成されていた。このようなエアバッグでは、アウタバッグの浮き上がりを防止するように、膨張を完了させたインナバッグにより、アウタバッグをリング面に素早く押し付けたり(特許文献1参照)、あるいは、リング面での支持部位の面積の狭いアウタバッグを、膨張を完了させて内圧を維持したインナバッグにより、支持できるように構成されていた(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-6598号公報
【特許文献2】特開2018-122798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、乗員としての運転者が、ステアリングホイールにおけるエアバッグの収納部位の周縁、すなわち、ボス部周縁のリング部、に接近して着座している場合、作動時、アウタバッグの後端側が、接近している運転者と、車体側部材としてのステアリングホイールのリング部との間、すなわち、収納部位に接近している乗員と、収納部位の周縁の車体側部材と、の間、に侵入し難くなってしまう。そのため、従来のエアバッグ装置では、膨張時のアウタバッグの端部側を、車体側部材と車体側部材に接近している乗員との間への侵入量を大きくして、接近している乗員を円滑に保護する点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、作動時、乗員が車体側部材における収納部位の周縁に接近していても、膨張するエアバッグにより、好適に乗員を保護可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグ装置では、作動時、膨張用ガスを流入させて、車体側部材に配設された収納部位から突出し、乗員を受止可能に、前記車体側部材における前記収納部位の周縁に支持されて膨張を完了させるエアバッグを備え、
前記エアバッグの膨張完了時の外周壁が、乗員を受止可能な乗員側壁部と、該乗員側壁部の外周縁に対して外周縁を接続させて、前記収納部位の周縁の前記車体側部材に支持される車体側壁部と、を備えて構成されるとともに、
前記車体側壁部の中央付近に、膨張用ガスを流入させるために開口された流入用開口と、該流入用開口の周縁に配置されて前記収納部位側に固定される取付部と、を配設させて構成されて、
前記エアバッグが、前記流入用開口と前記取付部とを共用して、膨張完了時の前記外周壁を構成するアウタバッグと、前記アウタバッグの内側で膨張するように配設されるとともに、前記アウタバッグへの膨張用ガスを供給可能な複数の供給口を有するインナバッグと、を備えて構成され、
前記インナバッグが、前記アウタバッグより先に膨張を完了させ、前記アウタバッグが、前記供給口から供給される膨張用ガスによって、膨張する構成としているエアバッグ装置であって、
前記インナバッグの膨張完了時の外周壁が、
前記アウタバッグの前記乗員側壁部と対向する上側壁部と、
該上側壁部の外周縁に対して外周縁を接続させて、前記車体側壁部と対向し、かつ、前記流入用開口と前記取付部とを配設させてなる下側壁部と、
を備えて構成され、
複数の前記供給口の少なくとも1つが、
前記下側壁部に配設される下側供給口として配設されるとともに、
前記下側供給口から供給される膨張用ガスを、前記アウタバッグの内周面における前記車体側壁部側に案内可能として、前記流入用開口を中心とする放射方向に沿うように、前記下側供給口の外縁側付近と前記車体側壁部とを連結するガス案内テザー、が配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置では、作動時、インナバッグ内に膨張用ガスが流入して、インナバッグが膨張するとともに、供給口からアウタバッグへ膨張用ガスが供給される。その際、外縁側付近にガス案内テザーを配設させた下側供給口付近では、下側供給口から流出する膨張用ガスが、ガス案内テザーに案内されて、アウタバッグ内の車体側壁部に向かう。すなわち、ガス案内テザーは、インナバッグの流入用開口を中心とする放射方向に沿うように、下側供給口の外縁側付近とアウタバッグの車体側壁部とを連結して配設されている。そのため、下側供給口から流出する膨張用ガスが、流入用開口から下側供給口の配置位置とを結ぶ放射方向に沿うように、下側供給口から流出しようとしても、下側供給口の外縁側付近から先端部側を車体側壁部に連結されたガス案内テザーに当り、ガス案内テザーにより案内されて、アウタバッグの端部を収納部位の周縁の車体側部材に押し付けるように、流れる状態となる。換言すれば、下側供給口とガス案内テザーとを配設させる流入用開口からの放射方向に向かう方向の車体側壁部の外周縁の部位を、素早く、乗員と車体側部材との間に侵入させる部位と設定して、エアバッグ装置を配設すれば、エアバッグの膨張初期に、その車体側壁部の外周縁の部位が、膨張用ガスにより、車体側部材に圧接される状態として、アウタバッグが膨張する。そのため、作動時に乗員と接近し易いエリア側に、インナバッグの下側供給口とガス案内テザーとを配設させておけば、接近している乗員と車体側部材との間に、円滑に、アウタバッグの端部を侵入させて膨張させることができて、乗員を保護することが可能となる。なお、インナバッグの下側供給口から流出する膨張用ガスは、ガス案内テザーに当たらずに、直接、車体側壁部に当たって、アウタバッグの端部を収納部位の周縁の車体側部材に押し付けるように、流れるものもあり、その膨張用ガスの流れでも、接近している乗員と車体側部材との間に、円滑に、アウタバッグの端部を侵入させて膨張させることができるが、ガス案内テザーがあれば、アウタバッグの端部を収納部位の周縁の車体側部材に押し付ける作用を、より効果的に助長することができる。
【0008】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、作動時、乗員が車体側部材における収納部位の周縁に接近していても、膨張するエアバッグにより、好適に乗員を保護することができる。
【0009】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、前記ガス案内テザーは、前記車体側壁部との連結部位を、前記車体側壁部と前記乗員側壁部との外周縁相互の接続部位に、連結させて配設されていることが望ましい。
【0010】
このような構成では、ガス案内テザーのアウタバッグ側の先端部が、車体側壁部と乗員側壁部との外周縁相互の接続部位に、連結される構成であり、インナバッグの下側壁部に開口された下側供給口から流出する膨張用ガスを、乗員側壁部側で無く、的確に、車体側壁部側に向けて、案内することができる。また、ガス案内テザーのアウタバッグ側の先端部を、車体側壁部と乗員側壁部との外周縁相互の接続部位に連結させており、縫合により連結するような場合、車体側壁部の単体の部位に連結させる場合に比べて、ガス漏れを防止して、ガス案内テザーを車体側壁部側に連結させることができる。
【0011】
また、本発明に係るエアバッグ装置では、前記下側供給口が、前記インナバッグの後端部側に配設され、
前記インナバッグの前記供給口が、前記下側供給口と、前記上側壁部における前記下側供給口より前方側の左右両側に配設される上側供給口と、から構成され、
前記下側供給口が、開口時の開口面積を、開口時の前記上側供給口の合計の開口面積より、広くして、配設されていることが望ましい。
【0012】
このような構成では、インナバッグの膨張時、開口面積の広い下側供給口から、アウタバッグの車体側壁部側に膨張用ガスを供給することから、その膨張用ガスを吐出する反力により、インナバッグの上側壁部が、特に、後部側が、上方へ移動することとなり、その挙動は、作動時に、収納部位の後側周縁に対して接近するように前方移動している乗員を、後方へ押圧する作用を生じさせることから、的確に、乗員を車体側部材から離すように後方へ押すことができる。さらに、下側供給口は、開口面積を、左右両側の上側供給口の合計の開口面積より、大きくしており、迅速に膨張用ガスを流すことができて、インナバッグの後部側が、素早く、収納部位付近に接近している乗員を収納部位付近から離すように後方へ押すことができ、さらに、アウタバッグの後部側の膨張も促進することができる。また、上側供給口は、下側供給口より前方に位置するインナバッグの上側壁部の左右両側に配設されており、仮に、アウタバッグの前部側に乗員の顎付近がエアバッグに接近していても、その乗員の顎付近に膨張用ガスを直接的に当てることなく、アウタバッグの前部側に、左右両側に分岐させつつ、膨張用ガスを供給できて、接近していた乗員の顎付近を、アウタバッグにより、収納部位付近から離隔させるように押すことができ、乗員の頭部付近と車体側部材との間に、膨らんだアウタバッグを介在させることができる。さらに、上側供給口は、下側供給口を設けた下側壁部と、上下を逆とした上側壁部に開口されており、インナバッグに作用する反力の方向を、下側供給口側と逆方向としているため、上側壁部自体を上方へ浮き上がらせるように変形させること無く、安定した開口面を維持して、膨張用ガスを上向きとしてアウタバッグ側へ供給することができる。その結果、インナバッグの下側供給口と上側供給口とから供給される膨張用ガスにより、アウタバッグの全体が、バランスよく、膨張を完了させて、乗員を受け止めることができる。
【0013】
この場合、前記インナバッグの前部側の左右両側に、前記インナバッグの外周縁付近から外方に延びて前記アウタバッグと連結されるずれ防止テザーが、配設されていてもよい。
【0014】
このような構成では、左右のずれ防止テザーにより、インナバッグの左右の上側供給口の位置ずれを防止できることから、上側供給口から流出する膨張用ガスの流出方向を安定させることができる。また、このような構成では、インナバッグが、左右両側のずれ防止テザーと後側のガス案内テザーとにより、アウタバッグ内において、ずれずに、配置されることから、折り畳み等において、アウタバッグ内でのインナバッグの配置位置を安定させることができる。
【0015】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、前記エアバッグが、ステアリングホイールにおける操舵時に把持する操舵部の中央付近に位置するボス部を、収納部位として、配設されるとともに、膨張完了時の前記アウタバッグの前記車体側壁部を、前記操舵部における後下がりに傾斜した上面側を支持面として、支持させる構成とし、運転席用としていてもよい。
【0016】
このような構成では、作動時、乗員としての運転者が、操舵部の後端側に接近していても、運転者の腹部と操舵部の後端との間の狭い隙間に、アウタバッグの後端部を侵入させて膨張させることができることから、接近している運転者を円滑に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における運転席用のエアバッグ装置を搭載したステアリングホイールの概略平面図である。
図2】実施形態のエアバッグ装置を搭載したステアリングホイールの概略縦断面図であり、図1のII-II部位に対応する。
図3】実施形態のエアバッグ装置のエアバッグを単独で膨張させた状態の概略斜視図である。
図4】実施形態のエアバッグ装置のエアバッグにおけるアウタバッグの構成材料を示す平面図である。
図5】実施形態のエアバッグ装置のエアバッグにおけるインナバッグを示す平面図と底面図であり、併せて断面図を示す。
図6】実施形態のエアバッグ装置のインナバッグ、ガス案内テザー、及び、ずれ防止テザーの構成材料を示す平面図である。
図7】実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグに使用する高さ規制用のテザーを説明する図である。
図8】実施形態のエアバッグの折り準備体を示す底面図と平面図である。
図9】折り準備体の概略断面図であり、図8のIX-IX部位に対応する。
図10】実施形態のエアバッグの折畳完了体を形成するラジアル折りを説明する概略平面図である。
図11】実施形態のエアバッグの折畳完了体を形成するラジアル折りを説明する概略平面図であり、図10の後の工程を示す。
図12】実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図であり、乗員が接近している場合を示す。
図13】実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図であり、図12の後の状態を示す。
図14】実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図であり、乗員が通常位置に着座している場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置10は、図1,2に示すように、車体側部材としてのステアリングホイールWのボス部Bに取付固定される運転席用のエアバッグ装置10である。ステアリングホイールWは、中央に配置されるボス部B、ボス部Bから外方に延びた外周縁側に配置されて、操舵時に把持する把持部としてのリング部R、及び、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S、を有したステアリングホイール本体1と、ボス部Bの上部に配設されるエアバッグ装置10と、を備えて構成されている。ボス部Bは、エアバッグ装置10の後述するエアバッグ29の収納部位となる。
【0019】
なお、本明細書でのエアバッグ装置10、エアバッグ29、ステアリングホイールW等の上下・左右・前後の方向は、特に断らない限り、ステアリングホイールWを車両のステアリングシャフトSSにナットN止めして接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、そのステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の前後方向に略対応する方向としている。
【0020】
実施形態のステアリングホイールWのステアリングホイール本体1は、ボス部Bから延びるスポーク部Sが、左右の前後両側に延びる4本のスポーク部SLF,SLB,SRF,SRBとして、構成され、リング部Rが、ボス部Bの後側で、各スポーク部Sを連結するような平面視として略U字状に、形成されている。
【0021】
また、ステアリングホイール本体1は、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、リング部Rとリング部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層3と、を備えて構成されている。芯金2は、リング部Rに配置されるリング芯金部2a、ボス部Bに配置されてステアリングシャフトSSと接続されるボス芯金部2b、及び、各スポーク部Sに配置されてリング芯金部2aとボス芯金部2bとを連結する図示しないスポーク芯金部、から構成される。
【0022】
さらに、ステアリングホイールWは、ボス部Bの下面側に、ロアカバー5を配設させて構成されている。
【0023】
なお、車両搭載時のステアリングホイールWのリング部Rは、操舵し易いように、前部Rfより後部Rb側を下方に下げており、そのため、エアバッグ29の後述する車体側壁部32を支持する支持面、すなわち、リング部Rの上面側のリング面RP、は、後下がりに傾斜して、斜め上後向きに向いて配設される。
【0024】
エアバッグ装置10は、エアバッグ29を折り畳んだ略円柱状の折畳完了体90(図11参照)と、エアバッグ29に膨張用ガスGを供給するインフレーター15と、折畳完了体90を覆ってボス部Bの上面側に配置される合成樹脂製のエアバッグカバー(パッド)20と、折畳完了体90(エアバッグ29)をステアリングホイールWのボス部Bに搭載するために保持する金属製のバッグホルダ(ケース)11と、を備えて構成されている。バッグホルダ11は、折畳完了体90を取付固定して収納する部位であるとともに、インフレーター15とエアバッグカバー20とを保持する部位でもある。
【0025】
なお、エアバッグ29を折り畳んだ折畳完了体90には、底面側の内部に、エアバッグ29をバッグホルダ11に取付固定するための板金製の四角環状としたリテーナ25が配設されている。そして、エアバッグ29は、リテーナ25を組み付けた状態で、平らに展開する折り準備体85に形成し(図8,10参照)、さらに、折り準備体85から折畳完了体90に折り畳まれて(図10,11参照)、バッグホルダ11に取付固定される。リテーナ25は、四隅にボルト27を下方へ突設させた四角環状として、中央に、インフレーター15の後述する本体部16を挿入させる連通用開口26を配設させている。
【0026】
インフレーター15は、略円柱状の本体部16と、本体部16の外周面側に配設される四角環状のフランジ部17と、を備えて構成されている。本体部16の上部側には、膨張用ガスGを吐出させる複数のガス吐出口16aが配設されている。フランジ部17には、リテーナ25のボルト27を貫通させる図示しない貫通孔が形成されている。
【0027】
エアバッグカバー20は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の合成樹脂製として、ステアリングホイールWの中央付近のボス部Bの上面側に配設されている。エアバッグカバー20は、ボス部Bの内部に折り畳まれて収納された折畳完了体90の上方を覆う天井壁部21と、天井壁部21の下面から略円筒状に延び、略円柱状の折畳完了体90の外周を覆う側壁部22と、を備えて構成されている。
【0028】
天井壁部21には、膨張するエアバッグ29に押されて前後両側に開くドア部21aが、配設されている。各ドア部21aは、周縁に薄肉の破断予定部(図符号省略)を設けて構成されている。
【0029】
エアバッグカバー20の側壁部22は、バッグホルダ11における側壁支持部13に対し、係止されたり、あるいは、リベット23止めされて、連結される。
【0030】
バッグホルダ11は、板金製として、折畳完了体90、インフレーター15、及び、エアバッグカバー20、を保持し、さらに、図示しない連結ブラケットを利用して、エアバッグ装置10をステアリングホイール本体1側に取り付ける板金製の部材として構成されている。バッグホルダ11は、略円環状のベースプレート部12と、ベースプレート部12の外周縁から上下両側に突出する側壁支持部13と、を備えて構成されている。
【0031】
ベースプレート部12の中央には、エアバッグ29の流入用開口34に対応して、インフレーター15の本体部16を下方から挿入可能な略円形の挿入孔12aが、開口し、挿入孔12aの周縁には、リテーナ25の各ボルト27を貫通させる四個の貫通孔12bが形成されている。挿入孔12aの周縁における貫通孔12bを設けた部位は、リテーナ25を利用して、折畳完了体90とインフレーター15とを取り付けるための取付座12cとなる。
【0032】
側壁支持部13には、既述したように、エアバッグカバー20の側壁部22を連結保持するための係止部(図符号省略)とリベット23を挿通させる連結孔(図符号省略)とが、形成されている。
【0033】
エアバッグ29は、膨張完了時、図1,2の二点鎖線や図14のBに示すように、車体側壁部32がリング部Rのリング面RPに支持されるように、リング部Rの前部Rfや後部Rb、さらに、左部Rlや右部Rrを越える外径寸法として、膨張し、さらに、前部29a側の厚さ寸法Tfを、後部29b側の厚さ寸法Tbより、大きくした略円板状(前後方向に長い略長円形板状)の膨張完了形状としている。エアバッグ29の外周壁30は、アウタバッグ31から構成されて、図2,3に示すように、膨張用ガスGを流入させるための流入用開口34を中央付近に設けて、エアバッグ29の膨張完了時にリング部Rのリング面RP側に支持される車体側壁部32と、車体側壁部32の外周縁33に対して外周縁40を連ならせて、流入用開口34の上方を塞いで、車体側壁部32と対向するように配設される乗員側壁部(運転者側壁部)39と、を備えて構成されている。
【0034】
車体側壁部32の円形に開口した流入用開口34の周縁は、バッグホルダ11への取付部35としており、取付部35には、リテーナ25のボルト27を貫通させる4つの貫通孔35aが形成されている(図2~4,8参照)。取付部35は、内側面をリテーナ25の下面側に当接されて、バッグホルダ11の取付座12cに固定される略四角環状の部位としている。また、車体側壁部32には、前部側に、ベントホール37,37(図3,4参照)が配設されている。
【0035】
そして、このエアバッグ29は、流入用開口34と貫通孔35aを有した取付部35とを共用して、膨張完了時の外周壁30を構成するアウタバッグ31と、アウタバッグ31の内側で膨張するように配設されるとともに、アウタバッグ31への膨張用ガスGを供給可能な供給口68(L,R)、71を有するインナバッグ65と、を備えて構成されている。さらに、実施形態の場合、アウタバッグ31内には、膨張完了時の流入用開口34からの離隔距離を規制するための3本のテザー44(F,L,R)が配設されている。また、アウタバッグ31内には、インナバッグ65とアウタバッグ31とを連結するテザー73,75(L,R)が配設されている。テザー73は、後述する下側供給口72から流出する膨張用ガスGを車体側壁部32側への下向きに案内するガス案内テザーであり、テザー75(L,R)は、インナバッグ65のアウタバッグ31内での位置ずれを防止するずれ防止テザーとしている。
【0036】
アウタバッグ31を形成する基布は、図4に示すように、乗員側壁部39を形成する乗員側基布(運転者側基布)60と、車体側壁部32を形成する車体側基布50と、から形成されている。さらに、車体側基布50は、流入用開口34を有した後側基布51と、後側基布51の前縁側の弧部51aaに後縁側の弧部55baを結合させる前側基布55と、から構成されている。これらの基布60,51,55は、後述するインナバッグ65の基布77,81,82やテザー44を形成する基布を含めて、ポリアミドやポリエステル等の合成繊維製のバッグ用基布から形成されている。
【0037】
乗員側基布60は、弓形状の前部60aと、後狭まりの略台形形状の中間部60bと、弓形状の後部60cと、を備えた略長方形状としている。
【0038】
車体側基布50の後側基布51は、弓形状の前部51aと、後狭まりの略台形形状の中間部51bと、弓形状の後部50cと、を備えた略長形形状としている。後側基布51の中間部51b及び後部50cは、乗員側基布60の中間部60b及び後部60cと略同形状としている。
【0039】
車体側基布50の前側基布55は、左右方向の長軸を設けた略楕円形状として、乗員側基布60の前部60aと略同形状の弓形状の前部55aと、後側基布51の前部51aと略同形状の弓形状の後部55bと、を備えて構成されている。なお、前側基布55の前部55aは、膨張完了時のエアバッグ29の外周壁30の状態としては、車体側壁部32の前縁側となり、乗員側基布60の前部60aの外周縁(前縁60aa)と結合(縫合)され、また、前側基布55の後部55bは、後縁55baを車体側基布50の後側基布51における前部51aの外周縁(前縁51aa)と結合(縫合)される。
【0040】
さらに、前側基布55は、後部55bに、ベントホール37,37を開口させている。
【0041】
また、アウタバッグ31内には、膨張完了時の乗員側壁部39の高さを規制する3本のテザー44(F,L,R)が、流入用開口34の周囲に配設されている。テザー44Fは、流入用開口34から前方に延びるように配設され、テザー44L,44Rは、流入用開口34の後方側の左右から放射状に延びるように配設される。各テザー44は、図7に示すように、乗員側壁部39側に連結される3本の上側部45と、車体側壁部32の流入用開口34の周縁の取付基部47から3本の腕部48を延ばす下側部46と、から構成されて、各上側部45と下側部46の対応する各腕部48とを結合させて、形成されている。各上側部45は、上端45a側を、乗員側壁部39側に結合させ、下端45b側を、各腕部48の先端に結合させている。下側部46の取付基部47は、流入用開口34の周縁に縫合されて、流入用開口34から放射状に延びる各腕部48を、各上側部45の下端45bと結合させて、テザー44F,44L,44Rを形成している。そして、前側のテザー44Fが左右のテザー44L,44Rより長く形成されるように、下側部46の各腕部48の長さ寸法が、各テザー44(FL,FR,BL,BR)に対応して、設定されている。
【0042】
なお、エアバッグ29(アウタバッグ31)の膨張完了時の前部29a側では、流入用開口34の前方側に、車体側壁部32の前側基布55を配設させて、乗員側壁部39より、前後方向の膜長が長いことから、厚く膨らみ、後部29b側に長さの短いテザー44L,44Rが配設されて、後部29b側の厚さ寸法Tbが規制されていることと相俟って、リング部Rのリング面RP側での膨張完了時に前部29a側の厚さ寸法Tfが、後部29b側の厚さ寸法Tbより、厚くなり(図14のB参照)、エアバッグ29の膨張完了時、略鉛直面に沿うように配設される乗員側壁部39の受止面41により、運転者D0を受け止めることができる。
【0043】
インナバッグ65は、膨張完了時の外周壁66が、アウタバッグ31の乗員側壁部39と対向する上側壁部67と、上側壁部67の外周縁67aに対して外周縁70aを接続させて、車体側壁部32と対向し、かつ、流入用開口34と貫通孔35aを有した取付部35とを配設させてなる下側壁部70と、を備えて構成されている(図3,5参照)。インナバッグ65は、平らに展開した状態で、上側壁部67と下側壁部70とを同じ外形形状として、前部65a側の左右方向の幅寸法を後部65b側より狭めた前後方向に長い略長方形状としている。
【0044】
下側壁部70の後部70bには、アウタバッグ31側に膨張用ガスGを流す下側供給口71が、配設されている。下側供給口71は、下側壁部70を平らに展開した状態で、前後方向より左右方向の開口幅を大きくする開口形状としている。なお、インナバッグ65が膨張用ガスGを流入させて、下側供給口71からアウタバッグ31に膨張用ガスGを供給する際には、下側供給口71の前後で対向する前縁71aと後縁71bとは、半円弧状に変形して(図5の括弧書き参照)、下側供給口71を、略円形の開口形状として、膨張用ガスGを供給することとなる。すなわち、下側供給口71は、平らに展開した状態での前後方向の開口幅を小さくして左右方向の幅寸法W1を大きくした細長い開口形状から、インナバッグ65の膨張時の左右方向の幅寸法W2と小さくするものの、広い開口面積とする略円形状の開口形状に、変化することとなる。
【0045】
また、上側壁部67の左右両側には、下側供給口71より前方側の位置に、円形に開口した上側供給口68(L,R)が、配設されている。
【0046】
なお、膨張用ガスGを供給する際の開口面積としては、下側供給口71の開口面積(略円形に開口した開口面積)が、開口時の上側供給口68L,68Rの合計の開口面積より、広くして、配設されている。ちなみに、下側供給口71、上側供給口68L,68Rの開口時の面積比としては、約3:1:1としている)。
【0047】
そして、上側壁部67と下側壁部70とは、実施形態の場合、1枚のインナバッグ用基布77から形成されて(図6参照)、インナバッグ用基布77を折目77aを付けて二つ折りして、重ねた上側部78が、上側壁部67を構成し、重ねられた下側部79が、下側壁部70を構成している。インナバッグ65は、インナバッグ用基布77に折目77aを付けて、重ねた上側部78と下側部79との折目77aを除く外周縁78a,79a相互を縫合して形成されている。そして、外周縁78a,79a相互の縫合時、既述のテザー73,75、すなわち、ガス案内テザー73とずれ防止テザー75(L,R)とを形成する案内用基布81とずれ防止用基布82とを、同時に縫合して、インナバッグ65に、ガス案内テザー73とずれ防止テザー75(L,R)とを連結させるように、構成されている。
【0048】
案内用基布81は、図6に示すように、下側供給口71の周縁を補強する補強部81aとガス案内テザー73を形成する腕部82bと、を備えて構成され、補強部81aの前縁81aa側を、下側部79の下側供給口71の周縁に縫合し、そして、下側部79に上側部78を重ねて外周縁78a,79a相互の縫合時、補強部81aを下側部79と上側部78との間に縫合している。そして、ガス案内テザー73を形成する腕部82bは、インナバッグ65の後端部65baから後方に延びるように、配設される。
【0049】
腕部82bからなるガス案内テザー73は、元部73aが、下側供給口71の外縁側となる後縁71b側における下側壁部70の後縁70abに結合された状態となって、元部73aから後方に延びた先端部73cは、実施形態の場合、アウタバッグ31の車体側壁部32と乗員側壁部39との外周縁33,40相互の縫合時の後縁33a,40aに、結合されている。ガス案内テザー73の元部73aと先端部73cとの間の中間部73bは、帯状として、左右方向の幅寸法WSを、下側供給口71から流出する膨張用ガスGを車体側壁部32側に案内できるように、下側供給口71の最少の幅寸法W2から最大の幅寸法W1の範囲内としている。実施形態の場合、中間部73bの幅寸法WSは、下側供給口71の最大の幅寸法W1(約120mm)と同等としている。また、ガス案内テザー73は、インナバッグ65が、アウタバッグ31内に収納されて、平らに展開された際、流入用開口34を中心とする放射方向に沿って後方に延びる方向YDに沿うように、下側供給口71の外縁(後縁)71b側付近からアウタバッグ31の後縁33a側に延びている(図8参照)。
【0050】
ずれ防止用基布82は、流入用開口34の周縁に配置される補強布83を縫合させて、流入用開口34の周縁に縫合される取付基部82aと、取付基部82aから左右両側に延びる腕部82bと、を備えて構成されている。左右の腕部82bは、取付基部82aが、インナバッグ用基布77の折目77a付近に重ねられる。そして、インナバッグ用基布77が、折目77aを付けて、下側部79と上側部78とを重ねて、外周縁79a,78a相互を縫合する際、共に、折目77aで折って、外周縁79a,78a相互の縫合時に共縫いしており、外周縁79a,78aから突出する腕部82bが、ずれ防止テザー75(L,R)を形成している。
【0051】
このずれ防止テザー75(L,R)は、元部75aがインナバッグ65の左右の縁65c,65dの前端に結合された状態となり、元部75aから延びた先端部75bは、アウタバッグ31における前側基布55に連結される後側基布51の前左縁部51abと前右縁部51acに、結合されている。
【0052】
エアバッグ29の製造では、まず、インナバッグ65を製造し、そして、製造したインナバッグ65を、アウタバッグ31の製造時に組み付けて、エアバッグ29を製造する。
【0053】
なお、インナバッグ65の製造は、流入用開口34や供給口68,71を形成していない状態のインナバッグ用基布77に対して、案内用基布81、ずれ防止用基布82、及び、補強布83,84を縫合し、孔開け加工して、流入用開口34や供給口68,71を形成した後、折目77aで折って、重ねた上側部78と下側部79との外周縁78a,79aを相互を縫合すれば、ガス案内テザー73とずれ防止テザー75(L,R)を取り付けたインナバッグ65を形成できる。
【0054】
アウタバッグ31の製造は、流入用開口34や貫通孔35aを設けていない状態の車体側基布50の後側基布51に、補強布42とテザー44の下側部46とを縫合して、流入用開口34と貫通孔35aとを孔開け加工して形成する。また、ベントホール37を設けていない状態の車体側基布50の前側基布55に、ベントホール用の補強布38を縫合して、ベントホール37を孔開け加工して形成する。乗員側基布60には、各テザー44の上側部45の上端45aを縫合する。
【0055】
そして、車体側基布50の内面側に、流入用開口34や貫通孔35aを一致させつつ、インナバッグ65を配置させて、ずれ防止テザー75L,75Rの先端部75bを後側基布51の弧部(前縁)51aaの左右の所定位置に配置しつつ、前側基布55の後縁側の弧部55baと後側基布51の前縁側の弧部51aaとを、先端部75bとを共縫いしつつ、縫合して、車体側基布50を形成する。ついで、車体側基布50と乗員側基布60との外表面側相互を合わせ、インナバッグ65から延びるガス案内テザー73の先端部73cを車体側基布50の後縁51caに配置させ、後側基布51と乗員側基布60との中間部51b,60bと後部51c,60cとの外周縁相互を、先端部73cと共に、縫合し、また、前側基布55の前縁側の弧部55aaと、乗員側基布60の前縁側の弧部60aaとを縫合すれば、アウタバッグ31を形成することができるとともに、テザー73,75を介在させて、インナバッグ65をアウタバッグ31に連結させることができる。その後、縫代が外表面側に露出しないように、流入用開口34を利用して、車体側基布50にインナバッグ65を重ねた状態で、アウタバッグ31を反転させ、ついで、流入用開口34を利用して、テザー44の各上側部45の下端45bと下側部46の各腕部48とを引き出して縫合により結合し、ついで、それぞれの結合部位をアウタバッグ31内に収納すれば、エアバッグ29の製造を完了させることができる。
【0056】
そして、このように製造したエアバッグ29は、リテーナ25を利用して、流入用開口34や貫通孔35aを一致させて、アウタバッグ31内にインナバッグ65を配設した状態として、折畳完了体90を形成するように、エアバッグ29を平らに展開させた折り準備体85を形成する(図8,9参照)。この折り準備体85は、車体側壁部32の前側基布55の領域に左右方向の折目87を付けて、インナバッグ65の上方に重ねる折込部86を設けて形成されている。
【0057】
そして、折畳完了体90に折り畳む際には、図10,11に示すように、折り準備体85をラジアル折りする。ラジアル折りは、折り準備体85における流入用開口34から外周縁85a側に延びる複数個所(実施形態では流入用開口34から放射状に配置された16箇所)を、流入用開口34側に接近させて、折り準備体85における流入用開口34から外周縁85a側に延びる略円環状の周縁部位89を、流入用開口34の上方側に集合させる折り畳み方である。
【0058】
ラジアル折りに使用するバッグ折り機95は、図10,11に示すように、底側基板96の周囲に、底側基板96の中央側に移動する8つずつの2種類の押し込み具98,99を配設させて構成されている。底側基板96の上面側の中央96aには、折り準備体85から突出したリテーナ25の各ボルト27を嵌めるセット部97が、配設されている。
【0059】
押し込み具98は、折り準備体85の外周縁85aにおける8つの箇所85bを把持でき、かつ、中央96a側に押し込むことができるように、構成されている(図11参照)。さらに、押し込み具98のセット部97側には、折畳完了体90の略円柱状の外周面における円弧状の曲面に対応する型面98aが、形成されている。押し込み具99は、セット部97側を先細りとした略三角板形状としている。
【0060】
なお、底側基板96の上方には、押し込み具98,99の押し込み時に、折り準備体85の高さ寸法を規制して、略円柱状の折畳完了体90を形成できるように、図示しない天井側基板が配置されることとなる。
【0061】
そして、バッグ折り機95を使用する際には、折り準備体85の各ボルト27をセット部97にセットし、ついで、底側基板96のセット部97から、所定高さ(折畳完了体90の高さ寸法と同等)となる位置に、図示しない天井側基板を配置させ、図10に示すように、各押し込み具98,99を、セット部97側に移動させるとともに、折り準備体85の外周縁85aの所定の8つの箇所85bを、押し込み具98に把持させる。その後、図11のAに示すように、まず、各押し込み具99をセット部97側(流入用開口34側)に移動させて、折り準備体85における押し込み具98のセット部97側の領域を残して、折り準備体85の外周縁85aの8つの押し込み箇所85cを、セット部97側に押し込む。その後、各押し込み具98における外周縁85aの把持箇所85bの把持を解除し、各押し込み具98をセット部97側に移動させて、8つの箇所85bを、図11のBに示すように、セット部97側に押し込めば、略円柱状の折畳完了体90を形成できる。
【0062】
なお、このようにラジアル折りした折畳完了体90は、折畳形状を維持できるように、まず、昇温した押し型で加熱圧縮成形し、さらに、常温とした押し型で冷却圧縮成形して、折り崩れを防止する。
【0063】
折り崩れを防止する処理を行なった後には、図示しないラッピング材により折畳完了体90を包み、エアバッグ装置10を組み立てる。この組立時には、折畳完了体90をエアバッグカバー20の側壁部22の内周面側に嵌め、折畳完了体90から延びる各ボルト27を、バッグホルダ11の貫通孔12bに、貫通させるとともに、エアバッグカバー20の側壁部22を、バッグホルダ11に係止させ、さらに、リベット23を利用して、バッグホルダ11の側壁支持部13とエアバッグカバー20の側壁部22とを連結する。その後、バッグホルダ11の挿入孔12a内へ、下方からインフレーター15の本体部16を挿入させつつ、バッグホルダ11から突出している各ボルト27を、インフレーター15のフランジ部17に貫通させて、各ボルト27に図示しないナットを締結させれば、エアバッグカバー20を取付済みのバッグホルダ11に、折畳完了体90とインフレーター15とが取付固定されて、エアバッグ装置10が組み立てられる。
【0064】
エアバッグ装置10の車両への搭載は、ステアリングシャフトSSへ組付済みのステアリングホイール本体1に、バッグホルダ11から延びる図示しない取付ブラケットを締結すれば、エアバッグ装置10をステアリングホイール本体1に取り付けることができ、ステアリングホイールWの組立が完了するとともに、ステアリングホイールWを、エアバッグ装置10とともに、車両へ搭載することができる。
【0065】
なお、エアバッグ装置10のステアリングホイール本体1への取り付け時には、インフレーター15に、作動信号入力用の図示しないリード線を結線することとなる。
【0066】
車両への搭載後、インフレーター15に作動信号が入力されれば、インフレーター15は、膨張用ガスGをガス吐出口16aから吐出させることから、折り畳まれたエアバッグ29は、膨張用ガスGを流入させて膨張し、図示しないラッピング材を破断させ、さらに、エアバッグカバー20の天井壁部21のドア部21aを押し開き、ドア部21aの開いた開口から突出して、ボス部Bの上方からリング部Rの上面を覆うように、展開膨張することととなる(図1,2の二点鎖線参照)。
【0067】
その際、実施形態のエアバッグ装置10では、まず、図12のA,Bに示すように、インフレーター15のガス吐出口16aから吐出される膨張用ガスGにより(図2参照)、インナバッグ65が膨張するとともに、供給口68(L,R),71からアウタバッグ31へ膨張用ガスGが供給される。この時、外縁(後縁71b)側付近にガス案内テザー73を配設させた下側供給口71付近では、下側供給口71から流出する膨張用ガスG1が、ガス案内テザー73に案内されて、アウタバッグ31内の車体側壁部32に向かう。すなわち、ガス案内テザー73は、インナバッグ65の流入用開口34を中心とする放射方向YDに沿うように、下側供給口71の外縁となる後縁71b側付近と車体側壁部32の後縁33a側とを連結して配設されている。そのため、下側供給口71から流出する膨張用ガスG2が、流入用開口34から下側供給口71の配置位置とを結ぶ放射方向YDに沿って後方に向かうように、下側供給口71から流出しようとしても、下側供給口71の後縁71b側付近から先端部73c側(図8,9参照)を車体側壁部32に連結されたガス案内テザー73に当り、ガス案内テザー73により案内されて、アウタバッグ31の後端部31baを収納部位としてのボス部Bの周縁の車体側部材W側、すなわち、リング部Rにおける後部Rbの後端Rbe付近に押し付けるように、流れる状態となる。そのため、乗員D1がリング部Rの後端Rbeに接近していても、接近している乗員D1と車体側部材としてのステアリングホイールWのリング部Rにおける後端Rbeとの間に、円滑に、アウタバッグ31の後端部31baを侵入させて膨張させることができて、乗員D1を保護することが可能となる。
【0068】
なお、インナバッグ65の下側供給口71から流出する膨張用ガスGは、ガス案内テザー73に当たらずに、直接、車体側壁部32に当たって、アウタバッグ31の後端部31baを収納部位の周縁の車体側部材であるリング部Rにおける後端Rbeに押し付けるように、流れる膨張用ガスG2もあり、その膨張用ガスG2の流れでも、接近している乗員D1とリング部Rの後端Rbeとの間に、円滑に、アウタバッグ31の後端部31baを侵入させて膨張させることができるが、ガス案内テザー73があれば、アウタバッグ31の後端部31baを収納部位(ボス部B)の周縁の車体側部材(ステアリングホイールW)のリング部Rの後端Rbeに押し付ける作用を、より効果的に助長することができる。
【0069】
その後さらに、図13のA,Bに示すように、アウタバッグ31が、インナバッグ65の供給口68,71からの膨張用ガスGにより膨張し、リング部Rの後端Rbe側を含めたリング面RPを覆うように、膨張を完了できて、乗員D1は、リング部Rに支持されて膨張を完了させたアウタバッグ31により、保護される。
【0070】
したがって、実施形態のエアバッグ装置10では、作動時、乗員D1が車体側部材としてのステアリングホイールWにおける収納部位としてのボス部Bの周縁のリング部Rの後端Rbeに接近していても、膨張するエアバッグ29により、好適に乗員D1を保護することができる。
【0071】
なお、通常位置の乗員D0の場合は、図14のA,Bに示すように、エアバッグ装置10の作動時、インナバッグ65が膨張し、供給口68,71から膨張用ガスGの供給を受けて、アウタバッグ31が膨張を完了させることから、リング面RPに支持されたアウタバッグ31における乗員側壁部39の受止面41によって、円滑に、乗員D0が受止められて保護される。
【0072】
また、実施形態のエアバッグ装置10では、ガス案内テザー73が、車体側壁部32との連結部位となる先端部73cを、車体側壁部32と乗員側壁部39との外周縁33,40相互の接続部位に、連結させて配設されている。
【0073】
そのため、実施形態では、ガス案内テザー73のアウタバッグ31側の先端部73cが、車体側壁部32と乗員側壁部39との外周縁33,40相互の接続部位に、連結される構成であり、インナバッグ65の下側壁部70に開口された下側供給口71から流出する膨張用ガスGを、乗員側壁部39側で無く、的確に、車体側壁部32側に向けて、案内することができる。また、ガス案内テザー73のアウタバッグ31側の先端部73cを、車体側壁部32と乗員側壁部39との外周縁33,40相互の接続部位に連結させており、縫合により連結するような場合、車体側壁部32の単体の部位に連結させる場合に比べて、ガス漏れを防止して、ガス案内テザー73を車体側壁部32側に連結させることができる。
【0074】
また、実施形態では、下側供給口71が、インナバッグ65の後端部70ba側に配設され(図5参照)、インナバッグ65の供給口が、下側供給口71と、上側壁部67における下側供給口71より前方側の左右両側に配設される上側供給口68L,68Rと、から構成されている。そして、下側供給口71が、開口時の開口面積を、開口時の上側供給口68L,68Rの合計の開口面積より、広くして、配設されている。
【0075】
そのため、実施形態では、インナバッグ65の膨張時、開口面積の広い下側供給口71から、アウタバッグ31の車体側壁部32側に膨張用ガスGを供給することから、その膨張用ガスGを吐出する反力により、インナバッグ65の上側壁部67が、特に、後部67b側が、上方へ移動することとなり、その挙動は、作動時に、収納部位としてのボス部Bの後側周縁のリング部Rの後端Rbeに対して接近するように前方移動している乗員D1を、後方へ押圧する作用を生じさせることから(図12のBの矢印参照)、的確に、乗員D1を車体側部材(ステアリングホイールWのリング部Rから離すように後方へ押すことができて、アウタバッグ31の後端部31ba側を、リング部Rと乗員D1との間に侵入させ易い。さらに、下側供給口71は、開口面積を、左右両側の上側供給口68L,68Rの合計の開口面積より、大きくしており、迅速に膨張用ガスGを流すことができて、インナバッグ65の後部65b側が、素早く、リング部Rの後端Rbe付近に接近している乗員Dをボス部B付近から離すように後方へ押すことができ、さらに、アウタバッグ31の後部31b側の膨張も促進することができる。また、上側供給口68L,68Rは、下側供給口71より前方に位置するインナバッグ65の上側壁部67の左右両側に配設されており、図12のAの二点鎖線に示すように、アウタバッグ31の前部31a側に乗員D2の顎DJ付近がエアバッグ29に接近していても、その乗員D2の顎DJ付近に膨張用ガスGを直接的に当てることなく、アウタバッグ31の前部31a側に、左右両側に分岐させつつ、膨張用ガスGを供給できて、接近していた乗員D2の顎DJ付近を、アウタバッグ31により、ボス部B付近から離隔させるように押すことができ、乗員D2の頭部DH付近とステアリングホイールWとの間に、膨らんだアウタバッグ31を介在させることができる。さらに、上側供給口68L,68Rは、下側供給口71を設けた下側壁部70と、上下を逆とした上側壁部67に開口されており、インナバッグ65に作用する反力の方向を、下側供給口71側と逆方向としているため、上側壁部67自体を上方へ浮き上がらせるように変形させること無く、安定した開口面を維持して、膨張用ガスGを上向きとしてアウタバッグ31側へ供給することができる。その結果、インナバッグ65の下側供給口71と上側供給口68L,68Rとから供給される膨張用ガスGにより、アウタバッグ31の全体が、バランスよく、膨張を完了させて、乗員D0,D1,D2を受け止めることができる。
【0076】
さらに、実施形態では、インナバッグ65の前部65a側の左右両側に、インナバッグ65の外周縁67a付近から外方に延びてアウタバッグ31と連結されるずれ防止テザー75L,75Rが、配設されている。
【0077】
そのため、実施形態では、左右のずれ防止テザー75L,75Rにより、インナバッグ65の左右の上側供給口68L,68Rの位置ずれを防止できることから、上側供給口68L,68Rから流出する膨張用ガスGの流出方向を安定させることができる。また、このような構成では、インナバッグ65が、左右両側のずれ防止テザー75L,75Rと後側のガス案内テザー73とにより、アウタバッグ31内において、ずれずに、配置されることから、折り畳み等において、アウタバッグ31内でのインナバッグ65の配置位置を安定させることができる。
【0078】
さらに、実施形態のエアバッグ装置10では、エアバッグ29が、ステアリングホイールWにおける操舵時に把持する操舵部(リング部)Rの中央付近に位置するボス部Bを、収納部位として、配設されるとともに、膨張完了時のアウタバッグ31の車体側壁部32を、リング部Rにおける後下がりに傾斜した上面側のリング面RPを支持面として、支持させる構成として、運転席用としている。
【0079】
そのため、実施形態では、作動時、乗員D1としての運転者が、操舵部Rの後端Rbe側に接近していても、運転者D1の腹部DSと操舵部Rの後端Rbeとの間の狭い隙間に、アウタバッグ31の後端部31baを侵入させて膨張させることができることから、接近している運転者D1を円滑に保護できる。
【0080】
また、実施形態のエアバッグ装置10では、エアバッグ29の膨張完了形状が、前部29a側の厚さ寸法Tfを、後部29b側の厚さ寸法Tbより、大きくするように、構成されている(図14のB参照)。
【0081】
そのため、実施形態では、後下がりに傾斜したリング部Rのリング面RP側で膨張完了時のエアバッグ29(アウタバッグ31)が支持されると、エアバッグ29の乗員側壁部39を、鉛直方向に沿わせるように配置させることができて、上下方向に沿った略鉛直面となる受止面41において、前方移動する運転者D0の頭部DHから腹部DSにかけての略全面を、均等に受け止めることが可能となり、部分的な反力を運転者D0に与えずに運転者D0を受け止めて保護できることから、前方移動する運転者D0の拘束性能を向上させることができる。
【0082】
なお、実施形態の場合、厚さ寸法Tf,Tbの差は、前側基布55を設けたり、あるいは、テザー44を配設させて、設定しているが、外周壁30の形状や膜長の長さを変えるだけ、あるいは、テザーだけで、前部29a側と後部29b側の厚さ寸法Tf,Tbに差を設けるようにしてもよい。
【0083】
また、実施形態では、前後方向の長さ寸法の短いステアリングホイールWに搭載する運転席用のエアバッグ装置10について説明したが、リング部Rが略円環状としているステアリングホイールに、本発明のエアバッグ装置を搭載してもよい。
【0084】
さらに、実施形態では、運転席用のエアバッグ装置10について説明したが、助手席の前方のインストルメントパネルに搭載される助手席のエアバッグ装置に、本発明を適用してもよい。
【0085】
さらにまた、実施形態では、アウタバッグ31内のインナバッグ65の下側供給口71とガス案内テザー73とを配設させる流入用開口34からの放射方向に向かう方向YDを、後方側としているが、本発明のエアバッグ装置としては、アウタバッグ内のインナバッグの下側供給口とガス案内テザーとを配設させる流入用開口からの放射方向に向かう方向の車体側壁部の外周縁の部位を、素早く、乗員と車体側部材との間に侵入させる部位と設定して、エアバッグ装置を配設すれば、エアバッグの膨張初期に、その車体側壁部の外周縁の部位が、膨張用ガスにより、車体側部材に圧接される状態として、アウタバッグが膨張する。そのため、作動時に乗員と接近し易いエリア側に、インナバッグの下側供給口とガス案内テザーとを配設させておけば、接近している乗員と車体側部材との間に、円滑に、アウタバッグの端部を侵入させて膨張させることができて、乗員を保護することが可能となる。そのため、本発明のエアバッグ装置では、インナバッグの下側供給口とガス案内テザーとを配設させる流入用開口からの放射方向に向かう方向として、後方だけでなく、作動時に乗員と接近し易いエリア側の左方や右方等の種々の方向に対応させて、下側供給口とガス案内テザーと配設してもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…(運転席用)エアバッグ装置、29…エアバッグ、30…外周壁、31…アウタバッグ、31ba…後端部、32…車体側壁部、32a…後端、33…外周縁、33a…後縁、34…流入用開口、35…取付部、39…(運転者側)乗員側壁部、40…外周縁、40a…後縁、65…インナバッグ、67…上側壁部、67a…外周縁、67b…後部、68(L,R)…上側供給口、70…下側壁部、70a…外周縁、70ab…後縁、70ba…後端部、71…下側供給口、71a…前縁、71b…後縁、73…ガス案内テザー、73a…元部、73b…中間部、73c…先端部、75(L,R)…ずれ防止テザー、75a…元部、75b…先端部、90…折畳完了体、
G…膨張用ガス、G1…(案内された)膨張用ガス、G2…(下向き)膨張用ガス、R…(把持部)リング部、RP…(支持面)リング面、B…(収納部位)ボス部、W…(車体側部材)ステアリングホイール、
D0,D1,D2…(運転者)乗員、DH…頭部、DJ…顎、DB…胸部、DS…腹部。
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