(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153653
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】関節リウマチ患者の健康に関連した生活の質を改善するための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20221004BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20221004BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221004BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221004BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20221004BHJP
A61K 31/635 20060101ALI20221004BHJP
A61K 31/4706 20060101ALI20221004BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20221004BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20221004BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P19/02 ZNA
A61P29/00 101
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K31/519
A61K31/42
A61K31/635
A61K31/4706
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022125220
(22)【出願日】2022-08-05
(62)【分割の表示】P 2020134315の分割
【原出願日】2015-09-15
(31)【優先権主張番号】14306427.7
(32)【優先日】2014-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジョニー・ジョージ・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバート・ヴァン・ホッグストラティン
(72)【発明者】
【氏名】チェイ-アイ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】チャンパン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ニール・グラハム
(72)【発明者】
【氏名】マリー・タニヤ・マムターン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ジェノヴェーゼ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善するための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】関節リウマチに罹患している被験体の睡眠の質を改善する方法で使用するための、抗体を含む医薬組成物であって、ここで該抗体は、ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)に結合し、かつ特定の配列の重鎖可変領域及び別の特定の配列の軽鎖可変領域配列を含み、該抗体は、2週ごとに1回、150mg又は200mgで投与され、該抗体の投与は、睡眠の質を改善する、上記医薬組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善する方法であって、該方法は被験体に有効量の抗体を投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列の重鎖可変領域及び配列番号2の軽鎖可変領域配列を含む、上記方法。
【請求項2】
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも2.5の、Short Form-36身体的コンポーネントサマリー(SF-36 PCS)のベースライン(BL)からの変化、
- 少なくとも2.5の、Short Form-36精神的コンポーネントサマリー(SF-36 MCS)のBLからの変化、
- SF-36の8つのドメイン:
・ 少なくとも5の、Short Form-36身体機能(SF-36 PF)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36日常役割機能(身体)(SF-36 RP)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36体の痛み(SF-36 BP)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36全体的健康感(SF-36 GH)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36活力(SF-36 VT)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36社会生活機能(SF-36 SF)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36日常役割機能(精神)(SF-36 RE)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36心の健康(SF-36 MH)のBLからの変化、
- 少なくとも3の、慢性疾患治療-倦怠感の機能的評価(FACIT-F)のBLからの変化
からなる群より選択されるいずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるベースライン(BL)からの変化を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被験体が、抗体を用いた処置の少なくとも24週後に、SF-36の全ての8つのドメインにおいて、さらにはSF-36 PCS、SF-36 MCSにおいて、プラセボを用いた処置の少なくとも24週後に得られたベースライン(BL)からの変化よりも大きいBLからの変化を達成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
SF-36の全ての8つのドメインにおいて、さらにはSF-36 PCS、SF-36 MCSにおいて、プラセボを用いた処置の少なくとも24週後に得られたベースライン(BL)からの変化よりも大きいBLの変化が:
- 少なくとも5.3の、SF-36 PCSのBLからの変化、
- 少なくとも4の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも6.6の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも5.5の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 REのBLからの変化
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも6.5の、FACIT-FのBLからの変化
からなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも5.3の、SF-36 PCSのBLからの変化、
- 少なくとも4の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも6.6の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも5.5の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも6.5の、FACIT-FのBLからの変化
からなる群より選択される、いずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるベースライン(BL)からの変化を達成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも8の、SF-36 PCSのベースライン(BL)からの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも10の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも6の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも6の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも9の、FACIT-FのBLからの変化
からなる群より選択される、いずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるスコアを達成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
被験体は以前に、少なくとも1つの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を投与することによる関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのDMARDが、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、アバタセプト、リツキシマブ、トシリズマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのDMARDが、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、及びヒドロキシクロロキンからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのDMARDが、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
有効量の抗体並びに有効量のメトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、及び/又はヒドロキシクロロキンを被験体に投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
被験体に有効量の抗体及び有効量のメトトレキサートを投与することを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
メトトレキサートが、1週あたり6~25mgの間で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
抗体が皮下投与される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
抗体が、2週あたり150mg又は2週あたり200mgで投与される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善する方法における使用のための抗体であって、ここで抗体は、配列番号1の配列の重鎖可変領域及び配列番号2の軽鎖可変領域配列を含む、上記抗体。
【請求項17】
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも2.5の、Short Form-36身体的コンポーネントサマリー(SF-36 PCS)のベースライン(BL)からの変化、
- 少なくとも2.5の、Short Form-36精神的コンポーネントサマリー(SF-36 MCS)のBLからの変化、
- SF-36の8つのドメイン:
・ 少なくとも5の、Short Form-36身体機能(SF-36 PF)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36日常役割機能(身体)(SF-36 RP)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36体の痛み(SF-36 BP)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36全体的健康感(SF-36 GH)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36活力(SF-36 VT)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36社会生活機能(SF-36 SF)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36日常役割機能(精神)(SF-36 RE)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36心の健康(SF-36 MH)のBLからの変化、
- 少なくとも3の、慢性疾患治療-倦怠感の機能的評価(FACIT-F)のBLからの変化
からなる群より選択されるいずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるベースライン(BL)からの変化を達成する、請求項16に記載の使用のための抗体。
【請求項18】
被験体が、抗体を用いた処置の少なくとも24週後に、SF-36の全ての8つのドメインにおいて、さらにはSF-36 PCS、SF-36 MCSにおいて、プラセボを用いた処置の少なくとも24週後に得られたベースライン(BL)からの変化よりも大き
いBLからの変化を達成する、請求項16又は17に記載の使用のための抗体。
【請求項19】
SF-36の全ての8つのドメインにおいて、さらにはSF-36 PCS、SF-36 MCSにおいて、プラセボを用いた処置の少なくとも24週後に得られたベースライン(BL)からの変化よりも大きいBLからの変化が:
- 少なくとも5.3の、SF-36 PCSのBLからの変化、
- 少なくとも4の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも6.6の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも5.5の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも6.5の、FACIT-FのBLからの変化
からなる、請求項18に記載の使用のための抗体。
【請求項20】
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも5.3の、SF-36 PCSのBLからの変化、
- 少なくとも4の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも6.6の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも5.5の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも6.5の、FACIT-FのBLからの変化
からなる群より選択される、いずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるベースライン(BL)からの変化を達成する、請求項16又は請求項17に記載の使用のための抗体。
【請求項21】
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも8の、SF-36 PCSのベースライン(BL)からの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも10の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも6の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも6の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも9の、FACIT-FのBLからの変化
からなる群より選択される、いずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるスコアを達成する、請求項16~20のいずれか1項に記載の使用のための抗体。
【請求項22】
抗体がサリルマブである、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
抗体がサリルマブである、請求項16~21のいずれか1項に記載される使用のための抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、関節リウマチの分野に関する。より詳細には、本発明は、被験体に有効量のサリルマブ(sarilumab)を投与することを含む、関節リウマチに罹患している被験体の
健康に関連した生活の質を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
北米及び欧州における成人人口の約0.5%~1%が関節リウマチ(RA)を患っていると見積
もられる。RAは男性の2倍頻繁に女性が発症し、発生率は40歳を超える女性の間で最も高
い。
【0003】
RAは、多数の間接における持続性の滑膜炎並びに軟骨及び骨の進行性の破壊を特徴とする。この疾患の顕著な特徴は、手足の小さな関節を特徴的に含む対称性多発性関節炎である。炎症プロセスはまた、他の器官、特徴的には、骨髄(貧血)、眼(強膜炎、上強膜炎)、肺(間質性肺炎、胸膜炎)、心臓(心膜炎)および皮膚(小結節、白血球破壊性血管炎)も標的にし得る。全身性炎症は、貧血、上昇した赤血球沈降速度、フィブリノーゲンおよびC反
応性タンパク質(CRP)のような検査異常性、並びに疲労の臨床症状、体重減少、罹患した
関節領域における筋萎縮症を特徴とする。ポリクローナル高力価リウマトイド因子及び抗環状シトルリン化ペプチド(抗CCP)抗体の存在は、免疫調節不全の証拠を提供する。RA患
者の65%~70%が関節破壊、身体障害及び早期死亡に至る進行性の疾患を有すると見積もられた。
【0004】
RA患者の臨床症状を改善することに加えて、RA患者の健康に関連した生活の質の改善における興味が高まってきた。実際、患者の健康状態(疾患及びその結果の存在又は不在)を評価することを意図された通常の機器に加えて、医師及び臨床医は、患者の生活の質を測定するための新しい機器を開発した。生活の質は、患者の健康状態が患者が何をするのを妨げるか、そしてまたこれらの制限に対する彼らの感情的応答について訊ねることによる機能障害(impairment)/身体障害(disability)及びハンディキャップの連続したつながりを超えるものである。生活の質はまた、個人が有する個人的、社会的及び経済上の資源、並びにこれらが健康状態と相互作用するやり方の影響も反映する(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】British Journal of Rheumatology 1997;36:884-888
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示は、被験体に有効量のサリルマブ(sarilumab)(SAR153191)を投与することを含む、関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善する方法を提供する。
【0007】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する:
【0008】
実施態様1:
被験体に有効量のサリルマブを投与することを含む、関節リウマチに罹患している被験
体の健康に関連した生活の質を改善する方法。
【0009】
実施態様2:
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも2.5の、Short Form-36身体的コンポーネントサマリー(SF-36 PCS)のベースライン(BL)からの変化、
- 少なくとも2.5の、Short Form-36精神的コンポーネントサマリー(SF-36 MCS)のBLからの変化、
- SF-36の8つのドメイン:
・ 少なくとも5の、Short Form-36身体機能(SF-36 PF)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36日常役割機能(身体)(SF-36 RP)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36体の痛み(SF-36 BP)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36全体的健康感(SF-36 GH)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36活力(SF-36 VT)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36社会生活機能(SF-36 SF)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36日常役割機能(精神)(SF-36 RE)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36心の健康(SF-36 MH)のBLからの変化、
- 少なくとも3の、慢性疾患治療-倦怠感の機能的評価(FACIT-F)のBLからの変化
からなる群より選択されるいずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるベースライン(BL)からの変化を達成する、実施態様1に記載の方法。
【0010】
実施態様3:
被験体が、サリルマブを用いた処置の少なくとも24週後に、SF-36の全ての8つのドメインにおいて、さらにはSF-36 PCS、SF-36 MCSにおいて、プラセボを用いた処置の少なくとも24週後に得られたベースライン(BL)からの変化よりも大きいBLからの変化を達成する、実施態様1又は2に記載の方法。
【0011】
実施態様4:
SF-36の全ての8つのドメインにおいて、さらにはSF-36 PCS、SF-36 MCSにおいて、プラセボを用いた処置の少なくとも24週後に得られたベースライン(BL)からの変化よりも大きいBLの変化が:
- 少なくとも5.3の、SF-36 PCSのBLからの変化、
- 少なくとも4の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも6.6の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも5.5の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 REのBLからの変化
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも6.5の、FACIT-FのBLからの変化
からなる、実施態様3に記載の方法。
【0012】
実施態様5:
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも5.3の、SF-36 PCSのBLからの変化、
- 少なくとも4の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも6.6の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも5.5の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも6.5の、FACIT-FのBLからの変化
からなる群より選択される、いずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるベースライン(BL)からの変化を達成する、実施態様1又は2の記載の方法。
【0013】
実施態様6:
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも8の、SF-36 PCSのベースライン(BL)からの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも10の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも6の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも6の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも9の、FACIT-FのBLからの変化
からなる群より選択される、いずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるスコアを達成する、実施態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
実施態様7:
被験体は以前に、少なくとも1つの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を投与することによる関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった、実施態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
実施態様8:
少なくとも1つのDMARDが、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、アバタセプト、リツキシマブ、トシリズマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群より選択される、実施態様7に記載の方法。
【0016】
実施態様9:
少なくとも1つのDMARDが、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、及びヒドロキシクロロキンからなる群より選択される、実施態様7に記載の方法。
【0017】
実施態様10:
少なくとも1つのDMARDが、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群より選択される、実施態様7に記載の方法。
【0018】
実施態様11:
有効量のサリルマブ並びに有効量のメトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、及び/又はヒドロキシクロロキンを被験体に投与することを含む、実施態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
実施態様12:
被験体に有効量のサリルマブ及び有効量のメトトレキサートを投与することを含む、実施態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
実施態様13:
メトトレキサートが、1週あたり6~25mgの間で投与される、実施態様12に記載の方法。
【0021】
実施態様14:
サリルマブが皮下投与される、実施態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
実施態様15:
サリルマブが、2週あたり150mg又は2週あたり200mgで投与される、実施態様1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
実施態様16:
関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善する方法における使用のためのサリルマブ。
【0024】
実施態様17:
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも2.5の、Short Form-36身体的コンポーネントサマリー(SF-36 PCS)のベースライン(BL)からの変化、
- 少なくとも2.5の、Short Form-36精神的コンポーネントサマリー(SF-36 MCS)のBLからの変化、
- SF-36の8つのドメイン:
・ 少なくとも5の、Short Form-36身体機能(SF-36 PF)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36日常役割機能(身体)(SF-36 RP)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36体の痛み(SF-36 BP)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36全体的健康感(SF-36 GH)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36活力(SF-36 VT)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36社会生活機能(SF-36 SF)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36日常役割機能(精神)(SF-36 RE)のBLからの変化、
・ 少なくとも5の、Short Form-36心の健康(SF-36 MH)のBLからの変化、
- 少なくとも3の、慢性疾患治療-倦怠感の機能的評価(FACIT-F)のBLからの変化
からなる群より選択されるいずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるベースライン(BL)からの変化を達成する、実施態様16に記載の使用のためのサリルマブ。
【0025】
実施態様18:
被験体が、サリルマブを用いた処置の少なくとも24週後に、SF-36の全ての8つのドメインにおいて、さらにはSF-36 PCS、SF-36 MCSにおいて、プラセボを用いた処置の少なくとも24週後に得られたベースライン(BL)からの変化よりも大きいBLからの変化を達成する、実施態様16又は17に記載の使用のためのサリルマブ。
【0026】
実施態様19:
SF-36の全ての8つのドメインにおいて、さらにはSF-36 PCS、SF-36 MCSにおいて、プラセボを用いた処置の少なくとも24週後に得られたベースライン(BL)からの変化よりも大きいBLからの変化が:
- 少なくとも5.3の、SF-36 PCSのBLからの変化、
- 少なくとも4の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも6.6の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも5.5の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも6.5の、FACIT-FのBLからの変化
からなる、実施態様18に記載の使用のためのサリルマブ。
【0027】
実施態様20:
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも5.3の、SF-36 PCSのBLからの変化、
- 少なくとも4の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも6.6の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも5.5の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも6.5の、FACIT-FのBLからの変化
からなる群より選択される、いずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるベースライン(BL)からの変化を達成する、実施態様16又は実施態様17に記載の使用のためのサリルマブ。
【0028】
実施態様21:
被験体が、処置の少なくとも24週後に:
- 少なくとも8の、SF-36 PCSのベースライン(BL)からの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MCSのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 PFのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 RPのBLからの変化、
- 少なくとも10の、SF-36 BPのBLからの変化、
- 少なくとも6の、SF-36 GHのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 VTのBLからの変化、
- 少なくとも7の、SF-36 SFのBLからの変化、
- 少なくとも6の、SF-36 REのBLからの変化、
- 少なくとも5の、SF-36 MHのBLからの変化、
- 少なくとも9の、FACIT-FのBLからの変化
からなる群より選択される、いずれか1つ又はそれ以上の健康に関連した生活の質の結果におけるスコアを達成する、実施態様16~20のいずれか1つに記載の使用のためのサリルマブ。
【0029】
実施態様22:
被験体は以前に、少なくとも1つの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を投与することに
よる関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった、実施態様16~21のいずれか1つに記載の使用のためのサリルマブ。
【0030】
実施態様23
少なくとも1つのDMARDが、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、ヒ
ドロキシクロロキン、アバタセプト、リツキシマブ、トシリズマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群より選択される、実施態様22に記載の使用のためのサリルマブ。
【0031】
実施態様24:
少なくとも1つのDMARDが、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、及
びヒドロキシクロロキンからなる群より選択される、実施態様22に記載の使用のためのサリルマブ。
【0032】
実施態様25:
少なくとも1つのDMARDが、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、
ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群より選択される、実施態様22に記載の使用のためのサリルマブ。
【0033】
実施態様26:
方法が、有効量のサリルマブ並びに有効量のメトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、及び/又はヒドロキシクロロキンを被験体に投与することを含む、実施態様16~25のいずれか1つに記載の使用のためのサリルマブ。
【0034】
実施態様27:
方法が、有効量のサリルマブ及び有効量のメトトレキサートを被験体に投与することを含む、実施態様16~25のいずれか1つに記載の使用のためのサリルマブ。
【0035】
実施態様28:
メトトレキサートが週あたり6~25mgの間で投与される、実施態様27に記載の使用のた
めのサリルマブ。
【0036】
実施態様29:
サリルマブが皮下投与される、実施態様16~28のいずれか1つに記載の使用のためのサリルマブ。
【0037】
実施態様30:
サリルマブが、2週あたり150mg又は2週あたり200mgで投与される、実施態様16~29のいずれか1つに記載の使用のためのサリルマブ。
【0038】
実施態様31:
サリルマブが:
- 25mMヒスチジン
- 50mMアルギニン
- 0.2% (質量/体積)ポリソルベート20、及び
- 5% (質量/体積)スクロース
- 100mg/mLと200mg/mLとの間のサリルマブ
を含有するpH6.0の緩衝化水溶液で皮下投与される、実施態様1~15のいずれか1つに記載の方法、又は実施態様16~30のいずれか1つに記載の使用のためのサリルマブ。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
RAを処置することに加えて、サリルマブはまた、関節リウマチに罹患している被験体の生活の質を改善するために有効であることが本発明者らにより示された。
【0040】
従って本開示は、有効量のサリルマブ(SAR153191)を被験体に投与することを含む、関
節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善する方法を提供する。
【0041】
関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質の改善は、健康い関連した生活の質スコアにより評価され、これらは典型的には以下からなる群より選択される:
- Short Form-36身体的コンポーネントサマリー(SF-36 PCS)、
- Short Form-36精神的コンポーネントサマリー(SF-36 MCS)、
- SF-36の8つのドメイン:
・ Short Form-36身体機能(SF-36 PF)、
・ Short Form-36日常役割機能(身体)(SF-36 RP)、
・ Short Form-36体の痛み(SF-36 BP)、
・ Short Form-36全体的健康感(SF-36 GH)、
・ Short Form-36活力(SF-36 VT)、
・ Short Form-36社会生活機能(SF-36 SF)、
・ Short Form-36日常役割機能(精神)(SF-36 RE)、
・ Short Form-36心の健康(SF-36 MH)、
- 慢性疾患治療-倦怠感の機能的評価(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy-Fatigue)(FACIT-F)
- WPAI、
- 睡眠VAS。
【0042】
本発明に従うサリルマブの投与後の、関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質の改善は、上記の健康に関連した生活の質スコアのそれぞれにおけるベースライン(BL)からの変化を調べることにより典型的に評価される。
【0043】
ベースラインは、本発明に従ってサリルマブを投与される前の被験体により得られたスコアとして定義される。
【0044】
ベースラインからの変化は、ベースラインで被験体により得られたスコアと、本発明に従ってサリルマブを投与された後に被験体により得られた、典型的にはサリルマブの最初の投与の少なくとも24週後、特にサリルマブの最初の投与の後24週又は52週目に測定されたスコアとの間に存在する差異として定義される。
【0045】
健康に関連した生活の質スコア
SF-36 V2
QualityMetricのSF-36v2(R)健康調査は、患者の観点からの機能的健康及び満足できる健康状態を測定するために36の質問を質問する。これは身体的及び精神的な健康の実用的で信頼性があり、かつ妥当な尺度であり、患者により5~10分で完了でき、そしてこれは、科学コミュニティ及び健康規制機関の両方により認められる。SF-36スコアを測定
するために必要な全ての材料及びガイダンスは、QualityMetric(Lincoln、RI、USA)によ
り提供される。SF-36 V2により、8つのドメイン(身体機能、日常役割機能(身体)、体
の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、及び心の健康、各スケールは、0から1000まででスコアを付けられ、ここでより高いスコアはより良好な健康及び満足できる健康状態を示す)、さらには身体的及び精神的健康の2つのサマリ
ー尺度:身体的コンポーネントサマリー及び精神的コンポーネントサマリー(Ware、JE.; Kosinski、M.; Keller、SD. SF-36 Physical and Mental Health Summary Scales: A User's Manual. Boston、MA: The Health Institute; 1994)についてのスコアが得られる。スコア付けプロセスを以下にまとめる:
1. 項目応答データを入力。
2. 項目応答値を再コード化。
3. 健康ドメインスケール生スコアを決定する。
4. 健康ドメインスケール生スコアを0~100のスコアに変換する。
5. 0~100の生スコアを、以下の変換式を使用して、8つのドメインの各々についてZ変換スコアに変換する:
pf_z=(pf-83.29094)/23.75883;
rp_z=(rp-82.50964)/25.52028;
bp_z=(bp-71.32527)/23.66224;
gh_z=(gh-70.84570)/20.97821;
vt_z=(vt-58.31411)/20.01923;
sf_z=(sf-84.30250)/22.91921;
re_z=(re-87.39733)/21 .43778;
mh_z=(mh-74.98685)/17.75604;
5. Z変換した健康ドメインスコアを、以下のようにノルムベースの(norm-based)スコアに変換する
6. 身体的及び精神的コンポーネントサマリー尺度をスコア付けする:
I) 特定の重み付けした式(以下を参照のこと)を使用して、PCSスコアを計算するために8つのz変換した健康ドメインスコアを使用する。この集計したPCSスコアをノルムベース
のPCSスコアに変換する:
AGG_PHYS=(PF_Z * .42402) + (RP_Z * .35119) + (BP_Z * .31754) + (GH_Z * .24954)
+ (VT_Z *.02877) + (SF_Z * -.00753) + (RE_Z * -.19206) + (MH_Z * -.22069);
II) 異なる特定の重み付けした式(以下を参照のこと)を使用して、8つのz変換健康ドメインスコアを、MCSスコアを計算するために使用する。この集計したMCSスコアをノルムベースのMCSスコアに変換する:AGG_MENT=(PF_Z *-.22999) + (RP_Z * - .12329) + (BP_Z *
-.09731) + (GH_Z *-.01571) + (VT_Z * .23534) + (SF_Z * .26876) + (RE_Z *.43407)
+ (MH_Z * .48581);
【0046】
以下の表は、SF-36スケールの構築及びサマリー尺度を示す:
【表1】
【0047】
省略された項目内容は以下のとおりである:
3a 激しい活動、例えば、走る、重い物を持ち上げる、又は激しいスポーツに参加する
3b 中程度の活動、例えば、机を動かす、掃除機をかける、ボウリング、又はゴルフをす
る
3c 買い物袋を持ち上げる又は運ぶ
3d 階段を数階上まで登る
3e 階段を一階上まで登る
3f 体を前に曲げる、ひざまずく、かがむ
3g 1マイルより長く歩く
3h 数百ヤード歩く
3i 百ヤード歩く
3j 自分でお風呂に入ったり、着がえたりする
4a 仕事や他の活動をする時間を減らした
4b 思ったほど、できなかった
4c 仕事や他の活動を一部制限した
4d 仕事や他の活動をすることが難しかった(例えば余分な努力を必要とした)
7 体の痛みの度合い
8 痛みがいつもの仕事を妨げる程度
1 Is あなたの健康: 優秀、非常に良い、良い、平均的、悪い
11a 他の人に比べて病気になりやすいと思う
11b 人並みに健康である
11c 私の健康は悪くなるような気がする
11d 健康は非常に良い
9a 元気いっぱいである
9e 活力にあふれている
9g 疲れ果てていた
9i 疲れを感じる
6 健康問題が通常の社会活動を妨げる程度
10 健康問題が社会活動を妨げる頻度
5a 仕事や他の活動をする時間を減らした
5b 思ったほど、できなかった
5c 仕事や他の活動をいつもよりじっくりとすることができなかった
9b 非常に神経質であった
9c ひどく落ち込んで何をしても元気が出ない
9d 落ち着いていて穏やかな気分
9f 落ち込んで憂鬱な気分
9h 機嫌が良かった
【0048】
36項目のそれぞれのスコアをCRF(症例報告書)に集めた。次いで、SAS(統計的分析シ
ステム)コード(例えば、QualityMetricにより提供されるもの)を使用して、8つのスケール、2つのサマリー尺度スコア及び標準化サマリースコアを計算する。
【0049】
コンポーネントスケールの少なくとも50%が利用可能である場合、PCS及びMCSサマリー
尺度スコアを計算する。項目の少なくとも50%が対応するスケール内で利用可能である場
合、スケールスコアを計算した。欠失した項目を、利用可能な項目を用いて帰属させた。
【0050】
次いで、SF-36スコア(身体的コンポーネントサマリースコア及び精神的コンポーネントサマリースコア、さらには8つのドメイン)のベースライン(BL)からの変化を分析する。
【0051】
SF-36 V2スコア付け
一般的スコア付け情報:
項目及びスケールを3工程でスコア付けする(QualityMetricにより指示されるとおり):
工程1. 項目記録、次いで記録を必要とする10の項目
工程2. 項目にわたって同じスケールで(生スケールスコア)合計することによりスケ
ールスコアを計算する;そして
工程3. 生スケールスコアを0~100スケールに変換する(変換されたスコア)
工程5: Z-スコアを計算する
工程6: ドメインについてZ-スコアをノルムベースのスコアに変換する
PCS: 特定の重み付けした式を使用して集計したPCSスコアを計算し、これをノルムベースのスコアに変換する
MCS: 特定の重み付けした式を使用して集計したMCSスコアを計算し、これをノルムベースのスコアに変換する
【0052】
項目記録:
全36の項目は、最終項目値を割り当てる前に範囲外の値について確認されるべきである。全ての範囲外の値は、欠測データとして記録されるべきである。
【0053】
欠測データの処理方法
回答者が多項目スケールの項目の少なくとも半分(又は奇数の項目を含むスケールの場
合は半分プラス1)に回答した場合にスケールスコアを計算した。
回答者がスケールの項目の少なくとも50パーセントに回答した場合、推奨されるアルゴリズムは、いずれかの欠測した項目の代わりに人物特異的推定値を用いる。精神測定学的に信頼できる推定値は、その回答者についての同じスケールで完了した項目にわたる平均スコアである。例えば、回答者が5項目の心の健康のスケールの1つの項目を空白のま
まにした場合、その一項目の代わりに回答者の平均スコア(4つの完了した心の健康の項
目にわたる)を用いる。回答者の平均スコアを推定する場合、回答者の最終項目値を使用する。
【0054】
生スケールスコア
欠測データの処理を含む項目記録後に、生スコアを各スケールについて計算する。このスコアは、そのスケールにおける全ての項目についての応答の単純な代数和である。
多項目スケールにおいて回答者が項目の少なくとも50%に回答した場合、スコアを計算することができる。回答者が項目の少なくとも50%に回答しなかった場合、そのスケールについてのスコアは欠測と設定されるべきである。
【0055】
スケールスコアの変換
次の工程は、各生スコアを以下の式を使用して0~100のスケールに変換することを含む:
変換されたスケール =[(実際の生スコア-最も低い可能な生スコア)/可能な生ス
コア範囲] x 100
この変換は、最低及び最高の可能なスコアをそれぞれ0及び100に変換する。
【0056】
【0057】
FACIT-倦怠感
慢性疾患治療倦怠感スケールの機能的評価(FACIT-倦怠感)は、倦怠感を評価するために使用される。FACIT-倦怠感質問票並びにスコア付け及び解釈材料がFACIT.org(Elmhurst、IL、USA)から入手可能である。FACIT-F質問票は、科学コミュニティ及び健康管理機関の
両方により認められた妥当性、管理の容易さ、包括的適用、及び解釈に関する多数の利益を有する一連の一般的及び標的化された尺度を提供する。
手短には、FACIT-倦怠感は、癌患者における倦怠感を測定するために元々開発された0~4に格付けされた13項目の質問票であり、そして今や変化に対する良好な整合性及び感度を実証するために関節リウマチ患者において広く使用される。患者は、0~4に格付けされた13の質問に回答するように求められる(0=全くない、1=少しある、2=いくらかある、3=かなりある、4=非常に多い)。倦怠感スケールは、最高可能スコアとして52を
用いる13項目を有する。倦怠感スケールにおけるより高いスコアは、より低いレベルの倦怠感に対応し、より良好な生活の質を示す。
FACIT-倦怠感スコアを計算するために、否定的な言葉で表された質問に対する回答ス
コアを逆にし、ついで13項目の回答を加える。回答のあった11項目はそれらのスコアを逆にされ(回答が欠測でなければ、項目スコア = 4 - 回答)、そして2項目(項目7~8)
はそれらの回答を変更されない。より高いスコアがより少ない倦怠感に対応するように全項目を加える。個々の質問が飛ばされた場合には、スケールにおける他の回答の平均を使用してスコアを割り当てた。
FACIT-倦怠感 = 13*[合計(逆にした項目)+合計(項目7~8)]/回答された項目の数
【0058】
睡眠質問票
他の慢性疾患のように関節リウマチは、睡眠障害と関連がある。
睡眠障害は、痛み、気分及び疾患活動性と関連がある。疼痛に対するサリルマブの効果は、0(睡眠は問題でない)から100(睡眠が主要な問題である)までの睡眠質問票VASスケー
ル範囲で評価される。
【0059】
WPAI
仕事の生産性及び活動障害(WPAI)が評価される。以下のように、WPAI結果は障害率として表され、より高い数字はより大きな障害及びより低い生産性、すなわちより悪い結果を示す:
・ Q1 = 現在雇用されている
・ Q2 = 特定の問題(RA)によって休んだ時間
・ Q3 = 他の理由によって休んだ時間
・ Q4 = 実際に働いた時間
・ Q5 = 仕事の間に問題が生産性に影響を及ぼした程度
・ Q6 = 問題が日常の活動スコアに影響を及ぼした程度
【0060】
スコアはパーセンテージで表される。
・ 問題(RA)により休んだ労働時間パーセント: 100*Q2/(Q2+Q4)
・ 問題による仕事の間の障害パーセント: 10*Q5
・ 問題による活動障害パーセント: 10*Q6
・ 問題(RA)による全労働障害パーセント:
100*Q2/(Q2+Q4)+100*[(1-Q2/(Q2+Q4))*(Q5/10)]
【0061】
4つのWPAIスコアを導き出す場合、欠測データは以下の規則を使用して処理される:
・ 問題(RA)により休んだ労働時間パーセント: Q2又はQ4のいずれかが欠けている
場合、スコアは欠測である。
・ 問題による仕事の間の障害パーセント: Q5が欠けている場合、スコアは欠測である。
・ 問題による活動障害パーセント: Q6が欠けている場合、スコアは欠測である。
・ 問題(RA)による全労働障害パーセント: 問題(RA)により休んだ労働時間パーセントが欠けているか又は問題による仕事の間の障害パーセントが欠けている場合のいずれかの場合、スコアは欠測である。
【0062】
サリルマブ
本発明は、関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善する方法に関し、該方法は、被験体に有効量のサリルマブ(SAR153191)を投与することを含む。
【0063】
本開示は、関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善するための、医薬組成物及びこれらの組成物を使用する方法を提供する。
【0064】
これらの組成物は、少なくともサリルマブ、及び場合により、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)のような少なくとも1つのさらなる治療剤を含む。
【0065】
サリルマブは、ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)に特異的に結合する抗体である。サリルマブの重鎖可変領域は、配列番号1の配列を含む。サリルマブの軽鎖可変領域は、配列番号2の配列を含む。
【0066】
DMARD
疾患修飾性抗リウマチ薬(Disease modifying antirheumatic drug)(DMARD)としては
、とりわけ、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン及びレフルノミドが挙げられる。本開示の組成物及び方法によれば、DMARDは以下のように投与され得
る。メトトレキサートは、1週あたり10~25mg経口又は筋内投与され得る。別の実施態様において、メトトレキサートは、アジア-太平洋地域の患者又はアジア-太平洋地域の血筋を引いている患者について、6~25mg/週で経口又は筋内投与される。アジア-太平洋地域は、台湾、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ及びインドを含む。特定の実施態様において、メトトレキサートは、週あたり6と12mgとの間、10と15mgとの間、15と20mgとの間
、及び20と25mgとの間で投与される。他の実施態様において、メトトレキサートは、週あたり6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25mgで投与される。レフルノミドは、毎日10~20mg経口投与され得る。特定の実施態様において、レフルノミドは、1日あたり10と12mgとの間、12と15mgとの間、15と17mgとの間、及び18と20mgとの間で投与され得る。他の実施態様において、レフルノミドは、1日あたり10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20mgで投与される。スルファサラジンは、1000~3000mgで毎日経口投与され得る。特定の実施態様において、スルファサラジンは、1日あたり1000と1400mgとの間、1400と1800mgとの間、1800と2200mgとの間、2200と2600mgとの間、及び2600と3000mgとの間で投与され得る。他の実施態様において、スルファ
サラジンは、1日あたり1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900
、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900又は3000mgで投与される。ヒドロキシクロロキンは、毎日200~400mgで経口投与され得る。特定の実施態様において、ヒドロキシクロロキンは、1日あたり200と240との間、240と280との間、280と320
との間、320と360との間、及び360と400との間で投与され得る。他の実施態様において、ヒドロキシクロロキンは、1日あたり、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390又は400mgで投与され得る。
【0067】
投与及び製剤化の方法
本明細書に記載される方法は、有効量のサリルマブ、及び場合によりDMARDを患者に投
与することを含む。本明細書で使用される句「有効量」は、関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質の検出可能な改善を生じる抗体の用量を意味する。
【0068】
例えば、以下の健康に関連した生活の質スコアのいずれかにおいて改善を生じるサリルマブの用量は、「有効量」とみなされる:
- Short Form-36身体的コンポーネントサマリー(SF-36 PCS)、
- Short Form-36精神的コンポーネントサマリー(SF-36 MCS)、
- SF-36の8つのドメイン:
・ Short Form-36身体機能(SF-36 PF)、
・ Short Form-36日常役割機能(身体)(SF-36 RP)、
・ Short Form-36体の痛み(SF-36 BP)、
・ Short Form-36全体的健康感(SF-36 GH)、
・ Short Form-36活力(SF-36 VT)、
・ Short Form-36社会生活機能(SF-36 SF)、
・ Short Form-36日常役割機能(精神)(SF-36 RE)、
・ Short Form-36心の健康(SF-36 MH),
- 慢性疾患治療-倦怠感の機能的評価(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy-Fatigue)(FACIT-F)。
【0069】
本発明の方法に従って、患者に投与されるサリルマブの有効量は、患者の年齢及びサイズ(例えば、体重又は体表面積)、さらには投与経路及び当業者に周知の他の因子に依存して変わる。特定の実施態様において、患者に投与されるサリルマブの用量は、約10mg~約500mgである。例えば、本発明は、1週あたりサリルマブ約10mg、約15mg、約20mg、約25mg
、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、
約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg
、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200、about 205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、又
はそれ以上が患者に投与される方法を含む。
【0070】
一実施態様において、サリルマブは、1週あたり100~150mgで投与される。別の実施態
様において、サリルマブは、2週ごとに100~200mgで投与される。他の実施態様において
、サリルマブは、1週あたり約100又は約150mgで投与される。他の実施態様において、サ
リルマブは2週ごとに約100、150又は200mgで投与される。
【0071】
患者に投与されるサリルマブの量は、患者の体重1キログラムあたりの抗体のミリグラ
ムで表され得る(すなわち、mg/kg)。例えば、本発明の方法は、約0.01~約100mg/患者
の体重kg、約0.1~約50mg/患者の体重kg、又は約1~約10mg/患者の体重kgの日用量で患者にサリルマブを投与することを含む。
【0072】
本発明の方法は、特定の時間経過にわたって患者に複数回用量のサリルマブを投与することを含む。例えば、サリルマブは、1日あたり約1~5回、1週あたり約1~5回、1ヶ月あ
たり約1~5回又は1年あたり約1~5回投与され得る。特定の実施態様において、本発明の
方法は、第一の時点で患者に第一の用量のサリルマブを投与し、続いて第二の時点で患者に少なくとも第二の用量のサリルマブを投与することを含む。特定の実施態様において、第一及び第二の用量は、同じ量のサリルマブを含有していてもよい。例えば、第一及び第二の用量は、それぞれ抗体約10mg~約500mg、約20mg~約300mg、約100mg~約200mg、又は約100mg~約150mgを含有し得る。第一の投薬と第二の投薬との間の時間は、およそ数時間から数週間になり得る。例えば、第二の時点(すなわち、第二の用量が投与される時)は、第一の時点(すなわち、第一の用量が投与される時)の約1時間~約7週間後であり得る。本発明の特定の例となる実施態様によれば、第二の時点は、第一の時点の、約1時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週、約4週、約6週、約8週、約10週、約12週、約14週又はそれ以上後であり得る。特定の実施態様いおいて、第二の時点は、約1週又は約2週である。第三及びその後の用量は、患者の処置経過の間中、同様に投与され得る。
【0073】
本発明は、サリルマブ、及び場合により、1つ又はそれ以上のさらなる治療剤、例えばDMARDを含む組成物を使用する方法を提供する。本発明の組成物は、適切な担体、賦形剤、及び製剤に組み込まれて改善された輸送、送達、忍容性などを提供する他の薬剤とともに投与される。多数の適切な製剤が、全ての薬剤師に公知の処方集: Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAに見出され得る。これらの製剤としては、例えば、散剤、ペースト剤、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(
カチオン性又はアニオン性)含有小胞(例えば、LIPOFECTINTM)、DNAコンジュゲート、無
水吸収ペースト、水中油及び油注水乳剤、carbowax乳剤(emulsions carbowax) (様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固形ゲル、及びcarbowaxを含有する半固形混合物
が挙げられる。Powell et al. 「Compendium of excipients for parenteral formulations」 PDA (1998) J Pharm Sci Technol 52:238-311も参照のこと。
【0074】
用量は、投与しようとする被験体の年齢及び体重、標的疾患、状態、投与経路などによって変化し得る。様々な送達系が公知であり、そして本発明の医薬組成物を投与するために使用され得る、例えば、リポソーム中へのカプセル封入、マイクロパーティクル、マイ
クロカプセル、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wu et al. (1987) J. Biol.Chem. 262:4429-4432を参照のこと)。導入方法としては、限定されないが、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口の経路が挙げられる。組成物は、いずれかの都合の良い経路により、例えば、注入又はボーラス注射により、上皮又は皮膚粘膜(例
えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を通る吸収により投与され得、そして他の生物学
的に活性な薬剤と一緒に投与され得る。投与は全身でも局所でもよい。サリルマブは皮下投与され得る。DMARDは経口又は筋内投与され得る。
【0075】
医薬組成物はまた、小胞で、特にリポソームで(Langer (1990) Science 249:1527-1533を参照のこと)送達され得る。特定の状況において、医薬組成物は、徐放系で、例えばポ
ンプ又はポリマー材料を使用して送達され得る。別の実施態様において、徐放系は、組成物の標的に近接しておくことができ、従って、全身用量のごく一部しか必要としない。
【0076】
注射可能製剤は、静脈内、皮下、皮内及び筋内注射、局所注射、点滴注入などのための投薬形態を含み得る。これらの注射可能製剤は、公知の方法により製造され得る。例えば、注射可能製剤は、例えば、上記の抗体又はその塩を、注射に通常使用される滅菌水性媒体又は油性媒体に溶解、懸濁又は乳化させることにより製造され得る。注射用の水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコース及び他の補助剤を含有する等張液などがあり、これらはアルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などのような適切な可溶化剤と組み合わせて使用され得る。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが使用され、これらは、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどのような可溶化剤と組み合わせて使用され得る。このようにして製造された注射は、適切なアンプル中に充填され得る。
【0077】
有利には、上記の経口又は非経口使用のための、医薬組成物は、活性成分の用量に適合するために適した単位用量の投薬形態に製造される。単位用量のこのような投薬形態としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射(アンプル)、坐剤などが挙げられる。含有されるDMARDの量は、使用される特定のDMARDに依存して、一般的には経口単位用量で投薬形態あたり約5~3000mgである。含有されるサリルマブの量は、一般的には皮下投与形態
あたり約100~200mgである。
【0078】
特定の実施態様において、サリルマブは:
- 25mMヒスチジン
- 50mMアルギニン
- 0.2% (質量/体積)ポリソルベート20、及び
- 5% (質量/体積)スクロース
- 100mg/mLと200mg/mLとの間のサリルマブ
を含有するpH6.0の緩衝化水溶液として皮下投与される。
【0079】
別の特定の実施態様において、サリルマブは:
- 25mMヒスチジン
- 50mMアルギニン
- 0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、及び
- 5% (質量/体積)スクロース
- 131と132mg/mLとの間のサリルマブ、より詳細には、131.6mg/mLのサリルマブ
を含有するpH6.0の緩衝化水溶液として皮下投与される。
【0080】
さらに別の特定の実施態様において、サリルマブは:
- 25mMヒスチジン
- 50mMアルギニン
- 0.2% (質量/体積) ポリソルベート20、及び
- 5% (質量/体積)スクロース
- 175mg/mLのサリルマブ
を含有するpH6.0の緩衝化水溶液として皮下投与される。
【0081】
本明細書に開示される方法に従って、サリルマブ(又は抗体を含む医薬製剤)は、いずれかの許容しうるデバイス又は機構を使用して患者に投与され得る。例えば、投与は、注射器及び針を使用して、又は再使用可能なペン及び/若しくは自動注射器送達デバイスを用いて達成され得る。本発明の方法は、抗体(又は抗体を含む医薬製剤)を投与するための多数の再使用可能なペン及び/又は自動注射器送達デバイスの使用を含む。このようなデバイスの例としては、限定されないが、少しの例だけ挙げると、AUTOPENTM(Owen Mumford、Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONICTMペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25TMペン、HUMALOGTMペン、HUMALIN 70/30TMペン(Eli Lilly
and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPENTMI、II及びIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIORTM (Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BDTMペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPENTM、OPTIPEN PROTM、OPTIPEN STARLETTM、及びOPTICLIKTM (sanofi-aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられる。本発明の医薬組成物の
皮下送達において有用性を有する使い捨てペン及び/又は自動注射器送達デバイスの例としては、限定されないが、少しの例だけ挙げると、SOLOSTARTMペン(sanofi-aventis)、FLEXPENTM(Novo Nordisk)、及びKWIKPENTM(Eli Lilly)、SURECLICKTM自動注射器(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLETTM(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN (Dey、L.P.)、及びHUMIRATMペン(Abbott Labs、Abbott Park、IL)が挙げられる。
【0082】
患者へのサリルマブ(又は抗体を含む医薬組成物)の送達のためのマイクロインフューザー(microinfusor)の使用もまた本明細書において検討される。本明細書で使用される用語「マイクロインフューザー」は、大量の(例えば、約2.5mL又はそれ以上まで)治療製
剤を長期間(例えば、約10、15、20、25、30分又はそれ以上)にわたってゆっくりと投与するように設計された皮下送達デバイスを意味する。例えば、U.S. 6,629,949; US 6,659,982;及びMeehan et al.、J. Controlled Release 46:107-116(1996)を参照のこと。マイクロインフューザーは、高濃度(例えば、約100、125、150、175、200mg/mL又はそれ以上)
かつ/又は粘性の溶液内に含有される大量用量の治療用タンパク質の送達のために特に有用である。
【0083】
組み合わせ投与
本開示は、関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善する方法を提供し、該方法は、被験体にサリルマブを投与することを含む。特定の実施態様において、抗hIL-6抗体は、「単剤療法」又は単一治療剤として投与される。代替の実施態様
において、抗hIL-6抗体は、少なくとも1つのさらなる治療剤と組み合わせて投与される
。本発明の方法の実施においてサリルマブと組み合わせて投与され得るさらなる治療剤の例としては、限定されないが、DMARD、及びヒト被験体において関節リウマチを処置、予
防又は寛解させることが知られているいずれかの他の化合物が挙げられる。本発明の方法の状況においてサリルマブと組み合わせて投与され得るさらなる治療剤の具体的な非限定的な例としては、限定されないが、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン及びレフルノミドが挙げられる。本方法において、さらなる治療剤は、サリルマブと同時に、又は連続して投与され得る。例えば、同時投与のために、サリルマブ及び少なくとも1つのさらなる治療剤の両方を含有する医薬製剤が製造され得る。本発明の方法の実施においてサリルマブと組み合わせて投与されるさらなる治療剤の量は、公知でかつ当該分野において容易に利用可能な通常の方法を使用して容易に決定することができる。
【0084】
本発明の開示は、以下のいずれかを含む医薬組成物を提供する:
サリルマブ(SAR153191)100と150mgとの間、及びメトトレキサート10~25mgを含む組成
物。
サリルマブ(SAR153191)100と200mgとの間、及びメトトレキサート10~25mgを含む組成
物。
サリルマブ(SAR153191)100と150mgとの間、及びメトトレキサート6~25mgを含む組成物。
サリルマブ(SAR153191)100と200mgとの間、及びメトトレキサート6~25mgを含む組成物。
サリルマブ(SAR153191)100と150mgとの間、及びレフルノミド10~20mgを含む組成物。
サリルマブ(SAR153191)100と200mgと間、及びレフルノミド10~20mgを含む組成物。
サリルマブ(SAR153191)100と150mgとの間、及びスルファサラジン1000~3000mgを含む
組成物。
サリルマブ(SAR153191)100と200mgとの間、及びスルファサラジン1000~3000mgを含む
組成物。
サリルマブ(SAR153191)100と150mgとの間、及びヒドロキシクロロキン200~400mg。
サリルマブ(SAR153191)100と200mgとの間のヒドロキシクロロキン200~400mgを含む組
成物。
【0085】
本発明の開示は、以下のいずれかを含む、関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善する方法を提供する:
2週ごとにサリルマブ(SAR153191)150mg又は200mg及び1週あたりメトトレキサート10
~25mgをそれを必要とする被験体に投与することを含む方法。
2週ごとにサリルマブ(SAR153191)150mg又は200mg及び1週あたりメトトレキサート6~25mgをそれを必要とする被験体に投与することを含む方法。
2週ごとにサリルマブ(SAR153191)150mg又は200mg及び1日あたりレフルノミド10~20mgをそれを必要とする被験体に投与することを含む方法。
2週ごとにサリルマブ(SAR153191)150mg又は200mg及び1日あたりスルファサラジン1000~3000mgをそれを必要とする被験体に投与することを含む方法。
2週ごとにサリルマブ(SAR153191)150mg又は200mg及び1日あたりヒドロキシクロロキ
ン200~400mgをそれを必要とする被験体に投与することを含む方法。
【0086】
患者集団
特定の実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物は、特定の患者集団に投与される。これらの集団は、サリルマブ及び1つ又はそれ以上のDMARDの組み合わせ以
外の処置計画で関節リウマチを以前に処置されていた患者を含む。他の実施態様において、サリルマブは、以前にDMARD及びサリルマブ以外の抗hIL-6R抗体で処置を受けたが効果
がなかった患者に投与される。これらの処置計画は、抗TNF-α療法、例えば、生物学的抗TNF-α処置計画を含む。生物学的抗TNF-αアンタゴニストとしては、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ及びセルトリズマブペゴルが挙げられる。これらの処置計画はまた、抗hIL-6R抗体が存在しない場合のDMARD療法も含む。
【0087】
この療法において使用されるDMARDとしては、メトトレキサート、スルファサラジン、
ヒドロキシクロロキン及びレフルノミドが挙げられる。DMARDは、単独で、又は抗hIL-6R
抗体ではない別の治療、例えば、サリルマブと組み合わせて投与され得る。特定の実施態様において、以前の処置計画はメトトレキサートであった。別の実施態様において、メトトレキサートを用いた処置は、サリルマブを用いて処置される患者において維持される。特定の実施態様において、患者は、以前に抗TNF-α及びDMARD療法の両方を投与されたこ
とがある。治療は、いずれかの順序で連続的に、又は同時に行われ得る。特定の実施態様
において、患者はこれらの治療を、サリルマブ及び1つ又はそれ以上のDMARDの組み合わせを投与される前2年以内に受けていた。他の実施態様において、これらの治療を、サリル
マブ及び1つ又はそれ以上のDMARDの組み合わせを受ける前1、2、3、4、5、6、7、8、9又
は10年以内に受けていた。
【0088】
特定の実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物は、上記の処置計画の1つ又はそれ以上を受けたことがある特定の患者集団に投与され、ここでこれらの処置は
、効果的でなかった。本明細書で使用される処置は、処置(例えば、抗TNF-α及び/又はDMARDの投薬)が関節リウマチに関連する1つ若しくはそれ以上の症状における検出可能な改善を生じなかったか、又は関節リウマチの状態又は症状を生じる根底にある病理機構と相関した生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカーのレベルの減少)を引き起こさない場合に、効果的でなかった。例えば、以下の症状又は状態のいずれかにおける改善を生じない処置は効果がないとみなされる: 慢性疾患の貧血、発熱、抑うつ、疲労、リウマトイド結節、血管炎、神経障害、強膜炎、心膜炎、フェルティ症候群及び/又は関節破壊。
【0089】
検出可能な改善はまた、米国リウマチ学会(ACR)関節リウマチ分類基準を使用して検出
され得る。例えば、ベースラインからの20% (ACR20)、50% (ACR50)又は70% (ACR70)の改
善は、検出可能な改善を示すために使用され得る。逆に、ACR分類基準は、抗IL6R療法で
の処置の前に以前に処置を受けたが効果が無かった患者を選択するために使用され得る。例えば、患者は、ACR基準に従って少なくとも10%の検出可能な改善(例えば、10%、20%、50%又は70%の改善)を示さない場合に、処置されたが効果がないかもしれない。
【0090】
他の実施態様において、疾患活動性スコア(DAS28)は、検出可能な改善、又は逆に効果
の無い処置を示すために使用され得る。DAS28は、28の関節に基づく圧痛関節カウント、28の関節に基づく腫脹関節カウント、全体的健康評価及びC反応性タンパク質(CRP)レベル
を測定することにより評価され得る炎症マーカーの複合スコアである。疾患応答は、欧州リウマチ学会(EULAR)応答基準を使用して示され得る。この基準による良好な応答は、DAS28スコアにおける3.2より大きいか又は3.2に等しい現在のスコアとともに、1.2より大き
い改善である。中程度の応答は、DAS28スコアにおいて0.6より大きいが1.2より小さいか
又は1.2に等しい改善、及び3.2より大きい現在のスコアである。応答なしは、DAS28スコ
アにおける0.6より少ない改善及び5.1より大きい現在のスコアである。DAS28寛解は、2.6未満のDAS28スコアである。検出可能な改善はまた、DAS28スコアのコンポーネントのいずれかにおける改善を測定することによっても示され得る。
【0091】
他の例となる実施態様において、処置は、患者が処置後になお「活動性疾患」を示す場合に効果がなかった。例えば、患者は、彼らが68のうち少なくとも8つの圧痛関節及び66のうち6つの腫脹関節、並びに/又は高感受性C反応性タンパク質(hs-CRP)>10 mg/L (>1.0 mg/dL)を示す場合に「活動性疾患」を示す。
【0092】
特定の実施態様において、サリルマブは、メトトレキサート(MTX)で以前に処置された
が効果がなかった患者に投与される。このような例において、患者は、少なくとも12週間及び最少8週のMTXの安定用量で、MTX 10~25 mg/週(又は現地の表示義務により用量範
囲が異なる場合)を用いた継続的な処置を受けたことがあってもよく、そしてなお: (i)68のうち少なくとも8つの圧痛関節及び66のうち6つの腫脹関節、並びに(ii)高感受性C反応性タンパク質(hs-CRP) >10 mg/L (>1.0 mg/dL)として定義される中程度-重度
の活動性RAを示す。
【0093】
一実施態様において、患者集団は、最近3ヶ月以内に生物因子を投与されていない被験体を含む。特定の実施態様において、生物因子はタンパク質である。他の実施態様によれば、タンパク質は抗体又はそのフラグメントである。他の実施態様によれば、タンパク質
はサイトカイン又はそのフラグメント若しくは誘導体である。他の実施態様において、タンパク質は組換え体である。他の実施態様において、生物因子はワクチン、血液、血液成分、アレルゲン性(allergenic)、体細胞、遺伝子治療又は生物学的組織である。生物製剤としては、血液因子、血栓溶解剤、ホルモン、造血成長因子、インターフェロン、インターロイキンベースの製品、ワクチン及びモノクローナル抗体が挙げられる。特定の実施態様において、生物因子はアバタセプトである。他の実施態様において、生物因子はアダリムマブである。他の実施態様において、生物因子は、非包括的に: インフリキシマブ (Remicade(R))、アダリムマブ (Humira(R))、ゴリムマブ (Simponi(R))、エタネルセプト (Enbrel(R))、セルトリズマブ (Cimzia(R))のようなTNFα遮断薬; アナ
キンラ(Kineret(R))のようなIL-1遮断薬、リツキシマブ(Rituxan(R))のような抗CD20抗体、アバタセプト (Orencia(R))のようなT細胞共刺激遮断薬、及びシルクマブ(sirukumab)、クラザキズマブ(clazakizumab)又はオロキズマブ(olokizumab)のような抗IL6抗体を含む。
【0094】
他の実施態様によれば、生物製剤は生物医療用品である。生物医療用品は、生物学的供給源から製造又は抽出された医療用品である。特定の実施態様において、生物製剤は、栄養のために動物により摂取される生物学的用品を除くと定義される。これらの実施態様において、生物製剤は、栄養を超える特定の治療結果を被験体集団に対して有していなければならない。
【0095】
別の実施態様において、患者集団は、メトトレキサートの処置を少なくとも6週間受けた被験体を含む。他の実施態様において、被験体は、メトトレキサートを少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25又は26週間投与されていた。より具体的な実施態様において、被験体は、メトトレ
キサートを投与されたが、すくとも6週間他のDMARDを投与されていなかった。他の実施態様において、被験体は、メトトレキサート以外のDMARDを少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25又は26週間投与されていなかった。メトトレキサート以外のDMARDとしては、レフルノミド、スルフ
ァサラジン及びヒドロキシクロロキンが挙げられる。
【0096】
別の実施態様において、患者集団は、関節リウマチ以外の自己免疫疾患に罹患していない被験体を含む。特定の実施態様において、関節炎以外の自己免疫疾患は、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病; 運動ニューロン疾患とも)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、抗合成酵素症候群、アトピー性アレルギー、アトピー性皮膚炎、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性心筋症、自己免疫性腸疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性膵炎、多腺性自己免疫症候群、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ぶどう膜炎、バロー病/バロー同心円性硬化症、ベーチェット病、ベルジェ病、ビッカースタッフ型脳炎、ブラウ症候群、水疱性類天疱瘡、癌、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、慢性再発性多巣性骨髄炎、慢性閉塞性肺疾患、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、補体成分-2欠損症、接触性皮膚炎、頭部動脈炎、クローン病、クッシング症候群、皮膚白血球破砕性血管炎、デゴス病、ダーカム病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、びまん皮膚硬化型全身性強皮症、ドレスラー症候群、薬剤誘発性ループス、円板状エリテマトーデス、湿疹、子宮内膜症、腱付着部炎関連関節炎、好酸球性筋膜炎、好酸球性、好酸球性肺炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、胎児赤芽球症、本態性混合型クリオグロブリン血症、エヴァンス症候群、進行性骨化性線維形成異常症、線維性肺胞炎、胃炎、胃腸類天疱瘡(Gastrointestinal pemphigoid)、糸球
体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本脳
症、橋本甲状腺炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、化膿性汗腺炎、ヒューズ・ストーヴィン症候群、低ガンマグロブリン血症、特発性炎症性脱髄疾患、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、封入体筋炎、慢性炎症性脱髄性多発ニュ
ーロパチー、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎、川崎病、ランバート・イートン筋無力症症候群、白血球破壊性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA病(LAD)、ルポイド肝炎、エリテマトーデス、マジード症候群、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎、ミラー・フィッシャー症候群、混合性結合組織病、モルフェア、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、顕微鏡的大腸炎、筋肉炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、神経性筋強直症、眼部瘢痕性類天疱瘡(Occular cicatricial pemphigoid)、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、オード甲状腺炎(Ord's thyroiditis)、回帰性リウマチ、PANDAS (連鎖球菌関連小児自己免疫性精神神経疾患)、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間血色素尿症、パリーロンバーグ病、パーソネージ・ターナー症候群、毛様体扁平部炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、静脈周囲脳脊髄炎(Perivenous encephalomyelitis)、POEMS症候群、
結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性ニューロパチー、乾癬、乾癬性関節炎、壊疽性膿皮症、赤芽球ろう、ラスムッセン脳炎、レイノー現象、再発性多発軟骨炎、ライター症候群、下肢静止不能症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、サルコイドーシス、統合失調症、シュミット症候群、シュニッツラー症候群、強膜炎、強皮症、血清病、シェーグレン症候群、脊椎関節症、スチル病、全身硬直症候群、亜急性細菌性心内膜炎、スザック症候群、スイート症候群、シデナム舞踏病、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎、血小板減少症、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織疾患、未分化脊椎関節症、蕁麻疹様血管炎、血管炎、白斑及びウェゲナー肉芽腫症からなる群より選択される1つまたはそれ以上の病態である。
【0097】
別の実施態様において、患者集団は、4週間グルココルチコイドの非経口投与も関節内
投与も受けていない被験体を含む。他の実施態様において、被験体は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24
、25又は26週間グルココルチコイドの非経口投与も関節内投与も受けていない。特定の実施態様において、グルココルチコイドは、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン及びアルドステロンからなる群より選択される1つ又はそれ以上を含む。
【0098】
本発明に従う方法は、有効量のサリルマブを単独で、又は有効量のサリルマブ並びにレフルノミド、スルファサラジン及びヒドロキシクロロキンからなる群の一員を被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、被験体は、以前にTNF-αアンタゴニストを投与することにより関節リウマチを処置されたが効果がなかった。詳細には、被験体は、少なくとも3ヶ月間TNF-αアンタゴニストで処置されたかもしれないか、又はTNF-αアンタゴニストに不耐容であったかもしれない。TNF-αアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ又はセルトリズマブであり得る。他の実施態様において、被験体は、以前にメトトレキサートを投与することにより関節リウマチを処置されたが効果がなかった。
【0099】
サリルマブは、1週あたり50と150mgとの間、又は2週あたり100と200mgとの間で投与
され得る。
【0100】
特定の具体的な実施態様において、サリルマブ及びレフルノミドが被験体に投与される。レフルノミドは経口投与され得る。レフルノミドはまた、被験体に1日あたり10と20mgとの間で投与され得る。
【0101】
他の具体的な実施態様において、サリルマブ及びスルファサラジンが被験体に投与される。スルファサラジンは経口投与され得る。スルファサラジンはまた、1日あたり1000~3000mgの間で被験体に投与され得る。
【0102】
他の具体的な実施態様において、サリルマブ及びヒドロキシクロロキンが被験体に投与される。ヒドロキシクロロキンは経口投与され得る。ヒドロキシクロロキンはまた、1日あたり200~400mgの間で被験体に投与され得る。
【0103】
本開示はまた、関節リウマチに罹患している被験体の健康に関連した生活の質を改善する方法を提供し、該方法は、有効量のサリルマブ及びメトトレキサートを被験体に投与することを含み、ここで被験体は、以前に抗TNF-α治療(therapeutic)を施すことにより
関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった。特定の実施態様において、被験体は、以前にメトトレキサートを投与することにより関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった。メトトレキサートは、1週あたり10~25mgの間で被験体に投与され得る。
【0104】
特定の実施態様において、被験体は哺乳動物である。哺乳動物はヒトであってもよい。特定の実施態様において、ヒトは、アジア又は太平洋出身の個体の子孫である。アジア又は太平洋出身の個体の子孫であるヒトは、メトトレキサートを1週あたり6と25mgとの間
で投与され得る。
【0105】
特定の実施態様において、被験体は、以前にTNF-αアンタゴニストを投与することにより関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった。詳細には、被験体は、少なくとも3ヶ月間TNF-αアンタゴニストで処置されていたかもしれず、又はTNF-αアンタゴニストに不耐容であったかもしれない。TNF-αアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ又はセルトリズマブであり得る。他の実施態様において、被験体は、以前にメトトレキサートを投与することにより関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった。
【0106】
サリルマブは、1週あたり50と150mgとの間、又は2週あたり100と200mgとの間で投与
され得る。
【0107】
本開示はまた、有効量のサリルマブ並びにレフルノミド、スルファサラジン及びヒドロキシクロロキンからなる群の一員を含む医薬組成物を提供する。サリルマブは、用量あたり50と150mgとの間又は用量あたり100と200mgとの間で存在し得る。
【0108】
特定の具体的な実施態様において、組成物は、サリルマブ及びレフルノミドを含む。レフルノミドは経口投薬形態で存在し得る。レフルノミドは、用量あたり10と20mgとの間で組成物中に存在し得る。
【0109】
他の具体的な実施態様において、組成物はサリルマブ及びスルファサラジンを含む。スルファサラジンは経口投薬形態で存在し得る。スルファサラジンは、被験体に1日あたり1000~3000mgの間で組成物中に存在し得る。
【0110】
他の特定の実施態様において、組成物はサリルマブ及びヒドロキシクロロキンを含む。ヒドロキシクロロキンは経口投薬形態で存在し得る。ヒドロキシクロロキンは、被験体に1日あたり200~400mgの間で組成物中に存在し得る。
【0111】
特定の実施態様において、本開示はまた、以前にメトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン及び/又はヒドロキシクロロキンを投与することにより処置された被験体において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、被験体に有効量のサリルマブ
を投与することを含む。
【0112】
一実施態様において、被験は、以前にメトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン及び/又はヒドロキシクロロキンを投与することにより関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった。
【0113】
別の実施態様において、サリルマブは単剤療法として投与される。
【0114】
別の実施態様において、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン及び/又はヒドロキシクロロキンはサリルマブと一緒に投与される。
【0115】
別の実施態様において、サリルマブ及びメトトレキサートは一緒に投与される。
【0116】
一実施態様において、メトトレキサートは、1週あたり6~25mgで投与される。
【0117】
特定の実施態様において、サリルマブは1週あたり50と150mgとの間で投与される。他の実施態様において、サリルマブは2週あたり100と200mgとの間で投与される。他の実施態
様において、サリルマブは2週あたり100mgで投与される。他の実施態様において、サリルマブは2週あたり150mgで投与される。他の実施態様において、サリルマブは2週あたり200mgで投与される。
【0118】
特定の実施態様において、被験体は、以前にTNF-αアンタゴニストを投与することにより関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった。一実施態様において、被験体は、最近2年間に少なくとも3ヶ月間抗TNF-αアンタゴニストで処置されたか、又は被験体は少な
くとも1つのTNF-αアンタゴニストに不耐容であった。別の実施態様において、TNF-αアンタゴニストは生物学的抗TNF-αである。別の実施態様において、TNF-αアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ及び/又はセルトリズマブペゴルからなる群より選択される。
【0119】
他の実施態様において、本開示は、有効量のサリルマブ並びにメトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン及びヒドロキシクロロキンからなる群の一員を含む医薬組成物を提供する。
【0120】
さらに他の実施態様において、本開示は:サリルマブを含む医薬組成物、及びメトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン又はヒドロキシクロロキンを含む医薬組成物の、医薬としての連続的又は同時使用のための組み合わせを提供する。
【実施例0121】
関節リウマチ患者における24週目の健康に関連した生活の質 [HRQoL]、疲労感及び睡眠に対するサリルマブの影響 - フェーズ3無作為化二重盲検プラセボ対照多施設研究の
結果。
【0122】
IL-6受容体に特異的なヒトモノクローナル抗体であるサリルマブは、メトトレキサート(MTX)に対して不適切に応答した活動性の中程度から重症のRAを有する成人におけるSARIL-RA-MOBILITY研究のフェーズ3において有効性を実証した。サリルマブの両方の用量(1
週間おきに[q2w]150mg及び200mg)は、臨床的、X線写真、機能的、及び安全性の主要評価
項目を満たした。
【0123】
このさらなる研究の目標は、健康に関連した生活の質(HRQoL)、疲労感、及び睡眠に対
するサリルマブの影響を評価することであり、これらは全てその時点で測定された患者報
告アウトカム(patient reported outcome)(PRO)を有する患者の中で24週目のベース
ラインからの平均変化に基づく所定の副次的評価項目であった。さらに、仕事の生産性障害を12週目に評価した。
【0124】
方法:
1,282人の患者を、プラセボ(PBO)、サリルマブ150mg q2w又は200mg q2w (1:1:1)とバックグラウンドMTXとを投与されるように無作為化した; 治療企図(intent to treat)集団は1,197人を含んでいた。Short Form-36 [SF-36]、慢性疾患治療-倦怠感の機能的評価(FACIT-F)、睡眠視覚アナログ尺度(Sleep Visual Analog Scale)(VAS)並びに仕事の生産
性及び活動障害[WPAI]質問表を、BL、12週 [WPAIのみ]、24週及び52週に評価した。
【0125】
結果:
SF-36身体的コンポーネントサマリー(PCS)及び精神的コンポーネントサマリー(MCS)、SF-36の全8つのドメイン、FACIT-F並びに睡眠VASにおけるPBOに対する統計的に有意な改
善が、24週にサリルマブ150mg及び200mgを投与された患者により報告され、これらは、全てのSF-36[PCS及びMCSについてのMCIDは少なくとも2.5のBLからの変化である;8つの
ドメインについてのMCIDは少なくとも5.0のBLからの変化であり、FACIT-FについてのMCIDは少なくとも3.0のBLからの変化であり、かつ睡眠VASについてのMCIDは少なくとも4.1のBLからの変化である]スコアにおいて両方の積極的処置群で(表1、太字(Bolded))臨床に
おける最小重要差(MCID)を十分に超えていた。WPAI 「RAによる全労働障害%」スコアにおける統計的に有意な改善が、12週目に150mg群で報告された。24週目に明らかであった改
善は52週まで持続した[示していないデータ]。
【0126】
結論: このフェーズ3試験において、サリルマブの両方の用量を投与された活動性RA患者は、24週目に全てのHRQoL及び疲労感スコアにおいてプラセボに対して臨床的に意味が
ありかつ統計的に優位な改善を報告し、これらは52週まで維持された。統計的に有意な利益も、両方の用量について睡眠において、及びサリルマブ150mg q2w用量について全労働
障害%において報告された。
【0127】
【0128】
被験体は、処置の少なくとも24週間後に、睡眠視覚アナログ尺度(睡眠VAS)において、プラセボを用いた処置の少なくとも24週後に得られるベースライン(BL)からの変化より大きなBLからの変化を達成する、請求項1に記載の医薬組成物。
睡眠VASにおいて、プラセボを用いた処置の24週後に得られたBLからの変化よりも大きいBLの変化が、少なくとも6.18である、請求項2に記載の医薬組成物。
睡眠VASにおいて、プラセボを用いた処置の24週後に得られたBLからの変化よりも大きいBLの変化が、少なくとも23.07である、請求項2に記載の医薬組成物。
被験体は以前に、少なくとも1つの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を投与することによる関節リウマチの処置を受けたが効果がなかった、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
少なくとも1つのDMARDが、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、アバタセプト、リツキシマブ、トシリズマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群より選択される、請求項6に記載の医薬組成物。
少なくとも1つのDMARDが、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン及びヒドロキシクロロキンからなる群より選択される、請求項6に記載の医薬組成物。
少なくとも1つのDMARDが、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブからなる群より選択される、請求項6に記載の医薬組成物。
方法が、有効量の抗体並びに有効量のメトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、及び/又はヒドロキシクロロキンを被験体に投与することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。