(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153801
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】表示操作部および装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/042 20060101AFI20221005BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20221005BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G06F3/042 484
G07D11/60
G06F3/041 580
G06F3/041 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056512
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 史弥
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆嗣
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA07
3E141DA05
3E141FH01
3E141FJ05
3E141FJ10
(57)【要約】
【課題】非接触式の表示操作部を操作する利用者に操作状態を直感的に把握させる。
【解決手段】本発明の表示操作部2は、操作画面24を有する操作パネル21と操作パネル21と離間しており、操作画面24に対する入力に用いる利用者の指を検知する指検知部22と、入力の入力状態を利用者に報知する報知部と、を備える。報知部は、視覚的な報知、聴覚的な報知、触覚的な報知の少なくとも何れかとすることができる。また、本発明は、表示操作部2を備える現金自動預け払い機1である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作画面を有する表示部と、
前記表示部と離間しており、前記操作画面に対する入力に用いる利用者の指を検知する検知部と、
前記入力の入力状態を前記利用者に報知する報知部と、を備える表示操作部。
【請求項2】
前記操作画面と前記指の距離が第1距離より大きい場合、前記報知部は、前記入力状態が有効である旨報知し、前記第1距離以下の場合、前記報知部は、警告を報知する請求項1に記載の表示操作部。
【請求項3】
前記検知部は、前記第1距離よりも前記操作画面から離間している第1検知部と、前記第1距離に配置されている第2検知部から構成されている請求項2に記載の表示操作部。
【請求項4】
前記検知部は、前記第1距離に到達しない場合の前記指による第1遮光幅を検知し、前記第1距離に到達した場合の前記指による第2遮光幅を検知する請求項2に記載の表示操作部。
【請求項5】
前記検知部は、前記指による赤外線の遮光を検知する、および、前記指による可視光線の遮光を検知する、の少なくとも何れかである請求項1から請求項4の何れか1項に記載の表示操作部。
【請求項6】
前記入力としての第1入力と、前記第1入力の次の入力となる第2入力があり、
前記検知部が前記第1入力に対応する前記指の検知が無くならないうちに前記第2入力に対応する前記指を検知した場合、前記報知部は、入力受付停止を報知する請求項1から請求項5の何れか1項に記載の表示操作部。
【請求項7】
前記表示部は、前記操作画面にて、前記入力の位置を示す目印を表示する請求項1から請求項6の何れか1項に記載の表示操作部。
【請求項8】
前記報知は、視覚的な報知、聴覚的な報知、触覚的な報知の少なくとも何れかである請求項1から請求項7の何れか1項に記載の表示操作部。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の表示操作部を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示操作部および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関や流通機関等には、例えば、現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)や券売機などの自動取引装置が設置されている。自動取引装置等のような装置は、操作画面を有しており、操作画面は例えばタッチパネル付きのディスプレイによって実現される。操作画面に関して、例えば特許文献1の技術が提案されている。特許文献1では、タッチパネルから放射される赤外線を検出して当該タッチパネルへの接触を検知している。
【0003】
また、近年では、タッチパネルへの接触に起因するウィルス等への感染を回避するため、非接触式の表示操作部の開発が盛んである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の非接触式の表示操作部は、利用者の指先に物理的な感触を与えることができない。このため、利用者が非接触式の操作パネルの操作状態を直感的に把握できない問題があった。場合によっては、利用者が指を近づけすぎてしまい、非接触式の表示操作部に接触することがあった。
【0006】
上記事情に鑑みて、本発明は、非接触式の表示操作部を操作する利用者に操作状態を直感的に把握させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、操作画面を有する表示部と、前記表示部と離間しており、前記操作画面に対する入力に用いる利用者の指を検知する検知部と、前記入力の入力状態を前記利用者に報知する報知部と、を備える表示操作部である。
【0008】
また、本発明は、表示操作部を備える装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非接触式の表示操作部を操作する利用者に操作状態を直感的に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の現金自動預け払い機の外観図である。
【
図10】第5実施形態の表示操作部の側面図である。
【
図11】第6実施形態の表示操作部の正面図である。
【
図12】第7実施形態の表示操作部の側面図である。
【
図15】現金自動預け払い機の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
<構成>
図1に示すように、現金自動預け払い機1は、顧客に対して金融サービスを提供する装置であり、利用者との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。現金自動預け払い機1は、例えば銀行の支店、コンビニエンスストアなどに設置される。
【0013】
現金自動預け払い機1の説明における「上下」、「前後」、「左右」は、
図1の矢印に従う。当該方向は、説明の便宜上定めるものであり、本発明を限定するものではない。なお、
図1の前方向は、現金自動預け払い機1の利用者(すなわち金融機関等の顧客)が位置する方向である。
【0014】
図1に示すように、現金自動預け払い機1は、装置本体1aの前面に表示パネル1bを取り付けてあり、表示操作部2、キャッシュカードの挿入排出及び取引明細を排出するカード明細口3、入金及び出金時に紙幣を挿入、排出する紙幣口4、取引時の暗証番号を入力するための番号入力部51を有している。例えば、出金取引をする場合、操作者は、表示操作部2のボタンを押し、表示された案内に従ってキャッシュカードをカード明細口3に挿入し、番号入力部51で暗証番号を入力する。これによって、現金の払い戻しや預け入れができる。なお、
図1に示す現金自動預け払い機1の構成はあくまで例示であり、例えば、番号入力部51が省略された構成など、他の構成であってもよい。
【0015】
また、現金自動預け払い機1は、制御部6を備える。制御部6は、現金自動預け払い機1が行う各種処理を制御する。
【0016】
(表示操作部2)
表示操作部2は、非接触式のタッチパネルである。利用者は、表示操作部2の操作画面24に触れずに空中をタッチすることで入力が完了する。
図2に示すように、表示操作部2は、操作パネル21と、指検知部22と、近接検知部23とを備える。また、
図3に示すように、表示操作部2は、発光部5を備える。
なお、説明の便宜上、
図2の表示操作部2の側面図では操作パネル21および操作画面24は、断面図として図示している。表示操作部2の側面図に関する他の図についても同様である。
【0017】
(操作パネル21)
操作パネル21は、利用者が入力可能な指示を表示する表示部である。操作パネル21は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)である。操作パネル21は、操作画面24を有している。操作画面24は、操作に関する様々な情報(例えば、ボタン)を表示する画面である。操作画面24は、操作パネル21の表(おもて)面に配置されている。操作パネル21および操作画面24は矩形状が一般的である。操作パネル21は、装置本体1a(
図1参照)に固定されている。なお、操作パネル21の表面側には、操作画面24を保護するための保護部材(図示略)や横からの覗き見防止フィルタ(図示略)が配置されている。
【0018】
(指検知部22)
指検知部22は、利用者の指が操作パネル21のどの位置に近づいているかを検知することで、利用者の操作を受け付ける操作部である。指検知部22は、操作画面24への操作を検知する光学式のセンサ装置である。指検知部22は、操作パネル21の前方に配置されている。
【0019】
図4に示すように、指検知部22は、枠状体である。指検知部22は、中空領域全体に亘って赤外線が通過しているのを指で遮ることによって中空領域に挿入された指の2次元的な位置検知する。例えば、指検知部22の外寸は、操作パネル21の寸法と略同等であり、指検知部22の内寸は、操作画面24より一回り大きい。指検知部22の内部には、赤外線発光部(図示略)と赤外線受光部(図示略)がそれぞれ複数配置されている。赤外線発光部から照射される赤外線は、指検知部22の中空領域を通過する。例えば、
図4に示すように、指検知部22によって照射される赤外線R(利用者は視認不可)は、複数本の縦線と複数本の横線からなる網目状で簡易的に表現できる。隣り合う赤外線Rの間隔は適宜設定できるが、人間の指幅よりも十分小さいことが好ましい。また、赤外線Rの間隔は、市場に流通している自動取引装置が備える既存のパネルに採用されている赤外線間隔であってもよい。また、任意に選択した隣り合う赤外線Rの間隔は、同じである必要はなく、例えば、中空領域中心に近づくにつれ間隔が小さく(密)なるように設定してもよい。また、赤外線の光軸は、縦横に限らず、斜めであってもよい。
【0020】
(近接検知部23)
近接検知部23は、利用者の指が操作パネル21に近づきすぎたことを検知する。近接検知部23は、例えば、光学式のセンサ装置とすることができる。近接検知部23は、操作パネル21と指検知部22との間に配置されている。
【0021】
例えば、近接検知部23は、枠状体とすることができる。近接検知部23の寸法は、指検知部22の寸法と同じにできる。また、近接検知部23は、自身内部に、赤外線発光部(図示略)と赤外線受光部(図示略)をそれぞれ複数配置できる。赤外線発光部から照射される赤外線は、近接検知部23の中空領域を通過する。赤外線は、指検知部22と同様、近接検知部23の中空領域を通過する、複数本の縦線と複数本の横線からなる網目状で表現できる。
【0022】
また、近接検知部23は、指が近づきすぎたことを検知できればよく、指検知部22のように指の2次元的な位置まで特定する必要なない。よって、赤外線は、網目状にする必要は無く、例えば、複数の縦線のみでもよいし、複数の横線のみでもよい。また、指検知部22の赤外線の間隔に比べて、近接検知部23の赤外線の間隔を広くするなど変更してもよい。
【0023】
(発光部5)
発光部5は、指検知部22を用いた利用者の入力状態を当該利用者に報知する報知部である。発光部5は、例えば、LED発光装置とすることができる。
図3に示すように、発光部5は、例えば、操作パネル21の周囲に配置した枠状体とすることができる。ただし、発光部5の形状はこれに限定されない。また、発光部5の位置は、利用者が視認可能な任意の位置であってもよい。
なお、利用者の入力状態は、例えば、指と操作画面24との適正距離、指検知部22の検知位置、入力動作に応じた操作パネル21に対する操作範囲、操作画面24上の各種ボタンのうち実際に入力されたボタンの特定、によって表現できる。報知部は、これらで表現される入力状態を報知できる。
【0024】
<動作>
図5に示すように、利用者は、指検知部22の中空領域の所定位置に指を挿入する。すると、所定位置を通過する赤外線が遮光されるため、指検知部22は、遮光位置として指の位置を検知できる。また、制御部6は、指検知部22の中空領域に対向している操作画面24の入力位置を、遮光位置の対向位置として特定できる。また、制御部6は、指の位置が検知されると、発光部5を青色または緑色に発光させる。これにより、利用者は、指で指し示していた操作の入力状態が有効になったことを把握できる。その後、利用者が指を遠ざけ、指検知部22が指を検知できなくなると、制御部6は、入力動作が完了したと判断し、指で指し示していた操作が入力される。
【0025】
例えば、操作画面24上に表示されていた入金ボタンの位置に指が近づくと、入金ボタンの入力状態が有効になる。すると、発光部5は、青色または緑色に発光する。ここで、例えば、制御部6は、入金ボタンが押された状態の画面表示制御をしてもよい。その後、指が遠ざかると入金開始操作が完了する。すると、制御部6は、入金用の次の画面(例:金額入力用の画面)を操作画面24に表示する。
【0026】
図6に示すように、利用者が指を操作パネル21にどこまで近づければよいかがわからず、操作パネル21に指を近づけすぎたとする。つまり、近接検知部23の中空領域に指が挿入されたことになる。すると、近接検知部23の中空領域を通過する赤外線が遮光されるため、近接検知部23は指を検知できる。また、制御部6は、指が検知されると、発光部5を赤色に発光させる。これにより、利用者は、指を操作パネル21に近づけすぎていたことを把握できる。
【0027】
第1実施形態によれば、通常の入力動作を行った場合、操作パネル21周辺に配置された発光部5が予め決められた特定の色(例えば、青色または緑色)に発光することで、指が操作パネル21に近づき過ぎていないことを視覚的に利用者が確認することができる。
また、利用者が指をどこまで近づければよいかわからず、操作パネル21と指が接触しそうになった場合、近接検知部23が、指と操作パネル21が近づき過ぎたことを検知する。その際、操作パネル21周辺に配置した発光部5が予め決められた特定の色(例えば、赤色)に発光することで、利用者に視覚的に指が操作パネル21に近づき過ぎていることを報知できる。
また、交通信号機と同様の発光色を用いることで赤色を発光させた際に利用者が反射的に指を止めることが期待できる。
また、指と操作パネル21との距離に応じて、発光部5の色を段階的に変化させてもよい。つまり、色のグラデーションによって利用者に距離をより詳細に報知してもよい。
また、利用者が操作パネル21に指を近づけすぎてしまい、発光部5が赤色に発光した場合、指検知部22が指で指し示した位置(赤外線の遮光箇所)を捉えることができる。よって、その後の指の引き抜きが十分であれば、正常な入力動作がなされたとみなすことができる。
【0028】
[第2実施形態]
第2実施形態の説明の際、第1実施形態と相違する点について主に説明し、重複する点については説明を省略する。
第2実施形態では、所定条件下、発光部5が黄色に発光する。
【0029】
第1実施形態では、指が操作パネルに近づき過ぎていないことを利用者は確認できた。非接触で入力するという表示操作部2の特性上、利用者が続けて二つ以上の入力を行いたい場合、入力ごとに操作パネル21から指を遠ざける必要がある。しかし、利用者は指をどの程度引き抜けばよいか確認できないため、利用者が指を十分に遠ざけることなく、操作パネル21の別の指示を意図せず指し示してしまう場合がある。この場合、利用者が二つの指示を入力しようとしたのか、指し示す指示を誤ったのか、制御部6は判断できない。そこで、制御部6は、上記の場合、利用者からの入力を受け付けないようにする。また、制御部6は、操作パネル21周辺の発光部5を黄色に発光させる。
【0030】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態によれば、発光部5を黄色に発光させることで、指を操作パネル21から十分に遠ざけなければ次の入力を受け付けないことを利用者に視覚的に報知できる。その結果、利用者は、入力の都度指を十分に遠ざけることを意識できるようになり、利用者による2以上の入力を円滑にできる。
なお、指を十分に遠ざけることがない場合とは、利用者が指検知部22の中空領域内に挿入した指を操作パネル21に対して平行に動かすことを含む。
【0031】
[第3実施形態]
第3実施形態の説明の際、第1、第2実施形態と相違する点について主に説明し、重複する点については説明を省略する。
第3実施形態では、所定条件下、操作画面24の表示内容を変更する。
【0032】
利用者が操作パネル21に対する非接触の入力前では、操作画面24が表示する画像は、
図7に示す通りであったとする。利用者が、操作パネル21に対する利用者の入力動作が正常であった場合、つまり、操作パネル21に指を近づけすぎることなく近づけ(指を適正に近づけ)、かつ、指の引き抜き量が十分であった場合、
図8に示すように、制御部6は、操作パネル21を制御して、操作画面24にて、近づけた指で指し示した位置に目印7を表示させる。また、利用者が次の正常な入力動作を行った場合、制御部6は、操作パネル21を制御して、操作画面24にて、近づけた指で指し示した位置に目印7を表示させ、目印7の表示を更新する。
【0033】
第3実施形態によれば、操作パネル21に対して利用者が指し示した位置を目印7によって利用者自身に把握させることができる。よって、利用者は実際にどのような入力をしたのか(操作画面24上のどのボタンを押したか)を確認できる。
特に、第1実施形態の場合、発光部5が赤色に発光したとき、利用者があわてて指を引き抜くことで制御部6が直前の入力動作を判断できなくなる可能性がある。第3実施形態によれば、利用者が指検知部22から指を引き抜いた際に、操作画面24にて最後に入力された位置に目印7を表示させることにより、どこまで入力が行えていたのか確認できる。
また、第2実施形態の場合、発光部5が黄色に発光したとき、利用者は、どこまで正しく入力が行えたのか分からなくなる可能性がある。第3実施形態によれば、正しく入力が行われた最後の場所に目印7を表示させる。よって、利用者は、どこから入力をやり直せばよいか確認できる。
【0034】
[第4実施形態]
第4実施形態の説明の際、第1~第3実施形態と相違する点について主に説明し、重複する点については説明を省略する。
第4実施形態では、利用者の入力動作を音で報知する。
【0035】
図9に示すように、第4実施形態の表示操作部2は、所定の音を発生する音発生装置8をさらに備える。音発生装置8は、例えば、操作パネル21の周辺に配置できる。ただし、音発生装置8の位置は、これに限定されず、現金自動預け払い機1の筐体内もよいし筐体外でもよい。
【0036】
例えば、利用者が操作パネル21に指を近づけすぎてしまい、近接検知部23が指を検知した場合、制御部6は、発光部5に赤色を発光させるとともに、音発生装置8に所定の音(例えば、警告音)を発生させる。よって、視覚的に限らず、利用者に聴覚的に指が操作パネル21に近づき過ぎていることを報知できる。その結果、指が操作パネル21に接触することをより確実に防ぐことができる。
【0037】
なお、利用者が正常な入力動作を行った場合、制御部6は、発光部5に青色または緑色に発光させるとともに、音発生装置8に正常な入力動作を示唆する音(例:正常音)を発生させてもよい(入力動作は正常なので無音でもよい)。また、利用者が、指を十分に遠ざけなかった場合、制御部6は、発光部5に黄色に発光させるとともに、音発生装置8に指を十分に遠ざけなかったことを示唆する音(例:注意音)を発生させてもよい。また、発光部5の発光無しで、音発生装置8の音発生のみで済ませてもよい。つまり、音発生装置8は、発光部5の代替的な報知部となり得る。
【0038】
[第5実施形態]
第5実施形態の説明の際、第1~第4実施形態と相違する点について主に説明し、重複する点については説明を省略する。
第5実施形態では、利用者の入力動作を風で報知する。
【0039】
図10に示すように、第5実施形態の表示操作部2は、エアカーテンなどの所定の風(破線矢印)を発生する風発生装置9をさらに備える。風発生装置9は、例えば、操作パネル21の周辺に配置できる。ただし、風発生装置9の位置は、これに限定されず、現金自動預け払い機1の筐体内もよいし筐体外でもよい。また、風発生装置9は、利用者の指に風を吹き付けてもよいが、これに限定されず、指以外の体の部位に吹き付けてもよい。
【0040】
例えば、利用者が操作パネル21に指を近づけすぎてしまい、近接検知部23が指を検知した場合、制御部6は、発光部5に赤色を発光させるとともに、風発生装置9に所定の風(例えば、強風)を発生させ、指に刺激を与える。よって、視覚的に限らず、利用者に触覚的に指が操作パネル21に近づき過ぎていることを報知できる。その結果、指が操作パネル21に接触することをより確実に防ぐことができる。
【0041】
なお、利用者が正常な入力動作を行った場合、制御部6は、発光部5に青色または緑色に発光させるとともに、風発生装置9に正常な入力動作を示唆する風を発生させてもよい(入力動作は正常なので無風でもよい)。また、利用者が、指を十分に遠ざけなかった場合、制御部6は、発光部5に黄色に発光させるとともに、風発生装置9に指を十分に遠ざけなかったことを示唆する風(例:やや強風)を発生させてもよい。また、発光部5の発光無しで、風発生装置9の風発生のみで済ませてもよい。また、音発生装置8を任意に組み合わせてもよい。つまり、風発生装置9は、発光部5および音発生装置8の代替的な報知部となり得る。
【0042】
[第6実施形態]
第6実施形態の説明の際、第1~第5実施形態と相違する点について主に説明し、重複する点については説明を省略する。
第6実施形態では、利用者の入力動作を超音波で報知する。
【0043】
図11に示すように、第6実施形態の表示操作部2は、所定の周波数の超音波を発生する超音波発生装置10をさらに備える。超音波発生装置10は、例えば、操作パネル21の周辺にアレイ状に複数配置できる。ただし、超音波発生装置10の各々の位置は、これに限定されず、現金自動預け払い機1の筐体内もよいし筐体外でもよい。また、
図11のように上下2列のアレイに限らず、1列または3列以上のアレイでもよいし、操作パネル21の左または右、もしくは左右両方に並べてもよい。また、超音波発生装置10の個数は1でもよい。また、超音波発生装置10の各々は、指検知部22の裏側(利用者と反対側)から指検知部22の中空領域全体に超音波を出力できるように向きを調整して配置できる。ただし、超音波発生装置10の向きは、これに限定されず、操作パネル21全体に超音波を出力できるように向きを調整して配置してもよい。
【0044】
例えば、利用者が操作パネル21に指を近づけすぎてしまい、近接検知部23が指を検知した場合、制御部6は、超音波発生装置10に超音波を発生させ、指に刺激を与える。よって、利用者に触覚的に指が操作パネル21に近づき過ぎていることを報知できる。その結果、指が操作パネル21に接触することを確実に防ぐことができる。
【0045】
なお、利用者が正常な入力動作を行った場合、制御部6は、超音波発生装置10に正常な入力動作を示唆する超音波を利用者の指に向けて発生させてもよい(入力動作は正常なので超音波無しでもよい)。また、利用者が、指を十分に遠ざけなかった場合、制御部6は、超音波発生装置10に指を十分に遠ざけなかったことを示唆する超音波を利用者の指に向けて発生させてもよい。また、すでに説明した、発光部5の発光、音発生装置8の音発生、および、風発生装置9の風発生のうち少なくとも何れかを任意に組み合わせてもよい。つまり、超音波発生装置10は、発光部5、音発生装置8および風発生装置9の代替的な報知部となり得る。
【0046】
[第7実施形態]
第7実施形態の説明の際、第1~第6実施形態と相違する点について主に説明し、重複する点については説明を省略する。
図12に示すように、第7実施形態では、第1実施形態の構成に対して、指検知部22に代えて、指検知部22Aを用いる。また、表示操作部2は、近接検知部23を備えない。
【0047】
(指検知部22A)
指検知部22Aは、指検知部22と同じである。よって、指検知部22Aは、枠状体であり、指検知部22Aの内部には、赤外線発光部(図示略)と赤外線受光部(図示略)がそれぞれ複数配置されている。赤外線は、指検知部22Aの中空領域を通過する、複数本の縦線と複数本の横線からなる網目状で表現できる(
図4参照)。
【0048】
<動作>
図13に示すように、利用者は、指検知部22Aの中空領域の所定位置に指を挿入する。すると、所定位置を通過する赤外線が遮光されるため、指検知部22は、遮光位置として指の位置を検知できる。このとき、指の先端部での検知を想定し、制御部6は、指検知部22Aの中空領域にて例えば5mm幅程度の遮光があったときに、指の挿入があったと判断する。操作画面24の入力位置の特定、発光部5等の報知部の動作、利用者が指を遠ざけたときの入力動作の判断は、すでに説明した通りである。また、第3実施形態で説明した操作画面24の表示内容の変更も適用できる。
【0049】
図14に示すように、利用者が指を操作パネル21にどこまで近づければよいかがわからず、操作パネル21に指を近づけすぎたとする。この場合、指が指検知部22Aの赤外線の遮光幅が増大する。よって、制御部6は、指検知部22Aの中空領域にて例えば8mm幅程度の遮光があったときに、指が近づき過ぎたと判断する。また、指が近づき過ぎたときの発光部5等の報知の動作(赤色に発光など)はすでに説明した通りである。これにより、利用者は、指を操作パネル21に近づけすぎていたことを把握できる。
【0050】
第7実施形態によれば、第1~第6実施形態と同様の効果を奏する。また、第7実施形態によれば、指検知部22Aの中空領域での赤外線の遮光幅の増大により、制御部6は、指が近づき過ぎたことを判断できる。よって、第1実施形態の近接検知部23の機能を指検知部22Aが兼ねることができるため、近接検知部23を不要とすることができる。その結果、表示操作部2の部品点数を低減できるとともに、表示操作部2を小型化できる。
【0051】
[第8実施形態]
第8実施形態の説明の際、第1~第7実施形態と相違する点について主に説明し、重複する点については説明を省略する。
第8実施形態では、第1実施形態の構成に対して、指検知部22は、中空領域にて赤外線だけでなく可視光線も発光する。なお、指検知部22の説明は、指検知部22Aにも当てはまる。また、表示操作部2は、近接検知部23を備えてもよいし、備えなくてもよい。また、表示操作部2は、発光部5等の報知部を備えないが、備えることを妨げない。
【0052】
指検知部22の内部には、赤外線発光部(図示略)と赤外線受光部(図示略)がそれぞれ複数配置されている。また、指検知部22の内部には、可視光線発光部(図示略)と可視光線受光部(図示略)がそれぞれ複数配置されている。可視光線発光部から照射される可視光線は、指検知部22の中空領域を通過する。例えば、可視光線は、指検知部22の中空領域を通過する、複数本の縦線と複数本の横線からなる網目状で表現できる。隣り合う可視光線の間隔は適宜設定できるが、人間の指幅よりも十分小さいことが好ましい。また、可視光線の間隔は、市場に流通している自動取引装置が備える既存のパネルに採用されている赤外線間隔と同じであってもよい。また、任意に選択した隣り合う可視光線の間隔は、同じである必要はなく、例えば、中空領域中心に近づくにつれ間隔が小さく(密)なるように設定してもよい。また、可視光線の光軸は、縦横に限らず、斜めであってもよい。また、中空領域を通過する可視光線が拡散しないように設計することが好ましい。
【0053】
また、中空領域に挿入された指の2次元的な位置を指検知部22が検知できるように、中空領域全体に亘って可視光線が通過している。これにより、指検知部22の中空領域に対向している操作画面24の入力位置を制御部6が特定できる。
【0054】
<動作>
利用者が現金自動預け払い機1を操作するとき、すでに説明した通り、利用者の操作を検知するために指検知部22は赤外線を網の目のように発光させその受光状況を監視することで指を検知できる。また、指検知部22は、赤外線と合わせて可視光線(例えば、赤)を発光する。
【0055】
利用者が操作をするために指を操作パネル21に近づけ、指が指検知部22の検知ライン(中空領域)に到達すると、赤外線と合わせて発光している可視光線が指先にあたる。よって、可視光線を網の目のように発光させその受光状況を監視することで指を検知できる。
【0056】
また、利用者は、指が指検知部22の検知ラインに到達したことを認知できる。つまり、指検知部22からの可視光線は、発光部5からの発光と同じ役割を果たすことができる。例えば、指検知部22からの可視光線が青色または緑色であった場合、利用者の入力状態が有効になったことを報知できる。また、指検知部22からの可視光線が赤色であった場合、利用者の指が操作パネル21に近づき過ぎたことを報知できる。また、指検知部22からの可視光線が黄色であった場合、利用者が指を十分に遠ざけていないことを報知できる。このように、可視光線を出力する指検知部22は、発光部5等の代替的な報知部となり得る。
【0057】
第8実施形態によれば、第1~第7実施形態と同様の効果を奏する。また、第8実施形態によれば、可視光線を出力する指検知部22が報知部として機能できるので、発光部5等の構成部品を増やすことなく、利用者に対して、指が検知ラインに到達したことを認知させることができる。
【0058】
[処理]
図15に示すように、各実施形態の現金自動預け払い機1が行う処理は、以下の通りである。
図15の処理は、現金自動預け払い機1が利用者の入力を受け付け可能な状態になったとき(例えば、カード明細口3にキャッシュカードが挿入されたとき)に開始する。
【0059】
まず、制御部6は、指検知部22にて、指検知部22の中空領域に挿入された指を検知する(ステップS1)。指の検知に応じて、制御部6は、操作画面24の入力位置を特定し、特定した入力位置に表示されているボタンの入力状態が有効になる。次に、制御部6は、発光部5等の報知部により、ボタンの入力が有効になったことを報知する(ステップS2)。具体的には、発光部5が青色または緑色に発光する。発光部5の発光を含む報知(発光部5の発光、音発生装置8の音発生、風発生装置9の風発生、超音波発生装置10の超音波発生、指検知部22の可視光線出力)は選択的に用いることができる。
【0060】
次に、制御部6が、利用者が指を操作パネル21に近づけすぎたか否かを判断する(ステップS3)。具体的には、近接検知部23で指を検知したか否かである。または、指検知部22Aが中空領域にて所定閾値以上の赤外線(または可視光線でもよい)の遮光を検知したか否かである。指を近づけ過ぎた場合(ステップS3でYes)、発光部5等の報知部が、その旨の警告を報知する(ステップS4)。具体的には、発光部5が赤色に発光する。すでに説明した各種報知は選択的に用いることができる。
【0061】
一方、指を近づけ過ぎていない場合(ステップS3でNo)、ボタンの入力状態が有効になった後に利用者が指を引き抜く。このとき、制御部6は、指検知部22による指の検知が無くなったか否かを判断する(ステップS5)。指の検知が無くなった場合(ステップS5でYes)、制御部6は、利用者の入力を完了し(ステップS6)、入力に応じた処理を進行し、(例えば、入金ボタン入力後の入金額の入力画面を表示する)、
図15の処理を終了する。
【0062】
一方、指の検知が無くなっていない場合(ステップS5でNo)、制御部6は、指検知部22にて、指検知部22の中空領域の別の位置で指を検知したか否か判断する(ステップS7)。別の位置で指を検知した場合(ステップS7でYes)、制御部6は、利用者からの入力を受け付けないようにする。また、発光部5等の報知部が、入力受付停止の旨を報知する(ステップS8)。具体的には、発光部5が黄色に発光する。すでに説明した各種報知は選択的に用いることができる。その後、
図15の処理を終了する。
【0063】
一方、別の位置で指を検知しない場合(ステップS7でNo)、元の位置に指が挿入されたままであり、制御部6は、ステップS5に戻り、指の引き抜きの判定をする。
図15の処理は、利用者の入力の都度、実行される。
【0064】
[特許請求の範囲との対応関係]
現金自動預け払い機1は、特許請求の範囲における「装置」の一例である。
指検知部22は、特許請求の範囲における「検知部」、「第1検知部」の一例である。
指検知部22Aは、特許請求の範囲における「検知部」の一例である。
近接検知部23は、特許請求の範囲における「第2検知部」の一例である。
近接検知部23の位置は、特許請求の範囲における「第1距離」の一例である。
第2実施形態における、二つ以上の入力は、特許請求の範囲における「第1入力」、「第2入力」の一例である。
第7実施形態における、指検知部22Aの中空領域での5mm幅程度の遮光は、特許請求の範囲における「第1遮光幅」の一例である。
第7実施形態における、指検知部22Aの中空領域での8mm幅程度の遮光は、特許請求の範囲における「第2遮光幅」の一例である。
【0065】
[変形例]
(a)本発明は、ATMに限らず、KIOSK(登録商標)端末、券売機、現金処理装置、その他画面および視線入力機能を有する装置に適用可能である。
【0066】
(b)第8実施形態において、指検知部22(または22A)は、赤外線発光部と赤外線受光部は備えず、可視光線発光部と可視光線受光部を備え、可視光線のみを照射するようにしてもよい。指検知部22は、中空領域にて可視光線の遮光があれば、指を検知できる。制御部6は、遮光位置に対応する操作パネル21の入力位置を特定できる。
また、赤外線発光部、赤外線受光部、可視光線発光部、可視光線受光部について光レンズなどのハードウェア部品の交換なしで、制御部6の制御により(ソフトウェア的に)、指検知部22(または22A)が赤外線、可視光線、または両方を発光させてもよい。この場合、可視光線の波長は、室内照明光や太陽光に含まれる波長と同じになるため、室内照明光や太陽光の指検知部22への入射と区別可能な対策をとることが好ましい。例えば、指検知部22からの可視光線は、常時照射するのではなく、点滅照射させることで上記対策を実現できる。
【0067】
(c)第8実施形態において、指検知部22が照射する可視光線の色は、適宜変更可能である。例えば、現金自動預け払い機1の外観や設置場所との相性に鑑みて、可視光線の色を選択してもよい。
【0068】
(d)第8実施形態において、指検知部22が赤外線と可視光線を照射する場合、指の検知は赤外線により行い、指を検知したときに可視光線を発光させるように制御してもよい。つまり、可視光線による指の検知はせず、可視光線を利用者の指に照らすようにして、利用者に入力状態を認知させるようにしてもよい。
【0069】
(e)指検知部22,22Aおよび近接検知部23の検知対象は、利用者の指に限らず、例えば、任意形状の遮光体でもよい。
【0070】
(f)第6実施形態において、超音波発生装置10は、報知部としての目的でなく、入力の手応えを利用者に与える目的で超音波を発生させてもよい。つまり、利用者の入力動作が適切であれ、不適切であれ、指検知部22が指を検知した場合、超音波発生装置10は、超音波を発生し、利用者に触覚を与えてもよい。
【0071】
(g)入力動作については、
図15を参照して説明したように、指の引き抜きが適切に行われたときに完了判定し、指が指し示していた操作が入力されるようにしてもよいが、完了判定はこれに限定されず、適宜変更可能である。例えば、指検知部22が指を検知した時点で、入力動作が完了するように判定してもよい。
【0072】
(h)上記した発明特定事項は、適宜組み合わせ可能である。
(i)表示操作部2および表示操作部2を構成する上記した各種部材(報知部含む)の形状、位置、個数は適宜変更可能である。
(j)ソフトウェアで実現可能な手段をハードウェアで実現することができ、ハードウェアで実現可能な手段をソフトウェアで実現することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 現金自動預け払い機
2 表示操作部
21 操作パネル
22,22A 指検知部
23 近接検知部
24 操作画面
5 発光部
6 制御部
7 目印
8 音発生装置
9 風発生装置
10 超音波発生装置