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特開2022-153915画像記録装置、その制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153915
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】画像記録装置、その制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 451
B41J2/01 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056689
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】洞出 賢太
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB13
2C056EB36
2C056EB46
2C056EB58
2C056EC26
2C056EC35
2C056EC79
2C056FA11
(57)【要約】
【課題】記録媒体が斜行していても、記録媒体に記録される画像の直交方向の位置ズレを抑制する。
【解決手段】プリンタは、ヘッド51と、用紙Pにおける搬送方向Aと直交する直交方向(走査方向)の端部位置を検知するセンサ5sと、制御部とを備えている。制御部は、画像データと用紙Pのサイズとに基づいて、用紙Pにおける搬送方向Aに並ぶ複数の走査領域Pn毎に、当該走査領域Pnに対するヘッド51による画像の記録位置を仮決定する仮決定処理と、センサ5sが検知した端部位置に基づいて、走査領域Pn毎に、仮決定処理で決定された記録位置の直交方向における補正量を導出する補正量導出処理と、を実行する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
記録媒体に画像を記録するヘッドと、
記録媒体における前記搬送方向と直交する直交方向の端部位置を検知するセンサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
画像データと記録媒体のサイズとに基づいて、記録媒体における前記搬送方向に並ぶ複数の単位領域毎に、当該単位領域に対する前記ヘッドによる画像の記録位置を仮決定する、仮決定処理と、
前記センサが検知した前記端部位置に基づいて、前記単位領域毎に、前記仮決定処理で仮決定された前記記録位置の前記直交方向における補正量を導出する、補正量導出処理と、
前記単位領域毎に、前記補正量が第1上限量を超えるか否かを判断する、第1判断処理と、
前記第1判断処理において前記補正量が前記第1上限量を超えないと判断された場合、前記補正量に基づく記録位置を当該単位領域に対する記録位置として決定する、決定処理と、
前記単位領域毎に、前記決定処理で決定された前記記録位置で前記ヘッドに画像を記録させる、記録処理と、
を実行することを特徴とする、画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1判断処理において前記補正量が前記第1上限量を超えると判断された場合、前記補正量のうち前記第1上限量を超える超過量を、前記複数の単位領域のうち当該単位領域に前記搬送方向に隣接する単位領域についての前記補正量に追加することを特徴とする、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1判断処理において前記補正量が前記第1上限量を超えると判断された場合、前記補正量が前記第1上限量よりも大きい第2上限量を超えるか否かを判断する、第2判断処理を実行し、
前記第2判断処理において前記補正量が前記第2上限量を超えると判断された場合、当該単位領域について、前記センサから前記端部位置の検知結果を再度取得し、再度取得した前記検知結果に基づいて前記補正量導出処理を再度実行することを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1判断処理において前記補正量が前記第1上限量を超えると判断された場合、前記補正量が前記第1上限量よりも大きい第3上限量を超えるか否かを判断する、第3判断処理と、
前記第3判断処理において前記補正量が前記第3上限量を超えると判断された場合、当該記録媒体に対する記録中であって、当該単位領域に対する記録の開始前に、前記搬送機構による記録媒体の搬送を停止させる、搬送停止処理と、
をさらに実行することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
ユーザに報知を行う報知部をさらに備え、
前記制御部は、
1の記録媒体における前記複数の単位領域についての前記補正量が、第4上限量を超えるか否かを判断する、第4判断処理と、
前記第4判断処理において1の記録媒体における前記複数の単位領域についての前記補正量が前記第4上限量を超えると判断された場合、当該記録媒体に対する記録の完了後、次の記録媒体に対する記録の開始前に、前記報知部にエラー報知を行わせる、報知処理と、
をさらに実行することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記画像データに基づいて、記録媒体における余白領域の前記直交方向の長さが、所定長さを超えるか否かを判断する、第5判断処理を実行し、
前記第5判断処理において前記余白領域の前記長さが前記所定長さを超えないと判断された場合、前記補正量導出処理を実行し、
前記第5判断処理において前記余白領域の前記長さが前記所定長さを超えると判断された場合、前記補正量導出処理を実行しないことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記ヘッドを前記直交方向に移動させる移動機構をさらに備え、
前記制御部は、前記記録処理において、前記搬送機構により記録媒体を前記搬送方向に所定量搬送させる搬送動作と、前記移動機構により前記ヘッドを前記直交方向に移動させつつ画像を記録させる走査動作とを、交互に行い、
前記単位領域は、1の前記走査動作に対応する領域であり、
前記制御部は、前記1の走査動作の開始前かつ当該走査動作の1つ前の走査動作の開始後に、前記センサから前記端部位置の検知結果を取得し、当該走査動作に関する前記補正量導出処理を実行することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記ヘッドを前記直交方向に移動させる移動機構をさらに備え、
前記制御部は、前記記録処理において、前記搬送機構により記録媒体を前記搬送方向に所定量搬送させる搬送動作と、前記移動機構により前記ヘッドを前記直交方向に移動させつつ画像を記録させる走査動作とを、交互に行い、
前記単位領域は、複数の前記走査動作に対応する領域であり、
前記制御部は、前記複数の走査動作の開始前かつ当該複数の走査動作の1つ前の走査動作の開始後に、前記センサから前記端部位置の検知結果を取得し、当該走査動作に関する前記補正量導出処理を実行することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記ヘッドを前記直交方向に往路移動させるとき及び復路移動させるときのそれぞれで前記走査動作を行う、双方向記録において、
前記往路移動では、前記補正量導出処理を実行し、
前記復路移動では、前記補正量導出処理を実行しないことを特徴とする、請求項7又は8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
シート状の記録媒体が巻回されたロール体を収容可能なトレイを備え、
前記搬送機構は、前記ロール体から巻き解かれたシート状の記録媒体を搬送し、
前記ヘッドは、前記ロール体から巻き解かれたシート状の記録媒体に対して画像を記録することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項11】
記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に画像を記録するヘッドと、記録媒体における前記搬送方向と直交する直交方向の端部位置を検知するセンサと、を備えた画像記録装置を制御する制御方法であって、
画像データと記録媒体のサイズとに基づいて、記録媒体における前記搬送方向に並ぶ複数の単位領域毎に、当該単位領域に対する前記ヘッドによる画像の記録位置を仮決定する、仮決定処理と、
前記センサが検知した前記端部位置に基づいて、前記単位領域毎に、前記仮決定処理で仮決定された前記記録位置の前記直交方向における補正量を導出する、補正量導出処理と、
前記単位領域毎に、前記補正量が第1上限量を超えるか否かを判断する、第1判断処理と、
前記第1判断処理において前記補正量が前記第1上限量を超えないと判断された場合、前記補正量に基づく記録位置を当該単位領域に対する記録位置として決定する、決定処理と、
前記単位領域毎に、前記決定処理で決定された前記記録位置で前記ヘッドに画像を記録させる、記録処理と、
を実行することを特徴とする、制御方法。
【請求項12】
記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に画像を記録するヘッドと、記録媒体における前記搬送方向と直交する直交方向の端部位置を検知するセンサと、を備えた画像記録装置を、
画像データと記録媒体のサイズとに基づいて、記録媒体における前記搬送方向に並ぶ複数の単位領域毎に、当該単位領域に対する前記ヘッドによる画像の記録位置を仮決定する、仮決定手段、
前記センサが検知した前記端部位置に基づいて、前記単位領域毎に、前記仮決定手段により仮決定された前記記録位置の前記直交方向における補正量を導出する、補正量導出手段、
前記単位領域毎に、前記補正量が第1上限量を超えるか否かを判断する、第1判断手段、
前記第1判断手段により前記補正量が前記第1上限量を超えないと判断された場合、前記補正量に基づく記録位置を当該単位領域に対する記録位置として決定する、決定手段、及び、
前記単位領域毎に、前記決定手段により決定された前記記録位置で前記ヘッドに画像を記録させる、記録手段
として機能させることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する画像記録装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙(記録媒体)の側端(直交方向の端部)を基準部材に当接させることで、用紙の斜行を補正する技術が示されている。このように斜行補正を行うことで、用紙に記録される画像の直交方向の位置ズレを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-260696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば用紙の先端だけ斜行補正が行われる場合には、用紙の後端ほど、斜行の影響が大きくなり、画像の直交方向の位置ズレを抑制することが困難になり得る。特に用紙の長さが長い場合には、当該問題が顕著になり、画像の直交方向の位置ズレを抑制し難い。
【0005】
本発明の目的は、記録媒体が斜行していても、記録媒体に記録される画像の直交方向の位置ズレを抑制できる、画像記録装置、その制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に画像を記録するヘッドと、記録媒体における前記搬送方向と直交する直交方向の端部位置を検知するセンサと、制御部と、を備え、前記制御部は、画像データと記録媒体のサイズとに基づいて、記録媒体における前記搬送方向に並ぶ複数の単位領域毎に、当該単位領域に対する前記ヘッドによる画像の記録位置を仮決定する、仮決定処理と、前記センサが検知した前記端部位置に基づいて、前記単位領域毎に、前記仮決定処理で仮決定された前記記録位置の前記直交方向における補正量を導出する、補正量導出処理と、前記単位領域毎に、前記補正量が第1上限量を超えるか否かを判断する、第1判断処理と、前記第1判断処理において前記補正量が前記第1上限量を超えないと判断された場合、前記補正量に基づく記録位置を当該単位領域に対する記録位置として決定する、決定処理と、前記単位領域毎に、前記決定処理で決定された前記記録位置で前記ヘッドに画像を記録させる、記録処理と、を実行することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る制御方法は、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に画像を記録するヘッドと、記録媒体における前記搬送方向と直交する直交方向の端部位置を検知するセンサと、を備えた画像記録装置を制御する制御方法であって、画像データと記録媒体のサイズとに基づいて、記録媒体における前記搬送方向に並ぶ複数の単位領域毎に、当該単位領域に対する前記ヘッドによる画像の記録位置を仮決定する、仮決定処理と、前記センサが検知した前記端部位置に基づいて、前記単位領域毎に、前記仮決定処理で仮決定された前記記録位置の前記直交方向における補正量を導出する、補正量導出処理と、前記単位領域毎に、前記補正量が第1上限量を超えるか否かを判断する、第1判断処理と、前記第1判断処理において前記補正量が前記第1上限量を超えないと判断された場合、前記補正量に基づく記録位置を当該単位領域に対する記録位置として決定する、決定処理と、前記単位領域毎に、前記決定処理で決定された前記記録位置で前記ヘッドに画像を記録させる、記録処理と、を実行することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に画像を記録するヘッドと、記録媒体における前記搬送方向と直交する直交方向の端部位置を検知するセンサと、を備えた画像記録装置を、画像データと記録媒体のサイズとに基づいて、記録媒体における前記搬送方向に並ぶ複数の単位領域毎に、当該単位領域に対する前記ヘッドによる画像の記録位置を仮決定する、仮決定手段、前記センサが検知した前記端部位置に基づいて、前記単位領域毎に、前記仮決定手段により仮決定された前記記録位置の前記直交方向における補正量を導出する、補正量導出手段、前記単位領域毎に、前記補正量が第1上限量を超えるか否かを判断する、第1判断手段、前記第1判断手段により前記補正量が前記第1上限量を超えないと判断された場合、前記補正量に基づく記録位置を当該単位領域に対する記録位置として決定する、決定手段、及び、前記単位領域毎に、前記決定手段により決定された前記記録位置で前記ヘッドに画像を記録させる、記録手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、単位領域毎に記録位置を仮決定した後、センサが検知した記録媒体の端部位置に基づいて、単位領域毎に記録位置の直交方向における補正量を導出することで、記録媒体が斜行していても、記録媒体に記録される画像の直交方向の位置ズレを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタの側面図である。
図2図1のプリンタの平面図である。
図3図1のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図4図1のプリンタのCPUが実行するプログラムを示すフロー図である。
図5】用紙先端の側端位置に基づいて各走査動作の記録位置を補正した状態を示す模式図である。
図6】1走査動作毎に用紙の側端位置に基づいて各走査動作の記録位置を補正した状態を示す模式図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るプリンタのCPUが実行するプログラムを示すフロー図である。
図8】本発明の第3実施形態に係るプリンタのCPUが実行するプログラムを示すフロー図である。
図9】本発明の第4実施形態において、走査領域同士が部分的に重なる状態を示す模式図である。
図10】本発明の第5実施形態において、複数の走査動作毎に用紙の側端位置に基づいて各走査動作の記録位置を補正した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
先ず、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るプリンタ100(画像記録装置)の全体構成について説明する。
【0012】
プリンタ100は、筐体100aと、給紙トレイ1と、搬送機構3と、カッター機構4と、ヘッドユニット5と、プラテン6と、排紙トレイ8と、制御装置10とを含む。
【0013】
給紙トレイ1は、本発明の「トレイ」に該当するものであって、上方に開口した箱形状を有し、筐体100aの下部に着脱可能である。排紙トレイ8は、筐体100aの上部の側壁で構成され、筐体100aに対して開閉可能である。
【0014】
給紙トレイ1は、ロール紙R(ロール体)を収容可能である。ロール紙Rは、円筒状の芯部材Rcの外周面に、シート状の用紙P(記録媒体)がロール状に巻回されたものである。ロール紙Rは、その回転軸Rx(芯部材Rcの中心軸)が走査方向に沿った状態で、給紙トレイ1に収容され、2つのローラ11,12に支持される。
【0015】
搬送機構3は、給送ローラ3a、中間ローラ対3b、搬送ローラ対3c、排紙ローラ対3d及びガイド3g1,3g2を含む。
【0016】
給送ローラ3aは、アーム3yの先端に軸支されている。アーム3yは、支軸3xに回動自在に支持され、かつ、給送ローラ3aが給紙トレイ1の底面に近づくように付勢されている。給送ローラ3aは、搬送モータ3m(図3参照)の駆動により回転する駆動ローラである。中間ローラ対3b、搬送ローラ対3c及び排紙ローラ対3dは、それぞれ、搬送モータ3mの駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとを含む。
【0017】
制御装置10の制御により搬送モータ3m(図3参照)が駆動され、給送ローラ3aが回転すると、図1に示すように、ロール紙Rが矢印方向Bに回転し、ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pが中間ローラ対3bに向けて給送される。そして、中間ローラ対3b、搬送ローラ対3c及び排紙ローラ対3dが用紙Pを挟持しつつ回転することで、用紙Pが搬送経路Cに沿って搬送方向Aに搬送される。
【0018】
ガイド3g1は、搬送経路Cにおいて給送ローラ3aと中間ローラ対3bとの間に配置されており、給送ローラ3aにより給送された用紙Pを中間ローラ対3bへと案内する。ガイド3g1は、給紙トレイ1の側壁で構成されている。
【0019】
ガイド3g2は、搬送経路Cにおいて中間ローラ対3bと搬送ローラ対3cとの間に配置されており、中間ローラ対3bにより搬送された用紙Pを搬送ローラ対3cへと案内する。ガイド3g2は、搬送経路Cを挟むように配置された一対の板状部材で構成されている。
【0020】
カッター機構4は、搬送経路Cを挟むように配置された一対の回転刃を含む。制御装置10の制御によりカッターモータ4m(図3参照)が駆動されると、一対の回転刃が回転し、ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pが切断される。
【0021】
ヘッドユニット5は、搬送経路Cにおいて搬送ローラ対3cと排紙ローラ対3dとの間に配置されており、ヘッド51と、ヘッド51を保持するキャリッジ52とを含む。
【0022】
プラテン6は、搬送経路Cにおいて搬送ローラ対3cと排紙ローラ対3dとの間であって、ヘッドユニット5の下方に配置されている。
【0023】
ヘッド51及びキャリッジ52は、移動機構7(図2参照)により、走査方向(搬送方向Aと直交する「直交方向」)に移動可能である。移動機構7は、キャリッジ52を支持する一対のガイド7a,7bと、キャリッジ52に連結されたベルト7cとを含む。制御装置10の制御によりキャリッジモータ7m(図3参照)が駆動されると、ベルト7cが走行し、ガイド7a,7bに沿ってキャリッジ52が走査方向に移動する。
【0024】
ヘッド51の下面には、複数のノズルNが形成されている。搬送機構3によって搬送された用紙Pが、プラテン6に支持されながらヘッド51の下方を通過するときに、制御装置10の制御によりドライバIC5m(図3参照)が駆動されると、ノズルNからインクが吐出され、用紙Pに対して画像が記録される。
【0025】
制御装置10は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)10aと、ROM(Read Only Memory)10bと、RAM(Random Access Memory)10cとを有する。ROM10bには、CPU10aが各種動作を制御するためのプログラムやデータが格納されている。RAM10cは、CPU10aがプログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。CPU10aは、外部装置(図3に示すPC20等)から受信したデータに基づいて、ROM10bやRAM10cに記憶されているプログラムやデータにしたがい、記録処理等を実行する。CPU10aが、本発明の「制御部」に該当する。
【0026】
記録処理において、CPU10aは、PC20等から受信した記録指令(画像データを含む。)に基づいて、搬送モータ3m、カッターモータ4m、キャリッジモータ7m及びドライバIC5mを駆動させ、ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pを所定の長さに切断し、さらに、搬送機構3により用紙Pを搬送方向Aに所定量搬送させる搬送動作と、移動機構7によりヘッド51を走査方向に移動させつつ用紙Pに対してノズルNからインクを吐出させる走査動作とを、交互に行う。これにより、用紙P上に、インクのドットが形成され、画像が記録される。画像が記録された用紙Pは、筐体100aに対して開いた状態の排紙トレイ8に受容される。
【0027】
また、制御装置10は、プリンタ100のディスプレイ9(報知部)と電気的に接続されており、ディスプレイ9を通じてプリンタ100のユーザに報知を行う。
【0028】
キャリッジ52には、図1及び図2に示すように、用紙Pの側端(走査方向の端部)の位置を検知するセンサ5sが取り付けられている。センサ5sは、図2に示すように、ヘッド51に対して走査方向の一方に配置されている。また、センサ5sは、複数のノズルNに対して搬送方向Aの上流に位置する。センサ5sは、発光部と受光部とを有する光反射式センサであり、発光部が下方に向かって光を照射し、プラテン6及び用紙Pのいずれかからの反射光を受光部が受光する。受光部が受光した反射光量を示すデータは、制御装置10に送信される。制御装置10において、CPU10aは、キャリッジ52が走査方向に移動する間にセンサ5sから受信したデータと、ROM10bに記憶されたプラテン6からの反射光量及び用紙Pからの反射光量のデータとを比較することで、用紙Pにおけるセンサ5sと対向する部分の側端の位置を検出できる。
【0029】
次いで、CPU10aが実行するプログラムについて説明する。
【0030】
CPU10aは、先ず、図4に示すように、PC20等から記録指令を受信したか否かを判断する(S1)。記録指令を受信していない場合(S1:NO)、CPU10aは、S1の処理を繰り返す。
【0031】
記録指令を受信した場合(S1:YES)、CPU10aは、当該記録指令の画像データと用紙Pのサイズとに基づいて、各走査動作の記録位置を仮決定する(S2:仮決定処理)。図5に示すように、用紙Pの走査領域Pn(n=1~N)のそれぞれに対し、第n走査動作(n=1~N)が順次実行される。走査領域Pn(n=1~N)は、それぞれ直交方向に延びる帯状の領域であり、搬送方向Aに並んでいる。本実施形態では、1つの走査領域Pnが本発明の「単位領域」に該当する。記録位置は、各走査領域Pnに対する記録開始位置及び記録終了位置を含み、キャリッジ52の移動速度やドライバIC5mの駆動タイミングにより規定される。S2では、用紙Pが直交方向において所定の位置にあり、かつ、用紙Pの側端Pxが搬送方向Aと平行であるとして、記録位置が仮決定される。
【0032】
S2の後、CPU10aは、用紙Pの先端(搬送方向Aの下流端)がセンサ5sと対向する位置まで、搬送機構3により用紙Pを搬送させる。そしてCPU10aは、用紙Pを当該位置で静止させた状態で、キャリッジ52を走査方向に移動させ、キャリッジ52が移動する間にセンサ5sから受信したデータに基づいて、用紙P先端の側端Pxの位置を検出する(S3)。
【0033】
S3の後、CPU10aは、S2で検出された用紙P先端の側端Pxの位置に基づいて、各走査動作についてS2で仮決定された記録位置を直交方向に補正する(S4)。具体的には、各走査領域Pnの直交方向の中心と、用紙P先端の直交方向の中心とが、一致するように補正する。これにより、用紙P先端においては、直交方向において所定の位置からズレていても、走査領域P1に対して直交方向両側にある余白領域の直交方向の長さL1(図5参照)が互いに同じになる。ただし、S4の補正のみでは、図5に示すように用紙Pが斜行している(即ち、用紙Pの側端Pxが、搬送方向Aと平行ではなく、搬送方向Aに対して傾斜している)場合、用紙Pの後端側(搬送方向Aの上流側)ほど、走査領域Pnに対して直交方向両側にある余白領域の直交方向の長さの差が大きくなり、画像の直交方向の位置ズレが問題となり得る。そこで本実施形態では、後述するS10等を実行する。
【0034】
S4の後、CPU10aは、n=1とする(S5)。
【0035】
S5の後、CPU10aは、n=N(最終の走査動作)であるか否かを判断する(S6)。
【0036】
n≠Nの場合(S6:NO)、CPU10aは、画像データに基づいて、第n+1走査動作における余白領域の直交方向の長さLが、所定長さLxを超えるか否かを判断する(S7:第5判断処理)。
【0037】
余白領域の直交方向の長さLが所定長さLxを超えない場合(S7:NO)、CPU10aは、第n+1走査動作が、「双方向記録」の往路移動に対応するか否かを判断する(S8)。記録には、ヘッドユニット5を往路移動させる(図5の太矢印に沿って移動させる)とき及び復路移動させる(図5の太矢印と反対方向に移動させる)ときのそれぞれで走査動作(即ち、ヘッド51を移動させながらノズルNからインクを吐出させる動作)を行う「双方向記録」と、ヘッドユニット5を往路移動させるときには走査動作を行い、ヘッドユニット5を復路移動させるときには走査動作を行わない(即ち、ヘッド51を移動させるが、ノズルNからインクを吐出させない)「片方向記録」とがある。「双方向記録」及び「片方向記録」のいずれを行うかについては、画像解像度や記録速度に基づいて予め決定される。本実施形態では、「双方向記録」が実行されるものとする。
【0038】
第n+1走査動作が「双方向記録」の往路移動に対応する場合(S8:YES)、CPU10aは、走査領域Pnに対して第n走査動作を実行すると共に、第n走査動作においてキャリッジ52が走査方向に移動する間にセンサ5sから受信したデータに基づいて、用紙Pの側端Pxの位置を検出する(S9)。
【0039】
S9の後、CPU10aは、S9で検出された用紙Pの側端Pxの位置に基づいて、第n+1走査動作についてS4で補正された記録位置の、直交方向における補正量Cを導出する(S10:補正量導出処理)。具体的には、走査領域Pn+1の直交方向の中心と、用紙P(S9で側端Pxが検出された、走査領域Pnに対応する部分)の直交方向の中心とが、一致するように補正量Cを導出する。これにより、走査領域Pn+1に対して直交方向両側にある余白領域の直交方向の長さL2(図6参照)が互いに同じになる。つまり、S10を実行することで、図6に示すように用紙Pが斜行している(即ち、用紙Pの側端Pxが、搬送方向Aと平行ではなく、搬送方向Aに対して傾斜している)場合でも、画像の直交方向の位置ズレを抑制できる。
【0040】
S10の後、CPU10aは、S10で導出された補正量Cが第1上限量C1を超えるか否かを判断する(S11:第1判断処理)。
【0041】
補正量Cが第1上限量C1を超えない場合(S11:NO)、CPU10aは、補正量Cに基づく記録位置を、第n+1走査動作(走査領域Pn+1に対する走査動作)の記録位置として決定する(S12:決定処理)。
【0042】
S12の後、CPU10aは、nを「n+1」とし(S13)、処理をS6に戻す。
【0043】
余白領域の直交方向の長さLが所定長さLxを超える場合(S7:YES)や、第n+1走査動作が「双方向記録」の往路移動に対応しない(即ち、復路移動に対応する)場合(S8:NO)、CPU10aは、S9,S10を実行せずに、走査領域Pnに対して第n走査動作を実行する(S14)。
【0044】
補正量Cが第1上限量C1を超える場合(S11:YES)、CPU10aは、補正量Cのうち第1上限量C1を超える超過量を、RAM10cに記憶させる(S15)。当該超過量は、第n+2走査動作(走査領域Pn+1に搬送方向Aの上流側に隣接する走査領域Pn+2に対する走査動作)の補正量に追加される。
【0045】
S15の後、CPU10aは、補正量Cが第2上限量C2(>第1上限量C1)を超えるか否かを判断する(S16:第2判断処理)。
【0046】
補正量Cが第2上限量C2を超えない場合(S16:NO)、CPU10aは、処理をS12に移し、補正量Cに基づく記録位置を、第n+1走査動作(走査領域Pn+1に対する走査動作)の記録位置として決定する(S12:決定処理)。
【0047】
補正量Cが第2上限量C2を超える場合(S16:YES)、CPU10aは、キャリッジ52を走査方向に移動させて用紙Pの側端Pxの位置を再度検出し(S17)、その後処理をS10に移し、S17で検出された用紙Pの側端Pxの位置に基づいて補正量Cを再度導出する(S10:補正量導出処理)。
【0048】
n=Nの場合(S6:YES)、CPU10aは、走査領域Pnに対して第n走査動作を実行し(S18)、プログラムを終了する。
【0049】
S6の後で実行されるS9,S14,S18では、直近のS12で決定された記録位置で走査動作が実行される(記録処理)。
【0050】
以上に述べたように、本実施形態によれば、CPU10aは、各走査動作の記録位置を仮決定した後(S2)、センサ5sが検知した用紙Pの側端位置に基づいて、走査領域Pn毎に、S2で仮決定された記録位置の直交方向における補正量Cを導出する(S10)。これにより、用紙Pが斜行していても、用紙Pに記録される画像の直交方向の位置ズレを抑制できる。また、第1上限量C1を超えるような大きな補正量Cの場合、走査領域Pnに記録される画像と走査領域Pn+1(走査領域Pnに搬送方向Aに隣接する走査領域)に記録される画像との間で直交方向の位置ズレが大きくなり得る。この点、本実施形態によれば、補正量Cが第1上限量C1を超えない場合(S11:NO)に補正量Cに基づく記録を行うことで、当該問題を抑制できる。
【0051】
CPU10aは、補正量Cが第1上限量C1を超える場合(S11:YES)、補正量Cのうち第1上限量C1を超える超過量を、第n+2走査動作(走査領域Pn+1に搬送方向Aの上流側に隣接する走査領域Pn+2に対する走査動作)の補正量に追加する(S15)。これにより、隣接する走査領域Pn間における画像の直交方向の位置ズレと、用紙Pの斜行による画像の位置ズレとを、バランスよく抑制できる。
【0052】
CPU10aは、補正量Cが第1上限量C1を超える場合(S11:YES)、補正量Cが第2上限量C2(>第1上限量C1)を超えるか否かを判断する(S16)。そして、補正量Cが第2上限量C2を超える場合(S16:YES)、CPU10aは、センサ5sから用紙Pの側端Pxの位置の検知結果を再度取得し(S17)、再度取得した検知結果に基づいて補正量Cを再度導出する(S10)。第2上限量C2を超えるような大きな補正量Cの場合、センサ5sの誤検知の可能性がある。そこで本実施形態では、このような場合は再度センサ5sから検知結果を取得して補正量を導出することで、誤検知に基づく極端な補正を回避することができる。
【0053】
CPU10aは、第n+1走査動作における余白領域の直交方向の長さLが所定長さLxを超えない場合(S7:NO)、補正量導出処理(S10)を実行する一方、第n+1走査動作における余白領域の直交方向の長さLが所定長さLxを超える場合(S7:YES)、補正量導出処理(S10)を実行しない。余白領域の直交方向の長さLが長い場合は、画像の直交方向の位置ズレが目立ち難いため、記録位置を補正する必要性が低い。そこで本実施形態では、このような場合は補正量導出処理を実行しないことで、処理が簡素化され、ひいては高速記録を実現できる。
【0054】
CPU10aは、1の走査動作(第n+1走査動作)の開始前かつ当該走査動作の1つ前の走査動作(第n走査動作)の開始後に(S9)、センサ5sから用紙Pの側端Pxの検知結果を取得し、当該走査動作(第n+1走査動作)に関する補正量導出処理(S10)を実行する。このように1走査動作毎に補正量導出処理を実行することで、後述の第5実施形態のように複数の走査動作毎に補正量導出処理を実行する場合に比べ、画像の直交方向の位置ズレを搬送方向に細かいピッチで補正でき、画質が向上する。また、1走査動作の直前に、センサ5sから側端Pxの検知結果を取得して補正量導出処理を実行することで、精確な補正量Cを導出できる。即ち、画像の直交方向の位置ズレをより精確に補正できる。
【0055】
CPU10aは、双方向記録において、往路移動では補正量導出処理を実行し(S8:YES→S9→S10)、復路移動では補正量導出処理を実行しない(S8:NO→S14)。この場合、往路移動及び復路移動の両方で補正量導出処理を実行する場合に比べ、処理が簡素化され、ひいては高速記録を実現できる。
【0056】
ヘッド51は、ロール紙Rから巻き解かれたシート状の用紙Pに対して画像を記録する(図1参照)。ロール紙Rの場合、カット紙に比べ、一般に、搬送方向Aの長さが長い。搬送方向Aの長さが長い用紙Pでは、用紙Pの後端ほど、斜行の影響が大きくなり、画像の直交方向の位置ズレの問題が顕著になる。本実施形態では、このような場合に補正量導出処理(S10)を実行することで、画像の直交方向の位置ズレを抑制できるという効果を実効的に得ることができる。
【0057】
<第2実施形態>
続いて、図7を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
【0058】
本実施形態は、CPU10aが実行するプログラムが第1実施形態と異なり、その他は第1実施形態と同じである。
【0059】
第1実施形態では、S15の後、CPU10aは、補正量Cが第2上限量C2(>第1上限量C1)を超えるか否かを判断する(S16)。これに対し、本実施形態では、S15の後、CPU10aは、補正量Cが第3上限量C2(>第2上限量C2)を超えるか否かを判断する(S26:第3判断処理)。
【0060】
補正量Cが第3上限量C3を超えない場合(S26:NO)、CPU10aは、処理をS12に移し、補正量Cに基づく記録位置を、第n+1走査動作(走査領域Pn+1に対する走査動作)の記録位置として決定する(S12)。
【0061】
補正量Cが第3上限量C3を超える場合(S26:YES)、CPU10aは、当該用紙Pに対する記録中であって、走査領域n+1に対する記録の開始前に、搬送機構3による用紙Pの搬送を停止させる(S27:搬送停止処理)。S27の後、CPU10aは、プログラムを終了する。
【0062】
1の用紙Pに対する記録中において、第3上限量C3を超えるような大きな補正量Cが必要な場合は、用紙Pの斜行が大きく、用紙Pのジャムが懸念される。そこで本実施形態では、このような場合は走査領域n+1に対する記録の開始前に搬送を停止させることで、用紙Pのジャムを抑制できる。
【0063】
<第3実施形態>
続いて、図8を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。
【0064】
本実施形態は、CPU10aが実行するプログラムが第1実施形態と異なり、その他は第1実施形態と同じである。
【0065】
第1実施形態では、S18の後、CPU10aは、プログラムを終了する。これに対し、本実施形態では、S18の後、CPU10aは、補正量Cの累積値(第1~第N走査動作の補正量Cの累積値)が第4上限量C4を超えるか否かを判断する(S31:第4判断処理)。
【0066】
補正量Cの累積値が第4上限量C4を超えない場合(S31:NO)、CPU10aは、プログラムを終了する。
【0067】
補正量Cの累積値が第4上限量C4を超える場合(S31:YES)、CPU10aは、当該用紙Pに対する記録の完了後、次の用紙Pに対する記録の開始前に、ディスプレイ9(図3参照)にエラー報知を行わせる(S32:報知処理)。エラー報知とは、例えば、給紙トレイ1に用紙P(ロール紙R)をセットし直すことや正しいセット方法等を報知することをいう。S32の後、CPU10aは、プログラムを終了する。
【0068】
補正量Cの累積値が第4上限量C4を超えるような大きな場合は、給紙トレイ1における用紙Pの姿勢が問題と考えられる。そこで本実施形態では、このような場合は次の用紙Pに対する記録の開始前にエラー報知を行うことで、給紙トレイ1に対する用紙Pの再セット等をユーザに促し、次の用紙Pに対する記録を適切に行うことができる。
【0069】
<第4実施形態>
続いて、図9を参照し、本発明の第4実施形態について説明する。
【0070】
第1実施形態(図6)では、複数の走査領域Pnが、互いに重ならず、搬送方向Aに互いに隣接している。これに対し、本実施形態(図9)では、複数の走査領域Pnが互いに部分的に重なっている。具体的には、本実施形態における走査動作間の搬送量は、第1実施形態における走査動作間の搬送量の1/3であり、各走査領域Pnに対して3回の走査動作が実行される。
【0071】
本実施形態のように複数の走査領域Pnが互いに部分的に重なる場合において、1走査動作毎に補正量導出処理を実行することで、画像の直交方向の位置ズレを効果的に抑制できる。
【0072】
<第5実施形態>
続いて、図10を参照し、本発明の第5実施形態について説明する。
【0073】
本実施形態(図10)は、第4実施形態(図9)と同様、複数の走査領域Pnが互いに部分的に重なっている。このような場合において、第4実施形態では、1走査動作毎に補正量導出処理を実行するが、本実施形態では、複数の走査動作(3回の走査動作)毎に補正量導出処理を実行する。
【0074】
換言すると、第1~第4実施形態では、1つの走査領域Pnが本発明の「単位領域」に該当するのに対し、本実施形態では、3つの走査領域Pn(P1~P3,P4~P6等、3回の走査動作に対応する領域)が本発明の「単位領域」に該当する。
【0075】
本実施形態によれば、複数の走査動作毎に補正量導出処理を実行することで、第1~第4実施形態のように1走査動作毎に補正量導出処理を実行する場合に比べ、処理が簡素化され、ひいては高速記録を実現できる。また、単位領域に対応する複数の走査動作の直前に、センサ5sから側端Pxの検知結果を取得して補正量導出処理を実行することで、精確な補正量Cを導出できる。即ち、画像の直交方向の位置ズレをより精確に補正できる。
【0076】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0077】
上述の実施形態では、補正量導出処理において、用紙の直交方向の中心を基準として補正量を導出する(即ち、単位領域の直交方向の中心と用紙の直交方向の中心とが一致するように補正量を導出する)が、これに限定されない。例えば、用紙の直交方向の端部(側端)を基準として補正量を導出してもよい(即ち、単位領域の直交方向の端部と用紙の側端との間に所定長さの余白領域が設けられるように補正量を導出してもよい)。
【0078】
余白領域を設けなくてもよい。即ち、本発明は、所謂「縁無し記録」にも適用可能である。
【0079】
上述の実施形態では、超過量を追加する対象として、搬送方向の上流側に隣接する走査領域(単位領域)を例示したが、これに限定されない。例えば、搬送方向の下流側に隣接する単位領域を、超過量を追加する対象としてもよい。
【0080】
上述の実施形態では、S4で補正された各走査動作の記録位置を基準として、補正量導出処理(S10)を実行するが、これに限定されない。例えば、S3,S4を省略し、S2で仮決定された記録位置を基準として、補正量導出処理(S10)を実行してもよい。或いは、当該単位領域と搬送方向に隣接する単位領域の記録位置を基準として、補正量導出処理(S10)を実行してもよい。
【0081】
第1走査動作の前に、補正量導出処理(S3,S4)と、第1判断処理等とを実行してもよい。
【0082】
第3実施形態では、「1の記録媒体における複数の単位領域についての補正量」として、補正量Cの累積値を例示したが、これに限定されず、例えば、第1走査動作の補正量と第N(最終)走査動作の補正量との差であってもよい。
【0083】
第5実施形態のように複数の走査動作毎に補正量導出処理を実行する場合(複数の走査領域Pnが本発明の「単位領域」に該当する場合)において、単位領域に含まれる複数の走査領域Pn間の搬送量は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
【0084】
双方向記録において、往路移動及び復路移動の両方で補正量導出処理を実行してもよい。また、上述の実施形態は双方向記録を行うことを前提としているが、片方向記録においても本発明を適用可能である。
【0085】
センサは、光反射式センサに限定されず、光透過式センサ、イメージセンサ等であってもよい。
【0086】
記録媒体は、巻回されたロール体として収容されることに限定されず、互いに分離した複数のカット媒体として収容されてもよい。また、記録媒体は、用紙に限定されず、例えば、布、樹脂部材等であってもよい。
【0087】
ヘッドは、シリアル式に限定されず、ライン式であってもよい。ヘッドがライン式の場合、記録位置は、ヘッドに含まれる複数のノズルのうちインクを吐出させるノズルを選択することで規定される。
【0088】
ヘッドは、インク以外の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)を吐出してもよい。また、ヘッドは、液体吐出方式に限定されず、レーザー方式、熱転写方式等であってもよい。
【0089】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。
【0090】
本発明に係るプログラムは、フレキシブルディスク等のリムーバブル型記録媒体やハードディスク等の固定型記録媒体に記録して配布可能である他、通信回線を介して配布可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 給紙トレイ(トレイ)
3 搬送機構
5 ヘッドユニット
51 ヘッド
5s センサ
7 移動機構
9 ディスプレイ(報知部)
10a CPU(制御部)
100 プリンタ(画像記録装置)
A 搬送方向
P 用紙(記録媒体)
Px 側端
Pn 走査領域(単位領域)
R ロール紙(ロール体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10