(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015352
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】脱臭消臭剤
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20220114BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20220114BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20220114BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20220114BHJP
C08F 226/02 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A61L9/01 K
A61L9/014
B01J20/26 A
A61L9/16 Z
C08F226/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118123
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000142148
【氏名又は名称】ハイモ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】臨 護
(72)【発明者】
【氏名】本多 剛
【テーマコード(参考)】
4C180
4G066
4J100
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB03
4C180BB04
4C180BB06
4C180BB08
4C180BB11
4C180BB12
4C180BB13
4C180BB14
4C180BB15
4C180CC04
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4C180CC17
4C180EA14X
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4C180EB22X
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4C180EC01
4G066AC12B
4G066AC33B
4G066AC35B
4G066BA03
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA36
4G066CA02
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4J100AB16R
4J100AM02Q
4J100AN04P
4J100BA13P
4J100CA05
4J100JA15
4J100JA57
(57)【要約】
【課題】
脱臭消臭剤として使用直後には効果があるが、すぐに消失し長く効果が持続しない、或いはそこそこ効果は持続するが脱臭効果が低いなどの課題を解決すること。
【解決手段】
ポリビニルアミン架橋重合体粒子が極めて迅速にかつ効率良く脱臭消臭できる。本発明におけるポリビニルアミン架橋重合体粒子は固形タイプの製品であり、液体やゲルタイプの製品に比べて取り扱いやすい。又、ポリビニルアミン架橋重合体粒子がメッシュ状部材に担持された臭気成分吸着フィルターも有効である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアミン架橋重合体粒子を含有することを特徴とする脱臭消臭剤。
【請求項2】
請求項1記載の脱臭消臭剤がメッシュ状部材に担持された吸着フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の悪臭に対する脱臭消臭剤に関する。詳しくは有機酸ガスやアルデヒド類ガス、低級脂肪酸ガス等を含む家庭内や生活空間での不快な生活臭に対する脱臭消臭剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住環境の質向上に伴い、家屋の気密性が高くなっているが、それは一方で臭いがこもり易くなることにつながり、それらの臭いに対しより敏感に反応しやすくなる。家庭内においては、例えばタバコ臭、加齢臭,体臭、ペット臭、トイレ臭、生ごみ臭、加熱調理臭、足・靴臭、家具臭、内装資材からの臭い等が挙げられ、より快適な住環境とするための大きな問題となっている。そのため解決手段の一つである脱臭消臭剤に関しても、より高度な性能が求められている。
従来、悪臭を低減する方法としては芳香剤により不快臭をマスキングする方法(特許文献1等)、活性炭・ゼオライトなどの多孔質性物質を用いて臭いを物理的に吸着低減する方法(特許文献2等)、発生させたオゾンにより臭いを酸化除去する方法、化学的に臭い物質と反応させ除去する方法、生物を利用して臭い物質を分解し無臭化する方法等が知られており、様々なタイプが商品化されている。
不快な臭いは多岐に渡っており、原因物質も有機酸、アルデヒド類、含硫黄有機物、アミン類、エステル類、アルコール類等が知られている。悪臭はこれらが単独あるいは複合化した多成分からなる複合臭として様々な化学的・物理的性質を有している。
これらの臭いに対して万能でかつ即効で効く脱臭消臭剤はほとんどなく、特定の臭い成分に対して有効な脱臭消臭剤等が用途に応じて単独あるいは組み合わされて使用されているのが実状である。
【0003】
【特許文献1】昭61-196961号公報
【特許文献2】特開平05-103823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多種多様な不快な原因物質の中で、有機酸やアルデヒドはタバコ臭(アンモニア、イソ吉草酸、アセトアルデヒド)、汗臭(低級脂肪酸)、皮脂臭(脂肪族アルデヒド)、靴・足臭(酢酸、n-吉草酸、イソ吉草酸)、加齢臭(2-ノネナール)等に広く含まれている。硫黄系化合物(硫化水素、メチルメルカプタンなど)はトイレ臭、生ごみ臭や調理臭等に含まれている。
これらに対する脱臭消臭剤としては多孔性物質(活性炭やゼオライトなど)を使った物理的手法、酸やアルデヒドに対して反応性の置換基(塩基性のアミンなど)を持った物質を使った化学的手法によるものが多用されている。しかし、それぞれ一長一短があり、例えば使用直後には効果があるが、すぐに消失し長く効果が持続しない、或いはそこそこ効果は持続するが脱臭効果が低いという課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明においては、前記のような状況に鑑み、特に有機酸やアルデヒド類、硫黄系化合物等に対する脱臭剤に関して鋭意検討した結果、ポリビニルアミン架橋重合体粒子が極めて迅速にかつ効率良く脱臭消臭できることを見出し、本発明に至った。以下、本発明を詳細に説明する。
【発明の効果】
【0006】
本発明におけるポリビニルアミン架橋重合体粒子を含有する脱臭消臭剤は、固形タイプの製品であり、液体やゲルタイプの製品に比べて取り扱いやすく、多種類の臭気成分に対して極めて迅速にかつ効率良く脱臭消臭することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明におけるポリビニルアミン架橋重合体粒子を含有する脱臭消臭剤は臭気成分を放出する物品を取り囲む環境又は空間から、それら臭気成分を脱臭消臭するために使用される。臭気成分としては、例えば、アンモニア、アミン類(トリメチルアミン等)等の窒素系化合物、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルフィド等の硫黄系化合物、酢酸、イソ吉草酸、カプロン酸等の低級脂肪酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ヘキサナール、オクタナール、ノナナール、ノネナール等のアルデヒド類等、多種類が挙げられる。
本脱臭消臭剤は、例えば特定の応用に応じて、種々の形態で使用することが可能である。トレーの中でばらばらに分散させておくこともできるし、あるいは、臭気成分を放出する環境の中におかれた気体透過性の容器又はカートリッジに入れておくこともできる。
又、例えば除湿用包装製品に通常入っているシリカゲルや酸化カルシウムの包装に用いられるようなタイプの紙の小袋中に入れて用いることもできる。
更に例えば合成繊維或いは天然物繊維から成る不織布シート、紙、金属、プラスチック、スポンジ等から作られたメッシュ状部材に担持(保持)させる事により、臭気成分の吸着フィルターとして用いる事もできる。特に本脱臭消臭剤がメッシュ状部材に担持された吸着フィルターが有効である。担持させる方法としては特に制限なく、例えば結着剤によりコーティングする方法、複数枚のシート間にサンドイッチして担持させる方法等が挙げられる。
【0008】
本脱臭消臭剤は単独で使用できるのみならず、他の脱臭消臭剤、例えば活性炭、酸化チタン、ゼオライト、ケイ酸塩等の無機系脱臭消臭剤、例えば茶殻や緑茶抽出物などの天然物系脱臭消臭剤、例えばリン酸等の有機系脱臭消臭剤と任意の割合で併用して使用することができる。
【0009】
使用場所としてはリビング、キッチン、玄関、トイレ、浴室、洗面所等の家庭居住空間が挙げられるが特に制限なく、例えば事務所オフィスや車室、施設・工場内等、前記臭気成分が発生感知される場所であればいずれにおいても使用できる。
【0010】
以下、本発明におけるポリビニルアミン架橋重合体粒子の製造方法について説明する。
【0011】
本発明におけるポリビニルアミン架橋重合体粒子の製造の手法としては、先ず一般的に使用される懸濁重合を適用する。即ち、N-ビニルカルボン酸アミド、ポリビニル化合物、必要に応じてN-ビニルカルボン酸アミドと共重合が可能なモノマー、特定の有機溶媒、重合開始剤、カチオン性高分子分散剤を塩水中で懸濁させ、任意の強度で撹拌することによりモノマー液滴を発生させ、ラジカル重合することにより製造することができる。モノマー液滴の粒径は分散剤、撹拌強度で制御されるが、0.01mm~10mm、好ましくは0.1mm~5mmである。
【0012】
本発明で使用するN-ビニルカルボン酸アミドのモノマーの例としては、N-ビニルホルムアミド、N-メチル-N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、N-ビニルプロピオンアミド、N-メチル-N-ビニルプロピオンアミド、N-ビニルブチルアミド、N-ビニルイソブチルアミド等が挙げられ、好ましくはN-ビニルホルムアミドである。N-ビニルカルボン酸アミドのモノマー以外にN-ビニルカルボン酸アミドと共重合が可能なモノマーを使用しても良く、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N′-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N′-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、(メタ)アクリロイルオキシアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、N-ビニルピロリドン、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられ、これらの中の1種使用しても良く、2種以上を組み合わせても良い。特にアクリロニトリルが好ましい。
【0013】
ポリビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族ポリビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等を用いることもできる。芳香族ジビニル化合物を用いるのが好ましい。最も好ましいのはジビニルベンゼンである。添加率はモノマーに対して0.1~50質量%の範囲であり、0.1~20質量%の範囲が好ましい。5質量%を越えるとN-ビニルカルボン酸アミドのみでは球状粒子が得られ難くなるので、N-ビニルカルボン酸アミドと共重合が可能なモノマーを使用した方が好ましい。共重合が可能なモノマーの添加率は、全モノマーに対して50質量%以下の範囲で使用する。特にアクリロニトリルを使用するのが好ましい。
【0014】
重合開始剤としてはアゾ系やパーオキサイド系の重合開始剤、例えば2、2’-アゾビス(2、4-ジメチルバレロニトリル)、2、2’-アゾビス(4-メトキシ-2、4-ジメチルバレロニトリル)、2、2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2、2’-アゾビス-2-アミジノプロパン塩酸塩、4、4’-アゾビス-4-シアノバレリン酸、2、2’-アゾビス[2-(5-メチル-イミダゾリン-2-イル)プロパン]塩酸塩、2、2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]塩酸塩等、ペルオキソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。これらの中で、2、2’-アゾビス(2、4-ジメチルバレロニトリル)、2、2’-アゾビス(4-メトキシ-2、4-ジメチルバレロニトリル)等の油溶性開始剤が好ましい。又、開始剤二種以上を併用しても差し支えない。添加率はモノマーに対し通常0.02~5質量%、好ましくは0.05~2質量%である。
【0015】
カチオン性高分子分散剤としては、カチオン性モノマーである(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、ジメチルジアリルアンモニウム塩化物などを重合したものであるが、これらカチオン性モノマーと非イオン性モノマーとの共重合体も使用可能である。非イオン性モノマーの例としては、アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、N、N’-ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。カチオン性高分子分散剤の重量平均分子量としては、5000~200万、好ましくは5万~100万である。添加率は水に対し通常0.05~5質量%、好ましくは0.1~2質量%である。
【0016】
塩としては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等が挙げられ、これらのうちでは、硫酸アンモニウムが特に好ましい。又、これらのものを単独で用いても、混合して用いてもよい。添加率は水に対し30~100質量%の範囲であり、30質量%より少ないとN-ビニルカルボン酸アミドが二相に分離が不十分であり、100質量%で塩による効果が十分得られており、100質量%を越えて添加しても不経済である。好ましくは50~90質量%であり、更に好ましくは60~90質量%である。
【0017】
本発明におけるポリビニルアミン架橋重合体粒子は、臭気成分との接触面積をできるだけ高めるため、後述する多孔質構造を持たせることが好ましい。
多孔質構造を有するポリビニルカルボン酸アミド架橋重合体粒子を得るために使用する有機溶媒としては,1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類の他、ブトキシエタノール、エトキシエタノール等の極性基を有する有機溶媒が使用可能である。これらの有機溶媒はある程度水に溶解するが、高濃度の塩を使用することにより、モノマー相に分配させることが可能である。これらの有機溶媒の添加量としては、全モノマーに対し5~200質量%、好ましくは10~100質量%である。
【0018】
重合反応は、通常、温度30℃~100℃、時間は1時間~15時間で行う。
重合後、水洗により塩、カチオン性高分子分散剤、有機溶媒、未反応モノマー等を除去することができる。又、残留する有機溶媒は留去等により除去することも可能である。
【0019】
前記製造方法によりポリビニルカルボン酸アミド架橋重合体粒子が得られる。その後、加水分解する事によりポリビニルアミン架橋重合体粒子を得ることができる。加水分解は、塩基性、酸性条件下いずれでも行うことができる。
【0020】
加水分解のために適当な塩基としては、加水分解の際にpHを8~14の範囲とすることができれば制限はなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアの水溶液を用いることが最も好ましい。添加率は、ポリマーのホルミル基に対し0.05~2.0、更に好ましくは0.4~1.2当量の範囲で加えることが好ましい。
【0021】
加水分解のために適当な酸としては、加水分解の際にpHを0~5の範囲とすることができれば制限はなく、ハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸といった無機酸、炭素数1~5の範囲のモノおよびジカルボン酸、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸といった有機酸が例示でき、特にハロゲン化水素酸およびハロゲン化水素のガスを用いることが好ましく、ハロゲン化水素酸を用いることが最も好ましい。添加率は、ポリマーのホルミル基に対し0.05~2.0、更に好ましくは0.4~1.2当量の範囲で加えることが好ましい。
【0022】
加水分解後、水等により洗浄することにより、ポリビニルアミン架橋重合体粒子を得ることができる。
【0023】
本発明におけるポリビニルアミン架橋重合体粒子は、粒径10μm~2mmの範囲の球状粒子である。多孔質構造の指標としては比表面積による。本発明においては、比表面積が1.0m2/g以上であるならば、多孔質構造を有していると言える。多孔質構造を有さない架橋重合体粒子は0m2/gあるいは0m2/gに近い値である。比表面積は、BET法で求めることができる。例えば、架橋重合体球状粒子を真空乾燥後、Quantachrome ChemBET3000(カンタクローム社製)を用い、窒素30%+ヘリウムを使用し、BET1点法で求めることができる。
【実施例0024】
以下に本発明におけるポリビニルアミン架橋重合体粒子の製造例及び脱臭消臭剤としての効果について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
(製造例1)
500mLの4つ口フラスコに脱塩水147.1g、硫酸アンモニウム96.5g、ポリアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物水溶液(ポリマー濃度20質量%、重量平均分子量80万)3.1gを投入し、撹拌し、溶解させ、重合浴とした。N-ビニルホルムアミド49.9g、ジビニルベンゼン4.2g、アクリロニトリル6.0g、1-プロパノール24.1g、アゾ系重合開始剤2、2’-アゾビス(4-メトキシ-2、4-ジメチルバレロニトリル)(V-70、和光純薬工業(株)製)0.18gを混合し、モノマー溶液とした。モノマー溶液と重合浴を混合、窒素でフラスコ内を置換しながら275rpmで撹拌した。30分後昇温し、50℃で3時間、続いて60℃で1時間重合した。重合後濾過、水洗し、濾過し、含水状態の凝集物のない重合体球状粒子204.1gを得た。
【0026】
この様にして得られた反応生成物23.5gを4口フラスコに入れ、48質量%水酸化ナトリウム水溶液23.40gを加え、撹拌しながら80℃で5時間加水分解した。水洗、濾過し、含水状態のポリビニルアミン球状粒子19.7gを得た。顕微鏡観察の結果、50μm~1mmの球状粒子が観察された。真空乾燥後、白色球状粒子の比表面積を測定した結果、14m2/gであり多孔質構造を有していた。このようにして得られたポリビニルアミン架橋重合体粒子をサンプルAとする。
【0027】
(実施例1)
臭気用サンプリングバッグ[容量5L、テドラーバッグ(アズワン株式会社製)]に製造例1で作成したサンプルAを入れたものを「試験測定」、試験品を入れていないものを「ブランク」とした。約50ppmの濃度に調製したホルムアルデヒドガスをバッグに1.5L充填し、15分、30分、60分静置後に検知管式気体採取器GV-100[株式会社ガステック製]にて採取し、ホルムアルデヒド濃度を測定した。各試料3回測定し、その平均値を表1に示す。
【0028】
(表1)
減少率(%)=(ブランクの濃度-試験測定の濃度)/ブランクの濃度
【0029】
(実施例2)
実施例1において、ホルムアルデヒドをアセトアルデヒドに変更した以外はすべて実施例1と同様に行い、その試験結果を表2に示す。
【0030】
【0031】
(実施例3)
実施例1において、ホルムアルデヒドの代わりに硫化水素に変更し、約4ppmに濃度調整したこと、および静置時間を30分、60分、120分としたこと以外はすべて実施例1と同様に行い、その試験結果を表3に示す。
【0032】
【0033】
(実施例4)
実施例3において、硫化水素を酢酸に変更し、約20ppmに濃度調整したこと以外はすべて実施例3と同様に行い、その試験結果を表4に示す。
【0034】
【0035】
(実施例5)
臭気用サンプリングバッグ[容量2L、テドラーバッグ、アズワン株式会社製]に製造例1で作成したサンプルAを入れたものを「試験測定」、何も入れていないものを「ブランク」とした。両者にイソ吉草酸を38ppmに濃度調整した臭気成分を1L入れ、15分、30分、60分静置後の臭気をTenax TA(ジーエルサイエンス社製)に捕集し、加熱脱着法にてガスクロマトグラフ質量分析計[(株)島津製作所GCMS-Q2010plus]による濃度測定(ピーク面積)を実施した。各臭気について3回測定し、その平均値を表5に示す。
【0036】
(表5)
減少率(%)=(ブランクのピーク面積-試験測定のピーク面積)/ブランクのピーク面積
【0037】
(実施例6)
実施例5においてイソ吉草酸の代わりに2-ノネナールを用い、14ppmに濃度調整した以外はすべて実施例5と同様に行い、その試験結果を表6に示す。
【0038】
【0039】
表1ないし表6の試験結果から明らかな様に、本発明によるポリビニルアミン架橋重合体粒子は、粒子状態のまま脱臭消臭対象環境に静置しておくだけで、極めて迅速にかつ効率よく臭気主成分である多様な化学物質に対して、非常に良好な脱臭消臭性能を有する事が判る。