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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153249
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20221004BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G10K11/16 150
A41D13/11 Z
A41D13/11 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179273
(22)【出願日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】63/167,246
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 佑典
(72)【発明者】
【氏名】井野 智晃
(72)【発明者】
【氏名】高田 徹
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061CC11
(57)【要約】
【課題】音声の減衰効果を十分に得ることができるマスクを提供する。
【解決手段】マスク100は、人の口を覆うカバー102を備えるマスク100であって、カバー102は、内部に空間が形成されており、カバー102は、人の口に装着される開口部104と、空間を第1気室C1及び第2気室C2を含む複数の気室に仕切る底部121、131、141と、複数の気室を互いに連通する通路部123、133、143とを有し、第1気室C1は、底部121、131、141のうちの第1気室C1を仕切る底部121と開口部104との間に形成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の口を覆うカバーを備えるマスクであって、
前記カバーは、内部に空間が形成されており、
前記カバーは、前記人の口に装着される開口部と、前記空間を第1気室及び第2気室を含む複数の気室に仕切る1以上の仕切部と、前記複数の気室を互いに連通する1以上の通路部とを有し、
前記第1気室は、前記1以上の仕切部のうちの前記第1気室を仕切る第1仕切部と前記開口部との間に形成される
マスク。
【請求項2】
前記1以上の通路部の少なくとも1つは、折り返し構造を有する
請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記折り返し構造は、第1方向に延びる第1部分と、前記第1部分と連通しており、前記第1方向に延びる第2部分とを有し、
前記第1部分と、前記第2部分とは、前記第1方向において互いに重なり、かつ、前記第1方向に交差する第2方向において異なる位置に配置され、
前記第1部分は、一端において前記第1気室と連通し、他端において前記第2部分と連通し、
前記第2部分は、一端において前記第1部分と連通し、他端において前記第2気室と連通する
請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記折り返し構造は、第1方向に延びる第1部分と、前記第1部分と連通しており、前記第1方向とは異なる第2方向に延びる第2部分とを有し、
前記第1部分は、一端において前記第1気室と連通し、他端において前記第2部分と連通し、
前記第2部分は、一端において前記第1部分と連通し、他端において前記第2気室と連通する
請求項2に記載のマスク。
【請求項5】
前記複数の気室のそれぞれの容積は、前記1以上の通路部のそれぞれの容積よりも大きい
請求項1から4のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項6】
前記複数の気室は、さらに、第3気室を含み、前記マスクが前記口に装着された状態における前記人の前後方向に並び、
前記第1気室及び前記第2気室を連通する前記通路部である第1通路部と、前記第2気室及び前記第3気室を連通する前記通路部である第2通路部とは、前記前後方向から見た場合に、重ならない位置に配置される
請求項1から5のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項7】
前記カバーは、さらに、
前記複数の気室のうち、前記第1気室から最も遠い位置に配置される気室と、前記カバーの外部の空間とを連通する貫通孔を有する
請求項1から6のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項8】
前記カバーは、さらに、
前記第1気室の、前記開口部及び前記第1仕切部を除く部分を囲う第1壁部と、前記第1壁部と間隔を空けて配置され、前記第1壁部をさらに囲う第2壁部とを有し、
前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成される管状の空間は、密閉されている
請求項1から7のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項9】
前記カバーは、前記複数の気室に配置される吸音材を有する
請求項1から8のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項10】
さらに、
前記第1気室内に配置されるマイクロフォンを備える
請求項1から9のいずれか1項に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人の口に装着されるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人の口から発せられる音声の減衰効果が得られるマスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-3968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、音声の減衰効果が十分ではないという課題がある。
【0005】
本開示は、音声の減衰効果を十分に得ることができるマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るマスクは、人の口を覆うカバーを備えるマスクであって、前記カバーは、内部に空間が形成されており、前記カバーは、前記人の口に装着される開口部と、前記空間を第1気室及び第2気室を含む複数の気室に仕切る1以上の仕切部と、前記複数の気室を互いに連通する1以上の通路部とを有し、前記第1気室は、前記1以上の仕切部のうちの前記第1気室を仕切る第1仕切部と前記開口部との間に形成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るマスクは、音声の減衰効果を十分に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係るマスクの使用例を示す図である。
図2図2は、マスクの前側を含む外観を示す斜視図である。
図3図3は、マスクの後側を含む外観を示す斜視図である。
図4図4は、マスクを右側から見た場合の側面図である。
図5図5は、図4におけるマスクのV-V断面図である。
図6図6は、図5におけるマスクのVI-VI断面図である。
図7図7は、図5における通路部の部分を切断したVII-VII断面図である。
図8図8は、マスクをXY平面で切断した場合の断面を含む斜視図である。
図9図9は、マスクを通路部を通るYZ平面で切断した場合の断面を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様に係るマスクは、人の口を覆うカバーを備えるマスクであって、前記カバーは、内部に空間が形成されており、前記カバーは、前記人の口に装着される開口部と、前記空間を第1気室及び第2気室を含む複数の気室に仕切る1以上の仕切部と、前記複数の気室を互いに連通する1以上の通路部とを有し、前記第1気室は、前記1以上の仕切部のうちの前記第1気室を仕切る第1仕切部と前記開口部との間に形成される。
【0010】
これによれば、第1気室と第2気室とが通路部により連通されているため、第1気室において人の口から発せられた音声は、第1気室、通路部、第2気室の順に通過する。つまり、音声は、広い空間である第1気室から狭い空間である通路部を通過し、そして、通路部から広い空間である第2気室に伝搬する。このように、音声は、一旦狭い空間を通過するため、音声の減衰効果を向上させることができる。
【0011】
また、前記1以上の通路部の少なくとも1つは、折り返し構造を有してもよい。
【0012】
このため、通路部における音が伝搬する距離を長くすることができる。よって、人から発せられた音声の音圧を効果的に低減することができる。
【0013】
また、前記折り返し構造は、第1方向に延びる第1部分と、前記第1部分と連通しており、前記第1方向に延びる第2部分とを有し、前記第1部分と、前記第2部分とは、前記第1方向において互いに重なり、かつ、前記第1方向に交差する第2方向において異なる位置に配置され、前記第1部分は、一端において前記第1気室と連通し、他端において前記第2部分と連通し、前記第2部分は、一端において前記第1部分と連通し、他端において前記第2気室と連通してもよい。
【0014】
また、前記折り返し構造は、第1方向に延びる第1部分と、前記第1部分と連通しており、前記第1方向とは異なる第2方向に延びる第2部分とを有し、前記第1部分は、一端において前記第1気室と連通し、他端において前記第2部分と連通し、前記第2部分は、一端において前記第1部分と連通し、他端において前記第2気室と連通してもよい。
【0015】
また、前記複数の気室のそれぞれの容積は、前記1以上の通路部のそれぞれの容積よりも大きくてもよい。
【0016】
このため、人の口が収容される第1気室において人の口から発せられた音は、第1気室から第2気室へ伝搬する際に第1気室及び第2気室よりも容積が小さい通路部を通過するため、人の口から発せられた音の音圧を効果的に低減することができる。
【0017】
また、前記複数の気室は、さらに、第3気室を含み、前記マスクが前記口に装着された状態における前記人の前後方向に並び、前記第1気室及び前記第2気室を連通する前記通路部である第1通路部と、前記第2気室及び前記第3気室を連通する前記通路部である第2通路部とは、前記前後方向から見た場合に、重ならない位置に配置されてもよい。
【0018】
これによれば、第2気室の入口と出口とが、前後方向における位置が重ならないように配置されるため、第2気室を音が伝搬する距離を長くすることができる。よって、カバー内の音の音圧を効果的に低減することができる。
【0019】
また、前記カバーは、さらに、前記複数の気室のうち、前記第1気室から最も遠い位置に配置される気室と、前記カバーの外部の空間とを連通する貫通孔を有してもよい。
【0020】
このため、人は、マスクを口の周囲に密着させた状態で、人の口から吹き出された空気をマスクの外部の空間に放出することができる。つまり、人がマスクを装着している状態で、人が声を発しているときに人の口から吹き出された空気をマスクの外部の空間に放出することができるため、人がマスクを装着した状態でも話しやすくすることができる。
【0021】
また、前記カバーは、さらに、前記第1気室の、前記開口部及び前記第1仕切部を除く部分を囲う第1壁部と、前記第1壁部と間隔を空けて配置され、前記第1壁部をさらに囲う第2壁部とを有し、前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成される管状の空間は、密閉されていてもよい。
【0022】
これにより、人の口から発せられた音の音圧が他の気室よりも大きい第1気室を少なくとも空間で囲うことができるため、第1気室の筒形部分を介して外部に音が漏れることを低減することができる。
【0023】
また、前記カバーは、前記複数の気室に配置される吸音材を有してもよい。
【0024】
これにより、より効果的に人が発した音声の音圧を低減することができる。
【0025】
また、さらに、前記第1気室内に配置されるマイクロフォンを備えてもよい。
【0026】
これにより、人が発した声をマイクロフォンで収音し、かつ、人が発した声が人の周囲の他の人に聞かれることを低減することができる。
【0027】
以下、本発明の一態様に係るマスクについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0029】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係るマスクの使用例を示す図である。
【0030】
マスク100は、人の口に装着され、人の口を覆う。マスク100は、人が発した声を含む音声を低減するためのものである。マスク100は、マイクロフォンを備え、マイクロフォンによって音声を収集してもよい。このため、マスク100は、周囲の人に人が発した声が聞こえないように、マイクロフォンを用いて音声を収集することができる。例えば、マスク100は、オフィスや自宅でリモート会議を行う場合に、人が発した声が周囲の人に聞かれることを低減することができ、周囲の人に会話の内容が知られること、または、周囲の人へ不快感を与えることを抑制することができる。
【0031】
マスク100は、人が手に持って人の口に装着してもよいし、マスク100を人の頭部に装着するためのバンドを有していてもよい。
【0032】
次に、マスク100の構成について説明する。
【0033】
図2は、マスク100の前側を含む外観を示す斜視図である。図3は、マスク100の後側を含む外観を示す斜視図である。図4は、マスク100を右側から見た場合の側面図である。
【0034】
図2図3及び図4において、マスク100を装着した状態において、X軸方向は人の左右方向であり、Y軸方向は人の前後方向であり、Z軸方向は、人の上下方向である。また、X軸プラス方向(X軸方向の矢印の先端側の方向)は、人の右方向であり、X軸マイナス方向(X軸プラス方向の反対方向)は、人の左方向でアリ、Y軸プラス方向(Y軸方向の矢印の先端側の方向)は、人の前方向であり、Y軸マイナス方向(Y軸プラス方向の反対方向)は、人の後方向であり、Z軸プラス方向(Z軸方向の矢印の先端側の方向)は、人の上方向であり、Z軸マイナス方向(Z軸プラス方向の反対方向)は、人の下方向である。
【0035】
マスク100は、クッション体101と、カバー102とを備える。クッション体101は、人の口に装着される部分に設けられ、開口部104が形成されている環状の形状を有する。開口部104は、マスク100が人の口に装着された時に、人の口を囲う位置に配置される。つまり、マスク100が人の口に装着された場合、人の口は、クッション体101の開口部104の中に配置され、マスク100によって覆われる。カバー102は、カバー102の前側に貫通孔103を有する。貫通孔103は、カバー102の内部の空間と連通しており、開口部104と連通している。このため、人は、マスク100のクッション体101を口の周囲に密着させた状態で、人の口から吹き出された空気をマスク100の外部の空間に放出することができる。つまり、人がマスク100を装着している状態で、人が声を発しているときに人の口から吹き出された空気をマスク100の外部の空間に放出することができるため、人がマスク100を装着した状態でも話しやすくすることができる。
【0036】
次に、マスク100のうちのカバー102の詳細な構成について説明する。
【0037】
図5は、図4におけるマスク100のV-V断面図である。図5は、具体的には、マスク100の上下方向における中心を通るXY平面で切断した場合の断面図である。
【0038】
図5に示すように、マスク100のカバー102は、筒形の第1部材110と、有底筒形の第2部材120、第3部材130、第4部材140、及び、第5部材150とを備える。また、マスク100のカバー102の内部には、マイクロフォン160が配置されている。
【0039】
第1部材110は、Y軸方向に延びる筒形の第1部分111と、第1部分111のY軸マイナス方向側の端部からY軸マイナス方向に延び、Y軸マイナス方向の位置ほど管径が拡がるような形状の第2部分112とを有する。第1部材110のY軸マイナス方向側の端部、つまり、第2部分112のY軸マイナス方向側の端部には、クッション体101が接続されている。また、第1部材110のY軸プラス方向側の端部、つまり、第1部分111のY軸プラス方向側の端部には、第2部材120が接続されている。
【0040】
第2部材120は、平板状の底部121と、底部121の周縁部からY軸マイナス方向側に配置される筒形部分122と、底部121のX軸マイナス方向側の一部及び筒形部分のX軸マイナス方向側の一部に接続されている通路部123とを有する。筒形部分122は、Y軸プラス方向側の端部が底部121に接続されており、Y軸マイナス方向側の端部が第1部材110のY軸プラス方向側の端部に接続されている。なお、通路部123の具体的な構成については、後述する。
【0041】
クッション体101と、第1部材110と、第2部材120の筒形部分122とは、一体の筒形形状を構成しており、前方の端部を第2部材120の底部121により覆われている有底筒形の形状を構成する。クッション体101、第1部材110及び第2部材120は、第1気室C1を囲うように形成されている部材である。つまり、クッション体101、第1部材110及び第2部材120は、第1気室C1を形成している。
【0042】
第3部材130は、平板状の底部131と、底部131の周縁部からY軸マイナス方向側に配置される筒形部分132と、底部131のX軸プラス方向側の一部及び筒形部分のX軸プラス方向側の一部に接続されている通路部133とを有する。筒形部分132は、Y軸プラス方向側の端部が底部131に接続されており、Y軸マイナス方向側の端部が第2部材120のY軸プラス方向側の端部に接続されている。なお、通路部133の具体的な構成については、後述する。第3部材130は、第2部材120の底部121と共に第2気室C2を囲うように形成されている部材である。つまり、第2部材120及び第3部材130は、第2気室C2を形成している。
【0043】
第4部材140は、平板状の底部141と、底部141の周縁部からY軸マイナス方向側に配置される筒形部分142と、底部141のX軸マイナス方向側の一部及び筒形部分のX軸マイナス方向側の一部に接続されている通路部143とを有する。筒形部分142は、Y軸プラス方向側の端部が底部141に接続されており、Y軸マイナス方向側の端部が第3部材130のY軸プラス方向側の端部に接続されている。なお、通路部143の具体的な構成については、後述する。第4部材140は、第3部材130の底部131と共に第3気室C3を囲うように形成されている部材である。つまり、第3部材130及び第4部材140は、第3気室C3を形成している。
【0044】
第1部材110の第1部分111と、筒形部分122、132、142とは、一体の筒形形状を構成する。例えば、第1部分111の外周面をY軸プラス方向側に延長させた面と、筒形部分122、132、142の外周面とは一致する。
【0045】
第5部材150は、平板状の底部151と、底部151の周縁部からY軸マイナス方向側に配置される筒形部分152、153とを有する。底部151には、底部151を貫通する貫通孔103が形成されている。筒形部分152は、筒形部分153よりも厚みが大きい厚肉部分であり、第4部材140のY軸プラス方向側の端部が接続される部分である。このため、第5部材150の底部151及び筒形部分152は、第4部材140の底部141と共に第4気室C4を囲うように形成されている部材である。つまり、第4部材140及び第5部材150は、第4気室C4を形成している。
【0046】
また、筒形部分153は、筒形部分152よりも厚みが薄い薄肉部分である。筒形部分153の外周面は、筒形部分152の外周面をY軸マイナス方向側に延長させた面と一致する。つまり、筒形部分153の内周面と、第1部材110の第1部分111、及び、筒形部分122、132、142の外周面との間には、空間S1が形成されている。空間S1は、図6に示すように、第2気室C2を囲むように形成されている。図6は、空間S1が第2気室C2を囲んで形成される例を示しているが、第1気室C1及び第3気室C3に対しても同様のことが言える。なお、図6は、図5における第3部材130の位置をXZ平面で切断したVI-VI断面図である。
【0047】
このように、カバー102は、さらに、第1気室C1の、開口部104及び底部121を除く部分を囲う第1壁部としての筒形部分122と、筒形部分122と間隔を空けて配置され、筒形部分122をさらに囲う第2壁部としての筒形部分153とを有する。同様に、カバー102は、第1壁部として、筒形部分132、142を有していてもよく、第2壁部としての筒形部分153は、筒形部分132、42と間隔を空けて配置されてもよい。第1壁部としての筒形部分122、132、142と、筒形部分153との間に形成される環状の空間である空間S1は、密閉されていてもよい。
【0048】
これにより、人の口から発せられた音の音圧が他の気室よりも大きい第1気室C1を少なくとも空間S1で囲うことができるため、第1気室C1の筒形部分122を介して外部に音が漏れることを低減することができる。
【0049】
なお、第1部材110、第2部材120、第3部材130、第4部材140及び第5部材150は、樹脂で構成されていてもよいし、金属で構成されていてもよい。
【0050】
なお、第1気室C1、第2気室C2、第3気室C3及び第4気室C4のそれぞれの容積は、通路部123、133、143のうちのいずれよりも容積が大きい。また、第1気室C1、第2気室C2、第3気室C3及び第4気室C4を音が伝搬する管とみなした場合における音の伝搬経路の管径は、通路部123、133、143の音の伝搬経路の管径よりも大きいとも言える。音の伝搬経路の管径とは、音の伝搬経路に直行する平面で気室または通路部を切断したときの、気室または通路部の幅(最小幅、最大幅、平均幅など)である。このため、人の口が収容される第1気室C1において人の口から発せられた音は、第1気室C1から第2気室C2へ伝搬する際に第1気室C1及び第2気室C2よりも容積が小さい通路部123を通過するため、人の口から発せられた音の音圧を効果的に低減することができる。さらに、音が第2気室C2から第3気室C3へ伝搬する際も、第3気室C3から第4気室へ伝搬する際も、第2気室C2、第3気室C3及び第4気室C4のそれぞれの容積よりも小さい容積の通路部133、143を通過するため、より効果的に第3気室C3へ伝搬する音、及び、第4気室C4へ伝搬する音の音圧を低減することができる。
【0051】
貫通孔103は、第5部材150の底部151に形成されている。つまり、貫通孔103は、複数の気室C1~C4のうち、第1気室C1から最も遠い位置に配置される第4気室C4と、カバー102の外部の空間とを連通する。なお、ここで、第1気室C1から最も遠いとは、カバー102内の複数の気室C1~C4及び複数の通路部123、133、143で形成される経路上の距離において最も遠いことを意味する。
【0052】
なお、第1気室C1、第2気室C2、第3気室C3及び第4気室C4のそれぞれの内壁には、吸音材が設けられていてもよい。これにより、より効果的に人が発した音声の音圧を低減することができる。
【0053】
マイクロフォン160は、本実施の形態では、第2部材120の筒形部分122の内周面に配置されている。マイクロフォン160は、音声を収集する。マイクロフォン160は、図示しない信号処理回路及び通信IF(Interface)と接続されており、信号処理回路により信号処理された処理結果が通信IFにより、外部の機器に送信されてもよい。信号処理回路は、ハードウェアにより実現され、ハードウェア処理を実行する専用回路であってもよいし、ソフトウェアにより実現され、ソフトウェア処理を実行するプロセッサ及びソフトウェア処理のプログラムを格納しているメモリであってもよい。マイクロフォン160、信号処理回路及び通信IFは、マスク100が備えるバッテリの電力により駆動されてもよいし、外部電源(商用電源または外部バッテリ)により駆動されてもよい。
【0054】
次に、通路部123、133、143について説明する。
【0055】
図7は、図5における通路部133の部分を切断したVII-VII断面図である。
【0056】
通路部133は、第2気室C2と、第3気室C3とを連通する部位である。通路部133は、図6に示すように、折り返し構造を有する。通路部133の折り返し構造は、開口部133aと、第1部分133bと、第2部分133cと、開口部133dとを有する。
【0057】
開口部133aは、通路部133の入り口であり、第2気室C2との境界部分である。第1部分133bは、Z軸方向に延びる部分である。第2部分133cは、Z軸方向に延びる部分である。第1部分133bと、第2部分133cとは、Z軸方向において互いに重なり、かつ、Z軸方向に交差するY軸方向において異なる位置に配置されている。第1部分133bは、一端において第2気室C2と連通し、他端において第2部分133cと連通する。また、第2部分133cは、一端において第1部分133bと連通し、他端において第3気室C3と連通する。
【0058】
なお、通路部123、143も、通路部133と同様の構成を有するため、説明を省略する。通路部123は、第1気室C1と、第2気室C2とを連通する部位である。通路部143は、第3気室C3と、第4気室C4とを連通する部位である。
【0059】
図8は、マスク100をXY平面で切断した場合の断面を含む斜視図である。図9は、マスク100を通路部123、143を通るYZ平面で切断した場合の断面を含む斜視図である。
【0060】
図2図7で説明したように、カバー102は、第1部材110と、有底筒形の第2部材120、第3部材130、第4部材140、及び、第5部材150とを有する構成であり、内部に第1気室C1、第2気室C2、第3気室C3及び第4気室C4を含む空間が形成されている。カバー102は、開口部104と、1以上の仕切部としての底部121、131、141と、1以上の通路部123、133、143とを有する。底部121、131、141は、カバー102内部の空間を第1気室C1、第2気室C2、第3気室C3及び第4気室C4を含む複数の気室に仕切る1以上の仕切部の一例である。1以上の通路部123、133、143は、複数の気室を互いに連通する。通路部123は、第1気室C1と第2気室C2とを連通する。通路部133は、第2気室C2と第3気室C3とを連通する。通路部143は、第3気室C3と第4気室C4とを連通する。第1気室C1は、1以上の仕切部としての底部121、131、141のうち第1気室C1を仕切る第1仕切部としての底部121と開口部104との間に形成される。
【0061】
また、第1気室C1、第2気室C2、第3気室C3及び第4気室C4は、マスク100が口に装着された状態における人の前後方向(Y軸方向)に並ぶ。第1気室C1及び第2気室C2を連通する通路部123と、第2気室C2及び第3気室C3を連通する通路部133とは、前後方向から見た場合に重ならない位置に配置される。同様に、通路部133と、第3気室C3及び第4気室C4を連通する通路部143とは、前後方向から見た場合に重ならない位置に配置される。
【0062】
このように、第2気室C2の入口と出口とが、前後方向における位置が重ならないように配置されるため、第2気室C2を音が伝搬する距離を長くすることができる。また、第1気室C1、第2気室C2、第3気室C3及び第4気室C4を前後方向に並んで配置することができるため、カバー102のサイズをコンパクトにすることができる。よって、カバー102内の音の音圧を効果的に低減することができる。
【0063】
[効果など]
本実施の形態に係るマスク100は、人の口を覆うカバー102を備える。カバー102は、内部に空間が形成されている。カバー102は、人の口に装着される開口部104と、カバー102内の空間を複数の気室に仕切る1以上の仕切部としての底部121、131、141と、複数の気室を互いに連通する1以上の通路部123、133、143とを有する。複数の気室は、第1気室C1及び第2気室C2を含む。第1気室C1は、底部121、131、141のうちの第1気室C1を仕切る第1仕切部としての底部121と開口部104との間に形成される。
【0064】
これによれば、第1気室C1、第2気室C2、第3気室C3、及び、第4気室C4が通路部123、133、143により連通されているため、第1気室C1において人の口から発せられた音声は、第1気室C1、通路部123、第2気室C2、通路部133、第3気室C3、通路部143、及び、第4気室C4の順に通過する。このため、音声は、広い空間である気室と狭い空間である通路部とを繰り返す経路を伝搬する。このように、音声は、広い空間と狭い空間とを繰り返す経路を伝搬するため、音声の減衰効果を向上させることができる。
【0065】
また、本実施の形態に係るマスク100において、通路部123、133、143のそれぞれは、折り返し構造を有する。このため、通路部123、133、143における音が伝搬する距離を長くすることができる。よって、人から発せられた音声の音圧を効果的に低減することができる。
【0066】
[変形例1]
上記実施の形態では、各通路部の折り返し構造は、180度折れ曲がる構造としたが、これに限らずに、180度未満の角度で折れ曲がる構造としてもよい。つまり、折り返し構造は、第1方向に延びる第1部分と、第1部分と連通しており、第1方向とは異なる第2方向に延びる第2部分とを有する。第2方向は、第1方向に対して直交する方向であってもよいし、鋭角で交差する方向であってもよいし、鈍角で交差する方向であってもよい。通路部の第1部分は、一端において第1気室と連通し、他端において通路部の第2部分と連通し、通路部の第2部分は、一端において第1部分と連通し、他端において第2気室と連通する。
【0067】
[変形例2]
上記実施の形態では、マスク100は、4つの気室を有する構成としたがこれに限らずに、2つの気室と、2つの気室を連通する通路部とを有する構成であればよく、気室の数は2以上で、通路部の数は2以上の気室を連通する気室を有していればよい。
【0068】
以上、本開示の一つまたは複数の態様に係るマスクについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示は、音声の減衰効果を十分に得ることができるマスク等として有用である。
【符号の説明】
【0070】
100 マスク
101 クッション体
102 カバー
103 貫通孔
104 開口部
110 第1部材
111 第1部分
112 第2部分
120 第2部材
121、131、141、151 底部
122、132、142、152、153 筒形部分
123、133、143 通路部
130 第3部材
133a、133d 開口部
133b 第1部分
133c 第2部分
140 第4部材
150 第5部材
160 マイクロフォン
C1 第1気室
C2 第2気室
C3 第3気室
C4 第4気室
S1 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9