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▶ 上田 和洋の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153215
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】低温熟成黒たまごの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 15/00 20160101AFI20221004BHJP
【FI】
A23L15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021082752
(22)【出願日】2021-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】521207564
【氏名又は名称】上田 和洋
(72)【発明者】
【氏名】上田 和洋
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC02
4B042AC03
4B042AD40
4B042AG07
4B042AH09
4B042AP02
(57)【要約】
【課題】鶏卵の殻の色は地色のままで中身の色だけ茶色に変色したコクと旨みのある低温熟成黒たまごを提供すること。
【解決手段】鶏卵を、白身が固まる60~80℃の温度に保てる保温機に載置する工程と、前記鶏卵を保温機内で70~100時間熟成させる工程とにより処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏卵を、白身が固まる60~80℃の温度に保てる保温機に載置する工程と、前記鶏卵を保温機内で70~100時間熟成させる工程とから成る低温熟成黒たまごの製造方法。
【請求項2】
前記鶏卵は、前記保温機に縦置きにして並べて鶏卵の垂直軸からの偏りをなくしたことを特徴とする請求項1に記載の低温熟成黒たまごの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鶏卵の殻付き加工食品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鶏卵を殻付きのまま加工する食品として知られているのは沸騰水で10分ほど茹でるゆでたまご、茹で時間を6分ほどにして作る黄身が半熟で白身がしっかり固い半熟たまご、水の温度を80℃前後に調整して作る白身も黄身もとろりとしている温泉たまご、石灰や木炭や塩と一緒に粘土で包んでもみがらをまぶして冷暗所で数ヵ月かけて発酵させるピータンがある。
【0003】
低温熟成黒たまごはそれらのものとは見た目も味も製造方法も異なる全く新しい殻付きたまごの加工食品である。一番食感が近いのは白身も黄身も固いゆでたまごで外見は全く同じで食べ方や保存方法も同じであるが、殻を剥いてみると白身の色が茶色になっていて熟成食品独特のコクと旨みがある点が違う。
【0004】
ピータンは冷暗所で数ヵ月かけて発酵させて白身が黒いゼリー状で黄身がグレーになるが、低温熟成黒たまごは70℃前後で70~90時間かけて熟成させるので殻を剥いた時の見た目も製造方法もピータンとは違う。またピータンと同様アヒルやウズラのたまごでも低温熟成黒たまごを作ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開第2000―157220号公報
【相違点】
「石焼きたまご」は石焼き芋の作り方をたまごに応用したもので水を使わず焼き芋のように蒸し焼きにするところは似ているが、100℃に近い高温で短時間で仕上げるので熟成までには至らず白身は白いままで出来上がるものは普通のゆでたまごと変わらない。
【0006】
【特許文献2】特開第2005―46582号公報
【相違点】
「温泉たまごをつくる容器」は水に浸すことなく沸騰したお湯の蒸気で2時間蒸すところは似ているが、こちらも100℃近い高温で短時間で仕上げるので出来上がるものは普通の温泉たまごと変わらない。
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】アマゾン、楽天、ヤフーショッピング等のECサイトで販売されている「たまごプリン」という製品がある。ちなみに「おいしいのはどれ?たまごプリンのおすすめ人気ランキング4選/マイベスト」のサイトで3つのメーカーの商品が紹介されているが商品名が似ていてどれも同じものなので、どちらかのメーカーが特許を出願しているものと思われる。ここで紹介されている4つのメーカーのうちの1つはたまごを材料に使って作った一般的なカップ入りのプリンなので対象外である。3つのメーカーは株式会社北坂たまご(販売元まんてん堂)の「たまごまるごとプリン」、後藤孵卵場の「たまごプリン」、出雲ファームの「ピュアプリン」である。
【相違点】
これは鶏卵を殻付きのまま高速で回転させて白身と黄身が均一になるように攪拌してから高温で加熱して固めるたまご100%の加工食品だが、1つ300円以上と非常に高額で一般人が毎食食べるのには向かない。この製品は白身と黄身を均一に攪拌して短時間で固めるが、低温熟成黒たまごは白身と黄身を攪拌させることなく70~90時間かけて70℃前後で熟成させるので殻を剥いた時の中身の見た目と製造方法が違う。
【0008】
【非特許文献2】子供向けの玩具として株式会社タカラトミーアーツからクッキングトイ「おかしなたまご まわしてまわしてまるごとプリン」が発売されている。価格は2,400円+消費税と子供向けの玩具としては結構高額である。これは生卵をプリンの形のカプセルに入れて本体にセットしたらレバーを前後に動かすと卵が高速で回転して中身が攪拌するので、このあと卵をラップでくるんで沸騰して火を止めたお湯に入れたら蓋をして30分待てばたまごプリンが出来上がるというものである。これもたまごプリンの特許を使用した製品だと思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
鶏卵の殻付き加工食品はゆでたまご、半熟たまご、温泉たまご、ピータンとバラエティに富んでいるがここ数年安価な新商品が登場していないので、製品の価格と卵を産む鶏の種類や飼育方法に対するこだわりだけが商品を選ぶ基準になっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
低温熟成黒たまごは製造方法が単純明解で手軽に作れるので、市販のゆで卵と同程度の価格で販売することができる。また殻を剥いた時の茶色の見た目や独特な味わいに従来品にはない特長があるので違いがわかりやすい。
【発明の効果】
【0011】
低温熟成黒たまごをゆでたまごと同程度の価格で提供すれば、消費者の選択肢が増えて栄養価が高い鶏卵の加工食品の市場をさらに拡大させて国民の健康促進にも貢献できる。
【0012】
また生卵ではなく栄養価も高いので災害時の非常食や発展途上国の支援食料としても使え、日本発の全く新しい鶏卵の殻付き加工食品として世界中に広まる可能性もある。
【0013】
高価な鶏卵を選んで使う必要もなく冷蔵保存しておけば賞味期限後1ヶ月までの鶏卵を材料として使えるので、賞味期限の関係で廃棄されそうな鶏卵を安く仕入れて材料にすれば今問題となっている廃棄ロスの対策にもなる。
【0014】
低温熟成黒たまごが普及すれば大量生産をするための製造ラインが必要となり、そのための設備投資が景気を押し上げる効果もある。
【発明を実施するための形態】
【実施例0015】
鶏卵をサルモネラ菌を死滅させて白身が固まる60℃~80℃を保てる保温機に縦置きに並べて70~100時間熟成させると外見の殻の色は変わらず中身だけが茶色に変色する。縦置きに並べるのは黄身の位置を真ん中に保つためである。保温機は使用する電力がまちまちなので、これを事前に確認しておかないと電気代に大きな差が出る。尚保温が60℃以下になると白身がしっかり固まらず、80℃以上になると熟成がうまく進まず中身が固くなってしまう。また保温が70時間に満たないと白身がしっかり固まらず、100時間を超えると中身が固くなって味が落ちる。出来上がったものをゆでたまごのように殻を剥いて食べると熟成食品独特のコクと旨みが生まれる。食感と食べ方はゆでたまごと同じであるが、殻を剥いた時の白身は茶色くなっていて熟成食品特有の味わいがある。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
鶏卵を、白身が固まる60~80℃の温度に保てる保温機に載置する工程と、前記鶏卵を保温機内で60℃~80℃で70~100時間熟成させる工程とから成る低温熟成黒たまごの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
ピータンは冷暗所で数ヵ月かけて発酵させて白身が黒いゼリー状で黄身がグレーになるが、低温熟成黒たまごは60℃~80℃で70~100時間かけて熟成させるので殻を剥いた時の見た目も製造方法もピータンとは違う。またピータンと同様アヒルやウズラのたまごでも低温熟成黒たまごを作ることができる。