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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153871
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】映像処理装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/377 20060101AFI20221005BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221005BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G09G5/36 520M
G09G5/00 510A
G09G5/36 520P
G09G5/00 550B
G09G5/00 510V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056619
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 拓人
(72)【発明者】
【氏名】今任 祐基
(72)【発明者】
【氏名】本橋 拓哉
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB26
5C182AC02
5C182AC13
5C182BB01
5C182CB52
5C182CB54
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】入力映像に重畳される画像について表示の異常が発生した際に、適切な映像を表示することが可能な映像処理装置を提供する。
【解決手段】逐次生成される画像の各々の1または複数の領域に所定の重畳画像が重畳された画像を入力画像として順次受信する受信部と、外部からの情報に基づいて合成用画像を順次生成する合成用画像生成部と、入力画像の1または複数の領域の部分を合成用画像で置換することにより合成画像を順次生成する映像合成部と、合成画像の1または複数の領域に異常があるか否かを検知する合成異常検知部と、合成画像に異常がないと検知された場合に、入力画像及び合成画像の各々の1または複数の領域を比較して両者が一致するか否かを判定する比較部と、両者が一致すると判定された場合には入力画像を出力し、一致しないと判定された場合には合成画像を出力する出力制御部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逐次生成される画像の各々の1または複数の領域に外部からの情報に基づいて所定の重畳画像が逐次選択的に重畳された画像を入力画像として順次受信する受信部と、
前記外部からの情報に基づいて前記入力画像の前記1または複数の領域に合成する合成用画像を順次生成する合成用画像生成部と、
前記入力画像の前記1または複数の領域の部分を前記合成用画像で置換することにより前記入力画像に前記合成用画像を合成した合成画像を順次生成する映像合成部と、
前記合成画像の前記1または複数の領域に異常があるか否かを検知する合成異常検知部と、
前記合成画像の前記1または複数の領域に異常がないと検知された場合に、前記入力画像及び前記合成画像の各々の前記1または複数の領域を比較して両者が一致するか否かを判定する比較部と、
前記入力画像及び前記合成画像の各々の前記1または複数の領域が一致すると判定された場合には前記入力画像を出力し、一致しないと判定された場合には前記合成画像を出力する出力制御部と、
を有することを特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
前記出力制御部は、前記合成異常検知部により前記合成画像の前記1または複数の領域に異常があると検知された場合、前記合成画像に異常があることを報知する画像を出力することを特徴とする請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記合成異常検知部は、誤り検出符号を用いて前記合成用画像について算出した値と所定の期待値とを比較することにより、前記合成画像の前記1または複数の領域に異常があるか否かを検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記比較部は、前記入力画像における前記重畳画像の画像領域と前記合成画像における前記重畳画像の画像領域とを比較することにより、両者が一致するか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記映像処理装置は、車両に搭載された表示装置の映像処理を行う装置であり、
前記所定の重畳画像は、前記車両についての警告表示を表す画像であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の映像処理装置。
【請求項6】
経時的に変化する状態を示す画像を逐次生成し、当該逐次生成した画像の各々の1または複数の領域に外部からの情報に基づいて所定の重畳画像を選択的に重畳することにより入力画像を生成する映像生成部と、
前記入力画像を順次受信する受信部と、
前記外部からの情報に基づいて前記入力画像の前記1または複数の領域に合成する合成用画像を順次生成する合成用画像生成部と、
前記入力画像の前記1または複数の領域の部分を前記合成用画像で置換することにより前記入力画像に前記合成用画像を合成した合成画像を順次生成する映像合成部と、
前記合成画像の前記1または複数の領域に異常があるか否かを検知する合成異常検知部と、
前記合成画像の前記1または複数の領域に異常がないと検知された場合に、前記入力画像及び前記合成画像の各々の前記1または複数の領域を比較して両者が一致するか否かを判定する比較部と、
前記入力画像及び前記合成画像の各々の前記1または複数の領域が一致すると判定された場合には前記入力画像を出力し、一致しないと判定された場合には前記合成画像を出力する出力制御部と、
前記出力制御部により出力された前記入力画像又は前記合成画像を表示する表示部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
制御信号を生成し、所定の時間間隔で出力する制御部と、
前記制御信号が前記所定の時間間隔で出力されているか否かを監視する監視部と、
を有し、
前記出力制御部は、前記監視部により前記制御信号が出力されていないと判定された場合には、前記制御部に異常があることを報知する報知画像を前記表示部に出力することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像処理装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両運転時における速度計やエンジン回転計(タコメーター)等のメーターの視認性を高めるため、これらの情報を液晶パネル等からなる車載用表示装置のディスプレイに表示させることが広く行われている。また、各種メーターの表示に加えて、OSD(On Screen Display)の機能を用いて、オイルランプ(油圧警告灯)等の警告灯を重ねて表示することが行われている。
【0003】
このような車載用表示装置において、一部に故障が発生した場合にも必要な情報の表示を可能とするため、複数の表示装置のうち故障と判定された表示装置の映像に代えて正常と判定された表示装置の映像を表示する車両用映像表示システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6658391号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなOSD機能を用いた警告灯等の表示(以下、警告表示と称する)は、運転者の安全に関わるため、常に正しい映像を表示することが要求される。しかし、入力映像を生成する映像生成部に故障等の異常が発生した場合、正しい警告表示を含む映像を表示することができない。そこで、入力映像に含まれる警告表示に代替するOSD画像を表示装置の内部で生成し、映像生成部に異常が発生した場合に、内部で生成したOSD画像を入力映像に合成して表示することが行われる。
【0006】
しかしながら、合成映像自体が壊れていないとは限らないため、結果的に誤った表示がなされてしまう場合がある。その結果、警告表示のような重大なサインについて運転者に適切に報知することができない虞があるという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、入力映像に含まれる重大な表示について異常が発生した際に、当該異常を検知して適切な映像を表示することが可能な映像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る映像処理装置は、逐次生成される画像の各々の1または複数の領域に外部からの情報に基づいて所定の重畳画像が逐次選択的に重畳された画像を入力画像として順次受信する受信部と、前記外部からの情報に基づいて前記入力画像の前記1または複数の領域に合成する合成用画像を順次生成する合成用画像生成部と、前記入力画像の前記1または複数の領域の部分を前記合成用画像で置換することにより前記入力画像に前記合成用画像を合成した合成画像を順次生成する映像合成部と、前記合成画像の前記1または複数の領域に異常があるか否かを検知する合成異常検知部と、前記合成画像の前記1または複数の領域に異常がないと検知された場合に、前記入力画像及び前記合成画像の各々の前記1または複数の領域を比較して両者が一致するか否かを判定する比較部と、前記入力画像及び前記合成画像の各々の前記1または複数の領域が一致すると判定された場合には前記入力画像を出力し、一致しないと判定された場合には前記合成画像を出力する出力制御部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る表示装置は、経時的に変化する状態を示す画像を逐次生成し、当該逐次生成した画像の各々の1または複数の領域に外部からの情報に基づいて所定の重畳画像を選択的に重畳することにより入力画像を生成する映像生成部と、前記入力画像を順次受信する受信部と、前記外部からの情報に基づいて前記入力画像の前記1または複数の領域に合成する合成用画像を順次生成する合成用画像生成部と、前記入力画像の前記1または複数の領域の部分を前記合成用画像で置換することにより前記入力画像に前記合成用画像を合成した合成画像を順次生成する映像合成部と、前記合成画像の前記1または複数の領域に異常があるか否かを検知する合成異常検知部と、前記合成画像の前記1または複数の領域に異常がないと検知された場合に、前記入力画像及び前記合成画像の各々の前記1または複数の領域を比較して両者が一致するか否かを判定する比較部と、前記入力画像及び前記合成画像の各々の前記1または複数の領域が一致すると判定された場合には前記入力画像を出力し、一致しないと判定された場合には前記合成画像を出力する出力制御部と、前記出力制御部により出力された前記入力画像又は前記合成画像を表示する表示部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る映像処理装置によれば、入力映像に含まれる重大な表示について異常が発生した際に、当該異常を検知して適切な映像を表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係る映像処理装置を含む表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例1に係る映像処理装置が実行する合成異常検知処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図3】本発明の実施例1に係る映像処理装置が実行する入力映像異常検知処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図4】本発明の実施例2に係る映像処理装置を含む表示装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施例2に係る映像処理装置が実行する制御信号監視処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0013】
図1は、本実施例の表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、例えば自動車等の車両に搭載される車載用の表示装置であり、車両の速度計や燃料計を示す映像(以下、メーター映像と称する)をディスプレイに表示させる。また、表示装置100は、ОSD(On Screen Display)の機能を用いて、これらの映像にオイルランプ(油圧警告灯)等の警告灯の表示(以下、警告表示と称する)を表す画像を合成して表示する。
【0014】
表示装置100は、制御MCU11、映像生成部12、ディスプレイ13、及び映像補正LSI14から構成されている。
【0015】
制御MCU(Memory Control Unit)11は、表示装置100の各部の動作を制御する処理制御部である。制御MCU11は、車両内部の各種センサ(図示せず)が取得した情報に基づいて、表示装置100を搭載する車両が警告灯の表示を必要とする状態(例えば、エンジンオイルの油圧が低下した状態)であることを検知し、警告表示を含む映像の表示を要求する表示要求信号DRを映像生成部12及び映像補正LSI14に供給する。表示要求信号DRは、複数の警告灯の表示のうちのいずれを警告表示として表示するかについての情報を含む。
【0016】
また、制御MCU11は、警告表示の画像についてのCRC期待値を映像補正LSI14に供給し、映像補正LSI14が生成した合成映像CVに異常がないかどうかを検知させる。
【0017】
映像生成部12は、経時的に変化する速度計や燃料計等の状態を表す画像を逐次生成する。この逐次生成される画像が複数フレームに亘って連続することにより、メーター映像が生成される。
【0018】
また、映像生成部12は、映像補正LSI14の外部に位置する制御MCU11から供給される情報である表示要求信号DRに基づいて、警告表示の画像を生成する。警告表示の画像は、OSD機能によりメーター映像に重畳される重畳画像(以下、OSD画像と称する)である。映像生成部12は、警告表示の画像をメーター映像に逐次選択的に重畳することにより、入力映像IVを生成する。警告表示の画像は、メーター映像内の所定の領域に重畳して表示される。以下の説明では、入力映像IVにおいて警告表示の画像が重畳される領域をOSD領域と称する。
【0019】
なお、映像生成部12は、制御MCU11から表示要求信号DRが供給された際に、メーター映像に警告表示の画像が合成された入力映像IVを生成する。制御MCUから表示要求信号DRが供給されない場合、映像生成部12は警告表示の画像を含まないメーター映像のみの入力映像IVを生成する。映像生成部12は、生成した入力映像IVを映像補正LSI14に供給する。
【0020】
ディスプレイ13は、例えば液晶表示パネルから構成されている。ディスプレイ13は、映像補正LSI14の制御に応じて、入力映像IV又は合成映像CVを画面に表示する。また、映像補正LSI14において合成映像CVの異常が検知された場合、ディスプレイ13は、制御MCU11の制御に応じて、合成映像CVに異常があることを報知するメッセージを画面に表示する。
【0021】
映像補正LSI(Large Scale Integration)14は、入力映像IVの入力を受け、これに基づいてディスプレイ13に表示する映像を生成及び出力する映像処理装置である。映像補正LSI14は、受信部20、メモリ21、OSD生成部22、合成部23、OSD比較部24、合成異常検知部25、OSD制御部26及び出力制御部27から構成されている。これらの各部は1チップのLSIに形成されている。
【0022】
受信部20は、映像生成部12から出力された入力映像IVを受信する。上記の通り、入力映像IVは複数フレームに亘って連続した画像から構成されており、受信部20は当該画像を順次受信する。
【0023】
メモリ21は、不揮発性の半導体メモリからなる記憶部であり、例えば映像補正LSIに内蔵された内部メモリ、又は映像補正LSIに装着可能なフラッシュメモリ等の外部メモリから構成されている。メモリ21は、OSD生成部22が警告表示をなすOSD画像を生成するための画像データを記憶する。
【0024】
OSD生成部22は、メモリ21から読み出した画像データに基づいて、合成部23が合成画像CVを生成するための合成用画像として、警告表示を表すOSD画像を生成する。なお、OSD生成部22が生成するOSD画像は、映像生成部12が生成する警告表示と同じ内容を表す警告表示を、映像生成部12とは別にOSD生成部22が独自に生成するものである。
【0025】
合成部23は、OSD生成部22が生成したOSD画像を入力映像IVに合成することにより、合成映像CVを生成する。より詳細には、合成部23は、入力映像IVのOSD領域の画像をOSD生成部22によって生成されたOSD画像で置換することにより、合成映像CVを生成する。
【0026】
OSD比較部24は、入力映像IVのOSD領域の画像と合成映像CVのOSD領域の画像とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。OSD比較部24は、OSD領域の全ピクセルについて一致するか否かを判定する。なお、本実施例では、一致率が99%以上である状態を「全ピクセルが一致する」と称し、一致率が99%未満である状態を「一致しないピクセルがある」と称する。また、一致率に設定される数値については一例であって適宜変更しても良い。
【0027】
合成異常検知部25は、合成部23により生成された合成映像CVに異常があるか否かを検知する。具体的には、合成異常検知部25は、合成映像CVのOSD領域についてCRC値を算出し、制御МCU11から供給されたCRC期待値と比較することにより、合成映像CVのOSD領域に異常があるか否かを検知する。
【0028】
OSD制御部26は、制御MCU11からの表示要求信号DRに基づいてOSD生成部22を制御し、OSD画像の生成を実行させる。例えば、OSD制御部26は、表示要求信号DRに含まれる警告表示についての情報(例えば、複数の警告灯のうちのいずれを表示するかについての情報)に基づいて、対応する警告表示の画像を生成するようにOSD生成部22を制御する。
【0029】
出力制御部27は、制御MCU11の制御に応じて、映像生成部12から供給された入力映像IV又は合成部23により生成された合成映像CVのいずれか一方を出力映像としてディスプレイ13に供給する。
【0030】
本実施例の表示装置100は、映像補正LSI14の内部で生成されたOSD画像を含む合成映像CVに異常がないかどうかを検知する「合成異常検知処理」、及び入力映像IVと合成映像CVとを比較して入力映像IVに異常がないかどうかを判定する「入力映像異常検知処理」を実行する。以下、これらの処理動作について説明する。
【0031】
まず、合成異常検知処理の処理動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施例の合成異常検知処理は、制御MCU11からOSD制御部26への表示要求信号DRの供給に応じて行われる。
【0032】
OSD生成部22は、メモリ21から画像データの読み出しを行う(STEP101)。
【0033】
OSD生成部22は、読み出した画像データを用いてOSD画像を生成する(STEP102)。
【0034】
合成部23は、OSD生成部22が生成したOSD画像を映像生成部12から供給された入力映像IVと合成し、合成映像CVを生成する(STEP103)。
【0035】
合成異常検知部25は、合成映像CVのOSD領域についてCRC値を算出し、算出したCRC値と制御MCUから供給されたCRC期待値とを比較する(STEP104)。
【0036】
合成異常検知部25は、毎映像フレーム毎に比較を行い、算出したCRC値とCRC期待値とが一致するか否か、すなわち合成映像CVに異常がないかどうかを監視する(STEP105)。
【0037】
算出したCRC値とCRC期待値とに不一致があると判定すると(STEP105:YES)、合成異常検知部25は、合成映像CVに異常があることを示す異常検出通知信号を制御MCUに送信する(STEP106)。
【0038】
制御MCU11は、合成異常検知部25からの異常検出通知信号の受信に応じて、合成映像CVに異常があることを報知するメッセージを表示するように要求する要求信号を出力制御部27に供給する。出力制御部27は、ディスプレイ13を制御し、合成映像CVに異常があることを報知するメッセージを表示させる(STEP107)。
【0039】
一方、STEP105でCRC値とCRC期待値とに不一致がないと判定すると(STEP105:NO)、合成映像CVに異常がないとして処理を終了する。
【0040】
以上のように、本実施例の表示装置100では、映像補正LSI14の内部に設けられたOSD生成部22がOSD画像を生成し、合成異常検知部25がそのOSD画像を含む合成映像CV(厳密には、合成映像CVのOSD領域)についてCRC値を用いて異常があるか否かを判定する。これにより、映像補正LSI14の内部で生成されるOSD画像に異常がないことが担保される。
【0041】
次に、入力映像異常検知処理の処理動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
映像生成部12は、警告映像を含む入力映像IVを要求する表示要求信号DRが制御MCU11から供給されたか否かを判定する(STEP201)。
【0043】
表示要求信号DRが供給されていないと判定すると(STEP201:NO)、映像生成部12は警告表示を含まない入力映像IV(すなわち、警告表示を示すOSD画像を含まないメーター映像のみの入力映像IV)の生成及び出力を行う。
【0044】
一方、表示要求信号DRがあると判定すると(STEP201:YES)、OSD比較部24は、映像生成部12から供給された警告映像を含む入力映像IVと、OSD生成部22が生成したOSD画像を用いて合成部23により生成された合成映像CVと、を比較する(STEP202)。
【0045】
OSD比較部24は、入力映像IV及び合成映像CVの全ピクセルについて比較を行い、一致しないピクセルがあるか否かを判定する(STEP203)。OSD比較部24は、判定結果を制御MCU11に供給する。
【0046】
制御MCU11は、OSD比較部24から一致しないピクセルがあることを示す判定結果を受けると(STEP203:YES)、入力映像IVに異常があると判定し、出力制御部27を制御して、合成映像CVをディスプレイ13に出力させる(STEP204)。
【0047】
ディスプレイ13は、映像補正LSI14の内部で生成されたOSD画像を含む映像である合成映像CVを画面に表示する(STEP205)。
【0048】
一方、一致しないピクセルはない(すなわち、全ピクセルで一致する)ことを示す判定結果をOSD比較部24から受けると(STEP203:NO)、制御MCU11は、入力映像IVは正常であると判定し、出力制御部27を制御して、入力映像IVをディスプレイ13に出力させる(STEP206)。
【0049】
ディスプレイ13は、映像生成部12で生成されたOSD画像を含む映像である入力映像IVを画面に表示する(STEP207)。
【0050】
以上のように、本実施例の表示装置100では、映像生成部12から供給された入力映像IVと映像補正LSI14の内部で生成されたOSD画像を含む合成映像CVとの一致比較を行う。上記の通り、合成異常検知処理によって合成映像CVに異常がないことは担保されているため、入力映像IVと合成映像CVとが一致する場合には入力映像IVに異常がないと判定され、入力映像IVがそのままディスプレイ13に表示される。一方、入力映像IVと合成映像CVとが一致しない場合には入力映像IVに異常があると判定され、入力映像IVの代わりに合成映像CVがディスプレイ13に表示される。
【0051】
本実施例の表示装置100によれば、映像生成部の故障等に起因する入力映像の異常が発生しているかどうかを検知し、異常発生時には入力映像に代えて適切な映像を表示することが可能となる。
【実施例0052】
次に、本発明の実施例2について説明する。図4は、本実施例の表示装置200の構成を示すブロック図である。表示装置200は、映像補正LSI14の内部に制御MCU11からの信号を監視する制御信号監視部31を有する点で、実施例1の表示装置100と異なる。
【0053】
本実施例の制御MCU11は、制御信号CSを所定の時間間隔で映像補正LSI14に供給する。この制御信号CSは、表示要求信号DRとは異なり、警告表示が必要であるか否かに関わらず、周期的に映像補正LSI114に供給される。
【0054】
制御信号監視部31は、制御MCU11からの制御信号CSを監視し、監視結果に基づいて出力制御部27を制御する。具体的には、制御信号監視部31は、制御MCU11からの制御信号CSを受信後、次の制御信号CSを所定時間内に受信したか否かを判定する。所定時間内に制御信号CSを受信していないと判定した場合、制御信号監視部31は、制御MCU11に異常があることを報知するメッセージを表示するように要求する要求信号を出力制御部27に供給する。出力制御部27は、ディスプレイ13を制御し、制御MCU11に異常があることを報知するメッセージを表示させる。
【0055】
本実施例の表示装置200が実行する制御信号監視処理の処理動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0056】
映像補正LSI14の制御信号監視部31は、制御MCU11からの制御信号CSを監視する(STEP301)。
【0057】
制御信号監視部31は、前の制御信号CSを受信してから所定時間以内に次の制御信号CSを受信したか否かを判定する(STEP302)。
【0058】
所定時間以内に制御信号CSを受信したと判定すると(STEP302:YES)、制御MCU11に異常がないと判定し(STEP303)、処理を終了する。
【0059】
一方、所定時間以内に制御信号CSを受信していないと判定すると(STEP302:NO)、制御信号監視部31は、制御MCU11に異常があると判定する(STEP304)。
【0060】
制御信号監視部31は、制御MCU11に異常があることを報知するメッセージを表示するように要求する要求信号を出力制御部27に供給する。出力制御部27は、ディスプレイ13を制御し、制御MCU11に異常があることを報知するメッセージを表示させる(STEP305)。
【0061】
以上のように、本実施例の表示装置200では、制御信号監視部31が制御MCU11からの制御信号CSを監視し、所定時間内に制御信号CSを受信しない場合には、制御MCU11に異常が発生していることを報知するメッセージをOSD画像として含む映像をディスプレイ13に表示する。
【0062】
本実施例の表示装置200によれば、映像生成部12の故障等に起因する入力映像IVの異常に加えて、制御MCU11の異常を検知し、その検知結果を報知することが可能となる。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例では、速度計や燃料計等のメーター映像を表示する場合を例として説明したが、これ以外にもカーナビゲーションの映像をディスプレイ13に表示するように構成されていてもよい。また、警告表示として表示するОSD画像はオイルランプに限られず、バッテリーランプやブレーキアシストシステムの警告灯等を警告表示として表示する構成であってもよい。
【0064】
また、上記実施例では、警告表示の画像がメーター映像内の所定の領域に重畳して表示されるとして説明を行ったが、当該所定の領域は1か所に限られず複数の領域であってもよい。すなわち、画面内の複数の位置に複数の警告表示の画像が表示されるように構成されていてもよい。
【0065】
また、上記実施例では、制御MCU11からOSD制御部26への表示要求信号DRの供給に応じて合成異常検知処理を実行する場合を例として説明した。しかし、これとは異なり、制御MCU11がOSD制御部26に合成異常検知処理の実行を要求する要求信号を所定の時間間隔で供給し、これに応じてOSD生成部によるOSD画像の生成、合成部23による合成映像CVの生成、及び合成異常検知部25による合成異常の検知を定期的に実行するように構成してもよい。かかる構成によれば、合成映像CVが正常であることを安定して担保することが可能となる。
【0066】
また、上記実施例の合成異常検知処理では、OSD画像を生成後、入力映像IVにOSD画像を合成して得られた合成映像CVについてCRC値を用いて異常検知を行う例について説明した。しかし、入力映像IVとの合成前、すなわちOSD画像の段階でCRC値を用いて異常検知を行ってもよい。
【0067】
また、上記実施例では、警告表示を要求する表示要求信号DRに応じて、入力映像異常検知処理を実行する場合を例として説明した。しかし、警告表示が要求されない場面でも入力映像検知処理を実行するように構成してもよい。例えば、制御MCU11は、警告表示の要求がない所定のタイミングでテスト信号を映像補正LSI14に供給する。映像補正LSIは、テスト信号に応じて、入力映像IVと合成映像CVとの比較を行う。かかる構成によれば、本来警告表示を行う必要がない場面で誤って警告表示がなされてしまうような不具合を防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
100,200 表示装置
11 制御MCU
12 映像生成部
13 ディスプレイ
14 映像補正LSI
21 メモリ
22 OSD生成部
23 合成部
24 OSD比較部
25 合成異常検知部
26 OSD制御部
27 出力制御部
31 制御信号監視部
図1
図2
図3
図4
図5