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  • 特開-冷菓製造装置及び冷菓製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153205
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】冷菓製造装置及び冷菓製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/04 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
A23G9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056321
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000228
【氏名又は名称】江崎グリコ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517288265
【氏名又は名称】シーピーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【弁理士】
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(72)【発明者】
【氏名】増田 勝己
(72)【発明者】
【氏名】永渕 清和
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊明
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GP01
4B014GP04
4B014GP13
4B014GP27
4B014GT01
4B014GT12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フリーザ運転状態安定までの原料ロスおよび回収されるアイスクリームの低減を図ることができる冷菓製造装置及び冷菓製造方法を提供する。
【解決手段】供給される原料ミックスが貯留される貯留タンク2と、前記貯留タンクから供給される被処理液に気泡を抱き込ませるとともに冷凍してクリーム状の被処理液を形成するフリーザ4と、前記フリーザを通過し前記クリーム状に形成された被処理液を前記貯留タンクに還流させ、前記貯留タンク内の原料ミックスに被処理液を混合可能な返送配管部8とを備える冷菓製造装置であって、前記フリーザは、前記被処理液にオーバーラン用空気を供給する空気供給装置44と、オーバーラン用空気が供給された前記被処理液を冷凍する冷凍装置42と、前記空気供給装置から前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を制御する制御部45とを備えることを特徴とする冷菓製造装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される原料ミックスが貯留される貯留タンクと、
前記貯留タンクから供給される被処理液に気泡を抱き込ませるとともに冷凍してクリーム状の被処理液を形成するフリーザと、
前記フリーザを通過し前記クリーム状に形成された被処理液を前記貯留タンクに還流させ、前記貯留タンク内の原料ミックスに被処理液を混合可能な返送配管部とを備える冷菓製造装置であって、
前記フリーザは、前記被処理液にオーバーラン用空気を供給する空気供給装置と、オーバーラン用空気が供給された前記被処理液を冷凍する冷凍装置と、前記空気供給装置から前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を制御する制御部とを備えており、
前記制御部は、下記式1に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第1オーバーラン用空気投入量算出部を備えることを特徴とする冷菓製造装置。
[式1]OrMv=MxPv×〔(OrSv+OrCa)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:フリーザに供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCa:フリーザに供給される被処理液の温度帯に応じて設定されるオーバーラン補正量[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
【請求項2】
前記制御部は、下記式2に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第2オーバーラン用空気投入量算出部をさらに備える請求項1に記載の冷菓製造装置。
[式2]OrMv=MxPv×〔(OrSv-OrCr)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:フリーザに供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
OrCr:下記式3に基づいて算出される被処理液中の空気含有比率[%]
[式3]OrCr=〔OrCn×(OrCc÷100)〕÷MxPv×100
OrCn:下記式4に基づいて算出される被処理液中の空気含有量[L/hr]
[式4]OrCn=MxPv-MxCn
MxCn:下記式5に基づいて算出される被処理液中のミックス含有量[L/hr]
[式5]MxCn =MxPv×(MdPv÷MdSt)
MdPv:フリーザに供給される被処理液の密度[kg/m
MdSt:気泡を抱き込む前の原料ミックスの密度[kg/m
OrCc:フリーザに供給される被処理液の実測密度に応じて設定される空気含有補正量[%]
【請求項3】
前記制御部は、式6に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第3オーバーラン用空気投入量算出部をさらに備える請求項1又は2に記載の冷菓製造装置。
[式6]OrMv=MxPv×(OrSv÷100)×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:フリーザに供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
【請求項4】
原料ミックスを貯留タンクに供給する原料ミックス供給ステップと、
前記貯留タンクから供給される被処理液に気泡を抱き込ませるとともに冷凍してクリーム状の被処理液を形成する含気冷凍ステップと、
前記含気冷凍ステップにより形成されたクリーム状の被処理液を前記貯留タンクに還流し、前記貯留タンク内の原料ミックスに被処理液を混合する還流ステップとを備える冷菓製造方法であって、
前記含気冷凍ステップは、前記被処理液にオーバーラン用空気を供給する空気供給ステップと、オーバーラン用空気が供給された前記被処理液を冷凍する冷凍ステップと、前記空気供給ステップにおいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を制御する制御ステップとを備えており、
前記制御ステップは、下記式1に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第1オーバーラン用空気投入量算出ステップを備えることを特徴とする冷菓製造方法。
[式1]OrMv=MxPv×〔(OrSv+OrCa)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCa:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の温度帯に応じて設定されるオーバーラン補正量[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
【請求項5】
前記制御ステップは、下記式2に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第2オーバーラン用空気投入量算出ステップをさらに備える請求項4に記載の冷菓製造方法。
[式2]OrMv=MxPv×〔(OrSv-OrCr)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
OrCr:下記式3に基づいて算出される被処理液中の空気含有比率[%]
[式3]OrCr=〔OrCn×(OrCc÷100)〕÷MxPv×100
OrCn:下記式4に基づいて算出される被処理液中の空気含有量[L/hr]
[式4]OrCn=MxPv-MxCn
MxCn:下記式5に基づいて算出される被処理液中のミックス含有量[L/hr]
[式5]MxCn =MxPv×(MdPv÷MdSt)
MdPv:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の密度[kg/m
MdSt:気泡を抱き込む前の原料ミックスの密度[kg/m
OrCc:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の実測密度に応じて設定される空気含有補正量[%]
【請求項6】
前記制御部は、式6に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第3オーバーラン用空気投入量算出ステップをさらに備える請求項4又は5に記載の冷菓製造方法。
[式6]OrMv=MxPv×(OrSv÷100)×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷菓製造装置及び冷菓製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からアイスクリーム類に代表される気泡を含む冷菓食品において、空気含有率は、当該冷菓食品の品質や風味の観点から重要な意味を持っている。そこで、このような冷菓食品の製造工程では製造中、常に、オーバーラン(気泡混合体積比率)が一定になるように注意が払われている。
【0003】
例えば、アイスクリーム類の場合、その製造工程における凍結には、フリージングと硬化の2つの工程がある。フリージングは、フリーザ(アイスクリームフリーザ)によって、適度の空気と氷結晶を含有する半凍結状(クリーム状)のアイスクリーム(ソフトクリーム)を得る工程である。ここで、アイスクリーム類の場合には、気泡を抱き込んだミックス(調合液、調製液)中に含まれる空気量がオーバーランと呼ばれ、気泡を抱き込む前のミックスの容量との比率として、オーバーランが百分率で表される。
【0004】
以前から、アイスクリーム類におけるオーバーランの測定には、テスターカップ法が使用されていた。テスターカップ法とは、容積が既知のカップにアイスクリームを充填し、その重さを実測して密度を算出し、この密度からオーバーラン値を算出する方法である。
【0005】
このテスターカップ法では、製造工程中の決められたタイミングで、オーバーランを測定することになる。しかし、この方法では、オーバーランを連続的にモニタリングすることができず、また、テスターカップ法では、製造工程(ライン)中から一度ミックスを抜き取る必要があるため、圧力充填ラインなどの場合には測定し難く、衛生的にも好ましい測定方法ではない。さらにミックスの取り方やカッティングの仕方、カップの側面への付着などにより測定誤差を生じる可能性もある。
【0006】
そこで、ミックスに気泡を抱き込ませて気泡を含む冷菓食品を製造する方法において、オーバーラン値をインラインで連続的に算出することが望まれ、そのような方法としては、特許文献1に開示されている方法が知られている。
【0007】
この特許文献1には、アイスクリームフリーザ通過後のアイスクリームミックスについて、配管内流動中における「導電率」もしくは「密度および圧力」によってクリームのオーバーラン値(気泡混合体積比率)をインラインで連続的に推定計測する方法と、計測されたオーバーラン値を元にフリーザでの空気注入量制御を行う方法が示されている。この方法によれば、フリーザ出口配管よりアイスクリームサンプルを抜き取ることなく、オーバーラン値の評価が出来るので、サンプリングによる製造環境の汚損防止や作業者ごとの計測値のバラツキ解消も期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-39973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術によりアイスクリームオーバーラン値のインライン連続計測は可能となるが、フリーザ運転開始直後は原料となるミックスの温度やフリーザの空気注入圧力などが不安定であり、目標とするオーバーラン値に到達するまでに相当量のミックスをフリーザに通液させる必要があり、アイスクリームの状態が安定(規定温度、オーバーランが規格内に達する、装置内が十分に冷却され圧力や流量が落ち着く)するまでの間、相当量のアイスクリームを廃棄もしくは回収する必要がった。
【0010】
本発明は、このような問題を解消すべくなされたものであって、フリーザ運転状態安定までの原料ロスおよび回収されるアイスクリームの低減を図ることができる冷菓製造装置及び冷菓製造方法を提供することを目的の一つとする。また、本発明においては、このような冷菓製造装置及び冷菓製造方法において、効果的にオーバーラン値を安定化させることも目的の一つとするとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の前記目的は、供給される原料ミックスが貯留される貯留タンクと、前記貯留タンクから供給される被処理液に気泡を抱き込ませるとともに冷凍してクリーム状の被処理液を形成するフリーザと、前記フリーザを通過し前記クリーム状に形成された被処理液を前記貯留タンクに還流させ、前記貯留タンク内の原料ミックスに被処理液を混合可能な返送配管部とを備える冷菓製造装置であって、前記フリーザは、前記被処理液にオーバーラン用空気を供給する空気供給装置と、オーバーラン用空気が供給された前記被処理液を冷凍する冷凍装置と、前記空気供給装置から前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を制御する制御部とを備えており、前記制御部は、下記式1に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第1オーバーラン用空気投入量算出部を備えることを特徴とする冷菓製造装置により達成される。
[式1]OrMv=MxPv×〔(OrSv+OrCa)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:フリーザに供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCa:フリーザに供給される被処理液の温度帯に応じて設定されるオーバーラン補正量[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
【0012】
この冷菓製造装置において、前記制御部は、下記式2に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第2オーバーラン用空気投入量算出部をさらに備えることが好ましい。
[式2]OrMv=MxPv×〔(OrSv-OrCr)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:フリーザに供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
OrCr:下記式3に基づいて算出される被処理液中の空気含有比率[%]
[式3]OrCr=〔OrCn×(OrCc÷100)〕÷MxPv×100
OrCn:下記式4に基づいて算出される被処理液中の空気含有量[L/hr]
[式4]OrCn=MxPv-MxCn
MxCn:下記式5に基づいて算出される被処理液中のミックス含有量[L/hr]
[式5]MxCn =MxPv×(MdPv÷MdSt)
MdPv:フリーザに供給される被処理液の密度[kg/m
MdSt:気泡を抱き込む前の原料ミックスの密度[kg/m
OrCc:フリーザに供給される被処理液の実測密度に応じて設定される空気含有補正量[%]
【0013】
また、前記制御部は、式6に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第3オーバーラン用空気投入量算出部をさらに備えることが好ましい。
[式6]OrMv=MxPv×(OrSv÷100)×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:フリーザに供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
【0014】
また、本発明の前記目的は、原料ミックスを貯留タンクに供給する原料ミックス供給ステップと、前記貯留タンクから供給される被処理液に気泡を抱き込ませるとともに冷凍してクリーム状の被処理液を形成する含気冷凍ステップと、前記含気冷凍ステップにより形成されたクリーム状の被処理液を前記貯留タンクに還流し、前記貯留タンク内の原料ミックスに被処理液を混合する還流ステップとを備える冷菓製造方法であって、前記含気冷凍ステップは、前記被処理液にオーバーラン用空気を供給する空気供給ステップと、オーバーラン用空気が供給された前記被処理液を冷凍する冷凍ステップと、前記空気供給ステップにおいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を制御する制御ステップとを備えており、前記制御ステップは、下記式1に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第1オーバーラン用空気投入量算出ステップを備えることを特徴とする冷菓製造方法により達成される。
[式1]OrMv=MxPv×〔(OrSv+OrCa)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCa:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の温度帯に応じて設定されるオーバーラン補正量[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
【0015】
また、この冷菓製造方法において、前記制御ステップは、下記式2に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第2オーバーラン用空気投入量算出ステップをさらに備えることが好ましい。
[式2]OrMv=MxPv×〔(OrSv-OrCr)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
OrCr:下記式3に基づいて算出される被処理液中の空気含有比率[%]
[式3]OrCr=〔OrCn×(OrCc÷100)〕÷MxPv×100
OrCn:下記式4に基づいて算出される被処理液中の空気含有量[L/hr]
[式4]OrCn=MxPv-MxCn
MxCn:下記式5に基づいて算出される被処理液中のミックス含有量[L/hr]
[式5]MxCn =MxPv×(MdPv÷MdSt)
MdPv:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の密度[kg/m
MdSt:気泡を抱き込む前の原料ミックスの密度[kg/m
OrCc:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の実測密度に応じて設定される空気含有補正量[%]
【0016】
また、前記制御部は、式6に基づいて前記被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第3オーバーラン用空気投入量算出ステップをさらに備えることが好ましい。
[式6]OrMv=MxPv×(OrSv÷100)×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:含気冷凍ステップにおいて貯留タンクから供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フリーザ運転状態安定までの原料ロスおよび回収されるアイスクリームの低減を図ることができる冷菓製造装置及び冷菓製造方法を提供することができる。また、このような冷菓製造装置及び冷菓製造方法において、効果的にオーバーラン値を安定化させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る冷菓製造装置の概略構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る冷菓製造装置及び冷菓製造方法についてについて添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる冷菓製造装置1の概略構成模式図である。本発明に係る冷菓製造装置1は、シャーベット系アイスクリームやクリーム系アイスクリームなどアイスクリーム類を製造する装置であって、図1に示すように、貯留タンク2、混合機3、フリーザ4、サージタンク5、ポンプ6および充填機7とを備えて構成されている。ここで、貯留タンク2と混合機3とは配管91により接続されており、混合機3とフリーザ4とは配管92により接続されており、フリーザ4とサージタンク5とは配管95により接続されており、サージタンク5とポンプ6とは配管96により接続されており、ポンプ6と充填機7とは配管97により接続されている。
【0020】
貯留タンク2は、例えば、別途エージングタンクから供給される原料ミックスが貯留されるタンクである。この貯留タンク2に供給される原料ミックスとしては、通常のアイスクリーム類を製造するときに用いられるものであれば特にその種類は限定されないが、内部に撹拌機を備える構造のものを好適に使用することができる。原料ミックスとしては、例えば、砂糖に代表される糖類、牛乳やクリームに代表される乳製品及び植物性油脂に加え、適宜乳化剤、安定剤を加えたものが通常用いられる。
【0021】
混合機3は、貯留タンク2から供給される被処理液を混合するための装置であり、一般的に使用されるミキサーを用いることができる。
【0022】
フリーザ4は、混合機3を介して貯留タンク2から供給される被処理液に気泡を抱き込ませるとともに冷凍してクリーム状(ソフトクリーム状)の被処理液(以下、クリームという場合もある)を形成する装置であり、図1に示すように、吸入ポンプ41、冷凍装置42、送出ポンプ43および空気供給装置44を備えて構成される。吸入ポンプ41は、貯留タンク2から供給される被処理液をフリーザ4内に引き入れるためのポンプ6であり、冷凍装置42は、被処理液を冷凍してクリームを生成するための冷凍シリンダーである。送出ポンプ43は、冷凍装置42を通過して冷凍された被処理液(クリーム)をフリーザ4外に導くためのポンプである。空気供給装置44は、被処理液にオーバーラン用空気を供給し、該被処理液に気泡を抱き込ませるための装置である。
【0023】
ここで、フリーザ4が有する吸入ポンプ41は、配管92を介して混合機3と接続しており、吸入ポンプ41と冷凍装置42とは配管93を介して接続している。また、冷凍装置42と送出ポンプ43とは配管94を介して接続し、送出ポンプ43は、配管95を介してサージタンク5と接続している。また、空気供給装置44は、配管98を介して配管93と接続しており、該空気供給装置44から供給されるオーバーラン用空気は、配管93内を通過する被処理液中に供給されることになる。なお、空気供給装置44と冷凍装置42とを配管98を介して接続し、空気供給装置44から供給されるオーバーラン用空気を冷凍装置42内の被処理液中に直接的に供給するように構成してもよい。
【0024】
サージタンク5は、フリーザ4が有する送出ポンプ43の作用にて導かれたクリームを後述の充填機7にて所定の製品形状に形成する前に一時的に貯留するためのタンクである。このサージタンク5に貯留されるクリームは、ポンプ6を介して充填機7に供給される。
【0025】
充填機7は、例えば、所定形状の容器にクリームを充填して製品化する、あるいは、モールド内にクリームを充填してスティック付きのアイスクリームを製品化等するための装置であり、従来から公知の装置を使用することができる。
【0026】
また、本発明においては、配管97と貯留タンク2とを接続する返送配管部8をさらに備えて構成されている。この返送配管部8は、返送配管81と切替弁82とを備えており、フリーザ4を通過しクリーム状に形成された被処理液を貯留タンク2に還流させて、該貯留タンク2内の原料ミックス(冷却含気前のミックス)に被処理液(冷却含気後のクリーム)を混合可能とするものである。切替弁82は、配管97の途中に設けられている。このような返送配管部8を備えることにより、フリーザオーバーラン安定までの原料ロス(廃棄されるアイスクリーム)や別途回収保管されるアイスクリームの低減を図ることができる。
【0027】
また、本発明においては、吸入ポンプ41と冷凍装置42(冷凍シリンダー)とを接続する配管93には、この配管93を通過する被処理液の流量(フリーザ4に供給される被処理液の流量[L/hr])及び密度(フリーザ4に供給される被処理液の密度[kg/m])を測定するための質量流量計FICA、該被処理液の温度(℃)を測定するための温度計TIA1、配管93内の圧力を測定する圧力計PIAを備えている。また、送出ポンプ43とサージタンク5とを接続する配管95、および、ポンプ6と充填機7とを接続する配管97には、各配管内を通過する被処理液の温度(℃)を測定する温度計TIA2,TIA3が設けられている。さらに、空気供給装置44から被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を制御する制御部45を備えている。この制御部45は、第1オーバーラン用空気投入量算出部、第2オーバーラン用空気投入量算出部および第3オーバーラン用空気投入量算出部を備えて構成されている。
【0028】
第1オーバーラン用空気投入量算出部は、下記式1に基づいて被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する処理部である。なお、この第1オーバーラン用空気投入量算出部は、シャーベット系アイスクリームを製造する際に好適にオーバーラン用空気投入量を算出するために主に用いられるオーバーラン用空気投入量算出部である。なお、本明細書においては、シャーベット系アイスクリームとは、比較的乳固形分の比率が低く、オーバーラン値も低い冷菓を意味する。
[式1]OrMv=MxPv×〔(OrSv+OrCa)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:フリーザ4に供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCa:フリーザ4に供給される被処理液の温度帯に応じて設定されるオーバーラン補正量[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
【0029】
上記式1におけるMxPvは、流量計FICAによって測定される流量の実測値[L/hr]である。また、OrSvは、上記のように、あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]であり、気泡を抱き込んだ被処理液中に含まれる空気量と、気泡を抱き込む前の原料ミックスの容量との比率であり、目標とするオーバーラン比率である。
【0030】
また、OrCaは、上記のように、フリーザ4に供給される被処理液の温度帯に応じて設定されるオーバーラン補正量[%]であり、温度計TIA1によって測定される被処理液の温度帯に応じて、例えば下記表1に示すような値として設定される。このオーバーラン補正量は、被処理液の温度帯が低くなるにつれ、その値が小さくなる。なお、被処理液の温度帯とオーバーラン補正量との関係は、被処理液(ミックス)の組成や物性により変化するため、テスターカップ法による測定結果をもって被処理液(ミックス)の種類毎に被処理液の温度帯および該温度帯におけるオーバーラン補正量が設定される。
【0031】
【表1】
【0032】
また、OrCoは、上記のように、冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]であり、このオーバーラン計数[%]に係る値は、冷凍装置42の機種に応じて装置メーカーが設定する固定数値である。例えば、冷凍装置42として、GlamEquipment社製W08型を使用する場合には、空気収縮率を考慮してオーバーラン計数[%]の値は、1.14となる。
【0033】
また、第2オーバーラン用空気投入量算出部は、下記式2に基づいて被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する処理部である。なお、この第2オーバーラン用空気投入量算出部は、クリーム系アイスクリームを製造する際に好適にオーバーラン用空気投入量を算出するために主に用いられるオーバーラン用空気投入量算出部である。なお、本明細書においては、クリーム系アイスクリームとは、乳系の原料を含む冷菓、特に、比較的乳固形分の比率が高く、オーバーラン値も高い冷菓を意味する。
[式2]OrMv=MxPv×〔(OrSv-OrCr)÷100〕×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:フリーザ4に供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
OrCr:下記式3に基づいて算出される被処理液中の空気含有比率[%]
[式3]OrCr=〔OrCn×(OrCc÷100)〕÷MxPv×100
OrCn:下記式4に基づいて算出される被処理液中の空気含有量[L/hr]
[式4]OrCn=MxPv-MxCn
MxCn:下記式5に基づいて算出される被処理液中のミックス含有量[L/hr]
[式5]MxCn =MxPv×(MdPv÷MdSt)
MdPv:フリーザ4に供給される被処理液の密度[kg/m
MdSt:気泡を抱き込む前の原料ミックスの密度[kg/m
OrCc:フリーザ4に供給される被処理液の実測密度に応じて設定される空気含有補正量[%]
【0034】
上記式2に関するMxPv、OrSv、OrCoは、上記式1におけるMxPv、OrSv、OrCoと同じである。また、式2におけるOrCrは、上記のように式3に基づいて算出される配管93内における被処理液中の空気含有比率[%]である。式3中のOrCnは、上記式4に基づいて算出される配管93内における被処理液中の空気含有量[L/hr]であり、式4中のMxCnは、上記式5に基づいて算出される配管93内の被処理液中のミックス含有量[L/hr]である。式5中のMdPvは、フリーザ4に供給される被処理液の密度[kg/m](配管93内を通過する被処理液の密度)であり、質量流量計FICAによって測定される被処理液の密度の実測値である。また、式5中のMdStは、気泡を抱き込む前の原料ミックスの密度[kg/m]であり、この原料ミックスの密度については、別途、貯留タンク2に供給される原料ミックスが通過する配管99に設置された質量流量計によって測定することができる。あるいは、冷菓製造装置1の運転開始直後において配管93に設置される質量流量計FICAによって測定することもできる。
【0035】
また、式3中のOrCcは、フリーザ4に供給される被処理液の実測密度帯に応じて設定される空気含有補正量[%]であり、質量流量計FICA によって計測される被処理液の密度の実測値に応じて、例えば下記表2に示すような値として設定される。この空気含有補正量は、被処理液の実測密度帯の値が低くなるにつれ、その値が大きくなる。なお、被処理液の実測密度帯と空気含有補正量との関係は、被処理液(ミックス)の組成や物性により変化するため、テスターカップ法による測定結果をもって被処理液(ミックス)の種類毎に被処理液の実測密度帯および該密度帯における空気含有補正量が設定される。
【0036】
【表2】
【0037】
また、第3オーバーラン用空気投入量算出部は、下記式6に基づいて被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する処理部である。なお、この第3オーバーラン用空気投入量算出部は、上記第1オーバーラン用空気投入量算出部や第2オーバーラン用空気投入量算出部による制御によって、被処理液のオーバーラン値が安定し、被処理液を充填機7に通液させることが可能となった段階において主に用いられるオーバーラン用空気投入量算出部である。
[式6]OrMv=MxPv×(OrSv÷100)×(OrCo÷100)
ここで、
OrMv:オーバーラン用空気投入量[L/hr]
MxPv:フリーザ4に供給される被処理液の流量[L/hr]
OrSv:あらかじめ設定されるオーバーラン比率(設定値)[%]
OrCo:冷凍下における空気収縮の補正値であるオーバーラン計数[%]
なお、上記式6に関するMxPv、OrSv、OrCoは、上記式1におけるMxPv、OrSv、OrCoと同じである。
【0038】
次に、上記構成の本発明に係る冷菓製造装置1の作動について説明する。なお、運転開始段階においては、フリーザ4において生成されるクリーム状の被処理液における生産条件に到達しないことから、切替弁82を操作して、フリーザ4を通過する被処理液が貯留タンク2に還流されるように予めセットし、原料ミックスを貯留タンク2に供給するポンプ(図示せず)や、混合機3、フリーザ4等の運転を開始する。原料ミックスは貯留タンク2に供給され(原料ミックス供給ステップ)、貯留タンク2内の撹拌機によって攪拌されつつ混合機3に導かれさらに攪拌される。混合機3に導かれた被処理液(運転開始直後においては、原料ミックス)は、フリーザ4が有する吸入ポンプ41の作動によりフリーザ4内部に導かれ、空気供給装置44からオーバーラン用空気が投入(空気供給ステップ)された後、冷凍装置42内に導かれ(冷凍ステップ)、被処理液に気泡を抱き込ませるとともに凍結攪拌してクリーム状の被処理液を生成する(含気冷凍ステップ)。なお、生成されたクリーム状の被処理液は、冷凍装置42(冷凍シリンダー)前方側に押されていく。
【0039】
冷凍装置42によって含気冷凍された被処理液は、送出ポンプ43によりサージタンク5に送られた後、ポンプ6によって配管97内に導かれ、切替弁82を介して返送配管81によって貯留タンク2へと還流される(還流ステップ)。貯留タンク2に還流された被処理液(含気されたミックス)は、貯留タンク2内において原料ミックス(含気前の原料ミックス)と混合され、この混合液は、混合機3においてさらに均一に混合され、オーバーラン値が安定するまで、再度、被処理液としてフリーザ4に導かれ、オーバーラン用空気の供給(空気供給ステップ)および冷凍(冷凍ステップ)が繰り返される。
【0040】
ここで、空気供給装置44から被処理液に供給されるオーバーラン用空気の投入量は、制御部45によって制御される(制御ステップ)。制御部45においては、上記式1に基づいて被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第1オーバーラン用空気投入量算出ステップ、又は、上記式2に基づいて被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出する第2オーバーラン用空気投入量算出ステップによって、オーバーラン用空気投入量が決定され、この決定されたオーバーラン用空気投入量を空気供給装置44が被処理液に供給する(空気供給ステップ)。このような制御を行うことにより、すでに含気されたミックスと原料ミックス(含気前の原料ミックス)との混合液である被処理液に対して過剰な空気が投入されることを適切に抑制しながら、貯留タンク2からフリーザ4への被処理液の供給、被処理液への含気、冷凍、貯留タンク2への還流を繰り返しつつ、オーバーラン値の安定化を図ることが可能となる。
【0041】
なお、制御部45が有する第1オーバーラン用空気投入量算出部および第2オーバーラン用空気投入量算出部による演算は、製造する製品がシャーベット系アイスクリームであるかクリーム系アイスクリームであるかによって適宜切り替え可能に構成されている。
【0042】
上述の工程を経て、クリーム状に形成される被処理液の状態が安定した時点で、切替弁82を操作して、サージタンク5に貯留される被処理液(クリーム)を充填機7に供給し最終製品生産を開始する。ここで、クリーム状に形成される被処理液の状態が安定するとは、該被処理液の温度が規定温度内である、オーバーラン値が規格内に達する、装置内が十分に冷却され圧力や流量が落ち着く状態をいう。また、クリーム状に形成される被処理液の状態が安定したか否かについては、質量流量計FICA によって計測される被処理液の密度の実測値が、予め設定される基準設定値に達したか否かによって判定され、密度の実測値が、基準設定値を超えた場合に、切替弁82が自動的に切り替わり、被処理液(クリーム)を充填機7に供給できるように構成することもできる。予め設定される基準設定値としては、気泡を抱き込む前の原料ミックスの密度[kg/m]の値を採用することができる。気泡を抱き込む前の原料ミックスの密度[kg/m]については、別途、貯留タンク2に供給される原料ミックスが通過する配管99に設置された質量流量計によって測定することができる。あるいは、冷菓製造装置1の運転開始直後において配管93に設置される質量流量計FICAによって測定することができる。
【0043】
また、クリーム状に形成される被処理液の状態が安定し、被処理液(クリーム)を充填機7に供給し最終製品生産を開始する段階になった際には、制御部45は第1オーバーラン用空気投入量算出部または第2オーバーラン用空気投入量算出部による演算の代わりに、上記第3オーバーラン用空気投入量算出部によってオーバーラン用空気投入量を算出し(第3オーバーラン用空気投入量算出ステップ)、算出したオーバーラン用空気投入量を空気供給装置44が被処理液に供給するように構成される。
【0044】
上述のように、本発明に係る冷菓製造装置1や冷菓製造方法は、フリーザ4を通過しクリーム状に形成された被処理液をフリーザ4上流側の貯留タンク2にインラインで還流させて、該貯留タンク2内の原料ミックス(冷却含気前のミックス)に被処理液(冷却含気後のクリーム)を混合可能とし、再びフリーザ4を通液させるように構成されているため、状態安定(生産条件到達)までの間に廃棄されるアイスクリーム(原料ロス)や別途回収保管されるアイスクリームの低減を図ることが可能となる。
【0045】
また、上述のように、フリーザ4の運転状態が安定するまでの間、上記式1や式2によって被処理液に供給されるオーバーラン用空気投入量を算出し、算出されるオーバーラン用空気投入量を被処理液に投入するように制御しているため、過剰な空気投入を抑えて効率よくオーバーラン値の安定化を図ることが可能となる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態に係る冷菓製造装置1及び冷菓製造方法について説明したが、冷菓製造装置1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態においては、冷菓製造装置1が、サージタンク5およびポンプ6を備える構成を有しているが、例えば、これらサージタンク5およびポンプ6を省略し、冷凍装置42を通過して冷凍された被処理液(クリーム)をフリーザ4外に導く送出ポンプ43と充填機7とを配管95によって接続するように構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、空気供給装置44は配管98を介して配管93と接続し、該空気供給装置44から供給されるオーバーラン用空気は、配管93内を通過する被処理液中に供給されるように構成されているが、例えば、空気供給装置44から供給されるオーバーラン用空気を、直接的に冷凍装置42内に供給できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 冷菓製造装置
2 貯留タンク
3 混合機
4 フリーザ
41 吸入ポンプ
42 冷凍装置(冷凍シリンダー)
43 送出ポンプ
44 空気供給装置
45 制御部
5 サージタンク
6 ポンプ
7 充填機
8 返送配管部
81 返送配管
82 切替弁
図1