(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153814
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
B62D 21/02 20060101AFI20221005BHJP
B62D 21/09 20060101ALN20221005BHJP
B62D 21/11 20060101ALN20221005BHJP
【FI】
B62D21/02 Z
B62D21/09 Z
B62D21/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056539
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】秋本 康雄
(72)【発明者】
【氏名】中 浩則
(72)【発明者】
【氏名】長野 友彦
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA15
3D203BA03
3D203BA06
3D203BA07
3D203BC34
3D203CB03
3D203CB16
3D203CB19
3D203DA02
3D203DA11
3D203DA15
3D203DA73
3D203DA86
3D203DA87
(57)【要約】
【課題】軽量化とコスト低減を図りつつ、ブラケットとサイドフレームの接合部分の強度、耐久性の向上を図る。
【解決手段】第2マウントブラケット58の前フランジ部5808及び後フランジ部5810は、それぞれ前脚部5804の下端部5804A及び後脚部5806の下端部5806Aよりも下方まで延び、前脚部5804の下端部5804A及び後脚部5806の下端部5806Aよりも下方側までサイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。前脚部5804の下端部5804Aと前フランジ部5808の溶接箇所の下端部5808Aの高さが一致しておらず、また、後脚部5806の下端部5806Aと後フランジ部5810の溶接箇所の下端部5810Aの高さが一致していない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びるサイドフレームと、
前記サイドフレームに取り付けられる第1ブラケットと、を備え、
前記第1ブラケットは、ブラケット上面部と、前記ブラケット上面部から車幅方向の幅を有して前記サイドフレームの側面に沿って下方に延びる脚部と、前記脚部の前記サイドフレーム側端部に接続され車両前後方向の幅を有して車両上下方向に延びるフランジ部とを有し、
前記フランジ部は、前記脚部の下端部よりも下方まで延び、前記脚部の下端部よりも下方において前記サイドフレームの側面に溶接される、
ことを特徴とする車両構造。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記サイドフレームの下端近傍まで延び、前記サイドフレームの下端近傍まで前記サイドフレームの前記側面に溶接される、
ことを特徴とする請求項1記載の車両構造。
【請求項3】
前記第1ブラケットの下方において前記サイドフレームの前記側面に溶接される第2ブラケットを有し、
前記フランジ部は、前記第2ブラケットより車両前後方向一方側に位置し、
前記フランジ部における溶接箇所の下端部は、前記第2ブラケットの車両前後方向一方側の端部の溶接箇所より前記サイドフレームの下端側に位置する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の車両構造。
【請求項4】
前記脚部及び前記フランジ部は、車両前後方向に離れて一対設けられ、
車両前後方向一方側の前記フランジ部は、前記第2ブラケットより車両前後方向一方側に位置するとともに、車両前後方向一方側の前記フランジ部における溶接箇所の下端部は、前記第2ブラケットの車両前後方向一方側の端部の溶接箇所より前記サイドフレームの下端側に位置し、
車両前後方向他方側の前記フランジ部は、前記第2ブラケットの上方に位置するとともに、車両前後方向他方側の前記フランジ部における溶接箇所の下端部は、前記第2ブラケットの車両前後方向他方側端部の溶接箇所の上方近傍に位置する、
ことを特徴とする請求項3記載の車両構造。
【請求項5】
前記サイドフレームは、車両前後方向一方側に向かうにつれて上方へ傾斜するキックアップ部を有し、
前記第1ブラケットは、前記キックアップ部に取り付けられ、
前記脚部及び前記フランジ部は、車両前後方向に離れて一対設けられ、
前記車両前後方向一方側の前記脚部は、下方に向かうにつれて車両前後方向一方側へ傾斜する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の車両構造。
【請求項6】
前記フランジ部の下部には、前記脚部の下端部近傍において、下方に向かうにつれて前記脚部から離れるように車両前後方向に湾曲した湾曲部が設けられ、前記フランジ部における溶接箇所の下端部は、前記湾曲部から前記脚部の下端部よりも下方に延在する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム車両における車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャブボディをシャシフレームで支持するフレーム車両では、キャブボディは、キャブマウントを介してシャシフレームで支持され、キャブマウントは、一対のサイドフレームに取り付けられたマウントブラケットで支持されている(特許文献1参照)。
マウントブラケットは、キャブマウントを支持するブラケット上面部と、ブラケット上面部から車幅方向の幅を有して下方に延びる脚部と、脚部の前記サイドフレーム側端部に接続され車両前後方向の幅を有してブラケット上面部から下方に延びるフランジ部とを有しており、フランジ部がサイドフレームの側面に溶接により接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、脚部の下端とフランジ部の下端の上下方向の位置が一致していることから、キャブマウントからマウントブラケットに入力した荷重が、フランジ部の下端からサイドフレームの側面に集中して加わりやすくなる。
そこで、サイドフレームの側面部分の耐久性を確保するため、サイドフレームの側面に別途補強部材を設けるといった対策を取る必要が生じ、補強部材の重量、コストが増大する不利が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、軽量化とコスト低減を図りつつ、ブラケットとサイドフレームの接合部分の強度、耐久性の向上を図る上で有利な車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、車両前後方向に延びるサイドフレームと、前記サイドフレームに取り付けられる第1ブラケットと、を備え、前記第1ブラケットは、ブラケット上面部と、前記ブラケット上面部から車幅方向の幅を有して前記サイドフレームの側面に沿って下方に延びる脚部と、前記脚部の前記サイドフレーム側端部に接続され車両前後方向の幅を有して車両上下方向に延びるフランジ部とを有し、前記フランジ部は、前記脚部の下端部よりも下方まで延び、前記脚部の下端部よりも下方において前記サイドフレームの側面に溶接されることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記フランジ部は、前記サイドフレームの下端近傍まで延び、前記サイドフレームの下端近傍まで前記サイドフレームの前記側面に溶接されることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記第1ブラケットの下方において前記サイドフレームの前記側面に溶接される第2ブラケットを有し、前記フランジ部は、前記第2ブラケットより車両前後方向一方側に位置し、前記フランジ部における溶接箇所の下端部は、前記第2ブラケットの車両前後方向一方側の端部の溶接箇所より前記サイドフレームの下端側に位置することを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記脚部及び前記フランジ部は、車両前後方向に離れて一対設けられ、車両前後方向一方側の前記フランジ部は、前記第2ブラケットより車両前後方向一方側に位置するとともに、車両前後方向一方側の前記フランジ部における溶接箇所の下端部は、前記第2ブラケットの車両前後方向一方側の端部の溶接箇所より前記サイドフレームの下端側に位置し、車両前後方向他方側の前記フランジ部は、前記第2ブラケットの上方に位置するとともに、車両前後方向他方側の前記フランジ部における溶接箇所の下端部は、前記第2ブラケットの車両前後方向他方側端部の溶接箇所の上方近傍に位置することを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記サイドフレームは、車両前後方向一方側に向かうにつれて上方へ傾斜するキックアップ部を有し、前記第1ブラケットは、前記キックアップ部に取り付けられ、前記脚部及び前記フランジ部は、車両前後方向に離れて一対設けられ、前記車両前後方向一方側の前記脚部は、下方に向かうにつれて車両前後方向一方側へ傾斜することを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記フランジ部の下部には、前記脚部の下端部近傍において、下方に向かうにつれて前記脚部から離れるように車両前後方向に湾曲した湾曲部が設けられ、前記フランジ部における溶接箇所の下端部は、前記湾曲部から前記脚部の下端部よりも下方に延在することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、脚部の下方側端部とフランジ部の溶接箇所の下方側端部の高さが一致していないので、第1ブラケットに荷重が入力した場合に、フランジ部の溶接箇所の下方側端部とフランジ部の溶接箇所の下方側端部に荷重が集中することを抑制できる。
そのため、従来のように追加の補強部材をサイドフレームに設けることなく、軽量化とコスト低減を図りつつ、第1ブラケットとサイドフレームの接合部分の強度、耐久性の向上を図る上で有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、フランジ部は、この剛性が高いサイドフレームの下端近傍まで延びており、サイドフレームの下端近傍でサイドフレームの側面に溶接されているため、第1ブラケットとサイドフレームとの接合強度の向上を図る上でより有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、第2ブラケットを利用することにより、第1ブラケットとサイドフレームとの接合強度および耐久性の向上を図る上で有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、第2ブラケットの車両前後方向他方側端部の溶接箇所の上方近傍におけるサイドフレームの側面に車両前後方向他方側のフランジ部の下方側端部が溶接されているため、第1ブラケットとサイドフレームとの接合強度の向上を図る上でより有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、フランジ部の溶接箇所の下方側端部を、剛性の高いキックアップ部の下端近傍に極力短い距離で近づけることができ、第1ブラケットの軽量化を図りつつ、第1ブラケットとサイドフレームとの接合強度の向上を図る上でより有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、フランジ部の下方側端部寄りの溶接長さをより大きく確保でき、第1ブラケットとサイドフレームとの接合強度の向上を図る上で有利となり、また、荷重を分散して第1ブラケットとサイドフレームとの接合部分の耐久性の向上を図る上でより有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係る車両構造が適用された車両の構成を示す斜視図である。
【
図2】サイドフレームの後側キックアップ部およびサスペンション装置を車幅方向外側から見た側面図である。
【
図3】サイドフレームに接合された第2マウントブラケットを斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】サイドフレームに接合された第2マウントブラケットを車幅方向外側から見た側面図である。
【
図5】サイドフレームに接合された第2マウントブラケットを下方から見た下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態に係る車両構造について図面を参照して説明する。
なお、以下の図面において、符号FRは車両前方、符号UPは上方、符号HLは車幅方向を示す。
図1に示すように、本発明の実施の形態では、車両10が、不図示のキャブボディをシャシフレーム12で支持するフレーム車両10であり、具体的には、キャブボディと荷箱とをシャシフレーム12で支持するピックアップトラックである。
【0009】
シャシフレーム12は、一対のサイドフレーム20と、複数のクロスメンバ22、24、26、28、30を含んで構成されている。
一対のサイドフレーム20は、車幅方向に間隔をおいて車両前後方向に延在している。
一対のサイドフレーム20は、サイドフレーム20の前端から後方に延びる前側部20Aと、前側部20Aの後端から後方かつ下方に傾斜する前側キックアップ部20Bと、前側キックアップ部20Bの後端から後方に延びる中央部20Cと、中央部20Cの後端から後方かつ上方に延びる後側キックアップ部20Dと、後側キックアップ部20Dの後端から後方に延びる後側部20Eとを備える。
【0010】
一対のサイドフレーム20の前側部20Aと前側キックアップ部20Bには、不図示のエンジンおよびトランスミッションと前輪14が配置されている。
また、前側部20Aと前側キックアップ部20Bには、不図示のエンジンの動力を後輪16に伝達するプロペラシャフト36が一対のサイドフレーム20の車幅方向中央に設けられている。
前側キックアップ部20Bと後側キックアップ部20Dには、複数のキャブマウント32が設けられ、それらキャブマウント32を介して不図示のキャブボディを下方から支持している。
本実施の形態では、キャブマウント32は、前側キックアップ部20Bにそれぞれ設けられた一対の第1マウントブラケット56に支持された一対の第1キャブマウント32Aと、後側キックアップ部20Dにそれぞれ設けられた一対の第2マウントブラケット58に支持された一対の第2キャブマウント32Bとを含んで構成されている。
第2マウントブラケット58については後で詳述する。
【0011】
また、一対のサイドフレーム20の後側キックアップ部20Dと後側部20Eには、複数の荷箱支持ブラケット34が設けられ、それら荷箱支持ブラケット34を介して上記荷箱を下方から支持している。
【0012】
また、一対のサイドフレーム20の中央部20Cと後側キックアップ部20Dと後側部20Eには、リアアクスル18、後輪16が配置されている。
リアアクスル18は、プロペラシャフト36が連結され、車幅方向両端に後輪16が装着されている。
そして、リアアクスルハウジング18は、
図2に示すリアサスペンション装置40によってシャシフレーム12(車体)に懸架されている。本実施の形態では、リアサスペンション装置40はリーフスプリングタイプである。なお、
図1においてリアサスペンション装置40は図示省略している。
【0013】
図2、
図5に示すように、一対のサイドフレーム20は、上方を向いた上面2002と、上面2002の車幅方向内側から下方に延在する内側面2004と、上面2002の車幅方向外側から下方に延在する外側面2006と、それら内側面2004、外側面2006の下端を接続する下面2008とを備え、断面矩形状の閉断面構造を呈している。
【0014】
図1に示すように、複数のクロスメンバは、車両前後方向に間隔をおいた複数箇所で車幅方向に延在し一対のサイドフレーム20を連結している。
本実施の形態では、複数のクロスメンバは、第1、第2、第3、第4、第5クロスメンバ22、24、26、28、30の5つのクロスメンバを含んで構成され、それらの順番で前方から後方に並べられて配置されている。
一対のサイドフレーム20の車両前端は、車幅方向に延在するバンパビーム31で連結されている。
【0015】
図2に示すように、リアサスペンション装置40は、シャシフレーム12(車体)に対してリアアクスルハウジング18(
図1)を懸架するものである。
本実施の形態では、リアサスペンション装置40は、一対のリーフスプリング42、一対のショックアブソーバ44を含んで構成されている。
一対のリーフスプリング42は、その前端が後述するスプリングブラケット54を介して後側キックアップ部20Dの前端寄りの下部に支持され、後端がシャックルリンク50を介して後側部20Eの前端寄りの箇所に支持されている。
一対のリーフスプリング42の中間部は、連結具52を介してリアアクスルハウジング18に連結されている。
一対のショックアブソーバ44は、リアアクスルハウジング18から上方に延び、サイドフレーム20に接続される。
【0016】
図2に示すように、スプリングブラケット54は、一対のサイドフレーム20の後側キックアップ部20Dの下部で第2マウントブラケット58の下方にそれぞれ設けられている。
図4、
図5に示すように、スプリングブラケット54は、一対の側板部5402A、5402Bと、前板部5404と、連結板5406とを含んで構成されている。
一対の側板部5402A、5402Bは、車両上下方向かつ前後方向に延在した板状部材であり、その上縁と、前縁及び後縁の上部がそれぞれサイドフレーム20の内側面2004及び外側面2006に溶接され、サイドフレーム20より下方まで延びている。
図4に示すように、側板部5402Bの上縁の後部には上方に突出し外側面2006に溶接により取り付けられる凸部5410が設けられている。すなわち、凸部5410はスプリングブラケット54の後方側の端部の溶接箇所となっている。一対の側板部5402A、5402Bの中間部には、シャックルピン挿通孔5408が形成され、このシャックルピン挿通孔5408に挿通されたシャックルピンによりリーフスプリング42の前端が支持されている。
図5に示すように、前板部5404は、サイドフレーム20の下方で一対の側板部5402A、5402Bの前端を連結するように車幅方向に延びており、連結板5406は、サイドフレーム20の下方で一対の側板部5402A、5402Bの後端部分を連結している。
図4において、溶接箇所を記号*で示す。なお、溶接は、記号*が並べられた範囲にわたって連続するアーク溶接である。もちろん、溶接はスポット溶接で行ってもよい。
【0017】
図3-
図5に示すように、第2マウントブラケット58は、第2キャブマウント32Bを支持するものであり、スプリングブラケット54の上方の後側キックアップ部20Dに取り付けられている。
第2マウントブラケット58は、第2キャブマウント32Bを支持するブラケット上面部5802と、車両前後方向に離れて設けられた前脚部5804及び前フランジ部5808と、後脚部5806及び後フランジ部5810とを備えている。
【0018】
図3に示すように、ブラケット上面部5802は、車両前後方向および車幅方向に延在し、ブラケット上面部5802に第2キャブマウント32Bが載置されている。
なお、ブラケット上面部5802の車幅方向内側縁は、サイドフレーム20の上面2002に溶接されている。
【0019】
図3-
図5に示すように、前脚部5804は、ブラケット上面部5802の前部から車幅方向の幅を有して下方に延びている。
後脚部5806は、ブラケット上面部5802の後部から車幅方向の幅を有して下方に延びている。
本実施の形態では、
図4に示すように、後脚部5806は、下方に向かうにつれて車両後方側へ傾斜しており、前脚部5804は、ほぼ鉛直に延びている。
【0020】
図4に示すように、前フランジ部5808は、前脚部5804のサイドフレーム側端部(車幅方向内側端部)に接続され、サイドフレーム側端部から車両前方に突出する車両前後方向の幅を有して下方に延びている。
前フランジ部5808は、前脚部5804の下端部5804Aよりも下方まで延び、サイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。
詳細には、前フランジ部5808の前縁がその上端から下端にわたってサイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。
前フランジ部5808の下部には、前脚部5804の下端部5804A近傍において、下方に向かうにつれて車両前後方向において前脚部5804から離れる湾曲部5808Bが設けられている。本実施の形態では、湾曲部5808Bは、前フランジ部5808における前脚部5804の下端部5804Aの前方に位置する箇所が下方かつ前方に傾斜することで形成されている。そして、前フランジ部5808の湾曲部5808Bより下方側(以下、下端部5808Aとする)は、前脚部5804から前方に離れた箇所で前脚部5804の下端部5804Aよりも下方にまで延在している。
したがって、前フランジ部5808は、前脚部5804の下端部5804Aよりも下方まで延び、前脚部5804の下端部5804Aよりも下方側までサイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。
前フランジ部5808は、スプリングブラケット54の上方に位置するとともに、前フランジ部5808における溶接箇所の下端部5808Aは、スプリングブラケット54の側板部5402Bの前端部の溶接箇所5412の上方近傍に位置している。すなわち、前フランジ部5808はスプリングブラケット54の側板部5402Bの上縁近傍まで延びている。なお、前フランジ部5808とスプリングブラケット54の側板部5402Bの上縁との距離は近いほど好ましいが、製造誤差や溶接幅を考慮して間隔を設けるとよい。
【0021】
後フランジ部5810と後脚部5806との関係性は前フランジ部5808と前脚部5804との関係性とほぼ同様(前後が反転しただけ)であるため、詳細は省略する。
後フランジ部5810は、湾曲部5810Bを介して後脚部5806の下端部5806Aよりも下方まで延び、サイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。
また、後フランジ部5810は、下方に向かうにつれて後方に傾斜しながらサイドフレーム20の下端近傍まで延び、サイドフレーム20の下端近傍までサイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。
詳細には、後フランジ部5810の後縁がその上端から下端にわたってサイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。
後フランジ部5810の下部は、スプリングブラケット54より後方に位置し、後フランジ部5810における溶接箇所の下端部5810Aは、スプリングブラケット54の後端部の溶接箇所である凸部5410の後方近傍に位置し、凸部5410よりサイドフレーム20の下端側まで延びてサイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。この場合も、後フランジ部5810とスプリングブラケット54の側板部5402Bの後端(凸部5410後縁)との距離は近いほど好ましいが、製造誤差や溶接幅を考慮して間隔を設けるとよい。
【0022】
次に本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、第2マウントブラケット58の前フランジ部5808及び後フランジ部5810は、それぞれ前脚部5804の下端部5804A及び後脚部5806の下端部5806Aよりも下方まで延び、前脚部5804の下端部5804A及び後脚部5806の下端部5806Aよりも下方側までサイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。
したがって、前脚部5804の下端部5804Aと前フランジ部5808の溶接箇所の下端部5808Aの高さが一致しておらず、また、後脚部5806の下端部5806Aと後フランジ部5810の溶接箇所の下端部5810Aの高さが一致していない。
そのため、前脚部5804の下端部5804Aと前フランジ部5808の溶接箇所の下端部5808Aの高さが一致し、また、後脚部5806の下端部5806Aと後フランジ部5810の溶接箇所の下端部5810Aの高さが一致している場合に比較して、第2マウントブラケット58に荷重が入力した場合に、前フランジ部5808の溶接箇所の下端部5808Aと後フランジ部5810の溶接箇所の下端部5810Aに荷重が集中することを抑制できる。
したがって、従来のように追加の補強部材をサイドフレーム20に設けることなく、軽量化とコスト低減を図りつつ、第2マウントブラケット58とサイドフレーム20の耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0023】
また、サイドフレーム20の下端、すなわち下側稜線は剛性が高い箇所となっている。
本実施の形態によれば、後フランジ部5810は、この剛性が高いサイドフレーム20の下端近傍まで延びており、サイドフレーム20の下端近傍までサイドフレーム20の外側面2006に溶接されている。
そのため、第2マウントブラケット58とサイドフレーム20との接合強度の向上を図る上でより有利となる。
【0024】
また、本実施の形態によれば、後フランジ部5810は、スプリングブラケット54より後方に位置し、後フランジ部5810における溶接箇所の下端部5810Aは、スプリングブラケット54の後端部の溶接箇所である凸部5410の上端よりサイドフレーム20の下端側に位置している。
したがって、サイドフレーム20の外側面2006のスプリングブラケット54が接合されることで補強されている箇所周辺に後フランジ部5810を接合させつつ後フランジ部5810の溶接長を長くとることができるため、第2マウントブラケット58とサイドフレーム20との接合強度の向上を図る上でより有利となる。
また、後フランジ部5810の溶接箇所の下端部5810Aと、スプリングブラケット54の後端部の溶接箇所(凸部5410)との高さが一致していないので、後フランジ部5810の溶接箇所の下端部5810Aと、スプリングブラケット54の後端部の溶接箇所との高さが一致している場合に比較して、第2マウントブラケット58に入力された荷重とスプリングブラケット54に入力された荷重とがサイドフレーム20の外側面2006の1箇所に集中することを抑制でき、第2マウントブラケット58とサイドフレーム20との接合部分の耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0025】
なお、本実施の形態では、スプリングブラケット54に凸部5410を設けた場合について説明したが、凸部5410は省略してもよい。
しかしながら、凸部5410を設けると、スプリングブラケット54の上縁と後縁との接合部分に荷重が集中することを抑制でき、スプリングブラケット54とサイドフレーム20との接合部分の耐久性の向上を図る上でより有利となる。
【0026】
また、本実施の形態によれば、前フランジ部5808は、スプリングブラケット54の上方に位置するとともに、前フランジ部5808における溶接箇所の下端部5808Aは、スプリングブラケット54の前端部の溶接箇所5412の上方近傍に位置している。
したがって、スプリングブラケット54の前端部の溶接箇所5412が溶接されて補強されたサイドフレーム20の外側面2006の近傍に前フランジ部5808の溶接箇所の下方側端部5808Aが溶接されているため、第2マウントブラケット58とサイドフレーム20との接合強度の向上を図る上でより有利となる。また、剛性が高いサイドフレーム20の下端近傍まで前フランジ部5808を延ばす必要がなくなるので、前フランジ部5808の長さを短くすることができ、第2マウントブラケット58の軽量化を図ることができる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、第2マウントブラケット58は、後方に向かうにつれて上方へ傾斜する後側キックアップ部20Dに取り付けられ、後脚部5806は、下方に向かうにつれて後方へ傾斜している。
したがって、後フランジ部5810の溶接箇所の下端部5810Aを、後側キックアップ部20Dの下端近傍に極力短い距離で近づけることができ、第2マウントブラケット58の軽量化を図りつつ、第2マウントブラケット58とサイドフレーム20との接合強度の向上を図る上でより有利となる。なお、後脚部5806の車両上下方向に対する傾斜角度は、後側キックアップ部20Dの車両前後方向に対する傾斜角度と同等とすると、後フランジ部5810の溶接箇所の下端部5810Aを後側キックアップ部20Dの下端近傍に最短距離で近づけることができるので、好ましい。
【0028】
ところで、後脚部5806と同様に、前脚部5804を下方に向かうにつれて後方へ傾斜させ、前フランジ部5808における溶接箇所の下端部5808Aを、後側キックアップ部20Dの下端やスプリングブラケット54の上縁近傍に極力短い距離で近づけることで、第2マウントブラケット58の軽量化を図ることが考えられる。
しかしながら、この場合、第2マウントブラケット58に加わる車両上下方向の荷重に対して前脚部5804と後脚部5806が同方向に傾斜して延在するため、第2マウントブラケット58の強度が低下してしまう。よって、前脚部5804は後脚部5806とは異なる方向で傾斜(傾斜角度ゼロも含む)させることが好ましく、前フランジ部5808における溶接箇所の下端部5808Aを、後側キックアップ部20Dの下端やスプリングブラケット54の上縁近傍に極力短い距離で近づけることをあわせて考慮すると、前脚部5804は鉛直方向(車両上下方向)に沿って延在させることが最も好ましい。
【0029】
また、本実施の形態によれば、前フランジ部5808及び後フランジ部5810の下端部5808A、5810Aは、前脚部5804及び後脚部5806から離れるように湾曲した湾曲部5808B、5810Bを介して前脚部5804及び後脚部5806の下端部5804A、5806Aよりも下方に延在している。
したがって、前フランジ部5808、後フランジ部5810の下方側端部5808A、5810A寄りの溶接長さをより大きく確保でき、第2マウントブラケット58とサイドフレーム20との接合強度の向上を図る上で有利となり、また、荷重を分散して第2マウントブラケット58とサイドフレーム20との接合部分の耐久性の向上を図る上でより有利となる。
【0030】
なお、本実施の形態では、第2マウントブラケット58が特許請求の範囲に記載の第1ブラケットであり、スプリングブラケット54が特許請求の範囲に記載の第2ブラケットである場合について説明したが、第1、第2ブラケットはこれらに限定されるものではなく、その用途は任意である。
また、本実施の形態では、第1ブラケットが後側キックアップ部20Dに取り付けられた場合、すなわち後側キックアップ部20Dが特許請求の範囲に記載のキックアップ部である場合について説明したが、キックアップ部は前側キックアップ部20Bであってもよいし、第1ブラケットが取り付けられるサイドフレーム20の箇所はキックアップ部に限定されない。
【符号の説明】
【0031】
10 車両
12 シャシフレーム
14 前輪
16 後輪
18 リアアクスル
20 サイドフレーム
20A 前側部
20B 前側キックアップ部
20C 中央部
20D 後側キックアップ部
20E 後側部
2002 上面
2004 内側面
2006 外側面
2008 下面
22 第1クロスメンバ
24 第2クロスメンバ
26 第3クロスメンバ
28 第4クロスメンバ
30 第5クロスメンバ
31 バンパビーム
32 キャブマウント
32A 第1キャブマウント
32B 第2キャブマウント
34 荷箱支持ブラケット
36 プロペラシャフト
40 リアサスペンション装置
42 リーフスプリング
44 ショックアブソーバ
46 バンプラバー
50 シャックルリンク
52 連結具
54 スプリングブラケット
5402A、5402B 側板部
5404 前板部
5406 連結板
5408 シャックルピン挿通孔
5410 凸部
5412 前方側端部の溶接箇所
56 第1マウントブラケット
58 第2マウントブラケット
5802 ブラケット上面部
5804 前脚部
5804A 前脚部の下端部
5806 後脚部
5806A 後脚部の下端部
5808 前フランジ部
5808A 溶接箇所の下端部
5808B 湾曲部
5810 後フランジ部
5810A 溶接箇所の下端部