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  • 特開-靴用ブラシ、及びその製造方法 図1
  • 特開-靴用ブラシ、及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153917
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】靴用ブラシ、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A46B 3/00 20060101AFI20221005BHJP
   A47L 23/14 20060101ALI20221005BHJP
   A46B 9/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A46B3/00
A47L23/14
A46B9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056691
(22)【出願日】2021-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年11月1日に、ウェブサイト https://www.kanaya-brush.com/products/detail/988 で発明に関わる靴用ブラシを公表した。
(71)【出願人】
【識別番号】594112738
【氏名又は名称】カナヤブラシ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内 隆治
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA20
3B202AB19
3B202EG03
3B202EG12
3B202HA03
(57)【要約】
【課題】豚毛と皮革を組み合わせて構成される靴用ブラシ、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本方法は、豚毛2の細くなっている部位を所定の長さだけ切断し、切断した豚毛の束の半分を上下逆さについてよく混ぜる工程と、前記豚毛の束を、接着剤4が浸透する第1の糸3で、所定回、きつく巻いて縛り、縛った前記第1の糸の上から、接着剤を塗布して固める工程と、前記豚毛の束における前記第1の糸で縛ったところから上下に所定範囲に接着剤4を更に塗布し、前記接着剤が乾きはじめたところで、前記接着剤の上から厚紙5を巻き、前記厚紙の上から前記第1の糸を更に所定回巻き付けて縛る工程と、前記豚毛の束の底面に底板7を接着剤で接着し、皮革8を前記厚紙及び前記第1の糸の上から、周面を覆うように巻き付け、前記皮革の端と端を第1の糸より強固な第2の糸9により縫製する工程と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細くなっている部位を所定の長さだけ切断し、切断した束の半分を上下逆さにしてよく混ぜた豚毛の束と、
前記豚毛の束をきつく巻き付けて縛る第1の糸と、
前記第1の糸で縛ったところから上下に所定範囲に塗布された接着剤層と、
前記接着剤層の上から周面に巻かれる厚紙と、
前記厚紙をきつく巻き付けて縛る前記第2の糸と、
前記豚毛の束の底面に接着される底板と、
前記厚紙、前記第2の糸、及び前記底板の上から周面を覆うように巻き付けられる皮革と、
前記皮革の端と端とを縫製する第2の糸と、を有する
靴用ブラシ。
【請求項2】
豚毛の細くなっている部位を所定の長さだけ切断し、切断した豚毛の束の半分を上下逆さについてよく混ぜる工程と、
前記豚毛の束を、接着剤が浸透する第1の糸で、所定回、きつく巻いて縛り、縛った前記第1の糸の上から、接着剤を塗布して固める工程と、
前記豚毛の束における前記第1の糸で縛ったところから上下に所定範囲に接着剤を更に塗布し、前記接着剤が乾きはじめたところで、前記接着剤の上から厚紙を巻き、前記厚紙の上から前記第2の糸を更に所定回巻き付けて縛る工程と、
前記豚毛の束の底面に底板を接着剤で接着し、皮革を前記厚紙、前記第2の糸、及び前記底板の上から、周面を覆うように巻き付け、前記皮革の端と端を第1及び第2の糸より強固な第2の糸により縫製する工程と、を有する
靴用ブラシの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴用ブラシ、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシは、機械打ちにより、多数の豚毛と木製又は樹脂製の土台とを一体にすることで製造されている。機械打ちによるのは、豚毛は、根毛と毛先との太さの差が大きいことから、例えば紐等により束にして結わいたとしても、すぐにずれて当該紐等が緩んでしまうことが起因している。
【0003】
ここで、特許文献1では、親指以外の手指を少なくとも覆う指先被覆体の指先部分に沿ってブラシを取り付け、ブラシは、変形自在な芯材を指先部分に沿って湾曲すると共に、芯材を中心にして多数本の毛を放射状に突出し、高さHを手指の厚み程度にし、毛には豚毛程度のこしの強いものを用いることを特徴とする靴用ブラシが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-116770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、豚毛と皮革とを組み合わせて製造されるブラシは何ら開示されていない。豚毛と皮革とを組み合わせたブラシは、従来存在しない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、豚毛と皮革とを組み合わせて構成される靴用ブラシ、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る靴用ブラシは、細くなっている部位を所定の長さだけ切断し、切断した束の半分を上下逆さにしてよく混ぜた豚毛の束と、前記豚毛の束をきつく巻き付けて縛る第1の糸と、前記第1の糸で縛ったところから上下に所定範囲に塗布された接着剤層と、前記接着剤層の上から周面に巻かれる厚紙と、前記厚紙をきつく巻き付けて縛る前記第2の糸と、前記豚毛の束の底面に接着される底板と、前記厚紙、前記第2の糸、及び前記底板の上から周面を覆うように巻き付けられる皮革と、前記皮革の端と端とを縫製する第2の糸と、を有する。
【0008】
一方、本発明の他の態様に係る靴用ブラシの製造方法は、豚毛の細くなっている部位を所定の長さだけ切断し、切断した豚毛の束の半分を上下逆さについてよく混ぜる工程と、前記豚毛の束を、接着剤が浸透する第1の糸で、所定回、きつく巻いて縛り、縛った前記第1の糸の上から、接着剤を塗布して固める工程と、前記豚毛の束における前記第1の糸で縛ったところから上下に所定範囲に接着剤を更に塗布し、前記接着剤が乾きはじめたところで、前記接着剤の上から厚紙を巻き、前記厚紙の上から前記第2の糸を更に所定回巻き付けて縛る工程と、前記豚毛の束の底面に底板を接着剤で接着し、皮革を前記厚紙、前記第2の糸、及び前記底板の上から、周面を覆うように巻き付け、前記皮革の端と端を第1及び第2の糸より強固な第2の糸により縫製する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、豚毛と革とを組み合わせて構成される靴用ブラシ、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る靴用ブラシの構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る靴用ブラシの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1には、本発明の実施形態に係る靴用ブラシの構成を示し説明する。
【0013】
同図に示されるように、靴用ブラシ1は、豚毛2の束を、持ち手である皮革8で覆うことで構成されている。図1では、不図示であるが、豚毛2は、細くなっている部位を数mmから1cm程度、カットした後、このカットした豚毛2の束を半分逆さについてよく混ぜ合わせた後、綿糸など接着剤が浸透する糸で、豚毛2の束を10~15回、きつく巻いて縛り、その上から、接着剤を塗布して固め、豚毛2の束における上記綿糸等の糸3で縛ったところから上下に所定範囲のところに接着剤4を更に塗布し、接着剤4少し乾いたところで、接着剤4の上から厚紙5を巻いている。そして、厚紙5の上から綿糸等の糸6を更に数回巻き付けて縛り、皮革8の底に当たる位置に、所定の形状に加工した木製の底板7を入れて、ブラシの型崩れ等を防止している。皮革8の端と端とはナイロン等の強固な糸9により縫製されている。
【0014】
以下、図2(a)乃至図2(e)には、本発明の実施形態に係る靴用ブラシの製造方法を示し説明する。
【0015】
豚毛2の細くなっている部位を数mmから1cm程度、カットした後、このカットした豚毛2の束を半分逆さについてよく混ぜる。
【0016】
そして、図2(a)に示されるように、綿糸など接着剤が浸透する糸3で、豚毛2の束を10~15回、きつく巻いて縛り、その上から、接着剤4を塗布して固める。
【0017】
続いて、図2(b)に示されるように、豚毛2の束における上記綿糸等の糸3で縛ったところから上下に所定範囲のところに接着剤4を更に塗布し、接着剤4少し乾いたところで、接着剤4の上から厚紙5を巻く。このように豚毛2の束を厚紙5で巻くことで、より豚毛が抜けにくくなり、より一層、強度が増すようにしている。そして、図2(c)に示されるように、厚紙5の上から綿糸等の糸6を更に数回巻き付けて縛る。
【0018】
次いで、図2(d)に示されるように、皮革自体、やわらかいものであるので、所定の形状を保持させるために、皮革の底に当たる位置に、所定の形状に加工した木製の底板7を入れて、ブラシの型崩れ等を防止する。この例では、使用する皮革が、内側20φ×45tであることから、20φ×20tの木製の板を底に入れて、型崩れしないようにしている。底板7は、豚毛2の束の底に接着剤で接着される。こうして、皮革8を厚紙5及び糸6の上から、周面を覆うように巻き付ける。そして、図2(e)に示されるように、皮革8の端と端をナイロン等の強固な糸9により縫製し、ブラシ1が完成する。
【0019】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、使用時、又はメンテナンス時に豚毛が抜け落ちず、全体として型崩れもしない、豚毛と皮革を用いた靴用ブラシ、及びその製造方法を提供することができる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0021】
例えば、ブラシのサイズ、及び形状は、図1に示されるものには限定されない。
【符号の説明】
【0022】
1…ブラシ
2…豚毛
3…糸
4…接着剤
5…厚紙
6…糸
7…底板
8…皮革
9…糸。
図1
図2