(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153199
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60T 7/06 20060101AFI20221004BHJP
B60T 7/04 20060101ALI20221004BHJP
G05G 1/01 20080401ALI20221004BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20221004BHJP
A01D 69/10 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B60T7/06 Z
B60T7/04 C
G05G1/01 Z
G05G1/30 E
A01D69/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056314
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】石井 信介
(72)【発明者】
【氏名】長冨 万里菜
【テーマコード(参考)】
2B076
3D124
3J070
【Fターム(参考)】
2B076AA03
2B076BA07
2B076DB09
2B076DC02
3D124AA33
3D124BB14
3D124CC11
3D124CC28
3D124CC31
3D124DD29
3D124DD33
3D124DD34
3D124DD35
3D124DD37
3D124DD38
3D124DD39
3J070AA02
3J070AA32
3J070BA34
3J070CB02
3J070CB05
3J070CB37
3J070CD03
3J070CD06
3J070DA03
3J070EA21
(57)【要約】
【課題】容易に操作することができる駐車ブレーキを有すること。
【解決手段】一実施形態に係る作業車両100において、ステー50に形成されている貫通孔51は、第1領域51Aと第2領域51Bとを有し、カラー42が第1領域51A内に位置し且つグリップアッシ40が貫通孔51内にロックされていない解除状態において、グリップ41が引っ張られると、圧縮バネ45がピン44及び平座金46によって圧縮され、ブレーキレバー30が回転し、爪部31がノッチ21に近づく方向に移動し、ロッド43が第2領域51B内に位置し且つグリップアッシ40が貫通孔51内にロックされるロック状態に遷移し、ロック状態において、ブレーキペダル10が踏まれると、爪部31とノッチ21とが噛み合い、ブレーキペダル10がロックされる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両であって、
ブレーキペダルと、
前記ブレーキペダルに取り付けられており、ノッチが形成されているノッチ部材と、
貫通孔が形成されているステーと、
前記貫通孔内に挿入されているグリップアッシと、
一端において爪部を有するブレーキレバーと、を備え、
前記グリップアッシは、
断面が円形であり、直線形状で構成されるロッドと、
前記ロッドの一端に設けられているグリップと、
前記ロッドの一端付近において、前記ロッドの外周を覆うように設けられているカラーと、
前記ロッドの他端に設けられている平座金と、
前記ロッドの外周を覆い、前記ロッドに対して摺動するように設けられており、前記ブレーキペダルの他端付近に締結されているピンと、
前記平座金と前記ピンとの間を接続し、前記ロッドの外周を覆うように設けられている圧縮バネと、を有し、
前記貫通孔は、前記カラーが摺動可能な領域である第1領域と、前記カラーの外径よりも短く前記ロッドの外径よりも長い幅方向の長さを有する第2領域とを有し、
前記カラーが前記第1領域内に位置し且つ前記グリップアッシが前記貫通孔内にロックされていない解除状態において、前記グリップが引っ張られると、前記圧縮バネが前記ピン及び前記平座金によって圧縮され、前記ブレーキレバーが回転し、前記爪部が前記ノッチに近づく方向に移動し、前記ロッドが前記第2領域内に位置し且つ前記グリップアッシが前記貫通孔内にロックされるロック状態に遷移し、
前記ロック状態において、前記ブレーキペダルが踏まれると、前記爪部と前記ノッチとが噛み合い、前記ブレーキペダルがロックされる、作業車両。
【請求項2】
前記ロック状態から前記解除状態に遷移した後、前記ブレーキペダルが踏まれると、前記ブレーキペダルのロックが解除される、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記グリップアッシの一端側は、前記グリップアッシの他端側よりも高い位置に配置されている、請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記グリップアッシの前記一端側の位置及び前記他端側の位置は、操作レバーの操作位置の上下方向における最も高い位置と最も低い位置との間に配置される、請求項3に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキペダルを踏み込みながら操作する駐車ブレーキを有する作業車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている駐車ブレーキでは、作業者が、ブレーキペダルを踏み込み及び駐車ブレーキレバーの引き上げを同時に操作する必要があり、煩雑であるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、容易に操作することができる駐車ブレーキを有する作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る作業車両は、ブレーキペダルと、前記ブレーキペダルに取り付けられており、ノッチが形成されているノッチ部材と、貫通孔が形成されているステーと、前記貫通孔内に挿入されているグリップアッシと、一端において爪部を有するブレーキレバーと、を備え、前記グリップアッシは、断面が円形であり、直線形状で構成されるロッドと、前記ロッドの一端に設けられているグリップと、前記ロッドの一端付近において、前記ロッドの外周を覆うように設けられているカラーと、前記ロッドの他端に設けられている平座金と、前記ロッドの外周を覆い、前記ロッドに対して摺動するように設けられており、前記ブレーキペダルの他端付近に締結されているピンと、前記平座金と前記ピンとの間を接続し、前記ロッドの外周を覆うように設けられている圧縮バネと、を有し、前記貫通孔は、前記カラーが摺動可能な領域である第1領域と、前記カラーの外径よりも短く前記ロッドの外径よりも長い幅方向の長さを有する第2領域とを有し、前記カラーが前記第1領域内に位置し且つ前記グリップアッシが前記貫通孔内にロックされていない解除状態において、前記グリップが引っ張られると、前記圧縮バネが前記ピン及び前記平座金によって圧縮され、前記ブレーキレバーが回転し、前記爪部が前記ノッチに近づく方向に移動し、前記ロッドが前記第2領域内に位置し且つ前記グリップアッシが前記貫通孔内にロックされるロック状態に遷移し、前記ロック状態において、前記ブレーキペダルが踏まれると、前記爪部と前記ノッチとが噛み合い、前記ブレーキペダルがロックされることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容易に操作することができる駐車ブレーキを有する作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る作業車両100の側面の一部の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る作業車両100の駐車ブレーキの構造の一例について説明するための図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る作業車両100のグリップアッシ40の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る作業車両100において駐車ブレーキをロックする動作の一例について説明するための図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る作業車両100において駐車ブレーキをロックする動作の一例について説明するための図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る作業車両100において駐車ブレーキをロックする動作の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の第1実施形態の作業車両100について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る作業車両100の側面の一部の一例を示す図であり、
図2は、本実施形態に係る作業車両100の駐車ブレーキの構造の一例について説明するための図であり、
図3は、本実施形態に係る作業車両100のグリップアッシ40の一例を示す図であり、
図4~
図6は、本実施形態に係る作業車両100において駐車ブレーキをロックする動作の一例について説明するための図である。
【0012】
本実施形態に係る作業車両100は、トラクタである。ただし、作業車両100は、トラクタに限定されず、コンバインや移植機等の農業機械(農業車両)であってもよいし、ローダ作業機等の建設機械(建設車両)等であってもよい。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る作業車両100は、ブレーキペダル10と、ノッチ部材20と、ステー50と、グリップアッシ40と、ブレーキレバー30とを備えている。
【0014】
後述するように、作業車(運転者)は、作業車両100において、ブレーキペダル10及びグリップアッシ40を用いて、駐車ブレーキを操作することができるように構成されている。
【0015】
図2に示すように、ブレーキレバー30は、グリップアッシ40のピン44に接続されており、一端において爪部31を有している。なお、
図2に示すように、ブレーキレバー30は、軸Aを中心に回転することができるように構成されている。
【0016】
図2に示すように、ノッチ部材20は、ブレーキペダル10に取り付けられており、ノッチ21が形成されている。
【0017】
図2に示すように、グリップアッシ40は、貫通孔51内に挿入されている。
図3に示すように、グリップアッシ40は、ロッド43と、グリップ41と、カラー42と、平座金46と、ピン44と、圧縮バネ45とを有している。
【0018】
図3に示すように、ロッド43は、断面が円形であり、直線形状で構成されている。すなわち、
図3に示すように、ロッド43は、折れ曲がる部分を有していない。
【0019】
図1~
図3に示すように、グリップ41は、ロッド43の一端に設けられており、作業者がグリップアッシ40を引っ張るときに掴む部分である。例えば、グリップ41は、樹脂によって構成されている。
【0020】
グリップ41の断面は、グリップアッシ40が回転しても問題ないように、円形である。さらに、グリップ41の径は、作業者の2本の指で中央の軸を挟んで引く際に指の引っかかり代が必要十分となる大きさであるとともに、グリップ41の上部を作業者の指1本だけで引くことも可能となるため、操作性が高い。かかる構成によれば、グリップ41が単純な形状となり、製造コストが低下する。
【0021】
図2及び
図3に示すように、カラー42は、ロッド43の一端付近において、ロッド43の外周を覆うように設けられている。
【0022】
図2及び
図3に示すように、平座金46は、ロッド43の他端に設けられている。
【0023】
図2及び
図3に示すように、ピン44は、ロッド43の外周を覆い、ロッド43に対して摺動するように設けられており、ブレーキペダル10の他端付近に締結されている。
【0024】
ロッド43とピン44との間には、クリアランスが十分確保されており、砂等異物の混入時にもこじれることなくスムーズな操作が可能となる。また、ロッド43及びロッド43が挿入されるピン44の穴は、共に断面が円形であるため、ロッド43は、ピン44に対して回転する。
【0025】
図2及び
図3に示すように、圧縮バネ45は、平座金46とピン44との間を接続し、ロッド43の外周を覆うように設けられている。
【0026】
図2に示すように、ステー50は、作業車両100本体に取り付けられており、ステー50には、貫通孔51が形成されている。
【0027】
図2に示すように、貫通孔51は、第1領域51A及び第2領域51Bを有している。すなわち、貫通孔51は、鍵穴状の穴である。
【0028】
ここで、
図2に示すように、第1領域51Aは、カラー42が摺動可能な領域である。一方、第2領域51Bは、カラー42の外径よりも短くロッド43の外径よりも長い幅方向Wの長さを有している。
【0029】
図1に示すように、作業車両100は、運転席1と、運転席の右横側に配置されているポジションレバー61や感度調整レバー62や昇降レバー(図示せず)等の操作レバーとを有していてもよい。
【0030】
ポジションレバー61は、作業装置の制御目標高さを設定するためのレバーである。感度調節レバー62は、作業装置の昇降感度を調節するためのレバーである。昇降レバーは、ポジションレバー61により設定された制御目標高さに作業装置が位置する作業状態と制御目標高さよりも上方に作業装置が位置する非作業状態とを選択的に切り替えるためレバーである。
【0031】
図1に示すように、グリップアッシ40の一端側(グリップ41側)は、グリップアッシ40の他端側(平座金46が設けられている側)よりも高い位置に配置されていてもよい。
図1の例において、グリップアッシ40の一端側の高さ位置は、H1であり、グリップアッシ40の他端側の高さ位置は、H2である。
【0032】
また、
図1に示すように、本実施形態に係る作業車両100において、グリップアッシ43の一端側の位置H1及び他端側の位置H2は、ポジションレバー61や感度調整レバー62(操作レバー)の操作位置の上下方向における最も高い位置H3と最も低い位置H4との間に配置されていてもよい。
【0033】
なお、
図1に示すように、本実施形態に係る作業車両100において、グリップ41の高さ位置H1は、運転席1の座面1Aと略同一な高さ位置に配置されていてもよい。例えば、グリップ41は、作業者が運転席1の座面1Aに座った際の右前方の膝下くらいの位置に配置されていてもよい。
【0034】
以下、
図4~
図6を参照して、一実施形態に係る作業車両100において駐車ブレーキをロックする動作の一例について説明する。
【0035】
第1に、
図4に示すように、作業車両100が、カラー42が第1領域内51Aに位置し且つグリップアッシ40が貫通孔51内にロックされていない解除状態である場合に、作業者は、X1方向に、グリップ41を引っ張る。
【0036】
その結果、
図4に示すように、圧縮バネ45がピン44及び平座金46によって圧縮され、X2方向にブレーキレバー30が回転し、爪部31がノッチ21に近づくX3方向に移動する。
【0037】
第2に、
図5に示すように、作業者は、グリップ41を把持したまま、X4方向にグリップアッシ40を移動させ、ロッド43を第2領域51B内に配置させる。
【0038】
その結果、
図5に示すように、作業車両100は、ロッド43が第2領域51内に位置し且つグリップアッシ40が貫通孔51内にロックされるロック状態に遷移する。
【0039】
第3に、
図1に示すように、かかるロック状態において、作業者は、X5方向にブレーキペダル10を踏み込む。
【0040】
その結果、
図1に示すように、ノッチ部材20がX6方向に移動し、
図6に示すように、爪部31とノッチ21とが噛み合い、ブレーキペダル10がロックされる。
【0041】
以下、
図4及び
図6を参照して、一実施形態に係る作業車両100において駐車ブレーキのロックを解除する動作の一例について説明する。
【0042】
第1に、
図4及び
図6に示すように、作業者が、上述のロック状態において、X1方向に、グリップ41を引っ張り、ロッド43を第1領域51A内に配置させると、作業車両100は、ロック状態から解除状態に遷移する。
【0043】
第2に、
図4に示すように、作業者は、かかる解除状態において、ブレーキペダル10を踏み込むと、ノッチ部材20が更にX6方向に移動し、爪部31とノッチ21との噛み合いが外れて、ブレーキペダル10のロックが解除される。
【0044】
本実施形態では、カラー42が第1領域51A内に位置し且つグリップアッシ40が貫通孔51内にロックされていない解除状態において、グリップ41が引っ張られると、圧縮バネ45がピン44及び平座金46によって圧縮され、ブレーキレバー30が回転し、爪部31がノッチ21に近づく方向に移動し、ロッド43が第2領域51B内に位置し且つグリップアッシ43が貫通孔51内にロックされるロック状態に遷移し、かかるロック状態において、ブレーキペダル10が踏まれると、爪部31とノッチ21とが噛み合い、ブレーキペダル10がロックされる。
【0045】
かかる構成によれば、先にグリップアッシ40を引っ張った状態で固定し、その後に、ブレーキペダル10を踏み込むことで、駐車ブレーキを掛けることができるため、ブレーキペダル10及びブレーキレバー30の同時操作が不要になり、操作性が向上する。
【0046】
本実施形態において、上述のロック状態から解除状態に遷移した後、ブレーキペダル10が踏まれると、ブレーキペダル10のロックが解除されるように構成されていてもよい。
【0047】
かかる構成によれば、ブレーキペダル10のロックを解除するために、ステー50に固定されているグリップアッシ40のロックを解除し、その後、ブレーキペダル10を踏み込むという2段階の操作が必要になるため、誤ってブレーキペダル10のロックを解除してしまうという危険性を低減することができる。
【0048】
本実施形態において、グリップアッシ40の一端側(グリップ41側)は、グリップアッシ40の他端側(平座金46が設けられている側)よりも高い位置に配置されていてもよい。
【0049】
また、本実施形態において、グリップアッシ40の一端側の位置H1及び他端側の位置H2は、操作レバーの操作位置の上下方向における最も高い位置H3と最も低い位置H4との間に配置されていてもよい。
【0050】
かかる構成によれば、作業者の手で操作する際に、体をかがませることなく楽な姿勢でグリップ41を操作することが可能となる。
【0051】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0052】
100…作業車両
1…運転席
1A…座面
10…ブレーキペダル
20…ノッチ部材
21…ノッチ
30…ブレーキレバー
31…爪部
40…グリップアッシ
41…グリップ
42…カラー
43…ロッド
44…ピン
45…圧縮バネ
46…平座金
50…ステー
51A…第1領域
51B…第2領域
61…ポジションレバー
62…感度調整レバー