(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153565
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】新規化合物(イムノヘリン-細胞内感染)
(51)【国際特許分類】
C07K 7/23 20060101AFI20221004BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221004BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20221004BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20221004BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221004BHJP
A61K 31/565 20060101ALI20221004BHJP
A61K 31/57 20060101ALI20221004BHJP
A61K 31/568 20060101ALI20221004BHJP
A61K 38/09 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C07K7/23 ZNA
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
A61K45/00
A61K31/565
A61K31/57
A61K31/568
A61K38/09
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120980
(22)【出願日】2022-07-28
(62)【分割の表示】P 2019539794の分割
【原出願日】2018-01-19
(31)【優先権主張番号】17152466.3
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520361896
【氏名又は名称】アイエスアール イミューン システム レギュレイション ホールディング アクチエボラグ(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビンクビスト、オーラ
(72)【発明者】
【氏名】リンド、エンマ
(72)【発明者】
【氏名】バーリン、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、マット
(72)【発明者】
【氏名】モス、スティーブン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】細胞内細菌、真菌、及び原虫感染の治療に有用性を有する、動物又はヒトの患者又は細胞に投与したときにGnRH受容体を活性化することができる免疫刺激ペプチド(イムノヘリン)を提供する。
【解決手段】式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
(式中、R
5は、Me、Et、CH
2CF
3、iPr、nPr、nBu、iBu、sBu、tBu、シクロプロピルCH
2CONH
2又はNHCONH
2である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
【化2】
式中、R
5=Me、Et、CH
2CF
3、iPr、nPr、nBu、iBu、sBu、tBu、シクロプロピルCH
2CONH
2又はNHCONH
2であり、
ただし、本発明は、以下の化合物を含まない、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【請求項2】
R
1、R
3、及びR
4のうちの少なくとも1つが、下記のリストに従ってII型から選択され、II型から選択されないR
1、R
3、及びR
4のものが下記のリストに従ってI型から選択される、請求項1に記載の化合物。
【表2】
【請求項3】
R
1、R
3、及びR
4のうちの少なくとも2つ又は3つが、下記のリストに従ってII型から選択される、請求項2に記載の化合物。
【表3】
【請求項4】
R
1、R
3、及びR
4のうちの1つが、下記のリストに従ってI型から選択され、R
1、R
3、及びR
4のうちの2つが、下記のリストに従ってII型から選択される、請求項2に記載の化合物。
【表4】
【請求項5】
R5=Et又はCH2CONH2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R5=Me、iPr、nPr、nBu、iBu、sBu、又はtBuである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式(I)の化合物が、以下から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物:
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【表5-8】
【表5-9】
【表5-10】
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項9】
医薬品に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
細胞内細菌、真菌、又は原虫感染の治療に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
細胞内細菌、真菌、又は原虫感染の治療に使用するための、請求項1に記載のP1~P21から選択される化合物。
【請求項12】
結核菌、非定型疾患を引き起こすマイコバクテリア、鳥型結核菌及びM.イントラセルレア(マイコバクテリウムアビウム(Mycobacterium avium)-イントラセルレア複合体、又はMACとしても既知)、M.カンサシ、M.マリナム、M.フォルトゥイタム、M.ゴルディナエ、マイコプラズマニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、M.ゲニタリウム、M.ホミニス、ウレアプラズマウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、U.パルブム、クラミドフィラニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、サルモネラチフィムリウム(Salmonella typhimurium)、トキソプラズマゴンディ(Toxoplasma gondii)、熱帯熱マラリア原虫、P.ビバックス、クルーズトリパノソーマ、クリプトスポリジウム、リーシュマニア、ヒストプラスマカプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、クリプトコックスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、及びエンセファリトゾーンクニクリ(Encephalitozoon cuniculi)から選択される、細胞内感染の治療に使用するための請求項10又は11に記載の化合物。
【請求項13】
細胞内細菌、真菌、又は原虫感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とするヒト又は動物の対象に請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項14】
細胞内細菌、真菌、又は原虫感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とするヒト又は動物の対象に請求項1に記載のP1~P21から選択される化合物の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項15】
細胞内細菌、真菌、又は原虫感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とするヒト又は動物の対象に天然、半合成、又は合成の性ホルモンと組み合わせて、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項16】
細胞内細菌、真菌、又は原虫感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とするヒト又は動物の対象に天然、半合成、又は合成の性ホルモンと組み合わせて、請求項1に記載のP1~P21から選択される化合物の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項17】
細胞内細菌又は原虫感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とする男性又は動物対象に天然、半合成、又は合成のエストロゲンと組み合わせて、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の治療的有効量を投与することを含み、かつ必要に応じて天然、半合成、又は合成のプロゲストゲンをさらに投与することを含む、方法。
【請求項18】
細胞内細菌、真菌、又は原虫感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とするヒト又は動物の対象に天然、半合成、又は合成のエストロゲンと組み合わせて、請求項1に記載のP1~P21から選択される化合物の治療有効量を投与することを含み、かつ必要に応じて天然、半合成、又は合成のプロゲストゲンをさらに投与することを含む、方法。
【請求項19】
細胞内細菌、真菌、又は原虫感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とする男性又は動物対象に天然、半合成、又は合成のテストステロンと組み合わせて、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項20】
細胞内細菌、真菌、又は原虫感染によって引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とするヒト又は動物の対象に天然、半合成、又は合成のテストステロンと組み合わせて、請求項1に記載のP1~P21から選択される化合物の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項21】
細胞内感染が、結核菌、非定型疾患を引き起こすマイコバクテリア、鳥型結核菌及びM.イントラセルレア(マイコバクテリウムアビウム(Mycobacterium avium)-イントラセルレア複合体、又はMACとしても既知)、M.カンサシ、M.マリナム、M.フォルトゥイタム、M.ゴルディナエ、マイコプラズマニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、M.ゲニタリウム、M.ホミニス、ウレアプラズマウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、U.パルブム、クラミドフィラニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、サルモネラチフィムリウム(Salmonella typhimurium)、トキソプラズマゴンディ(Toxoplasma gondii)、熱帯熱マラリア原虫、P.ビバックス、クルーズトリパノソーマ、クリプトスポリジウム、リーシュマニア、ヒストプラスマカプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、クリプトコックスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、及びエンセファリトゾーンクニクリ(Encephalitozoon cuniculi)から選択される、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イムノヘリンと名付けられた、免疫系を刺激することができる一連の新規ペプチドを提供する。本発明はまた、白血球上のGnRH受容体を刺激することができる新規ペプチドを提供する。本発明は、新規化合物それ自体、及び医学における、特に細胞内感染の治療における使用のための化合物に関する。イムノヘリンはまた、ワクチン接種における免疫調節アジュバントとしても使用され得る。新規なGnRH受容体刺激イムノヘリンは、治療的に望ましくない内分泌作用を最小限に抑えながら、免疫系の調節作用を最大限にする。本発明はまた、医薬品に使用するための改善された特性を有する本発明のイムノヘリンを調製するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
細胞内細菌、真菌、及び原虫感染は、それらが無症状で現れるため、又はあまりに症状が軽度であるために感染した個人が医療援助を求める傾向がないため、健康な個人では診断されないことがよくある。そのように、細胞内感染は、潜在的に持続し得るか、又は疾患状態に進行し得る。正常なT細胞機能を妨害する状態は、通常、潜伏感染から疾患の進行をもたらし、結核菌(Mtb)のような細胞内感染は、HIV感染がAIDSに進行した患者における一般的な死因である。したがって、感染を治療する方法及び手段についても当技術分野において大きな必要性が存在する。
【0003】
Mtbのような細胞内病原体は、持続感染を引き起こす単球及びマクロファージの細胞内区画内に隠れる能力を有する。Mtbは、肺のCD4+Tヘルパー細胞によって認識され、適切な反応が開始されるが、系は、滅菌免疫を作り出すことができない(MacMicking 2012)。宿主による免疫認識を回避するために、Mtbは、CD4+Tヘルパー細胞のMHCクラスIIポケットに存在するMtbペプチドの認識を阻害する一連の機構を発達させた。Toll様受容体2は、Mtbによって阻害されることが実証されており、それは次にIFN-γ誘導性のMHCクラスII発現を阻害する(Noss 2001)。加えて、データは、おそらく不変鎖関連機構によって、Mtbがファゴソームプロセシング及び成熟を阻害する能力を有することを示唆している(Ramachandra 2001)。したがって、Mtb由来のMHCクラスIIペプチドの通常の抗原プロセシング、ローディング、及び提示は、Mtb産生免疫回避因子のために損なわれる。
【0004】
エンドソームリソソーム経路は、病原体を取り込んで、それらを12~15アミノ酸長のペプチドにプロセシングし、HLA-DMによる不変鎖ペプチドCLIPの除去後、ペプチドは、MHCクラスIIポケットにローディングされるように設計されている。抗原ローディング後に、CD4+Tヘルパー細胞の特異的T細胞受容体の提示のために、細胞表面へのMHCクラスII-ペプチド複合体の輸送が続く(Roche 2015)。最近、Mtb発現タンパク質EsxHは、輸送に必要なエンドソーム選別複合体(ESCRT)機構を直接阻害することが報告されている(Portal-Celhay 2016)。EsxHは、抗原提示単球及びマクロファージがCD4+Tヘルパー細胞を活性化する能力を阻害する。無傷のESCRT機構は、T細胞の抗原プロセシング、提示、及び活性化に必要であると思われるので、EsxHは、MHCクラスII経路に介入することによってMtbが誘導する免疫回避を説明するリンクである。
【0005】
MHCクラスII提示の重要性は、原発性免疫不全症(PID)を伴う患者でも実証されている。IFNGR、IL-12を伴うIFN-γ回路に欠陥を有するPID患者は、TBC及び非定型マイコバクテリア感染の獲得が増加している。MHCクラスII発現は、IFN-γ発現に依存しかつ調節されるので、IFN-γ回路における欠損は、さらにMHCクラスII発現の減少及びCD4+Tヘルパー細胞の不十分な活性化をもたらす。
【0006】
トキソプラズマゴンディ(Toxoplasma gondii)のような原虫は、必須の細胞内寄生生物として細胞内に隠れることによって免疫認識を回避するための機構を発達させた。この機構は、MHCクラスII発現の妨害を伴い、そのため、特異的CD4+Tヘルパー細胞について提示されるトキソプラズマゴンディ(Toxoplasma gondii)の量を減少させる。詳細な機構は、IFN-γ誘導性のMHCクラスIIの発現を阻害するトキソプラズマゴンディ(Toxoplasma gondii)によって発現される可溶性タンパク質に依存している(Leroux 2015)。
【0007】
さらに、異なる真菌感染がMHCクラスII発現に依存することが実証されている。クリプトコッカスネオフォルマンス(Cryptococos neoformans)は、HIVを含む免疫不全患者の生命を脅かす脳感染を引き起こす可能性がある。クリプトコッカスネオフォルマンス(Cryptococos neoformans)のマウスモデルでの研究により、ミクログリア細胞の活性化及びそれらのMHCクラスIIの上方制御は、IFN-ガンマ依存的に生存に重要であることが実証されている(Zhou 2007)。
【0008】
したがって、Mtb及び他の細胞内細菌、トキソプラズマゴンディ(Toxoplasma gondii)などの原虫、又はクリプトコックス(Cryptococus)によって例示される真菌によって誘発される免疫回避機構を克服するために、単球、マクロファージ、ミクログリア、又は他の感染細胞の細胞表面でのMHCクラスII及びMHCクラスIの発現増加は、免疫認識及び病原体の除去に有益である可能性が高い。
【0009】
発明概論
GnRH I(ゴナドトロピン放出ホルモン又はLHRHとしても既知)は、構造pyroGlu-His-Trp-Ser-Tyr-Gly-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2を有するデカペプチドである。それは、翻訳後に修飾されてアミノ末端にピログルタミン酸及びカルボキシル末端にカルボキサミドを有する最終ペプチドを形成する92アミノ酸プロペプチドとして産生される。それは、下垂体前葉からのFSH及びLHの放出の原因であることは長い間既知であり、通常は拍動的に視床下部から放出される。超生理学的レベルのGnRH Iは、すぐにFSH及びLH分泌の増加を誘発し、その後すぐにFSH及びLH分泌の阻害が続く。これは、高レベルのGnRH Iが下垂体前葉のI型GnRH受容体に対して阻害効果を有するという事実によるものである。したがって、高い非生理学的レベルでのGnRH Iの連続投与は、薬理学的去勢を誘発する(Fink 1998)。ホルモン感受性癌などの治療分野で使用するために、多数のGnRH Iアゴニスト及びアンタゴニストが合成されてきた。最初に、GnRH Iの塩が治療的に使用された(例えば、ゴナドレリン塩酸塩及びゴナドレリンジアセタート四水和物)。さらなる薬物の発見及び開発により、ブセレリン、トリプトレリン、ナファレリン、ヒストレリン、及びロイプロレリンを含む多種多様な薬剤の臨床使用がもたらされ、これらはそれぞれ、I型GnRH受容体の半減期の延長及びスーパーアゴニズムなどのゴナドレリンを超える改善を有する。
【0010】
GnRH Iは、ホルモン作用を示すだけでなく、免疫系を刺激し得ることが報告されている(Jacobson and Ansari 2004)。McClean and McCluggage(McClean and McCluggage 2003)は、I型GnRH受容体アゴニストによる術前治療後に子宮平滑筋腫に小さな成熟リンパ球が大量に浸潤しているのを観察した。Bardsley et al(Bardsley 1998)も同じ観察を行い、免疫細胞上のGnRH Iの遊走に対する刺激作用を示唆している。遡及的分析(Kerr-Layton 1998)におけるHIV感染女性の子宮摘出標本における慢性形質細胞性子宮内膜炎、及びHIV感染男性における高レベルのFSH及びLH(ハイパーゴナドトロピン)に関する報告がなされている(Arver 1999及びBrockmeyer 2000)。AIDS様リンパ球プロファイルを示す糖尿病を起こしやすいBBラットにGnRH Iを投与することにより、CD4 Tリンパ球数が増加した(Jacobson 1999)。
【0011】
国際公開第2009/145690A1号は、HIV感染CD4T細胞がHIVコード化タンパク質NefによりMHCクラスIを下方制御し、その結果認識を回避するという概念で、GnRHがT細胞上のMHCクラスIを活性化し上方制御することを教示している(Lubben et al.,2007
【0012】
ヒトには、異なる遺伝子によってコードされているGnRHペプチドの2つの変異体、GnRH I及びGnRH IIが存在する。GnRH IIの構造は、pyroGlu-His-Trp-Ser-
His-Gly-
Trp-
Tyr-Pro-Gly-NH
2である(下線を引いたGnRH Iとの違い)。GnRH IIは、主に脳の外で産生される視床下部以外の形態であり、GnRHシステムの非内分泌的側面に関与することが示唆されている(White 1998)。驚くべきことに、本発明者らは、T細胞上のMHCクラスI発現に対するGnRH II刺激の効果を見出し、GnRH IIがこれらの細胞を直接活性化することを実証した(
図1)。
【0013】
他の哺乳動物とは異なり、1つの従来のヒトGnRH受容体、すなわちI型GnRH受容体のみが記載されている。II型GnRH受容体相同体は、ヒトの染色体1q12遺伝子上に存在するが、フレームシフト及び終止コドンを含有し、機能的に発現されないと考えられている(Morgan 2003)。驚くべきことに、本発明者らの発見は、II型GnRH受容体が、MHCクラスI発現の増加によりGnRH刺激に応答するので、実際にT細胞上に発現されることを示唆している(
図1)。これらの機能的発見は、本発明者らがII型GnRH受容体mRNAの発現を実証することができたqPCR分析によって裏付けられた。さらに、ナイーブT細胞及びメモリーT細胞上でのII型GnRH受容体の相対的発現レベルは、I型GnRH受容体の発現レベルと比較して高かった(
図4)。したがって、本発明者らは、II型GnRH受容体の発現が、機能的にGnRH刺激に応答してT細胞上に発現される優性受容体であることを同定した。
【0014】
本発明者らはまた、GnRH I類似体がT細胞を活性化してMHCクラスI発現をもたらし得ることを発見した。GnRH I類似体ブセレリンをHIVの治療薬として使用した最近の臨床試験では、GnRH Iの内分泌作用を最小限に抑えるために、HIV感染男性に性ホルモン置換が提供された。これらの作用は、GnRH Iが下垂体I型GnRH受容体に結合することによって媒介され、テストステロン産生の減少、その後インポテンツの減少をもたらす。その内分泌作用に加えて、GnRH Iが交差シグナルを出し、高去勢レベルのGnRH類似体が使用される場合、T細胞上のII型GnRH受容体に結合することによって免疫系を刺激する可能性が非常に高い。興味深いことに、乳癌細胞で発現される受容体へのGnRH I結合は、低い結合親和性(Kd、1.6-3.0x10(-6)M)を示すのに対して、GnRH Iの中枢性下垂体結合は、1000倍高い親和性(Kd、4.8X10(-9)M)を示す(Eidne 1987)。
【0015】
GnRH I及びGnRH IIペプチドの結合親和性の違いは、下垂体細胞でのGnRH I結合に特化したI型GnRH受容体の発現を反映しているが、末梢細胞は、II型GnRH受容体の発現を支配し、したがって低親和性及びGnRH I結合の「オフターゲット」効果を支配する。したがって、II型GnRH受容体がT細胞上の優勢な受容体であるという本発明者らの予想外の発見は、新規であり、GnRH I及びGnRH IIの受容体生理学を説明し得る。したがって、HIVの治療においてGnRH II様ペプチドを使用することによって、内分泌効果を最小限にし、免疫刺激効果を単離して増強させるべきである。
【発明の概要】
【0016】
これらの発見に基づいて、本発明者らは、免疫刺激効果を最適化し、ホルモン系に対する効果を最小限にするために、イムノヘリンと呼ばれるGnRH II様ペプチドを作製した。これらのイムノヘリンは、細胞内感染のような感染因子を除去する免疫応答を導くことができるMHCクラスIを刺激すること、及びHIV又は癌を治療又は同時治療することにおいて用途を有する。したがって、II型GnRH受容体への強力な結合を有するが、好ましくはI型GnRH受容体へのより弱い結合を有し、匹敵する又はより強いMHCクラスI応答をもたらすが、ホルモンの刺激又は抑制に対するより弱い「オフターゲット」効果をもたらす、いくつかのGnRH II様ペプチドが開示されている。本発明のGnRH II様ペプチドが、I型GnRH受容体にも結合して活性化し、それによって内分泌シグナル伝達を刺激する場合、それによって、本発明の化合物は、GnRH II様ペプチドの内分泌作用に対抗するために、1つ以上の天然、半合成、又は合成の性ホルモン、例えば、患者のホルモンの状態に応じてテストステロン又はエストロゲンと一緒に投与され得る。成人男性において、天然、半合成、又は合成の性ホルモンは、テストステロン又は対応するホルモン作用を有する物質である。成人女性において、天然、半合成、又は合成の性ホルモンは、特にプロゲストゲンと組み合わせたエストラジオール又は対応するホルモン効果を有する薬剤である。後者は、女性の子宮内膜癌の発生を回避し、膣出血を回避するために添加される。しかしながら、子宮摘出女性は、プロゲストゲンの添加による恩恵を受けない。
【0017】
ウイルスペプチドは、サイトゾル中に出現し、プロテオソームを標的とし、続いて消化されたHIVペプチドがMHCクラスIペプチド中に添加され、続いて提示のために細胞表面へ輸送される小胞体へのプロセシング及び輸送(TAP1及びTAP2)が続く。
【0018】
国際公開第2009/145690A1号の教示及び既知の技術とは対照的に、細胞内細菌は、エンドソームリソソーム経路、T細胞などの正常細胞におけるMHCクラスIには通常アクセスできない経路の居住者である。しかしながら、本発明において、本発明者らは、GnRHがCD14+単球のような抗原提示細胞(APC)上のMHCクラスIを上方制御することができることを初めて実証した(
図2)。APCは、交差提示の特有の能力を有し、すなわち、それらは、CD8+T細胞の活性化のために、エンドソームリソソーム経路からMHCクラスIポケット内に抗原を提示することができる。この発見は、驚くべきことであり、APCのエンドソームリソソーム経路に存在し、隠れるM結核のような細胞内細菌を示唆する。したがって、結核感染者をGnRHで治療すると、APCを活性化し刺激して交差提示経路によるMHCクラスI上方制御が開始され、CD8+T細胞による結核ペプチドの認識及び感染APCSの排除がもたらされる。
【0019】
本発明はまた、1つ以上のGnRH類似体の使用による細菌、原虫、及び真菌による感染などの細胞内感染を治療するための方法も提供する。治療される細胞内細菌としては、結核菌、非定型疾患を引き起こすマイコバクテリア、鳥型結核菌及びM.イントラセルレア(マイコバクテリウムアビウム(Mycobacterium avium)-イントラセルレア複合体、又はMACとしても既知)、M.カンサシ、M.マリナム、M.フォルトゥイタム、M.ゴルディナエ、マイコプラズマニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、M.ゲニタリウム、M.ホミニス、ウレアプラズマウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、U.パルブム、クラミドフィラニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、及びサルモネラチフィムリウム(Salmonella typhimurium)が挙げられる。細胞内原虫としては、トキソプラズマゴンディ(Toxoplasma gondii)、熱帯熱マラリア原虫、P.ビバックス、クルーズトリパノソーマ、クリプトスポリジウム、及びリーシュマニアが挙げられる。細胞内真菌としては、ヒストプラスマカプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、クリプトコックスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、及びエンセファリトゾーンクニクリ(Encephalitozoon cuniculi)が挙げられる。
【0020】
本発明は、ヒトGnRH IIのペプチドベースの類似体を提供する。
【0021】
本発明の化合物は、改善されたMHC II及び/又はMHC I抗原提示を誘導すると考えられ、それらを細胞内細菌、真菌、及び原虫感染の治療に有用にする。本発明は、非生理学的量のGnRH又はGnRH類似体の投与、及び好ましくは性ホルモンの投与も含む、細胞内感染を治療するための方法をさらに提供する。
【0022】
したがって、本発明の一態様では、式(I):
【化1】
のペプチド又はその薬学的に許容される塩が提供され、式中、
【化2】
R
5=Me、Et、CH
2CF
3、iPr、nPr、nBu、iBu、sBu、tBu、シクロプロピル、CH
2CONH
2、又はNHCONH
2である。
【0023】
本発明の化合物に関する式Iはまた、以下のように表すことができる:
pGlu-His-Trp-Ser-AA1-AA2-AA3-AA4-Pro-X、
式中:
AA1は、His及びTyrから選択され、
AA2は、d-Ser(OtBu)、d-Trp、d-Nal、d-Bhi、及びd-Leuから選択され、
AA3は、Leu及びTrpから選択され、
AA4は、Arg及びTyrから選択され、
Xは、-NHMe、-NHEt、-NHCH2CF3、-NHiPr、-NHnPr、-NHnBu、-NHiBu、-NHsBu、-NHtBu、-NHシクロプロピル、-NH-NH-CONH2、及びNHCH2CONH2から選択される。
【0024】
本発明は、以下の式(I)の化合物を含まない:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0025】
以下のように表される式(I)の化合物が宣言される:
pGlu-His-Trp-Ser-AA1-AA2-AA3-AA4-Pro-X、式中、AA1は、Hisであり、AA3は、Trpであり、AA4は、Tyrであり、AA2は、D-Leu、D-tBu-Ser、及びD-Trpから選択され、Xは、-NHEt又はNH-NH-CONH2である。
【0026】
本発明から除外される化合物P1~P15はまた、以下のように表すこともできる:
【0027】
本発明の化合物の興味深い選択は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩である:
【表2】
式中、R
1、R
3、及びR
4のうちの少なくとも1つは、II型から選択され、II型から選択されないR
1、R
3、及びR
4のそれらは、I型から選択され、
式中、
【化3】
であり、
式中、R
5=Me、Et、CH
2CF
3、iPr、nPr、nBu、iBu、sBu、tBu、シクロプロピル、又はCH
2CONH
2である
【0028】
化合物の選択は、以下のように表すこともできる:
pGlu-His-Trp-Ser-AA1-AA2-AA3-AA4-Pro-X、
式中、AA1、AA2、AA3、AA4、及びXは上で定義した通りであり、AA1、AA3、及びAA4のうちの少なくとも1つは、His、Trp、及びTyrから選択され;残りのAA1、AA3、及びAA4は、Tyr、Leu、Argから、かつ上で特定された化合物P1~P15及び請求項1で放棄されたそれらの他の化合物を除いて選択される。
【0029】
実施形態では、R1、R3、及びR4のうちの2つ又は3つは、上記のリストに従ってII型から選択され、残りのR1、R3、及びR4はI型から選択される。
【0030】
実施形態では、R1、R3、及びR4のうちの1つは、上記のリストに従ってI型から選択され、R1、R3、及びR4のうちの2つは、上記のリストに従ってII型から選択される。
上記で特定された化合物P1~P21を除く。
【0031】
本発明による特定の化合物としては、以下が挙げられる:
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【0032】
特に興味深いのは、II型GnRH受容体に対するi)刺激作用又はii)親和性を主に有するGnRH II類似体である化合物である。したがって、I型GnRH受容体に結合又はそれを活性化しない化合物が好ましく、望ましくない治療反応がもたらされる。内分泌作用に対抗するために、I型GnRH受容体に結合又はそれを活性化し、それによって内分泌シグナル伝達を刺激するGnRH II類似体を性ホルモンと一緒に投与することが企図される。
【0033】
本発明はまた、細胞内細菌、原虫、及び真菌による感染などの細胞内感染を治療するための方法を提供する。
【0034】
本発明の化合物は、改善されたMHC II及びMHC I抗原提示を誘導すると考えられ、それらを細胞内細菌、真菌、及び原虫感染の治療に有用にする。本発明は、非生理学的量のGnRH又はGnRH類似体の投与を含む、細胞内感染を治療するための方法をさらに提供する。
【0035】
本発明のGnRH類似体がI型GnRH受容体と相互作用する場合、GnRH類似体は、当技術分野において既知である。
GnRH類似体は、ヒトを含む動物に投与したときに下垂体前葉の受容体に対するGnRHの作用を模倣する薬剤である。単一の低生理学的用量又は時間的に間隔を置いた単一の低生理学的用量でのGnRH類似体の投与は、下垂体前葉の受容体を刺激し、それによって受容体アゴニストとして作用するが、単位時間あたりの高い非生理学的用量でのGnRH類似体の連続投与は、下垂体前葉の受容体の最初の刺激後、FSH及びLHの分泌を阻害し、それによって受容体アンタゴニストとして作用する。
【0036】
FSH及びLH分泌の阻害は、薬理学的去勢を誘発する。これに関連して、非生理学的用量のGnRH又はGnRH類似体は、それぞれ非生理学的血漿レベルのGnRH又はGnRHをもたらす用量であり、これは去勢血漿レベルをもたらし得る。これに関連して、GnRH又はGnRH類似体の非生理学的血漿レベルは、通常存在するGnRHのレベルの範囲に含まれないレベル、又はGnRH類似体の場合には、健康な人におけるGnRHの正常な生理学的効果の範囲による生理学的効果に関して含まれないレベルである。
【0037】
より具体的には、GnRHの非生理学的血漿レベルは、GnRHの正常な生理学的血漿レベルに関して、増加したレベル、特に1週間以上又は1ヶ月以上など長期間にわたって増加したレベルである。また、より具体的には、GnRH類似体の非生理学的血漿レベルは、健康な人における正常な生理学的作用範囲GnRHによる生理学的作用に関しては含まれないGnRH類似体の血漿レベルの増加であり、特に1週間以上又は1ヶ月以上の長期間にわたってのものではない。それらの薬学的に許容される塩を含む本発明のGnRH又はGnRH類似体の任意の有用な投与形態、特に静脈内、筋肉内、皮下、舌下、及び鼻腔内投与が本発明に含まれる。特に好ましいのは、デポー及び徐放又は持続放出組成物である。
【0038】
本発明の化合物がI型GnRH受容体と相互作用し、望ましくない効果が得られ得る場合、そのような化合物は、GnRH II様ペプチドの内分泌作用に対抗するために、1つ以上の天然、半合成、又は合成の性ホルモン、例えば、患者のホルモンの状態に応じてテストステロン又はエストロゲンと組み合わせて投与され得る。成人男性において、天然、半合成、又は合成の性ホルモンは、テストステロン又は対応するホルモン作用を有する物質である。成人女性において、天然、半合成、又は合成の性ホルモンは、特にプロゲストゲンと組み合わせたエストラジオール又は対応するホルモン効果を有する薬剤である。後者は、女性の子宮内膜癌の発生を回避し、膣出血を回避するために添加される。しかしながら、子宮摘出女性は、プロゲストゲンの添加による恩恵を受けない。
【0039】
1つ以上の天然、半合成、又は合成の性ホルモンの併用投与は、i)同時であり得、i)GnRH類似体を性ホルモンより早く投与することができ、又はiii)GnRH類似体を性ホルモンより後に投与することができる。さらに、使用される投与形態に依存して、GnRH類似体及び/又はホルモンは、例えば鼻スプレーを介した性ホルモンの投与の場合のように、複数回投与され得、投与は、典型的には1週間以上の間1日1回以上である。
【0040】
併用投与は、例えば、無投与期間によって中断された1つ以上の期間にわたって延長してもよく、又は投与は、連続的であり得る。好ましい投与期間は、1~2週間、特に10~14日間である。本発明の化合物がGnRH Iを活性化することによって内分泌作用を有する場合、前記化合物の投与は、1つ以上の天然、半合成、又は合成の性ホルモンの投与期間と、例えば50パーセント超、好ましくは85パーセント超、さらにより好ましくは90又は95パーセント超重複する。併用投与は、性欲減退、ほてり、発汗増加、及び心拍数増加などの深刻な内分泌副作用から人を保護することを可能にする。成人男性において、本発明の化合物の内分泌作用に対抗するために投与される天然、半合成、又は合成の性ホルモンは、テストステロン又は対応するホルモン作用を有する薬剤、特にテストステロンのホルモン効果を模倣する合成又は半合成剤である。好ましい薬剤は、メチルテストステロン及びスタノゾロールを含む。成人女性において、本発明の化合物の内分泌作用に対抗するために投与される天然、半合成、又は合成の性ホルモンは、エストラジオール又はエストラジオールの半合成エステル又は別の合成もしくは半合成エストロゲン類似体などのエストロゲンである。好ましいエストロゲン類似体は、共役エストロゲン、エチニルエストラジオール、及びメストラノール、ならびにジネストロール及びジエチルスチルベストロールなどの非ステロイド系エストロゲンを含む。女性において、前記エストロゲン又はエストロゲン類似体投与は、一態様において、プロゲストゲン、特にプロゲステロン、プロゲステロン誘導体又は類似体、例えばヒドロキシプロゲステロンカプロアート、メドロキシプロゲステロンアセタート、ノエチステロンアセタート、メゲストロールアセタート、メドロゲストン、及びノルゲストレルの投与と組み合わせて併用されるのが好ましい。併用投与は、好ましくは50パーセント超、好ましくは85パーセント超、さらにより好ましくは90又は95パーセント超重複する。プロゲストゲンは、エストロゲン、エストラジオールもしくはエストリオールの半合成エステル、又は合成もしくは半合成エストロゲン類似体と組み合わせて、連続的に又は約1~3ヶ月の間隔で約10~14日の期間にわたって投与されることが好ましい。
【0041】
必要ならば、天然、半合成、又は合成の性ホルモンは、本発明のI型GnRH受容体活性化化合物と、また場合により薬学的に許容される担体と組み合わせて投与される。
【0042】
一般的な化学法
当業者は、本発明の化合物が既知の様式、種々の方法で調製され得ることを認識する。下記の経路は、式(I)の化合物の合成に用いることができるいくつかの方法の単なる例示である。
【0043】
一般に、本発明の化合物を調製するための合成方法は、2つの方法:液相合成及び固相合成に分けることができる。液相ペプチド合成は、液相中で一緒に反応する試薬を伴う。この方法の欠点は、生成物の分離及び精製が困難であることを含む。固相ペプチド合成は、より一般的であり、便利な単離及び精製及び自動化への適用性を含む多数の利点を有する(Bodanszky et al,In Peptide Synthesis,John Wiley & Sons,1976)。様々なペプチドの合成を可能にするために多くのペプチド合成樹脂が開発されてきた。これらには、クロロメチル及び2-クロロチトリルポリスチレン樹脂が含まれる。短鎖ペプチドを合成するための方法を開示している特許の例としては、米国特許第5,602,231号、欧州特許第0518655号、及び米国特許第6,879,289号が挙げられる。
【0044】
本発明の化合物が、例えば、ブセレリンのようにC末端第二級アミドを用いて調製される場合、次いで化合物を調製する1つの方法は、以下の通りであり、下記のスキームIに示される。ペプチドは、固体支持体上に組み立てることができ、典型的には2-クロロトリチルポリスチレン樹脂が使用されるが、他のものは、当業者に明らかである。第1のアミノ酸がロードされ、次いで脱保護されて反応性アミン基が現れ、次いでそれが次のアミノ酸に結合するのに使用される。これは、今度は脱保護及びカップリングすることができる。複数回の伸長の後、所望のペプチド配列が得られる。次いで、ペプチドは、TFA又は類似の試薬の作用によって樹脂から開裂される。tert-ブチル側鎖が最終化合物において必要とされるとき、これが完全に開裂しないように反応時間を十分に低く保つことが重要であることに留意されたい。いくらかのtert-ブチルは、開裂するが、これは、精製において除去することができる。最後に、二級アミドは、C末端の脱保護ペプチドを選択された一級アミンとカップリングさせることによって調製される。カップリング反応は、典型的にはHBTU及びDIPEAを利用するが、当業者は、アミド結合形成を達成するために組み合わせて使用することができる他の活性化剤及び塩基を同定することができる。
【化4】
スキームI
【0045】
本発明の化合物が、例えば、トリプトレリンのようにC末端第一級アミドを用いて調製される場合、次いで化合物を調製する1つの方法は、以下の通りであり、以下のスキームIIに示される。ペプチドは、固体支持体上に組み立てることができ、典型的にはラメッジ樹脂が使用されるが、他のものは、当業者に明らかであろう。第1のアミノ酸がロードされ、次いで脱保護されて反応性アミン基が現れ、次いでそれが次のアミノ酸に結合するのに使用される。これは、今度は脱保護及びカップリングすることができる。複数回の伸長の後、所望のペプチド配列が得られる。次いで、ペプチドは、TFA又は類似の試薬の作用によって樹脂から開裂される。カップリング反応は、典型的にはHBTU及びDIPEAを利用するが、当業者は、アミド結合形成を達成するために組み合わせて使用することができる他の活性化剤及び塩基を同定することができる。
【化5】
スキームII
【0046】
式(I)の化合物は、上記の方法を組み合わせることによって、また当業者に既知の他の方法によって作製され得る。
【0047】
本発明の化合物の一般的な用途
本明細書に記載の化合物は、医学、医学研究、又はそのような用途のための組成物の製造に使用することができる。さらに、本発明はまた、医学、医学研究、又はそのような用途のための組成物の製造における使用のための本明細書に記載の化合物P1~P21に関する。したがって、以下において「本発明の化合物」という用語が医療用途又は医薬組成物に関連して使用される場合、これらの化合物がそのような用途について知られていない限り、その用語は、化合物P1~P21も含むことが意図される。
【0048】
さらに、化合物は、II型GnRH受容体と比較してI型GnRH受容体への結合の減少を含む、細胞内感染及び関連疾患の治療のための改善された性質を示すと考えられる。
【0049】
本発明の化合物は、細胞内細菌、真菌、原虫感染、例えば、結核菌、非定型疾患を引き起こすマイコバクテリア、鳥型結核菌及びM.イントラセルレア(マイコバクテリウムアビウム(Mycobacterium avium)-イントラセルレア複合体、又はMACとしても既知)、M.カンサシ、M.マリナム、M.フォルトゥイタム、M.ゴルディナエ、マイコプラズマニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、M.ゲニタリウム、M.ホミニス、ウレアプラズマウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、U.パルブム、クラミドフィラニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、及びサルモネラチフィムリウム(Salmonella typhimurium)の治療、ならびにこれらの感染が単独で、又はウイルス性病原体もしくはウイルス性疾患と関連して、あるいは一次又は二次免疫不全の他の原因と関連して起こる場合、細胞内の原虫感染、例えば、トキソプラズマゴンディ(Toxoplasma gondii)、熱帯熱マラリア原虫、P.ビバックス、クルーズトリパノソーマ、クリプトスポリジウム、及びリーシュマニア、ならびに細胞内真菌感染、例えば、ヒストプラスマカプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、クリプトコックスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、及びエンセファリトゾーンクニクリ(Encephalitozoon cuniculi)の治療に使用するべきであると考えられる。一次免疫不全の原因としては、遺伝性遺伝的欠損症及び体細胞変異が挙げられるが、二次免疫不全は、上記のようなウイルス感染、又は糖尿病もしくは栄養失調などの遺伝性もしくは非遺伝性の状態、又は免疫抑制剤、薬物乱用、もしくは他の環境要因によって引き起こされ得る。
【0050】
さらに、本明細書に開示される本発明の化合物は、ウイルス性疾患、障害、状態、及び症状の共治療として、例えば、HIV、アデノウイルス、アルファウイルス、アルボウイルス、ボルナ病、ブニヤウイルス、カリシウイルス、コンジローマアクチナータ(Condyloma Acuminata)、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、サイトメガロウイルス、デング熱ウイルス、伝染性膿瘡(Contageous Ecthyma)、エプスタイン-バーウイルス、伝染性紅斑、ハンタウイルス、ウイルス性出血熱、ウイルス性肝炎、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、感染性単核球症、インフルエンザ、ラッサ熱ウイルス、麻疹、流行性耳下腺炎、伝染性軟体動物、パラミクソウイルス、瀉血熱、ポリオーマウイルス、リフトバレー熱、風疹、風疹、遅延性疾患のウイルス、天然痘、亜急性硬化性全脳炎、腫瘍ウイルス感染、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、狂犬病ウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルスなどのウイルス剤又はウイルス性疾患に感染した患者における治療において使用され得る。
【0051】
さらに、化合物は、癌の治療又は共治療における使用に好適であると考えられる。特に、副腎癌、肛門癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳/CNS腫瘍、乳癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸/直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭及び下咽頭癌、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、肝癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔及び中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜トーマ、横紋筋肉腫、唾液腺癌、基底扁平上皮癌、メラノーマ、メルケル細胞皮膚癌、小腸癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンストロームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍。
【0052】
したがって、本発明の化合物の有利な特性は、以下のうちの1つ以上を含み得る:
-I型GnRH受容体と比較したII型GnRH受容体への結合の改善
-MHCクラスI刺激の改善
-MHCクラスII刺激の改善
-免疫調節の改善
-抗原提示細胞の活性化の改善
-T細胞応答の改善
-抗ウイルス活性の改善
-抗癌作用の改善
-MHC II抗原提示の改善
-MHC I抗原提示の改善
【0053】
本発明の化合物を含む医薬組成物
本発明はまた、本発明の化合物を1つ以上の薬学的に許容される希釈剤又は担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。本章は、主に新規GnRH類似体の製剤化を対象とする。新規化合物が、望ましくなく、去勢又は類似の効果を引き起こすI型GnRH受容体に対する効果を有する場合、性ホルモンを含有する組成物は、当分野で既知であり、同時投与され得る。
【0054】
本発明の化合物又はその製剤は、例えば任意の従来の経路によって投与され得るが、非限定的に、非経口的に、経口的に、局所的に、又は粘膜(頬側、舌下、経皮、膣、直腸、鼻、眼などを含む)を介して、医療装置(例えばステント)を介して、吸入によって投与され得る。治療は、単回投与又はある期間にわたる複数回投与からなり得る。
【0055】
治療は、治療される特定の疾患ならびに治療される患者の体重及び年齢に応じて、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回などの投与によるものであり得る。治療はまた、例えば、点滴を介した注入による静脈内投与などの持続投与によるものであり得る。
【0056】
本発明の化合物をそのまま投与することは可能であるが、それを医薬製剤として1つ以上の許容される担体と一緒に存在させることが好ましい。担体は、本発明の化合物と適合性であり、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容される」ものでなければならない。好適な担体の例は、以下により詳細に記載される。
【0057】
製剤は、単位剤形を含む好適な剤形で都合よく提示されてもよく、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。そのような方法は、活性成分(本発明の化合物)を1つ以上の補助成分を構成する担体と一緒にする工程を含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体もしくは微粉化した固体担体又はその両方と均一かつ密接に一緒にして、次いで、必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
【0058】
本発明の化合物は、通常、経口又は非経口経路による通常の任意の投与経路により、活性成分を含む医薬製剤の形態で、場合により薬学的に許容される剤形の、無毒の有機又は無機の酸又は塩基の付加塩の形態で投与され得る。障害及び治療される患者、ならびに投与経路に応じて、組成物は、様々な用量及び/又は頻度で投与され得る。
【0059】
医薬組成物は、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならない;したがって、必要に応じて細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されるべきである。液剤、分散剤、乳剤、及び懸濁剤などの液体製剤の場合、担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、植物油、ならびにそれらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒体であり得る。
【0060】
例えば、本発明の化合物は、香味剤もしくは着色剤を含有し得る錠剤、カプセル剤、フィルム剤、胚珠剤、エリキシル剤、液剤、乳剤、又は懸濁剤の形態で経口、口腔内、又は舌下投与され得る。
【0061】
経口投与に好適な本発明による製剤は、カプセル剤、カシェ剤、又は錠剤などの個別の単位として提供されてもよく、それぞれが所定量の活性成分;を例えば、錠剤もしくはカプセル剤の形態で、複数のユニットとして:粉末もしくは顆粒として;水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;又は水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして;含有する。活性成分はまた、巨丸剤、舐剤、又はペースト剤として提供されてもよい。
【0062】
経口投与に好適な本発明の化合物の溶液又は懸濁液は、水、アルコール、ポリオールなどを含む1つ以上の溶媒、ならびにpH調整剤、安定剤、界面活性剤、可溶化剤、分散剤、防腐剤、香料などの1つ以上の賦形剤も含有し得る。具体例としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、分散剤、例えば、ポリソルベート80、界面活性剤、及び可溶化剤、例えば、ポリエチレングリコール、Phosal 50 PG(ホスファチジルコリン、大豆脂肪酸、エタノール、モノ/ジグリセリド、プロピレングリコール、及びアスコルビルパルミタートからなる)を含む。本発明による製剤はまた、エマルジョンの形態であってもよく、式(I)による化合物は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンなどのエマルジョン中に存在してもよい。油は、天然油もしくは合成油、又は任意の油様物質、例えば、大豆油もしくはベニバナ油又はそれらの組み合わせなどであり得る。
【0063】
錠剤は、微結晶セルロース、ラクトース(例えばラクトース一水和物又はラクトース無水物(anyhydrous))、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム及びグリシン、ブチル化ヒドロキシトルエン(E321)、クロスポビドン、ヒプロメロースなどの賦形剤、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ポテト、又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及び特定の複雑なシリカートなどの崩壊剤、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、マクロゴール8000、スクロース、ゼラチン、及びアラビアゴムなどの造粒結合剤を含有し得る。さらに、マグネシウムステアラート、ステアリン酸、グリセリルベヘナート、及びタルクなどの滑沢剤が含まれてもよい。
【0064】
錠剤は、場合により1つ以上の副成分と共に圧縮又は成型することにより作製され得る。圧縮錠剤は、場合により結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、又は分散剤と混合された粉末もしくは顆粒などの自由流動形態の活性成分を好適な機械で圧縮することによって調製され得る。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成型することによって作製され得る。錠剤は、場合により被覆又は刻み目を入れてもよく、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で使用してその中の活性成分を徐放又は制御放出するように処方して所望の放出プロファイルを提供してもよい。
【0065】
同様の種類の固体組成物もゼラチンカプセルの充填剤として用いられ得る。これに関して好ましい賦形剤としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖、又は高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液及び/又はエリキシル剤の場合、本発明の化合物は、様々な甘味剤もしくは香味剤、色素、又は染料と、乳化剤及び/又は懸濁剤と、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリン、ならびにそれらの組み合わせなどの希釈剤と組み合わせ得る。
【0066】
口内への局所投与に好適な製剤としては、活性成分を風味付きで、通常スクロース及びアカシア又はトラガカントを含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴムなどの不活性基剤中に活性成分を含むトローチ;ならびに活性成分を好適な液体担体中に含む洗口剤が挙げられる。
【0067】
局所投与に適した医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、粉末剤、溶液、ペースト剤、ゲル剤、含浸包帯剤、スプレー剤、エアゾール剤又はオイル剤、経皮装置、散粉剤などとして処方され得る。これらの組成物は、活性剤を含有する従来の方法で調製され得る。したがって、それらはまた、保存剤、薬物浸透を助けるための溶媒、クリーム又は軟膏中の皮膚軟化剤、及びローションのためのエタノール又はオレイルアルコールなどの適合する従来の担体及び添加剤を含んでもよい。そのような担体は、組成物の最大約1%~最大約98%として存在してもよい。より通常には、それらは、組成物の最大約80%を形成する。ほんの一例として、クリーム又は軟膏は、所望の粘稠度を有するクリーム又は軟膏を製造するのに十分な量で、約5~10重量%の化合物を含有する十分な量の親水性材料及び水を混合することによって調製される。
【0068】
経皮投与に適した医薬組成物は、レシピエントの表皮と長期間密接に接触したままでいることを意図した個別のパッチとして提示され得る。例えば、活性剤は、イオン導入法によってパッチから送達され得る。
【0069】
外部組織、例えば口及び皮膚への適用のためには、組成物は、局所用軟膏又はクリームとして適用されるのが好ましい。軟膏剤に製剤化される場合、活性剤は、パラフィン系軟膏基剤又は水混和性軟膏基剤と共に用いられ得る。
【0070】
あるいは、活性剤は、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤を用いてクリーム剤に製剤化され得る。
【0071】
非経口投与の場合、液体単位剤形は、活性成分及び滅菌ビヒクル、例えば、これらに限定されないが、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、及び植物油を用いて調製され、水が好ましい。使用されるビヒクル及び濃度に応じて、活性成分は、コロイド状、懸濁状、又はビヒクル中に溶解させることができる。溶液を調製する際には、活性成分を注射用水に溶解し、好適なバイアル又はアンプルに充填して密封する前に濾過滅菌することができる。
【0072】
有利には、局所麻酔薬、防腐剤、及び緩衝剤などの薬剤をビヒクルに溶解することができる。安定性を高めるために、組成物をバイアルに充填した後に凍結し、水を真空下で除去することができる。次いで、乾燥凍結乾燥粉末をバイアル中に密封し、使用の前に液体を再構成するために付随の注射用水バイアルを供給し得る。
【0073】
注射用途に好適な本発明の医薬組成物は、無菌水溶液又は分散液を含む。さらに、組成物は、そのような滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製用の滅菌粉末の形態であり得る。全ての場合において、最終注射形態は、無菌でなければならず、容易な注射可能性のために効果的に流動性でなければならない。
【0074】
非経口懸濁液は、活性成分が溶解される代わりにビヒクルに懸濁され、滅菌が濾過によって達成され得ないことを除いて、溶液と実質的に同じ様式で調製される。無菌ビヒクルに懸濁する前に、活性成分をエチレンオキシドに曝露することによって滅菌することができる。有利には、活性成分の均一な分布を容易にするために界面活性剤又は湿潤剤が組成物中に含まれる。
【0075】
特に上述した成分に加えて、本発明の製剤は、問題の製剤の種類を考慮して当技術分野で従来の他の薬剤、例えば経口投与に好適な香味剤を含み得ることを理解されたい。当業者は、好適な製剤を選択する方法及びそれを調製する方法を知っている(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 18Ed又はそれ以降を参照のこと)。当業者はまた、好適な投与経路及び投与量を選択する方法を知っている。
【0076】
当業者であれば、本発明の化合物の個々の投与量の最適な量及び間隔は、治療される状態の性質及び程度、投与形態、投与経路及び投与部位、ならびに治療されている特定の対象の年齢及び状態によって決定されることを認識し、医師が最終的に使用されるべき適切な投与量を決定することを認識する。この投与量は、必要に応じて何度も繰り返され得る。副作用が発生した場合、通常の臨床診療に従って、投与量及び/又は投与頻度を変更又は低減することができる。
【0077】
医薬組成物はまた、一方の部分がGnRH類似体を含有し、他方の部分が性ホルモンを含有する2部構成の組成物でもあり得る。2つの部分は、例えば2層錠剤として組み合わせてもよく、又はそれらは、例えばカプセル中のペレットとして存在してもよい。GnRH類似体を含有する既知の組成物及び性ホルモンを含有する既知の組成物もまた本発明の方法において使用され得る。
【0078】
文脈上別段の要求がない限り、本明細書で言及される全ての%値は、%w/wである。
【0079】
配列表
配列表は、WIPO規格ST.25に従って調製される。配列表において、化合物1~63及びP1~P21の非天然アミノ酸は、以下のように対応する天然アミノ酸として表される:
【表4】
【0080】
配列表において、エントリー1~63は、化合物1~63に対応し、エントリー64~78は、化合物P1~P15に対応する。エントリー79及び80は、野生型GnRH I及びGnRH IIに対応する。エントリー81~84は、プライマーに対応する。エントリー85~89は、化合物64~68に対応する。エントリー90~95は、化合物P16~P21に対応する。しかしながら、それらが配列表に記載されている、すなわち上記の非天然アミノ酸を含まない、配列番号1~78及び85~89の配列は、特許請求されていないが、EPCのR.30(1)の要件を満たすためにのみ含まれる。
【0081】
配列表からのフリーテキストの繰り返し
WIPO規格ST.25の段落36を遵守するために、配列表の数値識別子<223>の下に含まれるフリーテキストは、ここで説明の主要部分において繰り返される:
【表5】
【0082】
定義
冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法上の目的語の1つ又は2つ以上(すなわち少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、「類似体」は、1つの類似体又は複数の類似体を意味する。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「イムノヘリン」及び「本発明の化合物」は、交換可能に使用され、式(I)の化合物を指す。
【0084】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機又は有機の酸又は塩基から形成される従来の塩、ならびに四級アンモニウム酸付加塩を含む。好適な酸塩のより具体的な例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、パルモック酸、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化水素酸、リンゴ酸、ステアリン酸(Steroic)、タンニン酸などが挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に有用であり得る。好適な塩基性塩のより具体的な例としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、及びプロカインの塩が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】漸増濃度のGnRH IIを用いたT細胞の刺激後のMHCクラスIの発現を示す図である。健康なドナーからのPBMCをGnRH II及びIL-2で72時間刺激した。データ点は、フローサイトメトリーで測定されたCD4
+T細胞(青色の三角)又はCD8
+T細胞(黒色の四角)上のMCHクラスI発現の平均蛍光強度を表す。
【
図2】漸増濃度のGnRH I類似体(赤色)及びGnRH II(黒色)でT細胞を刺激した後のMHCクラスIの発現を示す図である。健康なドナーからのPBMCをGnRH I類似体又はGnRH II及びIL-2で72時間刺激した。データ点は、フローサイトメトリーで測定されたCD4
+T細胞(A)又はCD8
+T細胞(B)上のMCHクラスI発現の平均蛍光強度を表す。
【
図3】漸増濃度のGnRH I類似体(赤色)及びGnRH II(黒色)でCD4
+CD14
+単球を刺激した後のMHCクラスIの発現を示す図である。健康なドナーからのCD14
+単球PBMCを、GnRH I類似体又はGnRH II及びIL-2で72時間刺激した。データ点は、フローサイトメトリーで測定されたCD4
+CD14
+単球上のMCHクラスI発現の平均蛍光強度を表す。
【
図4】定量的リアルタイムPCRで分析したヒトT細胞におけるGnRH受容体発現を示す図である。棒は、選別されたナイーブT細胞(白色の棒)又はメモリーT細胞(灰色の棒)におけるRNAポリメラーゼII発現に対して正規化されたGnRHR I又はGnRHR II mRNAの比を表す。MCF-7乳癌細胞株(黒色の棒)を陽性対照として使用した。
【
図5】予想データ:感染マウスの肺中のマイコバクテリアの数は、テストステロンの存在下又は非存在下で本発明の化合物によって抑制される。コロニー形成単位(CFU)は、細菌プレート上で感染マウスからの肺組織の溶解物を増殖させ、コロニーを数えることによって評価される。
【発明を実施するための形態】
【0086】
実験的
一般的な生物学的方法
GnRH受容体に対する本発明の化合物の優先的効果は、以下に記載される方法のうちの1つ以上を使用して試験され得る:
【0087】
I.T細胞におけるGnRH受容体の発現
ヒトナイーブT細胞及びメモリーT細胞を蛍光表面マーカー抗体CD45RA、CD45RO、及びCD4で標識し、フローサイトメトリーで分類した。全RNAをRnaeasyキット(Qiagen)で抽出し、iScript select cDNA合成キット(Biorad)で逆転写した。鋳型cDNAをSYBR Green(Applied Biosystem)で増幅し、CFX96 PCR(Biorad)で泳動した。I型GnRH受容体とII型GnRH受容体mRNAとの比は、選別されたナイーブT細胞又はメモリーT細胞におけるRNAポリメラーゼII発現に対して正規化された。MCF-7乳癌細胞株を陽性対照として使用した。
【0088】
プライマー配列:
I型 GnRH受容体
fwd 5’-tgc ctc ttc atc atc cct ct-3’
rev 5’-gca aat gca acc gtc att tt-3’
II型 GnRH受容体
fwd 5’-act gtt caa tgg ctg gct gt-3’
rev 5’-gcc ccc aga agt ttc ctt ac-3’
【0089】
I.GnRH I対GnRH IIアッセイ
トランスフェクションによってI型又はII型GnRH受容体を発現するように作製した細胞に対して化合物を試験した。細胞を標識GnRH化合物に曝露し、洗浄した後、細胞上の標識を測定することによって評価した。標識を直接的に(放射性同位体標識もしくは蛍光標識)又は間接的に(ビオチン標識ペプチド)測定した。
【0090】
GnRH化合物によって誘導されるシグナル伝達をそれぞれI型 GnRH及びII型 GnRH受容体を発現する細胞株において測定した。GnRH化合物を、競合アッセイを使用して、I型GnRH及びII型GnRH受容体に対するそれぞれの親和性について調べた。それらの効力を確立するED50値を評価するために、フローサイトメーターを使用するか又は生細胞画像化顕微鏡法のいずれかを使用してFluo-4-Directで標識した細胞を使用してカルシウム流動を測定した。シグナル伝達はまた、p-ERK又はp-JNKに対する抗体を使用したウエスタンブロッティングによっても研究した。
【0091】
LH及びFSHの産生に対する細胞活性化の効果を評価し、それを免疫関連機能の刺激と比較するために、化合物の効果を下垂体細胞及びII型GnRH又はI型GnRH受容体のいずれかを発現する免疫細胞について調べた。
【0092】
II.細胞特異的表面マーカーならびにMHCクラスII及びMHCクラスIの発現
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、フィコール-ハイパック密度遠心分離を用いて健康なドナーから精製した。細胞を、10%ウシ胎児血清、100μg/mLアンピシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを補充したRPMI-1640培地(Invitrogen)中、37℃、5%CO2中で24~72時間培養した。細胞を本発明による化合物で刺激し、フローサイトメトリーを用いて細胞特異的表面マーカー及びMHCクラスII(BD Pharmingenからのモノクローナル抗体)の発現について分析した。
【0093】
インビトロアッセイにおいてそれらの免疫調節特性について本発明による化合物のセットを試験し、単球上でMHCクラスII発現を誘導するそれらの能力を評価する。最初に、共培養で既知のGnRH類似体を使用し、単球を刺激した。MFIにおける背景からのMHCクラス発現のわずかな増加が見られ得る。対照的に、本発明による化合物を使用すると、本発明者らは、MHCクラスIIの細胞表面発現のより大きな発現を検出し得る。これが観察である場合、本発明者らは、エンドソーム及びリソソーム経路からのMHCクラスII及びクラスIペプチドの代謝回転及び提示の増加を可能にする、MHCクラスII発現に対する効果を有する化合物を同定し得る。この発見は、細胞内病原体に由来するペプチドの提示を強化し、CD4+ヘルパーTならびにCD8+T細胞の細胞活性化、増殖を促進し、滅菌免疫を誘導する。
【0094】
材料
特に明記しない限り、以下の例で使用される全ての試薬は、商業的供給源から得られる。
【0095】
細胞内細菌に対する本発明の化合物の理論例
材料及び方法
雄マウスは、細菌を含有するエアロゾルの吸入によって結核菌に感染させる。感染量は、マウス1匹あたり100~1000細菌である。GnRHII又はGnRHI関連化合物(単独でもしくはテストステロンと一緒に)又はビヒクルは、いずれかの細菌による感染後、1~2週間の間適切な用量で適切な経路により投与される。マウスを屠殺し、肺を取り出し、ホモジナイズし、結核菌の増殖を支持する培地を含有する細菌皿上にプレーティングする。3~4週間のインキュベーション後、37℃の加熱キャビネット内で、マウスの肺の中の細菌の量をプレート上の細菌コロニーを数えることによって定量する。
【0096】
予想結果
この実験の予想結果は、対照ビヒクル処置マウスと比較して、GnRH化合物で処置されたマウスにおいて、マウスの肺中の結核菌細菌の量が減少することである。本発明者らはまた、この点でGnRHII関連化合物がGnRHI関連化合物よりも優れていると予想する。本発明者らは、テストステロンの同時投与がGnRH化合物の効果の程度に影響を与えるとは予想しない。
【0097】
魅力的効果の測定及びその補償
本発明の化合物によって誘発される去勢、ならびにその任意の補償は、関連性ホルモンの循環レベルの測定によって決定することができる。そのような測定を実行する方法は、当業者に既知である。
【0098】
一般的な合成方法
方法A
【化6】
上記の図表に従って、標準Fmoc固相合成を使用してペプチドを調製した。保護アミノ酸(必要であればFmoc及びtBu又はTrt)を使用し、合成は、2-クロロトリチルポリスチレン樹脂上で実行した。反応は、A、B、Cの順序で行われ、続いて所望のペプチドを構築するためにB及びCが複数回繰り返される。最終アミノ酸(ピログルタマート-注意、反応Cは、アミノ酸がFmoc保護されていないがこれを行うために使用される)が添加されると、最後の2つの反応-D及びE-がその順序で行われ、本発明の化合物を生成する。
【0099】
反応A:樹脂をジクロロメタン(樹脂と比較して10~20容量当量)に懸濁し、室温で撹拌した。ジイソプロピルエチルアミン(6当量)の存在下でFmoc保護アミノ酸(2当量)を1当量の樹脂に添加した。反応物を室温で0.5~1時間撹拌した。樹脂を濾取し、DMFで6回洗浄した後、次の工程に直接使用した。
【0100】
反応B:ジメチルホルムアミド中のピペリジン(20%)(樹脂と比較して5~10容量当量)を室温で処理することによりFmoc保護基を除去した。反応物を最大1時間撹拌し、樹脂を濾取し、次いで樹脂をDMFで6回洗浄し、次の工程に直接使用した。
【0101】
反応C:Fmoc保護アミノ酸(4当量)をDMFに溶解し、DIPEA(2当量)を添加した。室温で1分間撹拌した後、これらを反応Bからの樹脂担持アミノ酸(1当量)に添加し、HBTU(1当量)を添加して処理した。反応物を最大1時間撹拌し、次いで樹脂を濾取し、DMFで6回洗浄し、次の工程に直接使用した。次の工程は、標的配列に応じて反応B又は反応Dのいずれかであった。
【0102】
反応D:保護ペプチドを、ジクロロメタン中3~5%トリフルオロ酢酸で処理することにより樹脂から開裂させた。樹脂を濾過により除去し、ペプチドを氷冷ジエチルエーテルで沈殿させ、遠心分離により集めることにより得た。固体をさらなるジエチルエーテル中で洗浄し、次いで真空下で乾燥した後、次の工程で使用した。
【0103】
反応E:反応Dからのペプチド(1当量)をDMFに溶解することによりC末端アミドを形成し、モノアルキルアミン(20~50当量)及びHBTU(2~3当量)を添加し、反応物を室温で最大3時間撹拌した。反応物を水で希釈し、次いで粗ペプチドを以下に詳述するように精製した。
【0104】
方法B
【化7】
上記の図表に従って、標準Fmoc固相合成を使用してペプチドを調製した。保護アミノ酸(必要であればFmoc及びtBu又はTrt)を使用し、Ramage樹脂上で合成を実行した。反応は、A、B、Cの順序で行われ、続いて所望のペプチドを構築するためにB及びCが複数回繰り返される。最終アミノ酸(ピログルタマート-注意、反応Cは、アミノ酸がFmoc保護されていないがこれを行うために使用される)が添加されると、最後の2つの反応-D及びE-がその順序で行われ、本発明の化合物を生成する。
【0105】
反応F:Fmoc Ramage樹脂を、20%ピペリジンを含有するDMF(樹脂と比較して5~10容量当量)に懸濁する。反応物を室温で最大1時間撹拌し、樹脂を濾取し、DMFで6回洗浄し、次の反応に直接使用した。
【0106】
反応G:Fmoc保護アミノ酸(5当量)をDMFに溶解し、DIPEA(2当量)を添加した。室温で1分間撹拌した後、これらを反応Fからの樹脂担持アミノ酸(1当量)に添加し、HBTU(1当量)を添加して処理した。反応物を最大1時間撹拌し、次いで樹脂を濾取し、DMFで6回洗浄し、次の工程に直接使用した。
【0107】
反応H:ジメチルホルムアミド中のピペリジン(20%)(樹脂と比較して5~10容量当量)を室温で処理することによりFmoc保護基を除去した。反応物を最大1時間撹拌し、樹脂を濾取し、次いで樹脂をDMFで6回洗浄し、次の工程に直接使用した。
【0108】
反応I:Fmoc保護アミノ酸(4当量)をDMFに溶解し、DIPEA(2当量)を添加した。室温で1分間撹拌した後、これらを反応Hからの樹脂担持アミノ酸(1当量)に添加し、HBTU(1当量)を添加して処理した。反応物を最大1時間撹拌し、次いで樹脂を濾取し、DMFで6回洗浄し、次の工程に直接使用した。次の工程は、標的配列に応じて反応H又は反応Jのいずれかであった。
【0109】
反応J:2.5%の水、2.5%のトリイソプロピルシラン、及び5%のジクロロメタンを含む90%のトリフルオロ酢酸で処理することによってペプチドを樹脂から開裂させた。樹脂を濾過により除去し、ペプチドを氷冷ジエチルエーテルで沈殿させ、遠心分離により集めることにより得た。次いで粗ペプチドを以下に詳述するように精製した。
【0110】
精製
粗ペプチドをアセトニトリル/H2O(1:1、v/v)に個々に溶解し、水(0.1%TFA)-アセトニトリル(0.1%TFA)勾配を使用するC18カラムを用いた分取HPLCによって精製した。ペプチドの最終純度は、分析用HPLCにより確認した。-20℃で保存する前にペプチドを凍結乾燥した。
【0111】
化合物分析-同一性及び純度
分析方法A
分析のために、化合物をメタノール:水(9:1、0.1mg/ml)に溶解し、150μl部分をHPLC微量バイアルに入れ、14000rpmで3分間遠心分離した。次いで、試料を、ダイオードアレイを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC-DAD)及び質量分析(HPLC-MS)検出によって調査する。HPLC-DAD-MSは、Waters ZQ単一四重極質量分析計に連結された四次ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、及びダイオードアレイ検出器を備えるAgilent 1100 HPLCシステムを使用して実行した。同じ逆相のWaters Xselect CSH C18、2.1mmx50mm、3.5μm粒径カラムを全ての化合物に使用し、Waters VanGuard CSH C18、2.1mmx5mm、3.5μm粒径ガードカラム及びWaters Acquity、0.2μmインラインカラムフィルターを装着した。カラムを60℃の温度に維持して1ml/分の流速で使用した。使用した溶媒は、95%アセトニトリル中の0.17%ギ酸、5%水中(溶媒B)及び10mMギ酸アンモニウム、水中0.2%ギ酸(溶媒A)であり、以下のような勾配であった:0~0.2分の5%溶媒B、0.2~9.3分の5~50%溶媒B、9.3~9.5分の50~95%溶媒B、9.5~11分の95%溶媒B、11~11.05分の95~5%溶媒B、及び11.05~11.5分の5%溶媒Bとの再平衡化。窒素を補助ガス及びシースガスとして使用した。供給電圧は、3400Vに設定し、コーン電圧は、50L/時のガス流、550L/時の乾燥ガス流速、及び350℃の乾燥ガス温度で31Vに設定した。
【0112】
化合物分析-溶液中の溶解度及び安定性
分析方法B
溶解度及び安定性分析のために、化合物をリン酸緩衝溶液(PBS、10mM、pH7.4)に溶解し(0.2mg/ml)、室温で20分間振盪した。T=0時間の試料を採取し(80μl)、14000rpmで3分間遠心分離し、次いで上記のように分析方法Aによって分析した。バルク試料を37℃のTechne Roller-Blot HB-3Dローリングハイブリダイザーに入れ、T=4、24、及び96時間の時点で試料(80μl)を採取したときにのみ取り出した。試料を14000rpmで3分間遠心分離し、次いで上記のようにHPLC-DAD-MSによって分析した。280nmでの曲線下のUV面積を各時点で記録した。
【0113】
例
例1-化合物合成
本発明の化合物は、一般的な合成方法に記載の方法に従って作製した。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表7-1】
【表7-2】
【0114】
例2-溶解度分析
本発明の化合物の溶解度を一般的な方法に記載の通りに試験した。次いで、溶解度を1~5の等級に従って等級付けし、1が最も溶解性が高く、5が最も溶解性が低い。
【表8-1】
【表8-2】
【0115】
例3-安定性解析
水性媒体(PBS ph7.4)中の本発明の化合物の安定性を、一般的な方法に記載の通りに試験した。次いで、安定性は、t1/2>96分が+として示され、これよりも低い安定性が-として示される等級に従って等級付けした。
【表9-1】
【表9-2】
【0116】
例4-GnRH R刺激
GnRHRを刺激する本発明の化合物の能力は、CHO-K1細胞(Genscript)を用いたカルシウムアッセイを使用することによって評価した。詳細については一般的な方法を参照のこと。次いで活性を1μMでの刺激百分率として記録した。
【表10-1】
【表10-2】
【0117】
参考文献
引用されたすべての参考文献は本願中に参照により組み入れられ、本願には特許及び特許出願が包含される。組み入れられる範囲は、可能な限り最も広範な範囲である。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
【化2】
式中、R
5=Me、Et、CH
2CF
3、iPr、nPr、nBu、iBu、sBu、tBu、シクロプロピルCH
2CONH
2又はNHCONH
2であり、
ただし、本発明は、以下の化合物を含まない、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【手続補正書】
【提出日】2022-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】