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特開2022-153452溶融めっきラインで使用のためのロール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153452
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】溶融めっきラインで使用のためのロール
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/00 20060101AFI20221004BHJP
   C23C 2/40 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C23C2/00
C23C2/40
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022112089
(22)【出願日】2022-07-13
(62)【分割の表示】P 2020534605の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】62/609,040
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503404132
【氏名又は名称】クリーブランド-クリフス スティール プロパティーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】キャドット、ダニエル、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ニードリンハウス、ジョイス、シー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶融めっきラインで使用するロールアセンブリの摩耗、剥離、腐食の量を減らすことが可能なロールを提供する。
【解決手段】連続コーティングラインは、溶融金属にさらされるロールアセンブリを含む。ロールアセンブリは、ベアリングブロックに対して回転可能なロール120を含む。ロールは、ロール部分122と、ロール部分の各端部から突出するジャーナル126とを含む。ロールは、ロールが溶融金属にさらされたときに摩耗、剥離、腐食に耐性のある耐火セラミック材料で作られる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続コーティングラインで使用のロールであって、前記ロールは、長手方向軸に沿って延びる略円筒形のロール部分を含み、
前記ロールは、前記長手方向軸に沿って前記ロールの各端部から内向きに延びるチャネルを含み、各チャネルは、前記長手方向軸に沿って前記ロールの全長に及ばないように、前記各チャネルが前記ロールの各端部の外端に延びるようなサイズであり、
前記ロールは、各チャネル内に配置された支持ロッドを含み、各支持ロッドは、前記長手方向軸に沿って前記ロールの全長に及ばないように、前記各支持ロッドが前記ロールの各端部の前記外端に延びるようなサイズである、ロール。
【請求項2】
請求項1記載のロールにおいて、前記耐火性セラミック材料は、炭化ケイ素、アルミナ、および溶融シリカのうちの選択された1つまたは複数を含む、ロール。
【請求項3】
請求項1記載のロールにおいて、前記ロールは、鋳造可能である、ロール。
【請求項4】
請求項1記載のロールにおいて、前記ロールは、前記長手方向軸に沿って前記ロール部分の各端部から外向きに延びるジャーナルを含み、前記ジャーナルは略円筒形であり、各ジャーナルの外径は、前記ロール部分の前記外径より小さい、ロール。
【請求項5】
請求項4記載のロールにおいて、前記ロール部分および各ジャーナルは、中実の一体構成要素である、ロール。
【請求項6】
請求項4記載のロールにおいて、前記ロールは、前記ロール部分と各ジャーナルとの間に配置されたテーパー面を含む、ロール。
【請求項7】
請求項6記載のロールにおいて、前記テーパー面が凸面である、ロール。
【請求項8】
請求項4記載のロールにおいて、前記ロールは、前記ロール部分と各ジャーナルとの間に配置されたフィレットを含む、ロール。
【請求項9】
請求項4記載のロールにおいて、前記ジャーナルは、ベアリングブロックのボア内で回転可能であるように前記ボア内に挿入可能である、ロール。
【請求項10】
請求項9記載のロールにおいて、前記ベアリングブロックは、セラミックである、ロール。
【請求項11】
請求項9記載のロールにおいて、前記ベアリングブロックおよび前記ジャーナルは、前記ジャーナルの外面が前記ベアリングブロックの前記ボアの内面に直接接触するようにプレーンベアリングを形成する、ロール。
【請求項12】
請求項1記載のロールにおいて、前記各支持ロッドは、前記各支持ロッドが前記ロール内に納まり、前記ロールの端面を超えて延びないように前記ロール内に配置される、ロール。
【請求項13】
請求項1記載のロールにおいて、前記各支持ロッドは、摩擦嵌合によって前記ロールのそれぞれのチャネル内に配置される、ロール。
【請求項14】
請求項1記載のロールにおいて、前記耐火性セラミック材料は、前記ロールの中央部において前記ロールの直径にわたって連続的に延びるように構成される、ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年12月21日に提出された「ワンピース固体または中空管設計のいずれかを利用する耐火物/セラミックから製造されるホットディップコーティングライン用のポット/シンク安定剤/修正ロール」という名称の米国仮特許出願第62/609,040号の優先権を主張し、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
コーティングは、細長い鋼板またはストリップなどの鋼基板の表面に薄い金属コーティング(例えば、アルミニウム、亜鉛など)を提供するために製鋼で使用される一般的なプロセスである。本明細書では細長い鋼シートまたはストリップが使用され、交換可能であると理解されることを理解されたい。コーティングプロセスは、一般に、連続したコーティングラインに組み込まれ、そこで、細長い鋼板が一連のロールアセンブリに通されて、鋼板に様々な処理プロセスが施される。このプロセスのコーティング部分の間、鋼板は溶融金属の浴を通して操作され、鋼板の表面をコーティングする。
【0003】
図1を参照すると、連続鋼加工ラインなどの鋼加工ライン(2)のコーティング部分(10)の例示的な概略図が示される。参照されるように、コーティング部分(10)は、溶融めっきタンク(20)、スナウト(30)、1つまたは複数のロールアセンブリ(40、50、70)、およびエアナイフ(35)を含む。コーティング部分(10)は、一般に、鋼板(60)をコーティングするために細長い鋼板(60)を受け入れるように構成される。溶融めっきタンク(20)は、アルミニウム、亜鉛、および/またはそれらの合金などの溶融金属(22)を受け入れるように構成された中実の壁によって規定される。
【0004】
スナウト(30)は、溶融金属(22)内に部分的に沈められるように構成される。したがって、スナウト(30)は一般に、溶融金属(22)に入る間、鋼板(60)の周りに気密シールを提供する。いくつかの例では、スナウト(30)は、水素および/または窒素などの非反応性または還元性ガスで満たされ、鋼板(60)が溶融金属(22)に入る間に起こり得る化学酸化反応を制限する。
【0005】
1つ以上のロールアセンブリ(40、50、70)は、コーティング部分(10)を通して鋼板(60)を支持するために、溶融めっきタンク(20)に対して配置される。例えば、ポットまたはシンクロールアセンブリ(70)は、一般にポットロールアセンブリ(70)が回転するように構成され、それによって鋼板(60)を溶融めっきタンク(20)から再方向付けするように、溶融金属(22)内に沈められ得る。次に、鋼板(60)が溶融金属(22)を出るときに鋼板(60)を安定させるために、1つまたは複数の安定剤および修正ロールアセンブリ(40)を溶融めっきタンク(20)に対して配置することができる。例えば、鋼板(60)がエアナイフ(35)に入るときに、安定剤および修正ロールアセンブリ(40)を使用して、鋼板(60)を位置決めすることができる。安定剤および修正ロールアセンブリ(40)を使用して、鋼板(60)の形状を改善することもできる。次に、デフレクターロールアセンブリ(50)は、一般に、鋼板(60)がコーティングされた後、鋼板(60)を鋼加工ライン(2)の他の部分にリダイレクトするように構成され得る。本実施例のコーティング部分(10)は、ポットロールアセンブリ(70)、安定剤および修正ロールアセンブリ(40)、およびデフレクターロールアセンブリ(50)のそれぞれの1つのみで示されるが、いくつかの他のバージョンでは任意の適切な数のロールアセンブリ(40、50、70)を使用することができる。
【0006】
図1Aは、安定剤および修正ロールアセンブリ(40)が省略されたコーティング部分(10)の代替構成を示す。安定剤および修正ロールアセンブリ(40)の代わりに、またはそれに代わって、図2に示される代替の構成が使用される。図1Aは、完全に溶融めっきタンク(20)内に配置された2つのシンクロールアセンブリ(42)を含む。シンクロールアセンブリ(42)は、一般に、本明細書に記載される他のロールアセンブリと同様に動作する。例えば、シンクロールアセンブリ(42)は、一般に、コーティングプロセスの様々な部分を通じて鋼板(60)を操作するように構成される。この例では、シンクロールアセンブリ(42)は、溶融金属(22)内の鋼板(60)を操作して、鋼板(60)の完全なコーティングを促進する。シンクロールアセンブリ(42)はさらに、溶融金属(22)を通る移動経路の量を増加させる。この特徴は、一般に、鋼板(60)が溶融金属(22)内に配置される時間を増加させる。鋼板(60)がシンクロールアセンブリ(42)を通過すると、その後、鋼板(60)は、突き刺しロールアセンブリ(70)およびデフレクタロールアセンブリ(50)によって所望の方向に方向転換されても良い。また、図1および1Aは両方とも、コーティング部分(10)の別個の構成を示し、他の例では、コーティング部分(10)は、図1および1Aに示す構成からの様々な要素を組み合わせる他の代替構成を含む。
【0007】
上記の例で説明したように、鋼板の操作を支援するために、様々なロールアセンブリをコーティング部分(10)の一部として溶融金属に配置および/または溶融金属に曝すことができる。典型的には、各ロール組立体は、鋼板と共に回転可能なロールを含む。図2は、ロール部分(82)の各端部から外向きに延びる一対のジャーナル(84)を備えたロール部分(82)を含む典型的な従来技術のロール(80)の例を示す。これらのロールは、一般に、ステンレス鋼および/または炭素鋼および合金鋼などの鋼から作られる。図2に示すように、これらのロールは、単一の一体構成要素によって形成するか、または各端に溶接されたジャーナルハブを備えた中空管から製造することができる。一部のバージョンでは、ロールは安定剤用に構成され、重量が約750ポンドになる場合がある。
【0008】
溶融金属によって引き起こされるロールアセンブリおよび/または過酷な環境の連続的な移動のために、これらのロールは、化学的攻撃、腐食、剥離、および/または摩耗を受ける可能性がある。例えば、鋼板とロールの間の摩擦と接触応力の組み合わせ、溶湯への鋼ロールの溶解、溶湯の高温、およびキャビテーションにより、ロール表面が比較的急速に劣化することがある。このような問題を遅らせるために、一部のバージョンでは、ロールの外面は、溶射プロセスによって適用されるセラミックまたはセラミックおよび金属のバリアコーティングの約0.030インチなどの薄い層で覆われる。そのような保護コーティングは、ロールの外面への金属学的ドロスの蓄積および金属学的ドロスの蓄積を遅延および/または最小化することができる。使用環境での保護コーティングの成功は、コーティングの結合強度、硬度、および/または多孔度に依存する場合がある。そのようなコーティングを用いても、図3に示されるように、ロールは依然として劣化を経験する可能性がある。
【0009】
ロールジャーナルまたはロール部分のいずれかの摩耗または劣化が許容できないレベルに達すると、連続コーティングラインがシャットダウンされ、その中のコンポーネントが再加工および/または交換される。この手順は一般にコストの増加と望ましくない製造遅延をもたらす。ただし、これらのコストと遅延は、溶融金属にさらされるロールアセンブリの耐用年数を延ばすことで削減できる。
【0010】
したがって、摩耗および/または劣化の影響を受ける構成要素の全体的な耐用年数を改善するために、コーティングライン内に様々な特徴を含めることが望ましい場合がある。これらの課題を克服するために、ロールアセンブリは、ロールアセンブリの摩耗、剥離、腐食の量を減らすために、耐火材料から作られる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
コーティングライン内に配置されたロールアセンブリは、コーティングプロセスのためのコーティング浴内で使用される場合、少なくともいくらかの剥離および化学的攻撃に遭遇する。状況によっては、この剥離や化学的攻撃により、このようなロールアセンブリのデューティサイクルが低下することがある。したがって、コーティングプロセスで使用されるロールアセンブリで遭遇する摩耗および/または化学的攻撃を低減することが望ましい。
【0012】
セラミックなどの耐火性材料は、溶融金属に囲まれた環境で遭遇する摩耗および化学的攻撃に対する優れた耐性を提供する。しかしながら、溶融金属に曝されるロールアセンブリに耐火材料を統合することで課題に直面する。したがって、本出願は、耐火材料をロールアセンブリに組み込むための構造および/または方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、実施形態を示し、上記の一般的な説明および以下に示す実施形態の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つものである。
図1図1は、連続鋼加工ラインにおけるコーティング部分の構成の概略図を示す。
図1A図1Aは、図1のコーティング部分の代替構成の概略図を示す。
図2図2は、図1のコーティング部分で使用され得るロールアセンブリ用の従来技術のロールの部分断面正面図を示す。
図3図3は、溶融金属内に沈められた後のロールの劣化を示す図2の従来技術のロールの写真を示す。
図4図4は、図1のコーティング部分と共に使用するための耐火性セラミック材料を含むロールアセンブリの斜視図を示す。
図5図5は、図4のロールアセンブリのベアリングブロックの斜視図を示す。
図6図6は、図4のロールアセンブリのロールの斜視図を示す。
図7図7は、図6のロールの正面図を示す。
図8図8は、図6のロールの端面図を示す。
図9図9は、図4のロールアセンブリのロールの代替の実施形態の正面図を示す。
図10図10は、図9のロールの端部の部分断面図を示す。
図11図11は、図9のロールの端部の部分断面図を示し、ロール内に挿入された支持ロッドを示す。
図12図12は、図4のロールアセンブリのロールの代替の実施形態の正面図を示す。
図13図13は、溶融アルミニウム浴内に挿入する前の複数の溶融シリカ棒の写真を示す。
図14図14は、溶融アルミニウム浴に挿入した後、図13の複数の溶融シリカロッドの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本出願は、概して、連続コーティングラインのロールアセンブリ内に耐火性セラミック材料を組み込むための構造および/または方法に関する。そのような構成では、耐火性セラミック材料の存在がロールアセンブリの摩耗を低減し、また、ロールアセンブリが溶融金属からの化学的攻撃を受ける傾向を低減する可能性があることが分かる。
【0015】
I.耐火性セラミック材料を含むロールアセンブリの実施形態
耐火性セラミック材料を組み込んだロールアセンブリは、以下でより詳細に論じられる。そのようなロールアセンブリは、ロールアセンブリの摩耗、腐食、および/または剥離を低減し得るので、そのようなロールアセンブリの任意の要素は、連続コーティングラインの任意の1つ以上のロールアセンブリに組み込まれ得ることが理解されるべきである。これらのロールアセンブリは、上記のように、任意の安定化および修正ロールアセンブリ(40)、シンクロールアセンブリ(42)、デフレクターロールアセンブリ(50)、および/またはポットロールアセンブリ(70)を含み得るが、これらに限定されない。
【0016】
図4を参照すると、ロールアセンブリ(100)は、2つのベアリングブロック(110)およびロール(120)を含む。各ベアリングブロック(110)は、一般に、ロール(120)の少なくとも一部を受け入れるように構成され、ベアリングブロック(110)に対するロール(120)の回転を促進する。図示されていないが、各ベアリングブロック(110)は、一般に、各ベアリングブロック(110)を溶融めっきタンク(20)内の所定の位置に保持するために、固定具または他の構造に結合され得る。
【0017】
例示的なベアリングブロック(110)は、図2に最もよく見られる。分かるように、ベアリングブロック(110)は、概して八角形の本体(112)を含む。本体(112)の八角形の形状は、一般に、固定具または他の構造がベアリングブロック(110)に取り付けられて、溶融めっきタンク(20)内にベアリングブロック(110)を配置できる表面を提供するように構成される。本例の本体(112)は八角形構造で示されるが、他の例では、正方形、六角形、三角形、円形、および/またはその他など、他の適切な構造を使用できることを理解されたい。
【0018】
本体(112)に使用される特定の形状に関係なく、本体(112)は、ベアリングブロック(110)の中心を通る受容ボア(114)を規定する。受容ボア(114)は、ほぼ円筒形の形状によって規定される。以下でより詳細に説明するように、受容ボア(114)は、ロール(120)がボア(114)内で自由に回転できるようにロール(120)の少なくとも一部を受容するように構成される。したがって、各ジャーナル(126)の外面の一部は、ベアリングブロック(110)のボア(114)の内面の一部と直接接触する。これにより、ベアリングブロック(110)は、ローラーまたは転動体を使用することなく、各ジャーナル(126)と共にプレーンベアリングを形成することができる。次に、各ジャーナル(126)は、静止したベアリングブロック(110)内で回転されても良い。ベアリングブロック(110)は、以下でより詳細に論じられるように、セラミックなどの耐火性材料を含み得る。
【0019】
図6~8を参照すると、ロールアセンブリ(100)のロール(120)は、ロール部分(122)と、ロール部分(122)の各側から延びるジャーナル(126)とを含む。ロール部分(122)は、軸(A)に沿って長手方向に延びる概して細長い円筒形状を含む。ロール部分(122)の円筒形状は、一般に、鋼板(60)の少なくとも一部がロール部分(122)の少なくとも一部の周りに巻き付くことができるように鋼板(60)を受け入れるように構成される。したがって、ロール部分(122)の幅は一般に鋼板(60)の幅に対応し、ロール部分(122)の幅が鋼板(60)よりも広いことを理解されたい。これは、コーティング部分(10)を通るストリップ追跡を補償することができる。ロール部分(120)は、約4インチ~20インチ、例えば約9インチ~10インチの外径を有することができるが、他の適切な寸法を使用することができる。
【0020】
上述のように、各ジャーナル(126)は、長手方向軸(A)に沿ってロール部分(122)から外向きに延びる。各ジャーナル(126)は、ロール部分(122)によって規定される外径よりも小さい外径を有する略円筒形を含む。各ジャーナル(126)は、それぞれのベアリングブロック(110)のボア(114)によって受け取られるようなサイズである。図7で最もよく見られるように、図示の実施形態におけるテーパー面(124)は、ロール部分(122)とジャーナル(126)との間に配置される。面取りまたはフィレット(123)もロール部分(122)とテーパー面(124)の間に配置され、面取りまたはフィレット(125)はテーパー面(124)とジャーナル(126)の間に配置される。いくつかのバージョンでは、テーパー部分(124)は省略されており、面取りまたはフィレットのみがロール部分(122)とジャーナル(126)との間に配置される。テーパー面(124)および/またはフィレット(123、125)は、それにより、潜在的な機械的応力集中を低減するために、ロール部分(122)とジャーナル(126)との間に応力をより均一に分配し得る。ジャーナル(126)がベアリングブロック(110)内で並進し、ベアリングブロック(110)の外面がロール(120)の外面に接触する場合、テーパー面(124)および/またはフィレット(123、125)は、ベアリングブロック(110)の摩耗を防ぐこともできる。ロール(120)は、以下でより詳細に論じられるように、セラミックなどの耐火性材料を含み得る。
【0021】
ロール(220)の別の実施形態が、図9図11に示されるように、これらは、ロールアセンブリ(100)に組み込んでも良い。ロール(220)は、ロール(220)が一対の支持ロッド(240)を備えることを除いて、ロール(120)と実質的に同様である。図9で最もよく見られるように、ロール(220)は、ロール部分(222)と、ロール部分(222)の両側から延びるジャーナル(226)とを含む。ロール部分(222)は、軸(A)に沿って長手方向に延びる概して細長い円筒形状を含む。ロール部分(222)の円筒形状は、一般に、鋼板(60)の少なくとも一部がロール部分(222)の少なくとも一部に巻き付くことができるように鋼板(60)を受け入れるように構成される。
【0022】
上記のように、各ジャーナル(226)は、長手方向軸(A)に沿ってロール部分(222)から外向きに延びる。各ジャーナル(226)は、ロール部分(222)によって規定される外径よりも小さい外径を有する略円筒形を含む。各ジャーナル(226)は、それぞれのベアリングブロック(110)のボア(114)によって受け取られるようなサイズである。図示の実施形態では、凸面(224)がロール部分(222)とジャーナル(226)の間に配置される。凸面(224)は、ロール部分(222)とジャーナル(226)との間により均一に応力を分配し、および/またはベアリングブロック(110)の摩耗を低減し得る。ただし、凸面(224)は単なるオプションであり、直線および/またはテーパー面などの他の適切な面を使用することもできる。
【0023】
図10~11を参照すると、ロール(220)は、ロール(220)の長手方向軸(A)に沿ってロール(220)の各端部内に延びるチャネル(230)を規定する。図示の実施形態では、チャネル(230)は、ジャーナル(226)を通って、ロール部分(222)の一部の中に延びる。チャネル(230)は、約14インチの長さおよび約1.23インチの直径を有し得るが、他の適切な寸法が使用され得る。これにより、支持ロッド(240)をロール(220)のチャネル(230)内に挿入することができる。支持ロッド(240)は、支持ロッド(240)がチャネル(230)内で摩擦嵌合するように、チャネル(230)の長さおよび/または直径に対応するようなサイズにされ得る。もちろん、他の適切な方法を使用して、支持ロッド(240)をチャネル(230)に、例えば、ねじ込み式カップリングおよび/または接着剤で結合することができる。支持ロッド(240)は、スチール(または他の適切な材料)から作製されて、ロール(220)に対する強度を増大させ得る。それにより、支持ロッド(240)は、ジャーナル(226)とロール部分(222)との間のロール(220)を通って延び、ジャーナル(226)とロール部分(222)との間の機械的応力集中を支持するのを助ける。ロール(220)は、以下でより詳細に論じられるように、セラミックなどの耐火性材料を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、組み立てられたロール(220)は、少なくとも約90%の耐火性セラミック材料を含む。ロール(220)のさらに他の適切な構成は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかだろう。
【0024】
ロール(320)の別の実施形態が図12に示され、これらは、ロールアセンブリ(100)に組み込むことができる。ロール(320)は、ロール(320)がスチールコア(330)を含むことを除いて、ロール(220)と実質的に同様である。図12で最もよく見られるように、コア(330)は、ロール部分(332)と、ロール部分(332)の両側から延びるジャーナル(336)とを含む。次に、コア(330)は、コア(330)の表面全体の周りに耐火材料で鋳造されて、外側ロール部分(322)と、外側ロール部分(322)の両側から延びる外側ジャーナル(326)を形成する。例えば、コア(330)のロール部分(332)の外径は約18.5インチであっても良く、外側ロール部分(322)の外径は約2.25インチの耐火材料の厚さに対応するように約22インチであっても良い。ただし、他の適切な寸法を使用することもできる。他のいくつかのバージョンでは、耐火材料はコア(330)のロール部分(332)上にのみ鋳造されても良く、耐火材料を含むスリーブはジャーナル(336)の別個の構成要素として追加されても良い。そのようなスリーブの例は、2017年5月1日に出願された「コーティングライン用の安定剤のキャンペーンライフを延長する方法」と題する米国特許出願第15/583,450号に提供されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
ロールアセンブリ(100)の各ベアリングブロック(110)および/またはロール(120、220、320)は、高い強度を有し、高温での摩耗に耐性があるセラミックなどの耐火材料を含むことができる。この耐火性セラミック材料はさらに、低い熱膨張係数、熱衝撃に対する耐性、溶融金属による濡れに対する耐性、腐食に対する耐性を有し、溶融金属に対して実質的に化学的に不活性である。そのような耐火性セラミック材料は、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al)、溶融シリカ(SiO)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかのバージョンでは、耐火性セラミック材料は、約5%~約100%の炭化ケイ素および/またはアルミナを含む。
【0026】
単なる例として、適切な耐火性セラミック材料は、サイアロン(SiAlON)セラミックとして知られている種類のセラミックを含み得る。サイアロン(SiAlON)セラミックは、溶融アルミニウムの取り扱いに使用できる高温耐火物である。サイアロン(SiAlON)セラミックは一般に、優れた耐熱衝撃性、高温での高強度、溶融アルミニウムによる濡れに対する並外れた耐性、および溶融非鉄金属の存在下での高い耐食性を示す。そのようなサイアロン(SiAlON)セラミックは、マサチューセッツ州ウスターのサンゴバン高性能耐火物によって製造されたクリストンCN178を含むことができるが、多くのサイアロンクラスのセラミックを使用することができる。
【0027】
他の適切な耐火性セラミック材料は、約73%のAlと約8%のSiCとを有するセラミックを含み得る。このセラミックは、オハイオ州フリーモントのWahl Refractory Solutionsによって製造されたGemStone 404Aを含み得る。別の実施形態では、約70%のSiCなど、より多量のSiCを有するより硬いセラミックを使用することができる。いくつかのバージョンでは、ステンレス鋼の針金が、材料の約0.5重量パーセント~約30重量パーセントなどのセラミック材料に追加されても良い。そのようなセラミックは、マサチューセッツ州ウスターのSaint-Gobainセラミックによって製造されたADVANCER窒化物結合炭化ケイ素、またはマサチューセッツ州ウスターのSaint-Gobainセラミックによって製造されたHexology炭化ケイ素を含み得る。したがって、ベアリングブロック(110)およびロール(120、220)は、同じ耐火性材料から作られても良く、またはベアリングブロック(110)およびロール(120、220)は、異なる耐火性材料から作られても良い。本明細書の教示を考慮すれば、当業者にはさらに他の適切な耐火材料が明らかだろう。
【0028】
各ベアリングブロック(110)および/またはロール(120、220、320)は、耐火性セラミック材料を鋳造することによって作製されても良い。他のいくつかのバージョンでは、液体セラミックを型に流し込み、熱を使用してセラミックを焼いて水分を除去することにより、ベアリングブロック(110)および/またはロール(120、220)を作成できる。次に、ベアリングブロック(110)および/またはロール(120、220)の外面を研磨して、滑らかな外面を提供することができる。ロールアセンブリ(100)の構成要素を作製するためのさらに他の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかだろう。
【0029】
III.操作方法
図4に示されるように、ロールアセンブリ(100)を組み立てることができる。例えば、ロール(120)の各ジャーナル(126)は、対応するベアリングブロック(110)のボア(114)内に挿入されても良い。したがって、各ジャーナル(126)の外面の一部は、ベアリングブロック(110)のボア(114)の内面の一部と直接接触する。これにより、ベアリングブロック(110)は、ローラーを使用することなく、各ジャーナル(126)と共にプレーンベアリングを形成することができる。次に、各ジャーナル(126)は、静止したベアリングブロック(110)内で回転されても良い。
【0030】
例示的な使用では、鋼板(60)は、ロールアセンブリ(100)によってコーティング部分(10)を通して操作されても良い。例えば、鋼板(60)は、ロールアセンブリ(100)のロール(120)を包み込んでも良い。鋼板(60)とロール(120)のロール部分(122)との間の摩擦により、鋼板(60)がロールアセンブリ(100)に対して動くときに、ロール(120)が回転することがある。ロール(120)の回転は、それにより、それぞれのベアリングブロック(110)内の各ジャーナル(126)の対応する回転を引き起こす。
【0031】
ジャーナル(126)および/またはベアリングブロック(110)の耐火セラミック材料は、ジャーナル(126)とベアリングブロック(110)との間の摩耗に対する耐性、ならびに熱衝撃および/または腐食に対する耐性を提供し得る。ロール部分(122)の耐火性セラミック材料はまた、鋼板(60)の回転によるロール部分(122)の摩耗に対する耐性、ならびに熱衝撃および/または腐食に対する耐性を提供することができる。これにより、ロールアセンブリ(100)は、コーティング部分(10)の寿命を延ばして、コーティングラインの効率を高め、および/またはコストを削減することができる。したがって、ロールアセンブリ(100)の構成要素を耐火性セラミック材料から形成することにより、ロールアセンブリ(100)は、鋼表面または溶射コーティングを施した鋼表面よりも機械的侵食およびキャビテーションによく耐え、抵抗することができる。これにより、ロールアセンブリ(100)の耐火材料は、ロールアセンブリ(100)の耐用年数を延ばす。
【0032】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な修正を加えることができることが理解されよう。したがって、本発明の制限は、添付の特許請求の範囲から決定されるべきである。
【0033】
III.実施例
一連の試験を実施して、ロールアセンブリを評価した。この一連のテストについては、以下の例で詳しく説明する。以下の実施例は単に例示を目的としたものであり、他の実施例では、本明細書の教示を考慮して当業者によって理解されるように、様々な代替特性を使用できることを理解されたい。
【0034】
実施例1
タイプIIのアルミニウムコーティング浴中での溶融シリカロッドの静的浸漬試験が行われた。約2.4インチの直径を有する溶融シリカ丸棒が使用された。最初のテストは30日間の浸漬テストだった。テスト中、溶融シリカは還元反応を介してアルミナに完全に変換された。直径の減少も化学的攻撃の兆候も明らかではなかった。耐火物表面での溶融アルミニウムの濡れもなかった。それにより、溶融シリカおよび/またはアルミナは、溶融アルミニウムによる化学的攻撃による材料損失に対してはるかに大きな耐性を示し、溶融シリカおよび/またはアルミナから形成されるロールの寿命を延ばすことが決定された。
【0035】
実施例2
タイプIIのアルミニウム被覆浴中での溶融シリカロッドの静的浸漬試験が行われた。約2.4インチの直径を有する溶融シリカ丸棒が使用された。これらのロッドは浸漬前の図13に示される。浸漬の9日後、図14に示されるように、溶融シリカがアルミナに変換された、ロッドの周囲の約0.040インチの薄い変換層が明らかになった。繰り返しだが、直径の減少も化学的攻撃の兆候も明らかではなかった。耐火物表面での溶融アルミニウムの濡れもなかった。それにより、溶融シリカおよび/またはアルミナは、溶融アルミニウムによる化学的攻撃による材料損失に対してはるかに大きな耐性を示し、溶融シリカおよび/またはアルミナから形成されるロールの寿命を延ばすことが決定された。
【0036】
実施例3
負荷試験は、室温で一片の固体ジェムストーン404Aセラミック材料から作製されたロールで行われた。ロールのロール部分は、長さが約76インチ、直径が約10インチだった。ロールのジャーナルは、約4.5インチの長さと約4インチの直径を持った。約650lbfの負荷は、各ジャーナルの最大動作負荷であると判断された。約1,300lbfの負荷は、その後、各ジャーナルに適用された。この負荷は約650lbf増加し、最大負荷が約3,650lbfまで増加する。最大負荷に達して数分間保持すると、テストは停止した。どちらのジャーナルも、亀裂の兆候なしにこの負荷に耐えた。したがって、セラミックロールは、決定された最大動作負荷を超える約5.5の安全率で、コーティングラインに加えられた負荷に耐えることができたと決定された。
【0037】
実施例4
ロールテストは、溶融シリカから作られたロールで行われた。ロールは鋼のベアリングブロックで組み立てられ、約43万フィートの鋼を走行した。ロールジャーナルまたは本体の直径の大きな損失はなかったが、スチールベアリングブロックに大きな摩耗があった。軸受材料は適切ではなかったが、ロールのテストは成功したと見なされた。
【0038】
実施例5
ロール試験は、溶融シリカから作られたロールで行われた。ロールはGemstone 404Aで作られたベアリングブロックで組み立てられた。ロールバレルの直径は約10インチだった。約680,000フィートの鋼を実行した後、ロールを金属浴から取り外した。ロールの目視検査に基づいて、ロールとベアリングの間に大きな摩耗は見られず、ロールは使用に戻された。次に、約780,000フィートの製品を実行した後、ロールに障害が発生した。取り外したところ、両方のジャーナルが破損してロールから分離したことが判明した。ロールのテストは成功したと見なされたが、ベアリング材料は非常に攻撃的であると見なされた。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】