(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153902
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20221005BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60H1/34 611A
F24F13/15 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056672
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(72)【発明者】
【氏名】山田 大貴
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081FA04
3L211BA05
3L211BA57
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】ガイドフィンの回動操作が行い難いという不具合を生じ難くすることが可能で、ガイドフィンを幅方向に長く形成されているように見せることが可能な風向調整装置を提供する。
【解決手段】本発明の風向調整装置(1)では、風向をガイドする少なくとも1つのガイドフィン(20)が、第1方向に沿って配されるとともに互いに隣接する少なくとも1つの第1フィン(26)と少なくとも1つの第2フィン(27)とを有し、第1フィン(26)と第2フィン(27)との間にフィン保持部(30)が設けられ、フィン保持部(30)は、第1方向に対して交差する第2方向に延びる薄板状の保持板部(31)を有し、保持板部(31)は、第1フィン(26)及び第2フィン(27)を回動自在に保持可能な厚さで、且つ、第1フィン(26)及び第2フィン(27)の回動に起因して第1フィン(26)及び第2フィン(27)の回動及び保持に影響する変形及び破損が生じない厚さを有するとともに、2mm以下の厚さを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風向をガイドする少なくとも1つのガイドフィンが回動可能に配される車両用の風向調整装置であって、
前記ガイドフィンは、第1方向に沿って配されるとともに互いに隣接する少なくとも1つの第1フィンと少なくとも1つの第2フィンとを有し、
前記第1フィンと前記第2フィンとの間にフィン保持部が設けられ、
前記フィン保持部は、前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる薄板状の保持板部を有し、
前記保持板部は、前記第1フィン及び前記第2フィンを回動自在に保持可能な厚さで、且つ、前記第1フィン及び前記第2フィンの回動に起因して前記第1フィン及び前記第2フィンの回動及び保持に影響する変形及び破損が生じない厚さを有するとともに、2mm以下の厚さを有する
ことを特徴とする風向調整装置。
【請求項2】
前記フィン保持部は、前記保持板部から前記第1方向の一方と他方とに円柱状に突出する少なくとも一対の保持軸部を有し、
前記第1フィン及び前記第2フィンは、前記保持軸部に回動可能に保持され、
前記保持板部は、前記保持軸部を保持可能な厚さで、且つ、前記第1フィン及び前記第2フィンの回動に起因して前記保持軸部の保持に影響する変形及び破損が生じない厚さを有する
請求項1記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風向をガイドするガイドフィンが回動可能に配される車両用の風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2016-13828号公報(特許文献1)には、吹き出す空気の風向を調整可能な風向調整装置(ベンチレーターとも言われる)が記載されている。
例えば特許文献1に記載されている風向調整装置は、回動可能なガイドフィン(可動フィン)を備えるエアアウトレットと、回動しない装飾フィンを備える装飾装置とを有する。ガイドフィンは、下流側端縁部に付設された回動軸を中心として装飾フィンに旋回可能に支承されている。特許文献1の風向調整装置では、ガイドフィンを上下に回動させることにより、風向を高さ方向に調整できる。また特許文献1には、装飾装置からエアアウトレットへの移行部がほとんどわからないように、エアアウトレットが良好に自動車内装に統合可能であるとの利点を有する旨が説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自動車車内の機能性を高めることや意匠性を向上させること等のために、車内に配されるインストルメントパネルの薄型化が求められることがある。また、それに伴い、インストルメントパネルに設けられる風向調整装置についても、ガイドフィンが風向をガイドするという機能を備えながら、薄型化や幅広化が進められている。
【0005】
通常、従来の風向調整装置では、幅方向に延びる各ガイドフィンが、ガイドフィンの左右の側端部でハウジング等のケース体に回動可能に支持されている。しかし、このような風向調整装置を幅方向に広くして設ける場合、各ガイドフィンも幅方向に長く形成されているため、例えばその長いガイドフィンの一部を摘まんで回動させるときに、ガイドフィンの回動操作が行い難くなる可能性や、ガイドフィンがケース体から外れる可能性があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ガイドフィンの回動操作が行い難いという不具合、及びガイドフィンが外れるという不具合を生じ難くすることが可能で、且つ、ガイドフィンを幅方向に長く形成されているように見せることが可能な風向調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明により提供される風向調整装置は、風向をガイドする少なくとも1つのガイドフィンが回動可能に配される車両用の風向調整装置であって、前記ガイドフィンは、第1方向に沿って配されるとともに互いに隣接する少なくとも1つの第1フィンと少なくとも1つの第2フィンとを有し、前記第1フィンと前記第2フィンとの間にフィン保持部が設けられ、前記フィン保持部は、前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる薄板状の保持板部を有し、前記保持板部は、前記第1フィン及び前記第2フィンを回動自在に保持可能な厚さで、且つ、前記第1フィン及び前記第2フィンの回動に起因して前記第1フィン及び前記第2フィンの回動及び保持に影響する変形及び破損が生じない厚さを有するとともに、2mm以下の厚さを有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る風向調整装置において、前記フィン保持部は、前記保持板部から前記第1方向の一方と他方とに円柱状に突出する少なくとも一対の保持軸部を有し、前記第1フィン及び前記第2フィンは、前記保持軸部に回動可能に保持され、前記保持板部は、前記保持軸部を保持可能な厚さで、且つ、前記第1フィン及び前記第2フィンの回動に起因して前記保持軸部の保持に影響する変形及び破損が生じない厚さを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の風向調整装置によれば、ガイドフィンの回動操作が行い難いという不具合、及びガイドフィンが外れるという不具合を生じ難くして、ガイドフィンが幅方向に長く形成されているように見せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る風向調整装置を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図1に示した風向調整装置を形成する第1フィン、第2フィン、及びフィン保持部を分解した状態で拡大して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施例に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、風向調整装置の全体形状、大きさ、及び材質は特に限定されず、変更することが可能である。
【実施例0012】
図1は、本実施例に係る風向調整装置を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示した風向調整装置の正面図である。
図3は、
図1に示した風向調整装置を形成する第1フィン、第2フィン、及びフィン保持部を分解した状態で拡大して示す分解斜視図である。
【0013】
図1に示した本実施例の風向調整装置1は、例えば、自動車の車室内におけるインストルメントパネルやセンターコンソール等の図示しない内装部材に装着されるものである。この風向調整装置1は、自動車に備えられた空調装置等に接続されることによって、その空調装置から供給される空気を車室内に吹き出すことが可能である。このような風向調整装置1は、空気吹出装置又はベンチレーターと呼ばれることもある。
【0014】
ここで、風向調整装置1に関して、前後方向とは、後述するガイドフィン20がニュートラルの位置(中央位置)に保持されているときに風向調整装置1から吹き出される空気の吹き出し方向に沿った方向を言う。また、前後方向は、風向調整装置1の長さ方向又は空気流通方向と言い換えることもできる。この場合、空気の流れの下流側を前方とし、空気の流れの上流側を後方とする。
【0015】
上下方向及び左右方向は、ニュートラルの位置のガイドフィン20を水平な状態に保持して風向調整装置1を吹出口側から見たときにおける垂直方向(高さ方向)及び水平方向(幅方向)である。この場合、垂直方向と水平方向とは、互いに直交(交差)している。
【0016】
本実施例の風向調整装置1は、供給される空気を内部に流通させるハウジング(ケース体)10と、ハウジング10の空気吹出口側の開口部に配される複数のガイドフィン20と、各ガイドフィン20を幅方向の中央部で保持するフィン保持部30とを有する。この風向調整装置1は、幅方向に沿って互いに平行に配される3つのガイドフィン20(後述する上側ガイドフィン21、中央ガイドフィン22、及び下側ガイドフィン23)を有しており、ガイドフィン20を回動(回転)させることによって、車室内に吹き出す空気の向きを高さ方向に変えること(風向をガイドすること)ができる。
【0017】
ハウジング10は、略角筒状のリア部11と、リア部11の前端部(下流側端部)に段差を介して形成されるフロント部12とを有する。フロント部12は、前後方向に直交する断面の面積をリア部11よりも大きくして形成されている。ハウジング10内には、図示しない空調装置から供給される空気を前方へ流通させる空気流路が前後方向に沿って形成されている。
【0018】
フロント部12は、幅方向に長く形成された上壁部12a及び下壁部12bと、上壁部12a及び下壁部12bの左右側縁部間に配される左右の側壁部12cとを有する。フロント部12における上壁部12a及び下壁部12bの幅方向の中央部には、フィン保持部30の後述する上板部33及び下板部34をそれぞれ嵌着させる図示しない嵌着凹部がそれぞれ設けられている。
【0019】
フロント部12における左右の各側壁部12cには、各ガイドフィン20を回転可能に保持する図示しない3つの外側保持軸部がそれぞれ設けられている。それぞれの外側保持軸部は、左右の側壁部12cから幅方向の内側に向けて、幅方向に沿って円柱状に突出している。
【0020】
本実施例のガイドフィン20は、上壁部12a寄りに配される上側ガイドフィン21と、上下方向の略中央部に配される中央ガイドフィン22と、下壁部12b寄りに配される下側ガイドフィン23とを有する。上側ガイドフィン21、中央ガイドフィン22、及び下側ガイドフィン23は、それぞれ幅方向に沿って配されているとともに、互いに平行に配されている。また、各ガイドフィン20をニュートラルの位置(中央位置)で保持したときに、各ガイドフィン20の前端部(後述する摘まみ部24を除く)は、前後方向に関して、互いに対応する同じ位置に揃えられている。
【0021】
上側ガイドフィン21、中央ガイドフィン22、及び下側ガイドフィン23は、それぞれ、フィン保持部30を間に挟んで幅方向に互いに隣接する左側フィン(第1フィン)26及び右側フィン(第2フィン)27を有する。各ガイドフィン20の左側フィン26及び右側フィン27は、それぞれ、幅方向に細長い薄板状に、又は薄板に近い形状に形成されている。
【0022】
本実施例において、上側ガイドフィン21、中央ガイドフィン22、及び下側ガイドフィン23の各左側フィン26は、図示しない左側リンク部材によって、それぞれの回動(回転)が連動するように互いに連結されている。上側ガイドフィン21、中央ガイドフィン22、及び下側ガイドフィン23の各右側フィン27も、図示しない右側リンク部材によって、それぞれの回動が連動するように互いに連結されている。
【0023】
中央ガイドフィン22の左側フィン26及び右側フィン27には、摘まみ部24が、それぞれの幅方向の中央部に設けられている。この摘まみ部24を指で摘まんで、中央ガイドフィン22の左側フィン26又は右側フィン27を上下方向に移動させることによって、高さ方向に並べられている3つの左側フィン26又は右側フィン27を同時に回動させることができる。これによって、風向調整装置1から吹き出す空気の向き(風向)をガイドできる。
【0024】
各左側フィン26は、それぞれ、左側フィン26の左側端部に設けられるとともに上述した図示しない外側保持軸部が挿入される外側軸受孔28と、左側フィン26の右側端部に設けられるとともにフィン保持部30の後述する内側保持軸部32が挿入される内側軸受孔29とを有する。各右側フィン27も、左側フィン26と同様に、外側軸受孔28と内側軸受孔29とをそれぞれ有する。
【0025】
本実施例において、各外側軸受孔28及び各内側軸受孔29は、左側フィン26及び右側フィン27における前後方向の中央位置よりも後ろ側に設けられている。これにより、フィン保持部30の後述する保持板部31の前端部を、前後方向に関して、ガイドフィン20の前端部の位置よりも後方側に配置することが可能となる。
【0026】
なお本発明において、ガイドフィン20に設ける外側軸受孔28と内側軸受孔29の位置は特に限定されない。例えば外側軸受孔28と内側軸受孔29の位置をガイドフィン20の前端部に設けることによって、ガイドフィン20を回動させたときにガイドフィン20の前端部を軸にしてガイドフィン20を回動させることができる。その結果、ガイドフィン20の回動時に、ガイドフィン20の前端部(ガイドフィン20の前端エッジ部)の位置が動かないように見せることができ、それによって、風向調整装置1の見栄えや意匠性を高めることが可能となる。
【0027】
本実施例のフィン保持部30は、
図3に示したように、風向調整装置1の高さ方向に薄板状に延びる保持板部31と、保持板部31から幅方向に円柱状に突出する内側保持軸部32と、保持板部31の上端部から幅方向に延びる上板部33と、保持板部31の下端部から幅方向に延びる下板部34とを有する。
【0028】
保持板部31は、幅方向の寸法(厚さ)が小さく、高さ方向に長い薄板状に形成されている。この場合、保持板部31は、各左側フィン26及び各右側フィン27を回動自在に保持可能な厚さ(幅方向の寸法)を有しており、また、各左側フィン26及び各右側フィン27の回動に起因して左側フィン26及び右側フィン27の回動及び保持に影響する変形及び破損が生じない厚さを有する。更に、保持板部31は、円柱状の内側保持軸部32を保持可能な厚さで、且つ、各左側フィン26及び各右側フィン27の回動に起因して内側保持軸部32の保持に影響する変形及び破損が生じない厚さを有する。これにより、保持板部31は、薄板状に形成されていても、適切な強度を安定して確保し、左側フィン26及び右側フィン27を安定して回動させることができる。
【0029】
また、保持板部31は、2mm以下の厚さを有する。更に、保持板部31は、保持板部31を幅方向に撓ませることが可能な厚さを有して形成されていてもよい。また本実施例の場合、保持板部31は、円柱状の内側保持軸部32の直径よりも小さい厚さを有する。保持板部31がこのような厚さで形成されていることにより、風向調整装置1を前方側(吹き出し口側)から見たときに、保持板部31が視認され難くすることができる。本実施例において、保持板部31の前後方向の寸法は特に限定されない。
【0030】
風向調整装置1が組み立てられた状態において、保持板部31の前端部は、前後方向に関して、ニュートラルの位置(中央位置)で保持された各ガイドフィン20の前端部(前端エッジ部)の位置よりも後方側に配されている。これにより、風向調整装置1を前方側から見たときに、保持板部31をより視認され難くすることができる。
【0031】
フィン保持部30には6つの内側保持軸部32が設けられている。この場合、左右一対の内側保持軸部32が、保持板部31の左側面及び右側面の互いに対応する位置から、幅方向の外側に向けて突出している。本実施例の場合、左右で一対とする3対(3組)の内側保持軸部32が、上側ガイドフィン21、中央ガイドフィン22、及び下側ガイドフィン23の位置にそれぞれ対応して設けられている。内側保持軸部32を幅方向の外側から見たときにおける各内側保持軸部32の直径は、左側フィン26及び右側フィン27の厚さ(高さ方向の寸法)よりも小さく設定されている。
【0032】
フィン保持部30の上板部33及び下板部34は、フィン保持部30の平面視(不図示)又は底面視(不図示)において、四角形を呈するように、特に本実施例の場合は正方形又は正方形に近い四角形を呈するように、形成されている。フィン保持部30の上板部33及び下板部34は、保持板部31から互いに幅方向の反対側の向きに、幅方向に沿って延びている。すなわち、風向調整装置1を前方側から見たときに、上板部33は、保持板部31の上端部から右側(幅方向の一方側)に延びており、下板部34は、保持板部31の下端部から左側(幅方向の他方側)に延びている。このようなフィン保持部30の上板部33及び下板部34を、ハウジング10のフロント部12に設けた図示しない嵌着凹部に嵌着させることによって、フィン保持部30をフロント部12に容易に固定できるため、ハウジング10に対するフィン保持部30の組み付け性(組立作業性)を向上させることができる。なお本実施例では、フィン保持部30をハウジング10に組み付けるときに、フィン保持部30の上板部33及び下板部34に接着剤を塗布することによって、フィン保持部30の上板部33及び下板部34をハウジング10に接着して固定してもよい。
【0033】
以上のような本実施例の風向調整装置1では、各ガイドフィン20の左側フィン26と右側フィン27との間に、厚さ(幅方向の寸法)が薄く且つ適切な強度を備えた保持板部31を有するフィン保持部30が配されており、このフィン保持部30によって、左側フィン26及び右側フィン27の幅方向の一端部(内側端部)が回動可能に保持されている。これにより、風向調整装置1が幅方向に長く形成されていても、分割されることにより左側フィン26及び右側フィン27を幅方向に短く形成し易くすることができる。それによって、ガイドフィンの回動操作が行い難い、及びガイドフィン20が外れるといった不具合を生じ難くすることができる。
【0034】
また、本実施例の風向調整装置1によれば、各ガイドフィン20を幅方向に長く形成されているように見せ易くすることができる。
【0035】
ここで、本実施例の風向調整装置1における上述の効果について、比較例を挙げて比べることによって説明する。例えば風向調整装置を幅方向に長く形成する場合に、ガイドフィンの左側フィンと右側フィンの間の位置に、強度を高めるために幅方向に太く形成される垂直柱をハウジングに一体的に設け、且つ、その垂直柱に本実施例のような内側保持軸部を突設して左側フィン及び右側フィンを回動可能に保持することが考えられる。これにより、ガイドフィンに関する上述した不具合を生じ難くすることも可能である。
【0036】
しかしながら、この場合、風向調整装置の幅方向の中央部に設けた垂直柱が、風向調整装置の前方側から見え易くなり、また、この垂直柱によって、各ガイドフィンにおける左側フィンと右側フィンが完全に分断される。このため、風向調整装置を幅方向に長く形成した場合でも、各ガイドフィンを幅方向に長く形成されているように見せることができず、その結果、風向調整装置の外観品質の向上を困難にしていた。
【0037】
これに対し、本実施例の風向調整装置1によれば、薄い保持板部31を備えたフィン保持部30を左側フィン26と右側フィン27との間に設けたことによって、ガイドフィン20に関する上述した不具合を生じ難くすることができるだけでなく、保持板部31を、上述したように、前方側から視認させ難くすることができるため、上側ガイドフィン21、中央ガイドフィン22、及び下側ガイドフィン23をそれぞれ幅方向に長く形成されているように見せることができる。その結果、風向調整装置1の見栄え又は意匠性を容易に向上させ、風向調整装置1の外観品質を高めることができる。更に、保持板部31が幅方向に細く形成されることによって、風向調整装置1の吹き出し口の開口面積をより大きく確保できるため、通風効率が向上することも期待できる。
【0038】
また、本実施例の風向調整装置1は、フィン保持部30をハウジング10と別部材として形成し、そのフィン保持部30をハウジング10に組み付ける構造を有する。これにより、例えば上述した比較例のように、垂直柱がハウジングに一体的に形成されている場合に比べて、風向調整装置1を組み立てやすくすることができる。また、フィン保持部30がハウジング10に組み付けられることによって、ハウジング10が補強されるため、風向調整装置1が、車両への使用に耐え得る強度を確保し易くすることができる。
【0039】
なお、上述した実施例の風向調整装置1は、幅方向に沿った3つのガイドフィン20が上下方向に並べられて形成されている。しかし、本発明の風向調整装置において、ガイドフィンの枚数、及び、ガイドフィンの向きは特に限定されない。例えば本発明の風向調整装置は、1つ若しくは2つのガイドフィン、又は、4つの以上のガイドフィンを有していてもよい。また、本発明の風向調整装置では、1つ又は複数のガイドフィンが、風向調整装置の高さ方向に沿って、又は、風向調整装置の幅方向に対して傾斜した角度に沿って配されていてもよい。
【0040】
更に、上述した実施例の風向調整装置1では、各ガイドフィン20が、左側フィン26と右側フィン27の2つの分割されたフィン(分割フィン)によって形成されている。しかし本発明の風向調整装置では、複数のフィン保持部を幅方向に間隔を開けて設けるとともに、各ガイドフィンを、幅方向に3つ以上で分割する3つ以上の分割フィンによって形成されていてもよい。
【0041】
また、上述した実施例の風向調整装置1では、フィン保持部30に上板部33及び下板部34が設けられているが、本発明では、上板部33及び下板部34にフィン保持部が形成されていなくてもよい。すなわち、本発明のフィン保持部は、薄板状の保持板部と、保持板部から幅方向に突出する内側保持軸部とのみによって形成されていてもよい。この場合、ハウジングのフロント部の上壁部及び下壁部に、薄板状の保持板部の上端部及び下端部を嵌着可能な嵌着孔部がそれぞれ設けられていることにより、保持板部及び内側保持軸部のみを有するフィン保持部をハウジングに組み付けることが可能となる。
【0042】
更に、上述した実施例の風向調整装置1では、フィン保持部30に設けた上板部33及び下板部34を、ハウジング10のフロント部12に設けた図示しない嵌着凹部に嵌着させることによって、フィン保持部30をハウジング10に組み付けている。しかし本発明では、ハウジングのフロント部の上壁部及び下壁部と、フィン保持部の上板部及び下板部との互いに対応する位置に、ねじ孔が設けられていてもよい。これにより、フィン保持部を、ねじ止めによってハウジングに組み付けることが可能となる。