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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153532
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】手袋
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/015 20060101AFI20221004BHJP
   A41D 13/08 20060101ALI20221004BHJP
   A41D 13/12 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A41D19/015 610Z
A41D13/08 104
A41D13/12 109
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022118371
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(57)【要約】
【課題】使用後に本体を手から容易に外すことが可能な手袋を提供する。
【解決手段】手袋1は、本体10、及び突起20を備えている。本体10は、袋状をしており、手に密着するように嵌められる。突起20は、本体10の内側に突出している。突起20は、本体10の外側から指で摘むことが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手に密着するように嵌められる袋状の本体と、
前記本体の内側に突出し、当該本体の外側から指で摘むことが可能な突起と、
を備えることを特徴とする手袋。
【請求項2】
請求項1に記載の手袋において、
前記突起は、装着時に前記本体の裾口から食み出さないように設けられている手袋。
【請求項3】
請求項2に記載の手袋において、
前記突起は、前記裾口から離間した位置に設けられている手袋。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、前記本体の裾口の近傍領域に設けられている手袋。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、前記手の甲側に設けられている手袋。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記本体は、前腕を覆う部分である前腕被覆部を有する手袋。
【請求項7】
請求項6に記載の手袋において、
前記突起は、前記前腕被覆部に設けられている手袋。
【請求項8】
請求項7に記載の手袋において、
前記突起は、前記前腕被覆部にのみ設けられている手袋。
【請求項9】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起の高さは、5mm以上である手袋。
【請求項10】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起の前記手に接触する面の面積は、当該突起の前記本体に接続された面の面積よりも大きい手袋。
【請求項11】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起の前記手に接触する面は、当該突起の前記本体に接続された面よりも柔らかい材料からなる手袋。
【請求項12】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、くびれた形状をしている手袋。
【請求項13】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、前記本体と同一の材料からなる手袋。
【請求項14】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、前記本体と異なる材料からなる手袋。
【請求項15】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、前記本体と一体に成形されている手袋。
【請求項16】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、当該突起の内部に充填された空気によって膨らんだ状態にある手袋。
【請求項17】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、中空になっている手袋。
【請求項18】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、前記本体の内面に固定されている手袋。
【請求項19】
請求項18に記載の手袋において、
前記突起は、当該突起の前記本体に接続された面の全体において当該本体に固定されている手袋。
【請求項20】
請求項18に記載の手袋において、
前記突起は、当該突起の前記本体に接続された面の一部においてのみ当該本体に固定されており、
前記面の残部は、前記本体に固定されていない手袋。
【請求項21】
請求項20に記載の手袋において、
前記一部に比して、前記残部は、前記本体の裾口に近い位置にある手袋。
【請求項22】
請求項20に記載の手袋において、
前記一部の幅は、前記残部の幅よりも大きい手袋。
【請求項23】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記突起は、プラスチック及び/又はゴムからなる手袋。
【請求項24】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
1つの前記本体に対してn個(nは1以上3以下の整数)の前記突起が設けられている手袋。
【請求項25】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
左右の手に嵌められる一対の前記本体を備える手袋。
【請求項26】
請求項25に記載の手袋において、
前記一対の本体の一方における前記突起の構成は、当該一対の本体の他方における前記突起の構成と異なる手袋。
【請求項27】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
前記本体は、ゴムからなる手袋。
【請求項28】
請求項27に記載の手袋において、
前記ゴムは、ニトリルゴム又は天然ゴムラテックスである手袋。
【請求項29】
請求項1乃至3の何れかに記載の手袋において、
当該手袋は、医療用である手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手袋としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された手袋は、ゴム又はプラスチックの膜によって一体に形成された袋状の本体からなり、手に密着するように装着される。この手袋は、医療、工業、家事等の様々な場面で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-26062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の手袋によれば、装着者を感染や怪我から守ることができる。また、装着者が触れる相手を感染から守ったり、装着者が触れる物を汚損や汚染から守ったりすることもできる。しかしながら、使用後に手袋を脱ぐ際、本体が手に密着しているため、本体を手から外しにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用後に本体を手から容易に外すことが可能な手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による手袋は、手に密着するように嵌められる袋状の本体と、上記本体の内側に突出し、当該本体の外側から指で摘むことが可能な突起と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この手袋には、本体の内側に突出し、本体の外側から指で摘むことが可能な突起が設けられている。反対の手の指で本体の外側から突起を摘んで持ち上げることにより、本体を手から引き離すことができる。これにより、本体を手から外しやすくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用後に本体を手から容易に外すことが可能な手袋が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による手袋の第1実施形態を示す斜視図である。
図2図1のII-II線に沿った断面の一部を示す図である。
図3】突起20を示す側面図である。
図4】突起20を示す平面図である。
図5図1の手袋の脱着方法を説明するための模式図である。
図6図1の手袋の脱着方法を説明するための模式図である。
図7】本発明による手袋の第2実施形態を示す斜視図である。
図8図7のVIII-VIII線に沿った断面の一部を示す図である。
図9】突起30を示す平面図である。
図10図7の手袋の効果を説明するための模式図である。
図11】変形例に係る突起20を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明による手袋の第1実施形態を示す斜視図である。また、図2は、図1のII-II線に沿った断面の一部を示す図である。図1は、手の甲側を示している。手袋1は、衛生又は安全等の目的で使用される作業用の手袋である。手袋1は、例えば、医療現場で使用される医療用の手袋、介護現場で使用される介護用の手袋、工場で使用される工業用の手袋、又は家庭で使用される家事用の手袋である。手袋1は、使い捨てされる手袋であってもよいし、繰り返し使用される手袋であってもよい。
【0012】
手袋1は、本体10、及び突起20を備えている。本体10は、袋状をしており、装着者の手に嵌められる。本体10は、手の形に合わせて一体に形成されている。本体10は、各指を個別に覆えるように5つの筒状部を有している。各筒状部の先端は、閉塞されている。本体10は、裾口12を有している。裾口12は、本体10に対して手を出し入れするための開口である。本体10は、手の全体を覆うように構成されている。本実施形態において本体10は、前腕(特に手首)まで覆うように構成されている。すなわち、本体10は、前腕を覆う部分である前腕被覆部14を有している。なお、以下の記述における「手」には、前腕(本体10で覆われる部分)も含まれるものとする。
【0013】
本体10は、手に密着するように嵌められる。ここで、手に密着するとは、本体10が伸縮性を有しており、本体10が伸展した状態で手に接するということである。このとき、手には、本体10の収縮力が働く。本体10の伸縮率は、50%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましい。本実施形態において本体10は、ゴムからなる。ゴムとしては、例えば、ニトリルゴム又は天然ゴムラテックスを用いることができる。本体10としては、一般的な市販のゴム手袋を用いてもよい。
【0014】
突起20は、本体10の内側に突出している。突起20は、本体10の内面(本体10が嵌められた手に対向する側の面)に固定されている。本体10に対する突起20の固定は、例えば、接着により行うことができる。手袋1の装着時、突起20は、手と本体10との間に挟まれた状態になる。このとき、突起20が介在する部分を除く本体10の全体が、手に密着する。突起20は、図2に示すように、本体10の手の平側10aでなく、手の甲側10bに設けられている。突起20は、本体10の外側から指で摘むことが可能である。すなわち、突起20は、本体10を介して指で摘むことが可能である。手袋1においては、1つの本体10に対して、突起20が1個だけ設けられている。
【0015】
突起20は、装着時に本体10の裾口12から食み出さないように設けられている。すなわち、装着時、突起20の全体が本体10の内部に隠れた状態になる。突起20は、裾口12から離間した位置に設けられている。突起20は、裾口12の近傍領域V1に設けられている。ここで、近傍領域V1は、手袋1の非装着時(本体10が伸展していない状態)において裾口12から5cm以内にある筒状の領域をいう。近傍領域V1は、上述の前腕被覆部14に含まれている。それゆえ、突起20は、前腕被覆部14に設けられている。特に本実施形態において突起20は、前腕被覆部14にのみ設けられている。
【0016】
図3及び図4は、それぞれ、突起20を示す側面図及び平面図である。突起20は、手に接触する面20a、及び本体10に接続された面20bを有している。突起20は、面20bの全体において本体10に固定されている。面20aと面20bとは、互いに平行である。面20aの面積は、面20bの面積よりも大きい。本実施形態において面20a及び面20bは、何れも円形をしている(図4参照)。それゆえ、面20aの径d1は、面20bの径d2よりも大きい。径d1は、例えば10mm以上20mm以下である。径d2は、例えば5mm以上10mm以下である。突起20は、くびれた形状をしている。すなわち、突起20は、環状の溝からなるくびれ部22を有している。なお、図3においては各面20a,20bの縁が角張っているが、各面20a,20bの縁は、丸みを帯びていてもよい。また、同図においてはくびれ部22が角を有する形状をしているが、くびれ部22は、曲面状をしていてもよい。突起20の高さh1は、5mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0017】
突起20は、本体10と同一の材料からなってもよいし、本体10と異なる材料からなってもよい。突起20は、1つの材料からなってもよいし、2つ以上の材料からなってもよい。後者の場合、面20aは、面20bよりも柔らかい材料からなることが好ましい。突起20の材料としては、例えば、プラスチック及び/又はゴムを用いることができる。
【0018】
手袋1を手に装着するには、図5に示すように、突起20が手90と本体10との間に挟まれた状態になるように、本体10を手に嵌めればよい。手袋1を脱ぐときは、反対の手の指で、本体10の外側から突起20を摘んで持ち上げればよい。これにより、図6に示すように、本体10を手90から引き離して、手90と本体10との間に充分な隙間を作ることができる。さらに、突起20を摘んだまま本体10の指先側に引っ張ることにより、本体10が裏返されながら手90から外される。あるいは、突起20を持ち上げて手90と裾口12との間に隙間を作った後、その隙間に指を入れて本体10を手90から外してもよい。
【0019】
手袋1の効果を説明する。手袋1には、本体10の内側に突出し、本体10の外側から指で摘むことが可能な突起20が設けられている。反対の手の指で本体10の外側から突起20を摘んで持ち上げることにより、本体10を手から引き離すことができる。これにより、本体10を手から外しやすくなる。したがって、使用後に本体10を手から容易に外すことが可能な手袋1が実現されている。
【0020】
突起20は、本体10の内側に突出している。この場合、突起20が本体10の外側に突出する場合に比して、手袋1を装着して作業をするときに突起20が邪魔になりにくい。
【0021】
突起20は、装着時に裾口12から食み出さないように設けられている。この場合、突起20が本体10の外部に露出しないため、作業の際に突起20が汚れにくくなる。
【0022】
突起20は、裾口12から離間した位置に設けられている。かかる構成は、突起20が介在することに起因して装着時に手と裾口12との間に隙間が生じてしまう事態を回避するのに有利である。
【0023】
突起20は、裾口12の近傍領域V1に設けられている。この場合、本体10の外側から突起20を摘んで持ち上げることにより、裾口12の付近を手から引き離すことができる。このため、本体10を手から外しやすくするのに特に効果的である。
【0024】
突起20は、手の甲側10bに設けられている。この場合、突起20が手の平側10aに設けられている場合に比して、手袋1を装着して作業をするときに突起20が邪魔になりにくい。ただし、突起20は、手の平側10aに設けられてもよいし、その他の箇所(手の甲と手の平との間)に設けられてもよい。
【0025】
本体10は、前腕を覆う部分である前腕被覆部14を有している。これにより、装着者の手の平や手の甲だけでなく、前腕まで保護することができる。
【0026】
突起20は、前腕被覆部14に設けられている。この場合、突起20が前腕以外の手を覆う部分に設けられている場合に比して、手袋1を装着して作業をするときに突起20が邪魔になりにくい。
【0027】
突起20は、前腕被覆部14にのみ設けられている。この場合、装着時に突起20が前腕以外の手に触れないようにすることができる。これにより、突起20が作業の邪魔になりにくいだけでなく、手袋1を装着したときの快適性を高めることもできる。
【0028】
突起20の高さが大きい方が、本体10の外側からでも突起20を摘みやすい。かかる観点から、突起20の高さは、5mm以上であることが好ましい。他方、突起20の高さが大きすぎると、突起20が作業の邪魔になりかねない。かかる観点から、突起20の高さは、10mm以下であることが好ましい。
【0029】
突起20の手に接触する面20aの面積は、突起20の本体10に接続された面20bの面積よりも大きい。このように面20aの面積を大きくすることにより、突起20から手に加わる力が分散するため、装着時に手が痛くなりにくい。ただし、面20aの面積は、面20bの面積に等しくてもよいし、面20bの面積より小さくてもよい。
【0030】
面20aが面20bよりも柔らかい材料からなる場合、面20aがクッションとなるため、装着時に手が痛くなりにくい。
【0031】
突起20は、くびれた形状をしている。この場合、くびれ部22に指を掛けることが可能となるため、本体10の外側からでも突起20を確実に摘みやすくなる。ただし、突起20は、くびれた形状をしていなくてもよい。その場合の突起20の形状としては、例えば、円柱又は円錐台が挙げられる。
【0032】
突起20が本体10と同一の材料からなる場合、本体10の材料と突起20の材料とを共通化することにより、手袋1の製造コストを削減することができる。
【0033】
突起20が本体10と異なる材料からなる場合、突起20の材料選択の自由度を高めることができる。
【0034】
突起20は、本体10の内面に固定されている。この場合、本体10を形成した後に突起20を本体10に取り付けることにより手袋1を製造することができる。このため、本体10の形成には、既存の方法及び装置を用いることができるという利点がある。
【0035】
突起20は、本体10に接続された面20bの全体において本体10に固定されている。これにより、突起20を本体10に対して強固に固定することができる。
【0036】
突起20がプラスチック及び/又はゴムからなる場合、突起20を低コストで形成することができる。
【0037】
1つの本体10に対して、突起20が1個だけ設けられている。この場合、複数の突起20を設ける場合に比して、手袋1の製造コストを削減することができる。このように1個の突起20だけでも、突起20を摘んで持ち上げることにより本体10を手から引き離すという上述の作用機序に照らせば、本体10を手から外しやすくするという効果を充分に享受することができる。
【0038】
本体10の伸縮率が高い方が、手の大きさにかかわらず、本体10を手に密着させやすくなる。かかる観点から、本体10の伸縮率は、50%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましい。
【0039】
本体10がゴムからなる場合、伸縮性を有する本体10を容易に実現することができる。ゴムがニトリルゴム又は天然ゴムラテックスである場合、特に優れた伸縮性を有する本体10を実現することができる。
【0040】
手袋1が医療用である場合、本体10にウィルスや細菌等が付着しやすい環境で使用される。この場合、使用後に本体10を手から外すのに手間取ると、本体10が素肌に触れて装着者が感染してしまうリスクが高くなる。それゆえ、円滑に脱ぐことのできる手袋1が特に有用となる。
(第2実施形態)
【0041】
図7は、本発明による手袋の第2実施形態を示す斜視図である。また、図8は、図7のVIII-VIII線に沿った断面の一部を示す図である。図7は、手の甲側を示している。手袋2は、衛生又は安全等の目的で使用される作業用の手袋である。手袋2は、本体10、及び突起30を備えている。本体10の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
【0042】
突起30は、本体10の内側に突出している。突起30は、本体10の内面に固定されている。本体10に対する突起30の固定は、例えば、接着により行うことができる。手袋2の装着時、突起30は、手と本体10との間に挟まれた状態になる。このとき、突起30が介在する部分を除く本体10の全体が、手に密着する。突起30は、図8に示すように、本体10の手の平側10aでなく、手の甲側10bに設けられている。突起30は、本体10の外側から指で摘むことが可能である。すなわち、突起30は、本体10を介して指で摘むことが可能である。手袋2においては、1つの本体10に対して、突起30が1個だけ設けられている。
【0043】
突起30は、装着時に本体10の裾口12から食み出さないように設けられている。すなわち、装着時、突起30の全体が本体10の内部に隠れた状態になる。突起30は、裾口12から離間した位置に設けられている。突起30は、裾口12の近傍領域V1に設けられている。
【0044】
図9は、突起30を示す平面図である。同図は、本体10に接続された面32を示している。突起30は、面32の一部(部分32a)においてのみ本体10に固定されている。面32の残部(部分32b)は、本体10に固定されていない。かかる構成は、例えば、面32の部分32aのみを本体10に接着することにより実現することができる。部分32aに比して、部分32bは、裾口12に近い位置にある。すなわち、部分32bから裾口12までの距離は、部分32aから裾口12までの距離よりも小さい。部分32aの長さd3(裾口12の全体を含む平面に垂直な方向の寸法)は、部分32bの長さd4よりも小さい。長さd3は、例えば5mm以上15mm以下である。長さd4は、例えば10mm以上30mm以下である。部分32aの幅d5は、部分32bの幅d6よりも大きい。幅d5は、例えば15mm以上30mm以下である。幅d6は、例えば5mm以上20mm以下である。突起30の高さ(厚み)は、例えば5mm以上10mm以下である。
【0045】
突起30は、本体10と同一の材料からなってもよいし、本体10と異なる材料からなってもよい。突起30は、1つの材料からなってもよいし、2つ以上の材料からなってもよい。突起30の材料としては、例えば、プラスチック及び/又はゴムを用いることができる。
【0046】
手袋2の効果を説明する。手袋2には、本体10の内側に突出し、本体10の外側から指で摘むことが可能な突起30が設けられている。反対の手の指で本体10の外側から突起30を摘んで持ち上げることにより、本体10を手から引き離すことができる。これにより、本体10を手から外しやすくなる。したがって、使用後に本体10を手から容易に外すことが可能な手袋2が実現されている。
【0047】
突起30は、本体10に接続された面32の部分32aにおいてのみ本体10に固定されている。これにより、接着剤を用いて突起30を本体10に固定する場合、接着剤の使用量を節約することができる。
【0048】
部分32aに比して、部分32bは、本体10の裾口12に近い位置にある。この場合、図10に示すように、裾口12を捲り上げることにより、面32の部分32bの少なくとも一部を露出させることができる。これにより、反対の手の指で、本体10を介さずに突起30を直接摘むことが可能となる。例えば、反対の手にも本体10を嵌めている場合、以下の手順で手袋2を脱ぐことができる。まず、本体10を嵌めた状態の反対の手で裾口12を捲り上げて部分32bを露出させる。このとき、裾口12を捲り上げやすいように、本体10の外側から突起30を摘んで持ち上げてもよい。次に、反対の手から本体10を外す。続いて、素手になった反対の手の指で突起30の露出した部分を摘んで本体10の指先側に引っ張る。以上により、本体10が裏返されながら手90から外される。かかる手順で手袋2を脱ぐことにより、使用後の本体10に素手が触れるのを防ぐことができる。
【0049】
部分32aの幅d5は、部分32bの幅d6よりも大きい。このように本体10に固定される部分32aの幅d5を大きくすることは、突起30を本体10に対して安定的に固定するのに有利である。ただし、幅d5は、幅d6に等しくてもよいし、幅d6より小さくてもよい。手袋2のその他の効果は、手袋1と同様である。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態において突起20は、例えば図11に示すように、中空になっていてもよい。同図において突起20は、内部に空洞24を有している。空洞24内には空気が入っているが、突起20は、仮に空洞24から空気が抜けたとしても、元の形状を維持するのに充分な剛性を有している。このように突起20を中空にすることにより、突起20ひいては手袋1の軽量化を図ることができる。突起30についても、同様である。
【0051】
上記実施形態においては、1つの本体10に対して1つの突起(突起20又は突起30)が設けられた場合を例示した。しかし、1つの本体10に対して、複数の突起が設けられてもよい。複数の突起は、本体10の相異なる位置に設けられる。なお、複数の突起は、形状や大きさ等が相異なっていてもよい。複数の突起を設けることにより、本体10の複数個所を手から引き離すことができるため、本体10を手から一層外しやすくなる。ただし、その場合でも、1つの本体10に対して設けられる突起の個数は、2又は3であることが好ましい。それにより、多数(4個以上)の突起を設ける場合に比して、手袋の製造コストを削減することができる。
【0052】
本発明に係る手袋は、左右の手に嵌められる一対の本体10を備えていてもよい。それにより、装着者は、両手に本体10を嵌めた状態で作業をすることができる。その場合において一対の本体10の一方における突起の構成は、他方における突起の構成と同一であってもよいし、異なっていてもよい。突起の構成が同一であるとは、突起の位置、形状、大きさ、個数、及び材料の全ての要素が、左右の本体10間で一致するということである。これらの要素のうち1つでも一致しない場合、左右の本体10間で突起の構成が相異なることになる。なお、突起の位置及び形状については、一方の本体10に設けられた突起を左右反転させた上で、他方の本体10に設けられた突起と一致するか否かを判断するものとする。
【0053】
本発明における突起は、本体10と一体に成形されてもよい。その場合、手袋は、例えば、以下に述べる浸漬法(ディッピング法)を用いて製造することができる。まず、突起に対応する位置に凹部が形成された手型を準備する。次に、本体10の原材料溶液に手型を浸漬することにより、当該溶液を手型に付着させる。このとき、凹部内にも溶液が入り込むようにする。続いて、当該溶液を乾燥させた後、加硫する。その後、本体10を手型から外す。以上により、互いに一体に成形された本体10及び突起からなる手袋が得られる。当然ながら、当該突起は、本体10と同一の材料からなる。このように突起を本体10と一体に成形することは、手袋の製造コストの削減に資する。
【0054】
本発明における突起は、当該突起の内部に充填された空気によって膨らんだ状態にあってもよい。かかる突起は、気泡緩衝材のように、内部の空気によって形状が維持されており、当該空気が抜けたときに萎むように構成されている。かかる構成の突起は、例えば以下の方法により形成することができる。まず、浸漬法を用いて本体10を形成する。ただし、手型は、上述の凹部が形成されていないものを用いる。次に、細い針状のノズルを用いて、本体10を構成する膜の中に空気を注入する。これにより、空気が注入された部分が風船のように膨らんで突起となる。このように突起が空気によって膨らんだ状態にある場合、突起ひいては手袋の軽量化を図ることができる。さらに、手袋を廃棄する際、突起の空気を抜くことにより、廃棄物となる手袋の嵩を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 手袋
2 手袋
10 本体
10a 手の平側
10b 手の甲側
12 裾口
14 前腕被覆部
20 突起
20a 手に接触する面
20b 本体に接続された面
22 くびれ部
24 空洞
30 突起
32 本体に接続された面
90 手
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