(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015322
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】画像表示器、車両及び遊技機
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20220114BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220114BHJP
【FI】
G09F13/18 N
F21S2/00 433
F21S2/00 435
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118063
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(72)【発明者】
【氏名】菊池 正尚
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩司
【テーマコード(参考)】
3K244
5C096
【Fターム(参考)】
3K244AA04
3K244BA50
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EC01
3K244EC22
3K244ED22
5C096AA01
5C096BA02
5C096CA06
5C096CA16
5C096CB04
5C096CC06
5C096CC13
5C096CE26
5C096CF07
5C096FA02
5C096FA04
5C096FA09
5C096FA11
5C096FA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】比較的シンプルな構成で、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像の表示が可能な、画像表示器、車両及び遊技機を提供する。
【解決手段】画像表示器は、光源20、及び、光源から入射した光を伝搬して外部へと出射する導光体を備えた画像表示器であって、導光体は、光源からの入射光を内部伝搬する基材13と、基材の少なくとも一方の面13Aに設けられた凹凸構造を有し、基材を内部伝搬した光を取り出す光抽出部11と、を含み、光抽出部は、凹凸構造の凹凸周期が可視光波長帯域の最小値以上で且つ10μm以下であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源、及び、該光源から入射した光を伝搬して外部へと出射する導光体を備えた画像表示器であって、
前記導光体は、前記光源からの入射光を内部伝搬する基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた凹凸構造を有し、前記基材を内部伝搬した光を取り出す光抽出部と、を含み、
前記光抽出部の凹凸構造は、凹凸周期が可視光波長帯域の最小値以上で且つ10μm以下であることを特徴とする、画像表示器。
【請求項2】
前記光抽出部の凹凸構造は、凹凸形状及び凹凸周期が一定であることを特徴とする、請求項1に記載の画像表示器。
【請求項3】
前記光抽出部の凹凸構造は、凹凸形状及び/又は凹凸周期がランダムであることを特徴とする、請求項1に記載の画像表示器。
【請求項4】
前記光抽出部の凹凸構造の凹凸周期が、300nm以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像表示器。
【請求項5】
前記光抽出部の凹凸構造の凹凸高さが、平均で100nm以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の画像表示器。
【請求項6】
前記基材の少なくとも一方の面に設けられた、反射防止層をさらに含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像表示器。
【請求項7】
前記反射防止層が微細凹凸構造を有し、該微細凹凸構造の凹凸周期が可視光波長帯域の最小値よりも小さいことを特徴とする、請求項6に記載の画像表示器。
【請求項8】
前記反射防止層の微細凹凸構造の凹凸高さが、平均で150nm以上であることを特徴とする、請求項7に記載の画像表示器。
【請求項9】
前記反射防止層が、前記基材の両面に設けられることを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載の画像表示器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の画像表示器を備えたことを特徴とする、車両。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の画像表示器を備えたことを特徴とする、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像の表示が可能な、画像表示器、車両及び遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光学体の一種として、光の導波現象を利用した光学体が知られている。このような光学体は、導光板とも称される。この導光板の内部には、導光板の側面に設けられた光源から光が入射され、導光板の内部に入射された光、すなわち内部伝播光は、導光板の表面(すなわち、導光板の内部と外部との界面)で反射しながら導光板の内部を伝播する。その後、導光板の側面から入射された内部伝播光は、導光板の表面から取り出され、出射される。
【0003】
このような導光板は、各種の表示装置用の発光体、あるいは照明用の発光体として用いることができる。発光体については、例えば、各種LCD(例えば、ローカルディミング駆動方式のLCD)、パッシブタイプ表示装置、車両に搭載された画像表示パネル、アミューズメント向けの光装飾パネルやデジタルサイネージ等の広告向けのイルミパネル等が挙げられる。
【0004】
ここで、上述のような発光体(導光板)を用いた技術については、内部伝搬光の取り出し効率に加えて、意匠性やコンストラクトの高い画像を表示できることが要求されている。
例えば特許文献1には、光源と、当該光源から導入された光を光出射面のほぼ全体に広げて光出射面から出射させる導光板とを備えた面光源装置において、導光板の光出射面と反対側の面に複数の凹状パターンが形成され、該導光板の光出射面及びその反対側の面に互いに反射特性の異なる反射防止膜を形成することで、光の利用効率を高めつつ、画面のてかりの抑制を図る技術が開示されている。
また、特許文献2には、光源と、当該光源から導入された光を光出射面のほぼ全体に広げて光出射面から出射させる導光板とを備えた面光源装置において、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部が周期的に配置された反射防止構造を形成し、該反射防止構造の凹凸周期を可視光帯域の最小波長よりも小さくすることで、回折光の発生を抑え、表示画像のコンストラクト向上を図る技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、光源からの光を導光する透明の基材の裏面側に複数の微小凹部が形成された表示板において、表示板の表面に反射防止部を設け、微小凹部は、所定の意匠をなす第一凹パターン部と、その背景をなす第二凹パターン部から構成し、前記第一凹パターン部の前記微少凹部の間隔を大きく(50μm以上と)し、前記第二凹パターン部の前記微少凹部の間隔を小さく(200nm以下と)することで、外光に対する反射を抑え、表示画像の意匠性を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-141867号公報
【特許文献2】特開2006-179495号公報
【特許文献3】特開2010-190599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~3に開示された技術では、いずれも単色発光を目的としており、導光板から発射される光が光源の波長に依存したものとなることから、光源として一般的な白色光源を用いる場合には、光源と導光板だけのシンプルな構成では、十分な画像の意匠性を確保できなかった。
【0007】
また、特許文献1の面光源装置については、反射防止膜が導光板の出射面にのみ形成されており、垂直入射光に対しての設計であることや、入射光を取り出すための構造体を設けた場合には、十分な反射防止特性が得られないという問題があった。
さらに、特許文献2の面光源装置については、関係式で規定した範囲の凹凸周期を設けた場合であっても回折光を十分には抑制できず、依然としてコントラスト向上の点で改善が望まれていた。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、比較的シンプルな構成で、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像の表示が可能な、画像表示器、車両及び遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、光源、及び、該光源から入射した光を伝搬して外部へと出射する導光体と、を備えた画像表示器について、上記の課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、導光体として、光源からの入射光を内部伝搬する基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた凹凸構造であり且つ前記基材を内部伝搬した光を取り出す光抽出部と、を設け、光抽出部の凹凸構造の凹凸周期を、一定範囲(可視光波長帯域の最小値以上で且つ10μm以下)に規定することによって、別の部材や複雑な構造を用いることなく、選択した可視光領域の光を抽出し、外部へと効率的に照射できることを見出した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)光源、及び、該光源から入射した光を伝搬して外部へと出射する導光体を備えた画像表示器であって、前記導光体は、前記光源からの入射光を内部伝搬する基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた凹凸構造を有し、前記基材を内部伝搬した光を取り出す光抽出部と、を含み、前記光抽出部の凹凸構造は、凹凸周期が可視光波長帯域の最小値以上で且つ10μm以下であることを特徴とする、画像表示器。
上記構成によって、比較的シンプルな構成で、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像の表示が可能となる。
(2)前記光抽出部の凹凸構造は、凹凸形状及び凹凸周期が一定であることを特徴とする、上記(1)に記載の画像表示器。
(3)前記光抽出部の凹凸構造は、凹凸形状及び/又は凹凸周期がランダムであることを特徴とする、上記(1)に記載の画像表示器。
(4)前記光抽出部の凹凸構造の凹凸周期が、300nm以上であることを特徴とする、上記(1)~(3)のいずれかに記載の画像表示器。
(5)前記光抽出部の凹凸構造の凹凸高さが、平均で100nm以上であることを特徴とする、上記(1)~(4)のいずれかに記載の画像表示器。
(6)前記基材の少なくとも一方の面に設けられた、反射防止層をさらに含むことを特徴とする、上記(1)~(5)のいずれかに記載の画像表示器。
(7)前記反射防止層が微細凹凸構造を有し、該微細凹凸構造の凹凸周期が可視光波長帯域の最小値よりも小さいことを特徴とする、上記(6)に記載の画像表示器。
(8)前記反射防止層の微細凹凸構造の凹凸高さが、平均で150nm以上であることを特徴とする、上記(7)に記載の画像表示器。
(9)前記反射防止層が、前記基材の両面に設けられることを特徴とする、上記(6)~(8)のいずれかに記載の画像表示器。
(10)上記(1)~(9)のいずれかに記載の画像表示器を備えたことを特徴とする、車両。
上記構成によって、比較的シンプルな構成で、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像の表示が可能となる。
(11)上記(1)~(9)のいずれかに記載の画像表示器を備えたことを特徴とする、遊技機。
上記構成によって、比較的シンプルな構成で、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像の表示が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比較的シンプルな構成で、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像の表示が可能な、画像表示器、車両及び遊技機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像表示器の概略構成を示す側断面図である。
【
図2】
図1に示した画像表示器の導光体の一部を拡大して示した側断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像表示器における導光体の、光抽出部の凹凸構造の配設例を示した平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る画像表示器における導光体の、光抽出部の凹凸構造の配設例を示した平面図であり、(a)及び(b)は千鳥配列、(c)及び(d)は矩形配列の例を示す。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る画像表示器の概略構成を示す側断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る画像表示器における導光体の、光抽出部の凹凸構造の配設例を示した平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る画像表示器における導光体の、反射防止層の微細凹凸構造の配設例を示した平面図である。
【
図8】(a)は、導光体をロールツーロールで製造する転写装置の一例を示した模式図であり、(b)は、転写装置で用いられる原盤の一例を模式的に示した斜視図である。
【
図9】(a)~(d)は、実施例1における各サンプルの画像表示器の、導光体の光抽出部の微細凹凸構造を、上からSEMにより拡大観察した際の画像である。
【
図10】本発明例1のサンプルについて、波長に対する分光正反射スペクトルを示した図である。
【
図11】(a)~(e)は、実施例2における各サンプルの画像表示器の、導光体の光抽出部の微細凹凸構造を、上からSEMにより拡大観察した際の画像である。
【
図12】(a)及び(b)は、実施例の画像表示器を用いることによって得られたデザイン画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例について、必要に応じて図面を用いながら具体的に説明する。
図1は、本発明の画像表示機器の一実施形態を模式的に示した側断面図であり、
図2は、
図1に示した本発明の画像表示器の導光体の一部を拡大し、断面を模式的に示した図であり、(b)は、本発明の画像表示装置中の光学体の一実施形態を拡大し、正面から見た状態を示した図である。
図3は、本発明の画像表示機器の一実施形態における導光体の光抽出部について、凹凸構造の配置例を示した平面図であり、
図4は、本発明の画像表示機器における導光体の光抽出部の凹凸構造の配列について、いくつかの例を示した平面図である。
また、
図5は、本発明の画像表示機器の他の実施形態を模式的に示した側断面図であり、
図6は、本発明の画像表示機器の他の実施形態における導光体の光抽出部について、凹凸構造の配置例を示した平面図である。
さらに、
図7は、本発明の一実施形態に係る画像表示器における導光体の反射防止層について、微細凹凸構造の一例を示した平面図である。
なお、各図面の中で開示した各部材については、説明の便宜のため、実際とは異なる縮尺及び形状で模式的に表しているものもある。
【0014】
<画像表示機器>
まず、本発明の画像表示機器の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本発明の画像表示器1は、光源20、及び、該光源20から入射した光を伝搬して外部へと出射する導光体10を備える。
そして、本発明の画像表示器1では、
図1及び
図2に示すように、前記導光体10は、前記光源20からの入射光を内部伝搬する基材13と、該基材13の少なくとも一方の面(
図1)に設けられた凹凸構造を有し、前記基材13を内部伝搬した光(内部伝搬光)L10を取り出す光抽出部11と、を含み、
該光抽出部11は、
図2に示すように、前記凹凸構造の凹凸周期P1が可視光波長帯域の最小値以上で且つ10μm以下であることを特徴とする。
【0015】
前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸周期P1を一定範囲(具体的には、可視光波長帯域の最小値以上且つ10μm以下)にすることで、前記内部伝搬光L10を効率的に取り出すことができることに加えて、前記凹凸構造の凹凸周期P1の調整を行うことで、所望の可視光を取り出すことができ、表示画像の意匠性を高めることも可能となる。
また、本発明の画像表示機器1では、導光体10が、少なくとも基材13と該基材13条に形成された光抽出部11を有していればよく、比較的シンプルな構成によって、優れた意匠性の実現が可能となる。さらに、前記導光体10に、反射防止機能を持たせることで、外光の反射を抑制し、コンストラクトを高めることもできる。
【0016】
(導光体)
本発明の画像表示器における導光体10については、
図1に示すように、光源20から入射した光を伝搬して外部へと出射するための部材であり、少なくとも、基材13と、光抽出部11と、を含む。
【0017】
・基材
前記基材13は、
図2に示すように、基材13の内部に入射された光、すなわち内部伝播光L10を、基材13の延在方向(基材13の厚さ方向に垂直な方向、
図1では水平方向)に伝播させる部材である。
そのため、前記基材13を構成する材料は、ある程度の強度を有し、光の伝搬性を有するものであればよく、その他の構成は特に限定はされず、従来使用される材料から適宜選択することができる。例えば、光の伝搬性に優れた樹脂、好ましくは熱可塑性樹脂で構成されることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、A-PET、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。また、前記基材13は、光の伝導性に優れた無機材料で構成されてもよい。このような無機材料としては、例えばケイ素系の材料、より具体的にはガラス等が挙げられる。基材13の厚さは特に制限されず、導光体10aの用途等によって適宜調整すればよい。
【0018】
また、前記基材13の形状についても、特に限定はされず、導光体10の要求される性能に応じて適宜選択することができる。例えば、
図2に示すように、板状(フィルム状)とすることができる。さらに、前記基材13の厚さについても、特に限定はなく、前記導光体10に要求される条件に応じて適宜選択することができる。
【0019】
・光抽出部
前記光抽出部11は、
図2に示すように、前記基材13の少なくとも一方の面(
図2では、面13A)に設けられた凹凸構造を有し、前記基材13を内部伝搬した内部伝搬光L10を取り出し、外部へ出射するための部材である。
なお、前記光抽出部11は、前記基材13とは別部材として、例えばフィルムのような状態で、前記基材13上に貼り付けることで形成してもよく、また、前記基材13を加工して基材13の表面に凹凸構造を形成することで、光抽出部11とすることもできる。
【0020】
前記光抽出部11の凹凸構造は、前記基材13の少なくとも一方の面13Aに設けられ、
図2に示すように、内部伝播光L10を取り出し、外部に出射する。
図2の直線L10は、内部伝播光の光路を示し、直線L11は、外部に取出された光、すなわち、取出し光(出射光)を示す。つまり、前記光抽出部11の凹凸構造に到達した内部伝播光は、光の回折現象により、外部に出射される。前記光抽出部11の凹凸構造は、前記基材13の表面13Aのうち、光を取出したい箇所に形成される。
なお、前記光抽出部11は、
図2にでは、前記基材13の一方の面13Aのみに形成しているが、要求される性能に応じて、前記基材13の他方の面13Bにも形成することもできる。
【0021】
ここで、前記光抽出部11の凹凸構造は、いわゆるモスアイ構造と呼ばれるものであり、多数の光抽出凸部11a及び光抽出凹部11bを有する。前記光抽出凸部11aは、前記前記基材13の延在面から厚さ方向外側に突出した形状を有し、光抽出凹部11bは、前記前記基材13の延在面から厚さ方向内側に窪んだ形状を有する。
【0022】
そして、本発明の画像表示器1の光抽出部11では、前記凹凸構造の凹凸周期Pが可視光波長帯域の最小値以上で且つ10μm以下であることを要する。前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸周期Pが可視光波長帯域の最小値よりも小さい場合や10μmを超える場合には、前記基材13中の内部伝搬光L10を効率よく取り出すことができない。同様の観点から、前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸周期Pは、300nm~10μmであることが好ましく、400nm~5μmであることがより好ましい。なお、前記可視光波長帯域の最小値とは、可視光線のうち最も短い波長であり、本発明では、270nm程度である。
ここで、前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸周期Pは、例えば、前記光抽出部11を拡大観察し、行方向に隣接する光抽出凸部11aの行及び列方向に隣接する光抽出凸部11aの組を複数個ピックアップし、それぞれのドットピッチP1及びトラックピッチP2を算出する。そして、算出されたピッチの算術平均値を凹凸構造の凹凸周期とすることができる。
【0023】
また、前記光抽出部11の凹凸構造については、特定の色の可視光を取り出し、意匠性を高める観点から、
図2に示すように、前記凹凸構造の凹凸形状(光抽出凸部11a及び光抽出凹部11bの形状)並びに凹凸周期Pが一定であることが好ましい。
【0024】
前記凹凸構造の凹凸形状及び凹凸周期Pが一定である場合、前記凹凸構造の凹凸の平均周期に応じた周波数の光を導光体10から取り出すことが可能となる。例えば、内部伝播光L10が白色光となり、前記凹凸構造の凹凸の平均周期Pが370nmの場合には、取出し光L11は青色光となる。また、凹凸の平均周期Pが400nmとなる場合取出し光L11は緑色光となる。さらに、前記凹凸構造の凹凸の平均周期Pが500nmとなる場合、取出し光は黄色光となる。また、前記凹凸構造の凹凸の平均周期Pが600nmの場合、取出し光L11は赤色光となる。なお、前記凹凸構造の凹凸の平均周期Pの平均周期が大きいほど、取出し光の輝度が大きくなる傾向がある。
なお、前記内部伝播光P10が単色光となる場合には、内部伝播光L10の波長が前記凹凸構造の平均周期Pに対応する場合にのみ、前記光抽出部11から外部に取り出されることとなる。
【0025】
前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸形状及び凹凸周期Pが一定の場合、例えば
図3に示すように、前記光抽出凸部11a及び前記光抽出凹部11bの形状が同じであり、且つ、凹凸周期P1及びP2がそれぞれ同一となる。
なお、前記光抽出凸部11の凹凸構造の凹凸周期Pが一定であるとは、光抽出凸部11aがある方向に一定の周期で配設されている状態を意味する。例えば、前記凹凸の周期Pは、
図3に示すように、行方向のピッチ(所謂ドットピッチ)P1と、列方向のピッチ(所謂トラックピッチ)P2に区分できる。前記ドットピッチP1は、本発明では、行方向に隣接する光抽出凸部11aの頂点間距離とし、前記トラックピッチP2は、列方向に隣接する光抽出凸部11aの頂点間距離とする。前記光抽出部11の凹凸構造が反射防止層と一定の周期性を有するとは、すなわち、ドットピッチP1及びトラックピッチP2がそれぞれ一定値となることを意味する。
【0026】
また、前記光抽出凸部11の凹凸構造の配列は、例えば
図3に示すように、千鳥配列とすることができ、千鳥配列以外の配列となってもよい。さらに、前記光抽出凸部11の凹凸構造における、ドットピッチP1とトラックピッチP2とは、同じ周期であっても、異なっていても良い。
前記光抽出凸部11の凹凸構造の配列については、例えば、千鳥配列や矩形配列等とすることができる。千鳥配列や矩形配列としては、例えば
図4に示すように、ドットピッチP1がトラックピッチP2よりも小さい千鳥配列(
図4(a))、ドットピッチP1がトラックピッチP2よりも大きい千鳥配列(
図4(b))、ドットピッチP1とトラックピッチP2との大きさが同じ矩形配列(
図4(c))、ドットピッチP1とトラックピッチP2との大きさが異なる矩形配列(
図4(d))等が挙げられる。
【0027】
なお、前記光抽出凸部11の凹凸構造の形状が同一であるとは、前記光抽出凸部11aの形状が全て略同一であることを意味する。
また、前記凹凸構造の光抽出凸部11a同士は連結していても、離間していてもよい。
【0028】
さらに、前記光抽出部11の凹凸構造については、白色光を含む多様な光を効率的に取り出す観点からは、
図5に示すように、前記凹凸構造の凹凸形状(光抽出凸部11a及び光抽出凹部11bの形状)、並びに/又は、凹凸周期Pがランダムであることが好ましい。
【0029】
前記凹凸構造の凹凸形状及び凹凸周期Pがランダムである場合、多様な周波数の光を取出すことができる。このため、内部伝播光L10が白色光である場合には、取出し光L11として白色光を取出すことができる。一方、内部伝播光が単色光であれば、内部伝播光L10と同じ周波数の単色光を、取出し光L11として取出すことができる。
なお、本発明の画像表示器1では、前記光抽出凸部11の凹凸構造の凹凸周期Pがランダムである場合でも、全ての凹凸周期Pが可視光波長帯域の最小値以上で且つ10μm以下となる(つまり、前記凹凸構造の凹凸周期Pの最小値が可視光波長帯域の最小値以上であり、前記凹凸構造の凹凸周期Pの最大値が10μm以下である)。
【0030】
前記光抽出凸部11の凹凸構造の凹凸形状及び/又は凹凸周期Pがランダムであるとは、光抽出凸部11aの大きさが周期性なく異なるか、光抽出凸部11aが特段の周期性なく配設されている状態を意味する。前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸形状及び/又は凹凸周期Pがランダムの場合、例えば、前記凹凸の周期Pは、
図6に示すように、前記光抽出凸部11a及び前記光抽出凹部11bは、前記基材13の一方の面13A上において、それぞれ異なる大きさでランダムに形成されている。すなわち、前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸の形状及び/又は周期が一定になっておらず、
図6に示すように、凹凸構造がマトリックス状に分散配置されたものであるといえる。
【0031】
なお、
図3では、前記凹凸構造のドットピッチP1及びトラックピッチP2がいずれもランダムな周期性を有し、且つ、前記凹凸構造の凹凸形状についても大きさがそれぞれランダムに異なっている。
ただし、本発明では、前記凹凸構造のドットピッチP1及びトラックピッチP2が一定であり、前記光抽出凸部11aの形状がランダムになる場合や、前記凹凸構造の光抽出凸部11aの形状が同じであるが、前記凹凸構造のドットピッチP1及びトラックピッチP2がランダムになる場合も含まれ、さらに、前記凹凸構造のドットピッチP1又はトラックピッチP2のいずれか一方だけがランダムであるような場合も含まれる。
また、前記凹凸構造の光抽出凸部11a同士は連結していても、離間していてもよい。
【0032】
また、
図2に示すように、前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸高さHが、平均で100nm以上であることが好ましい。より効率的に、前記内部伝播光L10を取り出すことができるためである。ここで、前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸高さHとは、前記基材13の面13Aから突出した光抽出凸部11aの平均高さのことである。
なお、前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸高さHは、製造性や強度を保持する観点から、平均で1μm以下であることが好ましい。
同様の観点から、前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸高さHは、平均で100~800nmであることがより好ましく、200~500nmであることがよりさらに好ましい。
【0033】
ここで、前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸周期Pは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)、あるいは断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)等によって、観察可能である。
また、前記光抽出部11の凹凸構造の凹凸高さHは、断面SEMによって測定可能である。断面SEMによっていくつかの光抽出凸部11aの高さを測定して、これらの算術平均値を平均高さとすればよい。
【0034】
なお、前記光抽出部11を構成する材料については、前記内部伝播光L10を取り出すことができるものであれば、特に限定はされない。例えば硬化性樹脂の硬化物で構成される。すなわち、詳細は後述するが、前記光抽出部11は、原盤100の表面形状(原盤100の表面形状は前記光抽出部11の凹凸構造の反転形状を有する)を基材13の表面に予め形成された未硬化樹脂層に転写し、その後未硬化樹脂層を硬化することで形成することができる。このように、1つの原盤100で前記光抽出部11を基材13の表面13Aに、比較的容易に形成することができる。なお、前記基材13の両面の形状が異なる場合、それぞれの形状に応じた原盤100を用意することができる。それによって、本実施形態によれば、凹凸構造を作成するための原盤及びプレス機等が不要となる。
【0035】
前記硬化性樹脂の硬化物は、透明性を有することが好ましい。硬化性樹脂は、重合性化合物と硬化開始剤とを含む。重合性化合物は、硬化開始剤によって硬化する樹脂である。重合性化合物としては、例えばエポキシ重合性化合物、及びアクリル重合性化合物等が挙げられる。エポキシ重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のエポキシ基を有するモノー、オリゴマー、またはプレポリマーである。エポキシ重合性化合物としては、各種ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、F型等)、ノボラック型エポキシ樹脂、ゴムおよびウレタン等の各種変性エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びこれらのプレポリマー等が挙げられる。
【0036】
アクリル重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のアクリル基を有するモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーである。ここで、モノマーは、さらに分子内にアクリル基を1つ有する単官能モノマー、分子内にアクリル基を2つ有する二官能モノマー、分子内にアクリル基を3つ以上有する多官能モノマーに分類される。
【0037】
前記単官能モノマーとしては、例えば、カルボン酸類(アクリル酸)、ヒドロキシ類(2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート)、アルキル又は脂環類のモノマー(イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、その他機能性モノマー(2-メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピル-アクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチル-アクリレート、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルアクリレート)、2,4,6-トリブロモフェノールアクリレート、2,4,6-トリブロモフェノールメタクリレート、2-(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エチルアクリレート)、2-エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
【0038】
前記二官能モノマーとしては、例えば、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパン-ジアリルエーテル、ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0039】
前記多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
【0040】
上記で列挙したアクリル重合性化合物以外の例としては、アクリルモルフォリン、グリセロールアクリレート、ポリエーテル系アクリレート、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルカプロラクトン、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、脂肪族ウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。重合性化合物は、前記光抽出部11の透明性の観点からは、アクリル重合性化合物が好ましい。
【0041】
前記硬化開始剤は、硬化性樹脂を硬化させる材料である。硬化開始剤の例としては、例えば、熱硬化開始剤、光硬化開始剤等が挙げられる。硬化開始剤は、熱、光以外の何らかのエネルギー線(例えば電子線)等によって硬化するものであってもよい。硬化開始剤が熱硬化開始剤となる場合、硬化性樹脂は熱硬化性樹脂となり、硬化開始剤が光硬化開始剤となる場合、硬化性樹脂は光硬化性樹脂となる。
【0042】
ここで、前記光抽出部11の透明性の観点からは、前記硬化開始剤は、紫外線硬化開始剤であることが好ましい。したがって、硬化性樹脂は、紫外線硬化性アクリル樹脂であることが好ましい。紫外線硬化開始剤は、光硬化開始剤の一種である。紫外線硬化開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等が挙げられる。
【0043】
また、前記光抽出部11や、後述する反射防止層12の表面は、親水性、撥水性、曇り防止等の機能性が付与された樹脂であっても良い。
さらに、前記光抽出部11や、後述する反射防止層12には、本発明の画像表示器1の用途に応じた添加剤を添加することもできる。このような添加剤としては、例えば、無機フィラー、有機フィラー、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤などが挙げられる。なお、無機フィラーの種類としては、例えば、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Al2O3等の金属酸化物微粒子が挙げられる。
【0044】
なお、前記光抽出部11や、後述する反射防止層12は、前記基材13上に直接形成されてもよいが、任意の接着層を介して、前記基材13の面上に接着させることも可能である。
【0045】
・反射防止層
本発明の画像表示器における導光体10については、
図1に示すように、前記基材13の少なくとも一方の面(
図1では両面)に設けられた、反射防止層12をさらに含むことが好ましい。
前記基材13中の内部伝搬光L10を反射することで、外部への流出を防ぐことで、光の取出し効率を高めることができることに加え、外光の反射を抑制できるため、画像のコントラストをより高めることができる。
【0046】
反射防止層は、前記基材13の面13A、13Bのうち、光抽出部11が形成されていない領域に形成される。例えば
図1では、基材13の他方の表面10Bの全域と、一方の表面10Aのうち、光抽出部11が形成されていない領域とに反射防止層12が形成されている。反射防止層12は、
図2に示すように、内部伝播光の回折、すなわち外部への漏出を抑制する。すなわち、反射防止層に到達した内部伝播光を基材13内で反射させる。このため、前記光抽出部11において内部伝播光を効率よく取り出し、外部に出射することができる。なお、前記導光体10は、少なくとも光抽出部11を有していればよく、反射防止層を有していない態様も含まれる。
【0047】
ここで、前記反射防止層12は、反射を抑制できる性能を有する層であれば特に限定はされない。例えば、微細凹凸構造(モスアイ構造)を有する反射防止膜や、多層反射防止膜(多層AR)、防眩フィルム等を用いることができる。これらの中でも、より高いコントラストが得られる点や、上述した光抽出部11との膜厚の差がなく、製造がしやすい点等から、前記反射防止層12は、微細凹凸構造を有するものが好ましく、該微細凹凸構造の凹凸周期が可視光波長帯域の最小値よりも小さいものがより好ましい。
【0048】
前記微細凹凸構造を有する反射防止層12は、例えば
図1及び
図2に示すように、多数の反射防止凸部12a及び反射防止凹部12bを有する微細凹凸構造からなる反射防止膜とすることもできる。反射防止凸部12aは、導光体10aの厚さ方向外側に突出した形状を有し、反射防止凹部12bは、導光体10aの厚さ方向内側に窪んだ形状を有する。
【0049】
前記射防止層12の微細凹凸構造における反射防止凸部12a及び反射防止凹部12bは、基材13の面13A、13B上に、一定周期で形成される。より具体的には、
図7に示すように、前記射防止層12の微細凹凸構造は、凹凸がマトリックス状に分散配置された(
図7では、千鳥状に分散配置された)ものであるといえる。したがって、前記射防止層12の凹凸構造を構成する凹凸は、行方向のピッチ(所謂ドットピッチ)P11と、列方向のピッチ(所謂トラックピッチ)P12に区分できる。前記ドットピッチP11は、より具体的には、行方向に隣接する反射防止凸部12aの頂点間距離であり、トラックピッチP12は、列方向に隣接する反射防止凸部12aの頂点間距離である。
図7に示すように、前記ドットピッチP11及びトラックピッチP12は、いずれも一定値となる。また、前記反射防止凸部12aの配置はいわゆる千鳥配置となっている。なお、前記ドットピッチP11とトラックピッチP12と、は同じ大きさであっても、異なっていてもよい。
また、前記ドットピッチP11及びトラックピッチP12は、一定の周期で変動してもよい。例えば、ドットピッチP11は、行方向に正弦波掃引態様で変動してもよい。この場合、行方向の距離とドットピッチP11との対応関係を示すグラフが正弦波形となる。また、反射防止凸部12aの形状は全て略同一となっている。基材13の一方の表面10Aに形成される前記射防止層12の微細凹凸構造と他方の表面10Bに前記射防止層12の微細凹凸構造とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0050】
さらに、前記反射防止層12の微細凹凸構造の凹凸の平均周期は、可視光波長帯域の最小値未満である。ここで、前記射防止層12の微細凹凸構造の平均凹凸周期は、前記ドットピッチP11及びトラックピッチP12の算術平均値として与えられる。例えば、行方向に隣接する反射防止凸部12aの組及び列方向に隣接する反射防止凸部12aの組を複数個ピックアップし、これらのドットピッチP11及びトラックピッチP12を算出する。そして、算出されたピッチの算術平均値を凹凸の平均周期とすればよい。
【0051】
そして、前記反射防止層12の微細凹凸構造の凹凸の平均周期は、上述したように、可視光波長帯域の最小値未満であることが好ましい。反射防止性能がより高まり、より優れた画像のコンストラクトが得られるためである。同様の観点から、前記微細凹凸構造の凹凸の平均周期は、350nm未満であることがより好ましく、280nm未満であることがさらに好ましく、270nm未満であることが特に好ましい。
また、前記反射防止層12の微細凹凸構造の凹凸の平均周期の下限値は特に制限されないが、微細凹凸構造を安定して形成するという観点からは、100nm以上であることが好ましい。凹凸の平均周期が上述した範囲内の値となる場合に、より確実に内部伝播光の漏出を抑制することができる。
【0052】
さらに、また、前記反射防止層12の微細凹凸構造の平均凹凸高さ(具体的には、反射防止凸部12aの平均高さ)は特に制限されないが、150nm以上であることが好ましい。この場合、より内部伝播光L10の回折を抑制することができるとともに、外部光の反射をより確実に抑制できる。
【0053】
ここで、前記反射防止層12の微細凹凸構造は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)、あるいは断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)等によって観察可能である。なお、前記反射防止層12の微細凹凸構造の凹凸配列は、千鳥配列に限られない。例えば、凹凸配列として、矩形配列とすることもできる。また、前記反射防止層12の微細凹凸構造の平均高さは、断面SEMによって測定可能である。断面SEMによっていくつかの反射防止凸部12aの高さを測定して、これらの算術平均値を平均高さとすればよい。
【0054】
なお、前記反射防止層12を構成する材料については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。例えば、前記反射防止層12が、微細凹凸構造(モスアイ構造)を有するものである場合には、上述した光抽出部11と同じ材料から構成することができる。また、前記反射防止層12が、多層AR膜や、防眩膜の場合には、公知の条件で形成することが可能である。
【0055】
・導光体の製造方法
前記導光体10の製造条件については、特に限定はされない。例えば、
図8(a)及び(b)を参照して、導光体10の製造方法の一例について説明する。導光体10は、原盤100を用いたロールツーロール方式の転写装置300によって製造可能である。
図8(a)に示す転写装置300では、光硬化性樹脂を用いて導光体10を作製する。なお、
図8(a)では、前記反射防止層12の微細凹凸構造だけが存在するトラック(行)における断面図を示している。
【0056】
前記転写装置300としては、原盤100と、基材供給ロール301と、巻取りロール302と、ガイドロール303、304と、ニップロール305と、剥離ロール306と、塗布装置307と、光源309と、を備えるものが挙げられる。
【0057】
また、前記基材供給ロール301は、長尺な基材13がロール状に巻かれたロールであり、巻取りロール302は、導光体10を巻き取るロールである。また、ガイドロール303、304は、基材13を搬送するロールである。ニップロール305は、未硬化樹脂層310が積層された基材13、すなわち被転写フィルム3aを原盤100に密着させるロールである。剥離ロール306は、得られた導光体10を原盤100から剥離するロールである。
【0058】
前記塗布装置307は、コーターなどの塗布手段を備え、未硬化の光硬化性樹脂組成物を基材13に塗布し、未硬化樹脂層310を形成する。塗布装置307は、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、またはダイコーターなどであってもよい。また、光源309は、光硬化性樹脂組成物を硬化可能な波長の光を発する光源であり、例えば、紫外線ランプなどであってもよい。
【0059】
前記転写装置300では、まず、基材供給ロール301からガイドロール303を介して、基材13が連続的に送出される。なお、送出の途中で基材供給ロール301を別ロットの基材供給ロール301に変更してもよい。送出された基材13に対して、塗布装置307により未硬化の光硬化性樹脂組成物が塗布され、基材13に未硬化樹脂層310が積層される。これにより、被転写フィルム3aが作製される。被転写フィルム3aは、ニップロール305により、原盤100と密着させられる。光源309は、原盤100に密着した未硬化樹脂層310に光を照射することで、未硬化樹脂層310を硬化する。これにより、原盤100の外周面に形成された原盤凹凸構造120が未硬化樹脂層310に転写される。すなわち、原盤凹凸構造120の反転形状を有する凹凸構造が基材13上に形成される。続いて、微細凹凸構造が形成された基材13、すなわち導光体10は、剥離ロール306により原盤100から剥離される。ついで、導光体10は、ガイドロール304を介して、巻取りロール302によって巻き取られる。なお、原盤100は縦置きであっても横置きであってもよく、原盤100の回転時の角度、偏芯を補正する機構を別途設けても良い。例えば、チャッキング機構に偏芯チルト機構を設けても良い。
【0060】
このように、前記転写装置300では、前記被転写フィルム3aをロールツーロールで搬送する一方で、原盤100の周面形状を被転写フィルム3aに転写する。これにより、導光体10が作製される。
【0061】
なお、導光体10を熱可塑性樹脂で作製する場合、塗布装置307及び光源309は不要となる。また、基材13を熱可塑性樹脂フィルムとし、原盤100よりも上流側に加熱装置を配置する。この加熱装置によって基材13を加熱して柔らかくし、その後、基材13を原盤100に押し付ける。これにより、原盤100の周面に形成された原盤凹凸構造120が基材13に転写される。なお、基材13を熱可塑性樹脂以外の樹脂で構成されたフィルムとし、基材13と熱可塑性樹脂フィルムとを積層してもよい。この場合、積層フィルムは、加熱装置で加熱された後、原盤100に押し付けられる。したがって、転写装置300は、原盤100に形成された原盤凹凸構造120が転写された転写物、すなわち導光体10を連続的に作製することができる。
【0062】
また、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された転写用フィルムを作製し、この転写用フィルムを転写型として用いて光学体1を作製してもよい。また、電鋳や熱転写などにより原盤100を複製し、この複製品を転写型として用いてもよい。さらに、原盤100の形状はロール形状に限られる必要は無く平面状の原盤でもよく、レーザ光200Aをレジスト照射する方法のほか、マスクを用いた半導体露光、電子線描画、機械加工、陽極酸化等、種々の加工方法を選択することができる。また、上述した製造方法によって光抽出部11及び反射防止層12のいずれか又は両方が形成された樹脂フィルムを基材13の両面に貼り付けても良い。さらに、上述した光抽出部11及び反射防止層12としては、凹凸が逆になった構造をそれぞれ用いても良い。
【0063】
なお、上述した原盤100については、例えば
図8(b)に示すような原盤100が用いられる。原盤100は、例え
ば、ナノインプリント法で使用される原盤であり、円筒形状となっている。原盤100は円柱形状であっても、他の形状(例えば平板状)であってもよい。ただし、原盤100が円柱または円筒形状である場合、ロールツーロール方式によって原盤100の凹凸構造(すなわち、原盤凹凸構造)120を樹脂基材等にシームレス的に転写することができる。これにより、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された導光体10を高い生産効率で作製することができる。このような観点からは、原盤100の形状は、円筒形状または円柱形状であることが好ましい。
【0064】
また、前記原盤100は、原盤基材110と、原盤基材110の周面に形成された原盤凹凸構造120とを備える。原盤基材110は、例えば、ガラス体であり、具体的には、石英ガラスで形成される。ただし、原盤基材110は、SiO2純度が高いものであれば、特に限定されず、溶融石英ガラスまたは合成石英ガラス等で形成されてもよい。原盤基材110は、金属母材上に上記の材料を積層したものや金属母材であってもよい。原盤基材110の形状は円筒形状であるが、円柱形状、他の形状であってもよい。ただし、上述のように、原盤基材110は円筒形状または円柱形状であることが好ましい。原盤凹凸構造120は、光学体1の表面形状の反転形状(例えば、基材13の一方の表面13Aに形成された光抽出部11及び反射防止層12の微細凹凸構造の反転形状、あるいは、基材13の他方の表面13Bに形成された反射防止層12の微細凹凸構造の反転形状)を有する。
【0065】
なお、前記原盤100については、特に限定はされないが、例えば以下の条件で製造できる。
まず、原盤基材110上に、基材レジスト層を形成(成膜)する。ここで、基材レジスト層を構成するレジスト材は特に制限されず、有機レジスト材及び無機レジスト材のいずれであってもよい。有機レジスト材としては、例えば、ノボラック系レジスト、または化学増幅型レジストなどが挙げられる。また、無機レジスト材としては、例えば、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)などの1種または2種以上の遷移金属を含む金属酸化物等が挙げられる。ただし、熱反応リソグラフィを行うためには、基材レジスト層は、金属酸化物を含む熱反応型レジストで形成されることが好ましい。
【0066】
有機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、またはスクリーン印刷等を用いることで原盤基材110上に形成されてもよい。また、基材レジスト層に無機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スパッタ法を用いることで形成されてもよい。
【0067】
次に、露光装置200(図示せず)により基材レジスト層の一部を露光することで、基材レジスト層に潜像を形成する。具体的には、前記露光装置200は、レーザ光200Aを変調し、レーザ光200Aを基材レジスト層に対して照射する。これにより、レーザ光200Aが照射された基材レジスト層の一部が変性するため、基材レジスト層に原盤凹凸構造120に対応する潜像を形成することができる。
【0068】
続いて、潜像が形成された基材レジスト層上に現像液を滴下することで、基材レジスト層を現像する。これにより、基材レジスト層に凹凸構造が形成される。ついで、基材レジスト層をマスクとして原盤基材110及び基材レジスト層をエッチングすることで、原盤基材110上に原盤凹凸構造120を形成する。なお、エッチングの方法は特に制限されないが、垂直異方性を有するドライエッチングであることが好ましく、例えば、反応性イオンエッチング(ReactiveIonEtching:RIE)であることが好ましい。以上の工程により、原盤100を作製する。なお、アルミニウムを陽極酸化して得られる陽極酸化ポーラスアルミナを原盤として使用してもよい。陽極酸化ポーラスアルミナは、例えば国際公開第2006/059686号公報等に開示されている。また、非対称形状のレチクルマスクを用いたステッパーにより原盤100を作製してもよい。
【0069】
(光源)
本発明の画像表示器における光源20については、
図1に示すように、導光体10へ光を出射するための部材である。
前記光源20の種類については、特に限定はされず、画像表示器1の用途に応じて、光源を適宜選択することができる。例えば、冷陰極管等の線状光源や、LED等の点状光源を用いることができる。また、前記光源20は、白色光を出射するものであっても、単色光を出射するものであってもよい。
【0070】
また、前記光源20は、多様な色の光を抽出できる意匠性の観点から、白色光を出射する光源であることが好ましい。
【0071】
なお、本発明の画像表示器1については、少なくとも、光源20及び導光体10を備えるものであればよく、画像表示器1の種類や用途に応じて、他の部材を適宜備えることも可能である。
例えば、画像表示器1が、車両のディスプレイ装置の場合には、画像表示器1を保護する透明板や、車両に固定するための部材等をさらに備えることができる。
【0072】
<車両>
本発明の車両は、上述した本発明の画像表示器1を備えたことを特徴とする。
これによって、本発明の車両は、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像を表示できる。
【0073】
なお、車両において本発明の画像表示器1が適用される個所については、特に限定はされないが、優れた意匠性や高コンストラクトを効果的に発揮できる観点から、車両のスピードメーター、タコメーター、燃料残量表示又はウィンカー表示として用いられることが好ましい。
【0074】
<車両>
本発明の遊技機は、上述した本発明の画像表示器1を備えたことを特徴とする。
これによって、本発明の車両は、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像を表示できる。
【0075】
なお、遊技機において本発明の画像表示器1が適用される個所については、特に限定はされないが、優れた意匠性や高コンストラクトを効果的に発揮できる観点から、ポータブル遊技機のディスプレイ部分や、ロゴマーク等の意匠部として用いられることが好ましい。
【実施例0076】
次に、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0077】
[実施例1]
<本発明例1~3、比較例1>
以下の条件に従って、画像表示器の各サンプルを作製し、評価を行った。
【0078】
(1)導光体の作製
図5に示すような、基材13上に、粘着フィルム(図示せず)を介して、微細凹凸構造を有する反射防止層12(トラックピッチP1:230nm、ドットピッチP2:153nm、平均凹凸高さ:250nm、千鳥配列)と、表1及び
図9(a)~(d)に示した配設条件の凹凸構造(平均凹凸高さ:350nm)を有する光抽出部11と、を形成した導光体10を作製した。
なお、基材13は、厚さ2mmのアクリル樹脂板(三菱ケミカル(株)製「アクリライト」)を用い、粘着フィルムについては、光学粘着フィルム(PANAC製「PDS1フィルム」)を用いた。反射防止層12及び光抽出部11については、
図8(b)に示すような転写装置300を用いることで、熱可塑性樹脂フィルム(トリアセチルセルロースフィルム)の表面に凹凸構造を形成し、反射防止層12を構成するシート及び光抽出部11を構成するシートをそれぞれ作製した後、基材13に貼り付けた。
また、
図9(a)~(d)は、各サンプルの画像表示器1における導光体10の光抽出部11の微細凹凸構造を、上からSEMにより拡大観察した際の画像であり、本発明例1のサンプルが
図9(a)、本発明例2のサンプルが
図9(b)、本発明例3のサンプルが
図9(c)、比較例1のサンプルが
図9(d)に対応している。
【0079】
(2)画像表示器の作製
そして、
図5に示すように、作製した導光体10の側端面から50cm離れた位置に、該導光板へ白色光を照射する高輝度LED光源(アイテックシステム社製「LPAC1-2430NCW-R4」)20を設けることで、サンプルとなる画像表示器1を作製した。
【0080】
(3)評価
(3-1)正反射スペクトル
本発明例1の画像表示器1における導光体10の分光正反射スペクトルを、分光光度計(型式V-550、絶対反射率測定ユニット付き、日本分光社製)を使用して測定した。測定条件としては、入射角及び反射角をいずれも5°とし、波長レンジを350~800nmとし、波長分解能を1nmとした。なお、測定光は、導光体10の基材13の他方の表面13B(反射防止層12のみが形成されている表面)に照射した。結果を
図10に示す。
【0081】
図10の結果から、本発明例1の画像表示器のサンプルは、いずれも導光体10の正反射率が低く抑えられていることがわかる。また、本発明例1と同様の反射防止層12を有する本発明例2~3及び比較例1のサンプルについても、同様に正反射率を低く抑えることができると考えられる。
【0082】
(3-2)輝度及びxy値
各サンプルの画像表示器1から出射した取出し光L11の輝度及びxy値(Yxy色座標におけるxy値)を、輝度計(コニカミノルタ社製CS1000)によって測定した。
なお、測定は暗所環境下で行い、輝度計は、画像表示器1の導光板10の一方の表面13A側に、一方の表面10Aから50cm離間した位置に設置し、輝度計の光軸を一方の表面10Aと垂直とした。測定された輝度(cd/cm2)及びxy値を表1に示す。
また、画像表示器1から出射した取出し光L11の発光色を目視で確認した。確認結果を表1に示す。
【0083】
【0084】
表1の結果から、本発明例1~3の画像表示器のサンプルは、比較例1の画像表示器のサンプルに比べて、いずれも高い輝度が実現できており、特に本発明例1及び2については、輝度が高く、光の取出し効率に優れていることがわかる。
また、本発明例1~3の画像表示器のサンプルは、xy値及び目視による確認の結果から、内部伝搬光L10から、白色光を取り出し、出射できていることがわかる。一方、比較例1の画像表示器のサンプルは、白色光を取り出せていないことがわかる。
【0085】
[実施例2]
<本発明例4~8>
(1)導光体の作製
図1に示すような、基材13上に、粘着フィルム(図示せず)を介して、微細凹凸構造を有する反射防止層12(トラックピッチP1:230nm、ドットピッチP2:153nm、平均凹凸高さ:250nm、千鳥配列)と、表2及び
図11(a)~(e)に示した条件の凹凸構造(平均凹凸高さ:350nm)を有する光抽出部11と、を形成した導光体10を作製した。
なお、基材13、粘着フィルム及び導光体10の、その他の条件(材料、製造方法)については、本発明例1~3と同様である。
また、
図11(a)~(e)は、各サンプルの画像表示器1における導光体10の光抽出部11の微細凹凸構造を、上からSEMにより拡大観察した際の画像であり、本発明例4のサンプルが
図11(a)、本発明例5のサンプルが
図11(b)、本発明例6のサンプルが
図11(c)、本発明例7のサンプルが
図11(d)、本発明例8のサンプルが
図11(e)に対応している。
【0086】
(2)導光体の作製
そして、
図1に示すように、作製した導光体10の側端面から50cm離れた位置に、該導光板へ白色光を照射する高輝度LED光源(アイテックシステム社製「LPAC1-2430NCW-R4」)20を設けることで、サンプルとなる画像表示器1を作製した。
【0087】
(3)評価
(3-1)輝度及びxy値
各サンプルの画像表示器1から出射した取出し光L11の輝度及びxy値(Yxy色座標におけるxy値)を、輝度計(コニカミノルタ社製CS1000)によって測定した。
なお、測定は暗所環境下で行い、輝度計は、画像表示器1の導光板10の一方の表面13A側に、一方の表面10Aから50cm離間した位置に設置し、輝度計の光軸を一方の表面10Aと垂直とした。測定された輝度(cd/cm2)及びxy値を表1に示す。
また、画像表示器1から出射した取出し光L11の発光色を目視で確認した。確認結果を表2に示す。
【0088】
【0089】
表2の結果から、本発明例4~8の画像表示器のサンプルは、比較例1の画像表示器のサンプルに比べて、いずれも高い輝度が実現できており、特に本発明例4及び6~8については、輝度が高く、光の取出し効率に優れていることがわかる。
また、本発明例4~8の画像表示器のサンプルは、xy値及び目視による確認の結果から、内部伝搬光L10から、狙った色(白、青、緑、黄、赤)を取り出し、出射できていることがわかる。一方、比較例1の画像表示器のサンプルは、光を取り出せていないことがわかる。
【0090】
[実施例3]
<本発明例9~13>
(1)画像表示器の作製
本発明例9~13の画像表示器のサンプルは、光抽出部11の凹凸構造の配列を、トラックピッチP1及びドットピッチP2のいずれも平均周期1μmである千鳥配列とし、平均凹凸高さを表3に示す値とした他は、実施例1と同様の条件で作製した。
【0091】
(2)評価
光源から出射される光の波長を550nmとし、各サンプルの画像表示器1から出射した取出し光L11の輝度を、輝度計(コニカミノルタ社製CS1000)によって測定した。そして、回折効率は、光源から出射される光の強度に対する輝度計で測定した出射光の強度の割合を回折効率(%)として算出した。算出結果を表3に示す。
【0092】
【0093】
表3の結果から、光抽出部11の凹凸構造の平均凹凸高さが、100nm以上のサンプル(本発明例10~13)については、より効率的に内部伝搬光L10を取り出せていることがわかる。
【0094】
[実施例4]
画像表示器1の導光体10において、任意の画像デザインに対応した発色パターンの光抽出部11を設け、実際に画像を表示させた。なお、光抽出部11の凹凸構造の凹凸周期は、いずれも可視光波長帯域の最小値以上で且つ10μm以下である。
画像表示器1によって表示した画像を、
図12(a)及び(b)に示す。
【0095】
図12(a)及び(b)の結果から、得られた画像は、いずれもクリアで且つ多くの発色パターンを有しており、コントラストについても高いことがわかる。
本発明によれば、比較的シンプルな構成で、意匠性が高く且つ高コンストラクト化された画像の表示が可能な、画像表示器、車両及び遊技機を提供することが可能となる。