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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153812
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B25J17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056537
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】林 俊平
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS09
3C707CU05
3C707CW08
3C707CY18
3C707HS26
3C707HT11
(57)【要約】
【課題】より小さなトルクで第1部材及び第2部材間の相対的な回動を生じさせる。
【解決手段】ロボット10は、第1部材11と、第2部材12と、関節部13と、一方向に延びる形状の長尺子21aと長尺子21aに沿って移動可能な短尺子21bとを有する直動電動機21と、第2部材12に回動可能に結合する第2端部29bと、短尺子21bに回動可能に結合する第1端部29aとを有するリンク部材29と、を備える。ロボット10は、直動電動機21への電力供給によって短尺子21bを移動させることにより、リンク部材29を介して第2部材12に関節部13回りのモーメントを生じさせ、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じさせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材を互いに回動可能に結合する関節部と、
一方向に延びる形状であって前記第1部材に配置される長尺子と、前記長尺子に沿って移動可能な短尺子と、を有する直動電動機と、
前記第2部材に対して回動可能に且つ直接的又は間接的に結合する一端部と、前記短尺子に対して回動可能に結合する他端部とを有するリンク部材と、を備え、
前記直動電動機への電力供給によって前記長尺子に対して前記短尺子を移動させることにより、前記リンク部材を介して前記第2部材に前記関節部回りのモーメントを生じさせ、前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせる、ロボット。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットにおいて、
前記第2部材には、一方向に延びる形状の固定部材が固定され、
前記リンク部材の前記一端部は、前記固定部材に回動可能に結合している、ロボット。
【請求項3】
請求項2に記載のロボットにおいて、
前記固定部材は、第2長尺子及び第2短尺子を有する第2直動電動機の前記第2長尺子によって構成されるか、前記第2長尺子に固定された第2長尺子部材によって構成されており、
前記第2短尺子に回動可能に結合する一端部と、前記長尺子又は前記長尺子に固定された第1長尺子部材に回動可能に結合する他端部とを有する第2リンク部材が設けられ、
前記直動電動機への電力供給によって、前記短尺子を前記長尺子に沿って移動させることにより、前記リンク部材を介して前記第2部材に前記関節部回りのモーメントを生じさせるとともに、前記第2直動電動機への電力供給によって、前記第2短尺子を前記第2長尺子に沿って移動させることにより、前記第2リンク部材を介して前記第1部材に前記関節部回りのモーメントを生じさせ、それによって、前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせる、ロボット。
【請求項4】
請求項3に記載のロボットにおいて、
前記短尺子が死点を通過するタイミングが、前記第2短尺子が死点を通過するタイミングからずれるように設定されている、ロボット。
【請求項5】
第1部材と、
第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材を互いに回動可能に結合する関節部と、
一方向に延びる形状の部位を有し前記第1部材に配置される第1長尺子と、前記第1長尺子における前記部位に沿って前記第1長尺子に対して相対的に移動可能な第1短尺子と、を有する第1直動電動機と、
前記第2部材に沿って延びる部位を有する第2長尺子と、前記第2長尺子における前記部位に沿って前記第2長尺子に対して相対的に移動可能な第2短尺子と、を有する第2直動電動機と、
前記第1短尺子に回動可能に結合する一端部と前記第2短尺子に回動可能に結合する他端部とを有するリンク部材と、を備え、
前記第1直動電動機及び前記第2直動電動機への電力供給によって、前記第1短尺子が前記第1長尺子に対して相対移動するとともに前記第2短尺子が前記第2長尺子に対して相対移動することにより、前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせる、ロボット。
【請求項6】
請求項5に記載のロボットにおいて、
前記第1短尺子を前記第1部材に固定された状態と固定されていない状態とを切り換え可能な第1短尺子ブレーキと、
前記第2短尺子を前記第2部材に固定された状態と固定されていない状態とを切り換え可能な第2短尺子ブレーキと、をさらに備え、
前記第1長尺子は、前記第1長尺子の延設方向に変位可能に支持され、
前記第2長尺子は、前記第2長尺子の延設方向に変位可能に支持されている、ロボット。
【請求項7】
請求項6に記載のロボットにおいて、
前記第1長尺子及び前記第2長尺子は、長手方向に並ぶ複数の歯部を有し、
前記第1長尺子の前記複数の歯部及び前記第2長尺子の前記複数の歯部に噛み合うピニオンが設けられている、ロボット。
【請求項8】
第1部材と、
第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材を互いに回動可能に結合する関節部と、
前記第1部材に配置される第1短尺子と、一方向に長い形状で且つ前記一方向に配列された複数の歯部を有し且つ前記第1部材に配置される第1長尺子と、を有し、前記第1短尺子及び前記台1短尺子間の相対的な移動が許容されている第1直動電動機と、
前記第2部材に沿って延びる部位を有し前記第2部材に配置される第2長尺子と、前記第2長尺子における前記部位に沿って前記第2長尺子に対して相対的に移動可能な第2短尺子と、を有する第2直動電動機と、
前記第1短尺子の前記複数の歯部に噛み合うように前記関節部に設けられ、前記第1短尺子の移動によって回転するピニオンと、
前記ピニオンに噛み合う歯部を有するとともに前記第2部材に固定された回動部材と、
前記第1長尺子に回動可能に結合する一端部と前記第2短尺子に回動可能に結合する他端部とを有するリンク部材と、
を備え、
前記第1短尺子が前記第1部材に固定された状態で前記第1直動電動機に電力が供給されたときには、前記第1長尺子を前記第1短尺子に対して移動させて、前記ピニオン及び前記回動部材を介して前記第2部材に前記関節部回りのモーメントを生じさせ、前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせ、
前記第1長尺子が前記第1部材に固定されるともに前記第2長尺子が前記第2部材に固定された状態で前記第1直動電動機及び第2直動電動機に電力が供給されたときには、前記第1短尺子を前記第1長尺子に対して移動させるとともに前記第2短尺子を前記第2長尺子に対して移動させて、前記リンク部材を介して前記第2部材に関節部回りのモーメントを生じさせて前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせる、ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、第1部材(例えば上腕)と、第2部材(例えば前腕)と、両部材を連結する関節部と、を備えたロボットが知られている。関節部には、モータ及び減速機が設けられ、モータの発生する駆動力によって減速機を介して第1部材に対する第2部材の回転動作を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-508035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示されたロボットでは、第1部材及び第2部材間の回動を生じさせる駆動力を発生するモータが関節部に設けられているため、前腕である第2部材の先端に負荷がかかっている状態でモータを駆動するような場合には、大きなトルクを発生させる必要がある。つまり、第1部材及び第2部材の回転中心近傍でトルクを発生させるため、大きなトルクを生じさせる必要がある。したがって、特許文献1に開示されたロボットでは、前腕の先端にかかる負荷を想定して、大きなトルクを発生させるモータを用いる必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より小さなトルクで第1部材及び第2部材間の相対的な回動を生じさせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は、第1部材と、第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材を互いに回動可能に結合する関節部と、一方向に延びる形状であって前記第1部材に配置される長尺子と、前記長尺子に沿って移動可能な短尺子と、を有する直動電動機と、前記第2部材に対して回動可能に且つ直接的又は間接的に結合する一端部と、前記短尺子に対して回動可能に結合する他端部とを有するリンク部材と、を備え、前記直動電動機への電力供給によって前記長尺子に対して前記短尺子を移動させることにより、前記リンク部材を介して前記第2部材に前記関節部回りのモーメントを生じさせ、前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせる、ロボットである。
【0007】
本発明では、第1部材に配置された長尺子を有する直動電動機に電力供給することによって、リンク部材を介して第2部材に関節部回りのモーメントを生じさせて第1部材及び第2部材間の相対的な回動動作を生じさせる。このため、関節部近傍で回転トルクを発生する構成に比べて、より小さなトルクで第1部材及び第2部材間の相対的な回動動作を生じさせることができる。しかも、直動電動機が第1部材に配置されていて、関節部内に収容される構成ではないため、関節部の大型化も回避できる。
【0008】
前記第2部材には、一方向に延びる形状の固定部材が固定されてもよい。この場合、前記リンク部材の前記一端部は、前記固定部材に回動可能に結合していてもよい。
【0009】
この態様では、リンク部材が、一方向に延びる形状の固定部材に回動可能に結合しているため、例えば、第2部材がアームとして構成されたロボットに好適となる。
【0010】
前記固定部材は、第2長尺子及び第2短尺子を有する第2直動電動機の前記第2長尺子によって構成されるか、前記第2長尺子に固定された第2長尺子部材によって構成されていてもよい。この場合、前記第2短尺子に回動可能に結合する一端部と、前記長尺子又は前記長尺子に固定された第1長尺子部材に回動可能に結合する他端部とを有する第2リンク部材が設けられ、前記直動電動機への電力供給によって、前記短尺子を前記長尺子に沿って移動させることにより、前記リンク部材を介して前記第2部材に前記関節部回りのモーメントを生じさせるとともに、前記第2直動電動機への電力供給によって、前記第2短尺子を前記第2長尺子に沿って移動させることにより、前記第2リンク部材を介して前記第1部材に前記関節部回りのモーメントを生じさせ、それによって、前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせてもよい。
【0011】
この態様では、直動電動機及び第2直動電動機を用いて第1部材及び第2部材間の相対的な回動動作を生じさせるため、各直動電動機のトルクをより抑えることができ、直動電動機をより小型化できる。
【0012】
前記短尺子が死点を通過するタイミングが、前記第2短尺子が死点を通過するタイミングからずれるように設定されていてもよい。
【0013】
この態様では、短尺子が死点を通過するタイミングでは第2短尺子は死点の位置にない。また、第2短尺子が死点を通過するタイミングでは短尺子は死点の位置にない。このため、短尺子が死点の位置にある場合でも、リンク部材を介した第1部材及び第2部材間の回動動作を継続でき、また、第2短尺子が死点の位置にある場合でも、第2リンク部材を介した第1部材及び第2部材間の回動動作を継続できる。したがって、第1部材及び第2部材間の回動動作を一連の連続した動きにできる。
【0014】
本発明は、第1部材と、第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材を互いに回動可能に結合する関節部と、一方向に延びる形状の部位を有し前記第1部材に配置される第1長尺子と、前記第1長尺子における前記部位に沿って前記第1長尺子に対して相対的に移動可能な第1短尺子と、を有する第1直動電動機と、前記第2部材に沿って延びる部位を有する第2長尺子と、前記第2長尺子における前記部位に沿って前記第2長尺子に対して相対的に移動可能な第2短尺子と、を有する第2直動電動機と、前記第1短尺子に回動可能に結合する一端部と前記第2短尺子に回動可能に結合する他端部とを有するリンク部材と、を備え、前記第1直動電動機及び前記第2直動電動機への電力供給によって、前記第1短尺子が前記第1長尺子に対して相対移動するとともに前記第2短尺子が前記第2長尺子に対して相対移動することにより、前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせる、ロボットである。
【0015】
本発明では、第1直動電動機及び第2直動電動機に電力供給することによって、第1短尺子及び第2短尺子をスライドさせると、リンク部材によって第1部材及び第2部材間の開き角度を変える力が作用し、これにより、第1部材及び第2部材間の相対的な回動動作を生じさせる。このため、関節部近傍で回転トルクを生じさせる構成に比べて、より小さなトルクで第1部材及び第2部材間の相対的な回動動作を生じさせることができる。しかも、直動電動機が第1部材に配置されるとともに第2直動電動機が第2部材に配置されていて、2つの直動電動機が関節部内に収容される構成ではないため、関節部の大型化も回避できる。
【0016】
前記ロボットは、前記第1短尺子を前記第1部材に固定された状態と固定されていない状態とを切り換え可能な第1短尺子ブレーキと、前記第2短尺子を前記第2部材に固定された状態と固定されていない状態とを切り換え可能な第2短尺子ブレーキと、をさらに備えてもよい。この場合、前記第1長尺子は、前記第1長尺子の延設方向に変位可能に支持され、前記第2長尺子は、前記第2長尺子の延設方向に変位可能に支持されてもよい。
【0017】
この態様では、第1長尺子が長手方向にスライドすると、それに応じて第1短尺子の移動範囲を広げることができ、第2長尺子が長手方向にスライドすると、それに応じて第2短尺子の移動範囲を広げることができる。したがって、第1部材及び第2部材間の相対的な回動範囲を広げることができる。
【0018】
前記第1長尺子及び前記第2長尺子は、長手方向に並ぶ複数の歯部を有しもよい。この場合、前記第1長尺子の前記複数の歯部及び前記第2長尺子の前記複数の歯部に噛み合うピニオンが設けられていてもよい。
【0019】
この態様では、第1部材に対する第1長尺子のスライド量と第2部材に対する第2長尺子のスライド量との関係をピニオンによって規定することができる。
【0020】
本発明は、第1部材と、第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材を互いに回動可能に結合する関節部と、前記第1部材に配置される第1短尺子と、一方向に長い形状で且つ前記一方向に配列された複数の歯部を有し且つ前記第1部材に配置される第1長尺子と、を有し、前記第1短尺子及び前記台1短尺子間の相対的な移動が許容されている第1直動電動機と、前記第2部材に沿って延びる部位を有し前記第2部材に配置される第2長尺子と、前記第2長尺子における前記部位に沿って前記第2長尺子に対して相対的に移動可能な第2短尺子と、を有する第2直動電動機と、前記第1短尺子の前記複数の歯部に噛み合うように前記関節部に設けられ、前記第1短尺子の移動によって回転するピニオンと、前記ピニオンに噛み合う歯部を有するとともに前記第2部材に固定された回動部材と、前記第1長尺子に回動可能に結合する一端部と前記第2短尺子に回動可能に結合する他端部とを有するリンク部材と、を備え、前記第1短尺子が前記第1部材に固定された状態で前記第1直動電動機に電力が供給されたときには、前記第1長尺子を前記第1短尺子に対して移動させて、前記ピニオン及び前記回動部材を介して前記第2部材に前記関節部回りのモーメントを生じさせ、前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせ、前記第1長尺子が前記第1部材に固定されるともに前記第2長尺子が前記第2部材に固定された状態で前記第1直動電動機及び第2直動電動機に電力が供給されたときには、前記第1短尺子を前記第1長尺子に対して移動させるとともに前記第2短尺子を前記第2長尺子に対して移動させて、前記リンク部材を介して前記第2部材に関節部回りのモーメントを生じさせて前記第1部材及び前記第2部材間の相対的な回動動作を生じさせる、ロボットである。
【0021】
本発明では、第1短尺子が第1部材に固定された状態で第1直動電動機に電力供給すると、ピニオン及び回動部材を介して第2部材に関節部回りのモーメントが生じて第1部材及び第2部材間の相対的な回動動作が生じる。また、第1長尺子が第1部材に固定されるともに第1短尺子が固定されない状態で第1直動電動機及び第2直動電動機に電力供給すると、第1短尺子及び第2短尺子のスライドにより、リンク部材を介して第2部材に関節部回りのモーメントが生じ、これにより第1部材及び第2部材間の相対的な回動動作が生じる。第1直動電動機が第1部材に配置されていて、関節部内に収容される構成ではなく、また、第2直動電動機が第2部材に配置されていて、関節部内に収容される構成ではないため、関節部の大型化を回避できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、より小さなトルクで第1部材及び第2部材間の相対的な回動を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係るロボットを示す図である。
図2】前記ロボットに設けられた直動電動機の構成を説明するための図である。
図3】前記ロボットに設けられた直動電動機の変形例の構成を説明するための図である。
図4】(a)~(c)前記ロボットの動きを説明するための図である。
図5】第1実施形態の変形例に係るロボットを示す図である。
図6】(a)~(c)第2実施形態に係るロボットの動きを説明する図である。
図7】(a)~(b)第3実施形態に係るロボットの動きを説明する図である。
図8】(a)~(b)第4実施形態に係るロボットの動きを説明する図である。
図9】第4実施形態に係るロボットの動きを説明する図である。
図10】(a)~(c)第5実施形態に係るロボットの動きを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係るロボット10は、第1部材11と、第2部材12と、第1部材11及び第2部材12を互いに回動可能に結合する関節部13と、を備えている。第1部材11及び第2部材12は何れもアーム状の部材によって形成されているが、これに限られるものではない。ロボット10は、例えば、人型ロボットの一部分として構成されてもよく、あるいは多関節6軸ロボットの一部分として構成されてもよい。ロボット10が人型ロボットの一部分である場合には、例えば第1部材11が上腕を構成するとともに第2部材12が前腕を構成してもよい。また、第1部材11が前腕を構成するとともに第2部材12が上腕を構成してもよい。また、第1部材11が胴体を構成するとともに第2部材12が上腕を構成してもよい。また、第1部材11が上腕を構成するとともに第2部材12が胴体を構成してもよい。図1は、第1部材11が上腕を構成し、第2部材12が前腕を構成した場合を図示しており、第2部材12の先端にはエンドエフェクタ14が設けられている。
【0026】
関節部13は、第1部材11に結合される第1部位(図示省略)と、第2部材12に結合される第2部位(第2部位)とを有し、第1部位と第2部位とは互いに回転可能に結合されている。
【0027】
第1部材11には、直動電動機21が配置されている。直動電動機21は、第1部材11に固定された長尺子21aと、直動電動機21への電力供給に伴う電磁気力の作用によって長尺子21aに対して移動する短尺子21bと、を有する。長尺子21aは、一方向に直線状に延びる形状であり、この延びる方向は、関節部13の回転軸心13aからずれた位置を通過している。ただしこれに限られるものではなく、長尺子21aは、関節部13の回転軸心13aを通過するように、回転軸心13aの半径方向に延びるように配置されていてもよい。
【0028】
図2に示すように、長尺子21aが複数の電機子23によって構成され、短尺子21bは複数の磁極子24によって構成されてもよい。あるいは、図3に示すように、長尺子21aが複数の磁極子24によって構成され、短尺子21bは複数の電機子23によって構成されてもよい。
【0029】
図2に示す構成では、図略のコイルを有する多数の電機子23が一方向に並ぶように配置されることにより、長尺子21aは第1部材11の延びる方向に沿って延びる形状に形成される。短尺子21bは、N極とS極が互い違いになるように配置された複数の磁極子24を有する構成となっている。電機子23への給電により、磁極子24及び短尺子21bを通る磁力線が生じ、これにより短尺子21bが長尺子21aにそってスライドする。図2に示す構成の直動電動機21は、例えばブラシレスモータや誘導モータ等によって構成される。
【0030】
一方、図3に示す構成では、長尺子21aは、N極とS極が互い違いになった状態で、一方向に多数の磁極子24が並んだ構成となる。短尺子21bは、コイルを有する複数の電機子23を有する構成となる。電機子23への給電により、磁極子24及び短尺子21bを通る磁力線Mが生じ、これにより短尺子21bが長尺子21aにそってスライドする。図2に示す構成の直動電動機21は、例えば、図略のブラシを通して給電する直流モータ等によって構成される。
【0031】
図1に戻る。図1に示すように、第2部材12には、固定部材27が固定されており、ロボット10には、この固定部材27と短尺子21bとを連結するリンク部材29が設けられている。
【0032】
固定部材27は、関節部13の回転軸心13aから、回転軸心13aの半径方向に沿って延びる長尺部27aと、長尺部27aの外端から回動方向に突出した突出部27bと、を一体的に有する部材によって構成されている。なお、長尺部27aは、回転軸心13aの半径方向に直線状に延びる形状に限られるものではなく、半径方向からそれるように曲がった形状に形成されていてもよい。この場合、突出部27bは省略されてもよい。また、長尺部27aが直線状に形成される場合においても、突出部27bが省略されてもよい。
【0033】
リンク部材29は、直線状に延びる棒状の部材によって構成されており、リンク部材29の一端部(第2部材12側の端部である第2端部29b)は、固定部材27の突出部27bに回動可能に結合されている。すなわち、リンク部材29は間接的に第2部材12に結合されている。リンク部材29の他端部(第1部材11側の端部である第1端部29a)は、短尺子21bに回動可能に結合されている。なお、突出部27bが省略される場合には、リンク部材29の一端部は、固定部材27の長尺部27aに回動可能に結合される。
【0034】
ここで、ロボット10の動きについて、図4(a)~(c)を参照しつつ、説明する。図4(a)では、12時の位置にある第1部材11では、長尺子21aの延長線が回転軸心13aに対して図の左側にずれており、第2部材12は、外端が長尺子21aの延長線に対して図の左側に位置する姿勢となっている(7時の位置)。このとき、短尺子21bは長尺子21aの内端部近傍に位置している。この状態で、長尺子21aに沿って短尺子21bを径方向の内側に移動させるように直動電動機21に電力供給が行われると、第1部材11と第2部材12のなす角度が180度に近くなる方向に、リンク部材29を介して第2部材12に関節部13回りのモーメントが生ずる。これにより、第2部材12は、図4(a)の状態から反時計回りの方向に回動する。
【0035】
短尺子21bが長尺子21aの内端に来たとき、第2部材12は第1部材11に対し約180度の方向となるが、このとき、短尺子21bが径方向の外側に移動するように、直動電動機21の電力供給が制御される。これにより、短尺子21bは長尺子21aに沿って径方向の外側にスライドし始める。このときも第2部材12は反時計回りの方向に回動し続ける。短尺子21bがさらにスライドすると、第2部材12は図4(b)に示す姿勢(4時の位置)及び図4(c)に示す姿勢(2時の位置)を取り得る。このとき、リンク部材29の第2端部29bは、回転軸心13aを中心とする円周状の軌跡t1(図1参照)を描き、リンク部材29の第1端部29aは、長尺子21aに沿う直線状の軌跡t2(図1参照)を描く。つまり、長尺子21a、短尺子21b、固定部材27及びリンク部材29は、往復直線運動と円運動との間で運動を変換するクランク機構を構成している。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、第1部材11に配置された長尺子21aを有する直動電動機21に電力供給することによって、リンク部材29を介して第2部材12に関節部13回りのモーメントを生じさせて第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じさせる。このため、関節部13近傍で回転トルクを生じさせる構成に比べて、より小さなトルクで第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じさせることができる。しかも、直動電動機21が第1部材11に配置されていて、関節部13内に収容される構成ではないため、関節部13の大型化も回避できる。
【0037】
なお、図1に示すロボット10は、第2部材12に固定部材27が固定され、リンク部材29の第2端部29bが固定部材27に結合されているが、この構成に限られない。例えば、固定部材27が省略され、リンク部材29の第2端部29bは、第2部材12に直接的に結合されてもよい。
【0038】
また、図5に示すように、固定部材27は、突出部27bから関節部13に近づく方向に延びる内向き延出部27cを備え、リンク部材29は、この内向き延出部27cの先端に回転可能に結合していてもよい。この場合、リンク部材29の第2端部29bが描く円周状の軌跡t1の半径を小さくできる。したがって、短尺子21bのスライド量に対する回動角度の比をより大きくできる。
【0039】
なお、固定部材27が内向き延出部27cを有する構成に代え、突出部27bが長尺部27aの内端部又は内端部近傍から回動方向に突出した構成としてもよい。
【0040】
(第2実施形態)
図6(a)~(c)は本発明の第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0041】
第1実施形態のロボット10では、固定部材27が、第2部材12に固定された部材によって構成されているのに対し、第2実施形態では、固定部材27が、第2部材12に設けられた第2直動電動機31の第2長尺子31aに固定された第2長尺子部材33として構成されている。
【0042】
第2直動電動機31は、第2部材12に固定された第2長尺子31aと、第2直動電動機31への電力供給に伴う電磁気力の作用によって第2長尺子31aに沿って移動する第2短尺子31bと、を有する。第2直動電動機31は、図1に示す直動電動機21と同様の構成であり、複数の電機子と複数の磁極子とを有する。
【0043】
直動電動機21の長尺子21aは、関節部13の回転軸心13aを通過するように、回転軸心13aの半径方向に延びるように配置されており、長尺子21aの一端には、第1長尺子部材35が固定されている。なお、長尺子21aは、その延長線が回転軸心13aからずれた位置を通るように配置されてもよく、この場合には第1長尺子部材35を省略してもよい。
【0044】
第2長尺子31aも長尺子21aと同様の構成である。すなわち、第2長尺子31aは、回転軸心13aの半径方向に延びるように配置されており、第2長尺子31aの一端には、第2長尺子部材33が固定されている。なお、第2長尺子31aは、その延長線が回転軸心13aからずれた位置を通るように配置されてもよく、この場合には第2長尺子部材33を省略してもよい。
【0045】
リンク部材29の第1端部29a(第1部材11側の端部)は、直動電動機21の短尺子21bに回動可能に結合され、リンク部材29の第2端部29b(第2部材12側の端部)は、第2長尺子部材33に回動可能に結合されている。リンク部材29の第1端部29aと短尺子21bとの結合位置は、短尺子21bのスライド時における変位軌跡t3の延長線が回転軸心13aからずれた位置を通るように配置されているが、変位軌跡t3の延長線が回転軸心13aを通るように配置されていてもよい。なお、リンク部材29の第2端部29bは、第2部材12に結合されてもよく、あるいは、第2直動電動機31の第2長尺子31aに結合されてもよい。第2端部29bは、第2長尺子31aの延長線からずれた位置に配置されているが、第2長尺子31aの延長線上に配置されていてもよい。
【0046】
第2実施形態のロボット10には、リンク部材29に加えて第2リンク部材37が設けられている。第2リンク部材37の一端部(第2部材12側の端部である第2端部37b)は、第2短尺子31bに回動可能に結合している。なお、第2リンク部材37の第2端部37bと第2短尺子31bとの結合位置は、第2短尺子31bのスライド時における変位軌跡t4の延長線が回転軸心13aからずれた位置を通るように配置されているが、変位軌跡t4の延長線が回転軸心13aを通るように配置されていてもよい。
【0047】
第2リンク部材37の他端部(第1部材11側の端部である第1端部37a)は、第1長尺子部材35に回動可能に結合している。なお、第2リンク部材37の第1端部37aは、第1部材11に結合されてもよく、あるいは、直動電動機21の長尺子21aに結合されてもよい。第1端部37aは、長尺子21aの延長線からずれた位置に配置されているが、長尺子21aの延長線上に配置されていてもよい。
【0048】
直動電動機21と第2直動電動機31とは、連動している。すなわち、直動電動機21及び第2直動電動機31は、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を行うときに、同時に駆動される。ただし、短尺子21bがスライド方向を反転させるタイミングと、第2短尺子31bがスライド方向を反転させるタイミングとは、互いにずれている。つまり、リンク部材29と第2長尺子部材33とが一直線となるタイミング(第2短尺子31bが死点を通過するタイミング)と、第2リンク部材37と第1長尺子部材35とが一直線となるタイミング(短尺子21bが死点を通過するタイミング)とは、互いにずれている。このため、リンク部材29及び第2リンク部材37の一方が死点となるときでも、関節部13回りのモーメントを継続して生じさせることができる。
【0049】
図6(a)は、第1部材11と第2部材12とがほぼ一直線(約180度)となる状態を示しており、この状態から、第1部材11に対して第2部材12を折り曲げるときには、短尺子21b及び第2短尺子31bを関節部13から遠ざかる方向にスライドさせる。これにより、長尺子21a及び第2長尺子31aのなす角度が小さくなる方向に、第1部材11及び第2部材12に関節部13回りのモーメントが生じ、これにより、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じる。そして、図6(b)に示す姿勢となり、この姿勢からさらに回動すると、まず、第2リンク部材37と第1長尺子部材35とが直線状となるため、第2短尺子31bは死点の位置となる。このときも、リンク部材29と第2長尺子部材33とはまだ直線状になっていないため、引き続き、第1部材11及び第2部材12に関節部13回りのモーメントが生じる。したがって、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作が継続される。なお、第2直動電動機31は、第2リンク部材37及び第1長尺子部材35が一直線上になるタイミングで、第2短尺子31bのスライド方向を反転させるように電力制御されている。
【0050】
その後、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作が継続されると、次に、リンク部材29と第2長尺子部材33とが直線状となるため、短尺子21bは死点の位置となる。このとき、第2リンク部材37と第1長尺子部材35とは直線状になっていないため、引き続き、第1部材11及び第2部材12に関節部13回りのモーメントが生じる。したがって、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作が継続される。なお、直動電動機21は、リンク部材29及び第2長尺子部材33が一直線上になるタイミングで、短尺子21bのスライド方向を反転させるように電力制御されている。そして、短尺子21b及び第2短尺子31bがそれぞれ関節部35に近づく方向にスライドすると、図6(c)に示す姿勢となる。
【0051】
第2実施形態では、直動電動機21及び第2直動電動機31を用いて第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じさせるため、各直動電動機21、31のトルクをより抑えることができ、直動電動機21をより小型化できる。
【0052】
また、短尺子21bが死点を通過するタイミングと第2短尺子31bが死点を通過するタイミングとが互いにずれている。すなわち、短尺子21bが死点を通過するタイミングでは第2短尺子31bは死点の位置にない。また、第2短尺子31bが死点を通過するタイミングでは短尺子21bは死点の位置にない。このため、短尺子21bが死点の位置にある場合でも、リンク部材29を介した第1部材11及び第2部材12間の回動動作を継続でき、また、第2短尺子31bが死点の位置にある場合でも、第2リンク部材37を介した第1部材11及び第2部材12間の回動動作を継続できる。したがって、第1部材11及び第2部材12間の回動動作を一連の連続した動きにできる。
【0053】
(第3実施形態)
図7(a)(b)は本発明の第3実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
第3実施形態のロボット40は、第1直動電動機21と第2直動電動機31とリンク部材42とを備えている。第1直動電動機21は、第1部材11に固定された第1長尺子21aと、第1直動電動機21への電力供給に伴う電磁気力の作用によって第1長尺子21aに対して第1長尺子21aに沿って移動する第1短尺子21bと、を有する。第1直動電動機21は、図1に示す直動電動機21と同様の構成であり、複数の電機子23と複数の磁極子24とを有する。第1長尺子21aは、一方向に直線状に延びる形状であり、第1長尺子21aの延びる方向は、関節部13の回転軸心13aを通ってもよく、あるいは、回転軸心13aからずれていてもよい。
【0055】
第2直動電動機31は、第2部材12に固定された第2長尺子31aと、第2直動電動機31への電力供給に伴う電磁気力の作用によって第2長尺子31aに対して第2長尺子31aに沿って移動する第2短尺子31bと、を有する。第2直動電動機31は、図1に示す直動電動機21と同様の構成であり、複数の電機子と複数の磁極子とを有する。第2長尺子31aは、一方向に直線状に延びる形状であり、第2長尺子31aの延びる方向は、関節部13の回転軸心13aを通ってもよく、あるいは、回転軸心13aからずれていてもよい。
【0056】
リンク部材42は、第1短尺子21bと第2短尺子31bとを連結している。すなわち、リンク部材42の第1端部42a(第1部材11側の端部)は、第1短尺子21bに回動可能に結合され、リンク部材42の第2端部42b(第2部材12側の端部)は、第2短尺子31bに回動可能に結合されている。
【0057】
第1直動電動機21と第2直動電動機31とは、連動している。すなわち、第1直動電動機21及び第2直動電動機31は、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を行うときに、同時に駆動される。第1短尺子21b及び第2短尺子31bを関節部13から遠ざかる方向にスライドさせると、第1長尺子21a及び第2長尺子31aのなす角度が小さくなる方向に、第1部材11及び第2部材12に関節部13回りのモーメントが生じる。これにより、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じ、図7(a)に示す姿勢から図7(b)に示す姿勢に変わる。
【0058】
一方、第1短尺子21b及び第2短尺子31bをそれぞれ関節部13に近づく方向にスライドさせると、第1長尺子21a及び第2長尺子31aのなす角度が大きくなる方向に、第1部材11及び第2部材12に関節部13回りのモーメントが生じる。これにより、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じ、図7(b)に示す姿勢から図7(a)に示す姿勢に変わる。
【0059】
第3実施形態では、第1直動電動機21及び第2直動電動機31に電力供給することによって、第1短尺子21b及び第2短尺子31bをスライドさせると、リンク部材42によって第1部材11及び第2部材12間の開き角度を変える力が作用し、これにより、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じさせる。このため、関節部13近傍で回転トルクを生じさせる構成に比べて、より小さなトルクで第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じさせることができる。しかも、直動電動機21が第1部材11に配置されるとともに第2直動電動機31が第2部材12に配置されていて、2つの直動電動機21が関節部13内に収容される構成ではないため、関節部13の大型化も回避できる。
【0060】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1及び第2実施形態の説明を第3実施形態に援用することができる。
【0061】
(第4実施形態)
図8(a)は本発明の第4実施形態を示す。尚、ここでは第3実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0062】
第3実施形態のロボット40では、第1長尺子21aが第1部材11に対して変位しないように第1部材11に固定されるとともに、第2長尺子31aが第2部材12に対して変位しないように第2部材12に固定されている。これに対し、第4実施形態のロボット40では、第1長尺子21aが第1部材11に対してスライド可能に配置されるとともに、第2長尺子31aが第2部材12に対してスライド可能に配置されている。つまり、第1長尺子21aは、第1長尺子21aの延設方向に変位可能に第1部材11に支持され、第2長尺子31aは、第2長尺子31aの延設方向に変位可能に第2部材12に支持されている。
【0063】
第1部材11には、第1長尺子21aが、第1長尺子21aの延設方向と直交する方向に移動しないようにしつつ第1長尺子21aの延設方向に移動することを許容する第1案内部45が設けられ、また、第2部材12には、第2長尺子31aが、第2長尺子31aの延設方向と直交する方向に移動しないようにしつつ第2長尺子31aの延設方向に移動することを許容する第2案内部46が設けられている。
【0064】
第1長尺子21a及び第2長尺子31aは、長手方向に並ぶ複数の歯部21c、31cを有している。関節部13には、第1長尺子21aの複数の歯部21c及び第2長尺子31aの複数の歯部31cに噛み合うピニオン47が、回転軸心13aと同心状に設けられている。ピニオン47はフリーに回転可能に設けられている。
【0065】
第1短尺子21bには、第1短尺子21bを第1部材11に対して一時的に固定する第1短尺子ブレーキ49が設けられ、第2短尺子31bには、第2短尺子31bを第2部材12に対して一時的に固定する第2短尺子ブレーキ50が設けられている。すなわち、第1短尺子ブレーキ49は、第1短尺子21bを第1部材11に固定された状態と固定されない状態とを切り換え可能に構成されている。第2短尺子ブレーキ50は、第2短尺子31bを第2部材12に固定された状態と固定されない状態とを切り換え可能に構成されている。
【0066】
第1長尺子21aには、第1長尺子21aを第1部材11に対して一時的に固定する第1長尺子ブレーキ51が設けられ、第2長尺子31aには、第2長尺子31aを第2部材12に対して一時的に固定する第2長尺子ブレーキ52が設けられている。すなわち、第1長尺子ブレーキ51は、第1長尺子21aを第1部材11に固定された状態と固定されない状態とを切り換え可能に構成されている。第2長尺子ブレーキ52は、第2長尺子31aを第2部材12に固定された状態と固定されない状態とを切り換え可能に構成されている。
【0067】
第1長尺子ブレーキ51が作動して第1長尺子21aが第1部材11に対して固定されるとともに第1長尺子ブレーキ49が作動せずに第1短尺子21bが固定されておらず、かつ第2長尺子ブレーキ52が作動して第2長尺子31aが第2部材12に対して固定されるとともに第2短尺子ブレーキ50が作動せずに第2短尺子31bが固定されていない状態では、第4実施形態のロボット40は第3実施形態のロボット40と同じ動作を行う。このため、第1短尺子21b及び第2短尺子31bがそれぞれ関節部13から遠ざかる方向にスライドする場合には、図8(a)及び図8(b)に示すように、第2部材12が第1部材11に対してより折れ曲がる方向に、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作が生ずる。
【0068】
図8(a)に示す状態において、第1短尺子ブレーキ49が作動するとともに第2短尺子ブレーキ50が作動する一方で、第1長尺子ブレーキ51及び第2長尺子ブレーキ52が作動しない状態に切り換えられると、第1短尺子21bが第1部材11に対して固定されるとともに、第2短尺子31bが第2部材12に対して固定され、また、第1長尺子21a及び第2長尺子31aはスライド可能な状態となる。この状態で、第1直動電動機21及び第2直動電動機31に電力が供給されると、第1長尺子21aが第1短尺子21b及び第1部材11に対してスライド移動するとともに、第2長尺子31aが第2短尺子31b及び第2部材12に対してスライド移動する。これに伴い、第1部材11及び第2部材12には、リンク部材42を介して、関節部13回りに回動するモーメントが発生する。例えば、第1長尺子21a及び第2長尺子31aがそれぞれ関節部13側(ピニオン47側)にスライドすると、第2短尺子31bをリンク部材42に押さえ付ける力が働く。したがって、その反力として、第2長尺子31aを図8(a)の下向きに押す成分を含む力が発生する。このため、第2部材12は、図8(a)の状態から時計回りに回動する。これにより、ロボット40は、図9に示す状態となる。このとき、第1長尺子21a及び第2長尺子31aが図8(a)の状態に対してスライドしているため、第1短尺子21b及び第2短尺子31bの移動範囲が広がる。
【0069】
したがって、第4実施形態では、第1長尺子21aが長手方向にスライドするとともに第2長尺子31aが長手方向にスライドすることにより、第1短尺子21bの移動範囲を広げることができる。したがって、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動範囲を広げることができる。
【0070】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1~第3実施形態の説明を第4実施形態に援用することができる。
【0071】
(第5実施形態)
図10(a)(b)は本発明の第5実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0072】
第3実施形態のロボット40では、第1短尺子21bと第2短尺子31bとがリンク部材42で連結され、第1短尺子21b及び第2短尺子31bをスライドさせることによって、第2部材12に関節部13回りのモーメントを生じさせる。この動作は、第5実施形態のロボット60でも同様である。さらに、第5実施形態のロボット60では、第1直動電動機21の第1長尺子21aのスライドによって回動するピニオン62により、第2部材12に固定された回動部材64を回動させることによって、第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作を生じさせることもできる。
【0073】
具体的に、第1長尺子21aは、第3実施形態と異なり、第1部材11に固定されているわけではなく、第4実施形態と同様に、第1部材11に対して第1長尺子21aの延設方向にスライド可能に配置されている。そして、第1長尺子21aには、第1長尺子21aを第1部材11に対して一時的に固定する長尺子ブレーキ51が設けられている。また、第1長尺子21aには、延出方向に並ぶ複数の歯部21cが設けられている。一方、第1短尺子21bには、第1短尺子21bを第1部材11に対して一時的に固定する短尺子ブレーキ49が設けられている。
【0074】
第1部材11には、第1長尺子21aの歯部21cに噛み合うようにピニオン62が設けられており、このピニオン62は、第1長尺子21aのスライドによって回転する。
【0075】
関節部13には、円弧状の外周部を有する回動部材64が設けられ、回動部材64の外周部には、ピニオン62に噛み合う歯部64aが形成されている。
【0076】
したがって、短尺子ブレーキ49が作動し且つ長尺子ブレーキ51が作動していない状態で第1直動電動機21に電力が供給されると、第1長尺子21aが第1短尺子21bに対してスライドし、これに伴い、ピニオン62が回転する。なお、このとき、第2直動電動機31には給電しなくてよい。ピニオン62が回転すると、回動部材64が関節部13の回動軸心13a回りに回動するため、第2部材12は第1部材11に対して相対的に回動する。したがって、図10(a)の状態から図10(b)の状態に、第2部材12を回動させることができる。
【0077】
一方、長尺子ブレーキ51が作動し且つ短尺子ブレーキ49が作動していない状態で第1直動電動機21及び第2直動電動機31に電力が供給されると、第1短尺子21bが第1長尺子21aに対してスライドするとともに、第2短尺子31bが第2長尺子31aに対してスライドする。この場合、第3実施形態と同様の原理で、第2部材12を第1部材11に対して相対的に回動させる。したがって、図10(a)の状態から図10(c)の状態に、第2部材12を回動させることができる。
【0078】
第5実施形態では、第1短尺子21bが第1部材に固定された状態で第1直動電動機21に電力が供給されたときには、ピニオン62及び回動部材64を介して第2部材12に関節部13回りのモーメントが生じて第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作が生じる。また、第1長尺子21aが第1部材11に固定されるともに第1短尺子21bが固定されない状態で第1直動電動機21及び第2直動電動機31に電力が供給されると、第1短尺子21b及び第2短尺子31bのスライドによってリンク部材42を介して第2部材12に関節部13回りのモーメントが生じ、これにより第1部材11及び第2部材12間の相対的な回動動作が生じる。第1直動電動機21が第1部材11に配置されていて、関節部13内に収容される構成ではなく、また、第2直動電動機31が第2部材12に配置されていて、関節部13内に収容される構成ではないため、関節部13の大型化を回避できる。
【0079】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1及び第2実施形態の説明を第5実施形態に援用することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 :ロボット
11 :第1部材
12 :第2部材
13 :関節部
13a :回転軸心
21 :第1直動電動機
21 :直動電動機
21a :第1長尺子
21a :長尺子
21b :第1短尺子
21b :短尺子
21c :歯部
27 :固定部材
29 :リンク部材
29a :第1端部
29b :第2端部
31 :第2直動電動機
31a :第2長尺子
31b :第2短尺子
31c :歯部
37 :第2リンク部材
37a :第1端部
37b :第2端部
40 :ロボット
42 :リンク部材
42a :第1端部
42b :第2端部
47 :ピニオン
49 :第1可動ブレーキ
50 :第2可動ブレーキ
51 :第1固定ブレーキ
52 :第2固定ブレーキ
60 :ロボット
62 :ピニオン
64 :回動部材
64a :歯部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10