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特開2022-153226化粧シート、化粧材、化粧シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153226
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】化粧シート、化粧材、化粧シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 33/00 20060101AFI20221004BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B32B33/00
B32B27/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119349
(22)【出願日】2021-07-20
(62)【分割の表示】P 2021054874の分割
【原出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐川 浩一
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK04A
4F100AK25C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100CA05C
4F100CA12C
4F100CA13C
4F100DE01C
4F100EH46C
4F100GB07
4F100HB00B
4F100HB31B
4F100JC00C
4F100JD09D
4F100JL10A
4F100JN01A
(57)【要約】
【課題】化粧シートが抗菌性や抗ウイルス性を有していることを目視により非破壊で確認することが可能な化粧シート、化粧材、化粧シートの製造方法を提供する。
【解決手段】基材7と、基材7の少なくとも一方の面に積層された化粧シート1とを備える化粧材10であり、化粧シート1は、印刷基材層2と、印刷基材層2の一方の面に積層された模様層3と、模様層3の印刷基材層2と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層4とを備え、表面保護層4には、抗ウイルス剤5と蛍光色素6とが添加されており、抗ウイルス剤5の平均粒径を「φ」(μm)とし、表面保護層4の厚さを「D」(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷基材層と、
前記印刷基材層の一方の面に積層された模様層と、
前記模様層の前記印刷基材層と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層と、を備え、
前記表面保護層には、抗菌剤及び抗ウイルス剤のうち少なくとも抗ウイルス剤と、蛍光色素と、が添加され、
前記抗ウイルス剤の平均粒径を「φ」(μm)とし、前記表面保護層の厚さを「D」(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している化粧シート。
【請求項2】
前記表面保護層と前記模様層との間に配置された紫外線吸収層をさらに備え、
前記紫外線吸収層に、紫外線吸収剤が添加されている請求項1に記載した化粧シート。
【請求項3】
模様層と、
前記模様層の一方の面に積層され、且つ透明な樹脂を用いて形成された印刷基材層と、
前記印刷基材層の前記模様層と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層と、を備え、
前記表面保護層には、抗菌剤及び抗ウイルス剤のうち少なくとも抗ウイルス剤と、蛍光色素と、が添加され、
前記抗ウイルス剤の平均粒径を「φ」(μm)とし、前記表面保護層の厚さを「D」(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している化粧シート。
【請求項4】
前記蛍光色素は、紫外線の照射を受けて発光する請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した化粧シート。
【請求項5】
前記蛍光色素は、フルオレセインを用いて形成されている請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載した化粧シート。
【請求項6】
前記蛍光色素は、フルオレセインを用いて形成され、
前記表面保護層に対する前記フルオレセインの添加量は、前記表面保護層の固形分100に対して0.001以上0.5以下の範囲内である請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載した化粧シート。
【請求項7】
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面に積層された請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載した化粧シートと、を備える化粧材。
【請求項8】
印刷基材層と、
前記印刷基材層の一方の面に積層された模様層と、
前記模様層の前記印刷基材層と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層と、を備える化粧シートの製造方法であって、
前記表面保護層に、抗菌剤及び抗ウイルス剤のうち少なくとも抗ウイルス剤と、蛍光色素と、を添加し、
前記抗ウイルス剤の平均粒径を「φ」(μm)とし、前記表面保護層の厚さを「D」(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している化粧シートの製造方法。
【請求項9】
模様層と、
前記模様層の一方の面に積層され、且つ透明な樹脂を用いて形成された印刷基材層と、
前記印刷基材層の前記模様層と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層と、を備える化粧シートの製造方法であって、
前記表面保護層に、抗菌剤及び抗ウイルス剤のうち少なくとも抗ウイルス剤と、蛍光色素と、を添加し、
前記抗ウイルス剤の平均粒径を「φ」(μm)とし、前記表面保護層の厚さを「D」(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している化粧シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、一般建具等の建装材に用いられる化粧シート、化粧材、化粧シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧シートとして、例えば、特許文献1に開示されているように、化粧シートの最表面を形成するコーティング樹脂の中に、銀系の無機添加剤又は亜鉛系無機添加剤を配合することで、抗ウイルス性を有する構成の化粧シートがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-80887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような抗ウイルス性を有する構成の化粧シートでは、自然物の木目や石目等を模倣した外観であるため、文字や数字・記号等により、抗菌性・抗ウイルス性を有する製品であることを製品の表面に明示することが困難である。
そのため、取り違え等の不可抗力によって抗菌性や抗ウイルス性が必要とされる箇所に、抗菌性や抗ウイルス性を有していない化粧シートが使用された場合に、非破壊で確認することが不可能であるという課題があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を鑑み、化粧シートが抗菌性や抗ウイルス性を有していることを目視により非破壊で確認することが可能な、化粧シート、化粧材、化粧シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、印刷基材層と、印刷基材層の一方の面に積層された模様層と、模様層の印刷基材層と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層を備える化粧シートである。そして、表面保護層には、抗菌剤及び抗ウイルス剤のうち少なくとも抗ウイルス剤と、蛍光色素とが添加されている。これに加え、抗ウイルス剤の平均粒径を「φ」(μm)とし、表面保護層の厚さを「D」(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、模様層と、模様層の一方の面に積層され、且つ透明な樹脂を用いて形成された印刷基材層と、印刷基材層の模様層と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層を備える化粧シートである。そして、表面保護層には、抗菌剤及び抗ウイルス剤のうち少なくとも抗ウイルス剤と、蛍光色素とが添加されている。これに加え、抗ウイルス剤の平均粒径を「φ」(μm)とし、表面保護層の厚さを「D」(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、基材と、基材の少なくとも一方の面に積層された化粧シートとを備える化粧材である。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、印刷基材層と、印刷基材層の一方の面に積層された模様層と、模様層の印刷基材層と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層を備える化粧シートの製造方法である。そして、表面保護層に、抗菌剤及び抗ウイルス剤のうち少なくとも抗ウイルス剤と、蛍光色素とを添加する。これに加え、抗ウイルス剤の平均粒径を「φ」(μm)とし、表面保護層の厚さを「D」(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、模様層と、模様層の一方の面に積層され、且つ透明な樹脂を用いて形成された印刷基材層と、印刷基材層の模様層と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層を備える化粧シートの製造方法である。そして、表面保護層に、抗菌剤及び抗ウイルス剤のうち少なくとも抗ウイルス剤と、蛍光色素とを添加する。これに加え、抗ウイルス剤の平均粒径を「φ」(μm)とし、表面保護層の厚さを「D」(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、化粧シートが抗菌性や抗ウイルス性を有していることを目視により非破壊で確認することが可能な、化粧シート、化粧材、化粧シートの製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態における化粧シート及び化粧材の構成を示す断面図である。
図2】本発明の第2実施形態における化粧シート及び化粧材の構成を示す断面図である。
図3】本発明の第3実施形態における化粧シート及び化粧材の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本技術の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本技術の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」になり、「右」が「左」になることは勿論である。
【0014】
(第1実施形態)
以下、図1を参照して、化粧材10の構成について説明する。
化粧材10は、図1に示すように、化粧シート1と、基材7を備える。なお、化粧シート1の具体的な構成については、後述する。
基材7は、例えば、木質ボード類、無機質ボード類、金属板等を用いて板状に形成されており、一方の面(図1では、上側の面)に、化粧シート1が積層されている。すなわち、化粧材10は、基材7と、基材7の一方の面に積層された化粧シート1を備える。
【0015】
(化粧シートの構成)
化粧シート1は、図1に示すように、印刷基材層2と、模様層3と、表面保護層4を備える。
【0016】
<印刷基材層>
印刷基材層2は、熱可塑性樹脂を用いて形成されている。
印刷基材層2を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、着色熱可塑性のポリオレフィン系樹脂を用いることが可能である。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合
体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂のうち、単独又は2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を用いることが可能である。
【0017】
また、ポリオレフィン系樹脂としては、上述した種類から、化粧シート1の使用目的等に応じて、適宜選択して用いることが可能である。特に、一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独又は適宜配合してもよく、更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用することが可能である。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1又はオクテン-1のコモノマーの1種又は2種以上を15モル%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等を用いることが可能である。また、通常ではポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体、又は、水素添加物等の改質剤を適宜添加することが可能である。
【0018】
また、印刷基材層2には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を添加してもよい。
印刷基材層2の厚さは、40[μm]以上150[μm]以下の範囲内であることが好ましく、50[μm]以上130[μm]以下であることがより好ましい。これは、印刷基材層2の厚さが40[μm]以上である場合、下地となる床材等の凹凸や段差等を吸収して化粧シート1の施工仕上がりを良好にすることが可能であることに起因する。また、印刷基材層2の厚さが150[μm]以下である場合、印刷基材層2を必要以上に厚く形成することがなく、化粧シート1の製造コストを削減することが可能であることに起因する。
【0019】
<模様層>
模様層3は、印刷基材層2の一方の面(図1では、上側の面)に積層されており、意匠性を付与するための絵柄を付加するための層である。なお、模様層3は、印刷基材層2の着色で代用することが可能である場合には、省略も可能である。
また、模様層3は、印刷インキ又は塗料等を用いて形成される。模様層3を形成する印刷インキ又は塗料等は、例えば、染料又は顔料等の着色剤を、適当なバインダ樹脂とともに適当な希釈溶媒中に溶解又は分散させて形成される。
【0020】
模様層3を形成する印刷インキ又は塗料等は、例えば、グラビア印刷法又はオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法又はロールコート法等の各種塗工法等を用いて塗布される。
バインダ樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等、又はそれらの混合物等を用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
絵柄としては、任意の絵柄を用いることが可能であり、例えば、木目柄、石目柄、布目
柄、抽象柄、幾何学模様、文字、記号、単色無地等、又はそれらの組み合わせ等を用いること可能である。また、化粧シート1の隠蔽性を向上するために、模様層3と印刷基材層2との間に、隠蔽層を設けてもよい。隠蔽層は、例えば、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキや塗料を用いて形成する。
【0022】
模様層3の厚さは、1[μm]以上10[μm]以下の範囲内であることが好ましい。これは、模様層3の厚さが1[μm]以上である場合、印刷を明瞭にすることが可能であることに起因する。また、模様層3の厚さが10[μm]以下である場合、化粧シート1を製造する際の印刷作業性が向上し、且つ製造コストを抑制することが可能であることに起因する。
【0023】
また、模様層3には、各種機能を付与するために、例えば、体質顔料、可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤及び硬化遅延剤等の機能性添加剤を添加してもよい。
さらに、模様層3は、例えば、化粧シート1が貼りつけられる下地の色・模様を隠蔽するために、ベタ塗りされた印刷基材層と、意匠性を付与するための絵柄を付加するための絵柄模様層とを有する構成としてもよい。
【0024】
<表面保護層>
表面保護層4は、模様層3の一方の面(図1では、上側の面)に積層されている。すなわち、表面保護層4は、模様層3の印刷基材層2と対向する面と反対側の面に積層されている。また、表面保護層4は、化粧シート1に対して、耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性等の機能を付与するために設けられた層である。
また、表面保護層4は、例えば、アクリル系樹脂組成物を用いて形成されている。
【0025】
なお、表面保護層4には、必要に応じて、耐侯剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料等の着色剤、溶剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤等を含有させてもよい。また、表面保護層4には、必要に応じて、抗菌剤、防カビ剤等の機能性添加剤等を含有させてもよい。
さらに、表面保護層4には、抗ウイルス剤5と、蛍光色素6が添加されている。
【0026】
<抗ウイルス剤>
表面保護層4に添加する抗ウイルス剤5としては、例えば、無機化合物のゼオライト、アパタイト、ジルコニア、シリカ等の物質に、銀、銅、亜鉛等の金属を混合した後に微粉砕して取り込んで形成した抗菌性ゼオライト、抗菌性アパタイト、抗菌性ジルコニア、抗菌性シリカ等の無機系抗菌剤を用いることが可能である。
【0027】
また、抗ウイルス剤5としては、例えば、ジンクピリジオン、2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、10、10-オキシビスフェノキサノジン、有機チツソイオウハロゲン系、ピリジン-2-チオール-オキシド等を用いることが可能である。
第1実施形態では、表面保護層4に添加する抗ウイルス剤5を、銀系の材料を用いて形成した抗ウイルス剤5とした場合について説明する。
【0028】
また、抗ウイルス剤5は、無機材料に担持されている構成であってもよい。
表面保護層4における抗ウイルス剤5の添加量は、表面保護層4の固形分に対して0.2質量部以上15質量部以下の範囲内である。これは、抗ウイルス剤5の添加量が0.2質量部以上である場合、抗ウイルス剤5が効果的に作用し、抗ウイルス性が向上することと、抗ウイルス剤5の添加量が15質量部以下である場合、耐傷性が向上することに起因する。
【0029】
抗ウイルス剤5の平均粒径は、表面保護層4の厚さを基準として、0.5倍以上2倍以下の範囲内である。すなわち、抗ウイルス剤5の平均粒径をφ(μm)とし、表面保護層4の厚さをD(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立する。これは、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の0.5倍以上2倍以下の範囲内である場合、抗ウイルス剤5と表面保護層4との接触面積の拡大、及び抗ウイルス剤5自体の表面積拡大により、抗ウイルス性が良好になることに起因する。
【0030】
また、抗ウイルス剤5の平均粒径は、1[μm]以上10[μm]以下の範囲内である。これは、抗ウイルス剤5の平均粒径が1[μm]以上である場合、抗ウイルス剤5と表面保護層4との接触面積が拡大し、抗ウイルス性が良好になることと、抗ウイルス剤5の平均粒径が10[μm]以下である場合、耐傷性が向上することに起因する。
【0031】
また、抗ウイルス剤5の粒径分布は複数のピークを有している。
具体的には、抗ウイルス剤5の粒径は2つのピークを有する。そして、2つのピークは、1[μm]以上5[μm]以下の範囲である第1ピークと、5[μm]以上10[μm]以下の範囲である第2ピークとを含んでいる。
【0032】
ここで、第2ピークは、第1ピークより大きい値とする。粒径のピークが複数存在していることにより、抗ウイルス剤5の充填密度がより向上し、抗ウイルス剤5をより多く添加することが可能となる。このため、抗ウイルス剤5と表面保護層4との接触面積が拡大し、抗ウイルス自体の表面積も拡大することにより、抗ウイルス性が向上する。
【0033】
また、第1実施形態の化粧シート1では、例えば、耐汚染性を向上させるために、化粧シート1の最表面である表面保護層4に、シリコン系成分(例えば、シリコン樹脂)やフッ素系成分(例えば、フッ素樹脂)を含有させてもよい。
【0034】
表面保護層4にシリコン樹脂を含有させる場合は、シリコン樹脂として、周囲との密着性や相溶性の問題から、変性シリコンを用いることが好ましい。
表面保護層4を構成する硬化型樹脂が紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂から形成される場合には、変性シリコンは、電離放射線反応性の変性シリコン樹脂であることが好ましい。
【0035】
表面保護層4を構成する硬化型樹脂が熱硬化型樹脂から形成される場合には、変性シリコンは、熱反応性の変性シリコン樹脂であることが好ましい。
表面保護層4を構成する硬化型樹脂が電離放射線硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂の混合から形成される場合には、変性シリコンは、電離放射線反応性及び熱反応性の少なくとも一方である変性シリコン樹脂であることが好ましい。
【0036】
変性シリコンは、反応性変性シリコンと非反応性シリコンとに分類される。
熱反応性の変性シリコンとしては、モノアミン変性シリコン、ジアミン変性シリコン、エポキシ変性シリコン、カルビノール変性シリコン、カルボキシ変性シリコン、メルカプト変性シリコン、シラノール変性シリコン、アルコール変性シリコン、ジオール変性シリコンを例示することが可能である。
【0037】
電離放射線反応性の変性シリコンとしては、アクリル変性シリコン、メタクリル変性シリコンを例示することが可能である。また、非反応性変性シリコンであるポリエーテル変性シリコン、アラルキル変性シリコン、長鎖アルキル変性シリコン、高級脂肪酸エステル変性シリコンを例示することが可能である。
変性シリコンの製造メーカとしては、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング株式会社、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、旭化成ワッ
カーシリコーン株式会社等が挙げられる。
【0038】
表面保護層4にフッ素樹脂を含有させる場合は、フッ素樹脂として、例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン―エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等が挙げられ、これら以外にも多くの誘導体を用いることが可能である。
なお、フッ素樹脂は最小レベルの表面張力を示すことが広く知られており、耐汚染材料として好適である。
【0039】
フッ素樹脂のメーカとしては、ダイキン工業株式会社、三井・デュポンフロロケミカル株式会社等が挙げられる。
表面保護層4が含有するフッ素樹脂の量は、10質量部以上100質量部以下が好ましい。より好ましくは、20質量部以上である。ここで、フッ素樹脂自体が硬化型樹脂であっても良い。
【0040】
上述したように、第1実施形態の化粧シート1において、表面保護層4に、シリコン系成分又はフッ素系成分のうち少なくともいずれか一方が含まれていてもよい。これにより、化粧シート1の耐汚染性を向上させることが可能となる。そして、耐汚染性が向上すると、ウイルスが化粧シート1の表面に長期間存在することを抑制することが可能となるため、抗ウイルス性をさらに向上させることが可能となる。
【0041】
<蛍光色素>
蛍光色素6は、紫外線の照射を受けて発光する色素である。
第1実施形態では、一例として、蛍光色素6が、フルオレセインを用いて形成されている場合について説明する。
表面保護層4に対するフルオレセインの添加量は、表面保護層4の固形分100に対して、0.001以上0.5以下の範囲内である。
【0042】
これは、表面保護層4に対するフルオレセインの添加量は、表面保護層4の固形分100に対して、0.001未満である場合、紫外線の照射を受けた際に、化粧シート1が抗菌性や抗ウイルス性を有していることを目視により判別することが困難であることに起因する。また、表面保護層4に対するフルオレセインの添加量は、表面保護層4の固形分100に対して、0.5を超えている場合、模様層3に形成された柄の色調によっては、太陽光の照射を受けた際においてフルオレセインに由来する色が視認されることに起因する。
【0043】
<化粧シートの製造方法>
以下、図1を参照して、化粧シート1の製造方法について説明する。
第1実施形態の化粧シート1を製造する際には、表面保護層4に抗ウイルス剤5を添加する場合には、表面保護層4に蛍光色素6を添加する。一方、第1実施形態とは異なり、表面保護層4に抗ウイルス剤5を添加しない場合には、表面保護層4に蛍光色素6を添加しない。
【0044】
なお、上述した第1実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第1実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0045】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態の化粧シート1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)印刷基材層2と、印刷基材層2の一方の面に積層された模様層3と、模様層3の
印刷基材層2と対向する面と反対側の面に積層された表面保護層4とを備え、表面保護層4には、抗ウイルス剤5と蛍光色素6が添加されている。これに加え、抗ウイルス剤5の平均粒径をφ(μm)とし、表面保護層4の厚さをD(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している。
【0046】
このため、蛍光色素6が発光することで、非破壊で、化粧シート1が、抗ウイルス性を有する化粧シート1であることを確認することが可能となる。
その結果、化粧シート1が抗ウイルス性を有していることを目視により非破壊で確認することが可能な、化粧シート1を提供することが可能となる。
また、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の0.5倍以上2倍以下の範囲内である。
これにより、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の0.5倍未満の場合や、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の2倍を超える場合と比較して、抗ウイルス剤5と表面保護層4との接触面積の拡大、及び抗ウイルス剤5自体の表面積拡大により、抗ウイルス性を向上させることが可能となる。
【0047】
(2)蛍光色素6が、紫外線の照射を受けて発光する。
その結果、化粧シート1を使用する環境が、通常の環境である場合には、違和感が少ない意匠性を有する化粧シート1を提供することが可能となる。
【0048】
(3)蛍光色素6が、フルオレセインを用いて形成されている。
その結果、化粧シート1が抗ウイルス性を有していることを目視により確認するために、蛍光色素6の添加量を増加させる必要がないため、他物性への影響を低減させることが可能となる。これに加え、コストの増加を抑制することが可能となる。さらに、化粧シート1が抗ウイルス性を有していることを目視により確認するために、必要充分な蛍光を発生させることが可能となる。
【0049】
(4)表面保護層4に対するフルオレセインの添加量が、表面保護層4の固形分100に対して0.001以上0.5以下の範囲内である。
その結果、紫外線の照射を受けた際に、化粧シート1が抗菌性や抗ウイルス性を有していることを目視により判別することが容易となる。これに加え、太陽光の照射を受けた際において、フルオレセインに由来する色が視認されることを抑制することが可能となる。
また、第1実施形態の化粧材10であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
【0050】
(5)基材7と、基材7の少なくとも一方の面に積層された化粧シート1とを備える。
このため、蛍光色素6が発光することで、非破壊で、化粧シート1が、抗ウイルス性を有する化粧シート1であることを確認することが可能となる。
その結果、化粧シート1が抗ウイルス性を有していることを目視により非破壊で確認することが可能な、化粧材10を提供することが可能となる。
また、第1実施形態の化粧シート1の製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
【0051】
(6)表面保護層4に抗ウイルス剤5を添加する場合には、表面保護層4に蛍光色素6を添加する。一方、表面保護層4に抗ウイルス剤5を添加しない場合には、表面保護層4に蛍光色素6を添加しない。
【0052】
このため、蛍光色素6が発光することで、非破壊で、化粧シート1が、抗ウイルス性を有する化粧シート1であることを確認することが可能となる。
その結果、化粧シート1が抗ウイルス性を有していることを目視により非破壊で確認することが可能な、化粧シート1の製造方法を提供することが可能となる。
(7)表面保護層4に添加した抗ウイルス剤5の平均粒径をφ(μm)とし、表面保護層4の厚さをD(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している。すなわち、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の0.5倍以上2倍以下の範囲内である。
これにより、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の0.5倍未満の場合や、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の2倍を超える場合と比較して、抗ウイルス剤5と表面保護層4との接触面積の拡大、及び抗ウイルス剤5自体の表面積拡大により、抗ウイルス性を向上させることが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
以下、図1を参照しつつ、図2を用いて、化粧材10の構成について説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
化粧材10は、図2に示すように、化粧シート1と、基材7を備える。
【0054】
(化粧シートの構成)
化粧シート1は、図2に示すように、印刷基材層2と、模様層3と、紫外線吸収層8と、表面保護層4を備える。
【0055】
<紫外線吸収層>
紫外線吸収層8は、表面保護層4と模様層3との間に配置された層であり、紫外線吸収剤が添加されている。
紫外線吸収剤としては、例えば、BASFジャパン株式会社製の「チヌビン400」を用いることが可能である。
【0056】
なお、上述した第2実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第2実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0057】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態の化粧シート1であれば、第1実施形態の効果に加え、さらに、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)表面保護層4と模様層3との間に配置された紫外線吸収層8をさらに備え、紫外線吸収層8には紫外線吸収剤が添加されている。
その結果、高い蛍光性能を発揮することが可能であるとともに、耐候性能を発揮することが可能な化粧シート1を提供することが可能となる。
【0058】
(第3実施形態)
以下、図1を参照しつつ、図3を用いて、化粧材10の構成について説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0059】
(化粧シートの構成)
化粧シート1は、図3に示すように、模様層3と、印刷基材層2と、表面保護層4を備える。
なお、第3実施形態の構成は、印刷基材層2が模様層3の一方の面(図3では、上側の面)に積層されている点と、印刷基材層2が透明な樹脂(例えば、透明ポリプロピレン樹脂)を用いて形成されている点と、表面保護層4が印刷基材層2の模様層3と対向する面と反対側の面(図3では、上側の面)に積層されている点を除き、第1実施形態と同様である。
【0060】
<化粧シートの製造方法>
以下、図3を参照して、化粧シート1の製造方法について説明する。
第3実施形態の化粧シート1を製造する際には、表面保護層4に抗ウイルス剤5を添加する場合には、表面保護層4に蛍光色素6を添加する。一方、第1実施形態とは異なり、表面保護層4に抗ウイルス剤5を添加しない場合には、表面保護層4に蛍光色素6を添加しない。
【0061】
なお、上述した第3実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第3実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0062】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態の化粧シート1であれば、第1実施形態の効果に加え、さらに、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)模様層3と、模様層3の一方の面に積層され、且つ透明な樹脂を用いて形成された印刷基材層2と、印刷基材層2の模様層3と対向する面と反対側の面に積層された表面
保護層4とを備え、表面保護層4には、抗ウイルス剤5と蛍光色素6が添加されている。
このため、蛍光色素6が発光することで、非破壊で、化粧シート1が、抗ウイルス性を有する化粧シート1であることを確認することが可能となる。
【0063】
その結果、化粧シート1が抗ウイルス性を有していることを目視により非破壊で確認することが可能な、化粧シート1を提供することが可能となる。
また、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の0.5倍以上2倍以下の範囲内である。
これにより、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の0.5倍未満の場合や、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の2倍を超える場合と比較して、抗ウイルス剤5と表面保護層4との接触面積の拡大、及び抗ウイルス剤5自体の表面積拡大により、抗ウイルス性を向上させることが可能となる。
また、第3実施形態の化粧シート1の製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
【0064】
(2)表面保護層4に抗ウイルス剤5を添加する場合には、表面保護層4に蛍光色素6を添加する。一方、表面保護層4に抗ウイルス剤5を添加しない場合には、表面保護層4に蛍光色素6を添加しない。
【0065】
このため、蛍光色素6が発光することで、非破壊で、化粧シート1が、抗ウイルス性を有する化粧シート1であることを確認することが可能となる。
その結果、化粧シート1が抗ウイルス性を有していることを目視により非破壊で確認することが可能な、化粧シート1の製造方法を提供することが可能となる。
(3)表面保護層4に添加した抗ウイルス剤5の平均粒径をφ(μm)とし、表面保護層4の厚さをD(μm)としたときに、0.5D≦φ≦2Dの式が成立している。すなわち、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の0.5倍以上2倍以下の範囲内である。
これにより、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の0.5倍未満の場合や、抗ウイルス剤5の平均粒径が表面保護層4の2倍を超える場合と比較して、抗ウイルス剤5と表面保護層4との接触面積の拡大、及び抗ウイルス剤5自体の表面積拡大により、抗ウイルス性を向上させることが可能となる。
【0066】
<変形例>
(1)実施形態では、表面保護層4に抗ウイルス剤5が添加されている構成としたが、これに限定するものではなく、表面保護層4に、抗ウイルス剤5に加え、抗菌剤が添加されている構成としてもよい。
【0067】
(2)実施形態では、蛍光色素6を、紫外線の照射を受けて発光する色素としたが、これに限定するものではなく、蛍光色素6を、太陽光の照射を受けて発光しない色素、又は、太陽光の照射を受けて目視が不可能な明るさで発光する色素としてもよい。
【0068】
(3)実施形態では、化粧材10の構成を、基材7の一方の面に積層された化粧シート1を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、化粧材10の構成を、基材7の一方の面に加え、基材7の他方の面(図1及び図2では、下側の面)に積層された化粧シート1を備える構成としてもよい。
【実施例0069】
第1実施形態及び第2実施形態を参照しつつ、以下、実施例1及び2の化粧材と、比較例1から3の化粧材について説明する。
【0070】
(実施例1)
印刷基材層は、着色ポリエチレン樹脂のシートを用いて、厚さを70[μm]として形成した。
模様層は、印刷基材層の一方の面に対し、グラビア印刷によって、グラビア印刷用インキ(東洋インキ製:「V351」)を用いて形成した。模様層を形成した後、40[℃]環境下において、1日かけてエージングを行った。
【0071】
その後、模様層の一方の面に対し、塗布量を1[g/m]として、アンカーコート樹脂を、主剤(三井化学製:「タケラックA3210」)100質量部に対して、硬化剤(三井化学製:「タケネートA50」)を20質量部添加し、グラビアコーティングした。
【0072】
さらに、透明ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー製:「E139」)100質量部に対して耐候処方を行い、接着性官能基を有するポリプロピレン樹脂(三井化学製:「QF551」)とアンカーコートとを、共押出ラミネート法により、接着性官能基を有する
ポリプロピレン樹脂とアンカーコートとが隣接するように積層させた。
【0073】
なお、耐候処方は、BASFジャパン株式会社製の「チヌビン234」0.3質量部と、BASFジャパン株式会社製の「チヌビン783」0.3質量部とを、溶融混錬することで施した。
【0074】
また、透明ポリプロピレン樹脂の厚さが60[μm]となり、接着性官能基を有するポリプロピレン樹脂の厚さが10[μm]となるように、押出機のスクリュー回転数を調整して、共押出ラミネート法によって形成される層の厚さを調節した。
【0075】
これに加え、接着性官能基を有するポリプロピレン樹脂(三井化学製:「QF551」)の層を、10[μm]の厚さで形成した。
そして、アンカーコートと、接着性官能基を有するポリプロピレン樹脂のシートと、接着性官能基を有するポリプロピレン樹脂の層が隣接するように、共押出ラミネート加工した。
【0076】
その後、接着性官能基を有するポリプロピレン樹脂の層に対してコロナ処理を行い、コロナ処理を行った面に、表面保護層を積層して、実施例1の化粧シートを形成した。表面保護層の構成については、以下に記載する。
【0077】
表面保護層は、ベース材料として、固形分が30%のアクリル系コート剤(DIC株式会社製:「UCクリヤー」)を用い、光安定剤として、BASFジャパン株式会社製の「チヌビン292」を、「UCクリヤー」100質量部に対して2質量部添加した。さらに、銀系の材料を用いて形成した抗ウイルス剤(抗菌剤)として、タイショーテクノス製の「ビオサイドTB-B100」を、「UCクリヤー」100部に対して2質量部添加した。これに加え、蛍光色素として、「フルオレセイン」を、「UCクリヤー」100部に対して0.01質量部添加した。
【0078】
なお、蛍光色素として用いる「フルオレセイン」としては、富士フイルム和光純薬株式会社製のフルオレセイン(CasNo:2321-07-05、化学式:C20H1205)を用いた。
表面保護層の塗布量は、3[g/m]とした。
【0079】
(実施例2)
紫外線吸収層を備える構成とした点を除き、実施例1と同様に形成して、実施例2の化粧シートを形成した。
紫外線吸収層は、ベース材料として「UCクリヤー」を用い、紫外線吸収剤として、BASFジャパン株式会社製の「チヌビン400」を、「UCクリヤー」100質量部に対して3質量部添加した。これに加え、光安定剤として、BASFジャパン株式会社製の「チヌビン292」を、「UCクリヤー」100質量部に対して2質量部添加した。
紫外線吸収層の塗布量は、3[g/m]とした。
【0080】
(比較例1)
表面保護層に抗ウイルス剤と蛍光色素を添加していない点を除き、実施例2と同様に形成して、比較例1の化粧シートを形成した。
【0081】
(比較例2)
表面保護層に蛍光色素を添加していない点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例2の化粧シートを形成した。
【0082】
(比較例3)
表面保護層に蛍光色素を添加していない点を除き、実施例2と同様に形成して、比較例3の化粧シートを形成した。
【0083】
(性能評価、評価結果)
表1に示す構成をそれぞれ有する、実施例1及び2の化粧材と、比較例1から3の化粧材に対し、それぞれ、意匠性、蛍光状態、外観の変化を評価した。評価方法としては、以下に記載した方法を用いた。
【0084】
【表1】
【0085】
<意匠性>
外観を目視で確認することで、意匠性を評価した。
<蛍光状態>
アズワン製社:「ハンディーUVランプ SLUV-4」を用いて、化粧シートに紫外線(UV光)を照射し、表面保護層の蛍光状態を確認した。さらに、化粧シートに太陽光の照射を受けさせて、表面保護層の蛍光状態を確認した。これらの結果により、蛍光状態を評価した。
【0086】
<外観の変化>
サンシャインウェザーメーター(ブラックパネルの温度が63[℃]、照射時間を120分とし、照射中において12分の降雨を実施)を用いた耐候試験を実施し、耐候試験を500時間から2000時間まで500時間刻みで外観の変化を確認して、外観の変化を評価した。
【0087】
【表2】
【0088】
上述した方法を用いて、各種の性能を評価した結果、実施例1及び2の化粧材は、表2に示すように、紫外線を照射することで化粧シートが蛍光し、抗菌剤が添加されていることを目視で判別することが可能であった。一方、比較例1から3の化粧材は、表2に示すように、紫外線を照射しても化粧シートが蛍光せず、抗菌剤が添加されていることを目視で判別することが不可能であった。
【符号の説明】
【0089】
1…化粧シート、2…印刷基材層、3…模様層、4…表面保護層、5…抗ウイルス剤、6…蛍光色素、7…基材、8…紫外線吸収層、10…化粧材
図1
図2
図3