(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153090
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】通信装置および制御システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20221004BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20221004BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G08B25/00 520D
H04Q9/00 301D
H04B1/59
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056140
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田見 憲一朗
(72)【発明者】
【氏名】小宮 実
(72)【発明者】
【氏名】茄子田 真也
(72)【発明者】
【氏名】種子田 大幸
(72)【発明者】
【氏名】大迫 智弥
【テーマコード(参考)】
5C087
5K048
【Fターム(参考)】
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD23
5C087DD24
5C087DD27
5C087EE06
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG46
5K048AA04
5K048AA15
5K048BA12
5K048CA14
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
5K048HA04
5K048HA06
(57)【要約】
【課題】遠隔地から容易に警備制御を開始する通信装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る通信装置は、前記通信装置に近接した携帯通信装置から第1アンテナにより第1周波数の電波を受信し、前記第1周波数の電波から前記携帯通信装置に関連付けられた識別データ信号を抽出し、前記識別データ信号を含むように変調した第2周波数の電波を、前記第2周波数に対応する第2アンテナから前記通信装置と離隔した第2通信装置に送信する。前記第2アンテナの巻き数は、前記第1アンテナの巻き数とは異なってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
前記通信装置に近接した携帯通信装置に第1アンテナを用いて第1周波数の電波を送信し、
前記第1周波数の電波を介して前記携帯通信装置に関連付けられた識別データ信号を受信し、
前記識別データ信号を重ねて変調した第2周波数の電波を、前記第2周波数に対応する第2アンテナを用いて前記通信装置と離隔した第2通信装置に送信する、
通信装置。
【請求項2】
前記第1アンテナは、ループ形状を有し、
前記第2アンテナは、前記ループ形状とは異なる形状を有する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1周波数の電波は、短波であり、
前記第2周波数の電波は、超短波である、
請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
操作可能な操作部を含み、
前記操作部の操作状況に応じた制御要求信号を前記第2通信装置に送信する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1アンテナおよび前記第2アンテナとは異なる形状を有する第3アンテナをさらに含み、
前記第1周波数および前記第2周波数とは異なる第3周波数の電波を介して前記操作部の操作状況に応じた制御要求信号を前記第2通信装置に送信する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第3周波数は、前記第2周波数よりも大きい、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の少なくとも一つの通信装置と、
前記第2通信装置と、
前記第2通信装置に近接して配置された制御装置と、を含む、
制御システム。
【請求項8】
前記第2通信装置は、前記通信装置から送信される前記第2周波数の電波から前記携帯通信装置に関連付けられた識別データ信号を抽出する、
請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記第2通信装置は、送信された前記識別データ信号を前記制御装置から送信される前記第1周波数の電波を介して前記制御装置に送信する、
請求項7に記載の制御システム。
【請求項10】
前記少なくとも一つの通信装置は、複数の通信装置を含み、
前記複数の通信装置の各々は、操作可能な操作部を含み、
前記操作部の操作状況に応じた制御要求信号を前記第2通信装置に送信するときに前記複数の通信装置の各々を識別する第2識別データ信号を前記第2通信装置に送信する、
請求項7に記載の制御システム。
【請求項11】
前記少なくとも一つの通信装置は、複数の通信装置を含み、
前記複数の通信装置の各々は、あらかじめ第1変調がなされた前記第1周波数の電波に含まれる前記複数の通信装置の各々を識別する第2識別データ信号に適合するときに、第2変調処理を行った前記第1周波数の電波を前記携帯通信装置に送信する、
請求項7に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、通信装置および制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触方式の近距離通信技術を利用した情報伝達方法が飛躍的に普及し、様々な分野で利用されるに至っている。非接触方式の近距離通信では、集積部が搭載された半導体素子とアンテナを基本構造とする携帯型の無線通信装置が用いられる。制御装置による電磁誘導、または電波によってアンテナに電力が誘起され、これによって電源を有しない様々な素子を含む集積部(IC)チップが駆動される。ICチップは、ICチップ内に組み込まれた情報の読出し、ICチップ内への情報の書き込み、命令の生成と送信、制御装置からの命令の受信など、種々のプロセスを実行する。このような無線通信装置は、一般的にはRFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるが、その形状や用途によって多様な名称が付与されている。例えばICタグ、無線タグ、RFタグ、ICカードなどとも呼ばれる。
【0003】
記憶される情報の多様性や無線通信装置自体の優れた携帯性に起因し、商品管理や個人識別、セキュリティ対策、電子乗車券、遊戯用カード、商取引決裁などの手段として、無線通信装置は幅広く利用されている。
【0004】
例えば、セキュリティ対策にICタグを用いる場合、リビングに設置された制御装置にICタグをかざすことにより外出時における警備が開始される。また、同様に帰宅時にICタグをかざすことにより警備が解除される。
【0005】
また、特許文献1には、ICタグを用いた通信における通信エリアを広げるために、リーダライタと、ICタグとの間に中継器を設ける例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方で、ユーザは、警備開始の操作を行った後、一定の猶予時間内に急いで外出しなければならない。リビングルームから玄関までの距離が遠い場合、ユーザが途中で忘れ物に気づいた場合など、一定の猶予時間内に外出することができない場合には、警備装置が作動してしまう恐れがある。
【0008】
また、特許文献1の場合、中継器が設けられるものの、ICタグとリーダ/ライタとが直接通信するため、通信エリアに制限が生じる。また、中継器がICタグの情報を読み取るため、暗号化処理を再度行う必要がある。そのため、信号の遅延につながる恐れがある。
【0009】
上記課題を鑑み、本発明の一実施形態は、遠隔地から容易に警備制御を開始する通信装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、通信装置であって、前記通信装置に近接した携帯通信装置に第1アンテナを用いて第1周波数の電波を送信し、前記第1周波数の電波を介して前記携帯通信装置に関連付けられた識別データ信号を受信し、前記識別データ信号を重ねて変調した第2周波数の電波を、前記第2周波数に対応する第2アンテナを用いて前記通信装置と離隔した第2通信装置に送信する、通信装置が提供される。
【0011】
上記携帯無線通信装置において、前記第1アンテナは、ループ形状を有し、前記第2アンテナは、前記ループ形状とは異なる形状を有してもよい。
【0012】
上記携帯無線通信装置において、前記第1周波数の電波は、短波であり、前記第2周波数の電波は、超短波であってもよい。
【0013】
上記携帯無線通信装置において、操作可能な操作部を含み、前記操作部の操作状況に応じた制御要求信号を前記第2通信装置に送信してもよい。
【0014】
上記携帯無線通信装置において、前記第1アンテナおよび前記第2アンテナとは異なる形状を有する第3アンテナをさらに含み、前記第1周波数および前記第2周波数とは異なる第3周波数の電波を介して前記操作部の操作状況に応じた制御要求信号を前記第2通信装置に送信してもよい。
【0015】
上記携帯無線通信装置において、前記第3周波数は、前記第2周波数よりも大きくてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも一つの上記通信装置と、上記第2通信装置と、前記第2通信装置に近接して配置された制御装置と、を含む、制御システムが提供される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記第2通信装置は、前記通信装置から送信される前記第2周波数の電波から前記携帯通信装置に関連付けられた識別データ信号を抽出してもよい。
【0018】
上記制御システムにおいて、前記第2通信装置は、送信された前記識別データ信号を前記制御装置から送信される前記第1周波数の電波を介して前記制御装置に送信してもよい。
【0019】
上記制御システムにおいて、前記少なくとも一つの通信装置は、複数の通信装置を含み、前記複数の通信装置の各々は、操作可能な操作部を含み、前記操作部の操作状況に応じた制御指示信号を前記第2通信装置に送信するときに前記複数の通信装置の各々を識別する第2識別データ信号を前記第2通信装置に送信してもよい。
【0020】
上記制御システムにおいて、前記少なくとも一つの通信装置は、複数の通信装置を含み、前記複数の通信装置の各々は、あらかじめ第1変調がなされた前記第1周波数の電波に含まれる前記複数の通信装置の各々を識別する第2識別データ信号に適合するときに、第2変調処理を行った前記第1周波数の電波を前記携帯通信装置に送信してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態によると、遠隔地から容易に警備制御を開始する通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態の制御システムの模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る通信装置のブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態の携帯通信装置のブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る警備制御方法のフロー図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る警備制御方法のフロー図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る警備制御方法のフロー図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る警備解除制御方法のフロー図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る警備解除制御方法のフロー図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る警備解除制御方法のフロー図である。
【
図11】本発明の一実施形態の制御システムの模式図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る通信装置のブロック図である。
【
図13】本発明の一実施形態の制御システムの模式図である。
【
図14】本発明の一実施形態の制御システムにおいて送受信される電波の模式図である。
【
図15】本発明の一実施形態の制御システムの模式図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後に-1、-2等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0025】
<第1実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係る制御システムについて説明する。
【0026】
(1-1.制御システムの構成)
図1は、制御システム10の模式図である。制御システム10は、制御装置100、通信装置200、ICタグ300(携帯通信装置ともいう)およびセンサ400を含む。通信装置200は、制御装置100に近接して配置された第2通信装置200a(または親機ともいう)、および第2通信装置200aに離隔して配置された第1通信装置200b(通信装置または子機ともいう)を含む。なお、第2通信装置200aおよび第1通信装置200bを区別して記載する必要がない場合には、通信装置200として説明する。
【0027】
本実施形態において、制御システム10は、家屋20に配置される。具体的には、家屋20において、制御システム10のうち制御装置100および第2通信装置200aは、家屋20のリビングルーム21に配置される。第1通信装置200bは、家屋20の玄関23に配置される。ICタグ300は、ユーザによって携帯可能である。
【0028】
本実施形態では、制御システム10において、制御装置100と第2通信装置200aとの間で通信がなされる。また、第2通信装置200aと、第1通信装置200bとの間で通信がなされる。さらに、第1通信装置200bと、ICタグ300との間で通信がなされる。結果として、制御装置100と、ICタグ300との間で通信を行うことができる。そのため、第2通信装置200aおよび第1通信装置200bは、中継器であるということができる。ICタグ300は、第2通信装置200aおよび第1通信装置200bを介して制御装置100からの命令に従い、識別データ信号を生成するように構成される。ICタグ300が第1通信装置200bに近接した(かざされた)とき、識別データ信号は、制御装置100へ送信される。これにより、センサ400による警備または警備解除の設定を行うことができる。通信の詳細については、後述する。センサ400には、赤外線センサ、音感センサ、においセンサ、煙センサなど適宜必要な機能を有するセンサが用いられる。
【0029】
(1-2.制御装置の構成)
図2に制御装置100のブロック図を示す。制御装置100は、制御部110、記憶部120、変調部130、送信部140、アンテナ部150、受信部160、復調部170、および発振部180などを含む。
【0030】
制御部110は、コンピュータの一つであり、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはその他の演算処理回路を用いて、制御装置100全体を制御する。制御部110は、受信したデータやコマンドの解釈、データの記憶部120への書き込み、記憶部120からのデータの読出し、受信した命令に適合する返答の生成などを行う。
【0031】
記憶部120には、SSD(Solid State Drive)などの半導体メモリのほか、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体、光磁気記録媒体、その他記憶可能な素子が備えられる。記憶部120には、固有の情報や書き換え可能な様々な警備制御に関する情報が保存される。
【0032】
変調部130は、制御部110から送られる命令やデータを発振部180で生成された搬送波に重ねて変調する。変調された搬送波は送信部140へ送られ、信号の増幅、不要な周波数の減衰などを行い、送信すべき周波数のみを取り出す。このように処理された信号がアンテナを介して第2通信装置200a(ICタグ300)へ送信される。
【0033】
受信部160は、アンテナ部150を用いて第2通信装置200a(ICタグ300)から送信された信号を受信する機能を有する。具体的には、受信部160は、搬送波に含まれるノイズを取り除き、必要な信号を増幅する。増幅された信号は復調部170へ送られ、必要な命令やデータへ復調される。
【0034】
発振部180は、交信するために必要な搬送波を生成する機能を有する。搬送波として、例えば13.56MHzの電波が生成される。
【0035】
制御部110は、さらに機能部として、照合部111、警備制御部113、警備解除制御部115を含む。
【0036】
照合部111は、ICタグ300から送信された識別データ信号をもとに、ICタグ300が所定の条件に適合するかを照合する。具体的には、記憶部120にあらかじめ記憶された識別データ信号と、送信された識別データ信号とが一致するかどうかを判定する。
【0037】
警備制御部113は、家屋20内に配置されたセンサ400に対して警備信号を送信して、家屋20内を警備状態に設定する機能を有する。
【0038】
警備解除制御部115は、家屋20内に配置されたセンサ400に対して警備解除信号を送信して、家屋20内を警備解除状態に設定する機能を有する。
【0039】
(1-3.通信装置200の構成)
図3に、通信装置200のブロック図を示す。通信装置200は、制御部210、記憶部220、変調部230、受信部240、送信部245、フィルタ部250、発振部260、アンテナ部270(第1アンテナ271、第2アンテナ273、第3アンテナ275)、操作部280および表示部290などを含む。
【0040】
制御部210は、コンピュータの一つであり、CPU、ASIC、FPGA、またはその他の演算処理回路を用いて、通信装置200全体を制御する。制御部210は、受信したデータやコマンドの解釈、データの記憶部220への書き込み、記憶部220からのデータの読出し、受信した命令に適合する情報の生成などを行う。
【0041】
記憶部220には、半導体メモリ、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、その他記憶可能な素子が備えられる。記憶部220には、固有の情報や書き換え可能な様々な警備制御に関する情報が保存される。
【0042】
変調部230は、制御部210から送られる命令やデータを発振部260で生成された搬送波に重ねて変調する。変調された搬送波は送信部245へ送られ、信号の増幅、不要な周波数の減衰などを行い、送信すべき周波数のみを取り出す。このように処理された信号がアンテナ部270を介して対象となる装置に送信される。
【0043】
受信部240は、アンテナ部270を介して制御装置100またはICタグ300(あるいは、第2通信装置200aまたは第1通信装置200b)から送信された搬送波を受信する機能を有する。受信部240は、搬送波に含まれるノイズを取り除き、必要な信号を増幅してもよい。
【0044】
フィルタ部250は、識別データ信号を含む搬送波から識別データ信号(例えば212kHzの信号)を抽出する機能を有する。フィルタ部250には、バンドパスフィルタが用いられる。
【0045】
発振部260は、交信するために必要な搬送波を生成する機能を有する。この例では、給電用も合わせたデータ送信用として、短波(13.56MHzの電波)が生成される。また、識別データ信号送信用として、13.56MHzの電波とは異なる周波数が用いられる。具体的には、超短波(例えば150MHzの電波)が生成される。また、警備指示信号送信用として、極超短波(例えば2.4GHzの電波)が生成される。
【0046】
アンテナ部270は、搬送波の周波数に応じて設けられる。搬送波は、周波数によって機能および通信距離が変わる。本実施形態では、アンテナ部270は、第1アンテナ271、第2アンテナ273、および第3アンテナ275を含む。第1アンテナ271、第2アンテナ273、および第3アンテナ275の形状および長さはそれぞれ異なる。第1アンテナ271は13.56MHzの電波に対応するアンテナとして用いられる。この例では、第1アンテナ271は、ループアンテナである。13.56MHzの電波は、通信距離が短いものの、ICタグ300に電力を供給することができる。第2アンテナ273は、超短波(例えば150MHzの電波)に対応するアンテナとして用いられる。この例では、第2アンテナは、パッチアンテナ(より具体的にはマイクロストリップアンテナ)である。第3アンテナ275は、極超短波(例えば2.4GHzの電波)に対応するアンテナとして用いられる。超短波または極超短波は、電力を供給することはできないが、通信距離を長くすることができる。
【0047】
操作部280は、コントローラ、ボタン、またはスイッチを含む。ユーザから操作部を用いて上下左右への移動、押圧、または回転などの動作がなされることにより、その動作に基づく情報が制御部210に入力される。この例では、操作部280は、警備ボタン281および解除ボタン283を含む。操作部280は、押下可能に設けられてもよいし、静電容量式のタッチセンサにより形成されてもよい。例えば、警備ボタン281が押下されたとき、制御部210に警備要求情報が入力される。
【0048】
表示部290は、警備状態表示ランプ291および解除状態表示ランプ293を含む。表示部290には、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Device)が用いられる。または、表示部290は、液晶表示パネル、または有機EL(Electro Luminescence)表示パネルを有してもよい。
【0049】
また、制御部210は、さらに機能部として、警備要求信号生成部211および警備解除要求信号生成部213を含む。警備要求信号生成部211は、警備ボタン281が押下されたときに、警備要求信号を生成する。警備解除要求信号生成部213は、解除ボタン283が押下されたときに、警備解除要求信号を生成する。
【0050】
また、通信装置200のうち第1通信装置200bは、電源部299を有してもよい。電源部299は、家屋20内の電源機器に接続されてもよい。または、電源部299は、電池を含んでもよい。また、第2通信装置200aには、制御装置100から送信される13.56MHzの搬送波によって電力が供給されてもよい。この場合、電源部299を有しなくてもよい。
【0051】
(1-4.ICタグ300の構成)
図4に、ICタグ300のブロック図を示す。
【0052】
ICタグ300は、主な構成として、アンテナ部310およびICチップ330を含む。ICチップ330は、制御部331、記憶部333、電圧リミット部335、整流部337、復調部339、変調部341、および抵抗部343などを有することができる。さらに、ICタグ300は、共振周波数調整用の容量を含んでもよい。
【0053】
アンテナ部310は、電磁誘導方式のアンテナであり、例えばループ状に配置されている。アンテナ部310に囲まれた領域を通過する磁束密度の変化に応じた大きさの起電力(電圧)がアンテナ部310に発生する。この起電力はアンテナ部310に電気的に接続されたICチップ330に与えられ、ICチップ330が駆動する。アンテナ部310は、例えば短波の周波数帯域で共振するように構成される。具体的には、短波は13.56MHzの周波数帯域に相当する。
【0054】
制御部331は、コンピュータの一つであり、CPU、ASIC、FPGA、またはその他の演算処理回路を用いて、第1通信装置200b(または制御装置100)間の送受信、命令の解釈、記憶部333からの情報の読出しや記憶部333への書込みなどを制御する機能を有する。制御部331は種々の論理部によって構成される。
【0055】
記憶部333には、半導体メモリ、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、その他記憶可能な素子が備えられる。記憶部333には、固有の情報や書き換え可能な様々な情報が保存される。
【0056】
電圧リミット部335は、アンテナ部310において過大な電圧が誘起された場合に入力される電圧からICチップ330を保護する機能を有する。過大な電圧が誘起された場合、発生する電流のうち不要な部分は抵抗部343を用いて熱に変換され、外部へ放出される。
【0057】
整流部337は、アンテナ部310において誘起される交流電流を直流電流へ変換する機能を有する。整流部337により直流となった電源電圧は、ICタグ300を構成するすべての部材に供給される。
【0058】
復調部339は、第1通信装置200bから送信された搬送波に含まれる情報(命令信号)を1または0の信号列に変換する機能を有する。
【0059】
また、制御部331は、制御装置100から受信した命令に対する返答(識別データ信号)を生成し、この生成された識別データ信号を変調部341へ送る。変調部341は、制御装置100に識別データ信号を送信するために、識別データ信号で搬送波を変調する。このようにして生成された信号(識別データ信号)は、搬送波を介してアンテナ部310から送信される。
【0060】
(1-5.警備制御方法)
次に、警備制御方法について説明する。
図5乃至
図7は、警備制御方法を示すフロー図である。警備制御を開始する時点では、第1通信装置200bおよび第2通信装置200aの解除状態表示ランプ293が点灯表示されている(S101)。このとき、制御装置100から第2通信装置200aに対してICタグ300の読取信号を含む13.56MHzの搬送波が常時送信される。第2通信装置200aが読取信号(識別データ信号の送信命令信号)を受信すると、13.56MHzの搬送波は除去される。このとき、第2通信装置200aから第1通信装置200bに対して、読取信号用の周波数として150MHzの電波が生成される。読取信号は、150MHzの電波を介して第1通信装置200bに送信される。
【0061】
まず、ユーザによって第1通信装置200bの警備ボタン281が押下される。このとき、押下操作に基づく情報(警備要求情報)が入力される。このとき、解除状態表示ランプ293が点滅表示されてもよい。警備要求情報は、制御部210に送信され、第1通信装置200bの警備要求信号生成部211は、警備要求信号を生成する(S103)。第1通信装置200bの発振部260は2.4GHzの電波を生成する。変調部230は、生成された警備要求信号を2.4GHzの電波に重ねて変調する。警備要求信号は、2.4GHzの電波に対応する第3アンテナ275を用いて2.4GHzの電波を介して第2通信装置200aに送信される(S105)。
【0062】
第2通信装置200aが、警備要求信号を含む搬送波を第3アンテナ275によって受信すると(S105)、第2通信装置200aの解除状態表示ランプ293が点滅表示されてもよい。第2通信装置200aのフィルタ部250は、搬送波を除去する。変調部230は、警備要求信号を制御装置100から送信される13.56MHzの搬送波に重ねて変調する。警備要求信号は、第1アンテナ271から搬送波を介して制御装置100に送信される(S107)。制御装置100は、送信された警備要求信号を受信する(S109)。受信された警備要求信号は、記憶部120に格納される。
【0063】
制御装置100は、警備要求信号を受信したとき、ICタグ300の識別データ信号が所定の期間内に送信されるかについて検知してもよい。所定の期間内に識別データ信号が送信されない場合(タイムアウトした場合)、警備要求信号を消去してもよい。このとき、警備要求信号が消去されたことを表示するための情報が第2通信装置200aに送信されてもよい。
【0064】
次に、ICタグ300が第1通信装置200bにかざされる(近接する)と(S201)、13.56MHzの搬送波が第1通信装置200bのアンテナ部270(第1アンテナ271)からICタグ300のアンテナ部310に送信される(S203)。このとき、アンテナ部310(アンテナ部310の環の内側)に磁力線が生じる。さらに、磁力線により電磁誘導が生じ、結果的に誘導起電力がICチップ330に供給される。これにより、ICチップ330が起動し、第1通信装置200bとの送受信が可能となる。
【0065】
ICチップ330に電力が供給されると、変調部341は、ICタグ300を識別する識別データ信号(212kHzの信号)を13.56MHzの搬送波に重ねて変調する。この例では、変調方法として搬送波の振幅を偏重するASK(Amplitude Shift Keying)変調が用いられる。搬送波に含まれた識別データ信号はアンテナ部310を介して第1通信装置200bに送信される(S205)。
【0066】
第1通信装置200bは識別データ信号を含む13.56MHzの搬送波を第1アンテナ271で受信する。次に、フィルタ部250は、搬送波を除去することにより識別データ信号を抽出する(S207)。発振部260は、搬送波として150MHzの電波を生成する。変調部230は生成された搬送波(150MHzの電波)に識別データ信号(212kHzの信号)を重ねて変調する(S209)。第1通信装置200bは、搬送波(150MHzの電波)に対応する第2アンテナ273を用いて識別データ信号を第2通信装置に送信する(S211)。
【0067】
第2通信装置200aは識別データ信号を含む搬送波(150MHzの電波)を第2アンテナ273により受信する(S213)。次に、第2通信装置200aのフィルタ部250は、搬送波を除去することにより識別データ信号を抽出する。変調部230は搬送波(13.56MHzの電波)に識別データ信号を重ねて変調する(S215)。識別データ信号は、搬送波を介して搬送波(13.56MHzの電波)に対応する第1アンテナ271から制御装置100に送信される(S217)。制御装置100は、搬送波を介して識別データ信号を受信する。具体的には、制御装置100は、搬送波から復調して、識別データ信号を受信(取得)する(S219)。
【0068】
次に、制御装置100の照合部111は、識別データ信号をもとにICタグ300が所定の条件に適合するかを照合する(S301)。具体的には、記憶部120にあらかじめ記憶された識別データ信号と、ICタグ300から送信された識別データ信号とが一致するかどうかを判定する。あらかじめ記憶された識別データと、ICタグ300から送信された識別データとが一致しない場合、つまり照合結果が不適である場合(S303;No)、警備制御処理が終了となる。このとき、警備要求信号がキャンセルされてもよい。また、制御装置100は、解除状態表示ランプ293が点滅状態から点灯状態に戻すための指示信号を第2通信装置200aおよび第1通信装置200bに送信してもよい。また、制御装置100は、照合結果が不適であることを表示するための指示信号を第2通信装置200aおよび第1通信装置200bに送信してもよい。
【0069】
あらかじめ記憶された識別データと、ICタグ300から送信された識別データとが一致する場合、つまり照合結果が適正である場合(S303;Yes)、警備制御部113が警備制御を開始する(S305)。具体的には、警備制御部113は、センサ400の各々を駆動させる。
【0070】
警備制御状態になるとき、警備制御部113は、警備開始信号を生成する。生成された警備開始信号は、13.56MHzの搬送波を介して第2通信装置200aに送信される(S307)。第2通信装置200aは、警備開始信号を受信すると(S309)、第2通信装置200aの警備状態表示ランプ291が点灯表示される(S311)。このとき、警備状態表示ランプ291が点灯表示されることに合わせて、解除状態表示ランプ293が消灯される。また、警備開始信号は、2.4GHzの搬送波を介して第2通信装置200aから第1通信装置200bに送信される(S313)。各搬送波の生成、変調、および送信方法は上述と同様である。第1通信装置200bが警備開始信号を受信すると(S315)、第1通信装置200bの警備状態表示ランプ291が点灯表示される(S317)。以上により、警備制御処理が終了となる。
【0071】
(1-6.警備解除制御方法)
次に、警備解除制御方法について説明する。
図8乃至
図10は、警備解除制御方法を示すフロー図である。警備解除制御を開始する時点では、第1通信装置200bおよび第2通信装置200aの警備状態表示ランプ291が表示されている(S401)。
【0072】
まず、ユーザによって第1通信装置200bの解除ボタン283が押下される。このとき、第1通信装置200bの警備解除要求信号生成部213は、警備解除要求信号を生成する(S403)。第1通信装置200bの発振部260は警備要求信号用の搬送波として2.4GHzの電波が生成される。変調部230は、警備解除要求信号を2.4GHzの電波に重ねて変調する。警備解除要求信号は、第3アンテナ275を用いて2.4GHzの電波を介して第2通信装置200aに送信される(S405)。
【0073】
第2通信装置200aが警備解除要求信号を含む搬送波を第3アンテナ275によって受信すると(S405)、第2通信装置200aのフィルタ部250は、搬送波を除去する。変調部230は、警備解除要求信号を制御装置100から送信される13.56MHzの搬送波に重ねて変調する。警備解除要求信号は、搬送波を介して制御装置100に送信される(S407)。制御装置100は、送信された警備解除要求信号を受信する(S409)。受信された警備解除要求信号は、記憶部120に格納される。
【0074】
制御装置100は、警備解除要求信号を受信すると、ICタグ300の識別データ信号が所定の期間内に送信されるかについて検知してもよい。所定の期間内に識別データ信号が送信されない場合、警備解除要求信号を消去してもよい。このとき、警備解除要求信号が消去されたことを表示するための信号を第2通信装置200aに送信してもよい。
【0075】
次に、ICタグ300が第1通信装置200bにかざされる(近接する)と(S501)、13.56MHzの搬送波が第1通信装置200bのアンテナ部(第1アンテナ271)からICタグ300のアンテナ部310に送信される(S503)。このとき、アンテナ部310に磁力線が生じる。この磁力線によりアンテナ部310に電磁誘導が生じ、結果的に誘導起電力がICチップ330に供給される。これにより、ICチップ330が起動し、第1通信装置200bとの送受信が可能となる。
【0076】
ICチップ330に電力が供給されると、変調部341は、ICタグ300を識別する識別データ信号を13.56MHzの搬送波に重ねて変調する。識別データ信号は搬送波を介してアンテナ部310から第1通信装置200bに送信される(S505)。
【0077】
第1通信装置200bは識別データ信号を含む13.56MHzの搬送波を第1アンテナ271で受信する。フィルタ部250は、搬送波を除去することにより識別データ信号を抽出する(S507)。発振部260は、搬送波として超短波(150MHzの電波)を生成する。変調部230は生成された搬送波(150MHzの電波)に識別データ信号を重ねて変調する(S509)。第1通信装置200bは、搬送波(150MHzの電波)に対応する第2アンテナ273を用いて識別データ信号を第2通信装置200aに送信する(S511)。
【0078】
第2通信装置200aは、識別データ信号を含む搬送波(150MHzの電波)を第2アンテナ273により受信する(S513)。次に、第2通信装置200aのフィルタ部250は、搬送波を除去することにより識別データ信号を抽出する。変調部230は、搬送波(13.56MHzの電波)に識別データ信号を重ねて変調する(S515)。識別データ信号は、第1アンテナ271から搬送波(13.56MHzの電波)を介して制御装置100に送信される(S517)。制御装置100は、搬送波を介して識別データ信号を受信する。この例では、制御装置100は、搬送波から復調して、識別データ信号を受信(取得)する(S519)。
【0079】
次に、制御装置100の照合部111は、識別データ信号をもとにICタグ300が所定の条件に適合するかを照合する(S601)。あらかじめ記憶された識別データと、ICタグ300から送信された識別データとが一致しない場合、つまり照合結果が不適の場合(S603;No)、警備解除制御処理が完了せずに終了となる。このとき、警備解除要求信号がキャンセルされてもよい。また、制御装置100は、警備状態表示ランプ291が点滅状態から点灯状態に戻すための指示信号を第2通信装置200aおよび第1通信装置200bに送信してもよい。また、制御装置100は、照合結果が不適であることを表示するための指示信号を第2通信装置200aおよび第1通信装置200bに送信してもよい。
【0080】
あらかじめ記憶された識別データと、ICタグ300から送信された識別データとが一致する場合、つまり照合結果が適正である場合(S603;Yes)、警備解除制御部115が警備解除制御を開始する(S605)。具体的には、警備解除制御部115は、センサ400の各々の駆動を停止させる。
【0081】
警備解除制御状態になるとき、警備解除制御部115は、警備解除信号を生成する。生成された警備解除信号は、13.56MHzの搬送波を介して第2通信装置200aに送信される(S607)。第2通信装置200aは、警備解除信号を受信すると(S609)、第2通信装置200aの解除状態表示ランプ293が点灯表示される(S611)。このとき、解除状態表示ランプ293が点灯表示されることに合わせて、警備状態表示ランプ291が消灯する。同様に、警備解除信号は、2.4GHzの搬送波に対応する第3アンテナ275を用いて第2通信装置200aから第1通信装置200bに送信される(S613)。第1通信装置200bが警備解除信号を受信すると(S615)、第1通信装置200bの解除状態表示ランプ293が点灯表示される(警備状態表示ランプ291が消灯される)(S617)。以上により、警備解除制御処理が終了となる。
【0082】
本実施形態では、送信したい情報、通信距離、および電力の供給など、要求に応じて必要な周波数の電波および当該周波数に対応するアンテナが用いられる。そのため、電源装置を有しないICタグとの間では、電力を供給することができる短波および短波用アンテナを用いて通信がなされる。また、離れた通信装置間では長距離通信が可能な超短波または極超短波、および超短波または極超短波に対応するアンテナを用いて通信がなされる。これにより、遠隔地からでも容易に警備制御を行う通信装置を提供することができる。
【0083】
ここで、さらに従来の中継器と本実施形態の通信装置を比較する。従来の中継器の場合、中継器がICタグ情報を読み取っていた。このとき、中継器は、暗号を解除してからICタグ情報の読み取りを行っていた。このため、中継器がICタグ情報を読み取ったのち、ICタグ情報が傍受されることを防止するために中継器内で再度ICタグ情報に対して暗号化処理を行ってからリーダライタに送信する必要があった。このため、信号伝送が遅延してしまう恐れがある。また、読み取り処理および暗号化処理に伴い、制御処理が複雑化する。そのため、中継器は当該制御処理に対応する制御素子を備える必要があった。
【0084】
一方、本実施形態では、通信装置200が搬送波に含まれた識別データ信号を受信するときに、通信装置200(特に第1通信装置200b)は、ICタグ300に係る識別データ信号の読み取り処理を行わずに、信号の抽出および伝送のみを行う(制御装置100のみが識別データ信号の読み取り処理を行う)。これにより、読み取り処理および暗号化処理に伴う信号伝送の遅延を抑えることができる。また、他人がICタグ情報を受信しても、ICタグ情報は暗号化されているため、ICタグ情報を容易に解読することができない。したがって、ICタグ300で生成された識別データ信号の秘匿性を保持することができる。また、通信装置200は、読み取り処理および暗号化処理がなされないので、通信装置200における制御処理が単純化される。その結果、通信装置200に搭載される制御素子の数を減らすことができる。したがって、通信装置200の製造コストを下げることができる。
【0085】
<第2実施形態>
本実施形態では、本発明の第1実施形態と異なる通信装置について説明する。具体的には、通信装置200が2つのアンテナを有する例について説明する。なお、重複する記載については、第1実施形態の説明を適宜援用する。
【0086】
図11は、制御システム10Aの模式図である。
図11に示すように、制御システム10Aは、制御装置100、通信装置200A(第1通信装置200Ab、第2通信装置200Aa)、ICタグ300およびセンサ400を含む。
図12に、通信装置200Aのブロック図を示す。
図12に示すように、通信装置200Aは、制御部210、記憶部220、変調部230、受信部240、送信部245、フィルタ部250、発振部260、アンテナ部270A(第1アンテナ271A、第3アンテナ275A)、操作部280および表示部290を含む。
【0087】
本実施形態では、識別データ信号送信用および警備要求信号用の搬送波の周波数は同じであってもよい。この例では、識別データ信号および警備要求信号に対する共通の搬送波として、2.4GHzの電波が用いられる。
【0088】
アンテナ部270Aは、搬送波の周波数に応じて設けられる。搬送波は、周波数によって機能および通信距離が変わる。本実施形態では、アンテナ部270Aは、第1アンテナ271A、および第3アンテナ275Aを含む。第1アンテナ271Aおよび第3アンテナ275Aの形状および長さはそれぞれ異なる。この例では、第1アンテナ271Aは13.56MHz用のアンテナとして用いられる。具体的には、第1アンテナ271Aは、ループアンテナである。13.56MHzの電波は、通信距離が短いものの、ICタグ300に電力を供給することができる。第2アンテナ273Aは、極超短波(例えば2.4GHzの電波)に対応するアンテナとして用いられる。極超短波は、電力を供給することはできないが、通信距離を長くすることができる。
【0089】
本実施形態を用いることにより、通信装置におけるアンテナの数を減らすことができる。したがって、通信装置の製造コストを低減させることができる。
【0090】
<第3実施形態>
本実施形態では、本発明の第1実施形態と異なる通信装置について説明する。具体的には、複数の第1通信装置を有する例について説明する。
【0091】
図13は、制御システム10Bの模式図である。
図13に示すように、制御システム10Bは、制御装置100、通信装置200B、ICタグ300およびセンサ400を含む。通信装置200Bは、第1通信装置200Bbおよび第2通信装置200Baを含む。本実施形態では、複数の第1通信装置200Bb(具体的には、第1通信装置200Bb-1、第1通信装置200Bb-2、および第1通信装置200Bb-3)が設けられる。
【0092】
図14に本実施形態における搬送波の一例を示す。
図14(A)は、第1通信装置200Bb-1の搬送波CW-1の一例である。
図14(B)は、第1通信装置200Bb-2の搬送波CW-2の一例である。
図14(C)は、第1通信装置200Bb-3の搬送波CW-3の一例である。本実施形態では、各情報の通信用の変調(第1変調ともいう)時以外のタイミングで搬送波を低周波(例えば9600Hz)でON/OFF処理することによる第1通信装置200Bbのアドレス情報を付加するための変調(第2変調)処理があらかじめ行われる。つまり、本実施形態では、搬送波に対して二重変調がなされることになる。アドレス情報は、制御装置で生成されてもよい。
【0093】
例えば、
図14(A)に示すように、Sig1(Sig1-1)のタイミングで2回の搬送波OFF処理がなされる。これにより、第1通信装置200Bb-1による通信処理であることが特定される。その後、Sig2のタイミングでアドレス情報に適合する第1通信装置200Bb-1からICタグ300へ情報が送信される。さらに、Sig3のタイミングでICタグ300から第1通信装置200Bb-1に情報が送信される。
【0094】
同様に、
図14(B)に示すように、Sig1(Sig1-2)のタイミングで3回の送波OFF処理がなされる。これにより、第1通信装置200Bb-2による通信処理であることが特定される。同様に、
図14(C)に示すように、Sig1(Sig1-3)のタイミングで4回の送波OFF処理がなされる。これにより、第1通信装置200Bb-3による通信処理であることが特定される。
【0095】
本実施形態では、制御装置100に対して、アドレス情報に対応する第1通信装置が識別情報およびボタンに対応する情報を送信することができる。そのため、どの第1通信装置から情報が送信されたかを特定することができる。
【0096】
なお、本実施形態では、ON/OFF処理による第2変調を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、2つの異なる周波数の搬送波(この例では、13.56MHzの電波および2.4GHzの電波)を同時に用いて通信してもよい。
【0097】
また、本実施形態では、必ずしも第2変調を行わなくてもよい。例えば、それぞれの第1通信装置200Bbの警備ボタンが押下されたときに、警備要求信号とともに第1通信装置の各々を識別する識別データ信号(第2識別データ信号)を送信してもよい。これにより、どの第1通信装置から警備要求信号が送信されたかを容易に特定することができる。
【0098】
<第4実施形態>
本実施形態では、本発明の第1実施形態とは異なる制御システムについて説明する。具体的には、本発明の第1実施形態では、制御装置100と、第2通信装置200aが別々に設けられたが、本実施形態では、制御装置と第2通信装置が一体化された例について説明する。
【0099】
図15は、制御システム10Cの模式図である。
図15に示すように、制御システム10Cは、制御装置100C、第1通信装置200b、およびICタグ300を含む。
図15において、制御システム10Cのうち制御装置100Cのみが、家屋20のリビングルーム21に配置されてもよい。
【0100】
図16に制御装置100Cのブロック図を示す。制御装置100Cは、制御部110、記憶部120、変調部130、送信部140、受信部160、復調部170、および発振部180に加えて、アンテナ部150C、およびフィルタ部190を含む。
【0101】
フィルタ部190は、識別データ信号を含む搬送波から識別データ信号(例えば212kHzの信号)を抽出する機能を有する。フィルタ部190には、バンドパスフィルタが用いられる。
【0102】
アンテナ部150Cは、第1アンテナ151、第2アンテナ153、および第3アンテナ155を含む。第1アンテナ151、第2アンテナ153、および第3アンテナ155の形状および長さはそれぞれ異なる。第1アンテナ151は13.56MHzの電波に対応するアンテナとして用いられる。この例では、第1アンテナ151は、ループアンテナである。第2アンテナ153は、超短波(例えば150MHzの電波)に対応するアンテナとして用いられる。この例では、第2アンテナは、パッチアンテナ(より具体的にはマイクロストリップアンテナ)である。第3アンテナ155は、極超短波(例えば2.4GHzの電波)に対応するアンテナとして用いられる。
【0103】
本実施形態において、第1通信装置200bは、携帯通信装置の識別データの暗号を解除することなく、超短波を介して制御装置100Cに識別データを送る。制御装置100Cは、識別データの暗号を解除したのちに、識別データ信号の読み取り処理を行う。
【0104】
したがって、本実施形態を用いることにより、制御装置100Cが第2通信装置200bの機能を有することができる。これにより、制御システムの構成をより簡略化することができる。
【0105】
(変形例)
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0106】
また、上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【0107】
また、本発明の第1実施形態では、制御システム10が家屋20に配置される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御システム10は、工場、ビル、その他の施設に配置されてもよい。この場合、制御システム10のうち制御装置100および第2通信装置200aは、各施設の中央制御室に配置され、第1通信装置200bは、出入口に配置されればよい。
【0108】
また、本発明の第1実施形態では、警備要求信号を送信した後で、ICタグ300の識別データ信号を送信する例を示したが、本発明はこれに限定されない。ICタグ300の識別データ信号を送信した後で警備要求信号を送信してもよいし、同時に警備要求信号およびICタグ300の識別信号が同時に送信されてもよい。
【0109】
また、本発明の第1実施形態では、ICタグのアンテナ部310は、短波である13.56MHzで共振するように構成される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ICタグ300が電源機構を有している場合には、アンテナ部310は、極超短波で共振するように構成されてもよい。
【0110】
また、本発明の第1実施形態では、ICタグ300が第1通信装置200bにかざされたときに、識別データ信号が生成され、および送信される例を示したが、本発明はこれに限定されない。ICタグ300が制御装置にかざされて、同様の制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0111】
10・・・制御システム,20・・・家屋,21・・・リビングルーム,23・・・玄関,100・・・制御装置,110・・・制御部,111・・・照合部,113・・・警備制御部,115・・・警備解除制御部,120・・・記憶部,130・・・変調部,140・・・送信部,150・・・アンテナ部,160・・・受信部,170・・・復調部,180・・・発振部,200・・・通信装置,200a・・・第2通信装置,200b・・・第1通信装置,210・・・制御部,211・・・警備要求信号生成部,213・・・警備解除要求信号生成部,220・・・記憶部,230・・・変調部,240・・・受信部,245・・・送信部,250・・・フィルタ部,260・・・発振部,270・・・アンテナ部,271・・・第1アンテナ,273・・・第2アンテナ,275・・・第3アンテナ,280・・・操作部,281・・・警備ボタン,283・・・解除ボタン,290・・・表示部,291・・・警備状態表示ランプ,293・・・解除状態表示ランプ,299・・・電源部,300・・・タグ,310・・・アンテナ部,330・・・ICチップ,331・・・制御部,333・・・記憶部,335・・・電圧リミット部,337・・・整流部,339・・・復調部,341・・・変調部,343・・・抵抗部,400・・・センサ