(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153682
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】樹脂にて被覆されたシートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20221005BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20221005BHJP
C08L 51/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B32B27/30 101
B32B27/12
C08L51/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056331
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104412
【氏名又は名称】カンボウプラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 軍次
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AH06C
4F100AK15B
4F100AK17C
4F100AK25B
4F100AK51D
4F100AK68B
4F100AK71B
4F100AL02B
4F100AL05B
4F100BA03
4F100BA04
4F100CA02B
4F100CB00D
4F100DG11A
4F100DG12A
4F100EH46D
4F100EJ17B
4F100EJ42B
4F100EJ42C
4F100EJ82C
4F100GB07
4F100JL09
4F100JL14C
4F100YY00
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00D
4J002BB063
4J002BB073
4J002BD042
4J002BN081
4J002BN121
4J002FD023
(57)【要約】
【課題】産業用資材用途のポリ塩化ビニル系樹脂被覆シートは、長期間屋外に曝露されるため、ポリ塩化ビニル樹脂中に配合される液状可塑剤が、長年月の間に次第に分解、劣化し、または表面に移行しやすい。このような事態が生じると、液状可塑剤が減量し、それによってポリ塩化ビニル系樹脂層の風合いが次第に硬くなりやすい。また液状可塑剤を含むと、シート表面が変色しやすい。
【解決手段】樹脂にて被覆されたシートであって、繊維材料により形成された基布と、この基布の少なくとも一方の表面に形成された樹脂被覆層とを有する。樹脂被覆層は、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂と、高分子量可塑剤と、ストレート塩化ビニル樹脂とを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料により形成された基布と、この基布の少なくとも一方の表面に形成された樹脂被覆層とを有し、
前記樹脂被覆層は、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂と、高分子量可塑剤と、ストレート塩化ビニル樹脂とを含むことを特徴とする樹脂にて被覆されたシート。
【請求項2】
塩素系アクリルグラフト共重合樹脂は、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとが共重合したものであることを特徴とする請求項1記載の、樹脂にて被覆されたシート。
【請求項3】
塩素系アクリルグラフト共重合樹脂は、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、(A)/(B1)=85質量%/15質量%~75質量%/25質量%の範囲で含むことを特徴とする請求項2記載の、樹脂にて被覆されたシート。
【請求項4】
塩素系アクリルグラフト共重合樹脂は、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B2)二重結合を有するエチレン製不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーとが共重合したものであることを特徴とする請求項1記載の、樹脂にて被覆されたシート。
【請求項5】
(B2)二重結合を有するエチレン製不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーが、片末端アクリロイル基ポリ(アクリル酸-n-ブチル)マクロモノマーであることを特徴とする請求項4記載の、樹脂にて被覆されたシート。
【請求項6】
高分子量可塑剤は、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素三元共重合体と、エチレン-アクリル酸エステル-一酸化炭素三元共重合体とから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の、樹脂にて被覆されたシート。
【請求項7】
高分子量可塑剤を、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂100質量部に対し10~120質量部含むことを特徴とする請求項6記載の、樹脂にて被覆されたシート。
【請求項8】
ストレート塩化ビニル樹脂を、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂100質量部に対し1~100質量部含むことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載の、樹脂にて被覆されたシート。
【請求項9】
繊維材料により形成された基布と、この基布の少なくとも一方の表面に形成された樹脂被覆層とを有し、前記樹脂被覆層が、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂と、高分子量可塑剤と、ストレート塩化ビニル樹脂とを含む、樹脂にて被覆されたシートを製造するに際し、
前記塩素系アクリルグラフト共重合樹脂を、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、縣濁重合法により共重合して得ることを特徴とする樹脂にて被覆されたシートの製造方法。
【請求項10】
塩素系アクリルグラフト共重合樹脂を、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、(A)/(B1)=85質量%/15質量%~75質量%/25質量%の範囲で縣濁重合法により共重合して得ることを特徴とする請求項9記載の、樹脂にて被覆されたシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂にて被覆されたシートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用資材用途のポリ塩化ビニル系樹脂被覆シートとして、例えば、繊維性基布の片面又は両面にポリ塩化ビニル系樹脂層が被覆されている柔軟なシートが知られている(特許文献1~3)。このような樹脂にて被覆されたシートは、中・大型テント、テント倉庫、トラック用の幌、看板用バックリットなどに広く使用されている。このようなシートは、加工性、経済性、防炎性等の点において、ポリ塩化ビニル系樹脂に固有の長所を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-098697号公報
【特許文献1】特開平11-081158号公報
【特許文献1】特開2011-025518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記用途に供されるシートは、長期間屋外に曝露されるため、ポリ塩化ビニル系樹脂中に配合される液状可塑剤が、長年月の間に次第に分解、劣化し、または表面に移行しやすい。このような事態が生じると、液状可塑剤が減量し、それによってポリ塩化ビニル系樹脂層の風合いが次第に硬くなりやすいという課題がある。また液状可塑剤を含むと、シート表面が変色しやすいという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明の、樹脂にて被覆されたシートは、繊維材料により形成された基布と、この基布の少なくとも一方の表面に形成された樹脂被覆層とを有し、前記樹脂被覆層は、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂と、高分子量可塑剤と、ストレート塩化ビニル樹脂とを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の樹脂にて被覆されたシートによれば、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂は、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとが共重合したものであることが好適である。
【0007】
本発明の樹脂にて被覆されたシートによれば、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂は、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、(A)/(B1)=85質量%/15質量%~75質量%/25質量%の範囲で含むことが好適である。
【0008】
本発明の樹脂にて被覆されたシートによれば、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂は、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B2)二重結合を有するエチレン製不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーとが共重合したものであることが好適である。
【0009】
本発明の樹脂にて被覆されたシートによれば、(B2)二重結合を有するエチレン製不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーが、片末端アクリロイル基ポリ(アクリル酸-n-ブチル)マクロモノマーであることが好適である。
【0010】
本発明の樹脂にて被覆されたシートによれば、高分子量可塑剤は、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素三元共重合体と、エチレン-アクリル酸エステル-一酸化炭素三元共重合体とから選ばれた少なくとも1種であることが好適である。
【0011】
本発明の樹脂にて被覆されたシートによれば、高分子量可塑剤を、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂100質量部に対し10~120質量部含むことが好適である。
【0012】
本発明の樹脂にて被覆されたシートによれば、ストレート塩化ビニル樹脂を、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂100質量部に対し1~100質量部含むことが好適である。
【0013】
本発明の樹脂にて被覆されたシートの製造方法は、繊維材料により形成された基布と、この基布の少なくとも一方の表面に形成された樹脂被覆層とを有し、前記樹脂被覆層が、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂と、高分子量可塑剤と、ストレート塩化ビニル樹脂とを含む、樹脂にて被覆されたシートを製造するに際し、
【0014】
前記塩素系アクリルグラフト共重合樹脂を、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、縣濁重合法により共重合して得ることを特徴とする。
【0015】
本発明の樹脂にて被覆されたシートの製造方法によれば、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂を、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、(A)/(B1)=85質量%/15質量%~75質量%/25質量%の範囲で縣濁重合法により共重合して得ることが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の、樹脂にて被覆されたシートによれば、液状可塑剤を用いずにシートに柔軟性を付与することができるため、液状可塑剤を用いたときのような、同可塑剤が、長年月の間に次第に分解、劣化し、または表面に移行するといった事態の発生を防止することができ、このため、このような事態が発生した場合のような、液状可塑剤が減量し、それによってポリ塩化ビニル系樹脂層の風合いが次第に硬くなりやすいといった状況の発生を防止することができる。またシート表面における変色の発生を効果的に防止することができる。本発明における塩素系アクリルグラフト共重合樹脂は、塩化ビニル単独重合樹脂に比べて可塑剤を使用しなくとも柔軟性があり、このため高分子量可塑剤の使用を減らすことができる効果もある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の、樹脂にて被覆されたシートは、繊維材料により形成された基布と、この基布の少なくとも一方の表面に形成された樹脂被覆層とを有する。この樹脂被覆層は、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂と、高分子量可塑剤と、ストレート塩化ビニル樹脂とを含む。
【0018】
樹脂被覆層に主剤として含まれる塩素系アクリルグラフト共重合樹脂は、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとが共重合したものを、好ましく用いることができる。この場合に、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、(A)/(B1)=85質量%/15質量%~75質量%/25質量%の範囲で含むことが好適である。
【0019】
あるいは、樹脂被覆層に主剤として含まれる塩素系アクリルグラフト共重合樹脂は、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B2)二重結合を有するエチレン製不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーとが共重合したものも、好ましく用いることができる。この場合に、(B2)二重結合を有するエチレン製不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーが、片末端アクリロイル基ポリ(アクリル酸-n-ブチル)マクロモノマーであることが好適である。
【0020】
樹脂被覆層は、可塑剤として、公知の技術における液状可塑剤に代えて、高分子量可塑剤を含む。これによって、上述した液状可塑剤を含む場合における不利な点を解消することができる。
【0021】
樹脂被覆層の主剤が上述のような塩素系アクリルグラフト共重合樹脂である場合においては、高分子量可塑剤は、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素三元共重合体と、エチレン-アクリル酸エステル-一酸化炭素三元共重合体とから選ばれた少なくとも1種であることが好適である。このような可塑剤を用いることで、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂を主剤とする樹脂被覆層に、問題なく所要の柔軟性を付与することができる。
【0022】
この場合において、高分子量可塑剤を、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂100質量部に対し10~120質量部含むことが好適である。その含有量が10質量部未満であると、樹脂被覆層に所要の柔軟性を付与しにくくなる。反対に高分子量可塑剤の含有量が120質量部を超えると、得られる樹脂被覆層の強度が低下し、摩耗及び引っ掻きに対する抵抗力が不十分になるという不利な傾向が生じやすい。
【0023】
樹脂被覆層は、ストレート塩化ビニル樹脂を、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂100質量部に対し1~100質量部含むことが好ましい。このようにストレート塩化ビニル樹脂を所定量含むと、樹脂被覆層を構成するための樹脂を混合、混練する場合において、液状の添加剤を用いるときには、その液状の添加剤をストレート塩化ビニル樹脂に吸収させることで、ドライアップを容易にすることができる。ストレート塩化ビニル樹脂の含有量が1質量部未満である場合には、所要のドライアップ効果を得にくくなる。反対にストレート塩化ビニル樹脂の含有量が100質量部を超えると、得られる樹脂被覆層の風合いが硬くなり、所定の柔軟性を付与するためには、より多くの高分子量可塑剤を配合しなければならないという不利な傾向が生じやすい。
【0024】
本発明の、樹脂にて被覆されたシートを構成する基布は、繊維材料により形成された任意のものを用いることができる。繊維材料としては、例えば、ガラス繊維やその他の繊維を好適に用いることができる。
【0025】
本発明の、樹脂にて被覆されたシートは、基布に対して適当な手法により樹脂被覆層を積層することで、好ましく得ることができる。特に、樹脂被覆層の塩素系アクリルグラフト共重合樹脂として、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとが共重合したものを得る場合には、これら(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、縣濁重合法により共重合することで、同共重合樹脂を好ましく得ることができる。
【0026】
そのときに、詳細には、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、(A)/(B1)=85質量%/15質量%~75質量%/25質量%の範囲で縣濁重合法により共重合することで、塩素系アクリルグラフト共重合樹脂を好ましく得ることができる。
【実施例0027】
<実施例>
1350dtexのガラスマルチフィラメント糸を経糸及び緯糸に用いた平織物(織密度:経糸31本/インチ、緯糸30本/インチ)を、ガラスクロス基布(質量340g/m2)として用いた。そして、このガラスクロス基布を、フッ素系撥水剤3質量%、シランカップリング剤1質量%含む処理溶液に含侵し、マングルで絞り、190℃×2分間の条件で加熱して、フッ素系化合物で全体が撥水処理されたガラス繊維製基布を得た。
【0028】
塩素系アクリルグラフト共重合樹脂として、(A)塩化ビニル系モノマーと、(B1)アクリル酸-n-ブチルを主鎖に有するマクロモノマーとを、縣濁重合法により共重合して得られたもの(カネカ社製 プリクトマー(登録商標)、GXグレード)を準備した。
【0029】
そして、このアクリルグラフト共重合樹脂100質量部と、エチレン-酢酢酸ビニル-一酸化炭素三元共重合樹脂(三井・ダウポリケミカル社製 エルバロイ(登録商標)741)30質量部と、ストレート塩化ビニル樹脂10質量部と、他の通常用いられる適量の添加剤とを含む原料をヘンシェルミキサーで混合し、得られた混合物を混練することによって、樹脂被覆層の原料となる塩素系アクリルグラフト樹脂組成物を準備した。
【0030】
次に上記した基布に上記した塩素系アクリルグラフト樹脂組成物の層を樹脂被覆層として積層した。すなわち、撥水処理されたガラスクロス製基布の両面に、ナイフコーターを使用して、接着剤としてのウレタン系樹脂溶液を塗布し、150℃×2分間の条件で加熱した。塗布量は、両面あわせて固形分30g/m2とした。そして、このようにして基布の両面に形成されたウレタン樹脂層のそれぞれに、上述の塩素系アクリルグラフト樹脂組成物からなる厚さ0.18mmのカレンダー成型フィルムを熱圧着した。これによって、厚さ0.57mm、質量840g/m2の、防水シートとしての、樹脂にて被覆されたシートを得た。
【0031】
<比較例>
樹脂被覆層を構成するための樹脂組成物を得た。詳細には、ストレート塩化ビニル樹脂100質量部と、液状の可塑剤であるDOP(フタル酸ビス(2-エチルヘキシル))32質量部と、同じく液状の可塑剤であるDOA(アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル))6質量部と、他の通常用いられる適量の添加剤とを含む原料を片シェルミキサーで混合し、得られた混合物を混練することによって、樹脂被覆層の原料となる樹脂組成物を準備した。
【0032】
そして、それ以外は上記の実施例と同様として、比較例の、樹脂にて被覆されたシートを得た。
【0033】
<評価>
試料を、本発明のシートの使用環境における最高温度であると予想される80℃で一定期間加熱し、すなわち一定期間にわたり80℃の雰囲気下(80℃に設定したオーブンを使用した)におき、そのときの風合い、加熱減量、試料外観について評価した。そして、試験前すなわちブランクについて評価するとともに、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後についてそれぞれ評価した。
【0034】
風合いは、JIS L1096-2010に規定されるガーレ法によって剛軟度(mN)を測定することにより評価した。このとき、試料の一方の面すなわち表面と、試料の他方の面すなわち裏面とについて、それぞれ剛軟度を測定した。
【0035】
加熱減量は、各試料を10cm角に裁断して80℃のオーブンに入れ、ブランクについて質量を測定するとともに、所定期間後にそれぞれ質量を測定することで求めた。また、ブランクからの変化率をもって減量率とした。
【0036】
外観は、目視によって評価した。
【0037】
実施例と比較例とのそれぞれ3試料(N1~N3)についての風合いの評価結果を表1に示し、加熱減量の評価結果を表2に示す。
【0038】
【0039】
【0040】
表1に示すように、風合いについて、実施例は、80℃×4週間後でも風合いがほとんど変化なく、良好であった。これに対し比較例は、4週間後の風合いが硬くなっていた。
【0041】
表2に示すように、加熱減量について、実施例は、80℃×4週間後もほぼ減量がなく、良好であった。これに対し比較例は、4週間後の減量率が約7%にも達した。
【0042】
外観について、実施例は、80℃×4週間後に僅かに赤味があった。これに対し比較例は、80℃×4週間後にやや赤みがあり、この赤みの程度は、実施例よりも大きいものであった。
【0043】
以上を総括すると、実施例のシートは、80℃加熱後の風合い、加熱減量、外観において良好な結果を示し、実用に適した樹脂被覆シートあることが確認された。