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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015353
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】包装システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20220114BHJP
   B65B 43/26 20060101ALI20220114BHJP
   B65B 1/22 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B65B57/00 C
B65B43/26 A
B65B1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118124
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
(72)【発明者】
【氏名】曽我 章典
(72)【発明者】
【氏名】増田 和馬
(72)【発明者】
【氏名】若山 裕貴
【テーマコード(参考)】
3E030
3E118
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BA02
3E030BB01
3E030CA02
3E030CB01
3E030DA01
3E030EA01
3E030EB01
3E030GA01
3E030GA04
3E118AA07
3E118BB10
3E118CA08
3E118CA10
3E118CA12
3E118DA01
3E118DA13
3E118DA20
3E118EA04
3E118FA02
3E118FA07
(57)【要約】
【課題】包装機の設置作業、又は当該包装機において一の袋製品から他の袋製品へ切り替える切替作業を行う場合に、所定の包装袋と所定の被包装物を組み合わせてなる所定の袋製品に合わせて包装用装置の位置が自動的に、かつ、一意的に決まるようにして、設置作業又は切替作業に伴う調整、修正作業を省き汎用性に優れた包装システムを提供する。
【解決手段】包装機本体11は、包装袋に係る複数の袋データと、被包装物に係る複数の被包装物データを記録した記録部100と、当該記録部から呼び出した一の袋データと一の被包装物データを組み合わせて形成した袋製品に係る一の袋製品データに基づいて、包装機本体に取り付けられた各種装置をそれぞれ制御する制御部101を有している。当該制御部は、一の袋製品を設定し、又は一の袋製品から他の袋製品へ切り替えたとき、最適な包装工程を実行可能に、各種装置を設定後又は切替後の袋製品データに基づき調整する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の袋口近傍を把持する爪部を先端に備えたグリップ対、及び当該グリップ対の前記爪幅を近接又は離反する爪幅可変機構を備え、前記グリップ対が前記包装袋の上端縁部を一定の高さで保持して前記包装袋を周回軌道状に形成された搬送経路に沿って搬送する搬送装置を所定の位置に取り付けた包装機本体と、
前記包装袋の長手方向縁部に当接して当該包装袋の幅方向両端を揃えて、複数枚の前記包装袋をストックするガイドプレート対、及び当該ガイドプレート対のガイド幅を近接又は離反するガイド幅可変機構、並びに前記ガイドプレート対間に配置されて前記包装袋を前記包装機本体方向へ送る給袋ベルト、及び当該給袋ベルトの速度を調整する給袋ベルト速度可変機構を備えた給袋コンベアと、当該給袋コンベアの先端部に移動してきた前記包装袋の所定箇所を吸着する給袋吸盤を所定の供給周期で動作させて、前記包装袋を前記グリップ対へ受け渡す供給機構とを備え、前記グリップ対へ前記包装袋を給袋する給袋装置と、
前記包装袋の所定箇所を表裏から吸着して当該包装袋を相反する方向へ引っ張るよう対向配置された二対の開口吸盤対と、前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記開口吸盤対の吸盤幅を調整可能な開口吸盤幅可変機構と、前記包装袋の袋口へ挿入される薄い平板状の開口ヘラと、当該開口ヘラに当接する側面と包装袋の袋口に対向する側面が下端で挟角を成す三角形状の差し込み部材、及び包装袋の袋口に対向し、前記差し込み部材と係合して前記包装袋の袋口縁部を把持する抑え部材からなり、前記開口ヘラを挟んで対向配置された一対の開口クリップを備え、前記袋口へ前記開口ヘラと前記開口クリップの前記差し込み部材を相次いで挿入し、前記開口吸盤対が前記包装袋を表裏から引っ張り、前記開口クリップで前記袋口を押し開いて前記搬送経路上を搬送される前記包装袋の前記袋口を開口する開口装置と、
開口された前記包装袋へ縮径された先端部を挿入する充填ジョウゴ、及び前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記充填ジョウゴの前記包装袋に対する上下位置を調整可能なジョウゴ位置可変機構を備え、前記充填ジョウゴを介して前記搬送経路上を搬送される前記包装袋内へ被包装物を充填する充填装置と、
前記包装袋内へ不活性ガスを注入するガスノズル、及び前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記ガスノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整可能なガスノズル位置可変機構を備え、前記搬送経路上を搬送される前記包装袋内を前記不活性ガスでガス置換するガス置換装置と、
前記包装袋の下端を支持するブラケットを備え、当該ブラケットを通じて前記包装袋へ所定の振幅と所定の振動数からなる所定の振動を加える振動機構、及び前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記振動機構の前記包装袋に対する上下位置を調整して、前記ブラケットが常に前記包装袋の下端に当接するように当該ブラケットの位置を移動させるブラケット位置可変機構を備え、前記ガス置換装置で前記包装袋内をガス置換している間に、前記搬送経路上を搬送される前記包装袋に対し前記ブラケットを通じて前記振動を加えて、前記包装袋内に充填された前記被包装物間の隙間を潰し、前記被包装物を前記包装袋下方へ詰めて前記包装袋の形を整える整形装置と、
前記搬送経路上を搬送される前記包装袋に対し、前記グリップ対を離反させて当該包装袋の上端縁部近傍を引っ張って前記袋口を閉鎖する袋口閉鎖機構、及び閉鎖された前記袋口をヒートシールするシール機構、並びに前記ヒートシールで加熱された前記袋口の近傍を冷却する冷却機構を備え、前記包装袋の前記袋口をヒートシールで封止するシール装置と、
前記包装機本体側から反包装機本体側に向って周回する搬出ベルトを有する搬出コンベア、及び当該搬出コンベアの回転速度又は回転トルクを調整する搬出コンベア動作可変機構、並びに前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記搬出ベルト上面が前記包装袋の下端と所定の距離まで近接するように前記搬出コンベアの前記包装体に対する上下位置を調整する搬出コンベア位置可変機構を備え、前記包装袋に前記被包装物を充填して形成された袋製品を前記搬送経路から前記搬出コンベアで搬出する搬出装置とからなり、
前記給袋装置が前記包装袋を前記搬送経路上の前記グリップ対へ受け渡して給袋する給袋工程と、
前記開口装置が前記包装袋の前記袋口を開口する開口工程と、
前記袋口が開口された前記包装袋内へ、前記充填装置が前記被包装物を充填する充填工程と、
前記ガス置換装置が前記包装袋内を前記不活性ガスでガス置換するガス置換工程と、
前記整形装置が前記包装袋へ前記振動を加えて、前記包装袋内に充填された前記被包装物間の隙間を潰し、前記被包装物を前記包装袋下方へ詰めて前記包装袋の形を整える整形工程と、
前記シール装置が前記袋口をヒートシールで封止するシール工程と、
前記包装袋に前記被包装物を充填して形成された前記袋製品を前記搬出装置が搬出する搬出工程からなる包装工程を実行して、
前記搬送経路上を前記包装袋が搬送される間に当該包装袋へ前記被包装物を充填して前記袋製品を製造するようにした包装機において、
前記包装機本体に、
少なくとも前記包装袋の袋幅、又は袋長さに係る情報が含まれた複数の袋データと、少なくとも前記被包装物の充填量、重さ、及び粒度に係る情報が含まれた複数の被包装物データが記録保存された記録媒体を備えた記録部と、
前記各装置の前記各機構をそれぞれ制御する制御部を設け、
当該制御部が、前記記録部から呼び出した一の前記袋データと一の前記被包装物データを組み合わせて、前記袋製品に係る一の袋製品データを形成し、
当該袋製品データを構成している前記袋幅、前記袋長さ、または前記被包装物の充填量、重さ、或いは粒度に合わせて、前記各装置の前記各機構の動作を制御するようにしたことを特徴とする包装システム。
【請求項2】
前記制御部で形成された一の前記袋製品データが、当該制御部において設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、
前記制御部は、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記袋幅に係る情報に基づいて、
前記搬送装置の前記爪幅可変機構を制御して、前記グリップ対の前記爪部を近接又は離反させて前記爪幅を調整し、
前記給袋装置の前記ガイド幅可変機構を制御して、前記ガイドプレート対を近接又は離反させて前記ガイド幅を調整し、
前記開口装置の前記開口吸盤幅可変機構を制御して、前記開口吸盤対を近接又は離反させて前記吸盤幅を調整し、
前記シール装置の前記袋口閉鎖機構を制御して、前記グリップ対を近接又は離反させて当該グリップ対の幅を調整し、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記袋長さに係る情報に基づいて、
前記給袋装置の前記給袋ベルト速度可変機構を制御して、前記給袋ベルトの速度を調整すると共に、当該給袋装置の前記供給機構を制御して、前記給袋吸盤の位置及び前記供給周期を調整し、
前記充填装置の前記前記ジョウゴ位置可変機構を制御して、前記充填ジョウゴの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
前記ガス置換装置の前記ガスノズル位置可変機構を制御して、前記ガスノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
前記整形装置の前記ブラケット位置可変機構を制御して、前記振動機構の前記包装袋に対する上下位置を調整して、前記ブラケットが常に前記包装袋の下端に当接するように当該ブラケットを移動させ、
前記搬出装置の前記搬出コンベア位置可変機構を制御して、前記搬出コンベアの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記被包装物データに含まれている、少なくとも前記被包装物の前記包装袋に対する充填量、充填したときの前記被包装物の重さ、又は前記被包装物の粒度に係る情報に基づいて、
前記充填装置の前記ジョウゴ位置可変機構を制御して、前記充填ジョウゴの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
前記ガス置換装置の前記ガスノズル位置可変機構を制御して、前記ガスノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
前記整形装置の前記振動機構を制御して、前記ブラケットに加える前記振動に係る前記振幅又は前記振動数を調整すると共に、当該整形装置の前記ブラケット位置可変機構を制御して、前記振動機構の前記包装袋に対する上下位置を調整して、前記ブラケットが常に前記包装袋の下端に当接するように当該ブラケットを移動させ、
前記搬出装置の前記搬出コンベア動作可変機構を制御して、前記搬出コンベアの回転速度又は回転トルクのいずれか一方又は双方を調整して、
一の前記袋製品データが設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、前記制御部が前記各装置に備わる前記各機構の動作を並列的に制御して、
設定された一の前記袋製品、又は切り替えられた他の前記袋製品に対する最適な前記各包装工程を実行可能に前記各装置を、前記袋製品データに基づいて調整するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装システム。
【請求項3】
所定のフォント及び所定のフォントサイズで所定の文言を印字する情報からなる印字データを設け、
前記包装袋の所定箇所に、前記印字データに係る前記文言を前記フォントを用いて前記フォントサイズで印字可能な印字エリアを形成し、当該印字エリアの位置に係る情報を前記袋データに含めて、
前記制御部で形成される前記袋製品データが、前記印字エリアの位置に係る情報を含んだ前記袋データ、前記被包装物データ、及び前記印字データを組み合わせてなり、
前記包装機に、前記印字エリアに対向配置され、前記印字データに基づいた前記文言を前記包装袋へ印字する印字ヘッドと、当該印字ヘッドが前記包装袋の前記印字エリアに対向するように、前記印字ヘッドの前記包装袋に対する上下位置を調整する印字ヘッド位置可変機構とを備えた印字装置を設け、
前記制御部で、形成された一の前記袋製品データが設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、
前記制御部は、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記印字エリアの位置に係る情報に基づいて、
前記印字装置の前記印字ヘッド位置可変機構を制御して、前記印字ヘッドが前記印字エリアに対向するように前記印字ヘッドの前記包装袋の上下位置を調整するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装システム。
【請求項4】
前記包装袋の所定箇所に、レーザー光が透過可能な検査窓部を形成し、当該検査窓部の位置に係る情報を前記袋データに含め、
前記制御部で形成される前記袋製品データが、前記検査窓部の位置に係る情報を含んだ前記袋データ、前記被包装物データを組み合わせてなり、
前記包装機に、前記検査窓部に対向して所定のレーザー光を出射する出射部と当該検査窓部を透過した前記レーザー光が入射する入射部を備え、前記ガス置換後に前記包装袋内に残留している残留ガスのガス濃度を、前記レーザー光が前記包装袋内で前記残留ガスに吸光される吸光度に基づいて測定するレーザー式ガス濃度測定装置と、前記出射部と前記入射部が前記検査窓部に対向するように、前記レーザー式ガス濃度測定装置の前記包装袋に対する上下位置を調整する測定装置位置可変機構とを有する検査装置を設け、
前記制御部で、形成された一の前記袋製品データが設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、
前記制御部は、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記検査窓部の位置に係る情報に基づいて、
前記検査装置の前記測定装置位置可変機構を制御して、前記出射部と前記入射部が前記検査窓部に対向するように前記レーザー式ガス濃度測定装置の前記包装袋に対する上下位置を調整するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装システム。
【請求項5】
前記充填ジョウゴの上部から当該充填ジョウゴを通じて前記包装袋内へ挿入される脱気ノズルと、前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、脱気ノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整可能な脱気ノズル位置可変機構を備え、前記脱気ノズルを通じて前記搬送経路上を搬送される前記包装袋内の空気を脱気する脱気装置を設け、
前記制御部で、形成された一の前記袋製品データが設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、
前記制御部は、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記袋長さに係る情報に基づいて、
前記脱気装置の前記脱気ノズル位置可変機構を制御して、前記脱気ノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機本体の所定の位置に形成した周回軌道状の搬送経路に沿って包装袋を搬送し、搬送経路上を包装袋が搬送される間に、包装機本体の所定の位置に取り付けた包装用装置が、当該包装袋へ被包装物を充填して封止する処理に係る各工程から構成される包装工程を実行して袋製品を製造する包装システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、図1に示すようなロータリー包装機は、包装機本体を囲繞するように包装袋を搬送する周回軌道状の搬送経路が形成されている。
そして、当該搬送経路上に設けた所定の停止位置へ、包装袋の袋口を開口する開口工程、開口された包装袋へ被包装物を充填する充填工程、包装袋内を不活性ガスでガス置換するガス置換工程、包装体の袋口を封止するシール工程を割り当てて、割り当てられた各停止位置に対してそれらの各工程を担う包装用装置が取り付けられている。
包装機本体と各包装用装置とから構成される包装システムは、包装機本体から送信される制御信号によって各包装用装置が制御され、所定の周期で移動と停止を繰り返し、上記の停止位置を順に巡る包装袋が、停止している間に、上記の包装工程に係る処理を行って、所定の包装袋へ所定の被包装物を充填して封止した袋製品を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】引用なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の包装機は、包装機本体の周囲に割り振られてた停止位置において、所定の包装工程のうち、所定の各工程に対応する所定の位置に各包装用装置が取り付けられて構成されている。
まず、当該包装機は、袋製品を製造する工場へ搬入されたとき、設置場所に合わせて専門的な訓練を受けた作業員が手作業で設置作業を行わなければならない。
当該設置作業では、包装機で製造される特定の袋製品に対して最適となるように、包装袋の大きさ、包装袋の搬送タイミング、包装袋へ充填される被包装物の量をはじめとした様々な要因を考慮して、包装機本体へ取り付ける各包装用装置の位置について、作業員の手作業で各装置間のバランスを取る微調整が繰り返され決定される。
次に、袋製品のモデルチェンジ等によって、上記の包装機で製造していた一の袋製品を、新たに製造する他の袋製品へ切り替える必要が生じた場合、切替後の袋製品に係る包装袋及び被包装物に合わせて、搬入設置作業のときと同様に、作業員の手作業で各装置間のバランスを取る再調整に係る切替作業が行われる。
ここで、上記の設置作業や切替作業は、専門的な訓練を受けた作業員の手作業によって行われるものであることから、第一に非常に手間暇やコストがかかるおそれがあり、第二に作業時のコツが作業員の知識又は経験の差に大きく左右され、たとえば、ベテランの作業員が設置作業を包装機に対して、新人の作業員が切替作業を行った場合に、作業結果にバラツキが生じて袋製品の再現性が保てなくなるおそれがある。
そして、手間がかかること、また再現性を保つ修正作業の必要性を鑑みると、設置作業又は切替作業において実際に稼働可能となるまで長時間を要することが問題である。
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、包装機の設置作業、又は当該包装機において一の袋製品から他の袋製品へ切り替える切替作業を行う場合に、所定の包装袋と所定の被包装物を組み合わせてなる所定の袋製品に合わせて包装用装置の位置が自動的に、かつ、一意的に決まるようにして、設置作業又は切替作業に伴う調整、修正作業を省き汎用性に優れた包装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の包装システムは、包装袋の袋口近傍を把持する爪部を先端に備えたグリップ対、及び当該グリップ対の前記爪幅を近接又は離反する爪幅可変機構を備え、前記グリップ対が前記包装袋の上端縁部を一定の高さで保持して前記包装袋を周回軌道状に形成された搬送経路に沿って搬送する搬送装置を所定の位置に取り付けた包装機本体と、
前記包装袋の長手方向縁部に当接して当該包装袋の幅方向両端を揃えて、複数枚の前記包装袋をストックするガイドプレート対、及び当該ガイドプレート対のガイド幅を近接又は離反するガイド幅可変機構、並びに前記ガイドプレート対間に配置されて前記包装袋を前記包装機本体方向へ送る給袋ベルト、及び当該給袋ベルトの速度を調整する給袋ベルト速度可変機構を備えた給袋コンベアと、当該給袋コンベアの先端部に移動してきた前記包装袋の所定箇所を吸着する給袋吸盤を所定の供給周期で動作させて、前記包装袋を前記グリップ対へ受け渡す供給機構とを備え、前記グリップ対へ前記包装袋を給袋する給袋装置と、
前記包装袋の所定箇所を表裏から吸着して当該包装袋を相反する方向へ引っ張るよう対向配置された二対の開口吸盤対と、前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記開口吸盤対の吸盤幅を調整可能な開口吸盤幅可変機構と、前記包装袋の袋口へ挿入される薄い平板状の開口ヘラと、当該開口ヘラに当接する側面と包装袋の袋口に対向する側面が下端で挟角を成す三角形状の差し込み部材、及び包装袋の袋口に対向し、前記差し込み部材と係合して前記包装袋の袋口縁部を把持する抑え部材からなり、前記開口ヘラを挟んで対向配置された一対の開口クリップを備え、前記袋口へ前記開口ヘラと前記開口クリップの前記差し込み部材を相次いで挿入し、前記開口吸盤対が前記包装袋を表裏から引っ張り、前記開口クリップで前記袋口を押し開いて前記搬送経路上を搬送される前記包装袋の前記袋口を開口する開口装置と、
開口された前記包装袋へ縮径された先端部を挿入する充填ジョウゴ、及び前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記充填ジョウゴの前記包装袋に対する上下位置を調整可能なジョウゴ位置可変機構を備え、前記充填ジョウゴを介して前記搬送経路上を搬送される前記包装袋内へ被包装物を充填する充填装置と、
前記包装袋内へ不活性ガスを注入するガスノズル、及び前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記ガスノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整可能なガスノズル位置可変機構を備え、前記搬送経路上を搬送される前記包装袋内を前記不活性ガスでガス置換するガス置換装置と、
前記包装袋の下端を支持するブラケットを備え、当該ブラケットを通じて前記包装袋へ所定の振幅と所定の振動数からなる所定の振動を加える振動機構、及び前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記振動機構の前記包装袋に対する上下位置を調整して、前記ブラケットが常に前記包装袋の下端に当接するように当該ブラケットの位置を移動させるブラケット位置可変機構を備え、前記ガス置換装置で前記包装袋内をガス置換している間に、前記搬送経路上を搬送される前記包装袋に対し前記ブラケットを通じて前記振動を加えて、前記包装袋内に充填された前記被包装物間の隙間を潰し、前記被包装物を前記包装袋下方へ詰めて前記包装袋の形を整える整形装置と、
前記搬送経路上を搬送される前記包装袋に対し、前記グリップ対を離反させて当該包装袋の上端縁部近傍を引っ張って前記袋口を閉鎖する袋口閉鎖機構、及び閉鎖された前記袋口をヒートシールするシール機構、並びに前記ヒートシールで加熱された前記袋口の近傍を冷却する冷却機構を備え、前記包装袋の前記袋口をヒートシールで封止するシール装置と、
前記包装機本体側から反包装機本体側に向って周回する搬出ベルトを有する搬出コンベア、及び当該搬出コンベアの回転速度又は回転トルクを調整する搬出コンベア動作可変機構、並びに前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、前記搬出ベルト上面が前記包装袋の下端と所定の距離まで近接するように前記搬出コンベアの前記包装体に対する上下位置を調整する搬出コンベア位置可変機構を備え、前記包装袋に前記被包装物を充填して形成された袋製品を前記搬送経路から前記搬出コンベアで搬出する搬出装置とからなり、
前記給袋装置が前記包装袋を前記搬送経路上の前記グリップ対へ受け渡して給袋する給袋工程と、
前記開口装置が前記包装袋の前記袋口を開口する開口工程と、
前記袋口が開口された前記包装袋内へ、前記充填装置が前記被包装物を充填する充填工程と、
前記ガス置換装置が前記包装袋内を前記不活性ガスでガス置換するガス置換工程と、
前記整形装置が前記包装袋へ前記振動を加えて、前記包装袋内に充填された前記被包装物間の隙間を潰し、前記被包装物を前記包装袋下方へ詰めて前記包装袋の形を整える整形工程と、
前記シール装置が前記袋口をヒートシールで封止するシール工程と、
前記包装袋に前記被包装物を充填して形成された前記袋製品を前記搬出装置が搬出する搬出工程からなる包装工程を実行して、
前記搬送経路上を前記包装袋が搬送される間に当該包装袋へ前記被包装物を充填して前記袋製品を製造するようにした包装機において、
前記包装機本体に、
少なくとも前記包装袋の袋幅、又は袋長さに係る情報が含まれた複数の袋データと、少なくとも前記被包装物の充填量、重さ、及び粒度に係る情報が含まれた複数の被包装物データが記録保存された記録媒体を備えた記録部と、
前記各装置の前記各機構をそれぞれ制御する制御部を設け、
当該制御部が、前記記録部から呼び出した一の前記袋データと一の前記被包装物データを組み合わせて、前記袋製品に係る一の袋製品データを形成し、
当該袋製品データを構成している前記袋幅、前記袋長さ、または前記被包装物の充填量、重さ、或いは粒度に合わせて、前記各装置の前記各機構の動作を制御するようにしたことを特徴とする包装システム。
【0007】
請求項2に記載の包装システムは、請求項1に記載の発明において、前記制御部で形成された一の前記袋製品データが、当該制御部において設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、
前記制御部は、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記袋幅に係る情報に基づいて、
前記搬送装置の前記爪幅可変機構を制御して、前記グリップ対の前記爪部を近接又は離反させて前記爪幅を調整し、
前記給袋装置の前記ガイド幅可変機構を制御して、前記ガイドプレート対を近接又は離反させて前記ガイド幅を調整し、
前記開口装置の前記開口吸盤幅可変機構を制御して、前記開口吸盤対を近接又は離反させて前記吸盤幅を調整し、
前記シール装置の前記袋口閉鎖機構を制御して、前記グリップ対を近接又は離反させて当該グリップ対の幅を調整し、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記袋長さに係る情報に基づいて、
前記給袋装置の前記給袋ベルト速度可変機構を制御して、前記給袋ベルトの速度を調整すると共に、当該給袋装置の前記供給機構を制御して、前記給袋吸盤の位置及び前記供給周期を調整し、
前記充填装置の前記前記ジョウゴ位置可変機構を制御して、前記充填ジョウゴの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
前記ガス置換装置の前記ガスノズル位置可変機構を制御して、前記ガスノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
前記整形装置の前記ブラケット位置可変機構を制御して、前記振動機構の前記包装袋に対する上下位置を調整して、前記ブラケットが常に前記包装袋の下端に当接するように当該ブラケットを移動させ、
前記搬出装置の前記搬出コンベア位置可変機構を制御して、前記搬出コンベアの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記被包装物データに含まれている、少なくとも前記被包装物の前記包装袋に対する充填量、充填したときの前記被包装物の重さ、又は前記被包装物の粒度に係る情報に基づいて、
前記充填装置の前記ジョウゴ位置可変機構を制御して、前記充填ジョウゴの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
前記ガス置換装置の前記ガスノズル位置可変機構を制御して、前記ガスノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整し、
前記整形装置の前記振動機構を制御して、前記ブラケットに加える前記振動に係る前記振幅又は前記振動数を調整すると共に、当該整形装置の前記ブラケット位置可変機構を制御して、前記振動機構の前記包装袋に対する上下位置を調整して、前記ブラケットが常に前記包装袋の下端に当接するように当該ブラケットを移動させ、
前記搬出装置の前記搬出コンベア動作可変機構を制御して、前記搬出コンベアの回転速度又は回転トルクのいずれか一方又は双方を調整して、
一の前記袋製品データが設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、前記制御部が前記各装置に備わる前記各機構の動作を並列的に制御して、
設定された一の前記袋製品、又は切り替えられた他の前記袋製品に対する最適な前記各包装工程を実行可能に前記各装置を、前記袋製品データに基づいて調整するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の包装システムは、請求項1に記載の発明において、所定のフォント及び所定のフォントサイズで所定の文言を印字する情報からなる印字データを設け、
前記包装袋の所定箇所に、前記印字データに係る前記文言を前記フォントを用いて前記フォントサイズで印字可能な印字エリアを形成し、当該印字エリアの位置に係る情報を前記袋データに含めて、
前記制御部で形成される前記袋製品データが、前記印字エリアの位置に係る情報を含んだ前記袋データ、前記被包装物データ、及び前記印字データを組み合わせてなり、
前記包装機に、前記印字エリアに対向配置され、前記印字データに基づいた前記文言を前記包装袋へ印字する印字ヘッドと、当該印字ヘッドが前記包装袋の前記印字エリアに対向するように、前記印字ヘッドの前記包装袋に対する上下位置を調整する印字ヘッド位置可変機構とを備えた印字装置を設け、
前記制御部で、形成された一の前記袋製品データが設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、
前記制御部は、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記印字エリアの位置に係る情報に基づいて、
前記印字装置の前記印字ヘッド位置可変機構を制御して、前記印字ヘッドが前記印字エリアに対向するように前記印字ヘッドの前記包装袋の上下位置を調整するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の包装システムは、請求項1に記載の発明において、前記包装袋の所定箇所に、レーザー光が透過可能な検査窓部を形成し、当該検査窓部の位置に係る情報を前記袋データに含め、
前記制御部で形成される前記袋製品データが、前記検査窓部の位置に係る情報を含んだ前記袋データ、前記被包装物データを組み合わせてなり、
前記包装機に、前記検査窓部に対向して所定のレーザー光を出射する出射部と当該検査窓部を透過した前記レーザー光が入射する入射部を備え、前記ガス置換後に前記包装袋内に残留している残留ガスのガス濃度を、前記レーザー光が前記包装袋内で前記残留ガスに吸光される吸光度に基づいて測定するレーザー式ガス濃度測定装置と、前記出射部と前記入射部が前記検査窓部に対向するように、前記レーザー式ガス濃度測定装置の前記包装袋に対する上下位置を調整する測定装置位置可変機構とを有する検査装置を設け、
前記制御部で、形成された一の前記袋製品データが設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、
前記制御部は、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記検査窓部の位置に係る情報に基づいて、
前記検査装置の前記測定装置位置可変機構を制御して、前記出射部と前記入射部が前記検査窓部に対向するように前記レーザー式ガス濃度測定装置の前記包装袋に対する上下位置を調整するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の包装システムは、請求項1に記載の発明において、前記充填ジョウゴの上部から当該充填ジョウゴを通じて前記包装袋内へ挿入される脱気ノズルと、前記包装機本体の所定の位置に取り付けられ、脱気ノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整可能な脱気ノズル位置可変機構を備え、前記脱気ノズルを通じて前記搬送経路上を搬送される前記包装袋内の空気を脱気する脱気装置を設け、
前記制御部で、形成された一の前記袋製品データが設定されたとき、又は一の前記袋製品データから他の前記袋製品データへ切り替えられたとき、
前記制御部は、
設定された一の前記袋製品データ、又は切り替えられた他の前記袋製品データを構成する前記袋データに含まれている前記袋長さに係る情報に基づいて、
前記脱気装置の前記脱気ノズル位置可変機構を制御して、前記脱気ノズルの前記包装袋に対する上下位置を調整するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る包装システムによれば、所定の包装袋に所定の被包装物を充填して形成する所定の袋製品について、包装機本体に記録部と制御部を設け、記録部は、包装袋に係る複数の袋データと、被包装物に係る複数の被包装物データを記録保存した記録媒体を備え、制御部は、記録部から複数の袋データのうちの一の袋データ、複数の被包装物データのうちの一の被包装物データをそれぞれ呼び出して組み合わせて一の袋製品データを形成し、当該一の袋製品データに基づいて、包装機本体に取り付けた包装機用装置の各機構の動作を制御するようにした。
これによって、包装システムは、袋データと被包装物データの組み合わせによって、何通りもの袋製品データを形成することができ、一台の包装機において、複数の種類の袋製品を製造することについて柔軟に対応することができる。

また、制御部で、形成された一の袋製品データが設定されたとき、当該袋製品データを構成する袋データ又は被包装物データに含まれている各種情報に基づいて、包装機本体に取り付けられた包装用各装置の各機構が動作して、最適な包装工程を構成するようにした。
これによって、作業員の知識又は経験に依拠することなく、設定作業に伴う調整作業を均一化することができ、作業ミス等による不良品発生のリスクを軽減することができる。
そして、制御部で、一の袋製品データから他の袋製品データへ切り替えられたとき、切り替えられた他の袋製品データを構成する袋データ又は被包装物データに含まれている各情報に基づいて、包装機本体に取り付けられた包装用各装置の各機構が動作して、一の袋製品データに基づいて最適化されていた包装工程から、他の袋製品データに基づく最適な包装工程へ速やかに切り替わるようにした。
これによって、作業員の知識又は経験に依拠することなく、切替作業に伴う調整作業を均一化することができ、作業ミス等による不良品発生のリスクを軽減することができると共に、切替作業にかかる時間的及び金銭的コストを抑えることができる。
このように、所定の袋データと所定の被包装物データを組み合わせて所定の袋製品データを形成し、当該袋製品データに含まれている各種情報に基づいて、包装機本体の制御部が、当該包装機本体に取り付けた包装用各装置の各機構を制御するようにした。
これによって、包装機の設置作業、又は当該包装機において一の袋製品から他の袋製品へ切り替える切替作業を行う場合に、所定の包装袋と所定の被包装物を組み合わせてなる所定の袋製品に合わせて包装用装置の位置を自動的、かつ、一意的に決めることができ、その結果、設置作業又は切替作業に伴う調整、修正作業を省き汎用性に優れた包装システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施例に係る包装システムを構成する包装機の構成の概略を示す平面図である。
図2】第1実施例に係る包装システムで行われる包装工程の概略を示す説明図である。
図3】第1実施例に係る包装システムを構成する包装機について、図1のA-A線から見た構成の概略を示す縦断面図である。
図4】第1実施例に係る包装システムを構成する包装機の搬送装置が有するグリップ対の構成の概略を示す平面図である。
図5】第1実施例に係る包装システムを構成する包装機の搬送装置が有するグリップ対の構成の概略を示す部分拡大縦断面図である。
図6】第1実施例に係る包装システムを構成する包装機の開口装置が有する開口ヘラの構成の概略を示す側面図(a)とリフトユニットの構成の概略を示す正面図(b)である。
図7】第1実施例に係る包装システムを構成する包装機の充填装置の構成の概略を示す展開図である。
図8】第1実施例に係る包装システムを構成する包装機の充填装置の構成の概略を示す展開図である。
図9】第1実施例に係る包装システムを構成する包装機の充填装置が有するリフトユニットの構成の概略を示す側面図(a)及び正面図(b)である。
図10】第1実施例に係る包装システムを構成する包装機の整形装置の構成の概略を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
図11】第1実施例に係る包装システムの構成の概略を示すブロック図である。
【実施例0013】
本発明に係る包装システムの実施例を、添付した図面にしたがって説明する。図1及び図2は、本実施例に係る包装システムで用いる包装機の構成と包装工程の概略を示した説明図である。
【0014】
本実施例で示す包装機10は、ロータリー式包装機と呼ばれているものである。
包装機10は、図1に示すように、枠体(一部図示略)に囲繞された包装機本体11を有している。当該枠体の所定の位置には、給袋装置12と搬出装置13が配置され、給袋装置12と搬出装置13の間には不良品の排出スロープ14と操作盤15が設けられている。
【0015】
包装機本体11は、当該包装機本体を中心に時計回りで回転する回転体を備えた搬送装置16を有している。当該搬送装置16は、等間隔で環状に配置された20個のグリップ対17を有している。
グリップ対17は、図1に示すように、包装機本体11の周囲に形成された第1~第10の停止位置へ、2つずつ停止可能に配置されている。グリップ対17は、各停止位置で所定の時間一時停止して、第1から第10の順に停止位置を時計回りで間欠的に巡るように形成されている。
ここで、グリップ対17が包装袋を搬送する経路を以下搬送経路とする。
なお、包装機10は、図1に示した搬送経路が環状のロータリー式に限定されるものではなく、互いに並行する経路の両端を半円状の経路で接続し、陸上競技のトラックと似た搬送経路を備えたレーストラック式であっても良い。
【0016】
グリップ対17は、図1又は図4に示すように、先端部に爪部を有している。当該爪部は所定の条件にしたがって開閉可能に構成されている。これによって、爪部は、搬送する包装袋Bを把持し、所定の位置で包装袋Bを解放することができる。
一方のグリップ先端の爪部と、他方のグリップ先端の爪部との距離を爪幅とする。当該爪幅は、爪幅可変機構によって調整可能に形成されている。爪幅可変機構は、図5に示すように、基準幅リンクユニット17aと動作リンクユニット17bからなる。
基準幅リンクユニット17aは、グリップ対17に供給される包装袋Bの袋幅に応じて、基準となる爪幅を設定するように構成されている。動作リンクユニット17bは、カムフォロワーを備え、当該カムフォロワーが搬送経路に沿って所定の位置に設けられた板カムにしたがって動作することで、図2に示した包装工程に応じ、爪幅を狭めたり拡げたりして、袋幅を随時変化させることができるように構成されている。
これによって、爪幅可変機構は、包装袋Bの袋幅に応じて基準となる爪幅を設定すると共に包装工程を構成する各工程に応じて随時、爪幅を可変させることができる。
【0017】
ここで、本実施例に係る包装機10で行われる包装工程は、図2に示す各工程からなる。以下図1に示した停止位置と対応させて説明する。
包装工程は、図2に示すように、第1停止位置から第10停止位置のそれぞれに工程が割り振られている。
第1停止位置では、給袋工程が行われる。
給袋工程は、給袋装置12が包装機本体11側のグリップ対17へ包装袋Bを受け渡す処理を行うと共に、搬送装置16のグリップ対17が包装袋Bの袋口近傍を把持して、当該包装袋Bを搬送経路へセットする処理を行う工程である。
第2停止位置では、開口工程と印字工程が行われる。
開口工程は、開口装置18が包装袋Bの袋口を押し広げて開口する処理を行う工程である。印字工程は、印字装置19が包装袋Bに所定の文言を印字する処理を行う工程である。
第2停止位置から第3停止位置へ移動する包装袋Bに対して印字検査工程が行われる。
印字検査工程は、印字検査装置20が先の印字工程で行われた印字処理が正しく行われたか否か検査する処理を行う工程である。
第3停止位置では、開口された袋口へ充填ジョウゴ51とガスノズル55の先端を挿入する処理が行われる。
第4停止位置から第7停止位置へ移動する包装袋Bに対し、充填工程、脱気工程、ガス置換工程が順次行われ、脱気工程とガス置換工程と並行して整形工程が行われる。
充填工程は、充填装置21が包装袋Bへ被包装物を充填する処理を行う工程である。脱気工程は、脱気装置22が包装袋B内を脱気する処理を行う工程である。ガス置換工程は、ガス置換装置23が脱気した包装袋B内を所定の不活性ガスでガス置換する処理を行う工程である。整形工程は、整形装置24が包装袋Bを揺らして被包装物間の隙間を潰して包装袋B内へ被包装物を詰め込んで、包装袋Bを整形する処理を行う工程である。
第8停止位置では、シール工程が行われる。
シール工程は、シール装置25が整形された包装袋Bの袋口をヒートシールで封止する処理を行う工程である。
第9停止位置では、搬出工程が行われる。
搬出工程は、搬出装置13が包装袋Bへ被包装物を充填して形成された袋製品を搬送経路から搬出する処理を行う工程である。
第10停止位置では、排出工程が行われる。
排出工程は、不良製品を強制的に搬送経路から排出する処理を行う工程である。
なお好ましくは、第8停止位置におけるシール工程の後に検査工程を設けても良く、また、当該検査工程を第9停止位置で搬出された袋製品に対して行っても良い。
検査工程は、検査装置27が有するレーザー式ガス濃度測定装置によって、不活性ガスでガス置換して封止した包装袋内に残留している残留ガスのガス濃度を検査する処理を行う工程である。
以下、第1~第10停止位置で行われる各工程を担当する各装置について説明する。
【0018】
第1停止位置では、給袋工程が行われる。当該給袋工程には、給袋装置12が用いられる。
給袋装置12は、図1及び図2に示すように、複数枚の包装袋をストックする給袋コンベア30と、ストックされている包装袋を1枚ずつ包装機本体側へ供給する供給機構31を有している。
給袋コンベア30は、図1に示すように、2本の給袋ベルト32が並設され、当該給袋ベルト32を挟むようにガイドプレート対33が設けられている。
給袋ベルト32は、包装機本体11側の先端に向って回転して包装袋を送るように構成されている。包装袋を送る給袋ベルト32の速度は、給袋ベルト速度可変機構32aによって制御可能に構成されている。これによって、給袋ベルト32は、包装袋の袋長さに応じて設定された最適な速度で重なり合った包装袋Bの束をほぐすように包装機本体11側へ当該包装袋Bを送り込むことができ、ほぐして一枚ずつ剥がれ易くした包装袋Bを一枚ずつ容易に給袋することができる。
また、ガイドプレート対33は、給袋ベルト32上の包装袋Bを挟んで対向配置されている。ガイドプレート対33間の幅を表すガイド幅は、ガイド幅可変機構33aによって制御可能に構成されている。ガイド幅可変機構33aは、包装袋Bの袋幅に応じてガイドプレート対33が包装袋Bの側縁部に当接させるようにガイド幅を調整可能に構成されている。これによって、給袋ベルト32上にストックされている複数枚の包装袋Bをガイドプレート対33で幅方向から押さえ、包装袋Bの長手方向に沿って当該包装袋Bを揃えることができる。
【0019】
供給機構31は、図2に示すように、2本の給袋コンベア30に対してそれぞれ給袋吸盤対34を有している。
給袋吸盤対34は、給袋ベルト32上の包装袋Bの上端近傍の所定位置を吸着し、所定の供給周期で給袋コンベア30と搬送経路間で往復運動可能に構成されている。
給袋吸盤対34は、包装袋の袋幅に応じてその幅を変化させるグリップ対17及びガイドプレート対33と連動して幅を調整可能にしても良い。
供給周期は、給袋吸盤対34が給袋ベルト32上で包装袋Bの上端近傍を吸着する吸着工程と、包装袋Bを持ち上げる持ち上げ工程、持ち上げた包装袋Bの上端近傍をグリップ対17が把持してから給袋吸盤34を外す受け渡し工程と、給袋吸盤34を給袋ベルト32上へ戻す帰還工程からなる。これらの工程を周期的に繰り替えすことによって、給袋ベルト32上の包装袋Bを包装機本体11側のグリップ対17へ次々に受け渡すことができる。
供給機構31は、包装袋の袋長さに応じて給袋吸盤対34の給袋コンベアに対する位置と給袋吸盤対34の動作速度が調整可能に構成されている。これによって、たとえば、給袋吸盤対34が給袋コンベア30から包装袋Bを吸着する位置、又は給袋吸盤対34が給袋コンベア30からグリップ対17へ受け渡す動作速度を調整して、袋長さが短い場合と長い場合で異なる供給周期を、搬送経路上を間欠的に移動するグリップ対17に同期させることができる。
【0020】
第2停止位置では、図2に示すように、開口工程が行われる。開口工程には、開口装置18が用いられる。
開口装置18は、包装袋Bの袋口に差し込む開口ヘラ35及び開口クリップ36、並びに包装袋Bを表裏面からそれぞれ引っ張る開口吸盤対37を有している。
開口ヘラ35は、図6に示すように、包装袋Bの袋口へ挿入可能な平板からなり、開口フレーム35aの下端に固定されている。開口フレーム35aは、包装機本体11の第2停止位置で搬送経路の上方に設置された開口リフトユニット35bに固定されている。開口リフトユニット35bは、スライドレール35cに沿って上下方向に摺動するように構成されている。これによって、開口リフトユニット35bの動作に合わせて開口ヘラ35を包装袋Bの袋口へ差し込むことができる。
開口クリップ36は、図2に示すように、開口ヘラ35の表裏面へそれぞれ当接するように背中合わせで対なすように構成されている。開口クリップ36は、差し込み部材36aと抑え部材36bから構成されている。
差し込み部材36aは、開口ヘラ35の表裏平面に当接する側面と、包装袋の袋口に対向する側面が下端で鋭角をなすように断面視三角形状に形成されている。これによって、開口ヘラ35と共に包装袋Bの袋口へ容易に差し込むことができる。
抑え部材36bは、差し込み部材36aの斜面と対向し、差し込み部材36aと係合して包装袋を構成するフィルムを把持可能に形成されている。
上記の開口ヘラ35の降下に引き続いて差し込み部材36aが開口ヘラ35と共に袋口へ差し込まれて袋口を押し広げ、広げられたフィルムを開口クリップ36が包装袋Bの表裏面側それぞれで把持される。その後、開口クリップ36が互いに相反するように移動して、開口クリップ36が離されることによって袋口は開口される。
【0021】
開口吸盤対37は、図2に示すように、包装袋B袋口近傍のグリップ対17の間の所定位置で、包装袋Bの表裏面に対して向かい合わせで対なすように配置され、包装袋Bの袋口近傍であって、グリップ対17の間の所定位置を吸着するように構成されている。開口吸盤対37は、包装袋Bを挟んで互いに相反する方向へ離れる開口補助動作を行うように形成されている。これによって、開口クリップ36による袋口の開口動作を補助して袋口を大きく広げることができる。
開口吸盤対37は、開口吸盤幅可変機構37aに取り付けられている。
開口吸盤幅可変機構37aは、包装袋Bの袋幅に応じて、当該開口吸盤対の間である開口吸盤幅を調整可能に構成されている。これによって、袋口を開口したとき、グリップ対17の爪部近傍を引っ張ることができ、袋口を大きく開口させることができる。
【0022】
また第2停止位置では、図2に示すように、印字工程が行われる。印字工程には、印字装置19が用いられる。
印字装置19は、インク又はトナーを包装袋Bへ当てて印字する印字ヘッド40と、当該印字ヘッド40の位置を調整可能な印字位置可変機構41を有している。
ここで、包装袋Bには、所定の文言を印字可能な印字エリアが設定されている。当該印字エリアがたとえば、包装袋Bの下端縁部に設定されていたり、包装袋Bの中央付近に設定されていたりする場合には、一の包装袋から他の包装袋へ切り替えたとき、印字エリアの位置が変わる。そのため、印字ヘッド40が印字エリアと対向するように、印字位置可変機構41は、包装袋の袋長さに応じて印字ヘッド40の包装袋に対する上下位置を調整可能に構成されている。
包装袋に印字される所定の文言は、たとえば、製造所、製造番号、賞味期限、消費期限といった、包装機が設置される製造所固有のものから、製品名、キャラクター、標章のような共通なものまで自在に設定することができる。
【0023】
第2停止位置から第3停止位置へ移動する包装袋Bに対して、図2に示すように、印字検査工程が行われる。当該印字検査工程には、印字検査装置20が用いられる。
印字検査装置20は、印字エリアに対して指向する検査カメラ45と、包装袋Bの袋長さに応じて位置が変わる印字エリアの位置にあわせて検査カメラ45の包装袋Bに対する上下位置を調整する印字検査位置可変機構46を有している。印字検査装置20は、包装袋Bの印字に使われたインクが正しく固着しているか、文字が潰れたりしていないか検査カメラ45で印字エリアを撮影して検査するように形成されている。
印字検査装置20が包装袋Bの印字不良を発見した場合は、当該包装袋Bを把持するグリップ対17に対して第3停止位置以降の包装工程をキャンセルするように、後述する包装機本体11の制御部に対してキャンセル信号を送信するようにしても良い。そして、印字不良の包装袋Bは、第10停止位置で包装機10外へ排出される。これによって、印字不良の包装袋Bへ被包装物が充填され、不良品が製造されることを防止することができる。
【0024】
第3停止位置、及び第4停止位置から第7停止位置にかけて、開口された袋口へ充填ジョウゴとガスノズルの先端が挿入され、充填工程、脱気工程、ガス置換工程が順次行われ、脱気工程とガス置換工程と並行して整形工程が行われる。充填工程には充填装置21、脱気工程には脱気装置22、ガス置換工程にはガス置換装置23、整形工程には整形装置24がそれぞれ用いられる。
【0025】
充填装置21は、図1に示すように、包装機本体11の第4停止位置上方に設置されたストッカー50を有している。また、充填装置21は、充填ジョウゴ51と、包装袋Bに対して上下方向に充填ジョウゴ51の位置を調整する充填ジョウゴ位置可変機構52を有している。
充填ジョウゴ位置可変機構52は、図7及び図8に示すように、包装機本体11を囲繞するように構成されたジョウゴガイドレール52aに沿って移動可能なガイドローラー52bを介して包装機本体11へ取り付けられている。図7は、ジョウゴガイドレール52aを基準として展開した展開図であって、図8は、包装袋Bを把持して搬送経路を移動するグリップ対17を基準に展開した展開図である。
充填ジョウゴ51は、図7及び図8に示すように、下端開口51aが搬送経路上のグリップ対17上方に位置するように充填ジョウゴ位置可変機構52の左右に対をなして固定されている。そして、充填ジョウゴ51は充填ジョウゴ位置可変機構52と共に、包装袋Bを把持したグリップ対17が搬送経路上を移動するタイミングと同期して移動するように形成されている。
ジョウゴガイドレール52aは、図7の展開図に示すように、第3停止位置と第7停止位置にガイドローラー52bを上下に運搬可能なリフトユニット53a、53bが配置されている。リフトユニット53a,53bは、図9に示すように、スライドレール53cに沿って上下方向に摺動し、ガイドローラー52bを支持するローラーブラケット53dを有している。当該ローラーブラケット53dにガイドローラー52bが係合したとき、リフトユニット53a,53bが上下動することによって、充填ジョウゴ位置可変機構52を第3停止位置と第7停止位置で垂直に上下移動させることができる。
第3停止位置のリフトユニット53aは、第2停止位置から移動してきたガイドローラー52bを下方へ運搬するように形成されている。これによって、充填ジョウゴ51及び充填ジョウゴ位置可変機構52が下方へ運ばれ、図8の展開図に示すように、充填ジョウゴ51の下端開口51aが包装袋Bの袋口に挿入される。
第7停止位置のリフトユニット53bは、第6停止位置から移動してきたガイドローラー52bを上方へ運搬するように形成されている。これによって、充填ジョウゴ51及び充填ジョウゴ位置可変機構52が上方へ運ばれ、図8の展開図に示すように、充填ジョウゴ51の下端開口51aが包装袋Bの袋口から抜脱される。
【0026】
図7及び図8に示すように、第3停止位置で包装袋Bへ差し込まれた充填ジョウゴ51は、第4停止位置でストッカー50の下方に配置されて、下端開口51aが開かれる。これによって、ストッカー50から落とされた被包装物が包装袋B内へ充填ジョウゴ51を通過して詰め込まれる。
ここで好ましくは、ガス置換工程の前処理として、第4停止位置に続く第5停止位置で脱気装置22による脱気工程が行われる。
脱気装置22は、被包装物を充填後に充填ジョウゴ内に差し込まれる脱気ノズル56を有している。脱気ノズルを通じて脱気装置が包装袋B内を脱気し、次のガス置換工程へ移行させることによって、包装袋B内をガス置換するときの効率を上げることができ、さらには、充填処理時に包装袋B内に舞い上がった余分な紛を脱気処理と同時に吸い出して除去することができる。
【0027】
充填工程と脱気工程が終了した第5停止位置から、第6停止位置を経て第7停止位置にかけて、図7に示すように、ジョウゴガイドレール52aに沿って移動する充填ジョウゴ位置可変機構52が僅かに上昇する。これによって、充填ジョウゴ51と脱気ノズルを上昇させて袋口から抜脱することができる。この状態で、次のガス置換工程と整形工程が並行して行われる。
【0028】
ガス置換装置23は、図7及び図8に示すように、ガスノズル55を有している。ガスノズル55は、先端が充填ジョウゴ51の下端よりも下方に位置するように充填ジョウゴ51の外側面に沿って伸ばされ、ノズルブラケット55aを介して充填ジョウゴ51の外側面に取り付けられている。したがって、ガスノズル55の包装袋Bに対する上下位置を調整するガスノズル位置可変機構は、本実施例においてはジョウゴ位置可変機構52で兼用されている。また当該構成に限定されることなく、ノズルブラケット55を、ガスノズル位置可変機構に取り付けて充填ジョウゴ51とは別に独立して動作させるようにしても良い。
また、ガス置換装置23は、不活性ガスのガス供給源、たとえば、ガスボンベ(図示略)に接続され、ガスノズル55へ所定量の不活性ガスを供給可能に構成されている。ガス置換工程に用いられる不活性ガスとは、たとえば、一般的に化学反応を起こしにくい窒素ガスが用いられているが、これに限定されず、炭酸ガス、又は希ガス類を用いても良い。
【0029】
ガスノズル55は、図7及び図8に示すように、第3停止位置で充填ジョウゴ51と共にリフトユニット53aで下方へ運搬され、包装袋Bの袋口へ挿入される。第4停止位置で充填ジョウゴ51から包装袋Bへ被包装物が充填された後、第5停止位置で脱気装置22の脱気ノズル56が包装袋B内を脱気する処理と並行して不活性ガスがガスノズル55から包装袋内へ注入される。これによって、包装袋B内の気体を空気から不活性ガスへ入れ替えることができる。
第6停止位置に至ると図7に示すように充填ジョウゴ51が上昇し、図8に示すように包装袋B内から引き抜かれる。当該充填ジョウゴ51の上昇に伴ってガスノズル55もまた上方へ移動する。これによって、不活性ガスを包装袋Bの奥底から袋口近傍まで万遍なく注入することができる。そして第7停止位置のリフトユニット53bでガスノズル55は、充填ジョウゴ51と共に上方へ運搬される。このとき、図7に示すように、包装袋Bの袋口にガスノズル55の先端が残るようにジョウゴガイドレール52aは形成されている。これによって、不活性ガスを包装袋B内に満たすことができる。また、このとき第7停止位置でガスノズル55が差し込まれている部分以外を仮シール止めで閉鎖しても良い。これによって、包装袋B内から不活性ガスが漏れ出る量を抑制すると共に、包装袋B内へ空気が混入することを防止することができる。
上記のように、第3停止位置から第7停止位置にかけて、充填工程、脱気工程、ガス置換工程が順次行われる。これによって、包装袋B内を被充填物と不活性ガスで満たすことができる。
【0030】
整形装置24は、図10に示すように、包装袋Bの下端を支持するブラケット60を有し、所定数の振動数で当該ブラケット60を振動させる振動機構61と、当該振動機構61の包装袋Bに対する上下位置を調整して、ブラケット60が包装袋Bの下端を支持するように振動機構61の位置を可変するブラケット位置可変機構62とからなり、振動機構61は、ブラケット位置可変機構62を介して、包装機本体11の搬送装置16が有する各グリップ対17の下方に取り付けられている。
整形装置24のブラケット60、振動機構61、及びブラケット位置可変機構62は、グリップ対17、充填ジョウゴ51と同様に搬送経路に沿って移動し、充填ジョウゴ51が充填ジョウゴ位置可変機構52とジョウゴガイドレール52aによって位置を変えるように、第4停止位置から第8停止位置にかけてブラケット60が包装袋Bの下端に当接するまで上昇して包装袋Bへ振動を加えることができるように構成されている。
振動機構61がブラケット60を所定の振動数で振動させて包装袋Bに振動を加えることによって、たとえば、粉粒体のような被包装物内で隙間が形成されるものを包装袋Bへ充填したときに当該隙間を潰すことができる。これによって、被包装物内に滞留している空気を抜くことができ、ガス置換後の包装袋内に残留する酸素ガスの濃度を下げることができる。また、振動を加えて被包装物を包装袋B内へ詰め込むことによって、包装袋Bの形を整えることができる。
【0031】
図7に示すように、第7停止位置から第8停止位置へかけて、ジョウゴガイドレール52aは上方へ向かうように形成されている。これによって、充填ジョウゴ位置可変機構52が上昇し、ガスノズル55は包装袋Bから引き抜かれる。
そして、第8停止位置から第9停止位置にかけて、シール工程が行われる。シール工程にはシール装置25が用いられる。
シール装置25は、袋口閉鎖機構65と、シール機構66と、冷却機構67とから構成されている。袋口閉鎖機構65は、搬送経路上のグリップ対17を相反するように離隔して袋口を閉鎖するように構成されている。シール機構66は、閉鎖された袋口を加熱してヒートシールするように構成されている。冷却機構67は、加熱された袋口近傍を冷却するように構成されている。第8停止位置で袋口閉鎖機構65とシール機構66が動作し、第8停止位置から第9停止位置へ至る間に、冷却機構67が動作するように構成されている。これによって、包装袋Bの袋口をヒートシールによって封止することができる。
【0032】
第9停止位置は、搬出工程が行われる。搬出工程には搬出装置13が用いられる。
搬出装置13は、図1及び図3に示すように、搬出コンベア70を有している。搬出コンベア70は、始端が包装機本体11側、終端が反包装機本体11側にあり、包装機本体11側から包装機10の外に向かって周回する搬出ベルト71を備え、当該搬出ベルト71に包装袋Bを乗せて包装機10から搬出可能に構成されている。搬出コンベア70は、搬出コンベア動作可変機構72によって回転速度又は回転トルクのいずれか一方又は双方が調整可能に構成されている。これによって、たとえば、包装袋B内の被包装物の重さに応じて搬出ベルト71の動作を調整し、当該搬出ベルト71上を移動する包装袋Bの間隔を一定にして、系外へ搬出することができる。
また、搬出コンベア70は、包装袋Bに対する上下位置を調整可能な搬出コンベア位置可変機構73に取り付けられている。搬出コンベア位置可変機構73は、図3に示すように、包装機本体11のベース部分に固定されている。これによって、たとえば、包装袋Bの袋長さに応じて、当該包装袋Bの下端と所定の距離まで搬出ベルト71の上面を近接させることができる。そのため、包装袋Bの搬出時にグリップ対17から包装袋Bが外されたとき、搬出ベルト71上へ落下する衝撃を抑制することができる。
【0033】
ここで、第8停止位置から第9停止位置へ至る間でシール工程の冷却機構67が包装袋Bのシール部分を冷却している間、又は第9停止位置から搬出コンベア70上で包装袋Bが移動している間に検査工程が行われる。検査工程には検査装置27が用いられる。
検査装置27は、レーザー式ガス濃度測定装置75を有している。レーザー式ガス濃度測定装置75は、レーザー光が出射される出射部76とレーザー光が入射される入射部77を備え、出射部76と入射部77の間に包装袋Bを挟んで、当該包装袋Bを透過したレーザー光が、包装袋B内の不活性ガス及び不活性ガス以外の残留ガスに吸収された吸光度を測定することによって残留ガスのガス濃度を測定可能に構成されている。
ここで、包装袋Bがレーザー光を透過しにくい素材の場合、又は包装袋Bに被包装物が充填されている場合に、レーザー光が透過可能な位置が包装袋Bの所定の位置に形成される。当該位置を検査窓部78とする。
検査窓部78は、包装袋Bの袋長さが切り替えられたとき、位置が変わる。したがって、レーザー式ガス濃度測定装置75は、包装袋の袋長さに応じて、レーザー式ガス濃度測定装置75の包装袋Bに対する上下位置を調整可能な測定装置位置可変機構79に取り付けられている。これによって、検査窓部78に対してレーザー光を照射することができ、非接触で包装袋B内の残留ガス濃度を検査することができる。
【0034】
第10停止位置は、グリップ対17を強制的に解放する強制解放機構80が設けられ、不良品の包装袋Bを包装機10から排出する処理を行う排出工程が行われる。
第10停止位置には、図1に示すように、搬送経路の下方に排出スロープ14が配置されている。第10停止位置にグリップ対17が至ると、強制解放機構80がグリップ対の爪部を解放する。ここで、搬送経路上の包装工程において不良品と判定された包装袋Bは、強制的に解放されたグリップ対17から落下して排出スロープ14から包装機10外へ排出される。強制解放機構80がグリップ対17を空にすることによって、環状に形成された搬出経路において、グリップ対17は次の第1停止位置で給袋装置12から包装袋Bを受け取ることができる。
【0035】
上記のように包装機本体11を囲繞するように設けた搬送経路に沿って包装工程を構成する各工程を担う各種装置が取り付けられた包装機10は、図11に示すように、包装機本体11に記録部100と制御部101を有している。記録部100と制御部101は、包装機10を構成する各種装置と、図11に示すように、通信可能に接続されている。
【0036】
記録部100は記録媒体(図示略)を備えている。記録媒体は、本実施例においては一般的なハードディスクドライブ(HDD)が使用されている。なお、これに限定されることなく、たとえば、ソリッドステートドライブ(SSD)、 RAM、USBメモリ等、複数の情報を読み出しと書き込みが自在な記録媒体であれば良い。記録媒体には、包装袋Bに係る情報が含まれた複数の袋データと、被包装物に係る情報が含まれた複数の被包装物データが記録保存されている。
袋データは、包装袋Bの袋形状を特定可能なデータであって、少なくとも、包装袋Bの袋幅と袋長さに係る情報が含まれている。また、好ましくは、素材、厚み、透光率等、包装袋の袋形状をより一層詳しく特定するための情報を加えても良い。
被包装物データは、被包装物の種類を特定可能なデータであって、少なくとも、包装袋Bへ充填される充填量、重さ、粉粒体の場合はその粒度に係る情報が含まれている。また、好ましくは、固体か又は液体か、また柔軟性、流動性等、被包装物の種類をより一層詳しく特定するための情報を加えても良い。
【0037】
制御部101は、搬送経路上のグリップ対17の間欠動作を制御し、包装機本体11に取り付けた上記の各種装置が、グリップ対17の移動に同期して、第1停止位置から第10停止位置のそれぞれで行う包装工程を構成する各工程に係る処理を制御するように形成されている。これによって、グリップ対17が包装機本体11を搬送経路に沿って一周する間に、包装袋Bへ被包装物を充填して袋製品を形成する包装工程に係る処理を行う事ができる。
また、制御部101は、記録部100から一の袋データと一の被包装物データを呼び出し、組み合わせて一の袋製品データを構成可能に形成されている。これによって、包装機10において、所定の包装袋Bへ所定の被包装物を充填した所定の袋製品を形成することができる。
そして、複数の袋データと複数の被包装物データから、一の袋データと一の被包装物データを呼び出して組み合わせることで、複数の袋製品データを形成することができ、複数の袋製品データとして、特定の袋データに対して特定の被包装物データが定められている場合よりも、汎用性を高めることができ、包装袋又は被包装物の変更について容易に対応させることができる。
さらに、制御部101内で袋データと被包装物データを組み合わせて袋製品データを構成することで、記録部100へ袋データ又は被包装物データをそれぞれ別個に記録して、組み合わせるパターン数を容易に増やし、また製造する袋製品に合わせて、袋データ又は被包装物データのいずれか一方を書き換えることで容易に対応させることができる。
【0038】
上記の構成を有する包装機10は、制御部101において一の袋製品データから他の袋製品データへ切り替えられたとき、又は一の袋製品データが指定されたとき、次に説明するように動作する。
データの切り替え又はデータの指定には、入力装置(図示略)が使用される。
入力装置は、制御部101を備えた包装機本体11に直接接続されたキーボード又はマウス或いはこれらに類する入力デバイス類、若しくは包装機本体11とインターネット、又は構内通信網(LAN)或いはこれらに類する情報通信網類と有線又は無線によって接続された端末装置からなる。
これによって、データ切替又はデータ指定を容易に行う事ができ、また包装機から離れた場所からでも、スマートホン、タブレット、パソコン或いはこれらに類する端末装置類を用いて容易に入力することができる。
【0039】
図11に示すように制御部101と接続された各種装置との間では、制御部101から各種装置へ向かう制御信号と各種装置から制御部101へ向かう応答信号が周期的に双方向通信可能に構成されている。これによって、包装袋Bへ被包装物を充填して袋製品を形成する包装工程に係る各種処理を行うために、包装機本体11の搬送装置と、包装機本体の周囲に取り付けた各装置との動作を同期させて、搬送経路上で間欠的に移動する包装袋へ、第1停止位置から第10停止位置において所定の処理を同調させることができる。
【0040】
ここで、制御部101から各種装置へ向かって送信され、当該制御部101が各種装置を制御する制御信号には、袋製品データに係る情報が含まれている。
制御部101において、一の袋製品データから他の袋製品データへ切り替えられたとき、又は一の袋製品データが指定されたとき、制御部101は、一の袋製品データに係る所定の情報から他の袋製品データに係る所定の情報へ切り替わった制御信号を送信し、又は一の袋製品データに係る所定の情報を含めた制御信号を送信する。
このように、制御部101から各種装置へ周期的に送信される制御信号に含まれている所定の情報がデータ切替又はデータ指定によって変位したとき、各種装置では制御信号内の変位した情報を読み取って、一の袋製品に対して最適化された各装置の位置、幅等の可変要素を、他の袋製品に対して最適な位置へ移動させ、幅を調整することができ、一の袋製品に係る包装工程から、他の袋製品に係る包装工程へ自動的に、かつ、瞬時に組み替えることができる。
【0041】
まず、上記のように制御部101で袋製品データが切り替えられたとき、当該袋製品データを構成する袋データに含まれている包装袋Bの袋幅に関する情報が切り替った場合について説明する。
このとき、袋幅の切り替えに応じて、設定が切り替わる値は、搬送経路に係るグリップ対17の爪幅と、給袋装置12の給袋コンベア30が有するガイドプレート対33のガイド幅と、開口装置18の開口吸盤対37の幅と、シール装置25が袋口を閉鎖するときのグリップ対17のグリップ幅である。
【0042】
搬送装置のグリップ対17は、図5に示すように、爪幅を近接又は離反可能な基準幅リンクユニット17aを備えた爪幅可変機構を有している。爪幅可変機構は、制御信号に含まれている情報が変位して、袋幅が拡がったとき、基準幅リンクユニット17aを動作させて爪部を互いに離反させて爪幅を拡げ、袋幅が狭まったとき、爪部を近接させて爪幅を狭めるように形成されている。
これによって、包装袋を切り替えたとき、速やかにグリップ対の爪幅を包装袋の袋幅に対応させることができる。
また、基準幅リンクユニット17aが爪幅を拡げる処理と同期して、各種装置の動作に合わせてグリップ対17を動かして爪幅を変化させる動作リンクユニット17bの初期位置も変化するように構成されている。
【0043】
給袋工程に係る給袋装置12のガイドプレート対33は、図11に示すように、ガイドプレート対33のガイド幅を近接又は離反可能なガイド幅可変機構33aを有している。ガイド幅可変機構33aは、制御信号に含まれている情報が変位して、袋幅が拡がったとき、ガイドプレート対33を互いに離反させてガイド幅を拡げ、袋幅が狭まったとき、ガイドプレート対33を近接させてガイド幅を狭めるように形成されている。
これによって、包装袋を切り替えたとき、ガイドプレート対33の間にストックされる包装袋Bの幅を揃え、給袋吸盤34が吸着する位置を揃え、包装袋Bをグリップ対17へ受け渡すとき、ズレを防止することができる。
【0044】
開口工程において、図2又は図11に示すように、包装袋Bを挟んで対なすように配置された開口吸盤対37は、開口吸盤幅可変機構37aによって、グリップ対17で把持された包装袋Bの上端近傍の所定の位置を吸着し、包装袋Bの表裏面を互いに相反する方向へ引っ張って袋口を開口するように形成されている。
開口吸盤対37は、制御信号に含まれている情報が変位して、袋幅が拡がったとき、一方の開口吸盤と他方の開口吸盤との間の距離を拡げ、袋幅が狭まったとき、一方の開口吸盤と他方の開口吸盤との間の距離を狭めるように形成されている。
これによって、切り替えた包装袋Bの袋幅に応じて、開口吸盤対37が最適な距離で包装袋Bの上端近傍を引っ張って開口することができるので、袋口を大きく開口させることができる。
【0045】
また、シール工程に係るシール装置25は、第8停止位置において包装袋Bの袋口を閉鎖してヒートシールする処理を行う。このとき、シール装置25が有する袋口閉鎖機構65がグリップ対17を相反する方向へ離隔して包装袋Bの袋口を閉じるように形成されている。袋口閉鎖機構65は、制御信号に含まれている情報が変位して、袋幅が拡がったとき、グリップ対17を互いに離反させてグリップ幅を拡げ、袋幅が狭まったとき、グリップ対17を近接させてグリップ幅を狭めるように形成されている。
これによって、切り替えた包装袋Bの袋幅に応じて、グリップ対17が最適な距離で袋口を引っ張って閉鎖することができるので、袋口のシワ発生を防止して、シール不良を防止することができる。
なお、袋口閉鎖機構65が袋口を閉じる動作に替えて、爪幅可変機構の動作リンクユニット17bが爪幅を拡げて袋口を閉じるようにしても良い。
【0046】
次に、制御部101で袋製品データが切り替えられたとき、当該袋製品データを構成する袋データに含まれている包装袋Bの袋長さに関する情報が切り替った場合について説明する。
このとき、袋長さの切り替えに応じて、設定が切り替わる値は、給袋装置12の供給機構31が備える給袋吸盤対34の包装袋Bに対する上下位置及び給袋吸盤34がグリップ対17へ包装袋Bを受け渡す供給周期、並びにストックしている包装袋Bを送る給袋ベルト32の速度と、印字装置19が備える印字ヘッド40の包装袋Bに対する上下位置と、充填装置21の充填ジョウゴ51の包装袋Bに対する上下位置と、脱気装置22の脱気ノズル56の包装袋Bに対する上下位置と、ガス置換装置23のガスノズル55の包装袋Bに対する上下位置と、整形装置24の振動機構61が備えるブラケット60の包装袋Bに対する上下位置と、搬出装置13の搬出コンベア70の包装袋に対する上下位置、及び検査装置27が有するレーザー式ガス濃度測定装置75の包装袋Bに対する上下位置である。
【0047】
給袋工程において、図2に示すように、給袋吸盤対34は、給袋コンベア30上に載置された包装袋Bの上端近傍の所定位置を吸着し、包装袋Bを捲り上げてグリップ対17に受け渡すように構成されている。
制御信号に含まれている情報が変位して、袋長さが短くなった場合、包装袋B下端縁部を給袋ベルト32上からすぐに離すことができるので、給袋ベルト32上の包装袋Bを包装機本体11側へ近づけさせることができる。そのため、給袋ベルト32の速度を早くして、包装機本体11側へ送り込まれる包装袋Bをより一層包装機本体11側へ近づけるようにすれば良い。このとき、包装袋Bは給袋ベルト32上からグリップ対17への移動距離が短くなることから、第1停止位置へ所定の周期で停止するグリップ対17に対する包装袋Bの受け渡しが同期するように、包装袋Bを給袋ベルト32上から捲り上げてグリップ対17へ受け渡す供給周期を長くすれば良い。
一方、袋長さが長くなった場合、袋長さが短かった場合よりも包装袋Bの下端縁部を給袋ベルト32上から離す移動距離が長くなるので、給袋ベルト32上の包装袋Bを包装機本体11側から遠ざけた方が良い。そのため、給袋ベルト32は、速度を遅くして包装機本体11側へ送り込まれる包装袋Bを包装機本体11側から遠ざけるようにすれば良い。このとき、包装袋Bは給袋ベルト32上からグリップ対17への移動距離が長くなることから、第1停止位置へ所定の周期で停止するグリップ対17に対する包装袋Bの受け渡しが同期するように、包装袋Bを給袋ベルト32上から捲り上げてグリップ対17へ受け渡す供給周期を短くすれば良い。
このように、包装袋Bの袋長さに応じて、給袋ベルト32上に載置される包装袋Bを吸着してグリップ対17へ受け渡す位置が変わるので、それに合わせて給袋吸盤34の位置を変え、また当該給袋吸盤34が給袋ベルト32上から第1停止位置へ停止したグリップ対17へ包装袋Bを受け渡す供給周期も変えることによって、給袋装置12は、所定の周期で第1停止位置に停止するグリップ対17へ常に同じタイミングで包装袋Bを供給することができる。
【0048】
また好ましくは、印字工程において、印字装置19は、図2に示すように、包装袋Bに設けた所定の印字エリアに対向配置され、包装袋Bに対してインク又はトナーを噴き付ける印字ヘッド40を有している。印字ヘッド40は印字位置調整機構41に取り付けられ、当該印字位置調整機構41は、印字ヘッド40が印字エリアに対向するように包装袋Bに対する上下位置を調整可能に構成されている。
ここで、袋製品データには、袋データ、被包装物データとは独立して印字データが含められている。または袋製品データを構成する袋データには、印字データが含められている。
印字データとは、印字エリアに印字される情報をいう。当該情報は、少なくとも所定のフォント、所定のフォントサイズ、及び所定の文言からなり、さらにたとえば、印字エリアを囲繞する飾り枠、所定のキャラクター等であっても良い。
制御部101が記憶部100から印字データが含まれた袋データ、または印字データを呼び出して、被包装物データと組み合わせることによって、所定の袋製品データが構成される。
一の袋製品データから他の袋製品データに切り替えられて、制御信号に含まれている情報が変位し、袋長さが短くなり、包装袋Bに対して相対的に印字エリアが上がったとき、印字位置調整機構41は印字ヘッド40を上げ、袋長さが長くなり、包装袋Bに対して相対的に印字エリアが下がったとき、印字位置調整機構41は印字ヘッド40を下げる。
これによって、包装袋Bの長さと印字エリアの位置の変化に応じて、印字位置調整機構41は印字ヘッド40の位置を包装袋Bの印字エリアに対向する所定の位置へ移動させて、当該印字エリアに所定の文言等を印字することができる。
【0049】
充填工程において、充填装置21は、図2に示すように、充填ジョウゴ51を包装袋Bの奥深くまで差し込んで被包装物を充填するように構成されている。
充填装置21は、図7又は図8に示すように、当該充填ジョウゴ51を取り付けたジョウゴ位置可変機構52に備わるガイドローラー52bがジョウゴガイドレール52aに沿って移動することによって、搬送経路に沿って包装機本体11を巡る充填ジョウゴ51の包装袋に対する相対的な高さを変えている。
ここで、制御信号に含まれている情報が変位して、袋長さが短くなった場合、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上げることによって、包装袋Bへ差し込まれる充填ジョウゴ51の位置を上げることができる。一方、袋長さが長くなった場合、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を下げることによって、包装袋Bへ差し込まれる充填ジョウゴ51の位置を下げることができる。
これによって、包装袋Bの袋長さを切り替えた場合であっても、充填ジョウゴ51を包装袋Bの奥深くまで差し込むことができ、たとえば、粉状の被包装物を充填した場合に巻き上がる粉の量を抑えることができる。
このように、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整することによって、充填ジョウゴ51の包装袋Bに対する相対的な高さを包装袋Bの袋長さに応じて、変えることができる。
なお本実施例では、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整したがこれに限定されず、包装機本体11に対するジョウゴガイドレール52a全体の取付位置を上下に調整することによってもまた同様な効果を得ることができる。
【0050】
また好ましくは、脱気工程において、脱気装置22は、充填ジョウゴ51の中に脱気ノズル56を通し、当該脱気ノズル56を包装袋Bの奥深くまで差し込んで当該包装袋B内を脱気するように構成されている。脱気ノズル56は、図11に示すように、充填ジョウゴ51、及びガスノズル55と共にジョウゴ位置可変機構52によって包装袋Bに対する上下位置が変更可能に構成されている。
ここで、制御信号に含まれている情報が変位して、袋長さが短くなった場合、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上げることによって、包装袋Bへ差し込まれる脱気ノズル56の位置を上げることができる。一方、袋長さが長くなった場合、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を下げることによって、包装袋Bへ差し込まれる脱気ノズル56の位置を下げることができる。
これによって、包装袋Bの袋長さを切り替えた場合であっても、脱気ノズル56を包装袋Bの奥深くまで差し込むことができ、粉粒体状の被包装物の隙間に残留している空気を効率よく抜くことができる。
このように、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整することによって、脱気ノズル56の包装袋Bに対する相対的な高さを包装袋Bの袋長さに応じて、変えることができる。
なお本実施例では、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整したがこれに限定されず、包装機本体11に対するジョウゴガイドレール52a全体の取付位置を上下に調整することによってもまた同様な効果を得ることができる。また、ジョウゴ位置可変機構52とは別個に、脱気ノズル56の包装袋Bに対する上下位置を調整する脱気ノズル位置可変機構を設けても良い。
【0051】
ガス置換工程において、ガス置換装置23は、図2図7又は図8に示すように、充填ジョウゴ51に沿って取り付けたガスノズル55を有し、当該ガスノズル55は同図に示すように、充填ジョウゴ51、脱気ノズル56と共に、ジョウゴ位置可変機構52によって包装袋Bに対する上下位置が変更可能に構成されている。
したがって、制御信号に含まれている情報が変位して、袋長さが短くなった場合、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上げることによって、包装袋Bへ差し込まれるガスノズル55の位置を上げることができる。一方、袋長さが長くなった場合、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を下げることによって、包装袋Bへ差し込まれるガスノズル55の位置を下げることができる。
これによって、包装袋Bの袋長さを切り替えた場合であっても、ガスノズル55を包装袋Bの奥深くまで差し込むことができ、包装袋Bの奥底から万遍なく包装袋B内を不活性ガスで満たすことができる。
このように、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整することによって、ガスノズル55の包装袋Bに対する相対的な高さを包装袋Bの袋長さに応じて、変えることができる。
なお本実施例では、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整したがこれに限定されず、包装機本体11に対するジョウゴガイドレール52a全体の取付位置を上下に調整することによってもまた同様な効果を得ることができる。また、ジョウゴ位置可変機構52とは別個に、ガスノズル55の包装袋Bに対する上下位置を調整するガスノズル位置可変機構を設けても良い。
【0052】
整形工程において、整形装置24は、図2又は図10図11に示すように、包装袋Bの下端を支持するブラケットを備えた振動機構61を有している。振動機構61はブラケット位置可変機構62に固定され、当該ブラケット位置可変機構62は、搬送装置16のグリップ対17下方の所定位置に取り付けられ、振動機構61を上下移動可能に構成されている。これによって、ブラケット位置可変機構62を制御して振動機構61の上下位置を調整することによって、相対的にブラケット60の包装袋Bに対する上下位置を調整することができる。
ここで、制御信号に含まれている情報が変位して、袋長さが短くなった場合、ブラケット60が包装袋Bの下端に当接するまでブラケット位置可変機構62上で振動機構61の取付位置を上げ、袋長さが長くなった場合、今度はブラケット60が包装袋Bの下端に当接する位置までブラケット位置可変機構62上で振動機構61の取付位置を下げるよう構成されている。
これによって、包装袋Bの長さに応じて、ブラケット位置可変機構62は、ブラケット60が包装袋Bに必要以上に食い込んだりしないように、包装袋B下端に当接して支持する最適な位置に振動機構61の取付位置を上下に移動させることができる。
【0053】
搬出工程において、搬出装置13は、図2図3に示すように、包装機本体11側を始端とし、反包装機本体11側を終端として、始端から終端に向って、すなわち包装機10外へ包装袋Bを搬出する搬出ベルト71を備えた搬出コンベア70を有している。搬出コンベア70は、搬出コンベア位置可変機構73に取り付けられ、当該搬出コンベア位置可変機構73は、包装機本体11の第9停止位置に対向するベース部に取り付けられ、搬出コンベア70を上下移動可能に構成されている。これによって、搬出コンベア位置可変機構73を制御して、搬出コンベア70の上下位置、すなわち搬出ベルト71上面の位置が包装袋Bに対して近接するように搬出コンベア70の設置高さを調整することができる。
ここで、制御信号に含まれている情報が変位して、袋長さが短くなった場合、搬出コンベア位置可変機構73は、搬出コンベア70を上げ、袋長さが長くなった場合、搬出コンベア位置可変機構73は、搬出コンベア70を下げて、搬出ベルト71上方に包装袋Bの下端が近接するように調整する。
これによって、搬出工程において、グリップ対17が包装袋Bを離し、包装袋Bが搬出ベルト71上に落下するとき、包装袋Bと搬出ベルト71の距離を短くすることができるので、包装袋Bが落下したときの衝撃を緩和軽減し、又は搬出ベルト71の撓みによって吸収することができ、袋製品の損傷を防止することができる。
【0054】
また好ましくは、検査工程において、図11に示すように、検査装置27は、レーザー式ガス濃度測定装置75を用いて、包装袋B内に残留している残留ガスの濃度を検査するように構成されている。
レーザー式ガス濃度測定装置75は、所定のレーザー光を包装袋Bに対して出射する出射部76と、包装袋を透過したレーザー光が入射する入射部77を有し、ガス置換装置23が包装袋B内を不活性ガスでガス置換した後の包装袋B内に残留している不活性ガス以外の残留ガスのガス濃度を、レーザー光が包装袋B内で残留ガスに吸光された吸光度に基づいて測定するように構成されている。このとき、レーザー光が透過可能な透明な包装袋Bではなく、たとえば、濃色で形成された包装袋Bであったり、包装袋Bに充填した被包装物によってレーザー光が阻害されるような場合には、レーザー光を透過させる検査窓部78を包装袋Bの所定位置に設けるようにすれば良い。当該検査窓部78の位置に係る情報は、袋データに含まれている。
レーザー式ガス濃度測定装置75は、出射部76と入射部77が包装袋Bに設けられた検査窓部78に対向するように、包装袋Bに対してレーザー式ガス濃度測定装置75を上下移動させることができる測定装置位置可変機構79に取り付けられている。
ここで、制御信号に含まれている情報が変位して、袋長さが短くなった場合であって、かつ、検査窓部78が相対的に上方へ移動したとき、測定装置位置可変機構79は、レーザー式ガス濃度測定装置75の出射部76と入射部77が検査窓部78に対向するようにレーザー式ガス濃度測定装置75を上げる。一方、袋長さが長くなった場合であって、かつ、検査窓部78が相対的に下方へ移動したとき、測定装置位置可変機構79は、レーザー式ガス濃度測定装置75の出射部76と入射部77が検査窓部78に対向するようにレーザー式ガス濃度測定装置75を下げる。
これによって、レーザー光を常に検査窓部78へ透過させることができ、レーザー式ガス濃度測定装置75によって包装袋B内の残留ガスのガス濃度を非接触で検査することができる。
【0055】
続いて、制御部101で袋製品データが切り替えられたとき、当該袋製品データを構成する被包装物データに含まれている被包装物に関する情報が切り替った場合について説明する。
このとき、被包装物の情報は、少なくとも包装袋Bへ充填される充填量、充填された被包装物の重さ、被包装物が粉粒体である場合にはその粒度であり、また好ましくは、被包装物の種類、粘性、個数といった包装袋Bに充填される被包装物を特定可能な情報である。
被包装物データに含まれている被包装物に関する情報が切り替わったとき、それに応じて設定が切り替わる値は、充填装置21の充填ジョウゴ51の包装袋Bに対する上下位置、脱気装置22の脱気ノズル56の包装袋Bに対する上下位置、ガス置換装置55のガスノズル55の包装袋に対する上下位置、整形装置24の振動機構61がブラケット60を振動させるときの所定の振動数、及び当該ブラケット60の包装袋Bに対する上下位置、搬出装置13の搬出コンベア70にかかる回転トルクである。
【0056】
充填工程において、充填装置21は、図7又は図8に示すように、充填ジョウゴ51を包装袋Bの奥深くまで差し込んで被包装物を充填するように構成されている。充填装置21は、図7又は図8に示すように、当該充填ジョウゴ51を取り付けたジョウゴ位置可変機構52に備わるガイドローラー52bがジョウゴガイドレール52aに沿って移動することによって、搬送経路に沿って包装機本体11を巡る充填ジョウゴ51の包装袋に対する相対的な高さを変えている。
ここで、制御信号に含まれている情報が変位して、被包装物の充填量が多くなって、包装袋内の被包装物の嵩が増えた場合、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上げることによって、包装袋Bへ差し込まれる充填ジョウゴ51の位置を上げることができ、被包装物の充填量が少なくなって、包装袋B内の被包装物の嵩が小さくなった場合、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を下げることによって、包装袋Bへ差し込まれる充填ジョウゴ51の位置を下げることができる。
これによって、包装袋Bに充填する被包装物の充填量を切り替えた場合であっても、充填ジョウゴ51を包装袋B内の適切な位置まで差し込むことができ、たとえば、粉状の被包装物を充填した場合に巻き上がる粉の量を抑えることができる。
このように、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整することによって、充填ジョウゴ51の包装袋Bに対する相対的な高さを、包装袋Bに充填する被包装物の量又は嵩に応じて変えることができる。
なお本実施例では、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整したがこれに限定されず、包装機本体11に対するジョウゴガイドレール52a全体の取付位置を上下に調整することによってもまた同様な効果を得ることができる。
【0057】
また好ましくは、脱気工程において、脱気装置22は、脱気ノズル56を充填ジョウゴ51内へ挿入して、包装袋Bの奥深くまで差し込んで包装袋B内を脱気するように構成されている。脱気ノズル56は、充填ジョウゴ51と共に取り付けたジョウゴ位置可変機構52に備わるガイドローラー52bがジョウゴガイドレール52aに沿って移動することによって、搬送経路に沿って包装機本体11を巡る脱気ノズル56の包装袋Bに対する相対的な高さを変えている。
ここで、制御信号に含まれている情報が変位して、被包装物の充填量が多くなって、包装袋B内の被包装物の嵩が増えた場合、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上げることによって、包装袋Bへ差し込まれる脱気ノズル56の位置を上げることができ、被包装物の充填量が少なくなって、包装袋B内の被包装物の嵩が小さくなった場合、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を下げることによって、包装袋Bへ差し込まれる脱気ノズル56の位置を下げることができる。
これによって、包装袋Bに充填する被包装物の充填量を切り替えた場合であっても、脱気ノズル56を包装袋B内の適切な位置まで差し込むことができ、たとえば、粉状の被包装物を充填した場合に巻き上がる粉の量を抑えることができる。
このように、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整することによって、脱気ノズル56の包装袋Bに対する相対的な高さを、包装袋Bに充填する被包装物の量又は嵩に応じて変えることができる。
なお本実施例では、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整したがこれに限定されず、包装機本体11に対するジョウゴガイドレール52a全体の取付位置を上下に調整することによってもまた同様な効果を得ることができる。また、ジョウゴ位置可変機構52とは別個に、脱気ノズル56の包装袋Bに対する上下位置を調整する脱気ノズル位置可変機構を設けても良い。
【0058】
ガス置換工程において、ガス置換装置23は、図2図7又は図8に示すように、充填ジョウゴ51に沿って取り付けたガスノズル55を有し、当該ガスノズル55は同図に示すように、充填ジョウゴ51と共に、ジョウゴ位置可変機構52によって上下位置が変更可能に構成されている。
したがって、制御信号に含まれている情報が変位して、被包装物の充填量が多くなって、包装袋B内の被包装物の嵩が増えた場合、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上げることによって、包装袋Bへ差し込まれるガスノズル55の位置を上げることができ、被包装物の充填量が少なくなって、包装袋B内の被包装物の嵩が小さくなった場合、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を下げることによって、包装袋Bへ差し込まれるガスノズル55の位置を下げることができる。
これによって、包装袋Bに充填する被包装物の充填量を切り替えた場合であっても、ガスノズル55を包装袋B内の適切な位置まで差し込むことができ、たとえば、粉状の被包装物を充填した場合に巻き上がる粉の量を抑えることができ、また、包装袋Bの奥底から当該包装袋B内を万遍なく不活性ガスで満たすことができる。
このように、ガイドローラー52bに対してジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整することによって、ガスノズル55の包装袋Bに対する相対的な高さを、包装袋Bに充填する被包装物の量又は嵩に応じて変えることができる。
なお本実施例では、ガイドローラー52bに対するジョウゴ位置可変機構52の取付位置を上下に調整したがこれに限定されず、包装機本体11に対するジョウゴガイドレール52a全体の取付位置を上下に調整することによってもまた同様な効果を得ることができる。また、ジョウゴ位置可変機構52とは別個に、ガスノズル55の包装袋Bに対する上下位置を調整するガスノズル位置可変機構を設けても良い。
【0059】
整形工程において、整形装置24は、図10に示すように、包装袋Bの下端を支持するブラケット60を備えた振動機構61を有している。振動機構61はブラケット位置可変機構62に固定され、当該ブラケット位置可変機構62は、包装機本体11の搬送装置16が有するグリップ対17の下方に取り付けられ、振動機構61を上下移動可能に構成されている。これによって、ブラケット位置可変機構62を制御して振動機構61の上下位置を調整することによって、相対的にブラケット60の包装袋Bに対する上下位置を調整することができる。
ここで、制御信号に含まれている情報が変位して、被包装物の充填量が多くなって、包装袋Bの重さが重くなった場合、振動機構61を調整して、たとえばブラケット60の振動数を少なくし、ブラケット60の振幅を大きくして、ブラケット60を大きくゆっくり振動させるように制御することができる。一方、被包装物の充填量が少なくなって、包装袋の重さが軽くなった場合、振動機構61を調整して、たとえば、ブラケット60の振動数を多くし、ブラケット60の振幅を小さくして、ブラケット60が細かく振動するように制御することができる。
また、被包装物の粒度が大きい場合には、大きく包装袋Bを揺らせるように、、振動機構61を調整して、たとえばブラケット60の振動数を少なくし、ブラケット60の振幅を大きくして、ブラケット60を大きくゆっくり振動させるように制御することができる。一方、被包装物の粒度が小さい場合には、細かく包装袋Bを揺らせるように、振動機構61を調整して、たとえば、ブラケット60の振動数を多くし、ブラケット60の振幅を小さくして、ブラケット60が細かく振動するように制御することができる。
このように、包装袋Bに充填される被包装物の状態又は特性が切り替えられた場合であっても、ブラケット60の振動数、振幅等からなるブラケット60の振動を切り替えることによって、整形装置24は、被包装物が充填された包装袋Bに対して最適な振動を加えることができ、被包装物を包装袋B内へ詰め込んで、被包装物間に形成される隙間を潰し、袋製品の流通時に容易に運搬できる形状に包装袋Bを整えることができる。
【0060】
搬出工程において、搬出装置13は、図3に示すように、包装機本体11側を始端とし、反包装機本体11側を終端として、始端から終端に向って、すなわち包装機10外へ包装袋Bを搬出する搬出ベルト71を備えた搬出コンベア70を有している。搬出コンベア70は、搬出ベルト32を駆動する搬出コンベア70が有するモータの回転速度又は回転トルクを調整可能な搬出コンベア動作可変機構72を有している。
搬出コンベア動作可変機構72は、包装袋Bの重さが切り替えられた場合に、包装袋Bの重さに応じて、搬出コンベア70のモータの回転速度又は回転トルクのいずれか一方又は双方を調整可能に構成されている。
ここで制御信号に含まれている情報が変位して、被包装物の充填量が増え、包装袋Bの重さが重くなった場合、搬出コンベア動作可変機構72は、モータの回転速度を遅くして搬出ベルト71にかかる負荷を緩和するか、若しくはモータの回転トルクを大きくして搬出ベルト71にかかるトルクを大きくして、重い包装袋Bを所定の間隔で系外へ搬出するように制御するように構成されている。
一方、被包装物の充填量が減って、包装袋Bの重さが軽くなった場合、搬出コンベア動作可変機構72は、モータの回転速度を速くして搬出ベルト71で搬出する包装袋Bの処理個数を増やすか、モータの回転トルクを小さくして搬出ベルト71にかかるトルクを小さくして、軽い包装袋Bを所定の間隔で系外へ搬出するように制御するように構成されている。
これによって、被包装物の増減に伴う包装袋の重さが切り替えられた場合であっても、搬出する処理個数、搬出ベルト71にかかる負荷を考慮して、搬出ベルト71の速度又はトルクを切り替え、搬出ベルト71上の袋製品を等間隔で搬出すると共に、単位時間当たりの搬出個数を調整することができ、また最適なトルクに調整することによって、袋製品と搬出ベルト71上面との摩擦を抑え、搬出時に袋製品が損傷することを防止することができる。
【0061】
上記のように、包装機本体11に取り付けられている各種装置は、当該各種装置に向けて包装機本体11の制御部101から送信される制御信号を周期的に受信するように構成されている。当該制御信号には、袋製品データを構成する袋データと被包装物データ、また好ましくは印字データに含まれている情報が含まれている。
制御部101において、一の袋製品データから他の袋製品データへ切り替えたとき、又は一の袋製品データを指定したとき、制御部101が出力する制御信号に含まれている包装袋B又は被包装物に係る情報は変位する。また、制御部101は、各種装置へ制御信号を一斉に送信するように構成されている。
これによって、制御信号を受信した各種装置は、制御部101で袋製品を切り替えたり、又は袋製品を指定したとき、包装袋B又は被包装物に係る切り替えられた情報又は指定された情報に基づいて、各種装置が備える各種機構を動作させるように構成されている。
したがって、一の袋製品データに基づいて一の袋製品に対して最適に配置、セッティングされた各種装置による包装工程を、他の袋製品データに基づいた他の袋製品に対する最適な配置、セッティングの各種装置による包装工程へ自動的に切り替えることができ、また、指定された一の袋製品データに基づいて、一の袋製品にかかる最適な包装工程を実現可能な各種装置の位置へ自動的に設定することができる。
【0062】
本実施例に係る包装システムによれば、記録部100に記録した包装袋Bに係る袋データと、被包装物に係る被包装物データを、制御部101で組み合わせて所定の包装袋に所定の被包装物を充填して形成される所定の袋製品に係る袋製品データを形成するようにした。
これによって、包装袋Bを切り替えたり、指定するとき、又は被包装物を切り替えたり、指定するときに、袋データ又は被包装物データのいずれか一方を切り替え又は指定することで袋製品の切り替え又は指定に対処することを容易に行うことができる。また、袋データと被包装物データを別個に用意してそれを組み合わせることで、包装機本体11に取り付けた各種装置を制御するパラメータ数を増やすことができ、より一層細かく各種装置による包装工程を制御することできる。
また、袋製品データに基づいて各種装置を動作させるようにしたことによって、袋製品を切り替えるとき、又は包装機10を設置して製造する袋製品を指定するとき、各種装置のバランスを調整する等の手間を無くして、調整に伴うメンテナンス時間を短縮し、さらに、作業コストを抑えることができる。
【0063】
また、本実施例に係る包装システムによれば、袋製品データに基づいて包装機本体11に対する各種装置の取付位置、動作タイミングを容易に設定することができる。
これによって、従来、作業員の手によって調整し、当該作業員のコツや手腕、経験差によって発生していた包装機10ごとのバラツキを無くすことができ、作業ミス、調整ミスによる不良品発生のリスクを低減することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…包装機、11…包装機本体、12…給袋装置、13…搬出装置、14…排出スロープ、15…操作盤、
16…搬出装置、17…グリップ対、
18…開口装置、19…印字装置、20…印字検査装置、21…充填装置、22…脱気装置、23…ガス置換装置、24…整形装置、25…シール装置、27…検査装置、
17a…基準幅リンクユニット、17b…動作リンクユニット、
30…給袋コンベア、31…供給機構、32…給袋ベルト、32a…給袋ベルト速度可変機構、33…ガイドプレート対、33a…ガイド幅可変機構、34…給袋吸盤対、
35…開口ヘラ、36…開口クリップ、37…開口吸盤対、37a…開口吸盤対幅可変機構、
40…印字ヘッド、41…印字ヘッド位置可変機構、
45…検査カメラ、46…印字検査位置可変機構、
50…ストッカー、51…充填ジョウゴ、52…ジョウゴ位置可変機構、52a…ジョウゴガイドレール、52b…ガイドローラー、
55…ガスノズル、56…脱気ノズル、
60…ブラケット、61…振動機構、62…ブラケット位置可変機構、
65…袋口閉鎖機構、66…シール機構、67…冷却機構、
70…搬出コンベア、71…搬出ベルト、72…搬出コンベア動作可変機構、73…搬出コンベア位置可変機構、
75…レーザー式ガス濃度測定装置、76…出射部、77…入射部、78…検査窓部、79…測定装置位置可変機構、
80…強制解放機構。
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11