(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153707
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】爪及びチャック
(51)【国際特許分類】
B23B 31/02 20060101AFI20221005BHJP
B23B 31/08 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B23B31/02 610Z
B23B31/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056370
(22)【出願日】2021-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】521133447
【氏名又は名称】株式会社メタルドリーム
(74)【代理人】
【識別番号】100124464
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 眞輝
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博人
【テーマコード(参考)】
3C032
【Fターム(参考)】
3C032GG27
(57)【要約】
【課題】球欠形状の被加工物に対して1つの切削平面に平行な切削平面を高精度に形成することが可能な爪及びチャックを提供する。
【解決手段】実施形態にかかる爪は、旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体に取り付け可能であり、被加工物を把持する爪であって、親爪と、前記親爪の把持側の端面に所定の間隙を介して設けられた子爪と、前記間隙に設けられた弾性部材と、を備えている。前記子爪は、前記親爪に対して回動中心を中心として回動可能に設けられている。前記被加工物は、切削平面と球中心を備える球欠形状である。前記被加工物の前記切削平面を、前記チャック本体に設けられたストッパの当接面に当接させながら、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記球中心と前記ストッパの前記当接面との距離D1よりも、前記子爪の前記回動中心と前記ストッパの前記当接面との距離D2の方が大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体に取り付け可能であり、被加工物を把持する爪であって、
親爪と、
前記親爪の把持側の端面に所定の間隙を介して設けられた子爪と、
前記間隙に設けられた弾性部材と、を備え、
前記子爪は、前記親爪に対して回動中心を中心として回動可能に設けられ、
前記被加工物は、切削平面と球中心を備える球欠形状であり、
前記被加工物の前記切削平面を、前記チャック本体に設けられたストッパの当接面に当接させながら、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記球中心と前記ストッパの前記当接面との距離D1と、前記子爪の前記回動中心と前記ストッパの前記当接面との距離D2との間に、
D2>D1が成立するように構成された爪。
【請求項2】
前記弾性部材は、ばねで構成された請求項1記載の爪。
【請求項3】
前記子爪によって前記被加工物を把持する場合に、前記子爪は、前記被加工物の前記球欠形状の大円であって前記ストッパの前記当接面に平行な平面を含む円に接触した後、前記球欠形状の小円であって前記ストッパの前記当接面に平行な平面を含む円に接触するように回動して、
前記小円に沿う平面と前記ストッパとの距離D3と、前記距離D1との間に、
D3>D1が成立するように構成された請求項1又は2記載の爪。
【請求項4】
旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体と、
前記チャック本体に取り付けられ、被加工物を把持する爪と、を備え、
前記爪は、親爪と、前記親爪の把持側の端面に所定の間隙を介して設けられた子爪と、前記間隙に設けられた弾性部材と、を備え、
前記子爪は、前記親爪に対して回動可能に設けられ、
前記被加工物は、切削平面と球中心を備える球欠形状であり、
前記被加工物の前記切削平面を、前記チャック本体に設けられたストッパの当接面に当接させながら、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記球中心と前記ストッパの前記当接面との距離D1と、前記子爪の回動中心と前記ストッパの前記当接面との距離D2との間に、
D2>D1が成立するように構成されたチャック。
【請求項5】
前記弾性部材は、ばねで構成された請求項4記載のチャック。
【請求項6】
前記子爪によって前記被加工物を把持する場合に、前記子爪は、前記被加工物の前記球欠形状の大円であって前記ストッパの前記当接面に平行な平面を含む円に接触した後、前記球欠形状の小円であって前記ストッパの前記当接面に平行な平面を含む円に接触するように回動した場合に、
前記小円に沿う平面と前記ストッパの前記当接面との距離D3と、前記距離D1との間に、
D3>D1が成立するように構成した請求項4又は5記載のチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体に取り付け可能な爪及び旋盤のチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の部品、例えばバンジョーアダプターを製造する場合、まず、ほぼ球形状の被加工物の一部を旋盤により切削して1つの切削平面を形成し、被加工物の形状を、切削平面と球中心を備える球欠形状とする。この後、被加工物を再び旋盤により切削して前記1つの切削平面に平行な切削平面を形成する。平行な切削平面を形成する場合には、球欠形状の被加工物の切削平面をチャックのストッパに当接させると共に、被加工物を旋盤のチャックの爪で把持する。この状態で、被加工物を回転させ、工具により被加工物を切削して、前記1つの切削平面に平行な切削平面を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成においては、1つの切削平面に平行な切削平面を形成する場合に、被加工物の1つの切削平面と、チャックのストッパとの当接が不十分になることがある。そのような場合、2つの切削平面の平行度及び平坦度が低下し、製品の品質が低下するという不具合があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、球欠形状の被加工物に対して1つの切削平面に平行な切削平面を高精度に形成することができる爪及びチャックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の爪は、旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体に取り付け可能なものであって、被加工物を把持する爪であって、親爪と、前記親爪の把持側の端面に所定の間隙を介して設けられた子爪と、前記間隙に設けられた弾性部材と、を備え、前記子爪は、前記親爪に対して回動可能に設けられ、前記被加工物は、切削平面と球中心を備える球欠形状であり、前記被加工物の前記切削平面を、前記チャック本体に設けられたストッパの当接面に当接させながら、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記球中心と前記ストッパの前記当接面との距離D1と、前記子爪の前記回動中心と前記ストッパの前記当接面との距離D2との間に、D2>D1が成立するように構成されたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記切削平面を、前記ストッパの前記当接面に十分に当接させることができ、球欠形状の前記被加工物に対して1つの切削平面に平行な切削平面を高精度に形成することが可能となる。
【0008】
請求項4記載のチャックは、旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体と、前記チャック本体に取り付けられ、被加工物を把持する爪と、を備えたチャックであって、前記爪は、親爪と、前記親爪の把持側の端面に所定の間隙を介して設けられた子爪と、前記間隙に設けられた弾性部材と、を備え、前記子爪は、前記親爪に対して回動可能に設けられ、前記被加工物は、切削平面と球中心を備える球欠形状であり、前記被加工物の切削平面を、前記チャック本体に設けられたストッパの当接面に当接させながら、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記球中心と前記ストッパの前記当接面との距離D1と、前記子爪の回動中心と前記ストッパの前記当接面との距離D2との間に、D2>D1が成立するように構成されている。この構成によれば、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記切削平面を、前記ストッパの前記当接面に十分に当接させることができ、球欠形状の前記被加工物に対して1つの切削平面に平行な切削平面を高精度に形成することが可能となる。
【0009】
このように、本発明によれば、前記被加工物を前記爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記切削平面を、前記ストッパの前記当接面に十分に当接させることができ、球欠形状の前記被加工物に対して1つの切削平面に平行な切削平面を高精度に形成することが可能となる爪及びチャックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態によるチャックの概略構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、爪で被加工物を把持する前の状態を示すチャックの概略構成を示す図である。
【
図4】
図4は、爪で被加工物を把持する場合に、子爪を被加工物に当接させた状態を示すチャックの概略構成を示す図である。
【
図5】
図5は、爪で被加工物を把持する場合に、子爪を被加工物に当接させた後、更に押して子爪を回動させた状態を示すチャックの概略構成を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5中の子爪と被加工物の接触部分を拡大して示す図である。
【
図7】
図7は、被加工物に1つの切削平面に平行な切削平面を形成した後、爪による被加工物の把持を解除し、被加工物を取り外した状態を示すチャックの概略構成を示す図である。
【
図8】
図8は、平行な切削平面を形成する前の状態の被加工物の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明おいて、すでに説明した部材と同様の部材には同様の符号又は名称を付し、その説明については省略する。
【0012】
(実施形態)
実施形態に係る旋盤のチャックについて、
図1から
図8を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態による旋盤のチャックの外観の概略を示す斜視図である。
図1に示すように、チャック2のチャック本体4は、ほぼ円柱形状に構成されており、旋盤の主軸に取り付けられている。チャック本体4の中心軸と、旋盤の主軸の軸心、即ち、旋盤の回転軸が同心となるように構成されており、チャック本体4は、旋盤の回転軸を中心に回転可能である。旋盤の主軸が駆動モータにより回転駆動されると、チャック本体4は旋盤の回転軸を中心に回転される。
【0013】
チャック本体4の面6には、被加工物を把持する一対の爪10が半径方向に移動可能に設けられている。爪10は、チャック本体4内に半径方向に移動可能に設けられたマスタジョー8にボルト30、32により取り付けられている。マスタジョー8は、爪10と同様に一対設けられている。一対のマスタジョー8は、チャック本体4内に設けられた駆動装置により、連動してチャック本体4の中心軸(即ち、旋盤の回転軸)に近付く方向(以下、把持方向と称す)又は遠ざかる方向(以下、把持解除方向と称す)に移動駆動される。なお、チャック本体4、マスタジョー8及びマスタジョー8の駆動装置等は、周知構成のものを適宜用いることが可能である。
【0014】
次に、爪10の具体的構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。爪10は、例えば直方体形状の親爪12と、例えば直方体形状の子爪14とを有する。子爪14は、親爪12の把持側の端面(
図3中の左の端面)12aに所定の間隙16を介して設けられている。親爪12と子爪14との間の間隙16には、例えばばねで構成された弾性部材18が設けられている。弾性部材18は、親爪12の端面12a及び子爪14の親爪12と対抗する端面14bに固定されている。なお、弾性部材18を、親爪12の端面12a及び子爪14の端面14bに形成された図示しないザグリ穴内に嵌め込んで固定するように構成しても良い。
【0015】
親爪12と、子爪14は、2枚の連結板20、22によって挟まれるようにして連結されている。連結板20、22のうちの親爪12側の部分は、ボルト24、26によって親爪12に取り付け固定されている。連結板20、22のうちの子爪14側の部分は、ボルト28によって子爪14に回動可能に取り付けられている。この場合、子爪14は、親爪12に対してボルト28の軸心を回動中心38(
図3参照)として回動可能に設けられている。なお、
図2、
図3においては、ボルト24、26、28の頭部を図示しないで、ボルト24、26、28の軸部を破線で図示するようにしている。また、後述する
図4、
図5、
図7についても、同様に図示している。
【0016】
本実施形態においては、
図3に示すように、被加工物Wを子爪14で把持していない状態では、弾性部材18が上記間隙16に配設されることにより、親爪12の端面12aと、子爪14の端面14bが、ほぼ平行となるように構成されている。このように連結された爪10を、ボルト30、32により親爪12をマスタジョー8に固定することにより、チャック本体4に取り付けられる。
【0017】
ここで、被加工物Wの形状について、
図3及び
図8を参照して説明する。
図8に示すように、被加工物Wは、実質的な球の一部を平面で切った球欠形状部W1と、この球欠形状部W1に突設された円柱形状部W2とを有する。球欠形状部W1は、切削平面W1aと、球中心W1b(
図3参照)とを有する。なお、切削平面W1aを形成する前の状態の被加工物Wの球形状は、必ずしも真球である必要はなく、ある程度変形した形状の球であっても良い。また、球欠形状部W1には、切削平面W1aの中央部に位置して貫通孔W3が切削平面W1aとほぼ直交するように形成されている。なお、貫通孔W3の軸心と、円柱形状部W2の軸心とがほぼ直交するように構成されている。
図3から
図7では、球欠形状部W1を示し、円柱形状部W2を省略して示している。
【0018】
図3に示すように、チャック本体4の面6の中央部には、円柱形状のストッパ34が設けられている。ストッパ34の当接面36は、旋盤の回転軸Aに直交する平面である。被加工物Wの切削平面W1aを、ストッパ34の当接面36に当接させながら、被加工物Wを子爪14によって把持するように構成されている。この構成においては、被加工物Wの球中心W1bとストッパ34の当接面36との距離D1と、子爪14の回動中心38とストッパ34の当接面36との距離D2との間に、D2>D1が成立するように構成されている。
【0019】
次に、爪10によって被加工物Wを把持する際の動作について、
図3から
図7を参照して説明する。以下の説明で、大円は、球面と球の中心を通る平面との交線を意味し、その輪郭を当該大円とする平面を、「大円を含む平面」と称する。また、以下の説明で、小円は、球面と球の中心を通らない平面との交線を意味し、その輪郭を当該小円とする平面を、「小円を含む平面」と称する。
【0020】
まず、
図3に示すように、被加工物Wの切削平面W1aを、ストッパ34の当接面36に当接させ、マスタジョー8を把持方向に移動させることにより、爪10を把持方向に移動させる。これにより、
図4に示すように、子爪14の把持方向側の端面14aが被加工物Wに当接する。この場合、子爪14は、まず、被加工物Wの球欠形状部W1の球中心W1bを通る平面と被加工物Wの表面との交線である仮想的な大円40に接触する。被加工物Wの大円40を含む平面は、ストッパ34の当接面36に平行である。
【0021】
続いて、爪10を把持方向に移動させると、
図5に示すように、子爪14は、被加工物Wを押しながら回動する。そして、子爪14の端面14aは、球欠形状部W1の球中心W1bを通らずストッパ34の当接面36に平行な面との交線である仮想的な小円42に、接触点44で接触するようになる。この子爪14の回動に伴って爪10の弾性部材18が圧縮変形する。この場合、子爪14の回動角度が大きくなるにつれて、子爪14が大円40より径小な小円42に接触するように接触点44がずれていく。この結果、子爪14が斜めに傾いた角度で(即ち、一対の子爪14がストッパ34側に開いたほぼ「ハ」字状に傾いた角度で)被加工物Wを把持する。これにより、子爪14は被加工物Wをストッパ34の当接面36に当接させる方向に押しながら被加工物Wを把持する構成となる。
【0022】
図5に示す状態では、小円42を含む平面とストッパ34の当接面36との距離D3と、前記距離D1との間に、D3>D1が成立する。この場合、
図6に示すように、子爪14が被加工物Wを押す力Nは、子爪14の端面14aと被加工物Wとの接触点44から球中心W1b方向に作用している。この力Nは、接触点44からストッパ34の当接面36に向かう方向に作用する分力N1と、接触点44からストッパ34の当接面36に平行な方向に作用する分力N2とに分解することができる。これにより、被加工物Wには、ストッパ34の当接面36に向かう方向の分力N1、即ち、被加工物Wをストッパ34の当接面36に当接させる力N1が作用することになる。この結果、被加工物Wをストッパ34の当接面36に十分な力で当接させることができる。爪10の把持方向への移動が停止されると、爪10による被加工物Wの把持が完了する。
【0023】
爪10によって被加工物Wを把持した状態で、旋盤の主軸が駆動モータにより回転駆動されると、チャック本体4が旋盤の回転軸Aを中心に回転され、これに伴って、被加工物Wが回転軸Aを中心に回転される。この回転状態で、工具例えば刃物により被加工物Wを切削することにより、前記1つの切削平面W1aに平行な切削平面W1c(
図7参照)が形成される。そして、切削平面W1cの切削完了後は、旋盤の主軸の回転、即ち、チャック本体4の回転を停止させ、マスタジョー8を把持解除方向に移動させる。これにより、
図7に示すように、爪10が把持状態から把持解除状態に移行し、チャック2から被加工物Wを取り外すことが可能になる。なお、この把持解除状態では、弾性部材18の弾性力により、子爪14が反対方向に回動して、親爪12の端面12aと、子爪14の端面14bが、ほぼ平行となる。
【0024】
以上に説明したように、本実施形態にかかる爪10は、親爪12と、子爪14と、親爪12及び子爪14の間隙16に設けられた弾性部材18とを備え、子爪14は、親爪12に対して回動可能に設けられている。被加工物Wは、被加工物Wの切削平面W1aを、チャック本体4のストッパ34の当接面36に当接させながら爪10により把持される。この場合、爪10は、被加工物Wの球中心W1bとストッパ34の当接面36との距離D1と、子爪14の回動中心38とストッパ34の当接面36との距離D2との間に、D2>D1が成立するように構成されている。この構成によれば、被加工物Wを子爪14によって把持した場合に子爪14が回動し、子爪14の当接面36と被加工物Wとの接触点44がストッパ34の当接面36から遠ざかるように移動する。これにより、被加工物Wには、ストッパ34の当接面36に向かう方向の分力N1、即ち、被加工物Wをストッパ34の当接面36に当接させる力N1が作用する。この結果、被加工物Wの切削平面W1aを、ストッパ34の当接面36に十分な力で当接させることができるから、切削中の被加工物Wの動きを抑制することができる。したがって、被加工物Wに対して切削平面W1aに平行な切削平面W1cを高精度に形成することが可能となる。
【0025】
なお、本実施形態では、弾性部材18を、例えばばねで構成した例を例示したが、他の弾性部材としても良い。弾性部材18を、例えばゴムなどの樹脂で構成しても良い。
また、上記実施形態では、爪10を一対備える2つ爪構成に適用した例を示して説明したが、これに限られるものではない。例えば、爪10を等間隔に3個備える3つ爪構成のチャックに適用しても良い。
【0026】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0027】
2 チャック
4 チャック本体
6 面
8 マスタジョー
10 爪
12 親爪
12a 端面
14 子爪
14a 端面
14b 端面
16 間隙
18 弾性部材
20 連結板
22 連結板
24 ボルト
26 ボルト
28 ボルト
30 ボルト
32 ボルト
34 ストッパ
36 当接面
38 回動中心
40 大円
42 小円
44 接触点
A 回転軸
W 被加工物
W1 球欠形状部
W1a 切削平面
W1b 球中心
W1c 切削平面
【手続補正書】
【提出日】2022-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体に取り付け可能であり、被加工物を把持する爪であって、
親爪と、
前記親爪の把持側の端面に所定の間隙を介して設けられた子爪と、
前記間隙に設けられた弾性部材と、を備え、
前記子爪は、前記親爪に対して回動中心を中心として回動可能に設けられ、
前記被加工物は、切削平面と球中心を備える球欠形状であり、
前記被加工物の前記切削平面を、前記チャック本体に設けられたストッパの当接面に当接させながら、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記球中心と前記ストッパの前記当接面との距離D1と、前記子爪の前記回動中心と前記ストッパの前記当接面との距離D2との間に、
D2>D1が成立し、
前記子爪の前記回動中心は前記ストッパの前記当接面に対して平行であるように構成された爪。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体と、
前記チャック本体に取り付けられ、被加工物を把持する爪と、を備え、
前記爪は、親爪と、前記親爪の把持側の端面に所定の間隙を介して設けられた子爪と、
前記間隙に設けられた弾性部材と、を備え、
前記子爪は、前記親爪に対して回動可能に設けられ、
前記被加工物は、切削平面と球中心を備える球欠形状であり、
前記被加工物の前記切削平面を、前記チャック本体に設けられたストッパの当接面に当接させながら、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記球中心と前記ストッパの前記当接面との距離D1と、前記子爪の回動中心と前記ストッパの前記当接面との距離D2との間に、
D2>D1が成立し、
前記子爪の前記回動中心は前記ストッパの前記当接面に対して平行であるように構成されたチャック。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項1記載の爪は、旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体に取り付け可能なものであって、被加工物を把持する爪であって、親爪と、前記親爪の把持側の端面に所定の間隙を介して設けられた子爪と、前記間隙に設けられた弾性部材と、を備え、前記子爪は、前記親爪に対して回動可能に設けられ、前記被加工物は、切削平面と球中心を備える球欠形状であり、前記被加工物の前記切削平面を、前記チャック本体に設けられたストッパの当接面に当接させながら、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記球中心と前記ストッパの前記当接面との距離D1と、前記子爪の前記回動中心と前記ストッパの前記当接面との距離D2との間に、D2>D1が成立し、前記子爪の前記回動中心は前記ストッパの前記当接面に対して平行であるように構成されたことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項4記載のチャックは、旋盤の回転軸を中心に回転可能であるチャック本体と、前記チャック本体に取り付けられ、被加工物を把持する爪と、を備えたチャックであって、前記爪は、親爪と、前記親爪の把持側の端面に所定の間隙を介して設けられた子爪と、前記間隙に設けられた弾性部材と、を備え、前記子爪は、前記親爪に対して回動可能に設けられ、前記被加工物は、切削平面と球中心を備える球欠形状であり、前記被加工物の切削平面を、前記チャック本体に設けられたストッパの当接面に当接させながら、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記球中心と前記ストッパの前記当接面との距離D1と、前記子爪の回動中心と前記ストッパの前記当接面との距離D2との間に、D2>D1が成立し、前記子爪の前記回動中心は前記ストッパの前記当接面に対して平行であるように構成されている。この構成によれば、前記被加工物を前記子爪によって把持した場合に、前記被加工物の前記切削平面を、前記ストッパの前記当接面に十分に当接させることができ、球欠形状の前記被加工物に対して1つの切削平面に平行な切削平面を高精度に形成することが可能となる。