(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153253
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】インホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造及びその方法
(51)【国際特許分類】
B62D 7/18 20060101AFI20221004BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20221004BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20221004BHJP
B60G 7/00 20060101ALI20221004BHJP
B62D 113/00 20060101ALN20221004BHJP
【FI】
B62D7/18 A
B62D6/00
B62D5/04
B60G7/00
B62D113:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196762
(22)【出願日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】10-2021-0040071
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 相 旭
【テーマコード(参考)】
3D034
3D232
3D301
3D333
【Fターム(参考)】
3D034BA07
3D034BA08
3D034BB07
3D034BC02
3D034BC04
3D034BC05
3D034BC13
3D034BC16
3D034BC26
3D034BD02
3D034BD03
3D232CC32
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3D232DC33
3D232DC34
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3D232EC40
3D232GG15
3D301AB29
3D301CA43
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3D301DB33
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3D333CB02
3D333CB10
3D333CB29
3D333CB38
3D333CB42
3D333CB48
3D333CD14
3D333CE36
3D333CE57
(57)【要約】
【課題】インホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造及びその方法を提供する。
【解決手段】本発明のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造は、ステアリングホイールの操舵角を感知する操舵入力部と、操舵入力部の一端に固定され、操舵入力部の操舵角に応じてホイールを操舵させるように構成される操舵ユニットと、一端が操舵ユニットに連結され、他端がホイールに連結され、操舵ユニットを基準に傾動されるように構成される傾動ユニットと、傾動ユニットを選択的に駆動させる制御部と、からなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの操舵角を感知する操舵入力部と、
前記操舵入力部に締結され、前記操舵入力部の操舵角に応じてホイールを操舵させるように構成される操舵ユニットと、
一端が前記操舵ユニットに連結され、他端が前記ホイールに連結され、前記操舵ユニットを基準に傾動されるように構成される傾動ユニットと、
前記傾動ユニットを選択的に駆動させる制御部と、を含んでなることを特徴とするインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項2】
前記操舵ユニットは、
前記操舵入力部に連結され、前記傾動ユニットを回転させるように構成される操舵モーターと、
前記操舵モーターと操舵軸を基準に連結され、前記操舵入力部に入力された操舵角と前記操舵モーターの回転角とが一致するか否かを感知するように構成される操舵アングルセンサーと、を含むように構成されることを特徴とする請求項1に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項3】
前記傾動ユニットは、
一端が操舵ユニットに締結される傾動ヨークと、
前記ホイールに固定され、前記傾動ヨークの他面に位置する傾動軸を基準に回転傾動されるように構成される傾動部ハウジングと、
前記傾動部ハウジングと前記傾動ヨークとの間に位置し、前記傾動部ハウジングを選択的に固定させる傾動制動装置と、
一端が前記傾動ヨークに連結され、他端が前記傾動部ハウジングに連結されるように構成される傾動ショックアブソーバーと、
前記傾動制動装置に連動し、前記傾動部ハウジングの傾動角度を感知する傾動角センサーと、を含むように構成されることを特徴とする請求項2に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項4】
車両の衝撃値を感知する加速度センサーをさらに含み、
前記加速度センサーに所定の衝撃値以上が印加される場合には、前記操舵アングルセンサーは、前記操舵入力部に入力された操舵角と前記操舵モーターの回転角とが一致するか否かを感知するように構成されることを特徴とする請求項3に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項5】
前記制御部は、車両が運転者制御可能状態にある場合には、前記傾動制動装置が前記傾動部ハウジングを固定するように制御することを特徴とする請求項4に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項6】
前記制御部は、車両が運転者制御不可能状態にある場合には、前記傾動制動装置が前記傾動部ハウジングの固定を解除するように制御することを特徴とする請求項4に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項7】
前記傾動部ハウジングは、前記傾動ヨークを基準に傾動され、前記傾動ショックアブソーバーが圧縮されるように構成されることを特徴とする請求項6に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項8】
前記運転者制御不可能状態から外れた場合には、
前記傾動ショックアブソーバーの弾性復元力によって前記傾動部ハウジングが復元されるように構成されることを特徴とする請求項7に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項9】
前記傾動部ハウジングが前記傾動ヨークを基準に傾動解除され、前記傾動制動装置が固定されるように構成されることを特徴とする請求項8に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項10】
前記傾動ユニットに連結され、前記ホイールに独立して駆動力を印加するインホイールモーター部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造。
【請求項11】
加速度センサーが、所定の衝撃値以上が印加されたか否かを感知するステップと、
前記所定の衝撃値以上が印加された場合には、制御部が運転者制御可能状態か否かを判断するステップと、
前記制御部が運転者制御不可能状態と判断した場合には、傾動制動装置が解除されるステップと、
傾動角センサーが、傾動部ハウジングが所定の傾動限界角度以内に傾動されたか否かを感知するステップと、
前記傾動部ハウジングが所定の傾動限界角度以内に傾動された場合には、前記傾動制動装置が解除された状態で、前記制御部が、操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するように調整するステップと、
前記制御部が、操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するように調整完了した場合、前記傾動角センサーが、前記傾動部ハウジングが復元されたか否かを感知するステップと、
前記傾動角センサーが、前記傾動部ハウジングが復元されたと感知した場合には、前記傾動制動装置が固定されるステップと、を含むことを特徴とするインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法。
【請求項12】
前記制御部が運転者制御可能状態か否かを判断するステップで、
入力された操舵角に対応した操舵モーターの回転角が同一であるか否かを判断するステップと、
前記操舵角と前記回転角とが同一でない場合には、操舵モーターから印加される現在トルクが所定の操舵モーターの限界トルク以下であるか否かを判断するステップと、
操舵モーターから印加される現在トルクが所定の操舵モーターの限界トルク以下である場合には、運転者制御可能状態と判断し、操舵モーターから印加される現在トルクが所定の操舵モーターの限界トルクを超える場合には、運転者制御不可能状態と判断するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法。
【請求項13】
前記制御部が運転者制御可能状態と判断するステップで、前記制御部が、操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するよう調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法。
【請求項14】
所定の傾動限界角度以内に傾動されたか否かを感知するステップで、
前記傾動部ハウジングが所定の傾動限界角度から外れて傾動される場合には、前記傾動制動装置が固定されるステップと、
前記制御部が、操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するように調整するステップと、
操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するように調整完了した場合には、前記傾動制動装置の固定が解除されるステップと、
前記傾動角センサーが、前記傾動部ハウジングが復元されたか否かを感知するステップと、
前記傾動部ハウジングが復元された場合、前記傾動制動装置が固定されるステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造及びその方法に関し、より詳細には、新たに傾動ユニット(tilting unit)を適用して、2次的に所定の限界点以上の衝撃を吸収することにより、インホイールモーターの損傷を最小限に抑えることができるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造に関する。また、複数のセンサーに感知される衝撃量を計算して傾動ユニットを選択的に駆動できるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車は、タイヤを挟んで路面に力を伝達して駆動される。これは、運転席の運転者によって操作される操舵装置を介して車両の前輪または後輪を動かして制御するように行われる。このような操舵装置として使用されるステアリングホイールは、回転のために多くの力が使用されるため、人の力で操作させるためには強い力が必要とされるので、電気モーター及び油圧の力を補助動力とするパワーステアリングシステムが公知であり使用されている。ここで、電動式パワーステアリング(MDPS、Motor Drive Power Steering)システムは、ステアリングホイールの回転軸に連結される電動式モーターを付加的に備え、電動式モーターから提供される回転力をステアリングホイールの補助回転力として用いることにより、ステアリングホイールを容易に回転させる。
【0003】
ただし従来は、運転者がステアリングホイールを回転させると、ステアリングギアのピニオンが同じ角度で回転し、ヘリカルギアによって往復運動に変化した後、タイヤの操舵角を決定するように構成される。このようにステアリングホイールからステアリングギアまでソリッドタイプで固定されているので、ハードウェア的な仕様が決定されると車両のステアリング応答性も決まる。
【0004】
このように、車両の走行速度や運転性向などに応じてステアリングホイールの応答性を変化させないため、運転者の要求条件を満足させることが難しく、様々な運転条件で最適化された応答性を提供することができないという問題がある。最近、エコカーに対する研究が盛んになり、減速機や差動ギアなどの中間段階の動力伝達装置を省略でき、車両の重量を減少でき、動力伝達過程でのエネルギー損失を低減できるという点を考慮して、タイヤ装着用ホイールのリム部内にモーターを直接内設してモーターの動力がホイールに直接伝達されるようにするインホイールモーター車両が脚光を浴びている。
【0005】
電気で作動するインホイールモーターを使用できるという利点は、環境的な側面もあるが、構造的に左右のホイールを独立して動かすことができるという利点がある。インホイールモーターシステムは、各ホイールに装着された操舵モーターが従来のステアリングギア構造を代替することにより、車両動きの自由度を高め、さらに自律走行車の操舵システム構造を構成する。しかし、機械部品が電気部品に変わることにより外部からの衝撃に脆弱な部分があるため、それによる安全性の問題が発生するリスクが存在する。
【0006】
具体的には、インホイールモーター用の独立制御ステアリングシステムには、前輪のホイールごとに操舵機能を担当するモーターが装着され、従来の機構的な拘束により実現し難かったバンプ/リバウンド時のトー角度(toe angle)や旋回時の内/外輪角度などを自由に制御することにより、走行性能を実現する上でより高い自由度を確保できる。しかし、ホイールと操舵システム間の機構的な拘束がなくなり、ステアリングギアなどの構造物自体の剛性で支持していた衝撃性荷重をモーターの作動力で耐えなければならないという困難が発生する。路面から大きな衝撃が伝達される場合には、衝撃荷重がモーター作動力の限界を超えるため、瞬間的に各ホイールの操舵角が制御し難い角度に変形することにより、事故のリスクが発生する。
【0007】
また、ホイール内部の駆動モーターが、衝撃を受けて損傷することにより、作動不能の状態に陥るおそれがある。これにより、路面の衝撃による操舵制御機能が喪失する場合には安全上の問題点が発生する。したがって、インホイールモーターを適用しながらも走行安定性を確保できる衝撃吸収構造(Steering Shock Absorber:SSA)が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1964373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、傾動ユニットを適用して、2次的に所定の限界点以上の衝撃を吸収することにより、インホイールモーターの損傷を最小限に抑えることができるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造を提供することにある。本発明の他の目的は、複数のセンサーに感知される衝撃量を計算して傾動ユニットを選択的に駆動できるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造は、ステアリングホイールの操舵角を感知する操舵入力部と、前記操舵入力部に締結され、前記操舵入力部の操舵角に応じてホイールを操舵させるように構成される操舵ユニットと、一端が前記操舵ユニットに連結され、他端が前記ホイールに連結され、前記操舵ユニットを基準に傾動されるように構成される傾動ユニットと、前記傾動ユニットを選択的に駆動させる制御部と、を含んでなることを特徴とする。
【0011】
前記操舵ユニットは、前記操舵入力部に連結され、前記傾動ユニットを回転させるように構成される操舵モーターと、前記操舵モーターと操舵軸を基準に連結され、前記操舵入力部に入力された操舵角と前記操舵モーターの回転角とが一致するか否かを感知するように構成される操舵アングルセンサーと、を含むように構成されることを特徴とする。
【0012】
前記傾動ユニットは、一端が操舵ユニットに締結される傾動ヨークと、前記ホイールに固定され、前記傾動ヨークの他面に位置する傾動軸を基準に回転傾動されるように構成される傾動部ハウジングと、前記傾動部ハウジングと前記傾動ヨークとの間に位置し、前記傾動部ハウジングを選択的に固定させる傾動制動装置と、一端が前記傾動ヨークに連結され、他端が前記傾動部ハウジングに連結されるように構成される傾動ショックアブソーバーと、前記傾動制動装置に連動し、前記傾動部ハウジングの傾動角度を感知する傾動角センサーと、を含むように構成されることを特徴とする。
【0013】
車両の衝撃値を感知する加速度センサーをさらに含み、前記加速度センサーに所定の衝撃値以上が印加される場合には、前記操舵アングルセンサーは、前記操舵入力部に入力された操舵角と前記操舵モーターの回転角とが一致するか否かを感知するように構成されることを特徴とする。
【0014】
前記制御部は、車両が運転者制御可能状態にある場合には、前記傾動制動装置が前記傾動部ハウジングを固定するように制御することを特徴とする。
【0015】
前記制御部は、車両が運転者制御不可能状態にある場合には、前記傾動制動装置が前記傾動部ハウジングの固定を解除するように制御することを特徴とする。
【0016】
前記傾動部ハウジングは、前記傾動ヨークを基準に傾動され、前記傾動ショックアブソーバーが圧縮されるように構成されることを特徴とする。
【0017】
前記運転者制御不可能状態から外れた場合には、前記傾動ショックアブソーバーの弾性復元力によって前記傾動部ハウジングが復元されるように構成されることを特徴とする。
【0018】
前記傾動部ハウジングは、前記傾動ヨークを基準に傾動解除され、前記傾動制動装置が固定されるように構成されることを特徴とする。
【0019】
前記傾動ユニットに連結され、前記ホイールに独立して駆動力を印加するインホイールモーター部をさらに含むように構成されることを特徴とする。
【0020】
本発明によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法は、加速度センサーが、所定の衝撃値以上が印加されたか否かを感知するステップと、前記所定の衝撃値以上が印加された場合には、制御部が運転者制御可能状態か否かを判断するステップと、前記制御部が運転者制御不可能状態と判断した場合には、傾動制動装置が解除されるステップと、傾動角センサーが、傾動部ハウジングが所定の傾動限界角度以内に傾動されたか否かを感知するステップと、前記傾動部ハウジングが所定の傾動限界角度以内に傾動された場合には、前記傾動制動装置が解除された状態で、前記制御部が、操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するように調整するステップと、前記制御部が、操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するように調整完了した場合、前記傾動角センサーが、前記傾動部ハウジングが復元されたか否かを感知するステップと、前記傾動角センサーが、前記傾動部ハウジングが復元されたと感知した場合には、前記傾動制動装置が固定されるステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
前記制御部が運転者制御可能状態か否かを判断するステップで、入力された操舵角に対応した操舵モーターの回転角が同一であるか否かを判断するステップと、前記操舵角と回転角とが同一でない場合には、操舵モーターから印加される現在トルクが所定の操舵モーターの限界トルク以下であるか否かを判断するステップと、操舵モーターから印加される現在トルクが所定の操舵モーターの限界トルク以下である場合には、運転者制御可能状態と判断し、操舵モーターから印加される現在トルクが所定の操舵モーターの限界トルクを超える場合には、運転者制御不可能状態と判断するステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0022】
前記制御部が運転者制御可能状態と判断するステップで、前記制御部が、操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するように調整するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0023】
所定の傾動限界角度以内に傾動されたか否かを感知するステップで、前記傾動部ハウジングが所定の傾動限界角度から外れて傾動される場合には、前記傾動制動装置が固定されるステップと、前記制御部が、操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するように調整するステップと、操舵入力部に入力された操舵角と操舵モーターの回転角とが一致するように調整完了した場合には、前記傾動制動装置の固定が解除されるステップと、前記傾動角センサーが、前記傾動部ハウジングが復元されたか否かを感知するステップと、前記傾動部ハウジングが復元された場合、前記傾動制動装置が固定されるステップと、をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、次のような効果を有する。
第一に、路面から伝達される衝撃を傾動ショックアブソーバーが2次的に吸収してインホイールモーターの損傷を最小限に抑えることができるという効果を有する。
第二に、制御部が衝撃量を計算して傾動ユニットを選択的に駆動させることにより、一般的な走行状況では操縦安定性を確保し、所定の衝撃量以上が印加される場合には前後/上下方向の衝撃をすべて吸収してインホイールモーターの損傷を防止できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の構成図である。
【
図2】本発明よるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の全体斜視図である。
【
図3】本発明によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の操舵ユニット及び傾動ユニットの詳細構成を示す図である。
【
図4】本発明によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の運転者制御可能状態を示す図である。
【
図5】本発明によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の運転者制御不可能状態を示す図である。
【
図6】本発明によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法のフローチャートである。
【
図7】本発明によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法の運転者制御可能状態である場合のフローチャートである。
【
図8】本発明によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法の傾動限界角度から外れた場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態は、様々な形態で変形実施することができ、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0027】
図1は本発明の一実施形態によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の構成図、
図2は本発明の一実施形態によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の全体斜視図である。
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造は、 操舵入力部200、操舵ユニット300、傾動ユニット400及び制御部500を含んでなる。また、インホイールモーター部700及び加速度センサー600をさらに含む。ホイール100は、ステアリングホイールの操作に応じて操舵可能に構成される。ホイール100は、車体と分離されてステアリングホイールの作動に応じて回転可能に構成される。
【0028】
操舵入力部200は、ステアリングホイールを含み、ステアリングホイールの操舵角を感知するように構成される。さらに好ましくは、操舵入力部200は、インホイールモーター部700が装着された車両の走行制御のために、運転者のステアリングホイール操舵による操舵角を感知するように構成される。つまり、操舵入力部200には、ステアリングホイールの操舵角を感知するステアリングホイール操舵角センサーが装着される。ステアリングホイール操舵角センサーで感知されて操舵入力部200に入力された操舵角は、制御部500に伝送される。本発明の操舵入力部200は、物理的な操舵入力手段だけではなく、電気的な信号をすべて含む概念であって、ユーザーまたは制御部の操舵要求を受信することができるすべての構成を含む。
【0029】
操舵ユニット300は、操舵入力部200の一端に締結される。さらに好ましくは、操舵入力部200は、操舵ユニット300としての、サスペンションロアーアーム301及びナックル302と連動するように構成される。操舵ユニット300は、操舵入力部200の操舵角に応じてホイール100を操舵させるように構成される。傾動ユニット400は、一端が操舵ユニット300に連結され、他端がホイール100に連結される。傾動ユニット400は、操舵ユニット300を基準に傾動されるように構成される。傾動ユニット400は、ホイール100に連結され、傾動ユニット400が駆動されるにつれてホイール100が操舵ユニット300の一面を基準に上下に傾動されるように構成される。具体的には、路面の衝撃がホイール100に伝達される場合、傾動ユニット400が駆動され、これによりホイール100が車両走行方向の反対方向に回転傾動される。
【0030】
制御部500は、操舵入力部200、操舵ユニット300、傾動ユニット400、インホイールモーター部700及び加速度センサー600と信号を送受信するように構成される。制御部500は、傾動ユニット400を選択的に駆動させるように構成される。具体的には、制御部500は、一般走行状態と衝撃印加状態に応じて傾動ユニット400を選択的に駆動させて操縦安定性を得るとともにインホイールモーター部700の損傷を防止するように制御する。また、制御部500は、ステアリングホイール操舵角センサーで感知されたステアリングホイールの操舵角に応じて、左右のホイール100に装着されたインホイールモーター部700に対する駆動速度を互いに異なるように制御する。つまり、操舵入力部200に入力された操舵角に応じてインホイールモーター部700を制御するように構成される。
【0031】
制御部500の信号に基づいて左右側のインホイールモーター部700に対するトルクが異なるように印加されることにより、左右側のインホイールモーター部700は互いに異なる回転速度で駆動される。よって、左右側のインホイールモーター部700の駆動速度差によって左右のホイール100の速度差が発生することができる。左右のホイール100の速度差により、左右ホイール100が一方の方向に同一に角回転する操舵角が発生する。インホイールモーター部700は、傾動ユニット400と連結されるように構成される。好ましくは、インホイールモーター部700は、ホイール100と傾動ユニット400との間に位置する。インホイールモーター部700は、それぞれのホイール100に独立して駆動力を印加するように構成される。インホイールモーター部700は、それぞれのホイール100と一体に動くように構成される。インホイールモーター部700は、左右のホイール100の近くにそれぞれ配置され、左右のホイール100の直接走行のための回転駆動力を伝達する。インホイールモーター部700は、操舵入力部200に入力された操舵角に応じて制御部500によって制御される。
【0032】
加速度センサー600は、車両の衝撃値を感知するように構成される。好ましくは、加速度センサー600に所定の衝撃値以上が印加される場合、傾動ユニット400が選択的に駆動される。一実施形態として、所定の衝撃値は2.5Gである。所定の衝撃値はホイール100の種類などによって異なり、これに限定されるものではない。路面の衝撃が車両のホイール100に伝達される場合、1次的に操舵ユニット300のナックル302に連結されたサスペンションショックアブソーバーが上下方向の衝撃を吸収する。傾動ユニット400が駆動される場合、前後方向及び上下方向の衝撃を傾動ユニット400が2次的に吸収する。具体的には、走行の際にホイール100に伝達された衝撃がナックル302を介して伝達されると、上下方向の衝撃は、サスペンションショックアブソーバーが吸収する。サスペンションショックアブソーバーが吸収しなかった上下方向の衝撃及び前後方向の衝撃は、傾動ショックアブソーバー440が吸収する。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の操舵ユニット300及び傾動ユニット400の詳細構成を示している。
図3を参照すると、操舵ユニット300は、操舵モーター310及び操舵角センサー330を含むように構成される。また、傾動ユニット400は、傾動部ハウジング410、傾動ブレーキディスク420a、傾動ブレーキキャリパー420b、傾動ショックアブソーバー440、傾動角センサー430、傾動軸450及び傾動ヨーク340を含むように構成される。
【0034】
本発明の傾動制動装置420は、傾動部ハウジング430を選択的にロックまたはロック解除することができるすべての構成を含む。本発明の一実施形態では、傾動ブレーキディスク420a及び傾動ブレーキキャリパー420bは、傾動制動装置420と包括して記載する。傾動制動装置420は、傾動ブレーキディスク420a及び傾動ブレーキキャリパー420bをそれぞれまたは包括して指し示すものとする。
【0035】
操舵モーター310は、操舵入力部200に連結され、傾動ユニット400を回転させるように構成される。好ましくは、操舵モーター310は、操舵入力部200を介して入力された操舵要求に応じて、ナックル302の一端に連結されて操舵軸320を基準に傾動ヨーク340が回転するように構成される。
操舵モーター310は、電動式パワーステアリング(MDPS)パワーパックのようにモーターとエンジン制御ユニット(Engine Control Unit:ECU)の一体型で構成できる。操舵モーター310は、操舵モーター310のECUで操舵角センサー330及び傾動ブレーキキャリパー420bと信号のやりとりをして操舵の全般的な制御を行う。
【0036】
運転者がステアリングホイールを回すと、操舵入力部200に操舵要求入力が印加され、操舵モーター310は、操舵入力部200に入力された操舵要求に対応する回転角を計算してホイール100を回転させる。路面からホイール100を介して操舵軸320に加わるトルクが操舵モーター310の最大トルクを超える場合、運転者が操作するステアリングホイールの角度と操舵モーター310の回転角とが対応しないように構成される。操舵角センサー330は、操舵モーター310と操舵軸320を基準に連結されるように構成される。操舵角センサー330は、操舵軸320の回転角を感知するように構成される。また、操舵角センサー330は、操舵入力部200に入力された操舵要求と前記操舵モーター310の回転角とが一致するか否かを感知するように構成される。操舵角センサー330は、運転者が回すステアリングホイールの角度とホイール100の回転角とが対応するかをリアルタイムでモニタリングするように構成される。
【0037】
傾動ヨーク340は、一端が操舵ユニット300に固定されるように構成される。好ましくは、傾動ヨーク340は、操舵軸320が貫通して操舵入力部200に固定される。傾動ヨーク340の外側一面には傾動部ハウジング410が位置する。より好ましくは、傾動部ハウジング410の傾動軸450が傾動ヨーク340の他面に締結され、傾動部ハウジング410が傾動軸450を基準に傾動ヨーク340の一面上に沿って上下に回転するように構成される。傾動ヨーク340の一面には、傾動軸450と対向する一端にベアリングをさらに含む。傾動ヨーク340に挿入される傾動軸450を基準に傾動部ハウジング410が回転運動するように構成される。傾動ヨーク340の下面には、操舵軸320を中心に操舵角センサー330及び操舵モーター310が位置する。好ましくは、傾動軸450は、傾動部ハウジング410に位置する。傾動軸450が傾動ヨーク340の開口部に挿入されることにより、傾動部ハウジング410が傾動軸450を中心に傾動ヨーク340の外側面を基準に上下に回転するように構成される。
【0038】
傾動部ハウジング410は、ホイール100に固定されるように構成される。好ましくは、傾動部ハウジング410の下端部は、ホイール100に装着されるインホイールモーター部700に固定されてホイール100を傾動させるように構成される。傾動部ハウジング410は、傾動ヨーク340を基準に回転傾動されるように構成される。好ましくは、傾動ヨーク340に締結された傾動軸450を基準に傾動部ハウジング410が回転する。傾動制動装置420としての、傾動ブレーキディスク420aと傾動ブレーキキャリパー420bは、車両の走行制動のための電子式ブレーキシステム(EBS、Electronic Brake System)とその作動方式が類似するように構成される。
【0039】
また、傾動ブレーキディスク420aは、傾動部ハウジング410に固定される。傾動ブレーキディスク420aは、傾動ブレーキキャリパー420bとの摩擦力を用いて傾動部ハウジング410を固定又は回転するように構成される。また、傾動ブレーキキャリパー420bは、傾動ヨーク340に固定されて傾動ブレーキディスク420aに選択的に接する。傾動ブレーキキャリパー420bは、路面の衝撃に起因する制御部500の信号によって選択的に傾動ブレーキディスク420aと摩擦接触する。これにより、傾動ブレーキディスク420aが傾動ヨーク340を基準に選択的に固定又は回転する。傾動ブレーキキャリパー420bは、傾動ブレーキディスク420aとの摩擦力を用いて傾動角度及び負荷を制御する。傾動ブレーキキャリパー420bは、一般的な走行時に傾動ブレーキディスク420aと接しており、傾動部ハウジング410が傾動されない。これにより、操縦安定性及び走行性能が確保される。
【0040】
路面の衝撃が加速度センサー600と操舵角センサー330に感知されると、傾動制動装置420、すなわち傾動ブレーキキャリパー420b及び傾動ブレーキディスク420aの制動力を解除することにより、傾動部ハウジング410が回転する。傾動ショックアブソーバー440は、一端が傾動ヨーク340に連結され、他端が傾動部ハウジング410に連結される。傾動ショックアブソーバー440は、傾動部ハウジング410が傾動された場合、路面の衝撃を吸収する。具体的には、傾動ショックアブソーバー440は、路面衝撃の際に傾動部ハウジング410が回転することにより圧縮され、ばね及びダンパーを用いて衝撃を吸収する。
【0041】
傾動角センサー430は、傾動ブレーキキャリパー420bと連動して傾動部ハウジング410の傾動角度を感知する。一実施形態として、傾動角センサー430が感知する傾動角度が0度である場合、傾動ブレーキキャリパー420bが傾動ブレーキディスク420aを固定する。他の実施形態として、傾動ブレーキキャリパー420bが傾動ブレーキディスク420aを解除した状態で、傾動角センサー430は、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度から外れて回転したかを感知する。
【0042】
図4は本発明の一実施形態として、インホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の運転者制御可能状態を示している。
図4を参照すると、制御部500は、車両が運転者制御可能状態にある場合には、傾動制動装置420の傾動ブレーキディスク420aが固定されるように制御する。運転者制御可能状態は、路面の衝撃がある状態で、路面からホイール100を介して操舵軸320に加わるトルクが操舵モーター310の最大トルクの範囲以内である場合を意味する。また、路面の衝撃がない状態の一般な走行状態でも、制御部500は、傾動制動装置420の傾動ブレーキディスク420aが固定されるように制御できる。運転者制御可能状態では、運転者が操作するステアリングホイールの角度と操舵モーター310の回転角とが対応するように構成される。また、運転者制御可能状態で操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するように構成される。
【0043】
運転者制御可能状態で路面から伝達される衝撃は、サスペンションショックアブソーバーが上下に動かしながら上下方向の衝撃を吸収するように構成される。このとき、傾動制動装置420としての傾動ブレーキディスク420aが傾動ブレーキキャリパー420bによって固定されることにより、傾動ユニット400は固定された状態を維持する。運転者制御可能状態では、傾動ブレーキディスク420aの作動を制限して傾動ユニット400が傾動されないので、運転者操縦安定性を確保できる。
【0044】
制御部500は、操舵角センサー330で感知された操舵モーター310の回転角とステアリングホイールの操舵角センサーで感知された操舵入力部200に入力された操舵角とを比較して、操舵モーター310の回転角が操舵入力部200に入力された操舵角と一致するとき、左右のホイール100の操舵角を操舵入力部200に入力された操舵角に合う操舵角に調節する。
【0045】
図5は本発明の一実施形態によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造の運転者制御不可能状態を示している。
図5を参照すると、制御部500は、車両が運転者制御不可能状態にある場合には、傾動制動装置420の傾動ブレーキディスク420aが解除されるように制御する。運転者制御不可能状態は、路面からホイール100を介して操舵軸320に加わるトルクが操舵モーター310の最大トルク超過である場合を意味する。路面から衝撃が伝達される場合、加速度センサー600が、車両に印加される衝撃値を感知する。加速度センサー600に所定の衝撃値以上が印加される場合には、操舵角センサー330は、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するか否かを感知するように構成される。車両が運転者制御不可能状態にある場合には、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とは一致しない可能性がある。制御部500は、運転者制御不可能状態にある場合、傾動制動装置420としての傾動ブレーキディスク420aが傾動ブレーキキャリパー420bから解除されて傾動部ハウジング410が回転するように制御する。
【0046】
傾動部ハウジング410は、制御部500の傾動信号に基づいて傾動ヨーク340を基準に傾動できる。好ましくは、制御部500の傾動信号が傾動ブレーキキャリパー420bに伝達されると、
図5に示された傾動部ハウジング410は、傾動ヨーク340に挿入されて位置する傾動軸450を基準に時計回りに回転する。傾動部ハウジング410が傾動ヨーク340の傾動軸450を基準に傾動されると、傾動ショックアブソーバー440が圧縮される。運転者制御不可能状態でサスペンションショックアブソーバーが1次的に上下方向の衝撃を吸収する。傾動ショックアブソーバー440は、サスペンションショックアブソーバーが吸収できない衝撃をさらに吸収しながら、ホイール100が傾動軸450を中心に後方側の上方向に移動する。
【0047】
サスペンションのショックアブソーバーは、上下に動かしながら衝撃を吸収するので前後方向の衝撃を吸収することができないためホイール100に損傷を引き起こすのに対し、傾動ユニット400は、ホイール100が後方に移動すると同時に上方向に移動するため、障害物を乗り超えながら効果的に衝撃を吸収してインホイールモーター部700の内部損傷を防止できる。傾動ショックアブソーバー440によって衝撃が解消される場合、運転者制御不可能状態から抜け出すことができる。運転者制御不可能状態から抜け出した場合、傾動ショックアブソーバー440の弾性復元力によって傾動部ハウジング410が復元されるように構成される。好ましくは、
図5を基準として、傾動部ハウジング410は、反時計回りに回転して復元される。
【0048】
傾動部ハウジング410が傾動ヨーク340を基準に傾動解除されると、傾動ブレーキディスク420aが固定される。好ましくは、傾動角センサーで感知された傾動角度が0度である場合、制御部500は、傾動ブレーキディスク420aが固定されるように制御する。
【0049】
図6は本発明の一実施形態によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法のフローチャートを示している。
図6を参照すると、本発明の一実施形態によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法は、加速度センサー600が、所定の衝撃値以上が印加されたか否かを感知するステップ(S100)と、加速度センサー600が、所定の衝撃値以上が印加されたと感知した場合には、制御部500が運転者制御可能状態か否かを判断するステップ(S200)と、傾動ブレーキディスク420aが解除されるステップ(S300)と、傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度以内に傾動されたかを感知するステップ(S400)と、傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度以内に傾動されたと感知した場合には、傾動ブレーキディスク420aが解除された状態で、制御部500が、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するように調整するステップ(S500)と、制御部500によって、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するように調整完了した場合、傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が復元されたか否かを感知するステップ(S600)と、傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が復元されたと感知した場合には、傾動ブレーキディスク420aが固定されるステップ(S700)とを含む。
【0050】
加速度センサー600が、所定の衝撃値以上が印加されたか否かを感知するステップ(S100)で加速度センサー600に所定の衝撃値以上が印加されると感知した場合、傾動ユニット400が選択的に駆動される。一実施形態として、所定の衝撃値は2.5Gである。加速度センサー600に2.5G以上の衝撃値が印加される場合、制御部500は、運転者制御可能状態か否かを判断(S200)する。制御部500が運転者制御可能状態か否かを判断するステップ(S200)では、路面からホイール100を介して操舵軸320に加わるトルクが操舵モーター310の最大トルクを超えるかを判断する。路面からホイール100を介して操舵軸320に加わるトルクが操舵モーター310の最大トルクを超える場合、運転者が操作するステアリングホイールの角度と操舵軸320の角度とが互いに対応しないことがある。このとき、制御部500は、加速度センサー600、操舵角センサー330、ステアリングホイール角センサーで感知された信号を用いて路面からの衝撃の大きさを瞬時に計算する。制御部500が運転者制御不可能状態と判断(S200)した場合、制御部500は、傾動ブレーキディスク420aを解除(S300)する。
【0051】
傾動ブレーキディスク420aが解除される場合(S300)、傾動部ハウジング410が所定の角度で傾動させる。傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度以内に傾動されたかを感知するステップ(S400)で、傾動ブレーキキャリパー420bは、傾動ブレーキディスク420aに接していない状態で維持する。その後、傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度以内に傾動されたかを感知するステップ(S400)で傾動限界角度以内に傾動されたと感知した場合には、制御部500が、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するように調整するステップ(S500)を含む。
【0052】
傾動ブレーキディスク420aが解除された状態(S300)で、制御部500が、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するように調整するステップ(S500)は、操舵入力部200に入力された操舵角に応じて操舵モーター310の角度を調整するステップである。制御部500は、操舵モーター310の回転角を調整して、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とを一致するように制御する。制御部500が、操舵入力部200に入力された操舵角と、操舵モーター310の回転角とが一致するように調整するステップ(S500)で調整完了した場合、傾動角センサーが、傾動部ハウジングが復元されたか否かを感知するステップ(S600)を含む。傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が復元されたか否かを感知するステップ(S600)では、傾動部ハウジング410の傾動角度が0度となった場合には復元されたと感知する。傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が復元されたと感知した場合には、制御部500は、傾動ブレーキディスク420aが固定(S700)されるように制御する。
【0053】
傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が復元されたか否かを感知するステップ(S600)で復元されたと感知した場合には、傾動ブレーキディスク420aが固定されるステップ(S700)を含む。傾動ブレーキディスク420aが固定されるステップ(S700)では、傾動ブレーキキャリパー420bが傾動ブレーキディスク420aに接するように固定させることができる。さらに好ましくは、制御部500が傾動ブレーキキャリパー420bに固定信号を伝送する場合、傾動ブレーキキャリパー420bは、傾動ブレーキディスク420aの両面を把持して固定させる。
【0054】
図7は本発明の一実施形態によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法の運転者制御可能状態である場合のフローチャートを示している。
図7を参照すると、制御部500が運転者制御可能状態か否かを判断するステップ(S200)で、入力された操舵角に対応した操舵モーターの回転角が同じであるか否かを判断し(S210)、前記操舵角と回転角とが同じでない場合には、操舵モーターから印加される現在トルクが所定の操舵モーターの限界トルク以下であるか否かを判断する(S220)。操舵モーターから印加される現在トルクが所定の操舵モーターの限界トルク以下である場合には、運転者制御可能状態と判断し(S230)、操舵モーターから印加される現在トルクが所定の操舵モーターの限界トルクを超える場合には、運転者制御不可能状態と判断する(S250)。運転者制御可能状態である場合、制御部500が操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するように調整するステップ(S240)をさらに含む。
【0055】
制御部500は、加速度センサー600で感知された衝撃値が所定の衝撃値以上である場合、運転者制御可能状態であるか否かを判断(S200)する。制御部500は、路面からホイール100を介して操舵軸320に加わるトルクが操舵モーター310の最大トルクの範囲以内である場合には、運転者制御可能状態と判断する。制御部500は、運転者制御可能状態と判断した場合には、操舵モーター310の回転角を調整(S240)する。具体的には、制御部500は、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とを一致するように制御する。制御部500は、運転者制御可能状態である場合には、運転者が意図する操舵角を維持できるので、傾動ユニット400が固定された状態を維持するように制御する。
【0056】
図8は本発明の一実施形態によるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法の傾動限界角度から外れた場合のフローチャートを示している。
図8を参照すると、傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度以内に傾動されたか否かを感知するステップ(S400)で、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度から外れて傾動されたと感知した場合には、傾動ブレーキディスク420aが固定されるステップ(S410)と、制御部500が、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するように調整するステップ(S420)と、制御部500が、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するように調整するステップ(S420)で調整完了した場合、傾動ブレーキディスク420aが解除されるステップ(S430)と、傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が復元されたか否かを感知するステップ(S440)と、傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が復元されたと感知した場合には傾動ブレーキディスク420aが固定されるステップ(S450)と、をさらに含む。
【0057】
傾動角センサー430が、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度以内に傾動されたか否かを感知するステップ(S400)で、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度から外れて傾動されたと感知した場合には、傾動ブレーキディスク420aが固定(S410)する。一実施形態として、所定の傾動限界角度は45度である。傾動角センサー430は、傾動部ハウジング410が所定の傾動限界角度から外れて傾動されたと感知した場合、制御部500へ信号を送信する。この場合、制御部500は、傾動ブレーキキャリパー420bに固定信号を送信して傾動ブレーキディスク420aに接するように制御する。つまり、傾動ブレーキディスク420aが固定(S410)される。
【0058】
傾動ブレーキディスク420aが固定された状態で、傾動ショックアブソーバー440は、路面から伝達される衝撃を吸収する。制御部500は、操舵軸320に加わるトルクが操舵モーター310の最大トルク範囲以内に低くなるかを判断する。傾動ブレーキディスク420aが固定された状態で、制御部500は、操舵入力部200に入力された操舵角と操舵モーター310の回転角とが一致するように調整(S420)する。その後、調整完了した場合、制御部500は、固定された傾動ブレーキディスク420aを解除(S430)する。傾動角センサー430は、傾動部ハウジング410が復元されたか否かを感知(S440)する。一実施形態として制御部500は、傾動角センサー430で感知される傾動角度が0度である場合、傾動部ハウジング410が復元されたと判断する。制御部500は、傾動部ハウジング410が復元されたと判断された場合、傾動ブレーキディスク420aが固定されるように制御(S450)する。
【0059】
まとめると、本発明は、新たに傾動ユニット400を適用して、2次的に所定の限界点以上の衝撃を吸収することにより、インホイールモーターの損傷を最小限に抑えることができるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収構造を提供する。また、複数のセンサーで感知される衝撃量を計算して傾動ユニット400を選択的に駆動させることができるインホイールモーター用ステアリング衝撃吸収方法を提供する。
【0060】
以上は、上述の内容は本発明の好適な実施形態を説明するものであり、本発明は多様な異なる組み合わせがある。上述の実施形態は、本発明の最善の実施形態を説明するものであり、多様な変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
100 ホイール
200 操舵入力部
300 操舵ユニット
301 ロアーアーム
302 ナックル
310 操舵モーター
320 操舵軸
330 操舵角センサー
340 傾動ヨーク
400 傾動ユニット
410 傾動部ハウジング
420 傾動制動装置
420a 傾動ブレーキディスク
420b 傾動ブレーキキャリパー
430 傾動角センサー
440 傾動ショックアブソーバー
450 傾動軸
500 制御部
600 加速度センサー
700 インホイールモーター部