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特開2022-15343歯髄幹細胞の培養上清を含む、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015343
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】歯髄幹細胞の培養上清を含む、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/32 20150101AFI20220114BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A61K35/32
A61K9/12
A61P29/00
A61P11/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118109
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】520239274
【氏名又は名称】株式会社U-Factor
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】特許業務法人IPアドバンス
(72)【発明者】
【氏名】上田 実
【テーマコード(参考)】
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA25
4C076BB27
4C076CC04
4C076CC15
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB46
4C087BB64
4C087CA04
4C087MA13
4C087MA56
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZB11
(57)【要約】
【課題】新規な血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物を提供する。
【解決手段】歯髄幹細胞の培養上清を含む、経肺投与される、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯髄幹細胞の培養上清を含む、経肺投与される、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
【請求項2】
前記血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物が、エアロゾルの形態で経肺投与される、請求項1に記載の血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
【請求項3】
前記歯髄幹細胞が乳歯歯髄幹細胞である、請求項1又は請求項2に記載の血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
【請求項4】
前記血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物が、間質性肺炎又は肺線維症に罹患した対象に投与される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
【請求項5】
前記経肺投与が体外式膜型人工肺を経由して行われる、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯髄幹細胞の培養上清を含む、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肺の線維化の原因は、自己免疫の異常、アレルギー、薬剤、放射線、遺伝子異常などによる間質性肺炎による肺の線維化が知られているが、原因が不明であることが多く、肺線維化の機序は未だ完全には解明されていない。また、肺線維化の原因に関わらず、有効な治療手段は確立しておらず、患者は日本の人口の8%を占め、死亡原因の4位にのぼる難病である。
【0003】
国際公開第2014/126176号には、歯髄幹細胞の培養上清を静脈投与することによる炎症性疾患の予防又は治療用組成物について記載されており、炎症性疾患の一部として、急性間質性肺炎、慢性間質性肺炎及び肺線維症が記載されている。
非特許文献1には、歯髄幹細胞又は歯髄幹細胞の培養上清の静脈投与が、M2様マクロファージを誘導すると共に、炎症促進の抑制、抗炎症作用、及び組織再生の環境を生じさせることが記載されている。
【0004】
間質性肺炎及び肺線維症の治療としては、ステロイド剤の大量投与などが行われているが、重篤な副作用があり、また、あくまで対処療法に過ぎない。また、各種幹細胞を投与する治療には、細胞のがん化、血栓形成などの不利益がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/126176号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wakayama et al., Cytotherapy, 2015; 0: pp1-11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の通り、間質性肺炎及び肺線維症の治療について、有効な治療方法は確立されておらず、新たな治療方法が望まれる。また、歯髄幹細胞の培養上清の静脈投与による治療は未だ実用化には至っておらず、より有効な治療の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の態様を含む。
<1> 歯髄幹細胞の培養上清を含む、経肺投与される、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
<2> 前記血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物が、エアロゾルの形態で経肺投与される、<1>に記載の組成物。
<3> 前記歯髄幹細胞が乳歯歯髄幹細胞である、<1>又は<2>に記載の組成物。
<4> 前記血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物が、間質性肺炎又は肺線維症に罹患した対象に投与される、<1>~<3>のいずれか1つに記載の組成物。
<5> 前記経肺投与が体外式膜型人工肺を経由して行われる、<1>~<4>のいずれか1項に記載の血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
<6> 歯髄幹細胞の培養上清を含む組成物を経肺投与することを含む、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための方法。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、歯髄幹細胞の培養上清を含み、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制に高い効果を有する、経肺的に投与される組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<歯髄幹細胞の培養上清>
本開示に係る血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物は、歯髄幹細胞を培養して得られた歯髄幹細胞の培養上清を有効成分として含有する。
本開示において、「培養上清」は細胞を含まない培養液と定義される。
【0011】
<歯髄幹細胞の培養上清の調製>
歯髄幹細胞の培養上清は、特許6296622号およびProc Natl Acad Sci U S A 2000;97:13625-30又はProc Natl Acad Sci U S A 2003;100:5807-12に記載されている方法によって調製することができる。
概略としては、脱落または抜歯した乳歯または永久歯から歯髄を採取し、付着性細胞培養用の培養器で培養を行い、接着性を示す細胞のコロニーを継代培養することによって歯髄幹細胞を選択することができる。あるいは、細胞の大きさや形態に基づいて歯髄幹細胞を選択してもよい。選択した歯髄幹細胞を培養し培養上清を回収すればよい。培地としては、無血清培地を用いることが好ましい。無血清培地は継代培養のいずれの段階に用いてもよい。
【0012】
歯髄幹細胞の培養上清を調製するために用いる歯髄幹細胞は、前記方法によって調製される歯髄幹細胞には限定されない。例えば、体細胞を材料として作製された歯髄幹細胞であってもよい。
【0013】
培養上清は、凍結または凍結乾燥してもよいし、凍結乾燥した培養上清を適切な溶媒に溶解したものでもよい。凍結乾燥により、良好な保存安定性が得られる。細胞培養上清の凍結乾燥方法としては、タンパク質を含む液体の凍結乾燥に通常用いられている方法を適用することができる。
【0014】
歯髄幹細胞の培養上清の作製は、遠心処理、濃縮、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、希釈、保存、および脱塩の中から選択される一つ以上の処理を施す工程をさらに含んでもよい。このような工程を含むことにより、歯髄幹細胞の培養上清又はその結果物の取り扱いや保存、運搬がより容易になる。なお、本明細書において、「培養上清」は、使用される文脈において特に除外されない限りは、回収した培養上清を処理して得られた結果物を包含する。
【0015】
本開示の歯髄幹細胞の培養上清は、乳歯歯髄幹細胞の培養上清であることが好ましい。乳歯歯髄幹細胞は増殖能力が高く、その培養上清にはサイトカインやエクソソームが多く含まれている。
【0016】
本開示の組成物における歯髄幹細胞の培養上清の含有量は、0.1体積%~100体積%であることが好ましい。歯髄幹細胞の培養上清は、歯髄幹細胞培養物から細胞を除去した上清をそのまま使用してもよいし、濃縮して使用してもよい。
【0017】
<経肺投与>
組成物の経肺投与は、組成物を気管支又は肺に投与することを意味する。経肺投与の方法は特に限定されず、例えば、気管支内視鏡を用いた気管支内注入法、吸入液剤をネブライザーにより投与する方法、吸入エアゾール剤を噴霧器により噴霧する方法、又は吸入粉末剤を、吸入器を用いて吸入させる方法、を挙げることができる。
本開示において、経肺投与は、体外式膜型人工肺(Extracorporeal Membrane Oxygenation:ECMO)を介して行ってもよい。ECMOは、重症の間質性肺炎に対して多く用いられている。組成物は、ECMOの血液循環のいずれの過程で行ってもよく、脱血側及び送血側のいずれにおいて投与してもよい。
【0018】
<エアロゾル>
経肺投与は、組成物をエアロゾル化して行われることが好ましい。エアロゾルは、気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体を意味する。組成物をエアロゾルの形態とする方法は特に限定されず、例えば、ネブライザー、噴霧器、吸入器によって組成物をエアロゾル化することができる。
【0019】
組成物が液体である場合には、ネブライザーを用いてエアロゾル化することが好ましい。ネブライザーの種類は特に限定されず、例えば、ジェット式、超音波式、コンプレッサー式、メッシュ式のネブライザーを使用することができる。液体をエアロゾル化するためには、ソフトミスト吸入器を用いてもよい。
【0020】
組成物が粉末などの固体である場合には、噴霧器、吸入器によって組成物をエアロゾル化して投与することが好ましい。組成物は、適用する噴霧器や吸入器に応じて適した剤型に加工してもよい。例えば、エアロゾル製剤、ドライパウダー製剤、吸入懸濁液を挙げることができる。
【0021】
エアロゾル中に含まれる液体又は固体の粒子径は特に限定されないが、0.001μm~20μmであることが好ましく、0.001μm~10μmであることがさらに好ましく、0.001μm~5μmであることが特に好ましい。
前記粒子径は、空気力学的質量中央径(Mass Median Aerodynamic Diameter(MMAD))を指す。理論的には、MMADは、(粒子密度/形状係数)0.5×幾何学的粒子径で求められ、その粒子が空気中で沈降するのと同じ速さで沈降する比重1の球形粒子の直径に相当する。MMADは、EN 13544-1:2010に準拠して測定することができる。EN 13544-1:2010に準拠した方法でMMADを測定し、測定限界以下という結果がえられた場合には、MMADが0.5μm未満であることを意味する。
経肺投与のためには、MMADは小さい値であることが好ましい。粒子サイズが小さい方が、気管支又は肺に到達する割合が大きくなる。
【0022】
<基剤>
本開示の組成物は、歯髄幹細胞の培養上清をそのまま用いてもよいが、基剤により希釈されていてもよい。基剤としては、例えば、水、生理食塩水、植物抽出液、およびこれらの組み合わせ、を挙げることができる。
希釈後の歯髄幹細胞の培養上清の濃度は特に限定されない。所望の有効性を示す最低の濃度まで希釈することが製造コストの観点で好ましい。歯髄幹細胞の培養上清の濃度は、本開示の組成物全量に対して、例えば、2質量%~15質量%、3質量%~10質量%としてもよい。
【0023】
本開示に係る組成物は、他の成分を追加的に含んでもよい。追加的に含まれ得る成分としては、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)が挙げられる。
あるいは、本開示に係る組成物は他の有効成分を含んでもよい。例えば、ピルフェニドン、チニンテダニブエタンスルホン酸塩、ロシンキナーゼ阻害剤などの抗線維化剤;ステロイド剤;エラスターゼ阻害剤;免疫抑制剤を挙げることができる。
【0024】
本開示においては、本開示に係る組成物を、経肺的に投与することを含む、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための方法、も提供される。本開示に係る組成物は、治療を必要とする対象の気管支又は肺に有効な量を投与すればよい。
【0025】
<血中酸素飽和度>
本開示において、血中酸素飽和度は経皮的動脈血酸素飽和度(以降、SpOともいう。)を意味する。SpOは、動脈血のヘモグロビンのうち酸素と結合しているヘモグロビンの比率を経皮的に測定するものであり、パルスオキシメーターによって簡便に測定することができる。SpOの基準値は、96%~99%であり、95%以下である場合には呼吸不全が疑われ、90%以下である場合には呼吸不全と診断される。
血中酸素飽和度の向上は、本開示の組成物を経肺投与する前と比較して、投与後の血中酸素飽和度が向上することを意味する。血中酸素飽和度の向上は、SpOの数値が2%以上増加することが好ましく、4%以上増加することがより好ましく、6%以上増加することがさらに好ましい。
血中酸素飽和度の低下の抑制は、経肺投与後の血中酸素飽和度が投与前と比較して低下しないことを意味する。
【0026】
<投与方法>
本開示の組成物は、経肺投与される。1回の投与量は特に限定されない。例えば、本開示の組成物を、液体の状態で投与する場合、1mL~10mL/minの量で3分~20分間投与を行えばよい。本開示の組成物を、固体の状態で投与する場合には、1回につき1~2000μgを噴霧器又は吸入器によって投与すればよい。
【0027】
<適用される疾患>
本開示の血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物は、血中酸素飽和度が基準値を下回る対象に投与されることが好ましい。前記対象は、肺の線維化を伴う疾患に罹患している患者であってもよい。肺の線維化を伴う疾患としては、間質性肺炎又は肺線維症を挙げることができる。
間質性肺炎の原因は特に限定されず、例えば、抗がん剤などの薬剤による副作用;喫煙;COVID-19、インフルエンザなどのウイルス感染症;全身性エリテマトーデスや強皮症などの自己免疫疾患;羽毛やカビなどに対するアレルギー;アスベストや粉じん;放射線;原因不明;が含まれる。
肺線維症の原因も特に限定されない。例えば、肺線維症は間質性肺炎に罹患中及び後遺症として起こり得る。
【0028】
間質性肺炎や肺線維症では、肺胞に線維化が起こり、その結果肺機能が低下して血中酸素飽和度の低下が認められることが多い。本開示の組成物は、血中酸素飽和度の低下を抑制する効果、及び、血中酸素飽和度を向上させる効果を有する。
【0029】
以下に本開示の実施例について説明するが、これに限定されるものではない。また実施例中の%は、特に断らない限り、重量(質量)基準である。
【実施例0030】
<ヒト歯髄幹細胞の培養および培養上清の回収>
ヒト歯髄幹細胞として、ヒト乳歯の歯髄組織から調製したヒト乳歯歯髄幹細胞(SHED)を用いた。ヒト乳歯歯髄幹細胞の調製方法は、特許6296622号およびProc Natl Acad Sci U S A 2000;97:13625-30又はProc Natl Acad Sci U S A 2003;100:5807-12に記載されている通りである。簡潔には、以下の通りである。
【0031】
(1)細胞培養
ヒト乳歯から歯髄をゆっくりと取り、3mg/mLのI型コラゲナーゼ及び4mg/mLのディスパーゼの溶液中で37℃にて1時間消化した。70mmの細胞ストレーナ(Falcon; BD Labware, Franklin Lakes, NJ)を用いて濾過した後、20%の間葉系細胞成長サプリメント(Lonza Inc, Walkersville, MD)及び抗生物質(100U/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシン、及び0.25mg/mLのアムホテリシンB;GIBCO社製)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;GIBCO, Rockville, MD)中で37℃、5%CO下にて細胞を培養した。培養上清を除き、接着性を有する細胞を歯髄幹細胞として選択し、約1×10細胞/cmで継代培養した。1~3回継代した細胞を実験に用いた。
【0032】
(2)培養上清の回収
SHED(4×10細胞)をDMEM/F12(Invitrogen-Gibco-BRL, Grand Island, NY)無血清培地中で37℃、5%CO下で培養した。培養72時間後にSHEDの培養上清を回収し、300×gで5分間遠心し、0.22mmのシリンジフィルターを用いて濾過した。
【0033】
<臨床研究>
(1)COVID-19(新型コロナ肺炎感染症)に罹患し急性間質性肺炎を発症し、その後、肺線維症の後遺症を有する70歳男性、(2)ブリンクマン指数400以上の喫煙歴を有し、肺線維症と診断された75歳男性、(3)ブレオマイシンの副作用により急性間質性肺炎を発症し、その後、肺線維症の後遺症を有する65歳男性、の3名を対照とした。上記の通り取得した乳歯歯髄幹細胞の培養上清を10%の濃度となるように生理食塩水で希釈し、メッシュ式ネブライザーNE-U150(オムロン株式会社製)を用いて(1)~(3)の対象に、吸入マスクを用いて10分間、1日3回、14日間投与した。メッシュ式ネブライザーNE-U150の噴霧量は、0.5mL/分であった。また、メッシュ式ネブライザーNE-U150により生成されるエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)は、カタログ値で5μm以下である。
【0034】
<血中酸素飽和度の測定>
ポータブル型パルスオキシメーター(日進医療器株式会社製、パルスオキシメーターユニコNC50D1)を用いて、乳歯歯髄幹細胞の培養上清による治療開始前及び14日間の治療終了後に、示指にて血中酸素飽和度を測定した。結果を表1に示す。
【表1】
【0035】
<結果>
10%の乳歯歯髄幹細胞の培養上清の投与を受けた3名は、いずれも治療開始前と比較して血中酸素濃度の数値が向上した。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯髄幹細胞の培養上清を含む、間質性肺炎又は肺線維症に罹患した対象にエアロゾルの形態で経肺投与される、血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
【請求項2】
前記歯髄幹細胞が乳歯歯髄幹細胞である、請求項1に記載の血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。
【請求項3】
前記経肺投与が体外式膜型人工肺を経由して行われる、請求項1又は請求項2に記載の血中酸素飽和度向上又は血中酸素飽和度低下の抑制のための組成物。