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特開2022-153465端末装置、管理サーバ、通信システム、及びプログラム
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  • 特開-端末装置、管理サーバ、通信システム、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153465
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】端末装置、管理サーバ、通信システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/438 20110101AFI20221004BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20221004BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20221004BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20221004BHJP
【FI】
H04N21/438
G01C21/26 C
G08G1/09 F
H04N21/442
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112823
(22)【出願日】2022-07-14
(62)【分割の表示】P 2021019839の分割
【原出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】菊地 陽介
(72)【発明者】
【氏名】大黒 將弘
(72)【発明者】
【氏名】辻 圭介
(57)【要約】
【課題】移動中の車両に搭載された端末装置が、通信品質の劣化を低減させつつコンテンツをダウンロードできるようにする。
【解決手段】端末装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報に基づき、端末装置が特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する判定部と、管理サーバからダウンロード可能なコンテンツの容量を示すコンテンツ情報を受信するコンテンツ情報取得部と、位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、コンテンツ情報が示すコンテンツの容量と交通情報に含まれる信号機の点灯状況とに基づいて、管理サーバからコンテンツをダウンロードするダウンロード部とを有する端末装置。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されており、管理サーバと通信する端末装置であって、
前記端末装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部が取得した前記位置情報に基づき、前記端末装置が予め定められた特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する判定部と、
前記管理サーバからダウンロード可能なコンテンツの容量を示すコンテンツ情報を前記管理サーバから受信するコンテンツ情報取得部と、
前記車両が走行している道路に設けられている信号機の点灯状況を含む交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量と、前記交通情報に含まれる信号機の点灯状況とに基づいて、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間にダウンロードが可能なコンテンツを選択し、前記管理サーバから選択したコンテンツをダウンロードするダウンロード部と
を有する端末装置。
【請求項2】
前記コンテンツ情報が複数のコンテンツの情報を示す場合、
前記ダウンロード部は、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量に基づいて、前記複数のコンテンツから、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間に一以上のコンテンツをダウンロードすべきコンテンツとして選択する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記ダウンロード部は、前記交通情報取得部が取得した前記交通情報に基づいて、前記車両の推定移動時間を特定し、前記位置情報が示す位置が前記特定エリアに含まれている間に、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量と、前記推定移動時間とに基づいて、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間にダウンロードが可能なコンテンツを選択する、請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記ダウンロード部は、前記交通情報が信号機の停止指示を示す情報を含み、かつ前記車両の移動速度が閾値以下になった場合、前記交通情報が示す信号機の停止指示の継続時間を前記推定移動時間として特定する、請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記コンテンツ情報には、コンテンツがダウンロードされる際の推定スループットの情報が含まれており、
前記ダウンロード部は、前記複数のコンテンツのうち算出した前記推定移動時間及び前記推定スループットの乗算結果よりも容量が小さいコンテンツをダウンロードすべきコンテンツとして選択する、
請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記特定エリアは、前記端末装置がハンドオーバーすることなく前記管理サーバとの通信を継続できるエリアであり、
前記ダウンロード部は、前記車両が前記特定エリアに入った場合に前記推定移動時間を特定する、
請求項4又は5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記コンテンツ情報は、コンテンツの優先度をさらに含み、
前記ダウンロード部は、前記車両が前記特定エリアに滞在している間にダウンロードが可能な前記複数のコンテンツのうち、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量及び優先度に基づいて特定したコンテンツをダウンロードする、
請求項2から6のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項8】
ダウンロード予定のコンテンツを示すコンテンツリストを生成するリスト生成部と、
前記コンテンツリストを前記管理サーバに送信する通信部と
を更に備え、
前記コンテンツ情報取得部は、前記コンテンツリストに含まれているコンテンツの容量を示す前記コンテンツ情報を前記管理サーバから取得する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項9】
前記ダウンロード部は、前記コンテンツのダウンロードが完了した後に、ダウンロードにかかった時間をスループットの実績値の情報として前記管理サーバに送信する、請求項1から8のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項10】
車両に搭載された端末装置に提供するコンテンツを記憶する管理記憶部と、
前記端末装置から、前記端末装置の位置を示す位置情報と、前記車両が走行している道路に設けられている信号機の点灯状況を含む交通情報とを取得する管理取得部と、
前記管理取得部が取得した前記位置情報に基づき、前記端末装置が予め定められた特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する管理判定部と、
前記位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、コンテンツの容量と、前記交通情報に含まれる信号機の点灯状況とに基づいて、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間にダウンロードが可能なコンテンツを前記端末装置に提供するコンテンツ提供部と
を備える、管理サーバ。
【請求項11】
車両に搭載された端末装置と、管理サーバとを備える通信システムであって、
前記端末装置は、
前記端末装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部が取得した前記位置情報に基づき、前記端末装置が予め定められた特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する判定部と、
前記管理サーバからダウンロード可能なコンテンツの容量を示すコンテンツ情報を前記管理サーバから受信するコンテンツ情報取得部と、
前記車両が走行している道路に設けられている信号機の点灯状況を含む交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量と、前記交通情報に含まれる信号機の点灯状況とに基づいて、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間にダウンロードが可能なコンテンツを選択し、前記管理サーバから選択したコンテンツをダウンロードするダウンロード部と
を有し、
前記管理サーバは、前記端末装置からの要求に対応するコンテンツを提供するコンテンツ提供部を有する、
通信システム。
【請求項12】
コンピュータにより実行されると、前記コンピュータを請求項1から9のいずれか一項に記載の前記端末装置として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、管理サーバ、通信システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体がサーバからコンテンツを受信するシステムが知られている。このようなシステムにおいて、移動体が一時的に停止する地点近傍と、移動体が長時間停止する地点近傍とに無線アクセス装置が設置されており、コンテンツのデータ量に応じて、異なる無線アクセス装置からコンテンツを受信して通信効率を向上させることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-303643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、無線アクセス装置を設置する段階では、移動体が通過するのか移動体が一時的に停止するのか長時間停止するのかを予め把握することは困難である。したがって、移動体の挙動によっては、移動体と無線アクセス装置との間のハンドオーバーが増加してしまい、通信品質が劣化してしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、移動中の車両に搭載された端末装置が、通信品質の劣化を低減させつつコンテンツをダウンロードできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両に搭載されており、管理サーバと通信する端末装置であって、前記端末装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報に基づき、前記端末装置が予め定められた特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する判定部と、前記管理サーバからダウンロード可能なコンテンツの容量を示すコンテンツ情報を前記管理サーバから受信するコンテンツ情報取得部と、前記車両が走行している道路に設けられている信号機の点灯状況を含む交通情報を取得する交通情報取得部と、前記位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量と、前記交通情報に含まれる信号機の点灯状況とに基づいて、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間にダウンロードが可能なコンテンツを選択し、前記管理サーバから選択したコンテンツをダウンロードするダウンロード部とを有する端末装置を提供する。
【0007】
前記コンテンツ情報が複数のコンテンツの情報を示す場合、前記ダウンロード部は、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量に基づいて、前記複数のコンテンツから、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間に一以上のコンテンツをダウンロードすべきコンテンツとして選択してもよい。
【0008】
前記ダウンロード部は、前記交通情報取得部が取得した前記交通情報に基づいて、前記車両の推定移動時間を特定し、前記位置情報が示す位置が前記特定エリアに含まれている間に、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量と、前記推定移動時間とに基づいて、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間にダウンロードが可能なコンテンツを選択してもよい。
【0009】
前記ダウンロード部は、前記交通情報が信号機の停止指示を示す情報を含み、かつ前記車両の移動速度が閾値以下になった場合、前記交通情報が示す信号機の停止指示の継続時間を前記推定移動時間として特定してもよい。
【0010】
前記コンテンツ情報には、コンテンツがダウンロードされる際の推定スループットの情報が含まれており、前記ダウンロード部は、前記複数のコンテンツのうち算出した前記推定移動時間及び前記推定スループットの乗算結果よりも容量が小さいコンテンツをダウンロードすべきコンテンツとして選択してもよい。
【0011】
前記特定エリアは、前記端末装置がハンドオーバーすることなく前記管理サーバとの通信を継続できるエリアであり、前記ダウンロード部は、前記車両が前記特定エリアに入った場合に前記推定移動時間を特定してもよい。
【0012】
前記コンテンツ情報は、コンテンツの優先度をさらに含み、前記ダウンロード部は、前記車両が前記特定エリアに滞在している間にダウンロードが可能な前記複数のコンテンツのうち、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量及び優先度に基づいて特定したコンテンツをダウンロードしてもよい。
【0013】
ダウンロード予定のコンテンツを示すコンテンツリストを生成するリスト生成部と、前記コンテンツリストを前記管理サーバに送信する通信部とを更に備え、前記コンテンツ情報取得部は、前記コンテンツリストに含まれているコンテンツの容量を示す前記コンテンツ情報を前記管理サーバから取得してもよい。
前記ダウンロード部は、前記コンテンツのダウンロードが完了した後に、ダウンロードにかかった時間をスループットの実績値の情報として前記管理サーバに送信してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、車両に搭載された端末装置に提供するコンテンツを記憶する管理記憶部と、前記端末装置から、前記端末装置の位置を示す位置情報と、前記車両が走行している道路に設けられている信号機の点灯状況を含む交通情報とを取得する管理取得部と、前記管理取得部が取得した前記位置情報に基づき、前記端末装置が予め定められた特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する管理判定部と、前記位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、コンテンツの容量と、前記交通情報に含まれる信号機の点灯状況とに基づいて、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間にダウンロードが可能なコンテンツを前記端末装置に提供するコンテンツ提供部とを備える、管理サーバを提供する。
【0015】
本発明の第3の態様においては、車両に搭載された端末装置と、管理サーバとを備える通信システムであって、前記端末装置は、前記端末装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報に基づき、前記端末装置が予め定められた特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する判定部と、前記管理サーバからダウンロード可能なコンテンツの容量を示すコンテンツ情報を前記管理サーバから受信するコンテンツ情報取得部と、前記車両が走行している道路に設けられている信号機の点灯状況を含む交通情報を取得する交通情報取得部と、前記位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、前記コンテンツ情報が示すコンテンツの容量と、前記交通情報に含まれる信号機の点灯状況とに基づいて、前記車両が前記特定エリアのエリア内に位置している間にダウンロードが可能なコンテンツを選択し、前記管理サーバから選択したコンテンツをダウンロードするダウンロード部とを有し、前記管理サーバは、前記端末装置からの要求に対応するコンテンツを提供するコンテンツ提供部を有する、通信システムを提供する。
【0016】
本発明の第4の態様においては、コンピュータにより実行されると、前記コンピュータを第1の態様の前記端末装置として機能させる、プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、移動中の車両に搭載された端末装置が、通信品質の劣化を低減させつつコンテンツをダウンロードできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る通信システム10の構成例を示す。
図2】本実施形態に係る端末装置200の構成例を示す。
図3】本実施形態に係る通信システム10の処理の流れを示すシーケンス図の一例を示す。
図4】本実施形態に係るリスト生成部250が生成するコンテンツリストの一例を示す。
図5】本実施形態に係るコンテンツ情報提供部122が提供するコンテンツ情報の一例を示す。
図6】本実施形態に係る通信システム10の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<通信システム10の構成例>
図1は、本実施形態に係る通信システム10の構成例を示す。通信システム10は、端末装置200にダウンロード可能なコンテンツの情報を供給して、端末装置200が特定エリアに位置している間にコンテンツを管理サーバ100からダウンロードさせるようにする。通信システム10は、ネットワーク20と、データベース30と、車両40と、管理サーバ100と、端末装置200とを備える。
【0020】
ネットワーク20は、管理サーバ100と端末装置200とを通信可能に接続する。また、ネットワーク20は、データベース30と接続されており、管理サーバ100及び端末装置200はデータベース30と通信可能で有ることが望ましい。ネットワーク20は、例えば、インターネットである。
【0021】
データベース30は、端末装置200が利用可能なコンテンツの情報を含むデータを蓄積している。データベース30は、管理サーバ100の要求に応じて、コンテンツの情報を提供する。データベース30は、例えば、サーバ、記憶装置等で構成されている。
【0022】
管理サーバ100は、端末装置200からの要求に応じて、種々の情報を端末装置200に送信する。管理サーバ100は、管理通信部110と、管理制御部120と、管理記憶部130とを備える。
【0023】
管理通信部110は、ネットワーク20に接続されており、データベース30、端末装置200等と通信する。管理通信部110は、ネットワーク20を介した通信を実行するための通信インターフェースとして機能する。
【0024】
管理制御部120は、管理サーバ100内の各部位を制御する。例えば、管理制御部120は、管理通信部110を制御して、端末装置200からの要求を受け取って、受け取った要求に対応する応答を端末装置200に送信する。管理制御部120は、CPU等である。管理制御部120は、コンテンツ情報提供部122とコンテンツ提供部124とを有する。
【0025】
コンテンツ情報提供部122は、端末装置200からの要求に応じたコンテンツ情報を端末装置200に提供する。コンテンツ情報は、管理サーバからダウンロード可能なコンテンツの容量を示す情報である。また、コンテンツ情報には、コンテンツがダウンロードされる際の推定スループットの情報が含まれていてもよい。コンテンツ情報は、1又は複数のコンテンツの情報を示す。
【0026】
コンテンツ提供部124は、端末装置200からの要求に応じてコンテンツ情報に対応するコンテンツを提供する。コンテンツ提供部124は、管理記憶部130又はデータベース30に格納されているコンテンツ情報に対応するコンテンツのデータを端末装置200に送信する。コンテンツは、動画、地図情報、広告等を表示させるためのデータ、アプリケーション及びゲーム等を実行させるためのプログラム、データ等である。
【0027】
管理記憶部130は、車両40に搭載された端末装置200に提供するコンテンツを記憶する。管理記憶部130は、コンテンツ情報、コンテンツのデータ、コンテンツがダウンロードされる際の推定スループットの情報等を記憶する。管理記憶部130は、管理サーバ100が動作の過程で生成する(又は利用する)中間データ、算出結果、閾値、基準値、及びパラメータ等をそれぞれ記憶してもよい。また、管理記憶部130は、管理サーバ100内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してもよい。
【0028】
管理記憶部130は、例えば、コンピュータが管理サーバ100として機能する場合、コンピュータを機能させるOS(Operating System)、及びプログラム等の情報を格納してもよい。また、管理記憶部130は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。例えば、CPUは、管理記憶部130に記憶されたプログラムを実行することによって、管理制御部120として機能する。
【0029】
管理記憶部130は、例えば、コンピュータ等のBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)、及び作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含む。また、管理記憶部130は、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置を含んでもよい。また、コンピュータは、GPU(Graphics Processing Unit)等を更に備えてもよい。
【0030】
端末装置200は、車両40に搭載されており、ネットワーク20を介して管理サーバ100と通信する。端末装置200は、ユーザの操作等に対応して、管理サーバ100からダウンロードした動画、地図情報、広告、アプリケーション、ゲーム等のコンテンツを表示部等に表示可能に構成されている。また、端末装置200は、車両40に設けられている制御装置等と通信して、車両40の速度等の情報が取得可能に構成されている。端末装置200は、例えば、スマートフォン、タブレットPC、小型PC等である。また、端末装置200は、車両40に搭載されている通信モジュール等でもよい。
【0031】
以上の端末装置200は、携帯電話網といった無線通信網にアクセスして、管理サーバ100と通信する。このような端末装置200を搭載した車両40が走行すると、端末装置200は、アクセス先の基地局を複数通過することがある。この場合、例えば、端末装置200は、1つの基地局との通信可能な範囲であるセル内から他の基地局のセル内へと移動することになるので、通信していた基地局から移動先の基地局へと接続を切り換えなければならない。このように、端末装置200が接続先の基地局を切り換える動作を、ハンドオーバーと呼ぶ。
【0032】
車両40が走行し、移動速度が速くなると、このようなハンドオーバーの発生回数は増加する。また、車両40内での利便性の向上のため、車両40内で利用可能なコンテンツの容量は増加する傾向にあるので、コンテンツのダウンロード時間は長くなり、移動速度がそれほど速くなくてもハンドオーバーの発生回数は増加する。
【0033】
このように、端末装置200が管理サーバ100からコンテンツをダウンロードしている間にこのようなハンドオーバーが発生する確率が大きくなると、瞬断、無駄なデータ転送等が発生して通信品質が劣化してしまうことがある。また、車両40の速度が速くなるほど、ドップラシフトが発生して通信品質が劣化してしまうことがある(フェージング)。さらに、車両40が走行すること、車両40の速度が速くなること等により、車両40及び基地局の間に遮蔽物が存在する確率が高くなり、通信品質が劣化してしまうこともある(シャドウイング)。
【0034】
このように通信品質が劣化すると、管理サーバ100及び端末装置200の間のデータ転送のスループットが低下してしまい、ユーザがコンテンツを適切に利用できなくなってしまうこと、通信インフラへの負荷を増加させてしまうことがあった。そこで、本実施形態に係る通信システム10は、移動中の車両40に搭載された端末装置200がコンテンツを受信する際に、通信品質が劣化することを簡便に低減できるようにする。このような通信システム10の端末装置200について次に説明する。
【0035】
<端末装置200の構成例>
図2は、本実施形態に係る端末装置200の構成例を示す。端末装置200は、通信部210と、入力部220と、制御部230と、記憶部280と、表示部290とを備える。
【0036】
通信部210は、ネットワーク20を介してデータベース30、管理サーバ100等と通信する。通信部210は、一例として、携帯電話網の基地局にアクセスするための無線通信コントローラ等を有する。この場合、通信部210は、基地局にアクセスすることによって、ネットワーク20と接続可能となり、ネットワーク20を介した通信の通信インターフェースとして機能する。
【0037】
入力部220は、ユーザが利用したいコンテンツの情報が入力される。入力部220は、例えば、ユーザの操作により、行き先までの順路を示す二次元又は三次元の地図情報、視聴したい音楽、映像、遊びたいゲーム、実行したいアプリケーション等のコンテンツが選択されて入力される。ユーザは、例えば、運転手、車両40に同乗している人等である。入力部220は、例えば、タッチパネル、コントローラ、マウス、キーボード等の入力デバイスである。入力部220がタッチパネルの場合、入力部220は、表示部290の一部であることが望ましい。
【0038】
制御部230は、端末装置200内の各部位を制御する。例えば、制御部230は、通信部210を制御して、管理サーバ100とデータを送受信する。また、制御部230は、入力部220を制御して、ユーザからの入力を取得する。制御部230は、記憶部280及び表示部290を制御して、管理サーバ100からダウンロードしたコンテンツのデータを記憶部280に記憶してもよく、表示部290に表示させてもよい。また、制御部230は、管理サーバ100からダウンロードしたコンテンツを実行させてもよい。制御部230は、CPU等である。制御部230は、取得部240と、リスト生成部250と、判定部260と、ダウンロード部270とを有する。
【0039】
取得部240は、制御部230が利用するデータを取得する。取得部240は、例えば、ユーザが入力部220を操作して選択したコンテンツを示す情報を取得する。取得部240は、コンテンツの名称、ID、ファイル名等を入力部220から取得する。また、取得部240は、速度情報取得部241、位置情報取得部242、コンテンツ情報取得部243、及び交通情報取得部244を含み、種々の情報を取得する。
【0040】
速度情報取得部241は、車両40に設けられている制御装置等から車両40の移動速度を示す速度情報を取得する。位置情報取得部242は、端末装置200の位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部242は、例えば、車両40に搭載されているGPS(Global Positioning System)受信器が受信した信号に基づく位置情報を車両40の制御装置等から取得する。なお、通信部210にGPS受信器が設けられている場合、位置情報取得部242は、GPS受信器が受信した信号に基づく位置情報を通信部210から取得してもよい。
【0041】
コンテンツ情報取得部243は、コンテンツ情報を管理サーバ100から受信する。交通情報取得部244は、車両40が走行している道路に設けられている信号機の点灯状況を含む交通情報を取得する。交通情報取得部244は、例えば、車両40に搭載されているITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)等の通信装置が受信した信号に基づく交通情報を車両40の制御装置等から取得する。
【0042】
リスト生成部250は、ダウンロード予定のコンテンツを示すコンテンツリストを生成する。リスト生成部250は、取得部240が入力部220から取得したコンテンツが複数存在する場合、複数のコンテンツを含むコンテンツリストを生成する。
【0043】
判定部260は、位置情報取得部242が取得した位置情報に基づき、端末装置200が予め定められた特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する。判定部260は、位置情報に基づき、端末装置200が特定エリアに入ったか否かを判定してもよい。ここで、特定エリアは、端末装置200がハンドオーバーすることなく管理サーバ100との通信を継続できるエリアである。
【0044】
特定エリアは、例えば、1つの基地局が端末装置200と通信可能な範囲と略同一のエリアである。1つの基地局が端末装置200と通信可能な範囲は、例えば、5G通信のセルであってもよく、MEC(Multi-access Edge Computing)で用いられているMECエリアであってもよい。
【0045】
特定エリアは、1つの基地局が端末装置200と通信可能な範囲よりも狭いエリアであることが望ましい。この場合、位置情報を用いて仮想的な地理的な境界線が予め設けられており、特定エリアは、このような境界線によって区分された仮想境界内のエリアである。このような特定エリアは、ジオフェンスと呼ばれる既知の技術であることから、ここではより詳細な説明は省略する。
【0046】
ダウンロード部270は、位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、速度情報が示す車両40の移動速度と、コンテンツ情報が示すコンテンツの容量との関係が所定の条件を満たす場合に、管理サーバ100からコンテンツ情報に対応するコンテンツをダウンロードする。ダウンロード部270は、車両40が特定エリア内に位置している間にコンテンツのダウンロードが完了できることが予測される場合、当該コンテンツをダウンロードする。ダウンロード部270のより詳細な動作については後述する。
【0047】
記憶部280は、ダウンロード部270がダウンロードしたコンテンツのデータを記憶する。これにより、制御部230は、記憶部280からコンテンツのデータを読み出して利用することができる。記憶部280は、端末装置200が動作の過程で生成する(又は利用する)中間データ、算出結果、閾値、基準値、及びパラメータ等をそれぞれ記憶してもよい。例えば、記憶部280は、特定エリアの情報、スループットの実績値等を記憶する。また、記憶部280は、端末装置200内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してもよい。
【0048】
記憶部280は、例えば、コンピュータが端末装置200として機能する場合、コンピュータを機能させるOS(Operating System)、及びプログラム等の情報を格納してもよい。また、記憶部280は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。例えば、CPUは、記憶部280に記憶されたプログラムを実行することによって、制御部230として機能する。
【0049】
記憶部280は、例えば、コンピュータ等のBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)、及び作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含む。また、記憶部280は、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置を含んでもよい。また、コンピュータは、GPU(Graphics Processing Unit)等を更に備えてもよい。
【0050】
表示部290は、入力部220の入力操作を補助する画像、端末装置200がアプリケーション等を実行した場合の実行結果、映像等のコンテンツ等を表示する。表示部290は、端末装置200と一体のディスプレイでよく、これに代えて、端末装置200とは別個のディスプレイであってもよい。表示部290は、車両40の車内に設置されているディスプレイであってもよい。
【0051】
以上の端末装置200は、ハンドオーバーすることなく管理サーバ100と通信を継続できる特定エリア内に端末装置200が位置している間の時間を予想し、予想した時間以内でコンテンツをダウンロードできそうな場合、当該コンテンツをダウンロードする。これにより、端末装置200は、端末装置がコンテンツを受信する際に、ハンドオーバーが発生する確率を低減できるので、管理サーバ100との間の通信品質が劣化することを低減できる。以上の通信システム10の動作について次に説明する。
【0052】
<通信システム10のシーケンス図の一例>
図3は、本実施形態に係る通信システム10の処理の流れを示すシーケンス図の一例を示す。図3に示すシーケンス図は、車両40に乗車しているユーザが車内で利用したいコンテンツを選択して端末装置200に入力して、当該コンテンツを管理サーバ100からダウンロードして利用する例を示す。
【0053】
まず、取得部240は、ユーザが利用したいコンテンツの情報を取得する(S51)。取得部240は、入力部220に入力されたコンテンツの情報を取得する。本実施例において、ユーザが複数のコンテンツの名前を選択して入力部220に入力し、取得部240は、複数のコンテンツの情報を取得する例を説明する。取得部240が取得した複数のコンテンツの情報は、ダウンロード予定のコンテンツとなる。
【0054】
次に、速度情報取得部241は車両40から車両40の移動速度を示す速度情報を取得し、位置情報取得部242は車両40から端末装置200の位置を示す位置情報を取得する(S52)。
【0055】
次に、判定部260は、位置情報取得部242が取得した位置情報に基づき、端末装置200が予め定められた特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する(S53)。判定部260は、例えば、端末装置200の位置と記憶部280に記憶されている特定エリアの情報と照合して、端末装置200が特定エリア内に位置したか、端末装置200が特定エリア内に入ったか等を判定する。
【0056】
端末装置200は、端末装置200が特定エリアのエリア外に位置する場合(S53:No)、S52に戻って、速度情報及び位置情報を取得する。ここで、速度情報取得部241及び位置情報取得部242は、予め定められた時間が経過してから、速度情報及び位置情報を取得してもよい。予め定められた時間は、一例として、1秒程度である。なお、取得部240は、端末装置200が特定エリアのエリア外に位置している間、ユーザが入力部220に入力したコンテンツの情報を取得する動作を継続してもよい。
【0057】
端末装置200が特定エリアのエリア内に位置する場合(S53:Yes)、リスト生成部250は、取得部240が取得したダウンロード予定のコンテンツを示すコンテンツリストを生成する(S54)。コンテンツリストには、例えば、コンテンツの種類、ID、コンテンツ名等の情報が含まれている。
【0058】
次に、通信部210は、リスト生成部250が生成したコンテンツリストを管理サーバ100に送信する(S55)。言い換えると、端末装置200は、コンテンツリストを管理サーバ100に送信することで、コンテンツリストが示すコンテンツに対応するコンテンツ情報の返信を管理サーバ100に要求する。
【0059】
管理サーバ100の管理通信部110は、端末装置200から送信されたコンテンツリストを受信する。そして、コンテンツ情報提供部122は、コンテンツリストに含まれているコンテンツの容量を、管理記憶部130、データベース30等を検索して取得する。コンテンツ情報提供部122は、取得したコンテンツの容量をコンテンツリストに加えた情報をコンテンツ情報として、端末装置200に送信する(S56)。なお、コンテンツ情報提供部122は、コンテンツがダウンロードされる際の推定スループットの情報をコンテンツ情報に含めてもよい。
【0060】
これにより、端末装置200の通信部210はコンテンツリストに含まれているコンテンツの容量を示すコンテンツ情報を受信し、コンテンツ情報取得部243は当該コンテンツ情報を管理サーバ100から取得する。そして、ダウンロード部270は、車両40の移動速度と、コンテンツ情報が示すコンテンツの容量とに基づいて、複数のコンテンツから、車両40が特定エリアのエリア内に位置している間に一以上のコンテンツをダウンロードすべきコンテンツとして選択する(S57)。
【0061】
例えば、ダウンロード部270は、複数のコンテンツのうち推定移動時間及び推定スループットの乗算結果よりも容量が小さいコンテンツをダウンロードすべきコンテンツとして選択する。ここで、ダウンロード部270は、速度情報取得部241が取得した移動速度で車両40が移動した場合に車両40が特定エリアの外に移動するまでの時間を推定移動時間として算出する。なお、ダウンロード部270は、車両40が特定エリアに位置すること、又は入ったことが判定された場合に、推定移動時間を算出することが望ましい。
【0062】
ここで、コンテンツ情報取得部243が取得したコンテンツ情報に推定スループットの情報が含まれている場合、ダウンロード部270は、当該推定スループットの値を用いてよい。これに代えて、ダウンロード部270は、記憶部280が記憶している過去のスループットの実績、当該特定エリアにおけるスループットの予測値等を推定スループットとして用いてもよい。
【0063】
ダウンロード部270は、推定移動時間及び推定スループットの乗算結果よりも容量が小さいコンテンツが複数存在する場合、乗算結果よりも容量が小さい複数のコンテンツのうち、最も容量が大きいコンテンツをダウンロードすべきコンテンツとして選択する。また、ダウンロード部270は、乗算結果よりも容量が小さい複数のコンテンツのうち、容量が大きい順にコンテンツを選択し、選択したコンテンツの容量の合計値が乗算結果よりも大きくならない範囲で複数のコンテンツをダウンロードすべきコンテンツとして選択してもよい。これに代えて、ダウンロード部270は、複数のコンテンツの組み合わせのうち、選択したコンテンツの容量の合計値が乗算結果未満であり、かつ、最も乗算結果に近くなる組み合わせのコンテンツをダウンロードすべきコンテンツとして選択してもよい。
【0064】
次に、ダウンロード部270は、選択したコンテンツの情報を管理サーバ100に送信して、コンテンツのダウンロードを要求する(S58)。ダウンロード部270は、コンテンツのID、コンテンツ名等を示す情報を管理サーバ100に送信する。管理サーバ100のコンテンツ提供部124は、端末装置200からのダウンロードの要求に応じて、要求されたコンテンツのデータを端末装置200に送信する(S59)。ダウンロード部270は、このようにダウンロードしたコンテンツのデータを記憶部280に記憶する。これにより、制御部230は、ユーザが入力したコンテンツを車両40内で実行すること等ができる。
【0065】
また、ダウンロード部270は、コンテンツのダウンロードが完了した後に、ダウンロードにかかった時間をスループットの実績値の情報として管理サーバ100に送信する(S60)。管理制御部120は、受け取ったスループットの実績値の情報を、管理記憶部130に記憶する。管理制御部120は、スループットの実績値の情報を上書きして更新してもよく、これに代えて、過去のスループットの実績値との平均値、過去のスループットの実績値に重みをつけた値等を算出してから更新してもよい。
【0066】
以上のように、本実施形態に係る通信システム10は、車両40が特定エリア内を移動する時間を推定移動時間として算出し、推定移動時間の間にダウンロード可能と予測されるコンテンツを選択してダウンロードする。これにより、通信システム10は、車両40が停止又は低速で走行して1つの特定エリア内に位置している間に、端末装置200がコンテンツのダウンロードを完了できる確率を高めることができる。したがって、通信システム10は、移動中の車両に搭載された端末装置200が、通信品質の劣化を低減させつつコンテンツをダウンロードすることができる。
【0067】
なお、図3に示すシーケンス図において、ユーザが複数のコンテンツを入力部220に入力する例を説明したが、これに限定されることはない。例えば、ユーザは1つのコンテンツを入力してもよい。この場合、ダウンロード部270は、S57における複数のコンテンツの中からダウンロードすべきコンテンツを選択する動作を省略する。
【0068】
また、端末装置200が管理サーバ100からダウンロードするコンテンツは、ユーザが利用するコンテンツに限定されることはない。端末装置200は、通信システム10、車両40、車両40に搭載されたデバイス等を動作させるプログラムのアップグレード等により、プログラム、データ等をダウンロードしてもよい。この場合、リスト生成部250は、制御部230によるシステム管理、アプリケーションの実行等に伴って必要になったコンテンツをコンテンツリストに追加する。
【0069】
これに加えて、管理サーバ100からダウンロードすべきコンテンツが追加されてもよい。例えば、管理サーバ100は、広告、道路情報、天候情報、プログラムのアップグレード等によるプログラム、データ等を端末装置200にダウンロードさせてもよい。この場合、管理サーバ100のコンテンツ情報提供部122が、ダウンロードすべきコンテンツとコンテンツの容量の情報をコンテンツリストに追加し、コンテンツ情報として端末装置200に送信する。
【0070】
<コンテンツリストの一例>
図4は、本実施形態に係るリスト生成部250が生成するコンテンツリストの一例を示す。図4は、リスト生成部250がコンテンツのID、グループ、コンテンツ名、更新日、優先度を含むテーブルとしてコンテンツリストを生成した例を示す。ここで、コンテンツのグループは、車両40から管理サーバ100に要求するコンテンツを「Pull」グループとし、管理サーバ100から車両40に提供するコンテンツを「Push」グループとした例を示す。
【0071】
また、図4は、コンテンツリストに優先度が含まれている例を示す。例えば、通信システム10及び車両40の動作に関連するコンテンツはより重要と考えられる。そこで、リスト生成部250は、このようなコンテンツの優先度をより高く設定する。また、リスト生成部250は、車両40のドライバに提供する道路状況、天候等に関するコンテンツの優先度を、次に高い優先度を設定してもよい。リスト生成部250は、映像、音楽、ゲーム等の娯楽に関するコンテンツの優先度を低く設定してもよい。
【0072】
<コンテンツ情報の一例>
図5は、本実施形態に係るコンテンツ情報提供部122が提供するコンテンツ情報の一例を示す。図5は、図4に示すコンテンツリストを受け取ったコンテンツ情報提供部122が端末装置200に送信するコンテンツ情報の一例を示す。本例において、コンテンツ情報提供部122は、図4に示すコンテンツリストにコンテンツの容量を追加したテーブルをコンテンツ情報としている。また、図4は、コンテンツ名が「地域店舗広告」のコンテンツを管理サーバ100からダウンロードすべきコンテンツとしてコンテンツ情報提供部122がコンテンツリストに追加している例を示す。
【0073】
ダウンロード部270は、上述のように、このようなコンテンツ情報に基づき、ダウンロードすべきコンテンツを選択する。ダウンロード部270は、例えば、推定移動時間及び推定スループットの乗算結果が3Mバイトを超える場合、ID番号「1」のコンテンツを選択してダウンロードする。ダウンロード部270は、推定移動時間及び推定スループットの乗算結果が4Mバイトを超える場合、ID番号「1」及び「3」のコンテンツを選択してダウンロードしてもよい。また、ダウンロード部270は、推定移動時間及び推定スループットの乗算結果が4.5Mバイトを超える場合、ID番号「1」から「3」のコンテンツを選択してダウンロードしてもよい。
【0074】
なお、図5に示すように、コンテンツ情報がコンテンツの優先度を含む場合、ダウンロード部270は、車両40が特定エリアに滞在している間にダウンロードが可能な複数のコンテンツのうち、コンテンツの容量及び優先度に基づいて特定したコンテンツをダウンロードしてもよい。ダウンロード部270は、例えば、推定移動時間及び推定スループットの乗算結果よりも小さい容量のコンテンツのうち、最も優先度の高いコンテンツを特定してダウンロードする。
【0075】
ダウンロード部270は、例えば、推定移動時間及び推定スループットの乗算結果が3Mバイトを超えていても、ID番号「2」のコンテンツを選択してダウンロードする。また、ダウンロード部270は、推定移動時間及び推定スループットの乗算結果が4Mバイトを超える場合、ID番号「1」及び「2」のコンテンツを選択してダウンロードする。これにより、端末装置200は、容量が少ないコンテンツであっても優先順位の高いコンテンツを先にダウンロードして、より重要なコンテンツをより早く利用することができる。
【0076】
以上の本実施形態に係る端末装置200において、ダウンロード部270は、車両40が特定エリアの外に移動するまでの推定移動時間を車両40の移動速度から算出する例を説明したが、これに限定されることはない。図2で説明したように、取得部240が交通情報取得部244を有し、交通情報取得部244が信号機の点灯状況を含む交通情報を取得した場合、ダウンロード部270は、当該交通情報に基づいて、車両40の推定移動時間を特定してもよい。
【0077】
ダウンロード部270は、例えば、交通情報が信号機の停止指示を示す情報を含み、かつ車両40の移動速度が閾値以下になった場合、交通情報が示す信号機の停止指示の継続時間を推定移動時間として用いる。車両40は、信号機が赤の場合に停止し、信号機が青になるまでは停止状態を継続させるので、交通情報の信号機の状態を取得することにより、車両40が停止状態を継続させる時間をより正確に予測することができる。
【0078】
以上の本実施形態に係る端末装置200において、ダウンロード部270は、推定スループットを用いてダウンロードすべきコンテンツを選択する例を説明した。ここで、推定スループットの値は、特定エリアごとに定められていてもよい。例えば、推定スループットの値は、車両40の通信装置の対応バンド、アンテナ数、対応通信世代等の性能、特定エリアの位置、通信時間、コンテンツを記憶しているサーバごとに、統計的に解析した統計値であることが望ましい。また、端末装置200が実際にダウンロードした結果から、ダウンロード時間、未完了サイズ等の情報を抽出して統計値に重み付け加算してもよい。
【0079】
以上の本実施形態に係る端末装置200において、ダウンロード部270は、位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、車両40の移動速度とコンテンツの容量との関係が所定の条件を満たす場合、管理サーバ100からコンテンツをダウンロードする例を説明した。しかしながら、このようにダウンロード部270がコンテンツのダウンロードを開始した後に、道路の交通状況等が変化して、車両40が高速に移動してしまうことがある。
【0080】
そこで、ダウンロード部270は、コンテンツのダウンロード中に車両40の移動速度が閾値を超えた場合、又は、車両40の加速度が閾値を超えた場合、コンテンツのダウンロードを中断してもよい。これにより、端末装置200は、データ転送のスループットが低下した場合にダウンロードを継続させて、通信インフラへの負荷を増加させてしまうことを低減できる。
【0081】
以上の本実施形態に係る通信システム10は、端末装置200が車両40の移動速度とコンテンツ情報が示すコンテンツの容量とに基づいて、コンテンツをダウンロードする例を説明したが、これに限定されることはない。これに代えて、又は、これに加えて、管理サーバ100が、端末装置200にコンテンツを提供するか否かを判断してもよい。このような通信システム10について次に説明する。
【0082】
<通信システム10の変形例>
図6は、本実施形態に係る通信システム10の変形例を示す。本変形例の通信システム10において、図1に示された本実施形態に係る通信システム10の動作と、図2に示された本実施形態に係る端末装置200の動作と略同一のものには同一の符号を付け、重複する説明を省略する。本変形例の管理サーバ100は、管理取得部126と、管理判定部128とを更に備える。
【0083】
管理取得部126は、端末装置200から、車両40の移動速度を示す速度情報と端末装置200の位置を示す位置情報とを取得する。言い換えると、管理取得部126は、図2で説明した端末装置200の速度情報取得部241及び位置情報取得部242と同様に動作する。管理取得部126は、端末装置200から交通情報を取得する交通情報取得部として動作してもよい。
【0084】
管理判定部128は、管理取得部126が取得した位置情報に基づき、端末装置200が予め定められた特定エリアのエリア内に位置しているか否かを判定する。言い換えると、管理判定部128は、図2で説明した端末装置200の判定部260と同様に動作する。したがって、本変形例の端末装置200には、判定部260が無くてもよい。
【0085】
そして、本変形例のコンテンツ提供部124は、位置情報が示す位置が予め定められた特定エリアに含まれている間に、速度情報が示す車両40の移動速度と、コンテンツの容量との関係が所定の条件を満たす場合、コンテンツを端末装置200に提供する。言い換えると、コンテンツ提供部124は、図2で説明した端末装置200のダウンロード部270と同様に動作する。したがって、本変形例の端末装置200のダウンロード部270は、コンテンツ提供部124によるコンテンツの提供に応じて、コンテンツをダウンロードする。
【0086】
以上の変形例の通信システム10は、管理サーバ100が位置情報、速度情報、及びコンテンツの容量に基づいて、コンテンツを端末装置200に提供するか否かを判断する。管理サーバ100は、更に交通情報を用いて、コンテンツを端末装置200に提供するか否かを判断してもよい。このような変形例の通信システム10においても、図1から図3で説明した通信システム10と同様に、移動中の車両40に搭載された端末装置200が、通信品質の劣化を低減させつつコンテンツをダウンロードすることができる。
【0087】
なお、図6に示す通信システム10は、図2で説明した端末装置200を備えてもよい。言い換えると、通信システム10は、管理サーバ100がコンテンツを端末装置200に提供してもよく、これに加えて、端末装置200がコンテンツをダウンロードしてもよい。この場合、通信システム10は、コンテンツの種類、又はコンテンツのグループに応じて、管理サーバ100がコンテンツを提供するか端末装置200がコンテンツをダウンロードするかを特定してもよい。
【0088】
例えば、管理サーバ100が取り扱う通信システム10に関するアプリケーション、プログラム、データ、広告等のコンテンツは管理サーバ100が提供し、車両40の制御装置及び端末装置200が取り扱うコンテンツは端末装置200がダウンロードする。また、「Push」グループのコンテンツは管理サーバ100が提供し、「Pull」グループのコンテンツは端末装置200がダウンロードしてもよい。これに代えて、管理サーバ100が取り扱うアプリケーションで「Push」グループのコンテンツは管理サーバ100が提供し、その他のコンテンツは端末装置200がダウンロードしてもよい。
【0089】
コンテンツは、一般的に、管理サーバ100及び端末装置200のいずれか一方が管理又は処理している。したがって、コンテンツの種類、又はコンテンツのグループに応じて、管理サーバ100が提供するか端末装置200がダウンロードするかを切り換えることで、ダウンロードすべきコンテンツをより適切に抽出して指示することができる。
【0090】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0091】
10 通信システム
20 ネットワーク
30 データベース
40 車両
100 管理サーバ
110 管理通信部
120 管理制御部
122 コンテンツ情報提供部
124 コンテンツ提供部
126 管理取得部
128 管理判定部
130 管理記憶部
200 端末装置
210 通信部
220 入力部
230 制御部
240 取得部
241 速度情報取得部
242 位置情報取得部
243 コンテンツ情報取得部
244 交通情報取得部
250 リスト生成部
260 判定部
270 ダウンロード部
280 記憶部
290 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6