(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153912
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】車両制御装置、及び、車両制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 10/04 20060101AFI20221005BHJP
B60W 10/18 20120101ALI20221005BHJP
B60K 28/00 20060101ALI20221005BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60W10/00 120
B60W10/04
B60W10/18
B60K28/00
G08G1/09 V
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056684
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 将勝
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 博之
(72)【発明者】
【氏名】山本 直人
【テーマコード(参考)】
3D037
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D037FA13
3D037FB03
3D241AA76
3D241AC01
3D241AC26
3D241AD10
3D241AE45
5H181AA01
5H181AA12
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC14
5H181LL08
5H181LL09
5H181MB09
(57)【要約】
【課題】盗難等により不正に使用されている車両の移動を制限する。
【解決手段】車両に搭載される車両制御装置であって、車両が搭載する受信装置によって制限信号が受信された場合に駆動制限制御を実行する駆動制限部を備え、駆動制限制御は、車両のアクセル操作に応じた加速を制限する制御と、車両が停止しない所定速度まで車両を減速させる制御と、を含む、車両制御装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両制御装置であって、
前記車両が搭載する受信装置によって制限信号が受信された場合に駆動制限制御を実行する駆動制限部を備え、
前記駆動制限制御は、前記車両のアクセル操作に応じた加速を制限する制御と、前記車両が停止しない所定速度まで前記車両を減速させる制御と、を含む、車両制御装置。
【請求項2】
前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合に、前記車両の周囲に特定車両が存在するか否かを判定し、前記車両の周囲に特定車両が存在する場合に前記駆動制限制御を実行する、請求項1記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記駆動制限部は、
前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合であって、前記車両の周囲に特定車両が存在する場合に前記駆動制限制御を実行し、
前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合であって、前記車両の周囲に特定車両が存在しない場合は、前記車両が備える第1通知部によって前記車両の外への通知を実行させ、前記駆動制限制御を実行せずに待機し、その後所定時間内に、前記受信装置によって2回目の前記制限信号が受信された場合に、前記駆動制限制御を実行する、請求項2記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記駆動制限部は、
前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合に、前記車両が備える第1通知部によって前記車両の外への通知を実行させ、前記駆動制限制御を実行せずに待機し、
前記制限信号が受信されてから所定時間内に、前記受信装置によって2回目の前記制限信号が受信された場合に、前記駆動制限制御を実行する、請求項1または2記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信されたときに前記車両が停止している場合は、前記駆動制限制御として前記車両の発進を抑制する制御を実行する、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記駆動制限部は、所定の条件が成立した場合に前記駆動制限制御を解除可能であり、
前記所定の条件が成立したときに前記車両のアクセル操作が行われている場合は、前記駆動制限制御を解除せずに前記車両のアクセル操作が行われなくなるまで待機し、前記車両のアクセル操作が行われなくなってから前記駆動制限制御を解除する、請求項1から5のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記駆動制限部は、
前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合に、前記車両が備える第1通知部によって前記車両の外への通知を実行させ、
前記車両の後方を前記車両と同じ方向に走行する後続車両が存在し、前記後続車両の速度が前記車両より高速である場合には、前記車両が備える第1通知部及び前記車両が備える第2通知部によって前記車両の外への通知を実行させる、請求項1から6のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記駆動制限部は、
前記駆動制限制御の実行中に第1減速度で前記車両を所定速度まで減速させ、
前記車両の後方を前記車両と同じ方向に走行する後続車両が存在し、前記後続車両の速度が前記車両より高速である場合は、前記第1減速度よりも減速が緩やかな第2減速度で前記車両を減速させる、請求項1から7のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記駆動制限部は、
前記駆動制限制御の実行中に第1減速度で前記車両を所定速度まで減速させ、
前記車両が車線変更動作中に前記駆動制限制御を実行する場合は、前記第1減速度よりも減速が緩やかな第2減速度で前記車両を減速させる、請求項1から8のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記駆動制限部は、前記車両が車線変更動作中に前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合、前記駆動制限制御を実行せずに前記車線変更動作が終了するまで待機し、前記車線変更動作が終了してから前記駆動制限制御を実行する、請求項1から8のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記駆動制限部は、前記駆動制限制御において、前記車両と前記車両の前方の物体との距離が設定値以下の場合に前記車両を減速する運転支援機能を実行中である場合、前記運転支援機能における前記物体との距離の設定値を変更する、請求項1から10のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項12】
車両に搭載される車両制御装置によって、
前記車両が搭載する受信装置により制限信号が受信された場合に、前記車両のアクセル操作に応じた加速を制限する制御と、前記車両が停止しない所定速度まで前記車両を減速させる制御と、を含む駆動制限制御を実行する、車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、及び、車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の盗難が発生した場合に、盗まれた車両の走行を阻害する手法が提案されている。例えば、特許文献1は、盗難にあった場合、警察等から車載装置に対してエンジンを止めるための制御信号を送り、遠隔操作でエンジンを停止させるシステムを開示する。また、特許文献2は、車両が盗難されたことの通報に基づいて、盗難防止サービスセンタから盗難車両に盗難信号を送信するシステムを開示する。盗難車両は、盗難信号を受信した場合に、走行中であると判定した場合はクラクションを連続的に鳴らす、エンジン停止を促しメッセージを表示させる等の動作を行い、盗難車両が停止していると判定した場合はエンジンの再始動を禁止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-321566号公報
【特許文献2】特開2002-59812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に記載された構成は、走行中の盗難車両を停止させることを図るものであるが、停止させた車両や車両を盗んだ容疑者を捜査機関が速やかに発見できるようにすることが望まれる。このため、盗難車両を停止させた後の処理を考慮して、車両を停止させるタイミングや場所を決める必要があり、実用化が難しいという課題があった。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、盗難等により不正に使用されている車両の移動を制限することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、車両に搭載される車両制御装置であって、前記車両が搭載する受信装置によって制限信号が受信された場合に駆動制限制御を実行する駆動制限部を備え、前記駆動制限制御は、前記車両のアクセル操作に応じた加速を制限する制御と、前記車両が停止しない所定速度まで前記車両を減速させる制御と、を含む、車両制御装置が挙げられる。
【0006】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合に、前記車両の周囲に特定車両が存在するか否かを判定し、前記車両の周囲に特定車両が存在する場合に前記駆動制限制御を実行する構成としてもよい。
【0007】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合であって、前記車両の周囲に特定車両が存在する場合に前記駆動制限制御を実行し、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合であって、前記車両の周囲に特定車両が存在しない場合は、前記車両が備える第1通知部によって前記車両の外への通知を実行させ、前記駆動制限制御を実行せずに待機し、その後所定時間内に、前記受信装置によって2回目の前記制限信号が受信された場合に、前記駆動制限制御を実行する構成としてもよい。
【0008】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合に、前記車両が備える第1通知部によって前記車両の外への通知を実行させ、前記駆動制限制御を実行せずに待機し、前記制限信号が受信されてから所定時間内に、前記受信装置によって2回目の前記制限信号が受信された場合に、前記駆動制限制御を実行する構成としてもよい。
【0009】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信されたときに前記車両が停止している場合は、前記駆動制限制御として前記車両の発進を抑制する制御を実行する構成としてもよい。
【0010】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、所定の条件が成立した場合に前記駆動制限制御を解除可能であり、前記所定の条件が成立したときに前記車両のアクセル操作が行われている場合は、前記駆動制限制御を解除せずに前記車両のアクセル操作が行われなくなるまで待機し、前記車両のアクセル操作が行われなくなってから前記駆動制限制御を解除する構成としてもよい。
【0011】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合に、前記車両が備える第1通知部によって前記車両の外への通知を実行させ、前記車両の後方を前記車両と同じ方向に走行する後続車両が存在し、前記後続車両の速度が前記車両より高速である場合には、前記車両が備える第1通知部及び前記車両が備える第2通知部によって前記車両の外への通知を実行させる構成としてもよい。
【0012】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、前記駆動制限制御の実行中に第1減速度で前記車両を所定速度まで減速させ、前記車両の後方を前記車両と同じ方向に走行する後続車両が存在し、前記後続車両の速度が前記車両より高速である場合は、前記第1減速度よりも減速が緩やかな第2減速度で前記車両を減速させる構成としてもよい。
【0013】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、前記駆動制限制御の実行中に第1減速度で前記車両を所定速度まで減速させ、前記車両が車線変更動作中に前記駆動制限制御を実行する場合は、前記第1減速度よりも減速が緩やかな第2減速度で前記車両を減速させる構成としてもよい。
【0014】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、前記車両が車線変更動作中に前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合、前記駆動制限制御を実行せずに前記車線変更動作が終了するまで待機し、前記車線変更動作が終了してから前記駆動制限制御を実行する構成としてもよい。
【0015】
上記車両制御装置において、前記駆動制限部は、前記駆動制限制御において、前記車両と前記車両の前方の物体との距離が設定値以下の場合に前記車両を減速する運転支援機能を実行中である場合、前記運転支援機能における前記物体との距離の設定値を変更する構成としてもよい。
【0016】
上記目的を達成するための第2態様として、車両に搭載される車両制御装置によって、前記車両が搭載する受信装置により制限信号が受信された場合に、前記車両のアクセル操作に応じた加速を制限する制御と、前記車両が停止しない所定速度まで前記車両を減速させる制御と、を含む駆動制限制御を実行する、車両制御方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
上記構成によれば、車両に制限信号を与えることによって車両を減速させることができる。これにより、盗難等により不正に使用される状態となっている車両の移動を制限できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図8】車両移動制限システムの動作を示すシーケンス図。
【
図9】車両移動制限システムの動作を示すシーケンス図。
【
図10】車両移動制限システムの動作を示すシーケンス図。
【
図11】車両移動制限システムの動作を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1.第1実施形態]
[1-1.車両移動制限システムの概要]
図1は、車両移動制限システム1の概略構成を示す図である。車両移動制限システム1は、車両Vに搭載された車両制御装置100と、車両管理サーバ200と、を含む。車両移動制限システム1は、車両Vが盗難の被害に遭った場合などに、車両Vの走行を制限する。車両制御装置100及び車両管理サーバ200は、通信ネットワークNWに接続され、通信ネットワークNWを介して相互にデータ通信可能に接続される。
【0020】
通信ネットワークNWは、データ通信ネットワークであればよく、公衆回線網を含む広域通信ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0021】
車両管理サーバ200には、通信ネットワークNWを介して、コールセンターCCにより管理されるコールセンター端末300が接続される。コールセンター端末300は、コールセンターCCのオペレーターの操作に従って、車両管理サーバ200に対して、車両Vの移動を制限する処理の要求を送信する。車両管理サーバ200は、コールセンター端末300からの要求に基づいて、車両制御装置100に対し、車両Vの移動を制限する処理を要求する。
【0022】
車両制御装置100は、車両管理サーバ200が送信した要求に応じて車両制御装置100が処理を行った場合、処理の内容や結果を含む応答を、車両管理サーバ200に送信する。車両管理サーバ200は、車両制御装置100から応答を受信した場合、応答をコールセンター端末300に送信する。
【0023】
コールセンターCCは、車両移動制限システム1の動作を管理する管理者として機能する。具体的には、車両移動制限システム1の管理を委託された法人がコールセンターCCを運営する例が挙げられる。コールセンターCCは、車両Vの正規の所有者または管理者であるユーザUoから、車両Vが盗難等により不正に使用されている状態であることの届出を受け付ける。また、コールセンターCCは、司法機関や法執行機関からの要請や指示を受け付ける。
図1には、司法機関の一例として警察POを示す。警察POは地方自治体や地域の警察署、警察本部、保安官事務所等が挙げられる。ユーザUoが警察POに対して車両Vの盗難被害を届け出た場合や、警察POによる法執行に伴って車両Vの移動を制限すべきと判断される場合、警察POはコールセンターCCに対し、車両Vの移動の制限を要請する。さらに、盗難被害に遭った車両Vを警察が速やかに捕捉するために、警察POからコールセンターCCに対して要請が行われることが想定される。例えば、複数の車両の中から車両Vを特定するため、車両Vのハザードランプを点滅させること、車両Vを減速させること、車両Vの発進を抑制すること等が要請される。これらの届出や要請とともに、車両識別番号や登録番号など、車両Vを特定可能な情報がコールセンターCCに提供されてもよい。
これらの届出や要請に従って、コールセンターCCでは、オペレーターがコールセンター端末300を操作し、車両移動制限システム1に対して要求をコールセンター端末300から送信する。
【0024】
[1-2.車両制御装置の構成]
図2は、車両制御装置100の構成図である。
車両制御装置100は、車両Vに搭載される各種の機能部を制御する。車両Vが搭載する機能部の一例として、ホーン151、灯火装置152、燃料供給部153、スロットル装置154、モータ155、シフト装置156、ブレーキ装置157、パーキングブレーキ装置158、メーターパネル159、車速センサ160、タッチパネル161、マイク162、GPSユニット163、前方カメラ164、後方カメラ165、及び、レーダーユニット166を示す。
【0025】
車両制御装置100は、車両Vが搭載する各種の機能部を制御するECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)を備える。
【0026】
図2には、ホーン151や灯火装置152を制御するBCM(Body Cotrol Module)121を示す。また、燃料供給部153及びスロットル装置154を含むエンジンを制御するエンジンECU122、走行用のモータ155を制御するモータ155、及び、シフト装置156を制御するシフトECU124を示す。また、ブレーキ装置157を制御するブレーキECU125、パーキングブレーキ装置158を制御するパーキングブレーキECU126、メーターパネル159を制御するメーターECU127、車速センサ160に接続されるセンサ制御部128を示す。また、IVIシステム129、及び、ADAS130を示す。各々のECUは、通信路としてのバス102を介して管理ユニット110とデータ通信可能に接続される。バス102は、例えば、CAN(Controller Area Network)に準拠したバス型のデータ通信ネットワークである。
【0027】
ECUは、具体的にはCPU(Central ProcessingU nit)等のプロセッサ、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータである。ROMに書き込まれたプログラムをコンピュータであるECUが実行することで上記制御が実行される。上記各ECUに代えて又はこれに加えて、上記各ECUの全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
【0028】
IVI(In-Vehicle Infortainment)システム129は、IVIシステム129は、カーナビゲーションシステムやオーディオ装置等を含む複数の装置で構成されてもよい。IVIシステム129は、IVIシステム129を構成する1または複数の装置の機能、及びIVIシステム129の制御を行うECUを有する。IVIシステム129は、例えば、タッチパネル161、マイク162、及び、GPSユニット163に接続される。タッチパネル161は表示装置および入力装置として機能する。
【0029】
ADAS(Advanced Driver-Assistance System)130は、運転者による運転を支援する運転支援機能を実行する。具体的には、車両Vが進行方向において前方の物体に衝突する可能性がある場合に、衝突を回避しあるいは衝突被害を軽減するため車両Vを減速させる衝突被害軽減機能を実行する。衝突被害軽減機能を実行中、ADAS130は、車両Vの進行方向において前方に物体が存在する場合に、前方の物体と車両Vとの距離が設定値以下となった場合に制動を行い、車両Vを減速させる。ADAS130は、車線逸脱防止(レーンキープアシスト)機能、直進支援機能、後側方車両接近警報(ブラインドスポットモニター)機能等を備えてもよい。また、ADAS130を自動運転(Autonomous Driving)システムに置き換えた構成も本開示に含まれる。ADAS130は、上記機能を実現するため、車両Vの先方を含む範囲を撮影する前方カメラ164、及び、車両Vの後方を含む範囲を撮影する後方カメラ165に接続される。ADAS130は、前方カメラ164及び後方カメラ165の撮影画像を解析して、他の車両等の物体を検出する機能を有する。また、ADAS130は、レーダーユニット166に接続され、レーダーユニット166の検出結果に基づいて車両Vの周囲の物体を検出し、物体と車両Vとの距離を算出する機能を備える。ADAS130にLIDAR(Light Detection and Ranging)が接続された構成は、本開示に含まれる。
【0030】
車両制御装置100は、管理ユニット110、TCU(Telematics Control Unit)131、近距離無線通信部132、及び、DLC(Data Link Coupler)133を備える。
【0031】
TCU131は、セルラー通信を実行する通信装置である。TCU131は、例えば、管理ユニット110を含む複数のECUの制御に従って、通信ネットワークNWに接続して、車両管理サーバ200との間でデータ通信を実行する。
【0032】
近距離無線通信部132は、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の規格に準拠した無線通信を実行する通信装置である。近距離無線通信部132は、例えば、管理ユニット110を含む複数のECUの制御に従って、車両Vの車室内にあるスマートフォンやオーディオプレーヤー等とデータ通信を実行する。また、例えば、近距離無線通信部132は、車両Vの周囲を走行する他の車両との間で、車々間通信を実行する。
【0033】
DLC133は、車両Vの外部の診断装置等を車両制御装置100に接続するコネクターである。DLC133に接続された診断装置は、車両制御装置100が備えるECUのいずれかにコマンドを送信し、ECUと通信を実行する。
【0034】
車両Vに搭載される機能部は
図2に示した例に限定されず、より多くの機能部が搭載された車両Vも本開示の対象に含まれる。また、本開示の車両Vは、
図2に示した機能部の全てを含んでいなくてもよい。例えば、車両Vは、エンジンECU122及びエンジンを備えない電動車両であってもよいし、モータECU123及びモータ155を備えていない車両であってもよい。また、車両Vが手動式のパーキングブレーキ装置158を備える場合、パーキングブレーキECU126は、パーキングブレーキ装置158の作動状態を検知する構成であればよい。
図2に示したECUは一例であり、車両制御装置100は、
図2に示されていない装置を制御するECUを備える構成であってもよい。また、
図2に示した1つのECUの機能が、複数のECUにより実行される構成、或いは、
図2の複数のECUの機能を1つのECUにより実行する構成であってもよい。
【0035】
管理ユニット110は、車両制御装置100が備える各ECU間における通信を制御する。また、管理ユニット110は、TCU131または近距離無線通信部132によって接続された車両Vの外部の装置と、車両制御装置100の各ECUとの間における通信を制御する。例えば、管理ユニット110は、TCU131が車両管理サーバ200から要求を受信した場合に、受信された要求に対応する動作を実行するため、車両制御装置100の各種ECUを制御する。また、管理ユニット110は、車両制御装置100の各種ECUを制御した結果を、TCU131によって車両管理サーバ200に送信する。管理ユニット110はECUとして構成されてもよい。すなわち、管理ユニット110は、プログラムを実行するプロセッサ、ROM、RAM等を有するコンピュータであってもよい。また、車両制御装置100が備えるECUのうち、管理ユニット110以外のECUが、管理ユニット110の機能を実行する構成であってもよい。管理ユニット110は、駆動制限部の一例に対応する。また、管理ユニット110が、他のECUとともに駆動制限部として動作するということもできる。
【0036】
[1-3.車両移動制限システムの動作]
図3、
図4、
図5、
図6、及び
図7は、車両移動制限システム1の動作を示すフローチャートであり、特に、車両制御装置100の動作を示す。車両制御装置100の動作は、主に、管理ユニット110により実行される。
【0037】
上述のように、警察POからの要請あるいはユーザUoからの届出に応じて、車両Vの移動を制限する場合、コールセンターCCのオペレーターがコールセンター端末300を操作する。この操作に従って、コールセンター端末300は、車両Vの移動の制限を開始することの要求を、車両管理サーバ200に送信する。車両管理サーバ200は、要求に応じて、車両制御装置100に制限信号を送信する。
【0038】
車両制御装置100は、車両管理サーバ200が送信する制限信号を受信し(ステップS11)、車両管理サーバ200に対して受信応答を送信する(ステップS12)。受信応答は、制限信号を受信したことを確認する内容の応答であり、受信応答に車両Vの動作状態を示す情報を含ませてもよい。
【0039】
車両管理サーバ200と車両制御装置100との通信は、通信ネットワークNW及びセルラー通信を経由する。このため、車両Vが、トンネル内や山間部などセルラー通信が困難な場所にある場合、車両制御装置100が制限信号を受信できないことが想定される。このため、車両管理サーバ200は、車両制御装置100から受信応答が送信されたことを確認できるまで、制限信号の送信を繰り返す。
【0040】
車両制御装置100は、応答信号を送信した後、車速センサ160により検出される車速パルス、或いは、パーキングブレーキ装置158の動作状態に基づいて、車両Vが停車しているか否かを判定する(ステップS13)。車両制御装置100は、車両Vが停車していると判定した場合(ステップS13;YES)、車両Vの発進制限を開始する(ステップS14)。発進制限は、車両Vの走行開始を禁止または抑制する処理である。発進制限中の動作を、
図4に示す。
【0041】
ステップS14では、エンジンECU122及びモータECU123に対し、車両Vのアクセルペダルの操作をキャンセルするよう設定が行われる。ステップS14では、管理ユニット110がエンジンECU122及びモータECU123に対する設定を行ってもよい。また、エンジンECU122及びモータECU123が、それぞれ、ステップS14で発進制限を開始してもよい。
【0042】
発進制限が開始された後、車両Vのアクセルペダルが操作されると、エンジンECU122及びモータECU123は、アクセルペダルの操作を検出する(ステップS31)。エンジンECU122及びモータECU123は、検出したアクセルペダルの操作をキャンセルする(ステップS32)。さらに、管理ユニット110、または、エンジンECU122及びモータECU123は、メーターECU127に信号を送信し、メーターパネル159に制限中であることを示す表示を行わせる(ステップS33)。このため、発進制限中は、車両Vを発進させることができなくなる。
【0043】
ステップS31-S33において、モータ155を有しない車両Vは、エンジンECU122のみによる制御を行う。同様に、エンジンを有しない車両Vは、モータECU123のみによる制御を行う。
【0044】
図3に戻り、車両制御装置100は、ステップS14で発進制限を開始した後、車両管理サーバ200に対して発進制限を開始したことの通知を送信し(ステップS15)、本処理を終了する。
【0045】
一方、車両Vが停車中でない場合(ステップS13;NO)、車両制御装置100は、BCM121の制御によりハザードランプの点滅を開始する(ステップS16)。ステップS16で、車両制御装置100は、BCM121によってホーン151を鳴動させてもよい。ステップS13の動作は、車両Vの外部に対する通知に相当する。
【0046】
続いて、車両制御装置100は、車両Vの周囲に、特定車両があるか否かを判定する(ステップS17)。特定車両とは、例えば、交通に関する司法権を有する機関の車両であり、具体的には、警察車両であり、警戒走行中のパトロールカーが挙げられる。ステップS17で判定の対象となる特定車両は予め車両制御装置100に設定されていてもよいし、車両管理サーバ200が車両制御装置100に送信する制限信号によって指定されてもよい。
【0047】
ステップS17で、車両制御装置100は、前方カメラ164の撮影画像、及び、後方カメラ165の撮影画像の少なくともいずれかから特定車両の画像を検出することにより、判定を行う。また、ステップS17で、車両制御装置100は、マイク162によって集音された音声に、特定車両が発するサイレン音が含まれているか否かに基づき、判定を行ってもよい。また、ステップS17で、車両制御装置100は、近距離無線通信部132が車々間通信を実行して、特定車両との通信を試行することにより、特定車両が周囲にあるか否かを判定してもよい。
【0048】
車両Vの周囲に特定車両が存在しない場合(ステップS17;NO)、車両制御装置100は、2回目の制限信号の受信を待機する(ステップS18)。すなわち、ステップS18で、車両制御装置100は、2回目の制限信号を受信したか否かを判定し、受信していない場合は(ステップS18;NO)、1回目の制限信号を受信してから所定時間以上が経過したか否かを判定する(ステップS19)。ここで、1回目の制限信号を受信してからの経過時間が所定時間に満たない場合(ステップS19;NO)、車両制御装置100はステップS18に戻る。
【0049】
2回目の制限信号を受信しないうちに、1回目の制限信号を受信してから所定時間以上が経過した場合(ステップS19;YES)、車両制御装置100は、BCM121によってハザードランプを消灯させる(ステップS20)。車両制御装置100は、制限を解除したことの通知を車両管理サーバ200に送信し(ステップS21)、本処理を終了する。
【0050】
2回目の制限信号を受信した場合(ステップS18;YES)、車両制御装置100は、減速制御処理を開始する(ステップS22)。ステップS22の詳細については後述する。減速制御処理を開始した後、車両制御装置100は、減速制御を開始したことの通知を、車両管理サーバ200に送信し(ステップS23)、本処理を終了する。
【0051】
ステップS18-S19に示したように、車両移動制限システム1は、車両Vが走行中に制限を行う場合、車両管理サーバ200から車両制御装置100に対し、2回の制限信号を送信する。コールセンター端末300は、車両管理サーバ200に対して2回の制限信号を送信するよう要求してもよい。また、車両管理サーバ200が、コールセンター端末300からの要求に応じて2回の制限信号を送信するよう設定されていてもよい。車両管理サーバ200から2回の制限信号を送信し、1回目の制限信号に応じて車両Vのハザードランプを点滅させることによって、例えば、走行中の車両Vに移動制限を加える前に周囲の車両等に注意を促す効果が期待できる。また、万が一、1回目の制限信号の受信が誤報であった場合に、走行中の車両Vの走行状態に影響を与えないという利点がある。
【0052】
図5には、減速制御処理(
図3のステップS22)における車両制御装置100の動作を詳細に示す。
車両制御装置100は、アクセル操作の制限を開始する(ステップS41)。ステップS41において、例えば、エンジン及びエンジンECU122を有する車両Vでは、エンジンECU122がアクセル操作に対応して燃料供給部153による燃料供給やスロットル装置154によるスロットルの開弁を行わないよう設定される。また、例えば、モータ155を有する車両Vにおいては、モータECU123がアクセル操作に対応してモータ155の駆動力を発生しないよう設定される。
【0053】
車両制御装置100は、車両Vが車線変更動作中であるか否かを判定する(ステップS42)。ステップS42では、例えば、不図示のステアリング装置の動作状態、前方カメラ164の撮影画像、後方カメラ165の撮影画像等に基づき判定が行われる。
【0054】
車両Vが車線変更動作中である場合(ステップS42;YES)、車両制御装置100は、車線変更動作が終了するまで待機する。車両Vが車線変更動作中でない場合(ステップS42;NO)、車両制御装置100は、車両VのADAS機能が実行中であるか否かを判定する(ステップS43)。ステップS43では、ADAS130が備える機能のうち、衝突被害軽減機能を実行中であるか否かが判定される。
【0055】
車両VのADAS機能が実行中であると判定した場合(ステップS43;YES)、車両制御装置100は、衝突被害軽減機能における前方の物体と車両Vとの距離の設定値を、最大値に設定し(ステップS44)、後述するステップS51に移行する。ADAS130は、車両Vの前方に位置する物体と車両Vとの距離が設定値以上となるように、ブレーキ装置157による制動、エンジンブレーキ、モータ155による回生ブレーキ等を作動させて車両Vを減速させる。ステップS44で設定値が最大値に設定されたことにより、例えば、車両Vの前方の車両等が前方カメラ164の撮影画像から認識できないほど遠くなるまで、車両Vの減速が行われる。
【0056】
ADAS機能が実行中でないと判定した場合(ステップS43;NO)、車両制御装置100は、車両Vがワンペダル操作中であるか否かを判定する(ステップS45)。ワンペダル操作とは、アクセルペダルが非操作、すなわちアクセルペダルオフになることによって、エンジンブレーキやモータ155の回生ブレーキにより車両Vを減速させる操作方法である。ワンペダル操作中は、運転者がアクセルペダルをペダルオフにすることによって、ブレーキペダルによらず意図的な減速を行うことが可能である。ステップS45で、車両制御装置100は、車両Vの動作状態が、ワンペダル操作を実行する動作状態であるか否かを判定する。ワンペダル操作は、ワンペダル操作の機能を備える車両Vにおいて、運転者の設定によって実行される。
【0057】
車両Vがワンペダル操作中であると判定した場合(ステップS45;YES)、車両制御装置100は、アクセルペダルの操作状態にかかわらず、ペダルオフの場合と同様に車両Vを減速させる制御を開始し(ステップS46)、後述するステップS51に移行する。これにより、車両Vは、アクセルペダルオフのときと同じ減速度で減速する。
【0058】
車両Vがワンペダル操作中でないと判定した場合(ステップS45;NO)、車両制御装置100は、車両Vと同じ方向に走行する後続車両の速度を検出する(ステップS47)。ステップS47で、車両制御装置100は、例えば後方カメラ165の撮影画像やレーダーユニット166の検出結果に基づいて、後続車両と車両Vとの速度差を算出する。
【0059】
車両制御装置100は、後続車両の速度が車両Vより速いか否かを判定する(ステップS48)。後続車両の速度が車両Vの速度以下である場合、及び、後続車両が認識されない場合(ステップS48;NO)、車両制御装置100は、第1減速度で車両Vを減速させる制御を開始し(ステップS49)、ステップS51に移行する。
【0060】
ステップS49で、車両制御装置100は、車両Vを減速させる手段として、エンジンブレーキ、モータ155の回生ブレーキ、及び、ブレーキ装置157のいずれを用いてもよい。第1減速度は、予め設定された車両Vの加速度の値である。車両制御装置100は、車両Vの車速の変化が第1減速度に合うようにエンジンECU122、モータECU123、及びブレーキECU125の少なくともいずれかによる制御を実行する。
【0061】
車両制御装置100は、車両Vの後続車両の速度が車両Vより速いと判定した場合(ステップS48;YES)、第2減速度で車両Vを減速させる制御を開始し(ステップS50)、ステップS51に移行する。
ステップS50で、車両制御装置100は、ステップS49と同様に、車両Vを減速させる手段として、エンジンブレーキ、モータ155の回生ブレーキ、及び、ブレーキ装置157のいずれか1以上を用いる。
また、車両制御装置100は、車両Vの後続車両の速度が車両Vより速いと判定した場合(ステップS48;YES)、ステップS50の動作の前に、或いは並行して、ステップS13と同様の通知を行ってもよい。
【0062】
第2減速度は、予め設定された車両Vの加速度の値であり、第1減速度より緩やかに車両Vを減速するような値に設定される。車両制御装置100は、車両Vの車速の変化が第2減速度に合うようにエンジンECU122、モータECU123、及びブレーキECU125の少なくともいずれかによる制御を実行する。
【0063】
ステップS51で、車両制御装置100は、車速センサ160により検出される車両Vの速度が、予め設定された所定速度以下となったか否かを判定する(ステップS51)。車両Vの速度が所定速度より速いと判定した場合(ステップS51;NO)、車両制御装置100は、待機する。車両Vの速度が所定速度以下であると判定した場合(ステップS51;YES)、車両制御装置100は、減速を終了する(ステップS52)。すなわち、ステップS44、S46、S49、S50で開始された車両Vの減速が終了される。しかしながら、ステップS41でアクセル操作に応じた加速をしない設定がなされているため、車両Vは徐々に減速する。ステップS51で判定される所定速度は、予め車両制御装置100または車両管理サーバ200に設定され、記憶されている。この所定速度は0でないことが好ましい。また、所定速度は、極めて低速とすることが好ましく、例えば、平均的な人の歩行速度や、オートマチックトランスミッションを搭載した車両のクリープ速度と同様の速度とすることができる。
【0064】
車両制御装置100は、
図5の動作において、ステップS42で車両Vが車線変更動作中であると判定した場合に(ステップS42;YES)、待機を行わず車両Vを減速させる制御を行ってもよい。この場合、車両制御装置100は、ステップS50に移行して、減速が緩やかな第2減速度で車両Vを減速させてもよい。
【0065】
図5の処理の後、車両制御装置100は、
図3のステップS23に移行する。車両制御装置100は、
図5の処理と並行してステップS23の動作を実行してもよい。
【0066】
図3、
図4及び
図5には、車両Vが起動している状態における動作を示した。
図3-
図5の動作は、例えば、車両Vが、イグニッションオンの状態、ACC(アクセサリ)電源がオンの状態、或いは、車両Vの電源がオンの状態で、制限信号を受信した場合の車両制御装置100の動作である。
車両制御装置100は、例えば、車両Vが搭載する不図示のバッテリから常時電源供給を受ける構成とすることができる。この場合、車両Vが起動していない状態で、制限信号を受信し、制限信号に対応する処理を行うことができる。具体的には、管理ユニット110、及びTCU131が常時電源供給を受ける構成であれば実現可能である。この場合の動作を
図6に示す。
【0067】
車両制御装置100は、車両管理サーバ200が制御信号を送信した場合に、制御信号を受信し(ステップS61)、車両管理サーバ200に対して受信応答を送信する(ステップS62)。車両制御装置100は、ステップS62において、車両Vが起動していない状態であることを示す情報を含む応答を送信してもよい。
【0068】
車両制御装置100は、始動操作キャンセル設定を実行する(ステップS63)。始動操作キャンセル設定は、車両Vのスタート/ストップボタンやイグニッションキーの操作に対し、車両制御装置100の各ECUが動作開始しないようにする設定である。
【0069】
始動操作キャンセル設定がされた後、スタート/ストップボタンやイグニッションキーによって車両Vを始動させる操作が行われた場合、車両制御装置100は、操作を検出し(ステップS64)、検出した操作をキャンセルする(ステップS65)。すなわち、不図示のセルモータによるエンジンの始動、モータ155の起動、IVIシステム129の起動、メーターパネル159の表示開始等を行わない。
【0070】
車両制御装置100は、メーターECU127の制御によって、始動が制限されていることをメーターパネル159に表示させ(ステップS66)、処理を終了する。ステップS66の後、車両Vを始動させる操作が行われる毎に、車両制御装置100はステップS64-S66の動作を繰り返し実行する。
【0071】
始動操作キャンセル設定は、リモコンキー(FOBキー)による車両Vのドアロックの解錠を制限する設定を含んでもよい。この場合、車両制御装置100は、FOBキーや車両Vのドアハンドルによってドアロックを解除させる操作が行われた場合、この操作をステップS64で検出し、ステップS65でドアロックの解除をキャンセルする。その後、車両制御装置100は、ステップS66で、メーターパネル159の表示に加えて、或いは代わりに、BCM121によって車両Vのハザードランプを点滅させる動作や、ホーン151を鳴動させる動作を行ってもよい。
【0072】
図7は、車両Vの移動制限を解除する場合の動作を示す。
車両Vの移動を制限する必要がなくなった場合、警察POからの要請あるいはユーザUoからの届出に応じて、コールセンターCCのオペレーターがコールセンター端末300を操作する。この操作に従って、コールセンター端末300は、車両Vの移動の制限を解除することの要求を、車両管理サーバ200に送信する。車両管理サーバ200は、要求に応じて、車両制御装置100に解除信号を送信する。
【0073】
車両制御装置100は、解除信号を受信し(ステップS71)、アクセルペダルが操作されているか否かを判定する(ステップS72)。アクセルペダルが操作されている場合(ステップS72;YES)、車両制御装置100はステップS72で待機する。
【0074】
アクセルペダルが操作されていない状態である場合(ステップS72;NO)、車両制御装置100は、車両Vの移動制限を解除する(ステップS73)。すなわち、車両制御装置100は、車両VがステップS14(
図3)において発進制限が開始された状態である場合は、発進制限を終了して、アクセルペダルの操作に応じてエンジン及び/またはモータ155による加速を可能な状態とする。また、車両制御装置100は、車両VがステップS44、S46、S49、S50(
図5)で減速制御が開始された状態である場合は、設定を元の状態に戻して車両Vを減速させる制御を終了する。ステップS73の処理よって、車両Vは、通常の走行が可能な状態となる。
【0075】
車両制御装置100は、車両管理サーバ200に対し、解除を実行したことの通知を送信する(ステップS75)。車両制御装置100は、BCM121の制御により、車両Vのハザードランプを予め設定された回数または時間だけ点滅させる(ステップS75)。また、車両制御装置100は、メーターECU127の制御により、メーターパネル159に、制限を解除したことの表示を実行する(ステップS76)。ステップS76において、車両制御装置100は、タッチパネル161に、制限を解除したことの表示を行ってもよい。
【0076】
車両制御装置100は、
図7の動作を、車両Vが起動している状態に限らず、車両Vが起動していない状態で実行してもよい。すなわち、
図6を参照して説明したように、車両制御装置100は、少なくとも管理ユニット110及びTCU131に電源が常時供給され、車両Vが起動していない状態であっても制限信号や解除信号を受信可能な構成とすることができる。
【0077】
車両制御装置100は、車両Vが起動していない状態で解除信号を受信した場合(ステップS71)、ステップS73において、始動操作キャンセル設定(
図6:ステップS63)を解除し、元の設定に復帰させる処理を行ってもよい。
【0078】
[2.第2実施形態]
図8、
図9、
図10、及び、
図11は、車両移動制限システム1の動作を示すシーケンス図である。これらの図を参照して、第2実施形態を説明する。
【0079】
第2実施形態における車両移動制限システム1の構成は、第1実施形態と共通である。第2実施形態は、警察POとコールセンターCCによって車両Vの状態が判断され、車両Vが行うべき制御の内容が特定される場合の車両移動制限システム1の動作を示す。
【0080】
図8には、車両Vが停止している場合の、コールセンター端末300、車両管理サーバ200、及び車両制御装置100の動作を示す。
警察POやユーザUoからコールセンターCCに対して届出あるいは要請が行われた場合(ステップS101)、コールセンターCCのオペレーターがコールセンター端末300を操作して、車両管理サーバ200に対してトラッキング要求を送信させる(ステップS102)。車両管理サーバ200は、コールセンター端末300が送信するトラッキング要求に従って、車両制御装置100に対して位置情報を要求する(ステップS103)。
【0081】
車両制御装置100は、ステップS103の要求に応答して、GPSユニット163によって測位した車両Vの位置情報を車両管理サーバ200に送信する(ステップS104)。
車両管理サーバ200は、車両制御装置100が送信した位置情報を、コールセンター端末300に送信する(ステップS105)。これにより、コールセンターCCにおいて車両Vの位置を把握できる。
【0082】
コールセンターCCのオペレーターの操作により、コールセンター端末300は、車両Vの発進制限を行うことの要求を、車両管理サーバ200に送信する(ステップS106)。車両管理サーバ200は、コールセンター端末300が送信した要求に基づき、車両制御装置100に対して発進制限を行うことを要求する(ステップS107)。車両制御装置100は、ステップS107の要求に応じて、車両Vの発進制限を行う処理を実行する(ステップS108)。ステップS108で車両制御装置100が行う処理は、例えば、
図3のステップS14で説明した処理である。
【0083】
車両制御装置100は、制限を行った結果を車両管理サーバ200に通知する(ステップS109)。ステップS109の通知は、例えば、車両Vにおける発進制限の処理が完了したことを示す通知である。車両管理サーバ200は、車両制御装置100からの通知に基づき、コールセンター端末300に対し、制限を行った結果を通知する(ステップS110)。コールセンターCCのオペレーターは、コールセンター端末300が受信した通知に基づいて、警察POやユーザUoに、制限が完了したことを連絡する(ステップS111)。
【0084】
図9は、
図8で行われた制限を解除する場合のコールセンター端末300、車両管理サーバ200、及び車両制御装置100の動作を示す。
警察POやユーザUoからコールセンターCCに対して、制限を解除することの要請が行われた場合(ステップS121)、コールセンターCCのオペレーターがコールセンター端末300を操作して、車両管理サーバ200に対して制限解除要求を送信させる(ステップS122)。車両管理サーバ200は、コールセンター端末300が送信する解除要求に従って、車両制御装置100に対して制限解除要求を送信する(ステップS123)。
【0085】
車両制御装置100は、ステップS123の要求に応答して、車両Vの発進制限を解除する(ステップS124)。ステップS124の処理は、例えば、ステップS73(
図7)と同様の処理である。
【0086】
車両制御装置100は、制限を解除した結果を車両管理サーバ200に通知する(ステップS125)。車両管理サーバ200は、車両制御装置100からの通知に基づき、コールセンター端末300に対し、制限を解除した結果を通知する(ステップS126)。コールセンターCCのオペレーターは、コールセンター端末300が受信した通知に基づいて、警察POやユーザUoに、制限の解除が完了したことを連絡する(ステップS127)。
【0087】
図10には、車両Vが走行している場合の、コールセンター端末300、車両管理サーバ200、及び車両制御装置100の動作を示す。
図10の動作は、例えば、パトロールカーが車両Vの付近を走行しており、警察POからコールセンターCCに対して車両Vの走行を制限するように緊急の要請が行われる場合に相当する。
【0088】
この場合、警察POからコールセンターCCに対して要請が行われ(ステップS131)、コールセンターCCのオペレーターがコールセンター端末300を操作し、車両管理サーバ200に対してハザードランプ点滅要求を送信させる(ステップS132)。車両管理サーバ200は、コールセンター端末300が送信するハザードランプ点滅要求に従って、車両制御装置100に対してハザードランプ点滅要求を送信する(ステップS133)。
【0089】
車両制御装置100は、ステップS133の要求に応答して、BCM121により、車両Vのハザードランプの点滅を開始させる(ステップS134)。
車両制御装置100は、ハザードランプの点滅状態を示す通知を、車両管理サーバ200に送信する(ステップS135)。ステップS135の通知は、例えば、車両Vがハザードランプの点滅を開始したことの通知、或いは、車両Vのハザードランプが点滅していることを示す通知である。車両管理サーバ200は、車両制御装置100からの通知に基づき、コールセンター端末300に対し、ハザードランプの点滅状態を示す通知を送信する(ステップS136)。コールセンターCCのオペレーターは、コールセンター端末300が受信した通知に基づいて、警察POに、ハザードランプの点滅状態を連絡する(ステップS137)。
【0090】
ここで、パトロールカーに乗車している警察官が、ハザードランプを点滅させている車両Vを発見した場合、警察POからコールセンターCCに対し、車両Vの走行を制限するよう要請が行われる(ステップS138)。コールセンター端末300は、コールセンターCCのオペレーターの操作に従って、車両管理サーバ200に対して駆動制限要求を送信させる(ステップS139)。車両管理サーバ200は、コールセンター端末300が送信する駆動制限要求に従って、車両制御装置100に対して駆動制限要求を送信する(ステップS140)。
【0091】
車両制御装置100は、ステップS140の要求に応答して、減速制御を実行する(ステップS141)。ステップS141の動作は、例えば、
図5に示した動作と同様である。
車両制御装置100は、ステップS141で実行した制限の状態を示す通知を、車両管理サーバ200に送信する(ステップS142)。車両管理サーバ200は、車両制御装置100からの通知に基づき、コールセンター端末300に対し、車両Vの制限の状態を示す通知を送信する(ステップS143)。コールセンターCCのオペレーターは、コールセンター端末300が受信した通知に基づいて、警察POに、車両Vの制限を開始したことを連絡する(ステップS144)。
【0092】
図11は、
図10で行われた制限を解除する場合のコールセンター端末300、車両管理サーバ200、及び車両制御装置100の動作を示す。
まず、警察POまたはユーザUoからコールセンターCCに対して制限を解除する要請が行われる(ステップS151)。コールセンターCCにおいて、コールセンター端末300は、オペレーターの操作に従って、車両管理サーバ200に対して解除要求を送信させる(ステップS152)。車両管理サーバ200は、コールセンター端末300が送信する解除要求に従って、車両制御装置100に対して解除要求を送信する(ステップS153)。
【0093】
車両制御装置100は、ステップS153の要求に応答して、ステップS141で行った減速制御を解除する(ステップS154)。車両制御装置100は、解除を行ったことを示す通知を、車両管理サーバ200に送信する(ステップS155)。車両管理サーバ200は、車両制御装置100からの通知に基づき、コールセンター端末300に対し、車両Vの制限を解除したことの通知を送信する(ステップS156)。コールセンターCCのオペレーターは、コールセンター端末300が受信した通知に基づいて、警察POまたはユーザUoに対して車両Vの制限の解除が完了したことを連絡する(ステップS157)。
【0094】
続いて、警察POまたはユーザUoからコールセンターCCに対してハザードランプ点滅を解除するよう要請が行われる(ステップS158)。コールセンター端末300は、コールセンターCCのオペレーターの操作に従って、車両管理サーバ200に対してハザードランプ点滅解除要求を送信させる(ステップS159)。車両管理サーバ200は、コールセンター端末300が送信するハザードランプ点滅解除要求に従って、車両制御装置100に対してハザードランプ点滅解除要求を送信する(ステップS160)。
【0095】
車両制御装置100は、ステップS160の要求に応答して、BCM121により、車両Vのハザードランプの点滅を終了させる(ステップS161)。
車両制御装置100は、ハザードランプの点滅を解除したことを示す通知を、車両管理サーバ200に送信する(ステップS162)。車両管理サーバ200は、車両制御装置100からの通知に基づき、コールセンター端末300に対し、ハザードランプの点滅を解除したことを示す通知を送信する(ステップS163)。コールセンターCCのオペレーターは、コールセンター端末300が受信した通知に基づいて、警察POまたはユーザUoに、ハザードランプの点滅を解除したことを連絡する(ステップS164)。
【0096】
[3.他の実施形態]
上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、発明が適用される形態を限定するものではない。
【0097】
例えば、上記第1実施形態、及び第2実施形態において、車両Vが停止している場合の発進制限と、車両Vが走行している場合の減速制御とを別の処理により設定する例を説明した。本開示はこれに限定されない。例えば、車両制御装置100は、発進制限と減速制御とを一括して設定可能な構成であってもよい。
また、上記第1実施形態、及び第2実施形態において、車両Vは、起動中、及び、起動していない間、所定時間毎に車両管理サーバ200に位置情報を送信する構成であってもよい。この場合、車両管理サーバ200は、車両制御装置100の位置情報に基づいて、車両Vが走行しているか、停車しているかを判断してもよい。
【0098】
また、上記各実施形態において、車両Vが停車している場合に発進を抑制する処理として、アクセル操作をキャンセルして発進を不能とする例を説明したが、例えば、予め設定された速度までの移動を許可する構成としてもよい。この場合、車両Vの移動が可能になるが、車両Vの走行速度を低速に抑えることができる。
【0099】
また、車両管理サーバ200は、1つのサーバコンピュータに限定されず、複数のサーバコンピュータで構成されてもよいし、クラウドサーバであってもよい。コールセンター端末300も同様であり、コールセンター端末300はコールセンターCCに設置されていなくてもよい。また、警察POやユーザUoの要請や届出を受け付けるコンピュータシステムを、車両移動制限システム1に接続してもよい。この場合、コールセンター端末300は、コールセンターCCのオペレーターの操作を介さずに、警察POやユーザUoの要請や届出に応じて車両移動制限システム1に制限信号等を送信できる。
【0100】
なお、
図2は、本願発明の理解を容易にするために、車両制御装置100の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、車両制御装置100の構成を限定するものではない。また、
図3-
図11に示した各処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0101】
[4.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0102】
(構成1)車両に搭載される車両制御装置であって、前記車両が搭載する受信装置によって制限信号が受信された場合に駆動制限制御を実行する駆動制限部を備え、前記駆動制限制御は、前記車両のアクセル操作に応じた加速を制限する制御と、前記車両が停止しない所定速度まで前記車両を減速させる制御と、を含む、車両制御装置。
構成1の車両制御装置によれば、車両制御装置に制限信号を与えることによって車両の加速を制限し、車両を減速させることができる。これにより、盗難等により不正に使用される状態となっている車両の移動を制限できる。
【0103】
(構成2)前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合に、前記車両の周囲に特定車両が存在するか否かを判定し、前記車両の周囲に特定車両が存在する場合に前記駆動制限制御を実行する、構成1記載の車両制御装置。
構成2の車両制御装置によれば、車両の周囲に、例えば警察車両等の特定車両が存在することを条件として、車両の加速を制限し、車両を減速させることができる。これにより、周囲の状況に応じて車両の移動を制限できる。
【0104】
(構成3)前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合であって、前記車両の周囲に特定車両が存在する場合に前記駆動制限制御を実行し、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合であって、前記車両の周囲に特定車両が存在しない場合は、前記車両が備える第1通知部によって前記車両の外への通知を実行させ、前記駆動制限制御を実行せずに待機し、その後所定時間内に、前記受信装置によって2回目の前記制限信号が受信された場合に、前記駆動制限制御を実行する、構成2記載の車両制御装置。
構成3の車両制御装置によれば、制限信号を受信した場合に、車両の加速の制限および減速を実行する前に周囲の車両等に通知を行い、車両の周囲に特定車両がある場合は速やかに車両の移動を制限できる。これにより、周囲の状況に応じて車両の移動を制限でき、さらに、特定車両が存在しない場合は、周囲への注意喚起を行った上で車両の移動を制限できる。
【0105】
(構成4)前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合に、前記車両が備える第1通知部によって前記車両の外への通知を実行させ、前記駆動制限制御を実行せずに待機し、前記制限信号が受信されてから所定時間内に、前記受信装置によって2回目の前記制限信号が受信された場合に、前記駆動制限制御を実行する、構成1または構成2記載の車両制御装置。
構成4の車両制御装置によれば、制限信号を受信した場合に、車両の加速の制限および減速を実行する前に周囲の車両等に通知を行う。これにより、車両の制限に関する周囲への注意喚起を行った上で、車両の移動を制限できる。
【0106】
(構成5)前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信されたときに前記車両が停止している場合は、前記駆動制限制御として前記車両の発進を抑制する制御を実行する、構成1から構成4のいずれかに記載の車両制御装置。
構成5の車両制御装置によれば、車両が停止している場合に、車両の発進を抑制できる。これにより、盗難等により不正に使用される状態となっている車両が停車している場合も、車両の移動を制限できる。
【0107】
(構成6)前記駆動制限部は、所定の条件が成立した場合に前記駆動制限制御を解除可能であり、前記所定の条件が成立したときに前記車両のアクセル操作が行われている場合は、前記駆動制限制御を解除せずに前記車両のアクセル操作が行われなくなるまで待機し、前記車両のアクセル操作が行われなくなってから前記駆動制限制御を解除する、構成1から構成5のいずれかに記載の車両制御装置。
構成6の車両制御装置によれば、制限を解除したときに車両が急に発進あるいは加速することを防止できる。
【0108】
(構成7)前記駆動制限部は、前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合に、前記車両が備える第1通知部によって前記車両の外への通知を実行させ、前記車両の後方を前記車両と同じ方向に走行する後続車両が存在し、前記後続車両の速度が前記車両より高速である場合には、前記車両が備える第1通知部及び前記車両が備える第2通知部によって前記車両の外への通知を実行させる、構成1から構成6のいずれかに記載の車両制御装置。
構成7の車両制御装置によれば、車両の移動を制限する際に、制限の対象となる車両の後続車両が、対象となる車両よりも高速で走行している場合に、後続車両に対する注意喚起を行うことができる。
【0109】
(構成8)前記駆動制限部は、前記駆動制限制御の実行中に第1減速度で前記車両を所定速度まで減速させ、前記車両の後方を前記車両と同じ方向に走行する後続車両が存在し、前記後続車両の速度が前記車両より高速である場合は、前記第1減速度よりも減速が緩やかな第2減速度で前記車両を減速させる、構成1から構成7のいずれかに記載の車両制御装置。
構成8の車両制御装置によれば、車両の移動を制限する際に、制限の対象となる車両の後続車両が、対象となる車両よりも高速で走行している場合に、対象の車両の減速を緩やかにする。これにより、周囲の状況に合わせて、車両の移動を制限できる。
【0110】
(構成9)前記駆動制限部は、前記駆動制限制御の実行中に第1減速度で前記車両を所定速度まで減速させ、前記車両が車線変更動作中に前記駆動制限制御を実行する場合は、前記第1減速度よりも減速が緩やかな第2減速度で前記車両を減速させる、構成1から構成8のいずれかに記載の車両制御装置。
構成9の車両制御装置によれば、車線変更動作を行っている間は車両の減速を緩やかにする。これにより、車両の走行状態に合わせて、車両の移動を制限できる。
【0111】
(構成10)前記駆動制限部は、前記車両が車線変更動作中に前記受信装置によって前記制限信号が受信された場合、前記駆動制限制御を実行せずに前記車線変更動作が終了するまで待機し、前記車線変更動作が終了してから前記駆動制限制御を実行する、構成1から構成8のいずれかに記載の車両制御装置。
構成10の車両制御装置によれば、車線変更動作を行っている間は車両を減速させないので、車両の走行状態に合わせて、車両の移動を制限できる。
【0112】
(構成11)前記駆動制限部は、前記駆動制限制御において、前記車両と前記車両の前方の物体との距離が設定値以下の場合に前記車両を減速する運転支援機能を実行中である場合、前記運転支援機能における前記物体との距離の設定値を変更する、構成1から構成10のいずれかに記載の車両制御装置。
構成11の車両制御装置によれば、車両の運転支援機能を利用して、車両を減速させることができる。
【0113】
(構成12)車両に搭載される車両制御装置によって、前記車両が搭載する受信装置により制限信号が受信された場合に、前記車両のアクセル操作に応じた加速を制限する制御と、前記車両が停止しない所定速度まで前記車両を減速させる制御と、を含む駆動制限制御を実行する、車両制御方法。
構成12の車両制御方法によれば、車両制御装置に制限信号を与えることによって車両の加速を制限し、車両を減速させることができる。これにより、盗難等により不正に使用される状態となっている車両の移動を制限できる。
【符号の説明】
【0114】
1…車両移動制限システム、100…車両制御装置、110…管理ユニット(駆動制限部)、121…BCM、122…エンジンECU、123…モータECU、124…シフトECU、125…ブレーキECU、126…パーキングブレーキECU、127…メーターECU、128…センサ制御部、129…IVIシステム、130…ADAS、200…車両管理サーバ、300…コールセンター端末、V…車両。