(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153836
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20221005BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/09 F
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056567
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 宏
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB02
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181HH05
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】信号機情報に基づく運転支援機能を有していない後方車両のドライバが前方の自車両の動きによって違和感を抱くことを抑制する。
【解決手段】運転支援装置10は、信号機の切換情報を含む信号機情報と信号機に対する自車両の位置を表す位置情報と後方車両の長さ情報を含む後方車両情報とを取得する情報取得部21と、取得された後方車両の長さ情報に基づいて、走行中の自車両の前端から後方車両の後端までの全体長さを算出する長さ算出部22と、信号機情報と位置情報と全体長さとに基づいて、自車両と後方車両とを含む車両全体が、信号機が設置された地点を通過または地点の手前で停車するための、自車両の目標車速または目標加速度を含む運転支援情報を導出する運転導出部23と、運転支援情報が導出される運転支援機能を自車両が有することを含む自車両情報を、通信ユニット11を介して後方車両に送信する出力部25と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ユニットと、
前記通信ユニットを介して信号機の切換情報を含む信号機情報を取得する信号機情報取得部と、
前記信号機に対する自車両の位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記通信ユニットを介して前記自車両の後方を走行する後方車両の長さ情報を含む後方車両情報を取得する後方車両情報取得部と、
前記後方車両情報取得部により取得された前記後方車両の前記長さ情報に基づいて、前記自車両の前端から前記後方車両の後端までの全体長さを算出する長さ算出部と、
前記信号機情報取得部により取得された信号機情報と、前記位置情報取得部により取得された位置情報と、前記長さ算出部により算出された前記全体長さとに基づいて、前記自車両と前記後方車両とを含む車両全体が、前記信号機が設置された地点を通過または前記地点の手前で停車するための、前記自車両の目標車速または目標加速度を含む運転支援情報を導出する導出部と、
前記運転支援情報が導出される運転支援機能を前記自車両が有することを含む自車両情報を、前記通信ユニットを介して前記後方車両に送信する出力部と、を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記導出部により導出された運転支援情報を前記自車両のドライバに報知する報知部をさらに備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の運転支援装置において、
前記通信ユニットを介して前記出力部により送信される前記自車両情報は、前記導出部により導出された前記運転支援情報を含むことを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの運転を支援する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、信号機が設置された道路を走行する車両のドライバに対し、車両が受信した信号機情報に基づいてアクセルオフ操作の開始タイミングを報知するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、信号機が設置された交差点をノンストップで通過可能となるような減速操作のタイミングを、表示部を介してドライバに報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、信号機情報に基づく運転支援機能を有する自車両の後方に、そのような運転支援機能を有しない後方車両が存在する場合に、信号機情報に基づいて自車両が減速すると、後方車両のドライバが違和感を抱くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である運転支援装置は、通信ユニットと、通信ユニットを介して信号機の切換情報を含む信号機情報を取得する信号機情報取得部と、信号機に対する自車両の位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部と、通信ユニットを介して自車両の後方を走行する後方車両の長さ情報を含む後方車両情報を取得する後方車両情報取得部と、後方車両情報取得部により取得された後方車両の長さ情報に基づいて、自車両の前端から後方車両の後端までの全体長さを算出する長さ算出部と、信号機情報取得部により取得された信号機情報と、位置情報取得部により取得された位置情報と、長さ算出部により算出された全体長さとに基づいて、自車両と後方車両とを含む車両全体が、信号機が設置された地点を通過または地点の手前で停車するための、自車両の目標車速または目標加速度を含む運転支援情報を導出する導出部と、運転支援情報が導出される運転支援機能を自車両が有することを含む自車両情報を、通信ユニットを介して後方車両に送信する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、信号機情報に基づく運転支援機能を有していない後方車両のドライバが、前方車両の動きによって違和感を抱くことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る運転支援装置を有する車両の走行シーンの一例を模式的に示す側面図。
【
図2A】本発明の実施形態に係る運転支援装置を有する車両の走行シーンの一例を模式的に示す平面図。
【
図2B】本発明の実施形態に係る運転支援装置を有する車両の走行シーンの他の例を示す模式的に示す平面図。
【
図3】本発明の実施形態に係る運転支援装置の要部構成を示すブロック図。
【
図4】本発明の実施形態に係る運転支援装置を有する車両の動作の一例を示す図。
【
図5】
図3のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図5を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る運転支援装置を有する車両(他車両と区別するために自車両と呼ぶ)の走行シーンの一例を示す図である。
図1に示すように、自車両100は車載装置100aを備える。車載装置100aは、道路に設けられた通信装置200から、通信装置200の前方に設置された信号機201の切換情報などの信号機情報を取得するとともに、信号機情報に基づいてドライバに目標車速情報などを報知する運転支援機能を有する。
【0009】
目標車速情報は、信号機201が設置された交差点を自車両100が停車せずに通過することが可能な目標車速範囲や目標加速度の情報、あるいは信号機201の手前で自車両100がスムーズに停車するための目標減速度の情報を含む。信号機は、停止命令を示す赤色と、進行可能を示す青色と、安全な停止が困難なときの進行可能を示す黄色とに、所定の周期で順次切り換わるように構成される。なお、信号機は、進行可能な方向を矢印で示す矢印信号機であってもよい。
【0010】
車載装置100aは、自車両100の周囲の他車両、特に自車両100の後方を走行する後方車両101,102の車載装置101a,102aと、通信ユニットを介してそれぞれ通信可能に、すなわち車車間通信可能に構成される。
図2A,
図2Bは、それぞれ自車両100の走行シーンの一例を示す平面図である。特に
図2Aは、自車両100の前方の信号機201の灯色が青色であり、信号機201が設置された交差点を自車両100が通過する例を、
図2Bは、信号機201の灯色が赤色であり、信号機201の手前の停止線202で自車両100が停車しようとする例を示す。
【0011】
図2A,
図2Bに示すように、後方車両101,102は、自車両100と同一の走行車線の後方に位置し、自車両100に連なって走行する車両である。例えば前方車両との間に所定の車間距離を保ちながら前方車両に追従走行する車両である。なお、後方車両101にとっては自車両100が前方車両であり、後方車両102にとっては後方車両101が前方車両である。
【0012】
図2A,
図2Bには、互いに所定距離内に位置する自車両100と後方車両101,102とが車車間通信している状況が二点鎖線で模式的に示される。なお、後方車両101,102は、車車間通信可能な通信機能を有するが、自車両100のように通信装置200から信号機情報を取得する機能を有しない。
【0013】
自車両100に連なって走行する後方車両101,102は2台に限らず、1台でもよく3台以上でもよい。例えば、自車両100と同一車線を走行するとともに、自車両100と車車間通信可能に設けられ、かつ、自車両100から第1所定距離内に位置する車両全てが後方車両である。前方車両との間の車間距離が第2所定距離内で、自車両100に順次連なる車両全体を後方車両としてもよい。このような自車両100と後方車両101,102の全体、すなわち自車両100と後方車両101,102とを含む単一の集団を、車両群110と呼ぶ。
【0014】
自車両100は、信号機情報に基づいて目標車速等を報知する運転支援機能を有するため、信号機201の切換を予測した走行が可能である。例えば前方の信号機201が現在青色であっても、自車両100が信号機201の設置された地点に到達するまでに青色から黄色に切り換わる場合、自車両100の減速指令が報知される。この指令に従ってドライバが減速操作することにより、自車両100のスムーズな減速が可能である。
【0015】
一方、後方車両101,102は、そのような運転支援機能を有しないため、前方の信号機201が青色であるのに前方の自車両100が減速すると、後方車両101,102のドライバは違和感を抱くおそれがある。そこで、後方車両101,102のドライバが違和感を抱くことがないよう、本実施形態は以下のように運転支援装置を構成する。
【0016】
図3は、本実施形態に係る運転支援装置10の要部構成を示すブロック図である。この運転支援装置10は、
図1の車載装置100aにより構成される。
図3に示すように、運転支援装置10は、コントローラ20を中心として構成され、コントローラ20にそれぞれ通信可能に接続された通信ユニット11と、測位センサ12と、距離検出器13と、モニタ14とを有する。
【0017】
通信ユニット11は、道路に設けられた光ビーコン、電波ビーコン等の通信装置200に無線通信可能に、すなわち路車間通信可能に構成される。具体的には、通信ユニット11は道路に設けられた通信装置200から、自車両100の進行方向に位置する信号機201、すなわち、自車両100が次に通過する交差点に設置された信号機201についての信号機情報を受信する。信号機情報には、信号機201の位置情報と、信号機201の灯色の切換時間の情報とが含まれる。切換時間の情報は、信号機201が現在青色の場合に、青色から黄色に切り換わるまでの残り時間の情報と、信号機が現在青色以外である場合に、次に青色に切り換わるまでの残り時間の情報などである。
【0018】
さらに通信ユニット11は、自車両100の周囲の他車両と無線通信可能に、特に後方車両101,102と無線通信可能(車車間通信可能)に構成される。通信ユニット11は、車車間通信により後方車両101,102の車両情報を受信する。車両情報は、予め後方車両101,102に固有の情報として記憶される後方車両101,102の長さ(全長)の情報を含む。なお、後方車両101,102がGPSセンサ等の位置検出器を有する場合、車両情報には位置情報が含まれる。
【0019】
測位センサ12は、測位衛星から送信された測位用の信号を受信する。測位衛星は、GPS衛星や準天頂衛星などの人工衛星である。測位センサ12が受信した測位情報を利用して、自車両100の現在位置(緯度、経度、高度)が測定される。なお、測位センサ12は、信号機201が設置された交差点の位置に対する自車両100の位置(信号機201までの距離等)を検出するために用いられる。したがって、測位センサ12に代えて自車両100から対象物(交差点近傍の物体)までの距離を検出する距離検出器(レーダやライダ等)を用いることもできる。
【0020】
距離検出器13は、レーザ光を照射して反射光を検出することで自車両100の周辺の物体の位置(自車両100からの距離や方向)を検出するライダ、電磁波を照射し反射波を検出することで自車両100の周辺の物体の位置を検出するレーダなどにより構成される。距離検出器13は、自車両100の後面に設けられ、自車両100から後方車両101までの距離を検出する。なお、後方車両101,102も同様の距離検出器を有しており、これにより後方車両101と後方車両102との間の車間距離が検出される。
【0021】
モニタ14は、車室内の前部のインストルメントパネルに向けられ、ドライバに対し各種情報を提供する。インストルメントパネルの近傍に配置されるナビゲーションユニットのディスプレイをモニタ14として用いることもできる。フロントガラスやフロントガラス近傍に設けられたパネルに画像を投影するヘッドアップディスプレイを、モニタ14として構成してもよい。
【0022】
コントローラ20は、通信ユニット11と測位センサ12と距離検出器13とからの信号に基づいて所定の処理を実行し、モニタ14に制御信号を出力する。コントローラ20は、CPU,ROM,RAMおよびI/Oインターフェース等のその他の周辺回路を有するコンピュータを含んで構成される。コントローラ20は、機能的構成として、情報取得部21と長さ算出部22と運転導出部23と報知制御部24と出力部25とを有する。
【0023】
情報取得部21は、通信ユニット11が受信した信号機情報および後方車両101,102の車両情報と、測位センサ12により検出された自車両100の現在位置の情報(位置情報)と、を取得する。すなわち、情報取得部21は、信号機情報を取得する信号機情報取得部と、自車両100の位置情報を取得する位置情報取得部と、後方車両101,102の車両情報(後方車両情報)を取得する後方車両情報取得部として機能する。
【0024】
長さ算出部22は、自車両100の前端から車両群110の後端部に位置する後方車両102の後端までの全体長さL0を算出する。
図4は、全体長さL0を模式的に示す図である。
図4に示すように、全体長さL0は、自車両100の長さL1と、自車両100から後方車両102までの車間距離ΔLと、後方車両102の長さL2とを加算することにより算出される。長さL1は、予めメモリに記憶されている。長さL2は、通信ユニット11を介して取得した後方車両102の車両情報に含まれる。
【0025】
車間距離ΔLは、距離検出器13により検出された自車両100から後方車両101までの車間距離ΔL1と、通信ユニット11を介して取得した後方車両101の車両情報に含まれる長さΔL2と、後方車両101,102により検出され、通信ユニット11を介して取得した後方車両101,102間の車間距離ΔL3とを加算することにより算出される。車間距離ΔLは一定ではなく、自車両100の加減速等により変化する。このような自車両100と後方車両101,102とを含む車両群110は、一台の大型車両(例えばトレーラ)110aとみなすことができる。なお、後方車両101,102がGPSセンサ等の測位センサを有する場合、測位センサにより検出された後方車両101,102の位置情報を取得して車間距離ΔLを算出するようにしてもよい。
【0026】
運転導出部23は、情報取得部21により取得された信号機情報および位置情報と、長さ算出部22により算出された全体長さL0とに基づいて、ドライバに推奨する推奨運転を導出する。具体的には、位置情報を用いて自車両100から信号機201が設置される交差点までの距離を算出するとともに、この距離と、車両群110の全体長さL0と、信号機情報に含まれる自車両100の前方の信号機201が青色から黄色に切り換わるまでの残り時間と、に基づいて、自車両100を含む車両群110が交差点を停車せずに通過可能な目標車速の範囲を算出する。すなわち、自車両100だけでなく後方車両101,102も交差点を通過することが可能な目標車速の範囲を算出する。目標車速範囲は、ドライバに推奨する推奨運転に含まれる。
【0027】
一方、運転導出部23は、車両群110が交差点を停車せずに通過することができないと判定すると、例えば自車両100が通過できない、あるいは自車両100は通過できるが後方車両102は通過できないと判定すると、信号機201の手前で自車両100がスムーズに停車するための目標車速の範囲を算出する。そして、現在の自車両100の車速が、目標車速を上回る場合に、推奨運転として減速指令を導出する。
【0028】
報知制御部24は、運転導出部23により導出された推奨運転の情報、すなわち運転支援情報を表示するようにモニタ14を制御する。例えば、交差点で停車せずに交差点を通過するための目標車速の画像を表示するとともに、交差点で停車する必要があるときは、減速指令の画像を表示するようにモニタ14を制御する。
【0029】
出力部25は、ドライバに対して提供された運転支援情報、換言すると、運転支援情報が導出される運転支援機能を自車両100が有することを含む自車両情報を、通信ユニット11を介して後方車両101,102の車載装置101a,102aに送信する。この情報は、例えば後方車両101,102のモニタに表示され、これにより後方車両101,102のドライバは、前方車両(自車両100)の現在の走行態様の理由を認識できる。例えば信号機201が青色から赤色に変化することを予測して自車両100が減速したのであるということを、認識できる。
【0030】
図5は、
図3のコントローラ20で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば自車両100の後方に自車両100と車車間通信することが可能な後方車両101,102が存在することを、コントローラ20が検出すると、開始され、コンピュータの動作周期に応じた所定周期で繰り返される。
【0031】
まず、ステップS1で、通信ユニット11を介して信号機情報と後方車両情報とを取得するとともに、測位センサ12による位置情報を取得する。次いで、ステップS2で、後方車両情報に含まれる後方車両101,102の長さを用いて、自車両100の前端から車両群110の後端部に位置する後方車両102の後端までの全体長さL0を算出する。
【0032】
次いで、ステップS3で、ドライバに推奨する推奨運転が導出されたか否かを判定する。自車両100が信号機201を通過するときには、信号機情報に基づいて推奨運転が導出される。したがって、ステップS3の判定は、自車両100が信号機201に接近しているか否かの判定に相当する。ステップS3で肯定されるとステップS4に進み、否定されるとステップS4、ステップS5をパスして処理を終了する。
【0033】
ステップS4では、目標車速や減速指令等の推奨運転の情報、すなわち運転支援情報がモニタ14に表示されるように、モニタ14に制御信号を出力する。次いで、ステップS15で、モニタ14に表示された運転支援情報を、通信ユニット11を介して後方車両101,102の車載装置101a,102aに送信し、処理を終了する。
【0034】
本実施形態に係る運転支援装置10の動作をより具体的に説明する。
図2Aに示すように、自車両100と自車両100に連なる後方車両101,102とが、車両群110として走行しているとき、自車両100のモニタ14には、信号機情報に基づいて目標車速が表示される(ステップS4)。この目標車速は、自車両100から後方車両102までが、交差点で停車せずに通過可能となる車速であり、車両群110の全体長さL0に基づいて算出される。これにより後方車両101,102は、信号機情報に基づく運転支援機能を有していないにも拘わらず、運転支援機能を有しているのと同様、信号機201の切換を予測した走行を行うことができる。
【0035】
一方、信号機201が現在青色であっても、車両群110が交差点を通過する前に、信号機201が黄色または赤色に変化すると判定されると、自車両100のモニタ14には、減速指令が表示される(ステップS4)。このとき、自車両100に対する減速指令の運転支援情報が、後方車両101,102の車載装置101a,102aに送信される(ステップS5)。これにより後方車両101,102のドライバは、自車両100が減速された場合に、その理由を認識することができ、違和感なく運転操作を行うことができる。
【0036】
この場合、自車両100のドライバに減速指令が出力されたことを、後方車両101,102のドライバが認識することで、後方の車両102から順番に減速を開始し、車間距離を確保しながら車両群110の全体が減速するように構成することができる。自車両100のモニタ14には、自車両100が赤信号で停車しているときに、信号機201が青色に切り換わるまでの残り時間の情報も表示される。この情報も通信ユニット11を介して後方車両101,102の車載装置101a,102aに送信される。これにより信号機201が赤色から青色に切り換わったときに、自車両100および後方車両101,120が同時に発進することができ、車両群110のスムーズな発信が可能となる。
【0037】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)運転支援装置10は、通信ユニット11と、通信ユニット11を介して信号機201の切換情報を含む信号機情報と、自車両100の後方を走行する後方車両101,102の長さ情報を含む後方車両情報とを取得するとともに、信号機201に対する自車両100の位置を表す位置情報を取得する情報取得部21(信号機情報取得部、後方車両情報取得部、位置情報取得部)と、情報取得部21により取得された後方車両102の長さ情報に基づいて、走行中の自車両100の前端から後方車両102の後端までの全体長さL0を算出する長さ算出部22と、情報取得部21により取得された信号機情報および位置情報と、長さ算出部22により算出された全体長さL0とに基づいて、自車両100と後方車両101,102とを含む車両全体が、信号機201が設置された交差点を通過または当該交差点の手前で停車するための、自車両100の目標車速または目標加速度を含む運転支援情報を導出する運転導出部23と、自車両100のドライバに対して提供された運転支援情報を、通信ユニット11を介して後方車両101,102に送信する出力部25と、を備える(
図3)。
【0038】
この構成により、自車両100が信号機情報に基づいて運転されていることを、後方車両101,102のドライバは気付くことができる。その結果、前方の信号機201が青色であるにも拘わらず自車両100が減速された場合に、後方車両101,102のドライが違和感を抱くことを防止することができる。したがって、信号機情報に基づく運転支援機能を有しない後方車両101,102が信号機情報に基づく運転支援機能を有する自車両100に連なって走行することにより、後方車両101,102は自車両100と同様、信号機201が設置された交差点を、違和感なくスムーズに走行することができる。
【0039】
(2)運転支援装置10は、運転導出部23により導出された運転支援情報を自車両100のドライバに報知するモニタ14をさらに備える(
図3)。これにより、自車両100のドライバは、自車両100と後方車両101,102とを含む車両群110の全体が交差点を通過するための目標車速等を、容易に認識することができる。その結果、自車両100と後方車両101,102とがあたかも一台の大型車両110aのような態様で、信号機201が設置された交差点を一体となって通過することができる。
【0040】
(3)通信ユニット11を介して出力部25により送信される自車両情報は、運転導出部23により導出された運転支援情報を含む。これにより、後方車両101,102のドライバは、後方車両101,102の加減速操作を適切なタイミングで行うことができる。
【0041】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、情報取得部21が、信号機情報と位置情報と後方車両情報とを取得するようにしたが、情報取得部21の構成、すなわち信号機情報取得部と位置情報取得部と後方車両情報取得部の構成は上述したものに限らない。すなわち、通信ユニット11を介して信号機201の切換情報を含む信号機情報を取得するのであれば、信号機情報取得部の構成はいかなるものでもよい。信号機201に対する自車両100の位置を表す位置情報を取得するのであれば、位置情報取得部の構成はいかなるものでもよい。通信ユニット11を介して自車両100の後方を走行する後方車両101,102の長さ情報を含む後方車両情報を取得するのであれば、後方車両情報取得部の構成はいかなるものでもよい。
【0042】
上記実施形態では、交差点に設置された信号機についての信号機情報を情報取得部21が取得するようにしたが、信号機情報は、横断歩道等の信号機の情報であってもよく、信号機が設置された地点は交差点に限らない。上記実施形態では、運転導出部23が、情報取得部21により取得された信号機情報および自車両100の位置情報と、長さ算出部22により算出された車両群110の全体長さとに基づいて、ドライバに推奨する推奨運転を導出するにした。具体的には、目標車速や目標加速度を含む運転支援情報を導出するようにしたが、車線変更の指令等、他の推奨運転を導出するようにしてよく、導出部の構成は上述したものに限らない。
【0043】
上記実施形態では、自車両100のドライバに対して提供された運転支援情報を、出力部25が通信ユニット11を介して後方車両101,102に対し送信するようにしたが、運転支援情報が導出される運転支援機能を自車両が有することを含む自車両情報を、通信ユニット11を介して後方車両101,102に送信するのであれば、他の情報を併せて送信するようにしてもよい。したがって、後方車両101,102に送信される自車両情報は上述したものに限らず、出力部25の構成も上述したものに限らない。上記実施形態では、報知制御部24が、運転導出部23により導出された運転支援情報を、モニタ14を介してドライバに報知するようにしたが、音声出力等によりドライバに報知するようにしてもよく、報知部の構成は上述したものに限らない。
【0044】
上記実施形態では、自車両100を手動運転車両として構成したが、自動運転機能を有する自動運転車両として構成してもよい。この場合、運転支援情報に応じてコントローラ20が自車両100の走行動作を制御するとともに、モニタ14への運転支援情報の表示を行わないようにしてもよい。
【0045】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 運転支援装置、11 通信ユニット、12 測位センサ、13 距離検出器、14 モニタ、20 コントローラ、21 情報取得部、22 長さ検出部、23 運転導出部、24 報知制御部、25 出力部、100 自車両、101,102 後方車両、201 信号機