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特開2022-153275表示装置および表示装置のアレイ基板
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153275
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置のアレイ基板
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20221004BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 349C
G09F9/30 348A
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018752
(22)【出願日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2021056030
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】尾関 芳孝
【テーマコード(参考)】
2H192
5C094
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192BC31
2H192CB02
2H192CB05
2H192CB37
2H192CB81
2H192DA12
2H192EA02
2H192EA42
2H192FA42
2H192FB02
2H192FB05
2H192FB42
5C094AA21
5C094BA03
5C094BA43
5C094CA19
5C094DA15
5C094DB04
5C094EA05
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB02
5C094FB14
(57)【要約】
【課題】酸化物半導体への光照射を抑制し、共通電極の時定数が低減された表示装置を提供すること。
【解決手段】表示装置は、基板上に、第1方向および第1方向と交差する第2方向に沿ってマトリクス状に配置された複数の画素を有し、複数の画素の各々は、トランジスタと、トランジスタよりも上層に設けられ、トランジスタと電気的に接続される第1透明電極と、第1透明電極よりも上層に設けられにおいて、開口を介して第1透明電極と電気的に接続される第2透明電極と、第2透明電極よりも上層に設けられる絶縁層と、絶縁層よりも上層に設けられる第3の透明電極と、第3の透明電極と接する金属層と、を含み、開口は、トランジスタのゲート電極と重畳し、金属層の少なくとも一部は、前記開口内に設けられてゲート電極と重畳し、金属層は、第1方向に沿って延在し、第1方向に配置された前記画素に共通して設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に沿ってマトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、
トランジスタと、
前記トランジスタよりも上層に設けられ、前記トランジスタと電気的に接続される第1透明電極と、
前記第1透明電極よりも上層に設けられ、開口を介して前記第1透明電極と電気的に接続される第2透明電極と、
前記第2透明電極よりも上層に設けられる絶縁層と、
前記絶縁層よりも上層に設けられる第3透明電極と、
前記第3透明電極と接する金属層と、を含み、
前記開口は、前記トランジスタのゲート電極と重畳し、
前記金属層の少なくとも一部は、前記開口内に設けられて前記ゲート電極と重畳し、
前記金属層は、前記第1方向に沿って延在し、前記第1方向に配置された前記画素に共通して設けられている、表示装置。
【請求項2】
前記金属層は、さらに、前記第1方向に隣接する2つの前記画素の間において、前記第2方向に沿って延在している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記金属層は、前記開口を覆うように設けられている、請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記開口内に、前記金属層の前記第2方向における両端部が含まれている、請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の画素の各々は、さらに、前記トランジスタよりも下層に遮光層を備え、
前記金属層の少なくとも一部は、前記遮光層と重畳する、請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記遮光層は、前記第1方向に沿って延在し、前記第1方向に配置された前記画素に共通して設けられている、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2方向における前記金属層の幅は、前記第2方向における前記遮光層の幅よりも小さい、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記トランジスタは、酸化物半導体層を含む、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の画素は、赤色画素、緑色画素、および青色画素を含み、
前記赤色画素、前記緑色画素、および前記青色画素ごとに前記第2方向における前記金属層の幅が異なる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記青色画素における前記第2方向の前記金属層の幅は、前記赤色画素および前記緑色画素における前記第2方向の前記金属層の幅よりも小さい、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記トランジスタは、酸化物半導体層を含む、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
基板上にて第1方向に並ぶ複数の画素回路を有し、
前記複数の画素回路の各々は、
トランジスタと、
前記トランジスタよりも上層に設けられ、前記トランジスタと電気的に接続される第1透明電極と、
前記第1透明電極よりも上層に設けられ、開口を介して前記第1透明電極と電気的に接続される第2透明電極と、
前記第2透明電極よりも上層に設けられる絶縁層と、
前記絶縁層よりも上層に設けられる第3透明電極と、
前記第3透明電極と接する金属層と、を含み、
前記金属層は、平面視で前記第1方向に沿って延在し、隣り合う前記画素回路の開口上を通過する、表示装置のアレイ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置に関する。特に、本発明の一実施形態は、酸化物半導体を含むトランジスタが用いられた表示装置に関する。また、本発明の一実施形態は、表示装置のアレイ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、アモルファスシリコン、低温ポリシリコン、および単結晶シリコンに替わり、酸化物半導体をチャネルに用いたトランジスタの開発が進められている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。酸化物半導体がチャネルに用いられたトランジスタは、アモルファスシリコンがチャネルに用いられたトランジスタと同様に、単純な構造かつ低温プロセスで形成される。酸化物半導体をチャネルに用いたトランジスタは、アモルファスシリコンをチャネルに用いたトランジスタよりも高い移動度を有し、オフ電流が非常に低いことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-146819号公報
【特許文献2】特開2015-159315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、ヘッドマウントディスプレイなどの表示装置では、画素数を増加した高精細な表示が望まれている。画素数の増加(高精細化)にあたっては、開口率を維持するため、電極または配線の幅を小さくする必要がある。しかしながら、電極または配線の縮小化は、電極または配線などの高抵抗化を招く。特に、金属電極に比べて抵抗の高い透明電極では、高抵抗化による電圧降下が顕著である。また、酸化物半導体は、光照射によってその特性が変化する問題もある。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、酸化物半導体への光照射を抑制し、共通電極の時定数が低減された表示装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態は、当該表示装置のアレイ基板を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、基板上に、第1方向および第1方向と交差する第2方向に沿ってマトリクス状に配置された複数の画素を有し、複数の画素の各々は、トランジスタと、トランジスタよりも上層に設けられ、トランジスタと電気的に接続される第1透明電極と、第1透明電極よりも上層に設けられ、開口を介して第1透明電極と電気的に接続される第2透明電極と、第2透明電極よりも上層に設けられる絶縁層と、絶縁層よりも上層に設けられる第3の透明電極と、第3の透明電極と接する金属層と、を含み、開口は、トランジスタのゲート電極と重畳し、金属層の少なくとも一部は、開口内に設けられてゲート電極と重畳し、金属層は、第1方向に沿って延在し、第1方向に配置された前記画素に共通して設けられている。
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置のアレイ基板は、基板上にて第1方向に並ぶ複数の画素回路を有し、複数の画素回路の各々は、トランジスタと、トランジスタよりも上層に設けられ、トランジスタと電気的に接続される第1透明電極と、第1透明電極よりも上層に設けられ、開口を介して第1透明電極と電気的に接続される第2透明電極と、第2透明電極よりも上層に設けられる絶縁層と、絶縁層よりも上層に設けられる第3透明電極と、第3透明電極と接する金属層と、を含み、金属層は、平面視で前記第1方向に沿って延在し、隣り合う前記画素回路の開口上を通過する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概要を示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の回路構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の画素回路を示す回路図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図16】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
図17】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層における第2方向の幅を説明する平面図である。
図18】本発明の一実施形態に係る表示装置において、変形された共通補助電極のレイアウトを説明する平面図である。
図19】本発明の一実施形態に係る表示装置において、変形された共通補助電極のレイアウトを説明する平面図である。
図20A】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層における第1方向および第2方向の幅を説明する平面図である。
図20B】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層における第1方向および第2方向の幅を説明する平面図である。
図21】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層における第1方向の幅を説明する平面図である。
図22】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図23】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の開示はあくまで一例にすぎない。当業者が、発明の主旨を保ちつつ、実施形態の構成を適宜変更することによって容易に想到し得る構成は、当然に本発明の範囲に含有される。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関して前述した構成と同様の構成には、同一の符号の後にアルファベットを付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本発明の各実施の形態において、基板から酸化物半導体層に向かう方向を上または上方という。逆に、酸化物半導体層から基板に向かう方向を下または下方という。このように、説明の便宜上、上方または下方という語句を用いて説明するが、例えば、基板と酸化物半導体層との上下関係が図示と異なる向きに配置されてもよい。以下の説明で、例えば基板上の酸化物半導体層という表現は、上記のように基板と酸化物半導体層との上下関係を説明しているに過ぎず、基板と酸化物半導体層との間に他の部材が配置されていてもよい。上方または下方は、複数の層が積層された構造における積層順を意味するものであり、トランジスタの上方の画素電極と表現する場合、平面視でトランジスタと画素電極とが重畳しない位置関係であってもよい。一方、トランジスタの鉛直上方の画素電極と表現する場合は、平面視でトランジスタと画素電極とが重畳する位置関係を意味する。
【0011】
「表示装置」とは、電気光学層を用いて映像を表示する構造体を指す。例えば、表示装置という用語は、電気光学層を含む表示パネルを指す場合もあり、または表示セルに対して他の光学部材(例えば、偏光部材、バックライト、タッチパネル等)を装着した構造体を指す場合もある。「電気光学層」には、技術的な矛盾が生じない限り、液晶層、エレクトロルミネセンス(EL)層、エレクトロクロミック(EC)層、電気泳動層が含まれ得る。したがって、後述する実施形態について、表示装置として、液晶層を含む液晶表示装置を例示して説明するが、本実施形態における構造は、上述した他の電気光学層を含む表示装置へ適用することができる。
【0012】
本明細書において「αはA、BまたはCを含む」、「αはA,BおよびCのいずれかを含む」、「αはA,BおよびCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0013】
なお、以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0014】
[第1実施形態]
[1.表示装置10の概要]
図1図3を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の概要について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の概要を示す平面図である。図1に示すように、表示装置10は、アレイ基板300、シール部400、対向基板500、フレキシブルプリント回路基板600(FPC600)、およびICチップ700を有する。アレイ基板300および対向基板500はシール部400によって貼り合わせられている。シール部400に囲まれた液晶領域22には、複数の画素310が、第1方向D1(列方向)および第1方向D1と交差する第2方向D2(行方向)に沿ってマトリクス状に配置されている。複数の画素310は、対向基板に設けられるカラーフィルタに応じた赤色画素R、緑色画素G、および青色画素Bを含む。第1方向D1と第2方向D2とは、直交していてもよい。液晶領域22は、後述する液晶素子410と平面視で重畳する領域である。なお、以下では、液晶領域22のうち、複数の画素を含む領域を画像表示領域という場合がある。
【0015】
また、表示装置10は、アレイ基板300の背部にバックライトユニットを有し、バックライトユニットからの出射光が画像表示領域を透過するときに、各画素において透過光が変調されることで画像が表示される。
【0016】
シール部400が設けられたシール領域24は、液晶領域22の周囲の領域である。FPC600は端子領域26に設けられている。端子領域26はアレイ基板300が対向基板500から露出された領域であり、シール領域24の外側に設けられている。なお、シール領域24の外側とは、シール部400が設けられた領域およびシール部400によって囲まれた領域の外側を意味する。ICチップ700はFPC600上に設けられている。ICチップ700は各画素310の画素回路を駆動させるための信号を供給する。なお、以下では、シール領域24、シール領域24の外側および端子領域26をまとめて額縁領域という場合がある。
【0017】
[2.表示装置10の回路構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の回路構成を示すブロック図である。図2に示すように、画素310が配置された液晶領域22に対して第1方向D1に隣接する位置にはソースドライバ回路320が設けられており、液晶領域22に対して第2方向D2に隣接する位置にはゲートドライバ回路330が設けられている。ソースドライバ回路320およびゲートドライバ回路330は、上記のシール領域24に設けられている。ただし、ソースドライバ回路320およびゲートドライバ回路330が設けられる領域はシール領域24に限定されず、画素310の画素回路が設けられた領域の外側であれば、どの領域でもよい。
【0018】
ソースドライバ回路320からソース配線321が第1方向D1に延在しており、第1方向D1に配列された複数の画素310の画素回路に接続されている。ゲートドライバ回路330からゲート配線331が第2方向D2に延在しており、第2方向D2に配列された複数の画素310の画素回路に接続されている。
【0019】
端子領域26には端子部333が設けられている。端子部333とソースドライバ回路320とは接続配線341で接続されている。同様に、端子部333とゲートドライバ回路330とは接続配線341で接続されている。FPC600が端子部333に接続されることで、FPC600が接続された外部機器と表示装置20とが接続され、外部機器からの信号によって表示装置10に設けられた各画素310に含まれる画素回路が駆動する。
【0020】
[3.表示装置10の画素310の画素回路]
図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の画素310の画素回路を示す回路図である。図3に示すように、画素回路はトランジスタ800、保持容量890、および液晶素子410などの素子を含む。詳細は後述するが、保持容量890の一方の電極は画素電極PTCOであり、他方の電極は共通電極CTCOである。同様に、液晶素子410の一方の電極は画素電極PTCOであり、他方の電極は共通電極CTCOである。トランジスタ800は第1ゲート電極810、第1ソース電極830、および第1ドレイン電極840を有する。第1ゲート電極810はゲート配線331に接続されている。第1ソース電極830はソース配線321に接続されている。第1ドレイン電極840は保持容量890および液晶素子410に接続されている。なお、本実施形態では、説明の便宜上、830Bをソース電極といい、840Bをドレイン電極というが、各々の電極は、ソースとしての機能とドレインとしての機能とが入れ替わってもよい。
【0021】
[4.表示装置10の構成]
図4図16を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成の詳細について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成を示す断面図である。図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成を示す平面図である。図6図16は、本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。なお、図4の断面図は、表示装置10の層構造を説明するための断面図であり、周辺回路と画素回路が隣接して示されているが、実際には画素回路は画像表示領域内に、周辺回路は画像表示領域外の額縁領域に設けられており、これらの回路同士が離間して設けられていることは言うまでもない。また、特に、図4の中の画素回路においては、画素領域中のコンタクトホール周辺部を中心に示されており、表示に寄与する透過領域(開口領域)については一部のみが示されている。
【0022】
図4に示すように、表示装置10は基板SUBの上方に設けられている。表示装置10は、トランジスタTr1、トランジスタTr2、配線W、接続電極ZTCO、画素電極PTCO、共通補助電極CMTL、および共通電極CTCOを有する。TCOはTransparent Conductive Oxide(透明導電性酸化物)の略称である。トランジスタTr1は表示装置10の画素310の画素回路に含まれるトランジスタである。トランジスタTr2はソースドライバ回路320またはゲートドライバ回路330などの周辺回路に含まれるトランジスタである。
【0023】
[5.トランジスタTr1の構成]
トランジスタTr1は、酸化物半導体層OS、ゲート絶縁層GI1、およびゲート電極GL1を有する。ゲート電極GL1は酸化物半導体層OSに対向する。ゲート絶縁層GI1は酸化物半導体層OSとゲート電極GL1との間に設けられている。本実施形態では、ゲート電極GL1よりも基板SUB側に酸化物半導体層OSが設けられたトップゲート型トランジスタが例示されているが、ゲート電極GL1と酸化物半導体層OSとの位置関係が逆であるボトムゲート型トランジスタが用いられてもよい。
【0024】
酸化物半導体層OSは、酸化物半導体層OS1、OS2を含む。酸化物半導体層OS1は、平面視でゲート電極GL1と重畳する領域の酸化物半導体層である。酸化物半導体層OS1は、半導体層として機能し、ゲート電極GL1に供給される電圧に応じて導通状態と非導通状態とに切り替えられる。つまり、酸化物半導体層OS1はトランジスタTr1のチャネルとして機能する。酸化物半導体層OS2は導電層として機能する。酸化物半導体層OS1、OS2は同じ酸化物半導体層から形成された層である。例えば、酸化物半導体層OS2は、酸化物半導体層OS1と同じ物性の層に対して不純物をドーピングすることで低抵抗化された酸化物半導体層である。
【0025】
ゲート電極GL1の上に絶縁層IL2が設けられている。絶縁層IL2の上に配線W1が設けられている。配線W1は、絶縁層IL2およびゲート絶縁層GI1に設けられた開口WCONを介して酸化物半導体層OS2に接続されている。配線W1には、画素の階調に関連するデータ信号が伝達される。絶縁層IL2および配線W1の上に絶縁層IL3が設けられている。絶縁層IL3の上に接続電極ZTCOが設けられている。接続電極ZTCOは、絶縁層IL3、IL2、およびゲート絶縁層GI1に設けられた開口ZCONを介して酸化物半導体層OS2に接続されている。接続電極ZTCOは開口ZCONの底部において酸化物半導体層OS2と接している。接続電極ZTCOは、透明導電層である。
【0026】
接続電極ZTCOと酸化物半導体層OS2とが接する領域を第1コンタクト領域CON1という。接続電極ZTCOを「第1透明導電層」という場合がある。詳細は後述するが、第1透明導電層は、平面視でゲート電極GL1および配線W1とは重畳しない第1コンタクト領域CON1において酸化物半導体層OS2と接する。平面視で第1コンタクト領域CON1は画素の表示領域に含まれる。
【0027】
例えばITO層などの透明導電層をシリコン層などの半導体層に接するように形成すると、ITO成膜時のプロセスガスや酸素イオンによって半導体層の表面が酸化する。半導体層の表面に形成された酸化層は高抵抗であるため、半導体層と透明導電層と間の接触抵抗が高くなる。その結果、半導体層と透明電極層との電気的接触に不良が生じる。一方、上記の透明導電層を酸化物半導体層に接するように形成しても、酸化物半導体層の表面に上記のような高抵抗な酸化層は形成されない。そのため、酸化物半導体層と透明導電層との間の電気的接触に不良は生じない。
【0028】
接続電極ZTCOの上に絶縁層IL4が設けられている。絶縁層IL4は、絶縁層IL4よりも下層に設けられた構造体によって形成された段差を緩和する。絶縁層IL4を平坦化膜という場合がある。絶縁層IL4の上に画素電極PTCOが設けられている。画素電極PTCOは絶縁層IL4に設けられた開口PCONを介して接続電極ZTCOに接続されている。接続電極ZTCOと画素電極PTCOとが接する領域を第2コンタクト領域CON2という。平面視で第2コンタクト領域CON2はゲート電極GL1と重畳する。画素電極PTCOは、透明導電層である。
【0029】
画素電極PTCOの上に絶縁層IL5が設けられている。絶縁層IL5の上に共通補助電極CMTLおよび共通電極CTCOが設けられている。詳細は後述するが、共通補助電極CMTLと共通電極CTCOとは、それぞれ異なる平面パターンを有する。共通補助電極CMTLは金属層である。共通電極CTCOは透明導電層である。共通補助電極CMTLの電気抵抗は共通電極CTCOの電気抵抗よりも低抵抗である。また、共通補助電極CMTLは遮光層としても機能する。例えば、共通補助電極CMTLが隣接する画素からの光を遮光することで、混色の発生が抑制される。共通電極CTCOの上にスペーサSPが設けられている。
【0030】
スペーサSPは一部の画素に対して設けられている。例えば、スペーサSPは、赤色画素、緑色画素、および青色画素のいずれか1つの画素に対して設けられていてもよい。但し、スペーサSPは全ての画素に設けられていてもよい。スペーサSPの高さは、セルギャップの半分の高さである。対向基板にもスペーサが設けられており、対向基板のスペーサと上記のスペーサSPとは平面視で重畳する。なお、スペーサSPの高さをセルギャップ相当とする構成も適用することができる。また、図4に示すように、スペーサは開口PCON内に充填されつつ対向基板側に向けて突出しているが、当該コンタクトホールを充填剤によって埋めるのみとする構成も採用可能である。
【0031】
トランジスタTr1と基板SUBとの間に遮光層LSが設けられている。本実施形態では、遮光層LSとして、遮光層LS1、LS2が設けられている。ただし、遮光層LSは遮光層LS1のみまたはLS2のみで形成されていてもよい。平面視で、遮光層LSは、ゲート電極GL1と酸化物半導体層OSとが重畳する領域に設けられている。つまり、平面視で、遮光層LSは酸化物半導体層OS1と重畳する領域に設けられている。遮光層LSは、基板SUB側から入射した光が酸化物半導体層OS1に到達することを抑制する。遮光層LSとして導電層が用いられる場合、遮光層LSに電圧を印加して酸化物半導体層OS1を制御してもよい。遮光層LSに電圧が印加される場合、遮光層LSとゲート電極GL1とは、画素回路の周辺領域で接続されていてもよい。平面視で、上記の第1コンタクト領域CON1は遮光層LSと重畳しない領域に設けられている。
【0032】
[6.トランジスタTr2の構成]
トランジスタTr2は、p型のトランジスタTr2-1およびn型のトランジスタTr2-2を有する。
【0033】
p型のトランジスタTr2-1およびn型のトランジスタTr2-2は、いずれもゲート電極GL2、ゲート絶縁層GI2、および半導体層Sを有する。ゲート電極GL2は半導体層Sに対向する。ゲート絶縁層GI2は半導体層Sとゲート電極GL2との間に設けられている。本実施形態では、半導体層Sよりも基板SUB側にゲート電極GL2が設けられたボトムゲート型トランジスタが例示されているが、半導体層Sとゲート電極GL2との位置関係が逆であるトップゲート型トランジスタが用いられてもよい。
【0034】
p型のトランジスタTr2-1の半導体層Sは、半導体層S1、S2を含む。n型のトランジスタTr2-2の半導体層Sは、半導体層S1、S2、S3を含む。半導体層S1は、平面視でゲート電極GL2と重畳する領域の半導体層である。半導体層S1はトランジスタTr2-1のチャネルとして機能する。半導体層S2は導電層として機能する。半導体層S3は、半導体層S2よりも高抵抗な導電層として機能する。半導体層S3は、半導体層S1に向かって侵入するホットキャリアを減衰させることで、ホットキャリア劣化を抑制する。
【0035】
半導体層Sの上に絶縁層IL1およびゲート絶縁層GI1が設けられている。トランジスタTr2において、ゲート絶縁層GI1は単に層間膜として機能する。これらの絶縁層の上に配線W2が設けられている。配線W2は、絶縁層IL1およびゲート絶縁層GI1に設けられた開口を介して半導体層Sに接続されている。配線W2の上に絶縁層IL2が設けられている。絶縁層IL2の上に配線W1が設けられている。配線W1は、絶縁層IL2に設けられた開口を介して配線W2に接続されている。
【0036】
ゲート電極GL2と遮光層LS2とは同一層である。配線W2とゲート電極GL1とは同一層である。同一層とは、複数の部材が、1つの層がパターニングされることによって形成されていることを意味する。
【0037】
[7.表示装置10の平面レイアウト]
図5図16を参照して、表示装置10の画素の平面レイアウトを説明する。図5では、画素電極PTCO、共通補助電極CMTL、共通電極CTCO、およびスペーサSPは省略されている。画素電極PTCO、共通補助電極CMTL、および共通電極CTCOの平面レイアウトは、それぞれ図14図16に示されている。
【0038】
図4および図5に示すように、遮光層LSは第1方向D1に延在し、第1方向D1に配置された画素に共通して設けられている。画素によって遮光層LSの形状が異なる。本実施形態では、第1方向D1に延在する遮光層LSの一部から、第1方向D1と交差する第2方向D2に突出する突出部PJTが設けられている。図8に示すように、遮光層LSは、平面視でゲート電極GL1と酸化物半導体層OSとが重畳する領域を含む領域に設けられている。なお、ゲート電極GL1を「ゲート線」ということもできる。
【0039】
図4図7、および図8に示すように、酸化物半導体層OSは第2方向D2に延在している。ゲート電極GL1は、第1方向D1に延在して酸化物半導体層OSと交差する。ゲート電極GL1のパターンは遮光層LSのパターンの内側に設けられている。
【0040】
図4図9、および図10に示すように、開口WCONは酸化物半導体層OSのパターンの上端付近において、配線W1と重畳する領域に設けられている。酸化物半導体層OSのパターンのメイン部分は隣接する配線W1の間において第2方向D2に延在している。酸化物半導体層OSのパターンの残りの部分は、当該メイン部分から開口WCONの領域に向かって第1方向D1および第2方向D2に対して斜めの方向に延在している。
【0041】
図4および図10に示すように、複数の配線W1が第2方向D2に延在している。隣接する2つの配線をそれぞれ区別して説明する必要がある場合、隣接する2つの配線W1を第1配線W1-1および第2配線W1-2という。この場合、酸化物半導体層OSのメイン部分は、第1配線W1-1と第2配線W1-2との間において、第2方向D2に延在し、ゲート電極GL1と交差するということができる。
【0042】
図4図11、および図12に示すように、開口ZCONは酸化物半導体層OSのパターンの下端付近に設けられている。開口ZCONは、酸化物半導体層OSのパターンと重畳する領域、かつ、ゲート電極GL1とは重畳しない領域に設けられている。開口ZCONは接続電極ZTCOと重畳する領域に設けられている。接続電極ZTCOは、第1配線W1-1と第2配線W1-2との間において、ゲート電極GL1および酸化物半導体層OSと重畳する。よって、接続電極ZTCOは、ゲート電極GL1とは重畳しない開口ZCON(第1コンタクト領域CON1)において酸化物半導体層OSと接する。
【0043】
図4図10、および図11に示すように、酸化物半導体層OSは、ゲート電極GL1に対して、開口ZCON(第1コンタクト領域CON1)とは反対側で配線W1と接する。開口ZCON(第1コンタクト領域CON1)は遮光層LSと重畳しない。
【0044】
図4図13、および図14に示すように、開口PCONは接続電極ZTCOのパターンの上端付近に設けられている。開口PCONは、ゲート電極GL1のパターンおよび接続電極ZTCOのパターンと重畳する領域に設けられている。開口PCONは画素電極PTCOと重畳する領域に設けられている。画素電極PTCOは、第1配線W1-1と第2配線W1-2との間において、ゲート電極GL1、酸化物半導体層OS、および接続電極ZTCOと重畳する。よって、画素電極PTCOは、ゲート電極GL1と重畳する開口PCON(第2コンタクト領域CON2)において接続電極ZTCOと接する。
【0045】
図15に示すように、共通補助電極CMTLは、複数の画素の各々の画素電極PTCOの一部と重畳し、格子状に設けられ、各画素電極PTCOと対向する位置に開口OPが形成されている。具体的には、共通補助電極CMTLは、少なくとも画像表示領域内で分断されることなく複数の画素に対して共通に設けられており、各画素の開口PCONと重畳するとともに、各画素電極PTCOの縁部の一部とも重畳する。そのため、開口PCONにおいて、共通補助電極CMTLは、画素電極PTCOと重畳している。また、共通補助電極CMTLは、平面視でゲート電極GL1とも重畳する。一方、共通補助電極CMTLは、開口ZCONを含む画素電極PTCOが露出されるように開口されている。すなわち、開口ZCON(第1コンタクト領域CON1)が表示領域に含まれている。なお、ここで言う表示領域とは、画素単位で見た場合にユーザが画素からの光を視認できる領域を意味する。例えば、金属層によって遮光され、ユーザが光を視認できない領域は表示領域には含まれない。つまり、上記の表示領域を「透光領域(または、開口領域)」という場合がある。
【0046】
図16に示すように、共通電極CTCOは、少なくとも画像表示領域内で分断されることなく複数の画素に対して共通に設けられている。共通電極CTCOは、画素電極PTCOと重畳している。共通電極CTCOは、上記各開口OPに対応した領域にスリットSLが設けられている。スリットSLは湾曲した形状(縦に長いS字形状)を有している。スリットSLの先端は、当該先端の延伸方向に直交する幅が小さくなる形状を有している。また、スリットSLの一方の先端は開口PCON内で共通補助電極CMTLと重畳し、かつ、画素電極PTCOと重畳している。また、スリットSLの他方の先端は、開口OP内に位置するものの、画素電極PTCOとは重畳していない。
【0047】
[8.表示装置10の各部材の材質]
基板SUBとして、ガラス基板、石英基板、またはサファイア基板など、透光性を有し、可撓性を有しない剛性基板を用いることができる。一方、基板SUBが可撓性を有する必要がある場合は、基板SUBとしてポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、またはフッ素樹脂基板など、樹脂を含み、可撓性を有するフレキシブル基板を用いることができる。基板SUBの耐熱性を向上させるために、上記の樹脂に不純物が導入されてもよい。
【0048】
ゲート電極GL1、GL2、配線W1、W2、遮光層LS、および共通補助電極CMTLとして、金属材料を用いることができる。例えば、金属材料として、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、もしくは銀(Ag)、またはこれらの合金もしくは化合物が用いられる。上記の電極等の部材として、上記の金属材料が単層で用いられてもよく、積層で用いられてもよい。
【0049】
例えば、ゲート電極GL1として、Ti/Al/Tiの積層構造が用いられる。本実施形態において、上記の積層構造を有するゲート電極GL1のパターン端部の断面形状は順テーパ形状である。
【0050】
ゲート絶縁層GI1、GI2および絶縁層IL1~IL5として、一般的な絶縁性材料を用いることができる。例えば、絶縁層IL1~IL3、IL5として、酸化シリコン(SiO)、酸化窒化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、窒化酸化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化窒化アルミニウム(AlO)、窒化酸化アルミニウム(AlN)、または窒化アルミニウム(AlN)などの無機絶縁層を用いることができる。これらの絶縁層として、欠陥が少ない絶縁層を用いることができる。絶縁層IL4として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシロキサン樹脂などの有機絶縁材料を用いることができる。ゲート絶縁層GI1、GI2および絶縁層IL1~IL3、IL5として、上記の有機絶縁材料が用いられてもよい。上記の絶縁層等の部材として、上記の絶縁性材料が単層で用いられてもよく、積層で用いられてもよい。
【0051】
上記の絶縁層の一例として、ゲート絶縁層GI1として厚さが100nmのSiOが用いられる。絶縁層IL1として総厚さが600nm~700nmのSiO/SiN/SiOが用いられる。ゲート絶縁層GI2として総厚さが60~100nmのSiO/SiNが用いられる。絶縁層IL2として総厚さが300nm~500nmのSiO/SiN/SiOが用いられる。絶縁層IL3として総厚さが200nm~500nmのSiO(単層)、SiN(単層)、またはこれらの積層が用いられる。絶縁層IL4として厚さが2μm~4μmの有機層が用いられる。絶縁層IL5として厚さが50nm~150nmのSiN(単層)が用いられる。
【0052】
上記のSiOおよびAlOは、酸素(O)よりも少ない比率(x>y)の窒素(N)を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。SiNおよびAlNは、窒素よりも少ない比率(x>y)の酸素を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。
【0053】
酸化物半導体層OSとして、半導体の特性を有する酸化物半導体を用いることができる。酸化物半導体層OSは透光性を有する。例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)を含む酸化物半導体を用いることができる。特に、In:Ga:Zn:O=1:1:1:4の組成比を有する酸化物半導体を用いることができる。ただし、本実施形態で使用されるIn、Ga、Zn、およびOを含む酸化物半導体は上記の組成に限定されるものではなく、上記とは異なる組成の酸化物半導体を用いることもできる。例えば、移動度を向上させるためにInの比率を上記より大きくしてもよい。また、バンドギャップを大きくし、光照射による影響を小さくするためにGaの比率を上記より大きくしてもよい。
【0054】
In、Ga、Zn、およびOを含む酸化物半導体に他の元素が添加されていてもよい。例えば、当該酸化物半導体にAlまたはSnなどの金属元素が添加されていてもよい。上記の酸化物半導体以外にもInおよびGaを含む酸化物半導体(IGO)、InおよびZnを含む酸化物半導体(IZO)、In、Sn、およびZnを含む酸化物半導体(ITZO)、またはInおよびWを含む酸化物半導体などが酸化物半導体層OSとして用いられてもよい。酸化物半導体層OSはアモルファスであってもよく、結晶性であってもよい。酸化物半導体層OSはアモルファスと結晶の混相であってもよい。
【0055】
接続電極ZTCO、画素電極PTCO、および共通電極CTCOとして、透明導電層が用いられる。当該透明導電層として、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物(ITO)または酸化インジウムおよび酸化亜鉛の混合物(IZO)などを用いることができる。当該透明導電層として、上記以外の材料が用いられてもよい。
【0056】
[9.各層における第2方向D2の幅]
図17は、本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層における第2方向D2の幅を説明する平面図である。以下では、遮光層LS、開口PCON、および共通補助電極CMTLにおける第2方向D2の幅について説明するため、図17には、遮光層LS、開口PCON、および共通補助電極CMTLの各レイアウトが重畳された平面図が示されている。
【0057】
第1方向D1に延在している遮光層LSは、第2方向D2において、幅wLSを有している。また、ゲート電極GL1と重畳する開口PCONは、第2方向D2において、幅wPCONを有している。共通補助電極CMTLは格子状に設けられているが、共通補助電極CMTLは、第1方向D1および第2方向D2のそれぞれに直線状に延在して格子状に形成されていると考えることができる。換言すると、共通補助電極CMTLは、第1方向D1に沿って延在し、第1方向D1に配置された画素に共通して設けられる複数の横格子部CMTL_hと、2つの隣接する画素の間において、第2方向D2に沿って延在し、互いに隣接する複数の横格子部CMTL_hをつなぐ複数の縦格子部CMTL_vと、を備えている。このように考えると、共通補助電極CMTLの横格子部CMTL_hは、第2方向D2において、幅w CMTLを有している。換言すると、幅w CMTLは、第2方向に並んで形成される2つの開口OP間の距離である。
【0058】
平面視において、遮光層LSは、開口PCONの全体と重畳している。そのため、幅wLSは、幅wPCONよりも大きい。また、共通補助電極CMTLの横格子部CMTL_hの第2方向における両端縁は、開口PCON内に位置している。そのため、幅w CMTLは、幅wPCONよりも小さい(図4も参照)。すなわち、遮光層LS、開口PCON、および共通補助電極CMTLは、この順に第2方向D2の幅が小さくなる。
【0059】
また、平面視において、共通補助電極CMTLの縦格子部CMTL_vの第1方向における幅w CMTLは、信号線である第1配線W1-1または第2配線W1-2の幅Ww1よりも大きい。
【0060】
上述したように、共通補助電極CMTLの電気抵抗は共通電極CTCOの電気抵抗よりも低抵抗である。そのため、共通補助電極CMTLが接する共通電極CTCOでは、時定数が低減される。また、補助電極CTMLは、遮光機能を有する。そのため、遮光層LSと共通補助電極CMTLとで酸化物半導体層OSを挟み、酸化物半導体層OSのチャネルへの光照射を抑制することができる。したがって、そのような共通補助電極CMTLを含む表示装置10では、トランジスタTr1の特性が安定し、信頼性が向上する。
【0061】
また、図17に示すように、TFT基板における各画素の表示領域(透光領域)は、第1方向においては遮光層LSの縁部によって、第2方向においては共通補助電極CMTLの縁部によって規定されている。これら遮光層LSおよび共通補助電極CMTLは、金属層をエッチングすることにより形成され、当該縁部の寸法精度は極めて高い。このため、たとえ表示装置10を高精細化するために画素領域を小さく形成したとしても、画素の表示領域を精度よく形成することができ、表示領域の画素間のばらつきは抑制される。なお、このような構成においても、カラーフィルタが設けられる対向基板側に各画素を区画するブラックマトリクスを設ける構成を適用しても構わない。この構成により、画素間の混色が抑制される。
【0062】
[変形例1]
図18を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の変形例について説明する。図18は、本発明の一実施形態に係る表示装置10おいて、変形された共通補助電極CMTLのレイアウトを説明する平面図である。図18に示すように、変形例1に係る共通補助電極CMTLは、画像表示領域内にて互いに離間した複数の線状または帯状に形成され、各画素の開口PCONと重畳し、第1方向D1にのみ延在して設けられている。
【0063】
変形例1に係る共通補助電極CMTLも共通電極CTCOと接し、共通電極CTCOの時定数を低減することができる。また、遮光層LSと変形例1に係る共通補助電極CMTLとで酸化物半導体層OSを挟み、酸化物半導体層OSのチャネルへの光照射を抑制することができる。
【0064】
[変形例2]
図19図20A、および図20Bを参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の別の変形例について説明する。図19は、本発明の一実施形態に係る表示装置10において、変形された共通補助電極CMTLのレイアウトを説明する平面図である。また、図20Aおよび図20Bは、本発明の一実施形態に係る表示装置10において、各層における第1方向D1および第2方向D2の幅を説明する
平面図である。
【0065】
図19に示すように、変形例2に係る共通補助電極CMTLは、複数の画素の各々の画素電極PTCOの一部と重畳し、格子状に設けられている。具体的には、変形例2に係る共通補助電極CMTLは、画素の開口PCONと重畳し、複数の画素に対して共通に設けられている。また、換言すると、変形例2に係る共通補助電極CMTLは、開口ZCONを含む画素電極PTCOが露出されるように開口されている。すなわち、開口ZCON(第1コンタクト領域CON1)が表示領域に含まれている。
【0066】
図20Aには、遮光層LS、開口PCON、および変形例2に係る共通補助電極CMTLの各レイアウトが重畳された平面図が示されている。変形例2に係る共通補助電極CMTLは格子状に設けられているが、変形例2に係る共通補助電極CMTLは、第1方向D1および第2方向D2のそれぞれに直線状に延在して格子状に形成されていると考えることができる。このように考えると、共通補助電極CMTLは、第2方向D2において、幅wCMTL’を有している。換言すると、幅wCMTL’は、第2方向における開口OP間の距離である。
【0067】
平面視において、遮光層LSは、開口PCONの全体と重畳している。そのため、幅wLSは、幅wPCONよりも大きい。また、変形例2に係る共通補助電極CMTLは、開口PCONを覆うように設けられている。より具体的には、平面視で開口PCONの最外周縁の全周縁が共通補助電極CMTLと重畳している。そのため、幅wCMTL’は、幅wPCONよりも大きい。但し、幅wCMTL’は、幅wLSよりも小さい。したがって、遮光層LS、変形例2に係る共通補助電極CMTL、および開口PCONは、この順に第2方向D2の幅が小さくなる。
【0068】
変形例2に係る共通補助電極CMTLも共通電極CTCOと接し、共通電極CTCOの時定数を低減することができる。また、遮光層LSと変形例2に係る共通補助電極CMTLとで酸化物半導体層OSを挟み、酸化物半導体層OSのチャネルへの光照射を抑制することができる。
【0069】
また、表示装置10では、共通補助電極CMTLの第2方向D2の幅を変えることによって、画素310の開口率を調整することができる。赤色画素R、緑色画素G、および青色画素Bは、それぞれ、共通補助電極CMTLの第2方向D2の幅が異なっていてもよい。例えば、図20Bに示すように、青色画素Bの共通補助電極CMTLの第2方向D2の幅w CMTL’を、赤色画素Rおよび緑色画素Gの共通補助電極CMTLの第2方向D2の幅w CMTL’およびw CMTL’よりも小さくすることができる。すなわち、図20Bに示すように、赤色画素Rおよび緑色画素Gの共通補助電極CMTLの第2方向D2の幅w CMTL’およびw CMTL’を、青色画素Bの共通補助電極CMTLの第2方向D2の幅w CMTL’よりも小さくしてそれぞれの開口OPの大きさに差をつけることができる。さらには、緑色画素Gの共通補助電極CMTLの第2方向D2の幅w CMTL’を、赤色画素Rの共通補助電極CMTLの第2方向D2の幅w CMTL’よりも小さくすることができる。これらの幅w CMTL’、w CMTL’、およびw CMTL’は下層に位置する遮光層LSの幅wLSよりも小さいものの、これによって当該遮光層LSを回折する光の量をさらに調節でき、結果として画素単位ごとの透過率を微調整することができるものとなる。
【0070】
[変形例3]
図21を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10のさらに別の変形例について説明する。図21は、本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層における第1方向D1の幅を説明する平面図である。図21に示す共通補助電極CMTLでは、縦格子部CMTL_vのみが設けられ、横格子部CMTL_hが設けられていない。この場合、各画素の表示領域は、D1方向に延在する遮光層LSと、D2方向に延在する縦格子部CMTL_vとによって規定される。
【0071】
以上、変形例1および変形例2を含め、本実施形態に係る表示装置10では、開口PCON内に共通補助電極CMTLが設けられる。共通補助電極CMTLは、共通電極CTCOと接し、共通電極CTCOの時定数を低減することができる。また、共通補助電極CMTLは、遮光機能を有し、酸化物半導体層OSのチャネルへの光照射を抑制することができる。したがって、そのような共通補助電極CMTLを含む表示装置10では、トランジスタTr1の特性が安定し、信頼性が向上する。
【0072】
また、表示装置10では、トランジスタTr1の酸化物半導体層OSと接続電極ZTCOとを直接接触させることで両者間の導通を確保することができる。したがって、酸化物半導体層OSと接続電極ZTCOとの間に金属層を設ける必要がない。よって、開口ZCON(第1コンタクト領域CON1)において遮光されないため、開口率の低下を抑制することができる。また、酸化物半導体層は透光性を有しているため、本実施形態においては画素における開口領域に酸化物半導体層が露出するものの、バックライトからの光が当該酸化物半導体層を通過する。このため、酸化物半導体層の開口領域への露出による当該開口領域の透過率の低下は可及的低減される。また、表示領域に露出される層は、透光性を有し、シリコン層のような透過光のムラが生じにくい酸化物半導体層OSなので、表示ムラの発生を抑制することができる。
【0073】
[第2実施形態]
図22を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10Aの構成について説明する。図22は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Aの構成を示す断面図である。図22の断面図は、表示装置10Aの層構造を説明するための断面図であり、周辺回路と画素回路が隣接して示されているが、実際には画素回路は画像表示領域内に、周辺回路は画像表示領域外の額縁領域に設けられており、これらの回路同士が離間して設けられていることは言うまでもない。また、特に、図22の中の画素回路においては、画素領域中のコンタクトホール周辺部を中心に示されており、表示に寄与する透過領域(開口領域)については一部のみが示されている。なお、表示装置10Aの構成が表示装置10の構成と同様であるとき、その説明を省略する場合がある。
【0074】
表示装置10Aでは、絶縁層IL4の上に共通電極CTCO1が設けられている。図22では、駆動回路に共通電極CTCO1が設けられている構成を図示するが、共通電極CTCO1は、画素にも設けられている。共通電極CTCO1の上に、絶縁層IL5が設けられている。絶縁層IL5の上に画素電極PTCOが設けられている。図中では省略されているが、共通電極CTCO1は絶縁層IL5を介して画素電極PTCOと重畳しており、これによって、共通電極CTCO1と絶縁層IL5と画素電極PTCOとにより保持容量を構成している。画素電極PTCOは絶縁層IL5に設けられた開口ACON、絶縁層IL4に設けられた開口PCONを介して接続電極ZTCOに接続されている。接続電極ZTCOと画素電極PTCOとが接する領域を第2コンタクト領域CON2という。第2コンタクト領域CON2は、開口PCONと開口ACONとが重なる領域に設けられる。平面視で第2コンタクト領域CON2はゲート電極GL1と重なる。画素電極PTCOは、透明導電層である。画素電極PTCOの上に、絶縁層IL6が設けられている。ここで、絶縁層IL6の膜厚は、絶縁層IL5の膜厚よりも小さい。なお、絶縁層IL6の膜厚が絶縁層IL5の膜厚と略同一であってもよい。
【0075】
絶縁層IL6の上に共通補助電極CMTLおよび共通電極CTCO2が設けられている。詳細は後述するが、共通補助電極CMTLと共通電極CTCO2とは異なる平面パターンを有する。共通補助電極CMTLは金属層である。共通電極CTCO2は透明導電層である。共通電極CTCO2および共通補助電極CMTLは、絶縁層IL6を介して画素電極PTCOと重畳している。より具体的には、共通電極CTCO2および共通補助電極CMTLは、開口領域(開口PCONおよび開口ACON)の底部、すなわち、共通電極CTCO1よりも第2コンタクト領域CON2に近接した位置で画素電極PTCOと重畳しており、かつ、図中では省略されているが、共通電極CTCO2は、表示領域(透光領域)内でも画素電極PTCOおよび共通電極CTCO1と重畳している。これによって、共通電極CTCO2および共通補助電極CMTLと絶縁層IL6と画素電極PTCOとにより保持容量が形成される。共通補助電極CMTLの電気抵抗は共通電極CTCO2の電気抵抗よりも低抵抗である。また、共通補助電極CMTLは遮光層としても機能し、例えば、隣接する画素からの光を遮光することで、混色の発生を抑制することができる。また、共通電極CTCO2は、周辺領域において、共通電極CTCO1と電気的に接続されている。共通電極CTCO2の上にスペーサSPが設けられている。スペーサSPは、少なくとも第2コンタクト領域CON2と重畳し、当該第2コンタクト領域CON2を埋めている。スペーサSPは、ゲート電極GL1および画素電極PTCOと重畳していてもよい。
【0076】
本実施形態に係る表示装置10Aも、開口PCON内に共通補助電極CMTLが設けられる。共通補助電極CMTLは、共通電極CTCOと接し、共通電極CTCOの時定数を低減することができる。また、共通補助電極CMTLは、遮光機能を有し、酸化物半導体層OSのチャネルへの光照射を抑制することができる。したがって、そのような共通補助電極CMTLを含む表示装置10では、トランジスタTr1の特性が安定し、信頼性が向上する。
【0077】
また、表示装置10Aでは、画素310の表示領域おいて、画素電極PTCOと絶縁層IL6と共通電極CTCO2(および共通補助電極CMTL)とによる保持容量に、画素電極PTCOと絶縁層IL5と共通電極CTCO1とによる保持容量を加えることができる。これにより、保持容量を大きくすることができるため、容量カップリングによる電位の影響を小さくすることができる。このように、表示装置10では、縮小化された画素において、容量カップリングによる電位の影響を低減することができるため、クロストークを低減することができる。
【0078】
また、表示装置10Aでは、周辺回路の上方にも共通電極CTCO1が形成されており、これによって、周辺回路への外部ノイズの侵入が抑制される。
【0079】
[第3実施形態]
図23を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10Bの構成について説明する。図23は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Bの構成を示す断面図である。なお、表示装置10Bの構成が表示装置10Aの構成と同様であるとき、表示装置10Bの構成の説明を省略する場合がある。
【0080】
表示装置10Bでは、画素電極PTCOが、絶縁層IL5を介して、画素回路内に設けられた共通電極CTCO1と重畳して設けられている。また、画素電極PTCOは、絶縁層IL6を介して、共通電極CTCO2と重畳して設けられている。
【0081】
表示装置10Bでは、共通電極CTCO1が、周辺回路内に設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。すなわち、共通電極CTCO1は、少なくとも画素回路内において設けられていればよい。また、共通電極CTCO1が周辺回路内に設けられる場合であっても、周辺回路内に設けられた共通電極CTCO1と画素回路内に設けられたCTCO1とは分離されている。そのため、周辺回路内に設けられた共通電極CTCO1には、画素回路内に設けられた共通電極CTCO1に供給される電位とは異なる電位(例えば、GNDなど)が供給されてもよい。これにより、外部ノイズの周辺回路への侵入が抑制される。
【0082】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0083】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0084】
10:表示装置、 22:液晶領域、 24:シール領域、 26:端子領域、 300:アレイ基板、 310:画素、 320:ソースドライバ回路、 321:ソース配線、 330:ゲートドライバ回路、 331:ゲート配線、 333:端子部、 341:接続配線、 400:シール部、 410:液晶素子、 500:対向基板、 600:フレキシブルプリント回路基板、 700:チップ、 800:トランジスタ、 810:第1ゲート電極、 830:第1ソース電極、 840:第1ドレイン電極、 890:保持容量、 CMTL:共通補助電極、 CON1:第1コンタクト領域、 CON2:第2コンタクト領域、 CTCO、CTCO1、CTCO2:共通電極、 GI1、GI2:ゲート絶縁層、 GL1、GL2:ゲート電極、 IL1~IL6:絶縁層、 LS:遮光層、 OP:開口、 OS:酸化物半導体層、 ACON、PCON、WCON、ZCON:開口、 PJT:突出部、 PTCO:画素電極、 S:半導体層、 SL:スリット、 SP:スペーサ、 SUB:基板、 Tr1、Tr2:トランジスタ、 W:配線、 ZTCO:接続電極
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