(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153254
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】産業車両の操舵装置
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20221004BHJP
B62D 5/087 20060101ALI20221004BHJP
B62D 101/00 20060101ALN20221004BHJP
B62D 113/00 20060101ALN20221004BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/087
B62D101:00
B62D113:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200770
(22)【出願日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2021054939
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100192511
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 晃史
(72)【発明者】
【氏名】田村 健悟
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 陽仁
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
3D232CC08
3D232CC20
3D232DA03
3D232DA23
3D232DA81
3D232DA87
3D232DA88
3D232DA90
3D232DC08
3D232DC33
3D232DC34
3D232DC38
3D232DD01
3D232DE05
3D232EB04
3D232GG04
3D232GG05
3D232GG15
3D333FE02
3D333FE09
3D333FE11
3D333FE12
3D333FE18
(57)【要約】
【課題】自動操舵用回路を介して供給される作動油によってステアリングホイールの操作に応じたステアリングシリンダの作動に影響が及ぼされることを抑制できる産業車両の操舵装置を提供する。
【解決手段】産業車両の操舵装置は、ステアリングホイールの操作に応じて作動油をステアリングシリンダに供給する手動操舵用回路と、自動運転制御の演算結果に従って作動油をステアリングシリンダに供給する自動操舵用回路と、ステアリングシリンダを作動させる所定流量以上の流量で作動油を手動操舵用回路に優先して供給すると共に、油圧ポンプから吐出される作動油のうち第1流量を除いた余剰流量である第2流量で作動油を自動操舵用回路に供給するプライオリティバルブと、操舵操作検出部がステアリングホイールの操作を検出する場合に、自動操舵用回路を介してのステアリングシリンダへの作動油の供給を制限する供給制限手段と、を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を吐出する油圧ポンプと、前記作動油の供給により作動して操舵輪を操舵するステアリングシリンダと、を備える産業車両の操舵装置であって、
ステアリングホイールの操作に応じて開閉される第1バルブを有し、前記油圧ポンプから吐出される前記作動油を前記第1バルブを介して前記ステアリングシリンダに供給する手動操舵用回路と、
自動運転制御の演算結果に従って開閉される第2バルブを有し、前記油圧ポンプから吐出される前記作動油を前記第2バルブを介して前記ステアリングシリンダに供給する自動操舵用回路と、
前記油圧ポンプと前記第1バルブ及び前記第2バルブとの間に配設され、前記作動油を前記手動操舵用回路と前記自動操舵用回路とに分流する分流弁と、
前記ステアリングホイールの操作を検出する操舵操作検出部と、
を備え、
前記分流弁は、前記油圧ポンプから吐出される前記作動油のうち前記ステアリングシリンダを作動させる所定流量以上の第1流量で前記作動油を前記手動操舵用回路に優先して供給すると共に、前記油圧ポンプから吐出される前記作動油のうち前記第1流量を除いた余剰流量である第2流量で前記作動油を前記自動操舵用回路に供給するプライオリティバルブであり、
前記操舵操作検出部が前記ステアリングホイールの操作を検出する場合に、前記自動操舵用回路を介しての前記ステアリングシリンダへの前記作動油の供給を制限する供給制限手段を更に備える、産業車両の操舵装置。
【請求項2】
前記供給制限手段は、前記自動操舵用回路に設けられた遮断弁と、前記操舵操作検出部の検出結果に基づいて前記遮断弁を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記操舵操作検出部が前記ステアリングホイールの操作を検出する場合に、前記油圧ポンプからの前記作動油を前記遮断弁を介して前記ステアリングシリンダに供給しないように前記遮断弁を制御する、請求項1に記載の産業車両の操舵装置。
【請求項3】
前記遮断弁は、前記第2バルブ、及び、前記第2バルブと前記ステアリングシリンダとの間に設けられたロック弁、のうちの少なくとも一方である、請求項2に記載の産業車両の操舵装置。
【請求項4】
前記供給制限手段は、前記自動操舵用回路における前記遮断弁よりも前記油圧ポンプ側に設けられた遮断流量低減手段を含み、
前記制御部は、前記操舵操作検出部が前記ステアリングホイールの操作を検出する場合に、前記遮断弁に流入する前記作動油の流量を予め低減させるように前記遮断流量低減手段を制御した状態で、前記遮断弁を介して前記ステアリングシリンダに前記作動油を供給しないように前記遮断弁を制御する、請求項2又は3に記載の産業車両の操舵装置。
【請求項5】
前記遮断流量低減手段は、前記自動操舵用回路における前記遮断弁よりも前記油圧ポンプ側の圧力を低下可能に設けられたアンロード弁を含む、請求項4に記載の産業車両の操舵装置。
【請求項6】
前記供給制限手段は、前記自動操舵用回路の前記作動油の圧力を低下可能に設けられたアンロード弁と、前記操舵操作検出部の検出結果に基づいて前記アンロード弁を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記操舵操作検出部が前記ステアリングホイールの操作を検出する場合に、前記自動操舵用回路の前記作動油の圧力を低下させるように前記アンロード弁を制御する、請求項1に記載の産業車両の操舵装置。
【請求項7】
前記ステアリングホイールの操作は、前記産業車両のオペレータによる前記ステアリングホイールの所定操作であり、
前記操舵操作検出部は、前記ステアリングホイールの回転速度が所定の回転速度閾値以下である場合に、前記所定操作を検出する、請求項1~6の何れか一項に記載の産業車両の操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両の操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業車両の操舵装置に関連する技術として、方向切換バルブを用いた油圧切換手段で手動操舵モードと自動操舵モードとを選択的に切り換える車両用操舵制御装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ステアリングホイールの操作に応じて作動油をステアリングシリンダに供給する手動操舵用回路と、自動運転制御の演算結果に従って作動油をステアリングシリンダに供給する自動操舵用回路と、作動油を手動操舵用回路と自動操舵用回路とに分流する分流弁とを備える産業車両の操舵装置において、油圧ポンプから吐出される作動油のうち第1流量で作動油を手動操舵用回路に供給すると共に、油圧ポンプから吐出される作動油のうち第1流量を除いた余剰流量である第2流量で作動油を自動操舵用回路に供給するように分流弁を構成することが考えられる。この場合、例えば自動運転制御の演算結果に従って作動油がステアリングシリンダに供給されている際にステアリングホイールの操作が行われると、自動操舵用回路を介して供給される作動油によってステアリングホイールの操作に応じたステアリングシリンダの作動に影響が及ぼされる可能性がある。
【0005】
本発明は、自動操舵用回路を介して供給される作動油によってステアリングホイールの操作に応じたステアリングシリンダの作動に影響が及ぼされることを抑制できる産業車両の操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る産業車両の操舵装置は、作動油を吐出する油圧ポンプと、作動油の供給により作動して操舵輪を操舵するステアリングシリンダと、を備える産業車両の操舵装置であって、ステアリングホイールの操作に応じて開閉される第1バルブを有し、油圧ポンプから吐出される作動油を第1バルブを介してステアリングシリンダに供給する手動操舵用回路と、自動運転制御の演算結果に従って開閉される第2バルブを有し、油圧ポンプから吐出される作動油を第2バルブを介してステアリングシリンダに供給する自動操舵用回路と、油圧ポンプと第1バルブ及び第2バルブとの間に配設され、作動油を手動操舵用回路と自動操舵用回路とに分流する分流弁と、ステアリングホイールの操作を検出する操舵操作検出部と、を備え、分流弁は、油圧ポンプから吐出される作動油のうちステアリングシリンダを作動させる所定流量以上の第1流量で作動油を手動操舵用回路に優先して供給すると共に、油圧ポンプから吐出される作動油のうち第1流量を除いた余剰流量である第2流量で作動油を自動操舵用回路に供給するプライオリティバルブであり、操舵操作検出部がステアリングホイールの操作を検出する場合に、自動操舵用回路を介してのステアリングシリンダへの作動油の供給を制限する供給制限手段を更に備える。
【0007】
本発明の一態様に係る産業車両の操舵装置では、分流弁は、ステアリングホイールが操作される場合であっても、余剰流量が生じていれば、第2流量で作動油を自動操舵用回路に供給する。自動操舵用回路を介してのステアリングシリンダへの作動油の供給は、操舵操作検出部がステアリングホイールの操作を検出する場合に、供給制限手段によって制限される。これにより、ステアリングホイールが操作される場合には、自動操舵用回路に供給された作動油によるステアリングシリンダの作動が制限される。したがって、本発明の一態様に係る産業車両の操舵装置によれば、自動操舵用回路を介して供給される作動油によってステアリングホイールの操作に応じたステアリングシリンダの作動に影響が及ぼされることを抑制できる。
【0008】
一実施形態において、供給制限手段は、自動操舵用回路に設けられた遮断弁と、操舵操作検出部の検出結果に基づいて遮断弁を制御する制御部と、を含み、制御部は、操舵操作検出部がステアリングホイールの操作を検出する場合に、油圧ポンプからの作動油を遮断弁を介してステアリングシリンダに供給しないように遮断弁を制御してもよい。この場合、ステアリングホイールが操作される場合に、自動操舵用回路に供給された作動油を遮断弁で遮ることで、自動操舵用回路に供給された作動油によるステアリングシリンダの作動を制限することができる。
【0009】
一実施形態において、遮断弁は、第2バルブ、及び、第2バルブとステアリングシリンダとの間に設けられたロック弁、のうちの少なくとも一方であってもよい。この場合、操舵操作検出部がステアリングホイールの操作を検出する場合に、第2バルブ及びロック弁の少なくとも一方を用いて、自動操舵用回路に供給された作動油を遮ることができる。
【0010】
一実施形態において、供給制限手段は、自動操舵用回路における遮断弁よりも油圧ポンプ側に設けられた遮断流量低減手段を含み、制御部は、操舵操作検出部がステアリングホイールの操作を検出する場合に、遮断弁に流入する作動油の流量を予め低減させるように遮断流量低減手段を制御した状態で、遮断弁を介してステアリングシリンダに作動油を供給しないように遮断弁を制御してもよい。この場合、操舵操作検出部がステアリングホイールの操作を検出する場合に、遮断弁に流入する作動油の流量が予め低減された状態となってから、ステアリングシリンダへと作動油を供給しないように遮断弁が制御される。これにより、遮断弁に流入する作動油の流量が低減されない状態で遮断弁が制御される場合と比べて、作動油の流量に起因する影響(例えばショック等)が生じることを抑制することができる。
【0011】
一実施形態において、遮断流量低減手段は、自動操舵用回路における遮断弁よりも油圧ポンプ側の圧力を低下可能に設けられたアンロード弁を含んでもよい。この場合、アンロード弁を用いて、遮断弁よりも油圧ポンプ側の圧力を低下させることができる。
【0012】
一実施形態において、供給制限手段は、自動操舵用回路の作動油の圧力を低下可能に設けられたアンロード弁と、操舵操作検出部の検出結果に基づいてアンロード弁を制御する制御部と、を含み、制御部は、操舵操作検出部がステアリングホイールの操作を検出する場合に、自動操舵用回路の作動油の圧力を低下させるようにアンロード弁を制御してもよい。この場合、ステアリングホイールが操作される場合に、アンロード弁を用いて自動操舵用回路の作動油の圧力を低下させることで、自動操舵用回路に供給された作動油によるステアリングシリンダの作動を制限することができる。
【0013】
一実施形態において、ステアリングホイールの操作は、産業車両のオペレータによるステアリングホイールの所定操作であり、操舵操作検出部は、ステアリングホイールの回転速度が所定の回転速度閾値以下である場合に、所定操作を検出してもよい。ステアリングホイールが操作される場合にステアリングホイールの回転速度が遅いほど、手動操舵用回路を介してのステアリングシリンダへの作動油の流量が小さくなるため、余剰流量が生じやすい。そのため、ステアリングホイールの回転速度が回転速度閾値以下である場合に所定操作を検出し、自動操舵用回路を介してのステアリングシリンダへの作動油の供給を制限することで、自動操舵用回路を介して供給される作動油によってステアリングホイールの操作に応じたステアリングシリンダの作動に影響が及ぼされることを好適に抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自動操舵用回路を介して供給される作動油によってステアリングホイールの操作に応じたステアリングシリンダの作動に影響が及ぼされることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係る産業車両の操舵装置が適用された産業車両の概略構成図である。
【
図2】
図1の操舵油圧回路の構成を示す概略回路図である。
【
図3】
図2の電磁比例弁の一例の油圧回路図である。
【
図4】
図1の産業車両の操舵装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1のプライオリティバルブの軸線に沿う概略断面図である。
【
図6】
図1のプライオリティバルブの軸線に沿う概略断面図である。
【
図7】供給制限手段による制限をしない場合のステアリングシリンダへの作動油の流量を示すタイミングチャートである。
【
図8】供給制限手段による制限をする場合のステアリングシリンダへの作動油の流量を示すタイミングチャートである。
【
図9】
図1のコントローラの供給制限処理を例示するフローチャートである。
【
図10】
図9のステアリング操作検出処理を例示するフローチャートである。
【
図11】
図1のコントローラの供給制限処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、一実施形態に係る産業車両の操舵装置が適用された産業車両の概略構成図である。
図1に示される産業車両1は、例えば電動トーイングトラクタであり、空港、工場内、港湾等で貨物を搭載したコンテナを牽引するために用いられる。
【0018】
産業車両1は、自動運転制御を実行可能に構成されている。自動運転とは、例えば運行管理システム等からの搬送司令に従って自動で産業車両1を走行させる車両制御を実行する運転状態である。運行管理システムは、産業車両1に対し、搬送司令、運行の監視、及び車両状態の監視等を行ういわゆる管制システムである。自動運転では、作業者が運転操作を行う必要が無く、自動で車両が走行する。
【0019】
ここでの自動運転は、例えば空港における滑走路、離着陸区域、誘導路、エプロン、管制塔、格納庫、荷捌き場、充電場等を含む所定のエリアにおいて実施される。産業車両1は、所定のエリア内で、走行ルートを予め定めた自動運転が可能である。本実施形態では、予め定められた走行ルートにおいて、例えば交差点等で自動運転制御の演算結果に従って産業車両1を自動操舵させることを含む走行計画が生成される。なお、産業車両1の走行ルートは、固定されておらず、予め定めたものから変更可能である。固定されていない走行ルートとは、例えば路面上に設置された磁気テープに沿って走行する無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)のように一旦設定されると変更されにくい走行ルートではなく、地図情報等に基づいて生成される走行計画を変更することにより変更可能な走行ルートを意味する。
【0020】
[産業車両1の走行及び操舵に係る構成]
産業車両1は、車体の前部に配置された操舵輪であるFLタイヤ2及びFRタイヤ3と、車体の後部に配置されたRLタイヤ4及びRRタイヤ5と、を備えている。産業車両1は、走行モータとして、RLタイヤ4を駆動する左走行モータ6と、RRタイヤ5を駆動する右走行モータ7とを備えている。走行モータは、回生制動力を生じる制動部8としても機能する。
【0021】
左走行モータ6及び右走行モータ7は、発電機としても機能する交流モータである。左走行モータ6とRLタイヤ4との間には、減速機である左ドライブユニット6aが介在している。右走行モータ7とRRタイヤ5との間には、減速機である右ドライブユニット7aが介在している。
【0022】
左走行モータ6は、左モータドライバ6bを介してコンタクタ9と電気的に接続されている。右走行モータ7は、右モータドライバ7bを介してコンタクタ9と電気的に接続されている。左モータドライバ6b及び右モータドライバ7bは、例えばインバータを有しており、コントローラ(制御部)10と電気的に接続されている。左モータドライバ6b及び右モータドライバ7bでは、左走行モータ6及び右走行モータ7の力行及び回生がコントローラ10によって制御される。
【0023】
コンタクタ9は、バッテリB及び操舵油圧回路(油圧回路)30の油圧ポンプ31と電気的に接続されている。コンタクタ9は、コントローラ10と電気的に接続されており、バッテリBの電力供給がコントローラ10によって制御される。
【0024】
バッテリBは、左走行モータ6、右走行モータ7、及び油圧ポンプ31に対する電力供給源である。バッテリBは、例えば鉛蓄電池で構成される。
【0025】
左走行モータ6を回転駆動させると、左走行モータ6の駆動力が左ドライブユニット6aを介してRLタイヤ4に伝わり、RLタイヤ4が回転する。産業車両1の制動時には、RLタイヤ4の回転によって左走行モータ6が発電機として動作する。右走行モータ7を回転駆動させると、右走行モータ7の駆動力が右ドライブユニット7aを介してRRタイヤ5に伝わり、RRタイヤ5が回転する。産業車両1の制動時には、RRタイヤ5の回転によって右走行モータ7が発電機として動作する。
【0026】
産業車両1は、産業車両の操舵装置100を備えている。産業車両の操舵装置100は、作動油の供給により作動して操舵輪を操舵する油圧パワーステアリングシステムとして構成されている。
図2は、
図1の操舵油圧回路の構成を示す概略回路図である。
図2に示されるように、産業車両の操舵装置100は、コンタクタ9と、コントローラ10と、操舵油圧回路30と、油圧ポンプ31と、ステアリングシリンダ32と、ステアリングホイール33と、を備えている。操舵油圧回路30は、手動操舵用回路40と、自動操舵用回路50と、プライオリティバルブ60とを有して構成される油圧回路である。
【0027】
油圧ポンプ31は、作動油を吐出する油圧源である。油圧ポンプ31は、タンク34に貯留されている作動油を油圧ポンプ回路30aに圧送可能に設置されている。油圧ポンプ31は、一例として、作動時の作動油の吐出量(同一回転数での吐出量)が一定になるように構成された定容量ポンプである。油圧ポンプ31は、コンタクタ9と電気的に接続されており、コンタクタ9を介してコントローラ10によってその回転数が制御されることで、その吐出量が制御される。
【0028】
ステアリングシリンダ32は、作動油の供給により作動して、操舵輪であるFLタイヤ2及びFRタイヤ3を操舵する。ステアリングシリンダ32は、FLタイヤ2を操舵するための左側シリンダへの作動油の供給口32aと、FRタイヤ3を操舵するための右側シリンダへの作動油の供給口32bと、を有している。供給口32aは、手動操舵用回路40と自動操舵用回路50との一方の合流部30bと油圧回路で接続されている。供給口32bは、手動操舵用回路40と自動操舵用回路50との他方の合流部30cと油圧回路で接続されている。
【0029】
手動操舵用回路40は、ステアリングホイール33の操作に応じて開閉されるPSバルブ(第1バルブ)41を有する。手動操舵用回路40は、油圧ポンプ31から吐出される作動油をPSバルブ41を介してステアリングシリンダ32に供給する油圧回路である。PSバルブ41は、いわゆるパワーステアリングバルブのことである。
【0030】
自動操舵用回路50は、自動運転制御の演算結果に従って開閉される電磁比例弁(第2バルブ)51を有する。自動操舵用回路50は、油圧ポンプ31から吐出された作動油を電磁比例弁51を介してステアリングシリンダ32に供給する油圧回路である。電磁比例弁51は、いわゆるオイルコントロールバルブのことである。ここでの電磁比例弁51は、電磁比例弁51に作用する油圧ポンプ31からの作動油の圧力をパイロット圧として内部のスプール53(
図3参照)を動作させるパイロット式の電磁比例弁である。電磁比例弁51は、例えば、スプール53が中立とされることで、油圧ポンプ31からの作動油を電磁比例弁51を介してステアリングシリンダ32に供給しなくなる。つまり、電磁比例弁51は、自動操舵用回路50に設けられた遮断弁である。電磁比例弁51は、コントローラ10と電気的に接続されており、コントローラ10によってその開閉(スプール53の位置)を制御される。なお、以下の説明では、便宜上、油圧ポンプ31からの作動油を電磁比例弁51を介してステアリングシリンダ32に供給できる状態を「電磁比例弁51が開いている」と表現し、油圧ポンプ31からの作動油を電磁比例弁51を介してステアリングシリンダ32に供給しない状態を「電磁比例弁51が閉じている」と表現することがある。
【0031】
プライオリティバルブ60は、油圧ポンプ31とPSバルブ41及び電磁比例弁51との間に配設されている。プライオリティバルブ60は、油圧ポンプ31から油圧ポンプ回路30aを介して供給される作動油を、PSバルブ41側の手動操舵用回路40と電磁比例弁51側の自動操舵用回路50とに分流する分流弁である。プライオリティバルブ60の分流に関する構造について、詳しくは後述する。
【0032】
手動操舵用回路40では、油圧ポンプ回路30aの作動油がプライオリティバルブ60を介してPSバルブ41に流入し、ステアリングホイール33の操作に応じて開かれたPSバルブ41を介して作動油が合流部30b及び合流部30cに供給される。これにより、ステアリングシリンダ32に作動油が供給され、ステアリングホイール33の操作に応じて操舵輪であるFLタイヤ2及びFRタイヤ3が操舵される。
【0033】
自動操舵用回路50では、油圧ポンプ回路30aの作動油がプライオリティバルブ60を介して電磁比例弁51に流入し、自動運転制御の演算結果に従って開かれた電磁比例弁51を介して作動油が合流部30b及び合流部30cに供給される。これにより、ステアリングシリンダ32に作動油が供給され、自動運転制御の演算結果に従って操舵輪であるFLタイヤ2及びFRタイヤ3が操舵される。
【0034】
自動操舵用回路50では、電磁比例弁51とステアリングシリンダ32との間にロック弁54が設けられている。ロック弁54は、コントローラ10と電気的に接続されている。ロック弁54は、コントローラ10によってその開閉を制御される。ロック弁54は、例えば閉じた状態とされることで、油圧ポンプ31からの作動油をロック弁54を介してステアリングシリンダ32に供給しなくなる。つまり、電磁比例弁51は、自動操舵用回路50に設けられた遮断弁である。ロック弁54は、電磁比例弁51のスプール53と比べて作動油の遮断性に優れている。
図2の例では、電磁比例弁51とステアリングシリンダ32との間の符号C1が付された油圧回路と符号C2が付された油圧回路との両方にロック弁54が設けられている。
【0035】
電磁比例弁51は、自動操舵用回路50の作動油の圧力を低下可能に設けられたアンロード弁52を有している。アンロード弁52は、戻り回路30dでタンク34と接続されている。アンロード弁52は、コントローラ10と電気的に接続されている。アンロード弁52の動作は、コントローラ10によって制御される(詳しくは後述)。
【0036】
図3は、
図2の電磁比例弁の一例の油圧回路図である。
図3に示されるように、電磁比例弁51は、アンロード弁52を構成するアンロード用パイロット弁52a及びリリーフ弁52bと、スプール53と、を含んでいる。電磁比例弁51では、符号Pから延びるメイン回路(
図3の実線)に沿って、アンロード用パイロット弁52a、リリーフ弁52b、及びスプール53に作動油が供給される。
図3の符号Pは、
図2の符号Pと対応しており、プライオリティバルブ60で分流された作動油が供給される。
【0037】
アンロード用パイロット弁52aがコントローラ10によって動作させられると、パイロット回路(
図3の破線)に沿って作動油がアンロード用パイロット弁52aを介してリリーフ弁52bに供給され、パイロット圧がリリーフ弁52bに作用する。これにより、リリーフ弁52bが動作させられる。
図3の符号Tは、
図2の符号Tと対応しており、電磁比例弁51からタンク34に作動油を戻す戻り回路30dと接続されている。符号Pからの作動油は、符号Pでの作動油の油圧と、タンク34の圧力及びタンク34までの圧損分に相当する圧力と、リリーフ弁52bのスプリングのセット圧と、のバランスに応じて、リリーフ弁52b(実線)を介して符号Tへと流れてタンク34に戻される。
【0038】
スプール53は、一例として、位置P1,P2,P3の3つのスプール位置を取り得るように構成されている。スプール53がコントローラ10によって動作させられると、スプール53の位置が位置P1,P2,P3のいずれかとなるようにスプール53が移動させられる。位置P1は、符号Pからの作動油が符号C1に流れるスプール位置である。位置P2は、符号Pからの作動油が符号C2に流れるスプール位置である。
図3の符号C1,C2は、
図2の符号C1,C2と対応している。
【0039】
スプール位置が位置P1の場合、符号Pからの作動油は、スプール53を通って符号C1に流される。符号C1を通った作動油は、合流部30cを通ってステアリングシリンダ32の供給口32bに供給され、ステアリングシリンダ32の供給口32aから排出されて合流部30bを通って符号C2に戻される。符号C2を通った作動油は、スプール53を通って符号Tに流れてタンク34に戻される。
【0040】
スプール位置が位置P2の場合、符号Pからの作動油は、スプール53を通って符号C2に流される。符号C2を通った作動油は、合流部30bを通ってステアリングシリンダ32の供給口32aに供給され、ステアリングシリンダ32の供給口32bから排出されて合流部30cを通って符号C1に戻される。符号C1を通った作動油は、スプール53を通って符号Tに流れてタンク34に戻される。
【0041】
スプール位置が位置P3の場合、符号Pからの作動油は、符号C1にも符号C2にも流されない。つまり、スプール位置が位置P3の場合、スプール53が中立状態である。
【0042】
なお、PSバルブ41は、戻り回路30eでタンク34と接続されている。PSバルブ41では、プライオリティバルブ60を介してPSバルブ41に流入した作動油のうち、ステアリングシリンダ32に供給される流量を超える流量の作動油が、戻り回路30eを介してタンク34へと戻される。このような状況としては、例えば、ステアリングホイール33の操作がない場合、ステアリングホイール33の操作速度が比較的遅い場合、及び、ステアリングホイール33の操作速度が過渡的に低下する場合などが挙げられる。
【0043】
[産業車両1の自動運転制御及び自動操舵に係る構成]
図4は、
図1の産業車両の操舵装置の機能構成を示すブロック図である。産業車両の操舵装置100は、産業車両1の操舵制御と自動運転制御とを統括するコントローラ10を有している。コントローラ10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。コントローラ10では、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。コントローラ10は、バッテリBの電圧を検出してもよい。なお、コントローラ10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0044】
コントローラ10は、GNSS受信機21、周辺状況センサ22、走行情報センサ23、地図データベース24、及び、操舵角センサ(操舵操作検出部)25と接続されている。
【0045】
GNSS受信機21は、3個以上のGNSS衛星から信号を受信することにより、産業車両1の地図上の位置(例えば産業車両1の緯度及び経度)を測定する。GNSS受信機21は、測定した産業車両1の位置情報をコントローラ10へ送信する。
【0046】
周辺状況センサ22は、車両の周辺の状況を検出する車載の検出器である。周辺状況センサ22は、カメラ及びライダー[LiDAR:Light Detection And Ranging]を含む。カメラの撮像情報は、例えば、路面パターン認識及びマッチングのために用いられる。ライダーで検出した障害物情報は、例えば、産業車両1の危険回避のために用いられる。周辺状況センサ22は、産業車両1の周辺状況に関する情報をコントローラ10へ送信する。
【0047】
走行情報センサ23は、産業車両1の走行状態を検出する検出器である。走行情報センサ23は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサ(ジャイロセンサ)を含む。車速センサは、産業車両1の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、左走行モータ6及び右走行モータ7のそれぞれに設けられ、左走行モータ6の回転速度及び右走行モータ7の回転速度を検出するスピードセンサが用いられる。走行情報センサ23は、検出した走行情報をコントローラ10に送信する。
【0048】
地図データベース24は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース24は、例えば、産業車両1に搭載された記憶装置(例えばHDD[Hard Disk Drive]等)内に形成されている。地図情報には、例えば空港における滑走路、離着陸区域、誘導路、エプロン、管制塔、格納庫、荷捌き場、充電場等を含む所定のエリアにおける情報として、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、交差点及び分岐点の位置情報、及び構造物の位置情報等が含まれる。地図情報には、産業車両1の位置認識に用いる路面パターンの位置情報が含まれている。なお、地図データベース24は、産業車両1と通信可能なサーバに形成されていてもよい。
【0049】
操舵角センサ25は、ステアリングホイール33の操舵角を検出する検出器である。操舵角センサ25は、例えば、ステアリングホイール33の軸に設けられる。操舵角センサ25は、検出した操舵角情報をコントローラ10に送信する。操舵角センサ25は、ステアリングホイール33の操作を検出する操舵操作検出部を構成する。
【0050】
次に、コントローラ10の機能的構成について説明する。コントローラ10は、地図情報取得部11、位置情報取得部12、走行情報取得部13、自動運転制御部14、及び、操舵油圧制御部15を有している。なお、以下に説明するコントローラ10の機能の一部は、車両と通信可能なサーバにおいて実行される態様であってもよい。
【0051】
地図情報取得部11は、地図データベース24に記憶された地図情報を取得する。地図情報取得部11は、例えば、産業車両1の位置認識に用いる路面パターンの位置情報を取得する。
【0052】
位置情報取得部12は、GNSS受信機21の受信結果と周辺状況センサ22の検出結果と地図データベース24の地図情報とに基づいて、産業車両1の位置情報を取得する。位置情報取得部12は、地図情報に含まれる路面パターンの位置情報と周辺状況センサ22で検出した産業車両1に対する路面パターンの相対位置情報とに基づいて、産業車両1の自己位置を取得する。なお、位置情報取得部12は、例えばSLAM[Simultaneous Localization And Mapping]手法を用いて、産業車両1の自己位置を推定してもよい。
【0053】
走行情報取得部13は、走行情報センサ23の検出結果に基づいて、産業車両1の走行情報を取得する。ここでの走行情報取得部13は、左走行モータ6及び右走行モータ7のそれぞれに設けられたスピードセンサの検出結果に基づいて、産業車両1の車速情報を取得する。走行情報取得部13は、ジャイロセンサの検出結果に基づいて、産業車両1の向きを取得してもよい。
【0054】
自動運転制御部14は、位置情報と走行情報と地図情報とに基づいて、産業車両1の自動操舵を含む自動運転制御を実行する。自動運転制御部14は、GNSS受信機21の測定した産業車両1の位置情報、地図データベース24の地図情報、周辺状況センサ22の検出結果から認識された産業車両1の周辺状況(障害物の位置等)、及び走行情報センサ23の検出結果から認識された走行状態(車速、ヨーレート等)に基づいて、目標ルートに沿った走行計画を生成する。目標ルートは、運行管理システムの搬送司令等に応じて設定される。走行計画には、例えば、FLタイヤ2及びFRタイヤ3の目標切れ角が含まれている。走行計画には、目標速度が含まれていてもよい。
【0055】
自動運転制御部14は、走行計画に沿って自動運転を実行する。自動運転制御部14は、自動運転制御を実行して上述の走行計画を生成し、走行計画に応じて自動操舵の要否を演算する。自動運転制御部14は、左ドライブユニット6a及び右ドライブユニット7aに制御信号を送信することで、目標速度が実現されるように自動運転制御を実行してもよい。
【0056】
操舵油圧制御部15は、自動運転制御部14による自動運転制御の演算結果に従って、電磁比例弁51の開閉を制御する。操舵油圧制御部15は、自動運転制御部14による自動操舵の要否の演算結果(自動運転制御の演算結果)に基づいて、コンタクタ9及び電磁比例弁51に指令信号を送信する。操舵油圧制御部15は、自動運転制御の実行中であって自動操舵を行うとの自動運転制御の演算結果の場合、FLタイヤ2及びFRタイヤ3の切れ角が自動操舵の目標切れ角となるように、電磁比例弁51の開閉を制御する。電磁比例弁51は、例えば、自動運転制御の実行中であって自動操舵を行わないとの自動運転制御の演算結果の場合、及び、自動運転制御の非実行中の場合、閉じるように制御される。操舵油圧制御部15は、例えば、タイヤ切れ角センサ(図示省略)に基づいて、FLタイヤ2及びFRタイヤ3の切れ角を取得することができる。
【0057】
操舵油圧制御部15は、操舵角センサ25の検出結果に基づいて、ステアリングホイール33の操作を検出する。すなわち、操舵油圧制御部15は、操舵角センサ25と共に、操舵操作検出部として機能する。操舵操作検出部の機能について、詳しくは後述する。
【0058】
[プライオリティバルブの分流に関する構造]
プライオリティバルブ60の分流について、具体的に説明する。
図5及び
図6は、
図1のプライオリティバルブの軸線に沿う概略断面図である。
図5及び
図6に示されるように、プライオリティバルブ60は、ハウジング61に形成された弁支持室62と、弁支持室62の内壁に沿って摺動可能に配置された弁体63と、弁支持室62の内壁と弁体63との間に配置され弁体63を一方向に付勢するバネ64と、を有する。
【0059】
弁支持室62は、略円筒形状の空洞として形成されている。弁支持室62は、油圧ポンプ回路30aの開口である油圧ポンプ側開口62aと、手動操舵用回路40への導入回路40aの開口である手動操舵側開口62bと、自動操舵用回路50への導入回路50aの開口である自動操舵側開口62cと、を有している。
【0060】
弁体63は、弁支持室62における油圧ポンプ側開口62aと手動操舵側開口62bとの間に弁支持室62の内壁に沿って摺動可能に配置されている。弁体63は、油圧ポンプ側開口62aが位置する油圧ポンプ側背圧室65と、手動操舵側開口62bが位置する手動操舵側背圧室66と、に弁支持室62を区画している。手動操舵側背圧室66は、導入回路40aの側に位置する弁体63の背圧室である。油圧ポンプ側背圧室65には、油圧ポンプ回路30aから分岐した回路30fが接続されており油圧ポンプ31からの作動油が供給される。つまり、油圧ポンプ側背圧室65の油圧は、油圧ポンプ回路30aの油圧と同じである。
【0061】
ここでのプライオリティバルブ60は、PSバルブ41側を優先回路とするプライオリティ弁として構成されている。プライオリティバルブ60は、作動油の流量が設計流量(第1流量)となるように手動操舵用回路40に優先して供給する。設計流量は、手動操舵用回路40に優先して供給する作動油の流量の設計値であって、例えば所定流量以上の一定の流量値とされている。所定流量とは、ステアリングシリンダ32がFLタイヤ2及びFRタイヤ3を操舵するように作動するために最低限必要となるステアリングシリンダ32への作動油の供給流量を意味する。すなわち、プライオリティバルブ60は、作動油を所定流量以上の流量で手動操舵用回路40に優先して供給することで、自動操舵用回路50に作動油を分流するか否かに関わらず、ステアリングシリンダ32の作動を可能とする。
【0062】
プライオリティバルブ60は、PSバルブ41側へ優先して供給する設計流量に応じて設けられたオリフィス67を有する。オリフィス67は、弁体63に形成されている。オリフィス67は、油圧ポンプ側背圧室65と手動操舵側背圧室66とを連通させる。プライオリティバルブ60では、手動操舵側開口62bは、オリフィス67に対して油圧ポンプ側背圧室65とは反対側に位置するように形成されている。そのため、油圧ポンプ回路30aから油圧ポンプ側背圧室65に流入した作動油は、オリフィス67を通って手動操舵側背圧室66に導かれることになる。
【0063】
オリフィス67を通過する作動油の流量は、オリフィス67の通過前後の作動油の油圧の差圧と、手動操舵側背圧室66における手動操舵側開口62bへの流路面積とによって決まる。本実施形態のプライオリティバルブ60では、オリフィス67の通過前後の作動油の油圧の差圧が変化してもオリフィス67を通過する作動油の流量が略一定となるように、手動操舵側背圧室66における手動操舵側開口62bへの流路面積が変化するように設計されている。以下の説明では、手動操舵側背圧室66における手動操舵側開口62bへの流路面積の指標として連通開度D1を用いる。連通開度D1は、手動操舵側背圧室66から導入回路40aに作動油を導く手動操舵側連通流路68の弁支持室62の軸方向に沿う寸法である。
【0064】
プライオリティバルブ60は、油圧ポンプ回路30aからプライオリティバルブ60への作動油の流量が設計流量を超える場合、余剰となった作動油を電磁比例弁51側の自動操舵用回路50へと供給する。すなわち、プライオリティバルブ60は、油圧ポンプ31から吐出される作動油のうちステアリングシリンダ32を作動させる所定流量以上の第1流量で作動油を手動操舵用回路40に優先して供給すると共に、油圧ポンプ31から吐出される作動油のうち第1流量を除いた余剰流量である第2流量で作動油を自動操舵用回路50に供給する。
【0065】
プライオリティバルブ60では、自動操舵側開口62cは、オリフィス67に対して油圧ポンプ側背圧室65と同じ側に位置するように形成されている。そのため、自動操舵用回路50への作動油の流量は、主に、油圧ポンプ側背圧室65における自動操舵側開口62cへの流路面積によって決まる。以下の説明では、油圧ポンプ側背圧室65における自動操舵側開口62cへの流路面積の指標として連通開度D2を用いる。連通開度D2は、油圧ポンプ側背圧室65から導入回路50aに作動油を導く自動操舵側連通流路69の弁支持室62の軸方向に沿う寸法である。
【0066】
プライオリティバルブ60は、弁体63が弁支持室62の内壁に沿って移動することにより、連通開度D2及び連通開度D1が変化するように構成されている。具体的には、バネ64による弁体63の付勢方向に向かって弁体63が移動することにより、自動操舵側連通流路69の連通開度D2は小さくなると共に、手動操舵側連通流路68の連通開度D1は大きくなるように構成されている。
【0067】
ここで、油圧ポンプ31は、手動操舵によるPSバルブ41の開閉状態及び/又は自動操舵による電磁比例弁51の開閉状態が変化したとしても、油圧ポンプ回路30aの作動油の流量を維持するように、油圧ポンプ31の回転数がコントローラ10の操舵油圧制御部15によって制御される。手動操舵によるPSバルブ41の開閉状態及び/又は自動操舵による電磁比例弁51の開閉状態が開へと変化すると、手動操舵用回路40及び/又は自動操舵用回路50に作動油が流れる際の圧損が生じる。この圧損に抗して作動油を圧送するため、油圧ポンプ回路30aの作動油の流量を維持しようとして油圧ポンプ31の回転数が上がると、油圧ポンプ回路30a及び油圧ポンプ側背圧室65の油圧が上昇する。この油圧の上昇により、弁体63は、油圧ポンプ側背圧室65の油圧による付勢力により手動操舵側背圧室66に向かって移動する。
【0068】
例えば、
図5は、手動操舵も自動操舵もされず、PSバルブ41及び電磁比例弁51が共に閉じられている状態に相当する。このような状態としては、自動運転制御の実行中であって自動操舵を行わないとの自動運転制御の演算結果であり且つステアリングホイール33の操作がない場合、又は、自動運転制御の非実行中であってステアリングホイール33の操作がない場合、が挙げられる。
【0069】
図5の例では、PSバルブ41が閉じているため、手動操舵用回路40においてPSバルブ41を介した作動油の流通は生じず、作動油の流通に伴う圧損も生じない。同様に、電磁比例弁51が閉じているため、自動操舵用回路50において電磁比例弁51を介した作動油の流通は生じず、作動油の流通に伴う圧損も生じない。この場合、油圧ポンプ回路30a及び油圧ポンプ側背圧室65の油圧が圧損に応じて上昇することがないため、弁体63には、油圧ポンプ側背圧室65の油圧による付勢力が生じない。よって、弁体63は、手動操舵側背圧室66に向かって移動せず、手動操舵側背圧室66から油圧ポンプ側背圧室65に向かう方向にバネ64の付勢力のみにより付勢された状態となる。
【0070】
この状態では、弁体63は弁体63の両側からの付勢力が釣り合うように移動するため、油圧ポンプ側背圧室65の油圧はバネ64の付勢力と釣り合う圧力になる。油圧ポンプ側背圧室65の油圧と手動操舵側背圧室66の油圧との間の圧力差は、バネ64の付勢力に対応した所定の圧力差になる。オリフィス67を通過する作動油の流量は、バネ64の付勢力に対応した所定の圧力差に応じた流量となる。このとき、連通開度D1が十分に大きいため、オリフィス67を通過する作動油の流量が、手動操舵用回路40に供給される設計流量に相当することとなる。なお、
図5の例では、自動操舵用回路50側の電磁比例弁51への作動油の供給は、常に完全には遮断されないようにプライオリティバルブ60が構成されている。
【0071】
図6は、自動操舵が行われているときに手動操舵も更に行われ、PSバルブ41及び電磁比例弁51が共に開かれている状態に相当する。このような状態としては、自動運転制御の実行中であって自動操舵を行うとの自動運転制御の演算結果であり且つステアリングホイール33の操作がある場合が挙げられる。
【0072】
図6の例では、電磁比例弁51が開いているため、自動操舵用回路50において電磁比例弁51を介した作動油の流通が生じており、作動油の流通に伴う圧損が生じている。同様に、PSバルブ41が開いているため、手動操舵用回路40においてPSバルブ41を介した作動油の流通が生じており、作動油の流通に伴う圧損が生じている。よって、油圧ポンプ回路30a及び油圧ポンプ側背圧室65の油圧が圧損に応じて上昇することとなり、弁体63には、油圧ポンプ側背圧室65の油圧による付勢力が生じる。すると、弁体63は、油圧ポンプ側背圧室65の油圧による付勢力により手動操舵側背圧室66に向かって移動し、手動操舵側連通流路68の連通開度D1が小さくなる。
【0073】
この状態では、油圧ポンプ側背圧室65の油圧と手動操舵側背圧室66の油圧との間の圧力差は、
図5の例での圧力差よりも大きく、バネ64の付勢力に加えて圧損に応じた分だけ大きくなる。圧力差が大きくなるため、オリフィス67を通過する作動油の流量は、
図5の例よりも大きい流量となりうる。しかし、連通開度D1が
図5の例よりも小さくなるため、手動操舵用回路40に供給される作動油の流量が
図5の例と同等となり、設計流量となる。油圧ポンプ31の吐出量のうち設計流量を超える分は、余剰流量として自動操舵用回路50側に供給される。
【0074】
なお、PSバルブ41及び電磁比例弁51のうちいずれか一方が開かれている場合、手動操舵側背圧室66の油圧による付勢力とバネ64による付勢力との和が、油圧ポンプ側背圧室65の油圧による付勢力と釣り合う位置でバランスをとる位置となるように、弁体63の位置は、例えば
図5と
図6との間の状態となる。このような状態としては、自動運転制御の実行中であって自動操舵を行うとの自動運転制御の演算結果であり且つステアリングホイール33の操作がない場合、又は、自動運転制御の非実行中であってステアリングホイール33の操作がある場合、が挙げられる。
【0075】
以上のように構成されたプライオリティバルブ60によれば、自動運転制御の演算結果に従って電磁比例弁51が開かれている状態であっても、少なくとも設計流量の作動油が手動操舵用回路40に供給されるため、ステアリングホイール33の操作に応じてステアリングシリンダ32が作動することができる。そのため、自動運転制御の実行中であって自動操舵を行っているときに、例えば予期しない障害物が現れてこれを回避する必要が生じたなどの事情で、オペレータによるステアリングホイール33の操作に応じてステアリングシリンダ32が作動するため、自動操舵の最中であっても手動操舵による障害物回避が可能となる。
【0076】
ところで、本実施形態のようなプライオリティバルブ60では、油圧ポンプ31から吐出される作動油のうち手動操舵用回路40に流れる設計流量(第1流量)を除いた余剰流量である第2流量の作動油は、自動操舵用回路50に供給される。ここで、例えばステアリングホイール33の操作の有無にかかわらず第2流量の作動油が自動操舵用回路50を介してステアリングシリンダ32に供給されると仮定すると、手動操舵用回路40を流通してくる作動油と、自動操舵用回路50を流通してくる作動油と、の両方が同時にステアリングシリンダ32に供給されることがあり得る。そのため、ステアリングホイール33の操作がある場合に、自動操舵用回路50に供給される作動油が、ステアリングホイール33の操作に応じたステアリングシリンダ32の作動に影響を及ぼす可能性がある。特に、ステアリングホイール33の操作速度が比較的遅い場合には、自動操舵用回路50への余剰流量が生じやすいため、ステアリングホイール33の操作速度が比較的速い場合と比べて、ステアリングホイール33の操作に応じたステアリングシリンダ32の作動への影響が大きくなる可能性がある。
【0077】
具体的には、ステアリングシリンダ32の作動への影響として、例えば、自動操舵用回路50を流通してくる作動油と、手動操舵用回路40を流通してくる作動油と、が同じ操舵方向となるようにステアリングシリンダ32に供給される場合、ステアリングホイール33の操作よりも大きく操舵輪が操舵される可能性がある。反対に、自動操舵用回路50を流通してくる作動油と、手動操舵用回路40を流通してくる作動油と、が逆の操舵方向となるようにステアリングシリンダ32に供給される場合、ステアリングホイール33の操作による操舵輪の操舵が妨げられて操作に対する応答が悪化する(効率が悪くなる)という影響が生じる可能性がある。
【0078】
そこで、本実施形態の産業車両の操舵装置100では、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給を制限する供給制限手段を備える。「操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合」とは、自動操舵用回路50に供給される作動油が、ステアリングホイール33の操作に応じたステアリングシリンダ32の作動に影響を及ぼしやすい場合に相当する。
【0079】
操舵油圧制御部15は、操舵角センサ25の検出結果に基づいて、ステアリングホイール33の操作を検出する。本実施形態では、ステアリングホイール33の操作とは、産業車両1のオペレータによるステアリングホイール33の所定操作である。所定操作とは、手動操舵用回路40を流通してくる作動油によるステアリングシリンダ32の作動が、自動操舵用回路50を流通してくる作動油の影響を受けやすいステアリングホイール33の操作を意味する。なお、以下の操舵油圧制御部15によるステアリングホイール33の操作の検出は、自動運転制御の実行中を条件としてもよい。
【0080】
所定操作としては、一例として、操舵速度が一定以上に遅いようなオペレータによるステアリングホイール33の操作が挙げられる。操舵油圧制御部15は、例えば、操舵角センサ25で検出された操舵角の時間変化量(回転速度)に基づいて、ステアリングホイール33の操舵速度が所定の操舵速度閾値以下である場合に、所定操作を検出する。操舵速度閾値は、オペレータによるステアリングホイール33の操作が所定操作であるか否かを判定するための回転速度の閾値である。操舵速度閾値は、例えば、自動操舵用回路50への余剰流量を考慮して予め設定することができる。ステアリングホイール33の操舵速度が小さいほど、プライオリティバルブ60からPSバルブ41に流れる設計流量のうちの少量が手動操舵用回路40を介してステアリングシリンダ32に供給されるため、余剰流量が多くなる。そこで、操舵速度閾値は、余剰流量が一定量(例えば設計流量の半分など)以上となるようなステアリングホイール33の操舵速度としてもよい。
【0081】
所定操作としては、一例として、手動操舵の操舵輪の転舵方向が自動操舵の方向と一致しないようなオペレータによるステアリングホイール33の操作が挙げられる。手動操舵の操舵輪の転舵方向が自動操舵の方向と一致しない場合、自動操舵用回路50を介して作動油をステアリングシリンダ32に供給してしまうと、操舵輪の転舵方向が自動操舵の方向と一致する場合と比べて、ステアリングホイール33の操作による操舵輪の操舵が妨げられやすくなる。そこで、操舵油圧制御部15は、例えば、操舵角センサ25で検出された操舵角の時間変化(回転方向)に基づいて、手動操舵の操舵輪の転舵方向が自動操舵の方向と一致しない場合に、所定操作を検出してもよい。
【0082】
供給制限手段による制限として、例えば、コントローラ10は、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、油圧ポンプ31からの作動油を遮断弁としての電磁比例弁51を介してステアリングシリンダ32に供給しないように(例えばスプール53を中立とするように)電磁比例弁51を制御してもよい。これにより、遮断弁としての電磁比例弁51を介して自動操舵用回路50に沿って作動油がステアリングシリンダ32に供給されることを抑制することができる。すなわち、コントローラ10及び電磁比例弁51は、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給を制限する供給制限手段を構成する。
【0083】
供給制限手段による別の制限として、例えば、コントローラ10は、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、油圧ポンプ31からの作動油を遮断弁としてのロック弁54を介してステアリングシリンダ32に供給しないように(例えばロック弁54を閉じるように)遮断弁を制御してもよい。これにより、遮断弁としてのロック弁54を介して自動操舵用回路50に沿って作動油がステアリングシリンダ32に供給されることを抑制することができる。すなわち、コントローラ10及びロック弁54は、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給を制限する供給制限手段を構成する。
【0084】
供給制限手段による別の制限として、電磁比例弁51のアンロード弁52は、自動操舵用回路50の作動油の圧力を低下可能に設けられている。そこで、コントローラ10は、ステアリングホイール33の所定操作が検出される場合に、作動油を戻り回路30dを介してタンク34へと戻すようにアンロード弁52を制御してもよい。これにより、自動操舵用回路50の作動油の圧力が低下させられ、自動操舵用回路50を介して作動油がステアリングシリンダ32に供給されることを抑制することができる。この場合、コントローラ10及びアンロード弁52は、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給を制限する供給制限手段を構成する。
【0085】
供給制限手段による制限が行われる際、コントローラ10は、ステアリングホイール33の所定操作が検出される場合に、遮断弁に流入する作動油の流量を予め低減させるようにアンロード弁52を制御した状態で、遮断弁を介してステアリングシリンダ32に作動油を供給しないように遮断弁を制御してもよい。操舵油圧制御部15は、例えば、電磁比例弁51のスプール53が中立以外の位置から中立の位置となる前に、作動油をタンク34に戻すようにアンロード弁52を動作させる。
【0086】
この場合、アンロード弁52は、遮断流量低減手段を構成する。遮断流量低減手段とは、遮断弁よりも油圧ポンプ31側に設けられており、遮断弁での作動油の遮断を行う際に、遮断弁に流れる作動油の流量を予め低減しておく手段を意味する。「遮断弁よりも油圧ポンプ31側」とは、例えば
図3の油圧回路の例では、アンロード弁52の作動により符号Pからスプール53に流入する作動油を低減できるようにアンロード弁52が設けられている点で、遮断弁よりも油圧ポンプ31側である。例えば
図3の油圧回路においてアンロード弁52の位置が変更されてもよく、アンロード弁52の作動によりスプール53に流入する作動油を低減できる位置であればよい。
【0087】
遮断流量低減手段により、遮断弁によって作動油を遮断する前と後とで、作動油の流量に差が生じることが抑制される。よって、遮断弁に流入する作動油の流量が低減されない状態での遮断弁の制御と比べて、作動油の流量に起因する影響(例えばショック等)が生じることを抑制することができる。なお、遮断弁は、電磁比例弁51又はロック弁54のいずれであってもよい。
【0088】
供給制限手段による制限の動作について、
図7及び
図8を参照しつつ説明する。
図7は、供給制限手段による制限をしない場合のステアリングシリンダへの作動油の流量を示すタイミングチャートである。
図7は、自動操舵が行われているときに手動操舵も更に行われる状況に対応する。
図7において、横軸は時間を示し、縦軸は作動油の流量を示している。
【0089】
図7の例では、流量Qa1は、供給制限手段による制限をしない場合に、自動操舵用回路50を介してステアリングシリンダ32に供給される作動油の流量を表す。流量Qmは、ステアリングホイール33の操作に応じて、手動操舵用回路40を介してステアリングシリンダ32に供給される作動油の流量を表す。なお、説明の簡素化のため、油圧ポンプ31の吐出量と比べて流量Qa1及び流量Qmは小さく、ステアリングシリンダ32を作動させる所定流量Qpまでそれぞれ増加できるものとする。
【0090】
図7では、自動運転制御の演算結果に従って、時刻t0よりも前から自動操舵が行われており、電磁比例弁51が開かれている状態である。よって、ステアリングシリンダ32へは、自動操舵用回路50を介して所定流量Qpと等しい流量Qa1の作動油が供給されている。一方、時刻t0よりも前において、オペレータによってステアリングホイール33の操作が開始されていないため、PSバルブ41が閉じている。手動操舵用回路40側に供給される設計流量の作動油は、戻り回路30eを介してタンク34へと戻されるため、時刻t0よりも前での流量Qmは、0となっている。
【0091】
時刻t0において、オペレータによってステアリングホイール33の操作が開始され、電磁比例弁51が開かれている状態でPSバルブ41が更に開かれる。時刻t0以降で、PSバルブ41が開かれるのに応じて手動操舵用回路40側に作動油が供給され、流量Qmは増加する。
【0092】
図7の例では、オペレータによって時刻t0にステアリングホイール33の操作が開始されても、ステアリングシリンダ32には、時刻t0以降においても自動操舵用回路50を介して作動油が流量Qa1で供給され続けている。そのため、自動操舵用回路50を介してステアリングシリンダ32に供給された作動油が、ステアリングホイール33の操作に応じたステアリングシリンダ32の作動に影響を及ぼすおそれがある。一例として、流量Qmが流量Qa1のおよそ半分以下となる時刻t0~t1の期間では、ステアリングシリンダ32は、手動操舵ではなく自動操舵に従って作動しやすい。この場合、ステアリングホイール33の操作による操舵輪の操舵が妨げられて操作に対する応答が悪化する(効率が悪くなる)という影響が生じることとなる。
【0093】
図8は、供給制限手段による制限をする場合のステアリングシリンダへの作動油の流量を示すタイミングチャートである。
図8の例では、流量Qa2は、供給制限手段による制限をする場合に、自動操舵用回路50を介してステアリングシリンダ32に供給される作動油の流量を表す。流量Qa2以外は
図7と同様である。
【0094】
図8では、自動運転制御の演算結果に従って、時刻t0よりも前から自動操舵が行われており、電磁比例弁51が開かれている状態であるが、時刻t0において、オペレータによってステアリングホイール33の操作が開始されることで、供給制限手段による制限が行われる。これにより、自動操舵用回路50を介して作動油がステアリングシリンダ32に供給されなくなるため、流量Qa2は0となる。したがって、自動操舵用回路50を介して供給された作動油に起因してステアリングホイール33の操作に応じたステアリングシリンダ32の作動が妨げられることを抑制することができる。
【0095】
なお、
図8において、ステアリングホイール33の所定操作が検出される場合に、遮断弁に流入する作動油の流量を予め低減させるようにアンロード弁52が制御されていてもよい。この場合であっても、
図8はステアリングシリンダ32への作動油の流量を示しているため、
図8の流量Qa2と同様の軌跡となってもよい。
【0096】
ただし、作動油の流量を予め低減させない場合には、電磁比例弁51のスプール53を中立にした結果として、作動油の流量Qa2が所定流量Qpから減少する。そのため、作動油を遮断する前と後とでの作動油の流量に差が大きく、自動操舵用回路50にショックが生じることがある。
【0097】
これに対し、作動油の流量を予め低減させてから作動油を遮断する場合には、電磁比例弁51のスプール53を中立にする前に、遮断流量低減手段としてのアンロード弁52により、作動油がタンク34に戻される。その結果として、作動油の流量Qa2が所定流量Qpから減少し始める。その後、遮断弁としての電磁比例弁51のスプール53を中立にすることで、作動油を遮断する前と後とでの作動油の流量の差が抑制され、自動操舵用回路50にショックが生じることが抑制される。電磁比例弁51のスプール53を中立にするタイミングは、作動油の流量Qa2の減少中であってもよいし、作動油の流量Qa2が0になった後でもよい。なお、遮断弁としてロック弁54が用いられてもよい。
【0098】
[コントローラによる演算処理の一例]
次に、コントローラ10による演算処理の一例について説明する。
図9は、
図1のコントローラの供給制限処理を例示するフローチャートである。
図9に示される処理は、例えば産業車両1における自動運転制御の実行中に実行される。例えば、自動運転制御による自動操舵が行われており、電磁比例弁51のスプール53が中立以外の位置となっている状況で実行される。
【0099】
図9に示されるように、コントローラ10は、S01において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の操作の検出を行う。コントローラ10は、S01の処理として、具体的には
図10に例示されるステアリング操作検出処理を行う。
【0100】
図10は、
図9のステアリング操作検出処理を例示するフローチャートである。
図10に示されるように、コントローラ10は、S11において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の操舵速度の検出を行う。操舵油圧制御部15は、操舵角センサ25で検出した操舵角に基づいて、ステアリングホイール33の操舵速度を検出する。
【0101】
コントローラ10は、S12において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の操舵速度が所定の操舵速度閾値(回転速度閾値)以下であるか否かの判定を行う。コントローラ10は、ステアリングホイール33の操舵速度が操舵速度閾値以下である場合(S12=YES)、S13に移行する。コントローラ10は、S13において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の所定操作が検出されているとの判定を行う。その後、コントローラ10は、
図10の処理を終了し、
図9のS02に移行する。
【0102】
一方、コントローラ10は、ステアリングホイール33の操舵速度が操舵速度閾値を超えている場合(S12=NO)、S14に移行する。コントローラ10は、S14において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の所定操作が検出されていないとの判定を行う。その後、コントローラ10は、
図10の処理を終了し、
図9のS02に移行する。
【0103】
図9に戻り、コントローラ10は、S02において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の操作(ここでは所定操作)の検出があるか否かの判定を行う。コントローラ10は、S02において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の操作の検出があると判定された場合(S02=YES)、S03に移行する。コントローラ10は、S02において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の操作の検出がないと判定された場合(S02=NO)、S05に移行する。
【0104】
コントローラ10は、S03において、操舵油圧制御部15により、遮断弁に流入する作動油の流量を低減させるように遮断流量低減手段を制御する。本実施形態では、操舵油圧制御部15は、S03において、遮断弁としての電磁比例弁51のスプール53に流入する作動油の流量を予め低減させるようにアンロード弁52を制御する。操舵油圧制御部15は、例えば、電磁比例弁51のスプール53が中立以外の位置から中立の位置となる前に、作動油をタンク34に戻すようにアンロード弁52を動作させる。
【0105】
コントローラ10は、S04において、操舵油圧制御部15により、遮断弁を介してステアリングシリンダ32に作動油を供給しないように遮断弁を制御する。本実施形態では、操舵油圧制御部15は、S04において、遮断弁としての電磁比例弁51のスプール53を中立の位置にすることにより、油圧ポンプ31からの作動油をステアリングシリンダ32に供給しないように電磁比例弁51を制御する。その後、コントローラ10は、
図9の処理を終了する。
【0106】
コントローラ10は、S05において、操舵油圧制御部15により、遮断弁を介してステアリングシリンダ32に作動油を供給するように遮断弁を制御する。本実施形態では、操舵油圧制御部15は、S05において、遮断弁としての電磁比例弁51のスプール53を中立以外の位置にすることにより、油圧ポンプ31からの作動油をステアリングシリンダ32に供給するように電磁比例弁51を制御する。その後、コントローラ10は、
図9の処理を終了する。
【0107】
[作用及び効果]
以上、本実施形態に係る産業車両の操舵装置100では、プライオリティバルブ60は、ステアリングホイール33が操作される場合であっても、余剰流量が生じていれば、第2流量で作動油を自動操舵用回路50に供給する。自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給は、操舵操作検出部がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、供給制限手段によって制限される。これにより、ステアリングホイール33が操作される場合には、自動操舵用回路50に供給された作動油によるステアリングシリンダ32の作動が制限される。したがって、産業車両の操舵装置100によれば、自動操舵用回路50を介して供給される作動油によってステアリングホイール33の操作に応じたステアリングシリンダ32の作動に影響が及ぼされることを抑制できる。換言すれば、ステアリングホイール33の操作による操舵輪の操舵が自動操舵側の作動油によって妨げられることを抑制でき、手動操作に対する応答が悪化する(効率が悪くなる)という影響を抑制することができる。
【0108】
産業車両の操舵装置100は、供給制限手段は、自動操舵用回路50に設けられた電磁比例弁51及びロック弁54と、操舵角センサ25の検出結果に基づいて電磁比例弁51及びロック弁54の少なくとも一方を制御するコントローラ10と、を含んでいる。コントローラ10は、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、油圧ポンプ31からの作動油を電磁比例弁51及びロック弁54の少なくとも一方を介してステアリングシリンダ32に供給しないように電磁比例弁51及びロック弁54の少なくとも一方を制御する。この構成によれば、ステアリングホイール33が操作される場合に、自動操舵用回路50に供給された作動油を電磁比例弁51及びロック弁54の少なくとも一方で遮ることで、自動操舵用回路50に供給された作動油によるステアリングシリンダ32の作動を制限することができる。
【0109】
産業車両の操舵装置100では、電磁比例弁51、及び、電磁比例弁51とステアリングシリンダ32との間に設けられたロック弁54、のうちの少なくとも一方が遮断弁として機能する。この構成によれば、ステアリングホイール33が操作される場合に、電磁比例弁51及びロック弁54の少なくとも一方を用いて、自動操舵用回路50に供給された作動油を遮ることができる。
【0110】
産業車両の操舵装置100では、自動操舵用回路50におけるスプール53よりも油圧ポンプ31側に設けられたアンロード弁52が供給制限手段として機能する。スプール53が遮断弁を構成し、アンロード弁52が遮断流量低減手段として機能する。コントローラ10は、ステアリングホイール33の操作が検出される場合に、スプール53に流入する作動油の流量を予め低減させるようにアンロード弁52を制御した状態で、スプール53を介してステアリングシリンダ32に作動油を供給しないようにスプール53を制御する。この構成によれば、ステアリングホイール33が操作される場合に、スプール53に流入する作動油の流量が予め低減された状態とされてから、ステアリングシリンダ32へと作動油を供給しないようにスプール53が制御される。これにより、スプール53に流入する作動油の流量が低減されない状態でのスプール53の制御と比べて、作動油の流量に起因する影響(例えばショック等)が生じることを抑制することができる。
【0111】
産業車両の操舵装置100では、自動操舵用回路50における遮断弁よりも油圧ポンプ31側の圧力を低下可能に設けられたアンロード弁52が遮断流量低減手段として機能する。この構成によれば、アンロード弁52を用いて、遮断弁よりも油圧ポンプ31側の圧力を低下させることができる。
【0112】
産業車両の操舵装置100では、ステアリングホイール33の操作は、産業車両1のオペレータによるステアリングホイール33の所定操作であり、操舵操作検出部は、ステアリングホイール33の操舵速度が所定の操舵速度閾値以下である場合に、所定操作を検出する。ステアリングホイール33が操作される場合にステアリングホイール33の回転速度が遅いほど、手動操舵用回路40を介してのステアリングシリンダ32への作動油の流量が小さくなるため、余剰流量が生じやすい。そのため、ステアリングホイール33の操舵速度が操舵速度閾値以下である場合に所定操作を検出し、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給を制限することで、自動操舵用回路50を介して供給される作動油によってステアリングホイール33の操作に応じたステアリングシリンダ32の作動に影響が及ぼされることを好適に抑制できる。
【0113】
[変形例]
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0114】
コントローラ10は、ステアリングホイールの操作が検出される場合に、遮断弁に流入する作動油の流量を予め低減させるようにアンロード弁52を制御したが、この処理は省略されてもよい。この場合、コントローラ10は、
図9の処理に代えて、例えば
図11のような処理を実行してもよい。
図11は、
図1のコントローラの供給制限処理の他の例を示すフローチャートである。
【0115】
図11に示されるように、コントローラ10は、S21において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の操作の検出を行う。コントローラ10は、S21の処理として、具体的には、上述の
図10に例示されるステアリング操作検出処理を行う。
図10の処理についての繰り返しの説明は割愛する。
【0116】
コントローラ10は、S22において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の操作(ここでは所定操作)の検出があるか否かを判定する。コントローラ10は、S22において、ステアリングホイール33の操作の検出があると判定された場合(S22=YES)、S23に移行する。コントローラ10は、S22において、操舵油圧制御部15により、ステアリングホイール33の操作の検出がないと判定された場合(S22=NO)、S24に移行する。
【0117】
コントローラ10は、S23において、操舵油圧制御部15により、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給の制限を行う。本実施形態では、操舵油圧制御部15は、S23において、油圧ポンプ31からの作動油を電磁比例弁51を介してステアリングシリンダ32に供給しないように(例えばスプール53を中立とするように)電磁比例弁51を制御する。あるいは、操舵油圧制御部15は、S23において、自動操舵用回路50の作動油の圧力を低下させるように(例えばアンロード弁52を開くように)アンロード弁52を制御してもよい。これにより、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給が制限されることとなる。その後、コントローラ10は、
図11の処理を終了する。
【0118】
コントローラ10は、S24において、操舵油圧制御部15により、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給の制限を行わない。本実施形態では、操舵油圧制御部15は、S24において、油圧ポンプ31からの作動油を電磁比例弁51を介してステアリングシリンダ32に供給可能なように(例えばスプール53の中立からの移動を許容するように)電磁比例弁51を制御する。あるいは、操舵油圧制御部15は、S24において、自動操舵用回路50の作動油の圧力を低下させないように(例えばアンロード弁52を閉じるように)アンロード弁52を制御する。これにより、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給が制限されないこととなる。その後、コントローラ10は、
図11の処理を終了する。
【0119】
このように、コントローラ10が
図11の処理を行う場合であっても、自動操舵用回路50を介して供給される作動油によってステアリングホイール33の操作に応じたステアリングシリンダ32の作動に影響が及ぼされることを抑制できる。換言すれば、ステアリングホイール33の操作による操舵輪の操舵が自動操舵側の作動油によって妨げられることを抑制でき、手動操作に対する応答が悪化する(効率が悪くなる)という影響を抑制することができる。
【0120】
なお、コントローラ10が
図11の処理を行う場合、アンロード弁52が自動操舵用回路50の作動油の圧力を低下可能に設けられていることから、アンロード弁52を供給制限手段として機能させることもできる。コントローラ10は、操舵角センサ25の検出結果に基づいてアンロード弁52を制御してもよい。コントローラ10は、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、自動操舵用回路50の作動油の圧力を低下させるようにアンロード弁52を制御してもよい。この構成によれば、ステアリングホイール33が操作される場合に、アンロード弁52を用いて自動操舵用回路50の作動油の圧力を低下させることで、自動操舵用回路50に供給された作動油によるステアリングシリンダ32の作動を制限することができる。
【0121】
供給制限手段は、上述したようなアンロード弁52、電磁比例弁51、及びコントローラ10に限定されない。例えば、アンロード手段の変形例として、コントローラ10は、供給制限手段による制限として、(定容量の)油圧ポンプ31の回転数を制御してもよい。コントローラ10は、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、油圧ポンプ31の回転数を低下させることで、余剰流量を低減し、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給を制限することができる。また、このように定容量の油圧ポンプ31の回転数を制御することを、遮断流量低減手段の変形例として適用することもできる。
【0122】
あるいは、供給制限手段の他の変形例として、油圧ポンプ31は、作動時の作動油の吐出量を変更可能に構成された可変容量ポンプであってもよい。コントローラ10は、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、作動油の吐出量を低減させるように可変容量ポンプを制御してもよい。この場合、供給制限手段による制限として、可変容量ポンプの作動時の吐出量を制御することで、操舵油圧制御部15がステアリングホイール33の操作を検出する場合に、余剰流量を低減し、自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給を制限することができる。また、このように可変容量ポンプの吐出量を制御することを、遮断流量低減手段の変形例として適用することもできる。
【0123】
上記実施形態では、操舵油圧制御部15によるステアリングホイール33の操作の検出は、自動運転制御の実行中を条件としたが、自動運転制御の実行中を条件としなくてもよい。この場合でも、例えば自動運転制御の実行中から非実行に変化した直後に自動操舵用回路50を介して作動油の余圧が残っているような状況であれば、アンロード弁52で自動操舵用回路50の作動油の圧力を低下させることで、ステアリングホイール33の操作に応じたステアリングシリンダ32の作動の応答を向上(効率の改善)をし得る。また、遮断弁に流入する作動油の流量を予め低減させることで、作動油の流量に起因する影響(例えばショック等)が生じることを抑制することができる。
【0124】
コントローラ10は、作動油を戻り回路30dを介してタンク34へと戻すようにアンロード弁52を制御する場合、電磁比例弁51及びロック弁54を閉じるように制御することを省いてもよい。あるいは逆に、少なくとも、コントローラ10は、電磁比例弁51及びロック弁54の少なくとも一方を閉じるように制御することで自動操舵用回路50を介してのステアリングシリンダ32への作動油の供給を制限できればよい。この場合、産業車両の操舵装置100では、アンロード弁52が省略されてもよい。
図2の例では、電磁比例弁51とステアリングシリンダ32との間で、符号C1が付された油圧回路と符号C2が付された油圧回路との両方にロック弁54が設けられていたが、何れか一方であってもよい。電磁比例弁51及びロック弁54の少なくとも一方で作動油の供給を制限する場合には、他方は省略されてもよい。
【0125】
上記実施形態では、
図1のような電動トーイングトラクタを産業車両1として例示したが、これに限定されず、産業車両1は、例えばフォークリフトなど、その他の産業車両であってもよい。
【0126】
産業車両1の自動運転のための構成は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、周辺状況センサ22にてライダーを用いていたが、別のセンサで代用してもよい。
【0127】
以上に記載された実施形態及び種々の変形例の少なくとも一部が任意に組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1…産業車両、10…コントローラ(制御部、供給制限手段)、11…地図情報取得部、12…位置情報取得部、13…走行情報取得部、14…自動運転制御部、15…操舵油圧制御部(操舵操作検出部)、25…操舵角センサ(操舵操作検出部)、31…油圧ポンプ、32…ステアリングシリンダ、33…ステアリングホイール、40…手動操舵用回路、41…PSバルブ(第1バルブ)、50…自動操舵用回路、51…電磁比例弁(第2バルブ、供給制限手段、遮断弁)、52…アンロード弁(遮断流量低減手段、供給制限手段)、54…ロック弁(供給制限手段、遮断弁)、60…プライオリティバルブ、100…産業車両の操舵装置。