IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-表示システム 図1
  • 特開-表示システム 図2
  • 特開-表示システム 図3
  • 特開-表示システム 図4
  • 特開-表示システム 図5
  • 特開-表示システム 図6
  • 特開-表示システム 図7
  • 特開-表示システム 図8
  • 特開-表示システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153894
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20221005BHJP
   B60N 2/14 20060101ALI20221005BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20221005BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221005BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/14
B60N2/20
B60R16/02 640K
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056661
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
【テーマコード(参考)】
3B087
3D344
【Fターム(参考)】
3B087BA07
3B087BD03
3B087DE08
3B087DE10
3D344AA14
3D344AA19
3D344AB01
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】乗員の状態に応じて報知を行う車両の表示システムを提供する
【解決手段】車両の表示システムであって、車室に設けられた複数の表示装置と、複数の前記表示装置を制御する制御装置とを有し、前記表示装置は、前記車室に設けられた第1部材に設けられた第1表示装置と、前記車室に設けられ、前記第1部材と異なる第2部材に設けられた第2表示装置とを含み、前記制御装置は、自動運転モード及び手動運転モードを含む前記車両の運転モードを取得し、前記運転モードに基づいて車両情報を表示させる前記表示装置を選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の表示システムであって、
車室に設けられた複数の表示装置と、
複数の前記表示装置を制御する制御装置とを有し、
前記表示装置は、前記車室に設けられた第1部材に設けられた第1表示装置と、前記車室に設けられ、前記第1部材と異なる第2部材に設けられた第2表示装置とを含み、
前記制御装置は、自動運転モード及び手動運転モードを含む前記車両の運転モードを取得し、前記運転モードに基づいて車両情報を表示させる前記表示装置を選択する表示システム。
【請求項2】
前記車室には、運転席を構成するシートが設けられ、
前記シートは、前記車室の底部を構成するフロアに設けられたシートクッションと、前記シートクッションに回動可能に支持されたシートバックとを有し、
前記制御装置は、前記シートクッションに対する前記シートバックの角度であるリクライニング角を取得し、前記リクライニング角に基づいて前記車両情報を表示させる前記表示装置を選択する請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記車室には、運転席を構成するシートが設けられ、
前記シートクッションは、前記フロアに対して鉛直軸回りに回転可能に支持され、
前記制御装置は、前記フロアに対する前記シートクッションの角度である水平回転角を取得し、前記水平回転角に基づいて前記車両情報を表示させる前記表示装置を選択する請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記表示装置は、前記車両のピラー、ルーフ、ドアトリム、及びウインドウパネルから構成される群から選択される2つ以上に設けられている請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載の表示システム。
【請求項5】
前記車両情報は、前記運転モード、前記車両の速度、加速度、及び旋回方向の少なくとも1つを含む請求項1~請求項4のいずれか1つの項に記載の表示システム。
【請求項6】
前記車両のサイドウインドウには、電圧の印加に応じて透過率が変化する液晶調光フィルムが設けられ、
前記制御装置は、前記運転モードに基づいて前記液晶調光フィルムの透過率を変化させる請求項1~請求項5のいずれか1つの項に記載の表示システム。
【請求項7】
前記制御装置は、乗員によって操作されるスイッチからの信号に基づいて、前記液晶調光フィルムの透過率を変化させる請求項1~請求項6のいずれか1つの項に記載の表示システム。
【請求項8】
前記サイドウインドウと前記液晶調光フィルムとの間には、車外に向けて報知を行う車外報知装置が設けられている請求項6又は請求項7に記載の表示システム。
【請求項9】
前記車室内の乗員を検出する乗員検知センサを有し、
前記制御装置は、前記車室内に乗員が存在すると判定し、かつ前記液晶調光フィルムの透過率が所定値以下であると判定したときに、前記車外報知装置を作動させる請求項8に記載の表示システム。
【請求項10】
前記車両の周囲の物体を検出する車外物体センサを有し、
前記制御装置は、前記車外物体センサからの信号に基づいて前記車両の周囲に物体が存在するか否かを判定し、前記液晶調光フィルムの透過率が所定の判定値以下であり、かつ前記車両の周囲に物体が存在すると判定したときに前記表示装置に前記物体の接近に関する情報を表示させる請求項6~請求項9のいずれか1つの項に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の運転モードが自動運転モードから手動運転モードに切り替わるときに、運転者に前方に設けられた表示装置によってカウントダウンを行う表示システムを示している。表示装置は、Aピラーやフロントウインドウに設けられている。複数の表示装置は、段階的に消灯することによってカウントダウンを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6620774号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転車両では乗員が運転から解放されるため、乗員の姿勢や状態が多様化することが予想される。そのため、車両の表示システムは、乗員の姿勢や状態を考慮して報知を行うことが望ましい。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、乗員の状態に応じて報知を行う車両の表示システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両の表示システム(1)であって、車室(2)に設けられた複数の表示装置(30)と、複数の前記表示装置(30)を制御する制御装置(51)とを有し、前記表示装置(30)は、前記車室(2)に設けられた第1部材に設けられた第1表示装置と、前記車室(2)に設けられ、前記第1部材と異なる第2部材に設けられた第2表示装置とを含み、前記制御装置(51)は、自動運転モード及び手動運転モードを含む前記車両の運転モードを取得し、前記運転モード(59)に基づいて車両情報を表示させる前記表示装置(30)を選択する。
【0007】
この態様によれば、乗員の状態に応じて報知を行う車両の表示システムを提供することができる。乗員の状態は運転モードに応じて変化することが予想される。そのため、運転モードに基づいて車両情報を表示させる表示装置を選択することによって、乗員の状態に応じて報知を行うことができる。
【0008】
上記の態様において、前記車室(2)には、運転席を構成するシート(23)が設けられ、前記シート(23)は、前記車室(2)の底部を構成するフロア(3)に設けられたシートクッション(26)と、前記シートクッション(26)に回動可能に支持されたシートバック(27)とを有し、前記制御装置(51)は、前記シートクッション(26)に対する前記シートバック(27)の角度であるリクライニング角を取得し、前記リクライニング角に基づいて前記車両情報を表示させる前記表示装置(30)を選択するとよい。
【0009】
この態様によれば、乗員の姿勢に応じて報知を行う表示装置を変更することができる。
【0010】
上記の態様において、前記車室(2)には、運転席を構成するシート(23)が設けられ、前記シートクッション(26)は、前記フロア(3)に対して鉛直軸回りに回転可能に支持され、前記制御装置(51)は、前記フロア(3)に対する前記シートクッション(26)の角度である水平回転角を取得し、前記水平回転角に基づいて前記車両情報(60)を表示させる前記表示装置(30)を選択するとよい。
【0011】
この態様によれば、乗員の向きに応じて報知を行う表示装置を変更することができる。
【0012】
上記の態様において、前記表示装置(30)は、前記車両(M)のピラー(5~8)、ルーフ(4)、ドアトリム(21,22)、及びウインドウパネル(12~16)から構成される群から選択される2つ以上に設けられているとよい。
【0013】
この態様によれば、表示装置の位置を乗員の様々な姿勢や状態に対応させることができる。
【0014】
上記の態様において、前記車両情報は、前記運転モード、前記車両の速度、加速度、及び旋回方向の少なくとも1つを含むとよい。
【0015】
この態様によれば、乗員は様々な車両情報を取得することができる。
【0016】
上記の態様において、前記車両(M)のサイドウインドウ(13~15)には、電圧の印加に応じて透過率が変化する液晶調光フィルム(49)が設けられ、前記制御装置(51)は、前記運転モードに基づいて前記液晶調光フィルム(49)の透過率を変化させるとよい。
【0017】
この態様によれば、運転モードに応じて車内の明るさを変化させることができる。例えば、自動運転時には液晶調光フィルムの透過率を低下させ、車内を暗くすることができる。また、手動運転時には液晶調光フィルムの透過率を増加させ、車外を見やすくすることができる。
【0018】
上記の態様において、前記制御装置(51)は、乗員によって操作されるスイッチ(50)からの信号に基づいて、前記液晶調光フィルム(49)の透過率を変化させるとよい。
【0019】
この態様によれば、乗員によるスイッチの手動操作によっても液晶調光フィルムの透過率を変化させることができる。
【0020】
上記の態様において、前記サイドウインドウ(13~15)と前記液晶調光フィルム(49)との間には、車外に向けて報知を行う車外報知装置(52)が設けられているとよい。
【0021】
この態様によれば、サイドウインドウ(13~15)に車外報知装置(52)を設けることができる。車外報知装置(52)は、液晶調光フィルム(49)に阻害されることなく外部に向けて報知を行うことができる。
【0022】
上記の態様において、前記車室(2)内の乗員を検出する乗員検知センサ(53)を有し、前記制御装置(51)は、前記車室(2)内に乗員が存在すると判定し、かつ前記液晶調光フィルム(49)の透過率が所定値以下であると判定したときに、前記車外報知装置(52)を作動させるとよい。
【0023】
この態様によれば、車外報知装置によって車内に人がいることを報知することができる。
【0024】
上記の態様において、前記車両(M)の周囲の物体を検出する車外物体センサ(54)を有し、前記制御装置(51)は、前記車外物体センサ(54)からの信号に基づいて前記車両(M)の周囲に物体が存在するか否かを判定し、前記液晶調光フィルム(49)の透過率が所定の判定値以下であり、かつ前記車両(M)の周囲に物体が存在すると判定したときに前記表示装置(30)に前記物体の接近に関する情報を表示させるとよい。
【0025】
この態様によれば、液晶調光フィルムの透過率が低い場合において、車内の乗員は表示装置を見て車両の周囲に人等の物体が存在することを認識することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様は、車両の表示システム(1)であって、車室(2)に設けられた複数の表示装置(30)と、複数の前記表示装置(30)を制御する制御装置(51)とを有し、前記表示装置(30)は、前記車室(2)に設けられた第1部材に設けられた第1表示装置と、前記車室(2)に設けられ、前記第1部材と異なる第2部材に設けられた第2表示装置とを含み、前記制御装置(51)は、自動運転モード及び手動運転モードを含む前記車両の運転モードを取得し、前記運転モードに基づいて車両情報を表示させる前記表示装置(30)を選択する。
【0027】
この態様によれば、乗員の状態に応じて報知を行う車両の表示システムを提供することができる。乗員の状態は運転モードに応じて変化することが予想される。そのため、運転モードに基づいて車両情報を表示させる表示装置を選択することによって、乗員の状態に応じて報知を行うことができる。
【0028】
上記の態様において、前記車室(2)には、運転席を構成するシート(23)が設けられ、前記シート(23)は、前記車室(2)の底部を構成するフロア(3)に設けられたシートクッション(26)と、前記シートクッション(26)に回動可能に支持されたシートバック(27)とを有し、前記制御装置(51)は、前記シートクッション(26)に対する前記シートバック(27)の角度であるリクライニング角を取得し、前記リクライニング角に基づいて前記車両情報を表示させる前記表示装置(30)を選択するとよい。
【0029】
この態様によれば、乗員の姿勢に応じて報知を行う表示装置を変更することができる。
【0030】
上記の態様において、前記車室(2)には、運転席を構成するシート(23)が設けられ、前記シートクッション(26)は、前記フロア(3)に対して鉛直軸回りに回転可能に支持され、前記制御装置(51)は、前記フロア(3)に対する前記シートクッション(26)の角度である水平回転角を取得し、前記水平回転角に基づいて前記車両情報(60)を表示させる前記表示装置(30)を選択するとよい。
【0031】
この態様によれば、乗員の向きに応じて報知を行う表示装置を変更することができる。
【0032】
上記の態様において、前記表示装置(30)は、前記車両(M)のピラー(5~8)、ルーフ(4)、ドアトリム(21,22)、及びウインドウパネル(12~16)から構成される群から選択される2つ以上に設けられているとよい。
【0033】
この態様によれば、表示装置の位置を乗員の様々な姿勢や状態に対応させることができる。
【0034】
上記の態様において、前記車両情報は、前記運転モード、前記車両の速度、加速度、及び旋回方向の少なくとも1つを含むとよい。
【0035】
この態様によれば、乗員は様々な車両情報を取得することができる。
【0036】
上記の態様において、前記車両(M)のサイドウインドウ(13~15)には、電圧の印加に応じて透過率が変化する液晶調光フィルム(49)が設けられ、前記制御装置(51)は、前記運転モードに基づいて前記液晶調光フィルム(49)の透過率を変化させるとよい。
【0037】
この態様によれば、運転モードに応じて車内の明るさを変化させることができる。例えば、自動運転時には液晶調光フィルムの透過率を低下させ、車内を暗くすることができる。また、手動運転時には液晶調光フィルムの透過率を増加させ、車外を見やすくすることができる。
【0038】
上記の態様において、前記制御装置(51)は、乗員によって操作されるスイッチ(50)からの信号に基づいて、前記液晶調光フィルム(49)の透過率を変化させるとよい。
【0039】
この態様によれば、乗員によるスイッチの手動操作によっても液晶調光フィルムの透過率を変化させることができる。
【0040】
上記の態様において、前記サイドウインドウ(13~15)と前記液晶調光フィルム(49)との間には、車外に向けて報知を行う車外報知装置(52)が設けられているとよい。
【0041】
この態様によれば、サイドウインドウ(13~15)に車外報知装置(52)を設けることができる。車外報知装置(52)は、液晶調光フィルム(49)に阻害されることなく外部に向けて報知を行うことができる。
【0042】
上記の態様において、前記車室(2)内の乗員を検出する乗員検知センサ(53)を有し、前記制御装置(51)は、前記車室(2)内に乗員が存在すると判定し、かつ前記液晶調光フィルム(49)の透過率が所定値以下であると判定したときに、前記車外報知装置(52)を作動させるとよい。
【0043】
この態様によれば、車外報知装置によって車内に人がいることを報知することができる。
【0044】
上記の態様において、前記車両(M)の周囲の物体を検出する車外物体センサ(54)を有し、前記制御装置(51)は、前記車外物体センサ(54)からの信号に基づいて前記車両(M)の周囲に物体が存在するか否かを判定し、前記液晶調光フィルム(49)の透過率が所定の判定値以下であり、かつ前記車両(M)の周囲に物体が存在すると判定したときに前記表示装置(30)に前記物体の接近に関する情報を表示させるとよい。
【0045】
この態様によれば、液晶調光フィルムの透過率が低い場合において、車内の乗員は表示装置を見て車両の周囲に人等の物体が存在することを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】シートシステムを搭載した車両の車室の斜視図
図2】シートの斜視図
図3】液晶調光フィルムが設けられたサイドウインドウの断面図
図4】車外報知装置と液晶調光フィルムが設けられたサイドウインドウの断面図
図5】本発明における表示システムの構成を示す図
図6】表示装置の切替制御に係るフロー図
図7】液晶調光フィルムの制御に係るフロー図
図8】車外報知装置の制御に係るフロー図
図9】表示装置の車内報知制御に係るフロー図
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両Mの表示システム1の実施形態を説明する。
【0048】
図1に示すように、表示システム1は自動車等の車両Mに設けられる。車両Mは、車室2の底部を画定するフロア3と、車室2の上部を画定するルーフ4を含む。車室2の左右の側部のそれぞれには、前側からAピラー5、Bピラー6、Cピラー7、Dピラー8が間隔をおいて配置されている。Aピラー5とBピラー6の間の開口にはフロントドア9が設けられ、Bピラー6とCピラー7との間の開口にはリアドア10が設けられている。Cピラー7とDピラー8とは車体パネルによって互いに接続され、車体パネルの車内側にはリアサイドトリム11が設けられている。
【0049】
車室2の前部であって、左右のAピラー5の間には、フロントウインドウパネル12が設けられている。車室2の側部には、複数のサイドウインドウパネルが設けられている。第1サイドウインドウパネル13は、フロントドア9の上部に設けられている。第2サイドウインドウパネル14は、リアドア10の上部に設けられている。第3サイドウインドウパネル15は、リアサイドトリム11の上部に設けられている。車室2の後部には、リアウインドウパネル16が設けられている。リアウインドウパネル16は、左右の両端を左右のDピラー8によって画定されている。各サイドウインドウパネル13~15は、車内側にそれぞれ開閉可能に設けられたウインドウパネルをそれぞれ有する。各ウインドウパネル12~16はガラスや樹脂で形成されているとよく、本実施形態では、ガラスである。
【0050】
車室2の前部かつフロントウインドウパネル12の下方には、インストルメントパネル20が設けられている。インストルメントパネル20は、左右に向かって延びている。インストルメントパネル20は、後方を向く後面20Bを有する。後面は、上方に向けて傾斜していてもよい。フロントドア9の下部の車内側を向く面には、第1ドアトリム21が設けられている。リアドア10の下部の車内側を向く面には、第2ドアトリム22が設けられている。
【0051】
フロア3には、前側から、左右のフロントシート23と、左右のミッドシート24と、左右のリアシート25とが設けられている。左右のフロントシート23は左右のフロントドア9の間に設けられている。左右のミッドシート24は、左右のリアドア10の間に設けられている。左右のリアシート25は、左右のリアサイドトリム11の間に設けられている。
【0052】
図2に示すように、各シートは、車室2のフロア3に設けられたシートクッション26と、シートクッション26の後部に結合されたシートバック27と、シートバック27の上側に設けられたヘッドレスト28とを有する。シートクッション26は着座したユーザの臀部及び大腿部を下方から支持する着席部であり、その上面に着座面を構成している。シートバック27は着座したユーザの背部を後方から支持する背もたれ部である。
【0053】
各シートはそれぞれその位置を調節するための調節機構61を備えている。調節機構61は、シートクッション26をフロア3に対して鉛直軸B回りに回転させる回転機構を含む。また、各シートは、シートバック27をシートクッション26に対して水平軸A回りに所定範囲内で傾動させるリクライニング機構29を含む。
【0054】
車室2には、複数の表示装置30が設けられている。表示装置30は、車室2内の乗員に向けて光や文字、画像、映像等を出力する装置である。表示装置30は、例えば、液晶ディスプレイや有機パネルディスプレイ等のディスプレイや、複数のLEDから構成される発光装置を含む。本実施形態では、表示装置30は、液晶ディスプレイである。表示装置30は、車内の適所に設けられた第1~第14表示装置30A~30Nを含む。
【0055】
Aピラー5には、第1表示装置30Aが設けられている。第1表示装置30AはAピラー5に沿って上下に延びている。インストルメントパネル20には、第2表示装置30Bが設けられている。第2表示装置30Bは、インストルメントパネル20の車室2側を向く後面20Bに設けられ、インストルメントパネル20の左右の幅方向に延びている。第1ドアトリム21には、第3表示装置30Cが設けられている。第3表示装置30Cは、第1ドアトリム21に沿って前後に延びている。第2ドアトリム22には、第4表示装置30Dが設けられている。第4表示装置30Dは、第2ドアトリム22に沿って前後に延びている。ルーフ4には、複数の表示装置30が設けられている。ルーフ4の前部には、第5表示装置30Eが設けられ、ルーフ4の後部には第6表示装置30Fが設けられ、ルーフ4における第5表示装置30Eと第6表示装置30Fの間には第7表示装置30Gが設けられている。Bピラー6には、第8表示装置30Hが設けられている。第8表示装置30Hは、Bピラー6に沿って上下に延びている。Cピラー7には、第9表示装置30Iが設けられている。第9表示装置30Iは、Cピラー7に沿って上下に延びている。Dピラー8には、第10表示装置30Jが設けられている。第10表示装置30Jは、Dピラー8に沿って上下に延びている。リアサイドトリム11には、第11表示装置30Kが設けられている。第11表示装置30Kは、リアサイドトリム11に沿って前後に延びている。第1サイドウインドウパネル13には第12表示装置30Lが設けられている。第2サイドウインドウパネル14には第13表示装置30Mが設けられている。第3サイドウインドウパネル15には第14表示装置30Nが設けられている。
【0056】
各表示装置30は、設けられた位置に応じて以下の群に分けられる。第1グループ44は、第1表示装置30A、第2表示装置30B、及び第5表示装置30Eを含む。第2グループ45は、第3表示装置30C、第6表示装置30F、第8表示装置30H、及び第12表示装置30Lを含む。第3グループ46は、第4表示装置30D、第6表示装置30F、第9表示装置30I、及び第13表示装置30Mを含む。第4グループ47は、第7表示装置30G、第10表示装置30J、第11表示装置30K、及び第14表示装置30Nを含む。第5グループ48は、第5表示装置30E、第6表示装置30F、及び第7表示装置30Gを含む。
【0057】
車両Mの第1~第3サイドウインドウパネル13~15には、液晶調光フィルム49が設けられている。液晶調光フィルム49は、電圧を利用して透過率を制御する公知の調光フィルムである。液晶調光フィルム49は、例えば、第1~第3サイドウインドウパネル13~15に貼り付けられているとよい。あるいは、第1~第3サイドウインドウパネル13~15のガラスが複数の層を有する場合、液晶調光フィルム49は、複数の層の間に挟まれていてもよい。図3に示すように、本実施形態では、液晶調光フィルム49は、第1~第3サイドウインドウパネル13~15の車内側の側面に貼り付けられている。
【0058】
液晶調光フィルム49は、第1~第3サイドウインドウパネル13~15を通じて車室2に差し込む光を制御する。液晶調光フィルム49は、印加する電圧を変更することによって透過率を変更することが可能である。透過率は、制御装置51によって制御される。制御装置51は、例えば乗員によって操作されるスイッチ50信号に基づいて液晶調光フィルム49の透過率を制御してもよい。制御装置51は、液晶調光フィルム49に印加する電圧を制御することによって液晶調光フィルム49の透過率を変更する。液晶調光フィルム49に印加される電圧が低下すると、液晶調光フィルム49の透過率が低くなる。それにより、第1~第3サイドウインドウパネル13~15から車室2へ差し込む光が減少し、日中でも車室2内が暗く保たれる。一方、液晶調光フィルム49に所定の電圧が印加されると、液晶調光フィルム49の透過率が高くなる。それにより、第1~第3サイドウインドウパネル13~15から車室2内へ差し込む光が増加し夜間やトンネル内などにおいても、車外の光を車内に取り入れて、車内を明るく保つことが可能である。
【0059】
車両Mには、車外報知装置52が設けられている。車外報知装置52は、車室2内に乗員が存在することを光や音によって車外に報知する装置である。車外報知装置52は、光や音を出力する手段として、LED、液晶ディスプレイ、スピーカであるとよい。図4に示すように、本実施形態では、車外報知装置52はLEDであり、光によって車外に報知を行う。車外報知装置52は、第1~第3サイドウインドウパネル13~15と液晶調光フィルム49との間に設けられている。すなわち、車外報知装置52は、液晶調光フィルム49よりも車外側に設けられている。
【0060】
図2に示すように、シートクッション26の上部には、乗員検知センサ53が設けられている。詳細には、シートクッション26を構成するパッド(不図示)の上面と表皮材との間にセンサが配置されている。乗員検知センサ53は、荷重を検出する荷重センサである。乗員検知センサ53は、例えば圧電素子や、荷重に応じて変形し、接点が接続するメンブレンスイッチ等であってよい。乗員検知センサ53は、シートクッション26上に乗員が着座しているか否かを検出するために設けられている。本実施形態では、乗員検知センサ53はメンブレンスイッチであり、所定値以上の荷重が加わっている場合にON信号を出力する。
【0061】
車両Mには、車外物体センサ54(不図示)が設けられている。車外物体センサ54は、車両Mの周辺に存在する物体を検出するセンサである。車外物体センサ54は、超音波や赤外線によって車両Mの周辺の物体を検出するとよい。本実施形態では、車外物体センサ54は、車両Mの外面に設けられた超音波センサであり、カメラ55を含む。車外物体センサ54は、車両Mを中心とする所定の距離内に存在する物体を検出した場合にON信号を出力し、カメラ55を起動する。
【0062】
リクライニング機構29には、リクライニングセンサ56が設けられている。リクライニングセンサ56は、公知の角度センサであり、シートクッション26に対するシートバック27の角度を検出する。調節機構61には、回転角センサ57が設けられている。回転角センサ57は、公知の回転角センサであり、フロア3に対するシートクッション26の水平方向の回転角を検出する。
【0063】
制御装置51はいわゆるマイクロコンピュータによって構成された電子制御ユニット(ECU)であって、ROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース等を備える。図5に示すように、制御装置51は、スイッチ50と、走行制御装置58と、リクライニングセンサ56と、回転角センサ57と、車外物体センサ54と、乗員検知センサ53と、液晶調光フィルム49と、車外報知装置52と、表示装置30に所定の信号線を介して接続されている。制御装置51は、各種センサ、スイッチ50、走行制御装置58から信号を受信すると、その信号に基づいて表示装置30、液晶調光フィルム49、車外報知装置52を制御し、対応する処理を行わせる。
【0064】
制御装置51は、走行制御装置38に接続されている。走行制御装置58は、車両Mの走行を制御する装置である。制御装置51は、走行制御装置58から運転モード及び車両情報を取得する。運転モードとは、自動運転モードと手動運転モードを含む、運転の様式である。
【0065】
制御装置51は、表示装置30に接続されている。制御装置51は、取得した運転モードに基づき、車両情報を表示装置30に表示させる。制御装置51は、運転モードに基づき、車両情報を表示させる表示装置30を選択する。ここで表示する車両情報とは、運転モード、車両Mの速度、加速度、及び旋回方向等の車両Mに関する情報である。
【0066】
制御装置51は、自動運転モードで走行している車両Mの手動運転モード切替前に、乗員に対して手動運転を行うまでの準備を促すための画像やメッセージを表示装置30に表示する。手動運転を行うまでの準備を促すための画像やメッセージとは、例えば、自動運転モード終了前から、手動運転モード開始までの残り時間であるとよい。このとき、制御装置51は、手動運転モード開始までの残り時間を、数字の増減や時間の経過に伴って変化する図形等によって表示装置30に表示してもよい。
【0067】
あるいは、手動運転を行うまでの準備を促すための画像やメッセージとは、所定の時間の経過ごとに表示装置に表示される、手動運転への準備を促すメッセージであってもよい。このとき、制御装置51は、表示装置30に車両Mの速度を表示するとよい。
【0068】
制御装置51は、車両情報に基づき、安全運転を促すメッセージを表示装置30に表示してもよい。例えば、制御装置51は、手動運転モードにおいて、車両Mの速度が法定速度の範囲でない場合に、乗員に注意を促すメッセージを表示してもよい。また、制御装置51は、車両Mの加速度を表示し、加速度が所定の値よりも大きい場合に、乗員に注意を促すメッセージを表示装置30に表示してもよい。さらに、制御装置51は、車両Mが旋回する際に、旋回する旨や旋回方向について、乗員に注意を促すメッセージを表示装置30に表示してもよい。
【0069】
制御装置51は、リクライニングセンサ56に接続されている。制御装置51は、リクライニングセンサ56から、シートバック27のシートクッション26に対するリクライニング角を取得する。制御装置51は、取得したシートバック27のリクライニング角に基づいて、車両情報を表示させる表示装置30を選択する。具体的には、制御装置51は、シートバック27のリクライニング角が所定値以下の場合は、第1グループ44~第4グループ47の表示装置30を選択する。ここで、リクライニング角とは、フロントシート23の運転席側のシートバック27がA軸回りにリクライニングしていないときの角度を基準とする。すなわち、運転席のシートバック27が、鉛直方向に延びた状態を0度とし、シートバック27が後方に傾斜することによってリクライニング角が増加する。シートバック27のリクライニング角が所定値以上である場合、制御装置51は、第3グループ46、第4グループ47、及び第5グループ48の表示装置30を選択する。
【0070】
制御装置51は、回転角センサ57に接続されている。制御装置51は、回転角センサ57からフロア3に対するシートクッション26の水平回転角を取得する。制御装置51は、取得したシートクッション26の水平回転角に基づいて、車両情報を表示させる表示装置30を選択する。具体的には、シートクッション26の水平回転角が所定値以下の時、制御装置51は、第1グループ44及び第2グループ45の表示装置30を選択する。ここで、水平回転角とは、フロントシート23の運転席側のシートクッション26が、フロア3に対してB軸回りに回転していないときの角度を基準とする。すなわち、水平回転角は、運転席のシートクッション26が前方を向いている状態で0度となり、シートクッション26が後方を向いている状態で180度となる。シートの水平回転角が所定値以上の時、すなわち、運転席のシートクッション26が後方を向いているとき、制御装置51は、第3グループ46及び第4グループ47の表示装置30を選択する。
【0071】
制御装置51は、液晶調光フィルム49及びスイッチ50と接続されている。制御装置51は、走行制御装置58から取得した運転モードまたはスイッチ50からのON信号に基づいて、液晶調光フィルム49の透過率を制御する。具体的には、手動運転モード中は、液晶調光フィルム49の透過率を高くするとよい。自動運転モード中は、液晶調光フィルム49の透過率を低くするとよい。一方、自動運転モード中でも、スイッチ50からのON信号を受信した場合には、液晶調光フィルム49の透過率を高くする。
【0072】
制御装置51は、取得したシートクッション26の水平回転角に基づいて、液晶調光フィルム49の透過率を制御する。具体的には、シートクッション26の水平回転角が所定値以上である場合、液晶調光フィルム49の透過率を低くするとよい。制御装置51は、取得したシートバック27のリクライニング角に基づいて、液晶調光フィルム49の透過率を制御する。具体的には、リクライニング角が所定値以上である場合、液晶調光フィルム49の透過率を低くするとよい。
【0073】
制御装置51は、液晶調光フィルム49の透過率が低く、かつ、車内に乗員がいる場合に、車外報知装置52を制御する。具体的には、液晶調光フィルム49に電圧を印加してない状態で、かつ、乗員検知センサ53からのON信号を受信したときに、車外報知装置52のLEDを点灯させる。
【0074】
制御装置51は、液晶調光フィルム49の透過率が低く、かつ、車両Mの外部周辺に人や物が存在する場合に、表示装置30を制御する。具体的には、液晶調光フィルム49に電圧を印加していない状態で、かつ車外物体センサ54からのON信号を受信したときに、車外物体センサ54に設けられたカメラ55からの画像情報を取得する。制御装置51は、取得した画像情報を、表示装置30に表示する。
【0075】
以下では、制御装置51が行う表示装置30の切り替え処理について、図6を参照して説明する。
【0076】
制御装置51は、ステップST1において、車両Mの運転モードが自動運転であるかどうかを判定する。判定の結果、運転モードが自動運転である場合はステップST2を、運転モードが自動運転でない場合はST5を実行する。
【0077】
制御装置51は、ステップST2において、シートバック27のリクライニング角が所定値以上であるかどうかの判定を行う。判定の結果、リクライニング角が所定値以上である場合はステップST3を実行し、リクライニング角が所定値未満である場合はステップST4を実行する。
【0078】
制御装置51は、ステップST3において、第3グループ46、第4グループ47、及び第5グループ48の表示装置30を作動した後、処理を終了する。
【0079】
制御装置51は、ステップST4において、シートクッション26の水平回転角が所定値以上であるかどうかの判定を行う。判定の結果、水平回転角が所定値未満である場合はステップST5を実行し、水平回転角が所定値以上である場合はステップST6を実行する。
【0080】
制御装置51は、ステップST5において、第1グループ44及び第2グループ45の表示装置30を作動した後、処理を終了する。
【0081】
制御装置51は、ステップST6において、第3グループ46及び第4グループ47の表示装置30を作動した後、処理を終了する。
【0082】
次に、制御装置51が行う液晶調光フィルム49の制御処理について、図7を参照して説明する。
【0083】
制御装置51は、ステップST7において、車両Mの運転モードが自動運転であるかどうかを判定する。判定の結果、運転モードが自動運転である場合はステップST8を、運転モードが自動運転でない場合は処理を終了する。
【0084】
制御装置51は、ステップST8において、スイッチ50からのON信号を受けたかどうか判定する。スイッチ50からON信号を受けていない場合はステップST9を実行し、スイッチ50からON信号を受けている場合にはステップST11を実行する。
【0085】
制御装置51は、ステップST9において、シートバック27のリクライニング角が所定値以上であるかどうかの判定を行う。判定の結果、リクライニング角が所定値未満である場合はステップST10を実行し、リクライニング角が所定値以上である場合はステップST11を実行する。
【0086】
制御装置51は、ステップST10において、シートクッション26の水平回転角が所定値以上であるかどうかの判定を行う。判定の結果、取得した水平回転角が所定値以上である場合はステップST11を実行し、水平回転角が所定値未満である場合は処理を終了する。
【0087】
制御装置51は、ステップST11において、液晶調光フィルム49の透過率を低くし、処理を終了する。
【0088】
続いて、制御装置51が行う車外報知装置52の制御処理について、図8を参照して説明する。
【0089】
制御装置51は、ステップST12において、液晶調光フィルム49の透過率が所定値以下であるかどうかの判定を行う。判定の結果、液晶調光フィルム49の透過率が所定値以下である場合はステップST13を実行し、液晶調光フィルム49の透過率が所定値より高い場合は処理を終了する。
【0090】
制御装置51は、ステップST13において、乗員検知センサ53からのON信号を受信したかどうかの判定を行う。判定の結果、乗員検知センサ53からON信号を受信している場合はステップST14を実行し、乗員検知センサ53からON信号を受信していない場合は処理を終了する。
【0091】
制御装置51は、ステップST14において、車外報知装置52を作動し、処理を終了する。
【0092】
最後に、制御装置51が行う車両M周辺の物体に関する報知について、図9を参照して説明する。
【0093】
制御装置51は、ステップST15において、液晶調光フィルム49の透過率が所定値以下であるかどうかの判定を行う。判定の結果、液晶調光フィルム49の透過率が所定値以下である場合はステップST16を実行し、液晶調光フィルム49の透過率が所定値より高い場合は処理を終了する。
【0094】
制御装置51は、ステップST16において、車外物体センサ54からのON信号を受信したかどうかの判定を行う。判定の結果、車外物体センサ54からのON信号を受信している場合はステップST17を実行し、車外物体センサ54からのON信号を受信していない場合は処理を終了する。
【0095】
制御装置51は、ステップST17において、車外物体センサ54に設けられたカメラ55からの画像情報を取得し、ステップST18を実行する。
【0096】
制御装置51は、ステップST18において、表示装置30を作動する。このとき、取得した画像情報を表示装置30に表示し、処理を終了する。
【0097】
本実施形態の表示システム1は、車室2に設けられた複数の表示装置30と、表示装置30を制御する制御装置51を含み、運転モードに基づく乗員の状態に応じて車両情報を報知することができる。制御装置51は、シートバック27のシートクッション26に対するリクライニング角を取得し、リクライニング角に応じて表示装置30を選択するため、乗員の姿勢に応じて車両情報を報知することができる。また、制御装置51は、フロア3に対するシートクッション26の水平回転角を取得し、水平回転角に応じて表示装置30を選択するため、乗員の様々な視線の方向に応じて車両情報を報知することができる。表示装置30が車内の複数の部材に設けられていることで、乗員の様々な姿勢や視線の方向に対応することできる。表示装置30に表示される車両情報が、運転モード、車両Mの速度、加速度、旋回方向の少なくとも1つを含むため、乗員は、様々な車両情報を取得することができる。
【0098】
第1~第3サイドウインドウパネル13~15に液晶調光フィルム49が設けられ、運転モードや車室2に設けられたスイッチ50の操作に応じて液晶調光フィルム49の透過率を変更可能である。そのため、運転モードや乗員の好みに応じて車室2内の明暗を調節することができる。また、この態様により、表示装置30の表示が、車外から差し込む光により見えにくくなるのを防ぐことができる。
【0099】
車外報知装置52が、液晶調光フィルム49と第1~第3サイドウインドウパネル13~15の間に設けられていることで、液晶調光フィルム49の透過率が低い場合でも、車外に向けて車外報知装置52の報知を行うことが可能である。また、車室2内に乗員が存在し、液晶調光フィルム49の透過率が低い場合には、車外報知装置52を作動させる態様により、車内に乗員がいることを車外に報知することができる。この構成により、液晶調光フィルムの透過率が低く、車外から車内の様子が見えない場合でも、乗員の存在を知らせることができ、子供の車内への置き去り等のリスクを回避することができる。
【0100】
本実施形態の表示システム1は、車両M周辺の物体を検出する車外物体センサ54を設け、車外物体センサ54は、カメラ55を含む。ここで、液晶調光フィルム49の透過率が低く、かつ、車両M周辺に人などの物体が存在する場合には物体の情報を表示装置30に表示する。この態様により、液晶調光フィルム49の透過率が低い場合でも、表示装置30を見ることで車両Mの周辺の物体を確認することができる。
【0101】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、車外報知装置は、液晶調光フィルムの透過率が低く、かつ、車内に乗員がいない場合に報知を行ってもよい。この構成により、車外に対し、車内に乗員がいることを偽装することができ、車上荒らしなどの犯罪によるリスクを回避することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 :表示システム
M :車両
2 :車室
3 :フロア
4 :ルーフ
5 :Aピラー
6 :Bピラー
7 :Cピラー
8 :Dピラー
9 :フロントドア
10 :リアドア
11 :リアサイドトリム
13 :第1サイドウインドウパネル
14 :第2サイドウインドウパネル
15 :第3サイドウインドウパネル
20 :インストルメントパネル
26 :シートクッション
27 :シートバック
30 :表示装置
49 :液晶調光フィルム
50 :スイッチ
51 :制御装置
52 :車外報知装置
53 :乗員検知センサ
54 :車外物体センサ
56 :リクライニングセンサ
57 :回転角センサ
58 :走行制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9