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特開2022-153160調理システム、調理方法及び調理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153160
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】調理システム、調理方法及び調理プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20221004BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F24C7/02 301N
F24C7/02 301Z
F24C7/02 301G
F24C7/02 301J
F24C15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056256
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】519020616
【氏名又は名称】TechMagic株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白木 裕士
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 祥平
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏泰
(72)【発明者】
【氏名】白木 暢一
【テーマコード(参考)】
3L086
【Fターム(参考)】
3L086AA01
3L086BF07
3L086CA07
3L086CA09
3L086CA12
3L086CA16
3L086CC02
3L086CC30
3L086DA05
3L086DA30
(57)【要約】
【課題】汎用の電子レンジを用いて調理の自動化を図ることができる調理システム、調理方法及び調理プログラムを提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態に係る調理システム100は、スイッチ選択信号生成ユニット120が、調理対象情報に基づいてスイッチ選択信号を生成するスイッチ選択信号生成部123と、スイッチ選択信号生成部123によって生成されたスイッチ選択信号を調理機器に入力可能かつ着脱自在に調理機器に装着されるスイッチ選択信号入力機構124と、を有し、調理対象情報が、少なくともなくとも調理対象の種類を識別する調理対象識別情報を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作スイッチに応じて動作される調理機器によって調理される調理対象の調理対象情報を取得する調理対象情報取得機器と、
前記調理対象情報に基づいて前記操作スイッチに対応するスイッチ選択信号を生成し、生成された前記スイッチ選択信号を前記調理機器に入力するスイッチ選択信号生成ユニットと、
を備えた調理システムであって、
前記スイッチ選択信号生成ユニットが、
前記調理対象情報に基づいて前記スイッチ選択信号を生成するスイッチ選択信号生成部と、
前記スイッチ選択信号生成部によって生成されたスイッチ選択信号を前記調理機器に入力可能かつ着脱自在に前記調理機器に装着されるスイッチ選択信号入力機構と、
を有し、
前記調理対象情報が、少なくともなくとも前記調理対象の種類を識別する調理対象識別情報を含むことを特徴とする調理システム。
【請求項2】
前記スイッチ選択信号生成部は、前記調理対象情報に基づいて調理内容情報を決定する調理内容決定処理部と、該調理内容決定処理部により決定された調理内容情報に応じてスイッチ選択信号を生成するスイッチ選択信号生成処理部とを有し、
前記処理内容決定処理部は、少なくとも前記調理対象識別情報と調理内容情報とを関連付けた調理対象識別情報・調理内容テーブルを参照して、前記調理対象情報に基づいて調理内容情報を生成し、
前記スイッチ選択信号生成処理部は、少なくとも前記調理内容情報と操作スイッチとを関連付けた調理内容・操作スイッチテーブルを参照して、前記調理内容情報に基づいてスイッチ選択信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の調理システム。
【請求項3】
前記スイッチ選択信号入力機構が、前記操作スイッチに対する押圧または接触位置と、非押圧位置または離間位置と、の間で駆動される複数のスイッチ操作部材を含み、
前記複数のスイッチ操作部材が、前記スイッチ選択信号生成部によって生成されたスイッチ選択信号に応じて制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の調理システム。
【請求項4】
前記調理機器の制御部が、前記スイッチ選択信号を受信可能な制御部側コネクタを備え、
前記スイッチ選択信号入力機構が、前記スイッチ選択信号生成部によって生成されたスイッチ選択信号を前記制御部側コネクタに送信可能な入力機構側コネクタを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の調理システム。
【請求項5】
前記調理対象の包装材に通気用の切り込みないし貫通孔を形成する通気部分形成機構、
前記調理対象を搬送する搬送機構、
前記調理機器の扉を開閉させる扉開閉機構、
前記スイッチ選択信号を生成するための参照テーブルの設定機構、
管理サーバと通信ネットワークを介して接続され、前記スイッチ選択信号生成ユニットの制御情報を送受信できる通信機構、又は、
前記スイッチ選択信号生成ユニットの制御情報を設定できる端末機構、
の少なくともいずれか一つの機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の調理システム。
【請求項6】
前記スイッチ選択信号生成部における前記調理対象情報に基づいた前記スイッチ選択信号の演算を、機械学習により訓練されたニューラルネットワークによる行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の調理システム。
【請求項7】
調理対象情報取得機器によって、複数の操作スイッチに応じて動作される調理機器によって調理される調理対象の調理対象情報を取得する調理対象情報取得ステップと、
スイッチ選択信号生成ユニットによって、前記調理対象情報に基づいて前記操作スイッチに対応するスイッチ選択信号を生成し、生成された前記スイッチ選択信号を前記調理機器に入力する調理機器入力ステップと、
を備えた調理方法であって、
前記調理機器入力ステップが、
スイッチ選択信号生成部によって、前記調理対象情報に基づいて前記スイッチ選択信号を生成する工程と、
前記調理機器に着脱自在装着されるスイッチ選択信号入力機構によって、前記スイッチ選択信号生成部により生成されたスイッチ選択信号を前記調理機器に入力するステップと、
を有し、
前記調理対象情報が、少なくともなくとも前記調理対象の種類を識別する調理対象識別情報を含むことを特徴とする調理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の自動調理方法における各ステップ及び各工程をコンピュータにより実行可能なことを特徴とする自動調理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作スイッチに対応したスイッチ選択信号に応じて動作される調理機器によって調理対象が調理される調理システム、調理方法及び調理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店における従業員不足等の背景から、業務改善による生産性向上のために、飲食店における業務やサービスの工程の自動化を求める事業ニーズが高まっている。将来の飲食店舗内調理業務を考えた際、セントラルキッチン等で事前調理された食材を自動で簡易調理し提供することで、省人化及び業務の軽減を行うニーズが増えると見越し、電子レンジ等の調理機器を用いた食品の調理についても自動化を行うべく、従来から特許文献1のような技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、加熱庫内に設けられた撮像部と、撮影部が撮影した加熱庫内の画像から、被加熱物に付与された加熱パワーと加熱時間とを含む加熱制御情報を読取部が読取り、この加熱制御情報に基づき加熱制御部が加熱部を制御して被加熱物を加熱する加熱調理器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WО2019/044413
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、電子レンジを用いた自動調理を実現するためには、加熱庫の内部に被加熱物を撮影する撮像部を内蔵すると共に、撮像部によって撮像された画像から読み取った加熱制御情報に基づき、被加熱物に応じた加熱パワーと加熱時間を判断し、その判断結果に基づいた加熱パワー及び加熱時間で商品を加熱する加熱制御装置を内蔵した専用の電子レンジが必要となるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、汎用の電子レンジを用いて調理の自動化を図ることができる調理システム、調理方法及び調理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の1つの態様の調理システムは、
複数の操作スイッチに応じて動作される調理機器によって調理される調理対象の調理対象情報を取得する調理対象情報取得機器と、
前記調理対象情報に基づいて前記操作スイッチに対応するスイッチ選択信号を生成し、生成された前記スイッチ選択信号を前記調理機器に入力するスイッチ選択信号生成ユニットと、
を備えた調理システムであって、
前記スイッチ選択信号生成ユニットが、
前記調理対象情報に基づいて前記スイッチ選択信号を生成するスイッチ選択信号生成部と、
前記スイッチ選択信号生成部によって生成されたスイッチ選択信号を前記調理機器に入力可能かつ着脱自在に前記調理機器に装着されるスイッチ選択信号入力機構と、
を有し、
前記調理対象情報が、少なくともなくとも前記調理対象の種類を識別する調理対象識別情報を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の1つの態様の調理方法は、
調理対象情報取得機器によって、複数の操作スイッチに応じて動作される調理機器によって調理される調理対象の調理対象情報を取得する調理対象情報取得ステップと、
スイッチ選択信号生成ユニットによって、前記調理対象情報に基づいて前記操作スイッチに対応するスイッチ選択信号を生成し、生成された前記スイッチ選択信号を前記調理機器に入力する調理機器入力ステップと、
を備えた調理方法であって、
前記調理機器入力ステップが、
スイッチ選択信号生成部によって、前記調理対象情報に基づいて前記スイッチ選択信号を生成する工程と、
前記調理機器に着脱自在装着されるスイッチ選択信号入力機構によって、前記スイッチ選択信号生成部により生成されたスイッチ選択信号を前記調理機器に入力するステップと、
を有し、
前記調理対象情報が、少なくともなくとも前記調理対象の種類を識別する調理対象識別情報を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の1つの態様の調理プログラムは、上記自動調理方法における各ステップ及び各工程をコンピュータにより実行可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、汎用の電子レンジを用いて調理の自動化を図ることができる調理システム、調理方法及び調理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る調理システムの外観概略成図である。
図2】第1実施形態に係る調理システムのブロック図である。
図3】スイッチ選択信号入力機構の説明図である。
図4A】スイッチ選択信号入力機構が装着される前の電子レンジの斜視図である。
図4B】スイッチ選択信号入力機構が装着された電子レンジの斜視図である。
図4C】上下2段に並ぶ操作スイッチ810周辺のスイッチ選択信号入力機構の拡大図である。
図5A】冷凍庫の供給コンベアによって供給される調理対象を搬送機構の載置部が受け取った状態を示す図である。
図5B】搬送機構の回動アーム機構が回動されて調理対象が搬送される状態を示す図である。
図5C】調理対象が搬送機構によって電子レンジの内部に収容された状態を示す図である。
図6A】調理対象情報の一例を説明するための図である。
図6B】品目情報・調理内容テーブルを説明するための図である。
図6C】調理内容・操作スイッチテーブルを説明するための図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る調理システムが実行する調理処理の手順を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態に係る調理システムの概略を示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る調理システムの概略を示す図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る調理システムの概略を示す図である。
図11】本発明の第5実施形態に係る調理システムのスイッチ選択信号入力機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る調理システム、調理方法及び調理プログラムを説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための調理システム、調理方法及び調理プログラムを例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0013】
例えば、本発明の実施形態の調理システム又は調理方法に用いる調理機器としては、複数の操作スイッチに対応したスイッチ選択信号に応じて動作されるものであれば如何なるものであってもよい。例えば、オーブン機能あるいはグリル機能を備えた電子レンジ、オーブン加熱機器、グリル加熱機器、ガスコンロ、IHクッキングヒータ、フライヤーであってもよい。また、本発明の実施形態では、調理対象を冷凍庫から取り出すことが例示されているが、調理対象の保存装置は冷凍庫に限定されるものでは無く、例えば、冷蔵庫、保温装置、恒温装置、常温保存装置等でもよい。
【0014】
また、本発明の実施形態の調理システム又は調理方法に用いる加熱対象情報取得機器としては、加熱対象の調理対象情報を取得することができれば、如何なるものであっても良い。例えば、加熱対象に付与されたコード情報、文字・記号情報、RFIDタグ等、各種の調理対象情報記録媒体から情報を取得するバーコードリーダ、RFIDタグリーダ、あるいは、カメラ等の撮像装置であってもよいし、調理対象情報を入力可能なタブレット等の携帯端末であっても良い。
【0015】
また、本発明の実施形態の調理システム又は調理方法は、調理の補助(有人)、調理の半自動化(半無人)、あるいは調理の完全自動化(無人)を含む調理の自動化を可能とするものであり、各種の使用形態が可能である。使用形態としては、例えば、レストラン、食堂、ホテル等のイートイン型、あるいは、デリバリーまたはテイクアウトが可能なテイクアウト型、さらには、特定環境化における自動運転が可能な自動運転機能付き無人移動販売車、有人移動販売車(いわゆるキッチンカー)、ケータリングサービスの提供先への調理システムの運び入れ等の移動型が挙げられる。
【0016】
また、本発明の実施形態の調理システムは、調理対象を搬送する搬送機構と、調理対象の包装材に通気用の切り込みあるいは貫通孔を形成する通気部分形成機構と、調理機器の扉を開閉する扉開閉機構とを備えても良いが、これらは必須構成ではなく、搬送機構、通気部分形成機構、及び扉開閉機構によって行われる処理のいずれか、あるいは全ての処理を作業者が行っても良い。
【0017】
さらに、本発明の実施形態の調理システムは、調理機器による調理に関する情報を本部管理システムに集約して管理する場合、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等の通信可能な端末を介して本部管理システムが接続された通信ネットワークに接続される。なお、通信ネットワークとしては、クラウドネットワーク、ワイドエリアネットワーク等の各種通信ネットワークを用いることができる。
【0018】
また、本発明の実施形態の調理システム又は調理方法の調理対象は、基本的には包装されたものが対象となるが、調理対象情報を付与することができれば未包装のものであっても構わない。その包装形態は、特に限定せず、単に袋詰めされたもの以外に、例えば、丼ぶり等の容器に盛り付けされたものであっても良い。また、調理対象としては、冷凍、冷蔵、常温、保温等、各種保存状態のものが含まれる。
【0019】
また、本発明の実施形態の調理システムのスイッチ選択信号生成ユニットの一部又は全部は、単体の装置として設けられても良いし、調理システム周辺の機器に組み込んでも良い。例えば、調理システムのスイッチ選択信号生成ユニットの一部を調理対象情報取得機器に一体に組み込むことも可能であるし、本部管理システムと接続されているパーソナルコンピュータにより、スイッチ選択信号生成ユニットの一部の機能を実現することも可能である。
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態である調理システムについて、図1乃至図7を用いて説明する。ここで、図1は、第1実施形態に係る調理システムの外観概略成図である。図2は、第1実施形態に係る調理システムのブロック図である。図3は、スイッチ選択信号入力機構の説明図である。図4Aは、スイッチ選択信号入力機構が装着される前の電子レンジの斜視図である。図4Bは、スイッチ選択信号入力機構が装着された電子レンジの斜視図である。図4Cは、上下2段に並ぶ操作スイッチ810周辺のスイッチ選択信号入力機構の拡大図である。図5Aは、冷凍庫の供給コンベアによって供給される調理対象を搬送機構の載置部が受け取った状態を示す図である。図5Bは、搬送機構の回動アーム機構が回動されて調理対象が搬送される状態を示す図である。図5Cは、調理対象が搬送機構によって電子レンジの内部に収容された状態を示す図である。図6Aは、調理対象情報の一例を説明するための図である。図6Bは、品目情報・調理内容テーブルを説明するための図である。図6Cは、調理内容・操作スイッチテーブルを説明するための図である。図7は、調理システムが実行する調理処理の手順を示すフローチャートである。
【0021】
<調理システムの概要>
本実施形態の調理システム100は、調理対象Fに関する調理対象情報を取得する調理対象情報取得機器110と、調理対象情報に基づいて電子レンジ800に対するスイッチ選択信号を生成するスイッチ選択信号生成ユニット120(図2参照。)と、調理対象Fが冷凍保管された冷凍庫700と3台の電子レンジ800との間で調理対象Fを搬送する搬送機構130と、調理対象Fの包装材に通気用の切り込みあるいは貫通孔を形成する通気部分形成機構140(図5A参照。)と、電子レンジ800の扉800aを開閉させる扉開閉機構150と、さらに、通信機能を有するパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)170、入出力装置182、POSシステム180、付加情報取得機器160、レジ184、及び、搬送機構130(図2参照。)とを備えている。
【0022】
本実施形態の調理システム100は、チェーン展開されたレストラン等の複数の店舗Sに設けられており、複数の操作スイッチ810(図4A参照)に対応したスイッチ選択信号に応じて動作される電子レンジ800によって、冷凍庫700から供給される調理対象を調理するものである。
【0023】
また、調理システム100は、メニューの注文から、支払い、調理、及び、提供を含むサービスの一連の流れの一部を自動化(半自動化)又は全部を自動化(完全自動化)するものであり、通信機能を有するPC170を通して通信ネットワークNに接続され、この通信ネットワークNを介して管理サーバを備えた本部管理システム600に接続されている。
【0024】
PC170は、スイッチ選択信号生成ユニット120のシステム制御部121、POSシステム180、ディスプレイ、キーボード、タブレット端末等を含む入出力装置182、レジ184、付加情報取得機器160、顧客端末186と接続されており、店舗及び顧客に関する様々な情報を取得できる。顧客端末186としては、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の顧客自身の端末又は店舗側用意した専用の端末等が挙げられる。システム制御部121は、調理システム100内の各部と通信しながら調理システム100を統合的に制御する。本部管理システム600は、各店舗Sの調理システム100のPC170と通信ネットワークNを介して接続されており、本部管理システム600は、各店舗SのPC170を介して各店舗及び顧客に関する様々な情報を取得できると共に、各店舗向けの管理情報等を送信することが可能である。
【0025】
システム制御部121は、PC170、調理対象情報取得機器110、調理内容決定処理部123a、品目情報・調理内容テーブル125a及び調理内容・操作スイッチテーブル125bと接続されている。調理内容決定処理部123aは、調理対象情報取得機器110で取得した調理対象Fの調理対象情報に基づき、品目情報・調理内容テーブル125a(図6B)を参照して、電子レンジ800による加熱ワット数、加熱温度、火力等の加熱出力(以下「加熱出力」という。)、加熱時間、及び、通気部分形成機構によって形成する通気部の態様の情報(以下「通気部分形成情報」という。)等を含む調理内容を決定する。
【0026】
品目情報・調理内容テーブル125aは、例えば、図6Bに示されるように、各品目情報A、B、C、・・・、Nに調理内容情報としての加熱時間、出力及び通気部分形成情報を関連付けた情報である。例えば、調理対象情報取得機器110によって取得された品目情報が「A」である場合、品目情報・調理内容テーブルによると、品目情報「A」に対応する調理内容情報として、加熱時間「25秒」、加熱出力「1800W」、通気孔処理「1cm切り込み」が関連付けられている。
【0027】
調理内容決定処理部123aが決定した加熱時間、加熱出力、通気部分形成情報等の調理内容情報は、システム制御部121に送信される。システム制御部121は付加情報取得機器160からの情報や本部管理システム600からの情報等に基づいて、必要に応じて調理内容情報に修正を加え、修正後の調理内容情報をスイッチ選択信号生成部123に送信する。スイッチ選択信号生成部123は、修正後の調理内容情報に基づきスイッチ選択信号の演算を行う。
【0028】
スイッチ選択信号生成処理部123bは、調理内容決定処理部123aで決定された調理内容情報に基づき、調理内容・操作スイッチテーブル125b(図6C)を参照して、スイッチ選択信号を生成する。例えば、調理内容決定処理部123aによって決定された調理内容が、加熱時間「25秒」、出力「1800W」である場合、スイッチ選択信号生成処理部123bは、加熱時間「25秒」に対応するスイッチ選択信号を生成すると共に、出力「1800W」に対応するスイッチ選択信号を生成して、これらのスイッチ選択信号をスイッチ選択信号入力機構124に送信する。
【0029】
スイッチ選択信号入力機構124は、スイッチ選択信号生成処理部123bで生成されたスイッチ選択信号に基づき、電子レンジ800の操作スイッチ810に対応する操作指示を電子レンジ800に電気的あるいは機械的に入力する。電子レンジ800は、入力された操作指示に応じた調理を実施する。
【0030】
品目情報・調理内容テーブル125a(図6B)は、品目情報に応じた加熱時間、加熱出力、通気部分形成情報を決定する際に使用され、本部管理システム600から指定されたものを用いることもできるし、店舗Sで独自に設定されたものを用いることもできるし、設定に応じて両者を使い分けることもできる。例えば、本部管理システム600では、本部において決められた品目情報・調理内容テーブル125aを通信ネットワークに接続された全店舗Sに統一させるように通信ネットワークNを介した品目情報・調理内容テーブル125aの管理を行うことができる。また、例えば、店舗Sでは入出力装置182及びPOSシステム180等を用いて、各店舗独自で、後述の品目情報・調理内容テーブルを設定することにより、調理対象情報に応じた、出力、加熱時間、容器への切込みの態様を設定することも可能である。
【0031】
調理内容・操作スイッチテーブル125b(図6C)は、電子レンジ800の各操作スイッチ810と調理内容との対応テーブルであり、本部管理システム600から指定されたものを用いることもできるし、店舗Sで独自に設定されたものを用いることもできるし、設定に応じて両者を使い分けることもできる。調理内容・操作スイッチテーブル125bは、例えば、各店舗で共通する部分については、本部管理システム600から指定されたものを用い、店舗Sが独自で設定したい項目については、PC170の入出力装置182及びPOSシステム180等を用いて店舗ごとに設定される。
【0032】
より具体的には、調理内容・操作スイッチテーブル125bは、例えば、出力1800Wに強スイッチを関連付け、加熱時間15秒に表示番号1の操作スイッチ810を関連付けた情報である。この調理内容・操作スイッチテーブル125bは、電子レンジ800の仕様に応じて定められた操作スイッチ810の設定内容よって決まるものである。すなわち、調理内容・操作スイッチテーブル125bは、電子レンジ800の仕様に応じて定められた選択可能な出力の種類(例えば、150W~1800W)、及び選択可能な加熱時間の種類(例えば、10秒~120秒)を設定用の各操作スイッチ810に関連付けたテーブルである。
【0033】
システム制御部121は、搬送機構130、調理対象情報取得機器110、通気部分形成機構140、及び、扉開閉機構150へ制御指令を送信して、冷凍庫700から取り出された調理対象を電子レンジ800に搬送する制御、調理対象から調理情報を取得する制御、調理内容決定処理部123aにより決定された通気部分形成情報に応じて調理対象のパッケージに通気部分を形成する制御、電子レンジ800の扉800aを開閉する制御、及び、電子レンジ800で調理された調理対象を後工程に搬送する制御が実行される。なお、後工程においては、調理された調理対象の盛付、顧客への提供等の工程が自動又は手動により実行される。
【0034】
例えば、通気部分形成機構140は、システム制御部121を介して、調理内容決定処理部123aで演算された通気部分形成情報を受信する。受信した通気部分形成情報が、例えば「1cm切り込み」の指示であった場合、通気部分形成機構140は、調理対象の包装材に1cmの切り込みを形成する。
【0035】
<調理対象情報取得機器について>
本実施形態の調理対象情報取得機器110は、バーコードリーダ、FRIDリーダ、カメラ等によって実現され、搬送機構130による冷凍庫700から電子レンジ800までの調理対象の搬送の途中で、調理対象に付与されているバーコード、FRIDタグ、又は、文字や図形等も含む調理対象の外観上の特徴等を読み取り、調理対象に対応する品目情報を取得する。
【0036】
調理対象に付与されるバーコードとしては、1次元のバーコード又は2次元バーコードが用いられ、そのバーコードの種類は、JAN、CODE39、CODE128、QRコード(登録商標)等、どのような種類のバーコードであってもよい。バーコードの種類の設定、バーコードデータと品目情報の対応については、POSシステム180又は本部管理システム600から設定変更可能である。
【0037】
RFID(Radio Frequency Identifier)タグは、バーコードよりも多くの調理対象識別情報を記憶することが可能である。本実施形態ではICタグであって、電子レンジ対応型のものであれば、広く利用が可能である(以下、広義のICタグの意味を含めて、「RFIDタグ」という)。電子レンジで使用できないFRIDタグが調理対象に付与されている場合には、調理対象情報取得機器110により調理対象情報を読み取った後に、FRIDタグは調理対象から自動又は手動により取り外される。例えば、通気部分形成機構140にFRIDタグを自動的に取り外す機構を追加することも可能である。
【0038】
また、調理対象情報取得機器110として、カメラを用いる場合には、調理対象情報として、文字や記号を用いることも可能である。
【0039】
調理対象情報取得機器110によって取得される調理対象情報には、少なくとも調理対象識別情報としての品目情報が含まれる。ここで、「品目情報」とは、商品の種類を区別するための情報であり、きめ細かく管理を実現するためには、商品名が同じでも、例えば「大盛」、「並み盛」、「小盛」等の分量の区別や、例えば「激辛」、「大辛」、「中辛」、「甘口」等の味のバリエーション等を判別することができる情報である。なお、品目情報のきめ細やかさのレベルは、本部管理システム600等により、適宜設定することができる。例えば、大雑把な管理が求められる場合には、品目情報としては、例えば「ご飯冷蔵200グラム」「冷凍唐揚げ150グラム」等の区別ができる情報が用いられる。具体的には、品目情報は、図6Aにおいて「A、B、C、・・・、N」で示したようなコード情報である。
【0040】
調理対象情報取得機器110がカメラである場合には、包装材に付与されたバーコード、文字、記号等の他に、調理対象の画像から画像認識により、調理対象識別情報を取得することもできる。カメラからの映像を用いた画像認識によって、調理対象自体の態様、または、調理対象のパッケージの態様を把握し、品目情報を得ることができる。例えば、カメラの映像を画像認識することにより、調理対象のパッケージの形状、模様、絵や文字等の特徴をすることにより、品目情報を得ることができる。また、例えば、調理対象が透明な包装である場合等(食品用透明ラップ包装の場合等)には、カメラの映像を画像認識することにより、調理対象の態様をそのまま把握することができるため、例えば冷凍エビフライ5本等の品目情報を得ることができる。したがって、カメラの映像を画像認識することにより、調理対象を判別する場合には、調理対象の包装にバーコード、文字や記号、RFIDタグ等が付与されていなくとも、品目情報を得ることが出来る。
なお、カメラの映像からの画像認識には、本部管理システム600において機械学習によって訓練済みのニューラルネットワーク等を用いることにより、品目情報の識別制度を向上することが可能である。
【0041】
調理対象情報としては、品目情報の他に、例えば、商品名、価格等の情報(図6A参照)が含まれる。調理対象情報として、さらに、製造ロット番号、製造工場、賞味期限、消費期限の情報を含めることもできる。調理対象情報は、調理対象情報取得機器110から110からシステム制御部121に送信され、調理内容決定処理部123aでの調理内容決定に用いられると共に、PC170にも送信される。PC170に送信された調理対象情報は顧客端末186にも表示することができるので、例えば、顧客は自分の注文した調理対象の商品名、価格、産地等を、調理内容決定処理部123aで決定された調理内容と共に、自分の顧客端末、例えばスマートフォンやタブレット端末等で確認することができる。
【0042】
<調理対象情報取得機器の変形例1について>
調理対象情報の変形例1を説明する。変形例1の調理対象情報には、加熱出力、加熱時間、通気部分形成情報等が付加されている。この場合には、調理対象情報取得機器によって直接、加熱出力、加熱時間、及び、通気部分形成情報等の情報を取得することができる。例えば、調理対象情報がRFIDタグに記憶されている場合には、記憶容量が大きいため、多くの調理対象情報を取り扱うことができる。
【0043】
<調理対象情報取得機器の変形例2について>
調理対象情報の変形例2を説明する。レストランや食堂等の場合、顧客端末186から入力された注文情報に基づいて調理対象情報を取得することも可能である。PC170には、メニューと仕入れられた食品との関係が設定されている。顧客から注文されたメニューに応じて、仕入れられた食品の調理対象情報が特定される。さらには、顧客が顧客端末186から加熱時間や加熱出力を指定するようにしてもよい。例えば、「よく加熱する」「少しぬるめにする」等の注文が顧客からあった時には、この指示に応じて調理内容決定処理部123aにより決定された調理内容情報を修正して、顧客の好みを実現することも可能である。
【0044】
調理対象情報の取得方法は、
(1)直接文字情報を読み込む場合、
(2)バーコードを読み込む場合、
(3)RFIDタグから読み込む場合、
(4)顧客の注文に応じて決定する場合、又は、
(5)調理対象の外観を画像認識する場合、
等を設定により切り替えたり、組み合わせたりすることが可能である。
【0045】
本実施形態をコンビニエンスストア等の販売店あるいは自宅の電子レンジに適用する場合には、購入時の店舗SのPOSシステム180又はレジ184のデータを例えば通信ネットワーク等の通信手段を介して、スイッチ選択信号生成ユニットが受信することにより、電子レンジ800に購入した調理対象の調理対象情報を送信することが可能となる。これにより、購入した調理対象を販売店または自宅の電子レンジ800で調理する際に、顧客は電子レンジ800に送信されている調理対象情報リストの中から、調理しようとしている調理対象に対応する調理対象情報を選択するだけで、電子レンジ800に自動的に選択された調理対象情報に対応するスイッチ選択信号を入力することが可能となる。
【0046】
<システム制御部121における調理内容情報の修正について>
調理内容決定処理部123aで決定された調理内容情報を受信すると、システム制御部121では、PC170で収集された店舗及び顧客情報、本部管理システム600からの店舗管理情報等に基づき、調理内容情報に修正を加えるかどうかを判断する。調理内容情報を修正する必要がない場合には、システム制御部121は調理内容決定処理部123aに対し、演算された調理内容情報をそのまま出力するように指示する。
【0047】
一方、調理内容情報を修正する必要がある場合には、システム制御部121は受信した調理内容情報を修正した上、修正後の調理内容情報を調理内容決定処理部123aに送信し、スイッチ選択信号生成部123において修正後の調理内容情報を使用するように指示する。
【0048】
例えば、本部管理システムから店舗及び顧客の状況に応じた調理内容情報の修正指示がある場合には、システム制御部121はPC170により収集された店舗及び顧客の情報、及び、本部管理システムからの情報に基づき、調理内容情報を修正するための演算を行う。演算の具体例としては、後述のような本部管理システム600において各店舗等から収集された情報等に基づく機械学習により学習されたニューラルネットワークを用いる方法が挙げられる。システム制御部121は、本部管理システム600から送信された学習済みプログラムを受信し、この学習済みプログラムにより、付加情報取得手段等の店舗及び顧客の情報に基づいた調理内容情報の修正演算を行う。なお、ここでは、調理内容情報の修正演算を店舗側のシステム制御部121で実行する例を示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、店舗で演算した調理内容情報、店舗及び顧客情報等を店舗から本部管理システム600に送信して、本部管理システム600側で、その調理内容情報の補正演算を行い、補正後の調理内容情報をその店舗に返信するようにしてもよい。
【0049】
<本部管理システムについて>
本部管理システム600は、各店舗の調理システム100と間での通信ネットワークNを介して、各店舗の情報収集を行うと共に、各店舗に対して管理用の情報を送信する。本部管理システム600は、各店舗から収取した調理内容情報、POSシステム180及び付加情報取得機器160で取得した情報に加え、各種データベースやサーバから取得した日時情報、気象情報、イベント情報等の各種情報を用いて機械学習を行うことにより、全店舗共通の加熱条件情報、各店舗特有の加熱条件情報等を演算することが可能となる。このような学習制御で得られる加熱条件情報に基づき、各店舗の、又は、複数の店舗に共通する品目情報・調理内容テーブル125a、調理内容・操作スイッチテーブル125b、及び、調理内容情報の補正情報を演算することが可能である。本部管理システム600で機械学習により訓練されたニューラルネットのデータは、必要に応じで通信ネットワークを介して、各店舗のシステム制御部121に送信される。これにより、本部管理システム600において訓練済みのニューラルネットワークを用いた加熱条件情報の演算を行うことができることに加え、各店舗においても、本部管理システム600から送信された訓練済みのニューラルネットワークのデータに用いて、各種加熱条件情報の演算を行うことができることが可能である。
【0050】
特に限定されるものではないが、例えば各店舗の品目情報・調理内容テーブル125a及び調理内容・操作スイッチテーブル125bのデータの演算は本部管理システム600で演算し、調理内容情報の補正演算は各店舗で行うようにする等、本部管理システム600側で行う演算と、各店舗側で行う演算との切り分けは、任意に設定可能である。
【0051】
<電子レンジ800の具体的構成について>
本実施形態の調理システム100に用いられる電子レンジ800は、レストラン、コンビニエンスストア等の店舗Sで用いられる商用(業務用)のものであり、図4Aに示すように、操作者によって押圧操作される押しボタン式の複数の操作スイッチ810が上部前面に横方向に並んで配置されている。なお、電子レンジ800は、操作スイッチ810は、押しボタン式に限らず、タッチスイッチ等の接触式であってもよい。また、本実施形態では、操作スイッチ810としては、14個のスイッチを有する例を説明するが、スイッチの数や配置はこれに限定されるものではなく、スイッチマトリクス回路811で対応可能な数であればよい。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態ではスイッチマトリクス回路811は20個まで対応可能である。
【0052】
図4Aでは、操作スイッチ810の中、一番左側に上下に並んだ一対のスイッチ810p、810qがあり、上方のスイッチ810pが強スイッチ、下方のスイッチ810qが弱スイッチである。この上下に並んだ一対のスイッチの右側には、順に、設定スイッチ、表示番号1、2、3、・・・、9とし、右から2番目の操作スイッチ810が表示番号0、一番右側のスイッチがSTARTスイッチである。
【0053】
各操作スイッチ810の役割は、図6Cの調理内容・操作スイッチテーブルを説明するための図に示されている。例えば、強スイッチは出力1800Wに対応し、弱スイッチは出力600Wに対応する。設定スイッチは設定時に用いられるスイッチであって、設定スイッチにより出力切り替え、プリセット内容の設定等の各種設定のためのモード切替等が行える。また例えば、表示番号1は加熱時間10秒に設定され、表示番号2加熱時間15秒に設定され、表示番号3は加熱時間20秒に設定され、表示番号4は加熱時間25秒に設定され、表示番号5は加熱時間30秒に設定され、表示番号6は加熱時間35秒に設定され、表示番号7は加熱時間40秒に設定され、表示番号8は加熱時間45秒に設定され、表示番号9は加熱時間50秒に設定され、表示番号0は加熱時間60秒に設定される。各操作スイッチ810の役割(プリセット値)は、調理内容・操作スイッチテーブル125bにより設定されており、調理内容・操作スイッチテーブル125bは、前述のように、各店舗のPC170から修正されるか、あるいは、本部管理ステム600からの指示により修正される。なお、本実施形態では、出力が1800Wと大きい、商用(業務用)の電子レンジ800を例示しているが、これに限定されるものでは無く、例えば出力が500Wと600Wとに切り替え可能な、家庭用の電子レンジ800を用いても構わない。
【0054】
設定スイッチは、加熱出力の切替、各操作スイッチ810のプリセット値の設定時に使用されるスイッチである。例えば、設定スイッチを3回押すと各操作スイッチ810のプリセット値を変更できるモードに変更できる。そして、各操作スイッチ810のプリセット値が、が変更されると調理内容・操作スイッチテーブル125bも実際のプリセット値に合わせて修正されるため、調理内容・操作スイッチテーブル125bには、各操作スイッチ810の実際のプリセット値と常に整合がとれるように設定される。具体的には、プリセット値の変更もスイッチ選択信号入力機構124からの指示で行うようにすることにより、常に調理内容・操作スイッチテーブル125bは、各操作スイッチ810の実際のプリセット値と整合がとれるように設定される。
【0055】
調理システム100に用いられる電子レンジ800の数は、3台に限定されない。すなわち、1台であっても良いし、2台あるいは4台以上であっても良い。また、電子レンジ800には、出力切り替えスイッチ、加熱時間スイッチ、調理開始スイッチ等の基本操作のスイッチの他、オーブン機能およびグリル機能を含む電子レンジ800を用いる場合、電子レンジ800の場合の操作ボタンに加え、オーブン機能、あるいはグリル機能に対応した操作スイッチ、例えば、機能選択ボタン(電子レンジ機能、オーブン機能、グリル機能)、余熱時間設定ボタン等が設けられている。また例えば、オーブン加熱機器、グリル加熱機器、ガスコンロ、IHクッキングヒータ、フライヤーの場合には、各調理器に必要な加熱温度設定ボタン、火力設定ボタン、加熱時間設定ボタン等の設定ボタンが設けられている。
【0056】
<スイッチ選択信号入力機構について>
スイッチ選択信号入力機構124は、スイッチ選択信号生成処理部123bによって生成されたスイッチ選択信号(L、20本の信号線)に応じて操作スイッチ810に対する押圧位置と、離間位置との間で駆動される複数のスイッチ操作部材124aを含む。本実施形態では、20本のスイッチ操作部材124aが、20個の操作スイッチ810に応じて設けられている。なお、ここでは操作スイッチ810の数は14個として説明しているが本実施形態はこれに限定されるものではなく、スイッチ選択信号Lで扱える信号線の本数が、スイッチ操作部材124aの最大の個数(図4Bでは20個)となる。また、スイッチ選択信号Lをシリアル伝送線とすることも可能である。
【0057】
このスイッチ選択信号入力機構124は、電子レンジ800の上部前面に複数のスイッチ操作部材124aが配置されるように電子レンジ800の上面に装着される。
【0058】
スイッチ選択信号入力機構124は、より具体的には、上述した複数のスイッチ操作部材124aと、複数のスイッチ操作部材124aを回動可能に軸支する回動支持部124bと、各スイッチ操作部材124aを回動支持部124bによって軸支した状態で回動させる複数の操作部材駆動部124cと、複数のスイッチ操作部材124a、回動支持部124b、及び複数の操作部材駆動部124cの組立体が収容されると共に電子レンジ800に着脱自在に装着される筐体124fと、を含む。
【0059】
スイッチ操作部材124aは、操作スイッチ810を押圧する先端部が操作スイッチ810を押圧する方向に斜めに屈曲され、操作部材駆動部124cに接続される後端部が略直角に屈曲された指状をなしている。このスイッチ操作部材124aは、回動支持部124bの回動支軸124dを側面側から挿通させるための回動軸孔124eが形成されている。各スイッチ操作部材124aは、この回動軸孔を通した回動支軸124dによって回動可能に支持されると共に、後端部が操作部材駆動部124cに接続されているため、操作部材駆動部124cの進退動作によって、先端部が操作スイッチ810に対する押圧位置と離間位置との間で移動するように回動支軸124dを軸心として回動される。
【0060】
操作部材駆動部124cは、例えば、直動アクチュエータによって実現される。図4Bではスイッチ操作部材124aは14個であるが、以降の説明では、20個のスイッチ操作部材124aが設けられると仮定して説明する。各操作部材駆動部124cは、スイッチ選択信号の20本のラインからなる信号配線Lを介してスイッチ選択信号生成処理部123bに接続され、スイッチ選択信号生成処理部123bによって生成されたスイッチ選択信号に応じて駆動される。この操作部材駆動部124cは、スイッチ選択信号生成処理部123bから操作スイッチ810を操作する旨のスイッチ選択信号が送信されると、直動アクチュエータを前進駆動させる。この操作部材駆動部124cの前進動作によって、スイッチ操作部材124aが、先端部を操作スイッチ810に押圧する位置に回動支軸124dを軸心として回動され、その後、操作部材駆動部124cの後退動作によって、スイッチ操作部材124aが、先端部を操作スイッチ810から離間させた位置に戻される。
【0061】
本実施形態のスイッチ選択信号入力機構124では、上下2段に並ぶ操作スイッチ810p、810qに対して隣り合う2本のスイッチ操作部材の一方のスイッチ操作部材124pの先端部124p1が上段の操作スイッチ810pの操作面側に向けて回動支軸124d長手方向にずらして連結され、他方のスイッチ操作部材124qの先端部124q1が下段の操作スイッチ810qの操作面側に向けて回動支軸124d長手方向にずらして連結されている。このような先端部を回動支軸124d長手方向にずらして隣り合うスイッチ操作部材124p、124qの構成によって、上下2段に並ぶ操作スイッチ810p、810qに対してもスイッチ操作部材124p、124qによる押圧操作が可能になっている。
【0062】
なお、本実施形態の調理システム100に用いられる電子レンジ800は、図3に示されるように、スイッチマトリクス回路811が内部に組み込まれ、20個の操作スイッチ810に対応した20本の信号配線Lがこのスイッチマトリクス回路811を介して9本の信号配線Lに減らされて電子レンジ800のマイコン812に接続されている。すなわち、スイッチマトリクス回路811では、20個のスイッチを例えば「縦のライン5本」と「横のライン4本」の合計9本の信号配線Lのラインにより特定できる。なお、9本の信号配線Lは雄コネクタ830bを介してマイコン812側の雌コネクタ830aに接続されている(図11参照)。
【0063】
筐体124fの前後方向の一端は、回動支持部124bの回動支軸124dを両端で支える支持片によって、電子レンジ800の上面の前面側、かつ、回動支軸124d長手方向の両端側の位置で、電子レンジ800の上面の前後方向に延在するように固定される。また、筐体124fの前後方向の他端は、図示されない固定部により、電子レンジ800の上面の背面側に固定される。前面側の支持片又は背面側の固定部の少なくとも一方は、例えばネジ部材等により、電子レンジ800の前後方向の寸法を調整できる構造とされている。
【0064】
図1図4B図5Bにおいて、筐体124fは、電子レンジ800の上面に載置される底面のみ示し、スイッチ操作部材124a、回動支持部124b、及び操作部材駆動部124cの組立体を側方及び上方から囲うその他の部分については図示することを省略している。また、図1図4B図5Bにおいて、各操作部材駆動部124cに接続される信号配線L1についても図示することを省略している。
【0065】
本実施形態では、スイッチ選択信号入力機構124の複数のスイッチ操作部材124aが、電子レンジ800の全ての操作スイッチ810に対応して設けられている。すなわち、電子レンジ800に20個の操作スイッチ810が設けられている場合、各操作スイッチ810に対応して20本のスイッチ操作部材124aが設けられている。なお、スイッチ操作部材124aの数は、スイッチ選択信号入力機構124によって押圧操作させたい操作スイッチ810の数だけ設ければよい。例えば、全ての操作スイッチ810に対応する数のスイッチ操作部材124aを設けてもよいし、通常の調理において多用する操作スイッチ810の数だけスイッチ操作部材124aを設けてもよい。例えば、通常の調理において、出力を一定とし、加熱時間のみを変化させて電子レンジ800を使用する場合、出力の操作スイッチ810を操作しないため、この操作スイッチ810に対応するスイッチ操作部材124aは設けなくてもよい。
【0066】
また、スイッチ選択信号入力機構124は、電子レンジ800の上面に装着するものを例示したが、電子レンジ800に対するスイッチ選択信号入力機構124の装着位置はこれに限らず、電子レンジ800の側面であってもよい。
【0067】
<搬送機構130について>
本実施形態の調理システム100における搬送機構130は、図1に示されているように、冷凍庫から供給された冷凍の調理対象を電子レンジ800まで搬送するものである。
【0068】
冷凍庫700は、顧客から注文された調理対象を内部から外部に自動で供給する調理対象自動供給機構710が備えられている。図1では、冷凍庫700を例示したが、本実施形態の保存装置は冷凍庫に限定されるものでは無く、例えば、冷蔵庫、保温装置、恒温装置、常温保存装置等でもよい。
【0069】
調理対象自動供給機構710は、冷凍庫700内に各段に分けて保管された複数の調理対象Fの中から注文に応じた調理対象Fを各段に応じて形成された側面側開口から冷凍庫700の外部に取り出す。次に、調理対象自動供給機構710は、外部に取り出された調理対象Fを各段に応じて設けられた供給コンベア720によって受け取った後、この供給コンベア720によって調理対象Fを搬送機構130に供給する。なお、調理対象Fは、不図示の進退可能なストッパ等によって調理対象自動供給機構710の供給コンベア720上の端部位置に一時留められた後、その供給コンベア720の端部位置から調理対象載置部132c(図5B)上に搬出される。
【0070】
本実施形態の調理システム100における搬送機構130は、冷凍庫700と電子レンジ800の間に設けられた上下移動機構131と、回動支持部132aを中心として回動可能に設けられた回動アーム機構132と、を有する。
【0071】
上下移動機構131は、上下方向に延びるガイド支柱131aに沿って連結移動部131bを移動させる機構であり、連結移動部131bに連結された回動アーム機構132の回動支持部132aを連結移動部131bと共に上下方向に移動させる。より具体的には、上下移動機構131は、調理対象自動供給機構710の供給コンベア720から供給される調理対象Fを供給コンベア720の各段に応じた高さで受け取り、その受け取った調理対象Fを上下に3台並べられた各電子レンジ800に応じた高さ(例えば図5Aの高さ)から電子レンジ800内に収容可能な高さ(例えば図5Bの高さ)まで、回動アーム機構132を上下に移動させる。
【0072】
回動アーム機構132は、回動支持部132aと、回動支持部132aによって回動可能に支持されたアーム部132bと、調理対象Fが載置されるくし歯状の調理対象載置部132cと、アーム部132bの先端に、アーム部材132bと直交方向に、調理対象載置部132cを移動可能に接続された調理対象載置移動部132dと、を含む。
【0073】
この回動アーム機構132は、アーム部132bが回動支持部132aを中心として回動されることによって、調理対象自動供給機構710から供給される調理対象Fを受け取る受取位置と、扉800aが開かれた電子レンジ800の開口周辺位置に調理対象載置部132cを移動させる。また、回動アーム機構132は、電子レンジ800の開口周辺位置に移動された調理対象載置部132cを、調理対象載置移動部132dによってアーム部132bの直交方向に移動させることによって、調理対象Fを電子レンジ800の内方に移動させる。
【0074】
上下移動機構131及び回動アーム機構132の駆動部がシステム制御部121に接続されることにより、搬送機構130はシステム制御部121によって駆動制御される。
【0075】
このような搬送機構130は、回動支持部132aを中心としてアーム部132bが回動される範囲内で冷凍庫から電子レンジ800に調理対象Fを搬送することができるため、装置寸法をコンパクトにすることができる。
【0076】
<調理対象情報取得機器110について>
回動アーム機構132のアーム部132bの長さ方向の中間位置には、調理対象情報取得機器110が設けられている。調理対象情報取得機器110はアーム部132bから立ち上げられたポール部111と、ポール部111から調理対象載置部132c側に屈曲して設けられた屈曲部112と、屈曲部112の先端に設けられた情報取得部113とが設けられている。アーム部132bが図5Aの位置の時には、情報取得部113が供給コンベア720上の調理対象Fに設けられたバーコードを読み取れる位置に向けられている。なお、ここでは情報取得部113がバーコードリーダである例を説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、情報取得部113は例えばRFIDリーダやカメラであってもよい。
【0077】
<通気部分形成機構140について>
本実施形態の調理システム100における通気部分形成機構140は、調理対象Fの包装材に通気用の切り込みあるは貫通孔を形成するものであり、各種寸法の切り込みあるいは貫通孔を形成可能な刃物が設けられている。通気部分形成機構140は、調理対象情報取得機器110の屈曲部112に、調理対象載置部132c側を向くように(図5Aの下方に)設けられている。アーム部132bが図5Aの位置の時には、通気部分形成機構140は、供給コンベア720上の調理対象Fに、システム制御部121からの指示どおり切り込みあるいは貫通孔を刃物等によって形成する。この通気部分形成機構140は、システム制御部121に接続され、システム制御部121によって駆動が制御される。より具体的には、通気部分形成機構140が、システム制御部121によって、品目情報・調理内容テーブル125a(図6B参照)に記憶された通気孔処理に基づいて制御される。すなわち、品目情報・調理内容テーブル125aから、品目情報に対応する通気孔処理が「1cm切り込み」の場合、調理対象Fの包装材に対して1cm切り込みを形成するように通気部分形成機構140が制御され、通気孔処理が「切り込みなし」の場合、調理対象Fの包装材に切り込みを形成しないように通気部分形成機構140が制御される。
【0078】
<扉開閉機構150について>
本実施形態の調理システム100における扉開閉機構150は、図4Bに示されているように、電子レンジ800の扉800aの回動軸側となる側部に設けられ、直動アクチュエータ151によって扉800aを開位置と閉位置とに移動させる。この扉開閉機構150は、システム制御部121から送信される扉800aの開閉を指示する旨の扉開閉信号に応じて扉の開閉動作を実行する。
【0079】
<付加情報取得機器160について>
付加情報取得機器160は、店舗カメラ等の画像取得装置、温湿度測定機器等によって実現される。この付加情報取得機器160によって取得される情報は、例えば、店舗内画像データ、顧客の画像データ、顧客の顔の表情を含む画像データ、店舗内外の温度、湿度等、店舗に来店した顧客あるいは店舗内外の環境に関する情報等である。店舗内の顧客の画像データを画像認識することによって、例えば、店舗の混雑状況、店舗の空席数情報、顧客の顔認識情報(顧客の個人特定情報、顧客の精神状態情報、顧客の健康情報、顧客の環状情報等)等をPC170に入力することができる。
【0080】
これらの付加情報は、システム制御部121において分析され、調理内容決定処理部123aで演算された調理内容情報を補正するために用いられる。この分析に際しては、本部管理システム600において訓練済みのニューラルネットプログラムを使用することができる。
【0081】
例えば、店舗の空席数が比較的多く(店舗が比較的空いている状態)、顧客の顔の表情がリラックスしている時には、スープを提供する時に標準(品目情報・調理内容テーブルによる設定)よりも少し暖かめになるような調理を行うことにより、顧客が「ゆっくりと時間をかけてスープを味わう」ことを前提とした調理内容情報の決定が行われる。
【0082】
ニューラルネットワークの訓練は、店舗側で独自に行うことも可能ではあるが、ビッグデータの収集の観点及び各店舗管理の観点で有効である、本部管理システム600で行うことが望ましい。本部管理システム600では、各店舗情報、日時情報、気象情報、イベント情報等の各種情報を用いて機械学習を行うことにより、ニューラルネットワークを訓練する。この訓練されたニューラルネットワークを利用して、品目情報・調理内容テーブル125aの更新、調理内容決定処理部123aの演算等を行う。
【0083】
<調理システムが実行する調理処理について>
ここで、図7を参照して、本実施形態の調理システムが実行する調理処理の手順を説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係る調理システムが実行する調理処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態の調理システム100は、例えば、飲食店において、レジ184、POSシステム180、顧客端末186等から顧客の注文が受け付けられると、各種異なる品目の複数の調理対象が冷凍保管された冷凍庫700から注文に応じた調理対象が供給される。
【0084】
まず、調理対象Fが冷凍庫700から所定の位置に供給されたか否かが判断される(ステップS101)。例えば、不図示の物体検知センサ等の検出信号に基づいて、調理対象Fが調理対象自動供給機構710の供給コンベア720上の端部位置に移動配置されたか否かを判断される。
【0085】
ステップS101において、調理対象Fが冷凍庫700から所定の位置に供給されたと判断された場合(ステップS101:Yes)、すなわち、不図示の物体検知センサによって、調理対象Fが供給コンベア720上の端部位置に移動配置されたことが検知された場合、調理対象情報取得機器110によって調理対象情報が取得される(ステップS102)。
【0086】
例えば、調理対象情報取得機器110によって調理対象Fの包装材に付与された調理対象情報記録媒体Aとしてのバーコード、あるいはRFIDタグから調理対象情報が読み取られ、その調理対象情報が調理内容決定処理部123aに送信される。なお、調理対象情報取得機器110によって取得される調理対象情報は、例えば図6Aに示されている品目情報を少なくとも含む。調理対象情報取得機器110がカメラである場合、調理対象情報記録媒体Aが調理対象Fに付与されていなくとも、カメラの画像から画像認識することにより、調理対象Fに対応する品目情報を得ることができる。また、顧客端末186から入力により、調理対象Fの品目情報が一義に導き出せる場合には、調理対象情報取得機器110による調理対象情報の読み取りを省略することも可能である。
【0087】
一方、ステップS101において、調理対象Fが冷凍庫700から所定の位置に供給されていないと判断された場合(ステップS101:No)、すなわち、調理対象Fが供給コンベア720上の端部位置に移動配置されていないと判断した場合、ステップS101の判断処理を繰り返す。
【0088】
ステップS102において調理対象情報が取得されると、ステップS103においては、調理内容決定処理部123aが、品目情報・調理内容テーブル125aを参照し、調理対象情報取得機器110によって取得された品目情報から調理対象に応じた調理内容情報を決定する。例えば、調理対象情報取得機器110によって、品目情報Aが取得された場合、調理内容決定処理部123aが、品目情報Aに対応した調理内容情報として、加熱時間「25秒」、出力「1800W」、及び通気孔処理「1cm切り込み」を決定する(図6B参照)。
【0089】
調理内容決定処理部123aにより決定された調理内容情報は、前述のとおりシステム制御部121に送信され、補正の要否が検討され、補正が必要な場合には補正演算後の調理内容情報が採用され、補正が不要な場合には調理内容決定処理部123aにより決定された調理内容情報がそのまま採用される。
【0090】
その後、ステップS103で採用された調理内容情報に基づき、調理内容・操作スイッチテーブル125bを参照して、イッチ選択信号が生成される(ステップS104)。ここで、スイッチ選択信号生成処理部123bが、例えば、加熱時間「25秒」及び出力「1800W」に対応した操作スイッチ810を操作する旨のスイッチ選択信号を生成する。
【0091】
ステップS105では、調理対象Fの包装材に通気部分を形成する必要があるか否かを判断する。例えば、通気部分形成情報が「1cm切り込み」の場合、通気部分を形成する必要があると判断され(ステップS105:Yes)、システム制御部121からの指令により、通気部分形成機構140は調理対象Fの包装材に通気部分形成情報に応じた通気部分を形成し(ステップS106)、ステップS107に処理を移行する。
【0092】
一方、通気部分形成情報が「切り込みなし」の場合、通気部分を形成する必要がないと判断され(ステップS105:No)、ステップS107に処理を移行する。
【0093】
ステップS107において、搬送機構130によって調理対象Fを電子レンジ800に向けて搬送開始する。ここで、調理対象自動供給機構710の供給コンベア720が可動され、供給コンベア720の端部位置に配置されていた調理対象Fが受取位置に配置された回動アーム機構132の調理対象載置部132cに送り出され、調理対象載置部132cに調理対象Fが載置された状態で、回動アーム機構132が対象の電子レンジ800への投入高さ位置に移動されると共に、回動支持部132aを中心としてアーム部132bを電子レンジ800側に向けて移動させる。
【0094】
なお、搬送機構130は現在稼働していない電子レンジ800を搬送先として選択し、調理対象Fを搬送する。なお、3台全ての電子レンジが稼働中の場合には、調理対象Fは供給コンベア720上の端部位置で待機した状態となる。待機した状態の調理対象Fは、調理が終了して空き状態となった電子レンジに搬送される。また、電子レンジ800が、オーブン又はグリル機能を有する場合、オーブン調理又はグリル調理前には余熱時間が必要であるため、この余熱時間中には調理対象Fは供給コンベア720上の端部位置で待機した状態となる。
【0095】
また、電子レンジ800が、オーブン調理、あるいはグリル調理を実行した直後である場合には庫内が高温になっているため、調理完了後、所定の冷却時間が経過されるまでその電子レンジ800には搬送しない。このようにオーブン調理、あるいは、グリル調理を実行した電子レンジに対しては、次の調理を実行させるまで時間を空ける必要があるため、システム制御部121は、オーブン調理以外の調理を先に実行させる等、電子レンジ800の効率的な稼働を考慮して電子レンジ800の割り当てを行う。
【0096】
ステップS108では、扉開閉機構150はシステム制御部121からの指令により、電子レンジ800の扉800aを開く。
【0097】
ステップS109では、搬送機構130は調理対象Fを電子レンジ800内へ収容する。電子レンジ800の内部には開口側から内方に延びる直線状の凹凸が電子レンジ800の幅方向に交互に形成された凹凸テーブル820が設けられている。回動アーム機構132のくし歯状の調理対象載置部132cが、調理対象Fを載置した状態で電子レンジ800の開口正面まで回動され、さらに、調理対象載置移動部132dにより、凹凸テーブル820よりも高い投入高さ位置において、電子レンジ庫内に挿入される。その後、調理対象載置部132cの各くし歯が凹凸テーブル820の各凹部に入ると共に、隣り合うくし歯の各間隙にテーブルの各凸部が入るように、調理対象載置部132cが下降されることによって、調理対象載置部132c上の調理対象Fが電子レンジ800内の凹凸テーブル820上に載せ替えられる。調理対象Fが凹凸テーブル820上に載せられた後、調理対象載置部132cは、さらに所定量だけ下降された後に、調理対象載置移動部132dによって電子レンジ800の庫内から、調理対象Fと干渉しないように電子レンジ800の庫内から引き抜かれる。
【0098】
その後、システム制御部121からの指令により、扉開閉機構150は電子レンジ800の扉800aを閉じる(ステップS110)。
【0099】
その後、ステップS111において、スイッチ選択信号入力機構124は、スイッチ選択信号に応じた操作スイッチ810をスイッチ操作部材124aによって押圧させる。例えば、加熱時間「25秒」、出力「1800W」の場合には、出力1800Wがプリセットされている「強スイッチ」、次に、加熱時間25秒がプリセットされている「表示番号4」、次に、調理開始がプリセットされている「STARTスイッチ」が順にスイッチ選択信号入力機構124により押圧される。このようにスイッチ選択信号入力機構124よる操作スイッチ810の押圧操作によって、調理対象に応じた調理内容での電子レンジ800による加熱調理が開始される。
【0100】
電子レンジ800の仕様が出力切替用の1つの操作スイッチ810の押圧操作によって出力を切り替えるものである場合、その操作スイッチ810に対する1または複数回の押圧操作によって所定の出力に設定される。また、オーブン調理、あるいはグリル調理に対応した加熱調理が実行される場合、これらの調理に対応した操作スイッチ810がスイッチ操作部材124aによって押圧される。
【0101】
その後、電子レンジ800による加熱調理が完了したか否かが判断され(ステップS112)、加熱調理が完了したと判断された場合(ステップS112:Yes)、システム制御部121からの指令により扉開閉機構150は電子レンジ800の扉800aを開く(ステップS113)。一方、ステップS113において、システム制御部121が、電子レンジ800による加熱調理が完了していないと判断した場合(ステップS112:No)、ステップS112における判断処理を繰り返す。なお、システム制御部121は調理内容情報を把握しているため、調理内容情報に含まれている加熱時間の情報から調理終了時刻を計算し、加熱調理が完了したか否かを判定することができる。
【0102】
次に、ステップ114おいて、回動アーム機構132によって調理対象Fが電子レンジ800から取り出され、回動アーム機構132から不図示の搬送装置に受け渡されることにより、調理対象Fが後工程に向けて搬送され、電子レンジ800を用いた調理処理を終了する。
【0103】
なお、ここで説明したシステム制御部121が実行する調理処理の手順では、調理対象が前工程となる冷凍庫700から所定の位置に供給された後、調理対象情報取得機器110によって調理対象情報を取得しているが、調理対象情報取得機器110によって調理対象情報を取得するタイミングはこれに限らない。例えば、前工程の冷凍庫700から顧客の注文に応じた調理対象を供給するため、顧客によって調理対象情報取得機器110としての専用のタブレットを介して入力された注文情報から調理対象情報が取得されるようにしても構わない。あるいは、搬送機構130による調理対象の搬送中に調理対象情報が取得されるようにしても構わない。
【0104】
本実施形態の調理システム100は、顧客からの注文が同時に、あるいは、連続して受け付けられる場合には、上述の調理処理の手順が並行して実行される場合がある。システム制御部121は、複数の調理処理を並行して実行するように調理システムを統合的に制御することが可能であり、電子レンジ800を使用する優先順位の決定や、調理待ち時間が少なくなるような各部の動作手順の決定を行う。
【0105】
<本発明の第1実施形態である調理システム100が奏する効果>
本実施形態の構成により、既存の電子レンジ800に対してスイッチ選択信号入力機構124を装着することによって、スイッチ選択信号生成ユニット120から電子レンジ800に対してスイッチ選択信号が入力されるため、汎用の電子レンジ800を用いて調理の自動化を図ることができる。
【0106】
また、スイッチ選択信号生成部123が、調理対象情報に基づいて調理内容情報を決定する調理内容決定処理部123aと、調理内容決定処理部123aにより決定された調理内容情報に応じてスイッチ選択信号を生成するスイッチ選択信号生成処理部123bとを有し、調理内容決定処理部123aは、少なくとも品目情報と調理内容情報とを関連付けた品目情報・調理内容テーブル125aを参照して、調理対象情報に基づいて調理内容情報を生成し、スイッチ選択信号生成処理部123bは、少なくとも調理内容情報と操作スイッチ810とを関連付けた調理内容・操作スイッチテーブル125bを参照して、調理内容情報に基づいてスイッチ選択信号を生成することにより、調理対象Fに付与される調理対象情報記録媒体に調理内容を記録させる必要がないため、調理対象情報記録媒体として品目情報のみ記録された簡易なものを用いることができ、調理対象に一般的に付与されている調理対象情報を利用することができると共に、スイッチ選択信号生成ユニット120側で調理対象に関する多くの情報を管理することができる。
【0107】
また、スイッチ選択信号入力機構124が、操作スイッチ810に対する押圧または接触位置と、非押圧位置または離間位置と、の間で駆動される複数のスイッチ操作部材124aを含み、複数のスイッチ操作部材124aが、スイッチ選択信号生成処理部123bによって生成されたスイッチ選択信号に応じて制御されることにより、電子レンジ800にスイッチ選択信号入力機構124を装着することによって、スイッチ選択信号に対応した操作スイッチ810がスイッチ操作部材124aによって作業者の指によるスイッチ操作と同様に押圧あるいは接触による操作が行われるため、既存の電子レンジ800をそのまま用いて作業者の手を介さずに電子レンジ800に対して調理対象に応じた調理を実行させることができる。
【0108】
なお、本実施形態の調理システム100は、調理対象の品目情報と調理内容とを関連付けた品目情報・調理内容テーブル125a、及び、調理内容情報と操作スイッチ810とを関連付けた調理内容・操作スイッチテーブル125bが記憶部125に記憶されるものを例示したが、これらの情報をRFIDタグに記録させてもよい。例えば、調理対象に添付されるRFIDタグに加熱時間「25秒」、出力「1800W」、通気孔処理「1cm切り込み」の調理内容の情報を記録してもよい。この場合、記憶部125には、品目情報・調理内容テーブル125a、及び、調理内容・操作スイッチテーブル125bを記憶させる必要はない。
【0109】
[第2実施形態]
以下、図8に基づいて、本発明の第2実施形態である調理システム200を説明する。ここで、図8は、本発明の第2実施形態に係る調理システム200の概略を示す図である。
【0110】
本発明の第2実施形態である調理システム200は、上述した本発明の第1実施形態である調理システム100と比較すると、調理対象を搬送する搬送機構232の構成のみが異なっており、その他の構成については共通しているため、上述した第1実施形態の調理システムと同一の部分、部材について対応する200番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0111】
本実施形態の調理システム200における搬送機構232は、冷凍庫700から供給された調理対象Fをトレー223に載置して移動させることによって電子レンジ800まで搬送すると共に、電子レンジ800による加熱調理が完了した調理対象を盛り付け等の後工程に向けて搬送するものである。
【0112】
この搬送機構232は、調理対象Fが載置されるトレー223と、このトレー223を冷凍庫700の調理対象自動供給機構710から電子レンジ800を通して後工程に移動させる搬送コンベア234と、を有している。なお、搬送機構232の搬送コンベア234は、冷凍庫700の調理対象自動供給機構710の各段の供給コンベア720の高さに対応して昇降可能な部分(不図示)、及び、上下に3台並ぶ電子レンジ800の高さに対応して昇降可能な部分(不図示)が分離して設けられている。また、搬送コンベア234上から電子レンジ800内へトレー233の挿入、及び、電子レンジ800内からのトレー233の取出しは、不図示のトレー押込/引出機構によって行われる。この搬送機構232は、システム制御部121からの指令により制御される。
【0113】
本実施形態の調理システム200による調理処理の手順としては、冷凍庫700の調理対象自動供給機構710からトレー223上に調理対象Fが供給されると、トレー223が搬送コンベア234によって電子レンジ800に向けて搬送開始され、冷凍庫700から電子レンジ800までの搬送の途中で、調理対象情報取得機器210によって調理対象情報が取得され、その取得された調理対象情報に基づいて調理内容決定処理部123aにより決定された通気部分形成情報に応じて、通気部分形成機構240によって調理対象Fの包装材に通気部分が形成される。その後、調理対象Fが、トレー223と共に電子レンジ800内に収容され、調理対象情報に基づいたスイッチ選択信号入力機構による操作スイッチ810の押圧操作が行われて、電子レンジ800による加熱調理が実行された後、搬送機構によってトレー233と共に盛り付け等の後工程に搬送される。
【0114】
[第3実施形態]
以下、図9に基づいて、本発明の第3実施形態である調理システム300を説明する。ここで、図9は、本発明の第3実施形態に係る調理システム300の概略を示す図である。
【0115】
本発明の第3実施形態である調理システム300は、上述した本発明の第2実施形態である調理システムと比較すると、調理対象が電子レンジ800による調理が終了した後、電子レンジ800の後面から次工程に向けて搬出される構成のみが異なっており、その他の構成については共通しているため、上述した第1実施形態の調理システム100と同一の部分、部材について対応する300番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0116】
本実施形態の調理システム300における搬送機構332は、冷凍庫700の調理対象自動供給機構710からトレー333に供給された調理対象Fをトレー333に載置して移動させることによって電子レンジ800まで搬送すると共に、電子レンジ800による加熱調理が完了した調理対象Fを盛り付け等の後工程に向けて搬送するものである。
【0117】
この搬送機構332は、調理対象Fが載置されるトレー333と、このトレー333を冷凍庫700の調理対象自動供給機構710から電子レンジ800に搬送し、電子レンジ800での調理後に後工程へと移動させる搬送コンベア334と、を有している。なお、搬送コンベア334上から電子レンジ800の内部へのトレー333の移動、及び電子レンジ800の内部から外部の搬送コンベア334上へのトレー333の移動は、不図示のトレー押込/引出機構によって行われる。
【0118】
本実施形態の調理システム300は、電子レンジ800の前面側に加えて後面側に扉800a及び各扉800aを開閉させる扉開閉機構350が設けられ、調理対象Fがトレー333の移動によって前面側の扉800aから電子レンジ800の内部に収容され、加熱調理完了済みの調理対象がトレー333の移動によって後面側の扉から電子レンジ800の外に搬出される。
【0119】
本実施形態の調理システム300による調理処理の手順としては、第2実施形態の調理システム200と同様に、冷凍庫700から電子レンジ800までの搬送の途中で、調理対象情報取得機器310によって調理対象情報が取得され、その取得された調理対象情報に基づいて調理内容決定処理部123aにより決定された通気部分形成情報に応じて、通気部分形成機構340によって調理対象の包装材に通気部分が形成される。その後、調理対象が、トレー333と共に電子レンジ800の前面側から電子レンジ800内に収容され、調理対象情報に基づいたスイッチ選択信号入力機構324による操作スイッチの押圧操作が行われて、電子レンジ800による加熱調理が実行された後、搬送機構によって電子レンジ800の後面側からトレー333と共に盛り付け等の後工程に搬送される。
【0120】
[第4実施形態]
以下、図10に基づいて、本発明の第4実施形態である調理システム400を説明する。ここで、図10は、本発明の第4実施形態に係る調理システム400の概略を示す図である。
【0121】
本発明の第4実施形態である調理システム400は、上述した本発明の第2実施形態である調理システム200と比較すると、調理対象を電子レンジ800に対して入出させる機構が異なっており、その他の構成については、基本的に共通しているため、上述した第2実施形態の調理システムと同一の部分、部材について対応する400番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0122】
本実施形態の調理システム400における搬送機構432は、冷凍庫700の調理対象自動供給機構710からトレー433に供給された調理対象Fをトレー433に載置して移動させることによって電子レンジ800まで搬送すると共に、電子レンジ800による加熱調理が完了した調理対象を盛り付け等の後工程に向けて搬送するものである。
【0123】
この搬送機構432は、調理対象Fが載置されるトレー433と、このトレー433を冷凍庫700の調理対象自動供給機構710から電子レンジ800へ搬送し、さらに、電子レンジ800で調理後の調理対象Fをトレー433に載置した状態で後工程へと移動させる搬送コンベア434と、を有している。
【0124】
本実施形態の電子レンジ800は搬送コンベア434の一方の側面に扉800aの正面を向けて位置している。扉800aは正面に向かってスライド可能に設けられている。扉800aは、開位置においては、搬送コンベア434の反対側に向けて引き出されており、搬送コンベア434上のトレー433を、電子レンジ800の本体との間に挟む位置となっている。扉800aの開位置において扉800aと電子レンジ800の本体との間に挟み込まれたトレー433は、扉800aが開位置から閉位置にスライドするのに合わせて、電子レンジ800の庫内に収容される。この動作と逆に、電子レンジ内に収容されたトレー433は扉800aが閉位置から開位置にスライド動作することにより、搬送コンベア434上に取り出される。このように扉800aのスライド式の開閉動作によって、調理対象Fが載置されるトレー433が電子レンジ800の子庫内と搬送コンベア434上との間で出し入れされる。
【0125】
本実施形態の調理システム400による調理処理の手順としては、第2実施形態の調理システム200と同様に、冷凍庫700から電子レンジ800までの搬送の途中で、調理対象情報取得機器410によって調理対象情報が取得され、その取得された調理対象情報に基づいて調理内容決定処理部123aにより決定された通気部分形成情報に応じて、調理対象Fの包装材に通気部分が形成される。その後、調理対象が、扉800aによってトレー433と共に電子レンジ800内に引き込まれ、調理対象情報に基づいたスイッチ選択信号入力機構424による操作スイッチ810の押圧操作が行われて、電子レンジ800による加熱調理が実行された後、扉800aによってトレー433と共に電子レンジ800内から搬送コンベア434上に引き出され、トレー433と共に盛り付け等の後工程に搬送される。
【0126】
[第5実施形態]
以下、図11に基づいて、本発明の第5実施形態である調理システム500を説明する。ここで、図11は、本発明の第5実施形態に係る調理システム500のスイッチ選択信号入力機構525周辺の構成を説明するための図である。
【0127】
本発明の第5実施形態である調理システム500は、上述した本発明の第1実施形態である調理システム100と比較すると、スイッチ選択信号入力機構525の構成が異なっており、その他の構成については、基本的に共通しているため、上述した第1実施形態の調理システム100と同一の部分、部材について対応する500番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0128】
本実施形態の調理システム500におけるスイッチ選択信号生成部523には、スイッチマトリクス回路522aが組み込まれている。
【0129】
本実施形態の調理システム500におけるスイッチ選択信号入力機構524は、スイッチ選択信号生成処理部523bによって生成されたスイッチ選択信号を電子レンジ800に入力可能かつ着脱自在に電子レンジ800に装着される。
【0130】
電子レンジ800の20個の操作スイッチ810に対応した20本の信号配線Lは、スイッチマトリクス回路811を介して9本の信号配線Lに信号線の数を減らされ、雄コネクタ830bに接続されている。一方、マイコン812には9本の信号配線Lが雌コネクタ830aに接続されている。汎用の電子レンジ800は、実施形態1~4の使用形態では、雄コネクタ830bが雌コネクタ830aに接続された状態で、操作スイッチ810の信号が、マイコン812に伝達される。
【0131】
本実施形態では、この雄コネクタ830bと雌コネクタ830aとの間に接続コネクタ526を挿入することにより、スイッチ選択信号生成処理部523bの信号をマイコンに入力している。
【0132】
スイッチ選択信号入力機構524は、スイッチ選択信号生成処理部523bによって生成されたスイッチ選択信号を電子レンジ800のマイコン812に送信可能にマイコン812に接続される接続コネクタ526を含む。また、このスイッチ選択信号入力機構525は、スイッチ選択信号生成処理部523bに接続されたスイッチマトリクス回路522a、スイッチ選択信号生成処理部523bからスイッチマトリクス回路522aへの入力側の20本の信号配線L、スイッチマトリクス回路522aからの出力側の9本の信号配線L、及び、9本の信号配線Lに接続された雄コネクタ526dを含む。20本の信号配線Lはスイッチマトリクス回路522aを介して、9本の信号配線Lに信号線の数を減らされる。
【0133】
接続コネクタ526は、2つの雌コネクタ526a、526b及び1つの雄コネクタ526cを有しており、電子レンジ800のマイコン812側の雄コネクタ526cから、2つの雌コネクタ526a、526bの二股に分岐する二股コネクタとなっている。雄コネクタ526cはマイコン812側の雌コネクタ830aに接続される。一方の雌コネクタ526aは、操作スイッチ810側の雄コネクタ830bに接続されると共に、他方の雌コネクタ526bは、スイッチ選択信号生成処理部523b側の雄コネクタ526dに接続される。
【0134】
スイッチ選択信号生成処理部523b側に設けられたスイッチマトリクス回路522aのスイッチ部分は、フォトカプラ等の半導体素子を使用することにより、電子レンジ800とスイッチ選択信号生成処理部523bとを電気的に絶縁することができるようになっている。
【0135】
このように、雄コネクタ830bと雌コネクタ830aとの間に接続コネクタ526を挿入することにより、電子レンジ800のマイコン812に対して、スイッチ選択信号生成処理部523b側の雄コネクタ526dを着脱可能に接続することができる。
【0136】
上述したように、本発明の第5実施形態である調理システム500は、スイッチ選択信号入力機構524が、スイッチ選択信号生成処理部523bによって生成されたスイッチ選択信号を電子レンジ800の制御部であるマイコン812に接続される接続コネクタ526を含んでいることにより、スイッチ選択信号生成処理部523bで選択されたスイッチ選択信号を着脱自在なコネクタにより接続しているため、既存の電子レンジ800の制御部にスイッチ選択信号入力機構524をコネクタ接続させることにより、電子レンジ800が調理対象に応じた調理を実行できる。
【0137】
本実施形態では、雄コネクタと雌コネクタとの接続について説明したが、接続される両コネクタの一方が雄コネクタ、他方が雌コネクタであればよく、接続される両コネクタの中どちらを雄コネクタにしても構わない。
【0138】
なお、本発明の第1~第5実施形態の調理システム100~500は、有人の店舗に用いられ、メニューの注文から提供を含むサービスの一連の流れの一部を自動化(半自動化)するものを例示したが、メニューの注文から提供を含むサービスの一連の流れを完全自動化することもできる。例えば、テイクアウト型の使用形態として、調理システムを無人自動販売店に用いた場合、顧客が無人自動販売店に設置された専用のメニュー画面の表示に従って希望のメニューを選択することによって、調理対象情報に応じて調理されたメニューが自動で提供される。
【0139】
また、調理システム100~500は、例えば、自動運転機能付き無人移動販売車に用いた場合、顧客がタブレット等の携帯端末によってメニューを選択し、調理対象情報が含まれるメニュー情報が調理システムに送信されることによって、所定の場所を無人で巡回する無人移動販売車によって調理対象情報に応じて調理されたメニューを提供することができる。
【0140】
また、本発明の第1~第5実施形態の調理システム100~500は、調理機器として電子レンジを用いるものを例示したが、例えば、オーブン加熱機器を用いる場合、例えば、「予熱」に対応したオーブン加熱機器特有の操作スイッチを含む各種の操作スイッチに応じたスイッチ選択信号を生成し、このスイッチ選択信号に基づいた調理を実行する。
【0141】
また、調理システム100~500は、グリル加熱機器を用いる場合、例えば、魚の焼き方に関する「切り身」、「姿焼」に対応したグリル加熱機器特有の操作スイッチを含む各種の操作スイッチに応じたスイッチ選択信号を生成し、このスイッチ選択信号に基づいた調理を実行する。なお、例えば、調理システム100~500が、調理機器としてのオーブン加熱機器および電子レンジを混在して構成される場合、オーブン加熱機器の予熱処理の間に電子レンジの加熱調理が必要な調理対象の電子レンジによる加熱調理を実行する。こうすることにより、各種調理機器の特性を考慮した効率的な調理を行うことができる。
【0142】
以上、本発明の各実施形態に係る調理システム100~500、調理方法及び調理プログラムを説明したが、本発明はこれらに限定されるものでは無く、各実施形態を組み合わせたもの、各実施形態に変更を加えたもの等、他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【符号の説明】
【0143】
100、200、300、400、500 調理システム
110、210、310、410 調理対象情報取得機器
111 ポール部
112 屈曲部
113 情報取得部
120、520 スイッチ選択信号生成ユニット
121、221、521 調理制御装置
522a スイッチマトリクス回路
123、523 スイッチ選択信号生成部
123a 調理内容決定処理部
123b、523b スイッチ選択信号生成処理部
124、224、324、424、524 スイッチ選択信号入力機構
124a スイッチ操作部材
124b 回動支持部
124c 操作部材駆動部
124d 回動支軸
124e 回動軸孔
124f 筐体
126 システム制御部
126a 通気加工制御部
526 接続コネクタ
526a、526b、526c コネクタ
125 記憶部
125a 品目情報・調理内容テーブル
125b 調理内容・操作スイッチテーブル
130、232、332、432 搬送機構
131 上下移動機構
131a ガイド支柱
131b 連結移動部
233、333、433 トレー
234、334、434 搬送コンベア
132 回動アーム機構
132a 回動支持部
132b アーム部
132c 調理対象載置部
132d 調理対象載置移動部
140、240、340、440 通気部分形成機構
150、250、350 扉開閉機構
160 付加情報取得機器
600 本部管理システム
700 冷凍庫
710 調理対象自動供給機構
720 供給コンベア
800 電子レンジ
800a 扉
810 操作スイッチ
811 スイッチマトリクス回路
812 マイコン
820 凹凸テーブル
830a、830b コネクタ
F 調理対象
A 調理対象情報記録媒体
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11