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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153247
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】農業用ハウス構造
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20221004BHJP
   A01G 9/14 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A01G9/24 T
A01G9/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177163
(22)【出願日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2021055112
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390013033
【氏名又は名称】三鷹光器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松葉 正
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029BB02
2B029BB06
2B029SD07
2B029SD09
2B029SD16
2B029SD17
(57)【要約】
【課題】太陽光を利用して照明や温度管理の補助が可能な農業用ハウス構造を提供する。
【解決手段】夜間はハウス本体1内の低温高湿の空気Kが化学蓄熱材Mを通過することにより吸湿されて加温されるため、ハウス本体1内の温度を上げて、湿度を下げることができる。昼間はヘリオスタット4で反射した太陽光Lのうち、植物の成長に必要な波長の透過光L1は光分離手段19を透過してハウス本体1内に導入されると共に、それ以外の赤外線成分である反射光L2は光分離手段19で反射されて化学蓄熱材Mを加熱し、化学蓄熱材Mを元の状態に戻す。そのため化学蓄熱材Mを繰り返し使用することができる。植物成長のための照明装置や空調装置の使用を抑制することができるため、その分電力使用量を削減することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透光素材で形成され、側面に透光ガラス窓が設けられたハウス本体と、
太陽を追尾しながら太陽光を透光ガラス窓側に反射し、反射された太陽光が集光された状態で透光ガラス窓からハウス本体内に導入されるヘリオスタットと、
透光ガラス窓の直前に配置され、太陽光の赤外線成分は下方又は上方へ反射し、それ以外の成分はそのまま透過させる光分離手段と、
光分離手段の上方又は下方に配置され、両端がハウス本体の側面に挿入され、送風手段により一方から他方へ向けてハウス本体内の空気を循環自在な循環筒と、を備えた農業用ハウス構造であって、
前記循環筒の途中に化学蓄熱材を通気可能な状態で収納した断熱容器部が設けられ、該断熱容器部の上面又は下面に設けられた窓部から光分離手段で反射された太陽光の赤外線成分を導入自在であると共に、
断熱容器部の両側の循環筒に、外気を取入れ自在な取入口と、断熱容器部を通過した空気を排出自在な排出口とが開閉自在な状態で設けられていることを特徴とする農業用ハウス構造。
【請求項2】
光分離手段が、断熱容器部に一体的に組み付けられたケース内で該ケースに支持された状態で設けられていると共に、該ケースの一対の対向面には太陽光を通過させる開口がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1記載の農業用ハウス構造。
【請求項3】
ハウス本体が骨格フレームに放射冷却シートを張った構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の農業用ハウス構造。
【請求項4】
骨格フレームが木製であることを特徴とする請求項3記載の農業用ハウス構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農業用ハウス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
不透明の板材などで遮光型のハウス本体を用意し、そのハウス本体内に設けられたLED照明から栽培植物の成長に最適な波長の人工光を照射すると共に、ハウス本体内部の温度を空調装置により理想的に管理するクローズ型の農業用ハウスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-5634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の関連技術にあっては、照明や温度の管理をすべて電気で行うため、消費電力が過大になるという問題点があった。そのため電力の一部をその他のエネルギーで代替可能な農業用ハウス構造の提案が待たれている。特に再生可能エネルギーとしての太陽光を利用して照明や温度管理の補助ができる構造の提案が待たれている。
【0005】
本発明はこのような従来の要請に応じてなされたものであり、太陽光を利用して照明や温度管理の補助が可能な農業用ハウス構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の技術的側面によれば、不透光素材で形成され、側面に透光ガラス窓が設けられたハウス本体と、太陽を追尾しながら太陽光を透光ガラス窓側に反射し、反射された太陽光が集光された状態で透光ガラス窓からハウス本体内に導入されるヘリオスタットと、透光ガラス窓の直前に配置され、太陽光の赤外線成分は下方又は上方へ反射し、それ以外の成分はそのまま透過させる光分離手段と、光分離手段の上方又は下方に配置され、両端がハウス本体の側面に挿入され、送風手段により一方から他方へ向けてハウス本体内の空気を循環自在な循環筒と、を備えた農業用ハウス構造であって、前記循環筒の途中に化学蓄熱材を通気可能な状態で収納した断熱容器部が設けられ、該断熱容器部の上面又は下面に設けられた窓部から光分離手段で反射された太陽光の赤外線成分を導入自在であると共に、断熱容器部の両側の循環筒に、外気を取入れ自在な取入口と、断熱容器部を通過した空気を排出自在な排出口とが開閉自在な状態で設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の技術的側面によれば、光分離手段が、断熱容器部に一体的に組み付けられたケース内で該ケースに支持された状態で設けられていると共に、該ケースの一対の対向面には太陽光を通過させる開口がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の技術的側面によれば、ハウス本体が骨格フレームに放射冷却シートを張った構造であることを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の技術的側面によれば、骨格フレームが木製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の技術的側面によれば、夜間に気温が低下することにより、ハウス本体内の空気が低温高湿になり、栽培植物に結露などを発生させるおそれがある。従来は空調装置により温度を上昇させていたが、本発明によればハウス本体内の空気を循環筒に循環させることにより、循環した空気の湿度(水分)によって化学蓄熱材が水和反応を起こして発熱するため、水分の吸収と同時に空気を暖めることができ、循環筒内に導入した低温高湿の空気を高温低湿の空気としてハウス本体内に戻すことができる。従って、夜間において温度(湿度)を調整するために作動させていた空調装置の電力をその分だけ低減することができる。
【0011】
そして昼間は透光ガラス窓から、ヘリオスタットで反射された太陽光のうち、赤外線成分以外の植物の成長に必要な波長の光がハウス本体内に導入されるため、昼間の間はその分だけ照明用の電力を低減することができる。
【0012】
なお夜間に吸湿した化学蓄熱材は、昼間に光分離手段で反射された太陽光の赤外線成分により加熱されると共に、そこに取入口から導入された外気が通されるため、化学蓄熱材は脱水反応により再び化学的に蓄熱された状態となり、夜間に吸湿と発熱が可能な元の状態に戻る。
【0013】
本発明の第2の技術的側面によれば、光分離手段が断熱容器部と一体のケースに支持されているため、断熱容器部と光分離手段との位置関係が保持され、光分離手段で反射された赤外線成分を確実に断熱容器部内の化学蓄熱材へ当てることができる。
【0014】
本発明の第3の技術的側面によれば、ハウス本体の表面が放射冷却シートで形成されているため、太陽光を遮光できると共に、放射冷却シートから放射される赤外線を宇宙空間に放出するため、放射冷却シート自体の温度が低下し、ハウス本体内の温度上昇を抑制することができる。そのためハウス本体内の温度を調整するために稼働させていた空調装置の使用を抑制することができ、農業用ハウス全体としての消費電力の削減を図ることができる。
【0015】
本発明の第4の技術的側面によれば、ハウス本体の骨格フレームが木製であるため、鉄製の骨格フレームに比べて断熱効果が高い。そのため外部環境温度の影響を受けにくく、ハウス本体内の温度を調整するために稼働させていた空調装置の使用を抑制することができ、農業用ハウス全体としての消費電力の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態のハウス本体とヘリオスタットを示す斜視図。
図2】ハウス本体とヘリオスタットを示す断面図。
図3】ヘリオスタットを示す斜視図。
図4】循環筒を示す平面図。
図5図4中矢示SA-SA線に沿う断熱容器部及び光分離手段の断面図。
図6図4中矢示SB-SB線に沿う断熱容器部及び光分離手段の断面図。
図7】第2実施形態のハウス本体を示す斜視図。
図8】ハウス本体を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図6は本発明の第1実施形態を示す図である。尚、東西南北(EWSN)の方向性は図1に示された通りである。
【0018】
ハウス本体1は長手方向を東西方向に向けた状態で設置されている。ハウス本体1の各面は不燃の断熱材により形成され、内部の断熱性は保たれている。またハウス本体1の各面は不透光で、基本的に外部からの光は侵入しないようになっている。
【0019】
但し、ハウス本体1の北側の側面2には、縦幅が小さく横幅が大きい長方形の透光ガラス窓3が設けられている。透光ガラス窓3は2枚の透明な耐熱ガラスの間にスペーサーを介して乾燥空気層を設けた構造で、この部分だけ透光性を有している。透光ガラス窓3はサイズが小さく且つ断熱性を有しているため、ハウス本体1内部の管理された温度環境を大きく変動させることはない。
【0020】
ハウス本体1の内部には、栽培植物の成長に最適な波長の光を照射するためのLED照明や、温度を調整するための空調装置や、湿度を調整するための加湿装置が設けられており、ハウス本体1内を栽培植物にとって最適な環境にしている。
【0021】
このような構造をしたハウス本体1の外側には、その北側にヘリオスタット4が透光ガラス窓3に対応した状態で設けられている。ヘリオスタット4は、図3に示すように、支柱5と、支柱5に対して水平方向で回転自在(H方向)な水平シャフト6と、水平シャフト6に対して高度方向で回転自在(V方向)な反射ミラー7とから構成されている。
【0022】
反射ミラー7は複数の分割された要素から構成され、その横幅は透光ガラス窓3に相当している。反射ミラー7の各要素は角度が上下方向でのみ変化しており、全体として反射ミラー7が上下方向で湾曲した状態になっている。
【0023】
水平シャフト6のH方向での回転と反射ミラー7のV方向での回転はそれぞれモータ(図示省略)により制御される。ハウス本体1に対してこのヘリオスタット4で反射された太陽光Lの導入が必要な場合には、反射ミラー7を太陽Sに連動させて稼働させ、太陽光Lを常に透光ガラス窓3に向けて反射させる。
【0024】
ヘリオスタット4の反射ミラー7が全体として上下方向で湾曲した状態になっているため、反射ミラー7で反射された太陽光Lは透光ガラス窓3の直前で水平ライン状の集光点Pで集光し(図5参照)、その後に透光ガラス窓3からハウス本体1内に導入される。 太陽光Lは透光ガラス窓3の直前で集光するため、サイズの小さい透光ガラス窓3でもヘリオスタット4で反射された太陽光Lの全てをハウス本体1内に導入することができる。
【0025】
透光ガラス窓3の下方には、両端が曲折状態でハウス本体1の側面2に挿入された金属製の循環筒8が水平状態で設けられている。この循環筒8は図示せぬフレームにより地面に対して支持されている。
【0026】
循環筒8の曲折された両端の一方には外気Gを取入れ自在な取入口9が形成され、他方には循環筒8を通過した外気Gを外部へ排出自在な排出口10が設けられている。取入口9と排出口10は切換弁によりそれぞれ同時に開閉自在で、両方とも閉じられた時に、ハウス本体1内の空気Kを循環させることができ、両方とも開いた時に、外気Gを取入口9から取り入れて排出口10から排出させることができる。
【0027】
取入口9の近傍には送風手段11としての送風ファンが設けられている。この送風手段11はハウス本体1内の空気Kや、取り入れた外気Gを東側から西側へ向けて送風することができる。取入口9及び排出口10の開閉と、送風手段11の稼働は図示せぬスイッチにより手動又は自動で操作することができる。
【0028】
循環筒8の中央には断熱容器部12が形成されている。断熱容器部12には循環筒8と連通した大径でステンレス製の筒部13が設けられ、筒部13の両端は通気可能な金属メッシュ14により塞がれている。その筒部13の内部にはボール状に成形された化学蓄熱材(水酸化マグネシウム)Mが通気可能な状態で収納されている。
【0029】
化学蓄熱材Mとしては、水酸化マグネシウムのその他にも硫酸カルシウム水和物、塩化カルシウム水和物、水酸化カルシウムなど、蓄熱に伴って水蒸気を揮発する物質が使用可能である。筒部13の周囲は上部以外が断熱材15としてのロックウールにより覆われており、上部には耐熱ガラスによる窓部16が設けられている。
【0030】
断熱容器部12の上側には角形のケース17が一体的に取付けられている。このケース17はヘリオスタット4により反射された太陽光Lの集光点Pよりも若干手前にあり、ケース17の南北方向での一対の対向面にはそれぞれ太陽光Lを通過させるための開口18が形成されている。
【0031】
このケース17内には耐熱ガラスの表面に波長選択透過膜を設けた光分離手段19が斜め状態で固定されている。この光分離手段19は太陽光Lのうち、植物の成長に必要な波長(赤外線成分以外)は透過光L1として透過するが、それ以外の波長(赤外線成分)は反射光L2として下方へ反射する。反射光L2は下方の窓部16から筒部13に照射され、筒部13内の化学蓄熱材Mを加熱することができる。
【0032】
光分離手段19が断熱容器部12と一体のケース17に支持されているため、断熱容器部12と光分離手段19との位置関係が保持され、光分離手段19で反射した反射光L2を確実に断熱容器部12内へ導くことができる。
【0033】
次に実際にこの農業用ハウス構造を使用する場合の例を説明する。
【0034】
まず夜間の場合を説明する。
【0035】
夜間は気温が下がるため、ハウス本体1内の空気Kの湿度が相対的に上昇し、栽培植物に結露などを発生させる場合がある。それを防止するため従来は空調装置によりハウス本体1内の温度を上げていたため、多くの電力を必要としていた。
【0036】
この実施形態の場合は、循環筒8の取入口9と排出口10を閉じた状態にして、送風手段11により循環筒8内の空気Kを東側から西側に向けて送風する。そうすることにより、ハウス本体1内の低温高湿の空気Kが順次循環筒8内を通過して循環される。
【0037】
循環筒8に低温高湿の空気Kが供給されると、断熱容器部12内の化学蓄熱材Mがその湿度(水分)を吸収して水和反応を起こし発熱する。そのため水分の吸収と加熱を同時に行うことができ、低温高湿として循環筒8内に導入された空気Kを、高温低湿の空気Kとしてハウス本体1内に戻すことができる。そのためハウス本体1内の温度が上昇し且つ湿度が低下するため、夜間において温度を調整するために稼働させていた空調装置の使用を抑制することができる。
【0038】
次に昼間の場合を説明する。
【0039】
昼間のうちは、ヘリオスタット4で反射された太陽光Lはケース17内の光分離手段19を通過した後、植物の成長に必要な波長の透過光L1だけが、ハウス本体1内の栽培植物に照射される。
【0040】
ハウス本体1には図示せぬ拡散ミラーが設けられており、透光ガラス窓3から導入された透過光L1を均等に分散させてから栽培植物に照射することができるため、植物の成長を促すことができる。そのため昼間はLED照明用の使用電力を低減させることができる。尚、昼間においてハウス本体1内の湿度が足りない場合には、加湿装置を稼働させて、ハウス本体1内の湿度を適切に管理する。
【0041】
そして昼間の場合は、循環筒8の取入口9と排出口10は両方とも開いた状態となっており、外気Gが取入口9から取り入れられて、循環筒8を通過した後、反対側の排出口10から排出される。
【0042】
その状態で、光分離手段19により反射された赤外線成分である反射光L2が断熱容器部12の筒部13に当たって、内部の化学蓄熱材Mを加熱する。化学蓄熱材Mは加熱されると同時に、そこに外気Gが通されるため、化学蓄熱材Mは脱水反応により再び化学的に蓄熱された状態となり、吸湿と発熱が可能な元の状態に復元される。そのため夜間に再び取入口9と排出口10を閉じて、ハウス本体1内の空気Kを循環筒8で循環することにより、空気Kの吸湿と加温を行うことができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、太陽光Lを利用して照明や温度の補助を行うことができ、農業用ハウス全体としての消費電力の削減を図ることができる。
【0044】
尚、以上の説明では、光分離手段19及び循環筒8を透光ガラス窓3の下方に設ける例を示したが、上方に設けても良い。
【0045】
図7及び図8は、本発明の第2実施形態を示す図である。本実施形態は、前記第1実施形態と同様の構成要素を備えている。よって、それらと同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0046】
この実施形態に係るハウス本体20の北側は垂直面21になっており、上側及び南側は湾曲アーチ面22になっている。このハウス本体20は、垂直面21及び湾曲アーチ面22と、東西方向の両側の妻面23も含めて、全体が放射冷却シート24により形成されている。
【0047】
ハウス本体20の内部には木製の骨格フレーム25が設けられている。骨格フレーム25は垂直柱26と湾曲柱27と桁材28と床材29とから構成されている。垂直柱26と湾曲柱27は上端が結合された状態で、ハウス本体20の東西方向に沿って一定間隔ごとに形成されている。東西方向に延びる桁材28はその垂直柱26と湾曲柱27に対して一定間隔ごとに結合されている。放射冷却シート24はこの骨格フレーム25の全体を覆う形で取付けられている。
【0048】
放射冷却シート24の表面には放射冷却層が設けられている。放射冷却層はその表面から放射される赤外光を大気の窓(例えば、波長が8~14μmで大気の透過率が高い赤外波長帯域等)を通して宇宙空間に放出するもので、放射冷却シート24自体を冷却するものである。本実施形態の放射冷却層によれば、直射日光下で1平方メートルあたり100W程度の放熱を行うことができる。放射冷却層は酸化マグネシウムの単結晶、多結晶、又は、焼結体等で形成される。
【0049】
この実施形態によれば、以上説明したように、ハウス本体20の骨格フレーム25が木製であるため、鉄製の骨格フレームに比べて断熱効果が高い。そのため外部環境温度の影響を受けにくく、ハウス本体20内の温度を調整するために稼働させていた空調装置の使用を抑制することができ、農業用ハウス全体としての消費電力の削減を図ることができる。
【0050】
またハウス本体20の表面が放射冷却シート24で形成され、放射冷却シート24自体の温度が低下して、ハウス本体20内の温度上昇を抑制することができる。従って、同様にハウス本体20内の温度を調整するために稼働させていた空調装置の使用を抑制することができ、農業用ハウス全体としての消費電力の削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1、20 ハウス本体
3 透光ガラス窓
4 ヘリオスタット
8 循環筒
9 取入口
10 排出口
11 送風手段
12 断熱容器部
17 ケース
19 光分離手段
24 放射冷却シート
25 骨格フレーム
G 外気
K 空気
M 化学蓄熱材
S 太陽
P 集光点
L 太陽光
L1 透過光
L2 反射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8