(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153927
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】現像液の処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 61/14 20060101AFI20221005BHJP
G03F 7/00 20060101ALI20221005BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20221005BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20221005BHJP
C02F 1/38 20060101ALI20221005BHJP
B01D 61/16 20060101ALI20221005BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B01D61/14 500
G03F7/00 502
G03F7/26
H01L21/30 569F
H01L21/30 569E
C02F1/38
B01D61/16
C02F1/44 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056707
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕登
【テーマコード(参考)】
2H196
4D006
4D037
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA02
2H196LA25
4D006GA07
4D006HA01
4D006HA21
4D006HA77
4D006HA80
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4D006MC01
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4D037AA11
4D037AB02
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4D037BB01
4D037CA03
5F146LA12
5F146LA14
5F146LA19
(57)【要約】
【課題】フレキソ印刷原版の感光性樹脂層の現像に使用した水系現像液を効率的に再使用するための処理方法を提供する。
【解決手段】現像部及び現像液タンクを有する現像装置を用いて、感光性樹脂層を支持体上に有するフレキソ印刷原版を水系現像液で現像した後に得られる使用済現像液を再使用するための処理方法であって、使用済み現像液を遠心分離機によって母液と固形成分に分離する処理工程Aと、処理工程Aで得られた母液をクロスフロー濾過方式によって透過水と濃縮液に濾過分離する処理工程Bと、処理工程Bで得られた透過水を現像装置の現像部又は現像液タンクに戻す循環工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像部及び現像液タンクを有する現像装置を用いて、感光性樹脂層を支持体上に有するフレキソ印刷原版を水系現像液で現像した後に得られる使用済現像液を再使用するための処理方法であって、使用済み現像液を遠心分離機によって母液と固形成分に分離する処理工程Aと、処理工程Aで得られた母液をクロスフロー濾過方式によって透過水と濃縮液に濾過分離する処理工程Bと、処理工程Bで得られた透過水を現像装置の現像部又は現像液タンクに戻す循環工程とを含むことを特徴とする処理方法。
【請求項2】
処理工程Bで得られた濃縮液を処理工程Bで繰り返し処理することを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
現像装置がリンス部をさらに有し、処理工程Bで得られた透過水をリンス部に戻してフレキソ印刷版の仕上げ洗いに利用してから現像部又は現像液タンクに戻すことを特徴とする請求項1又は2に記載の処理方法。
【請求項4】
処理工程Bで得られた濃縮液を処理工程Aで再度処理することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の処理方法。
【請求項5】
遠心分離機が、向心加速度200~4000Gで濾液を遠心分離することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の処理方法。
【請求項6】
濾過フィルターが、平均孔径0.05~2.0μmの精密濾過フィルターであることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキソ印刷原版の使用済水系現像液を再使用するための処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、作業環境や地域環境面から水系現像液で現像できるフレキソ印刷用の感光性樹脂版が多く用いられるようになってきている。これらの水系現像型感光性樹脂版は、露光後、未露光部を現像液で除去することが必要であり、そのときに生じる現像液廃液を環境的に優しい方法で処理することが求められている。かかる方法として、例えば特許文献1~4の方法が提案されている。
【0003】
特許文献1では、洗い出し槽で発生した現像廃液を濃縮用タンクに移送し、濃縮用タンクとメンブレンフィルター間で循環運転することで発生する濾過液を洗い出し槽で再使用することで現像液の廃棄量を少なくできる方法が開示されている。しかし、この方法では、汎用の装置サイズのものでは濾過液流量が少ないため、急激な樹脂濃度上昇には対応できなかった。また、濾過方式ではフィルターが目詰まりし、フィルターエレメントの洗浄や交換が頻繁に必要となる問題があった。
【0004】
特許文献2では、現像廃液にカチオン性フロック剤および高分子吸水性樹脂を添加することで、スラッジを凝集させ、それを濾過することで現像液から樹脂成分を除去する方法が開示されている。しかし、この方法では、スラッジ除去後の処理済み液にカチオン性フロック剤が残留するため、現像に再利用すると現像装置の中でスラッジの凝集が発生してしまい、処理後の液を再利用できない問題があった。
【0005】
引用文献3では、インサイドディスクを有する遠心沈降型の遠心分離処理を用いて分離した樹脂成分を分離除去する方法が開示されている。しかし、この方法の遠心分離処理では、樹脂成分を除去しきれず、僅かに残存するため、製版の仕上げで未使用の水や現像液を使って版を洗う必要があった。
【0006】
引用文献4では、セラミックフィルターを用いて現像液を樹脂濃度が異なる高濃度現像液と低濃度現像液に分離して低濃度現像液を循環経路内に戻して再利用する方法が開示されている。しかし、この方法では、高濃度現像液の含水率が高く、廃棄物の量が多くなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-212274号公報
【特許文献2】特開2001-47060号公報
【特許文献3】特開平07-328620号公報
【特許文献4】特開2018-54969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑み創案されたものであり、その目的は、多量の現像液から樹脂成分を効率良く分離除去できる、フレキソ印刷原版の感光性樹脂層の現像に使用した水系現像液を再使用するための処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、感光性樹脂層を有するフレキソ印刷原版を現像した後の水系現像液を遠心分離で母液と固形成分とに分離した後、分離した母液をさらにクロスフロー濾過方式で濾過によって透過水と濃縮水とに分離し、透過水を現像装置の現像部又は現像液タンクへ戻して再使用することによって、簡単な方法で使用済現像液から樹脂成分を効率良く分離除去でき、その結果、現像液として再利用でき、水の使用量及び廃液量を大幅に削減できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下の(1)~(6)の構成を有するものである。
(1)現像部及び現像液タンクを有する現像装置を用いて、感光性樹脂層を支持体上に有するフレキソ印刷原版を水系現像液で現像した後に得られる使用済現像液を再使用するための処理方法であって、使用済み現像液を遠心分離機によって母液と固形成分に分離する処理工程Aと、処理工程Aで得られた母液をクロスフロー濾過方式によって透過水と濃縮液に濾過分離する処理工程Bと、処理工程Bで得られた透過水を現像装置の現像部又は現像液タンクに戻す循環工程とを含むことを特徴とする処理方法。
(2)処理工程Bで得られた濃縮液を処理工程Bで繰り返し処理することを特徴とする(1)に記載の処理方法。
(3)現像装置がリンス部をさらに有し、処理工程Bで得られた透過水をリンス部に戻してフレキソ印刷版の仕上げ洗いに利用してから現像部又は現像液タンクに戻すことを特徴とする(1)又は(2)に記載の処理方法。
(4)処理工程Bで得られた濃縮液を処理工程Aで再度処理することを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の処理方法。
(5)遠心分離機が、向心加速度200~4000Gで濾液を遠心分離することを特徴とする、(1)~(4)のいずれかに記載の処理方法。
(6)濾過フィルターが、平均孔径0.05~2.0μmの精密濾過フィルターであることを特徴とする、(1)~(5)のいずれかに記載の処理方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の処理方法は、感光性樹脂層を有するフレキソ印刷原版を現像した後に得られる使用済の水系現像液を遠心分離機によって母液と固形成分に分離し、分離した母液をクロスフロー濾過方式の濾過によってさらに樹脂成分を除去した透過水を現像液として循環して再使用しているので、現像に使用する水の量を削減し、最終的な現像液廃液量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例の描画露光工程で使用した評価用画像パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の処理方法に用いるフレキソ印刷原版、その現像方法、及び使用済現像液の処理方法について説明する。
【0014】
本発明の処理方法に用いるフレキソ印刷原版は、支持体上に感光性樹脂組成物より得られる感光性樹脂層を設けたものであり、水系現像液を洗い出し液とする水現像性フレキソ印刷原版であることが好ましい。感光性樹脂組成物は、合成ゴム系重合体、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を主な構成成分とすることが好ましい。本発明の処理方法は、感光性樹脂層が水分散性の合成ゴム系重合体を含有する場合に効果的であり、さらに水不溶性の合成ゴム系重合体を含有しても構わない。また、感光性樹脂組成物中に水溶性又は親水性のポリマー成分を含んでもよいが、多量に含有すると水性インキに対する膨潤性が高くなり、品質が悪くなりやすい。
【0015】
フレキソ印刷原版に使用する支持体としては、可撓性であるが、寸法安定性に優れた材料が好ましく、例えばスチール、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属製支持体、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、またはポリカーボネートフィルムなどの熱可塑性樹脂製フィルムを挙げることができる。これらの中でも、寸法安定性に優れ、充分に高い粘弾性を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0016】
感光性樹脂組成物に用いる水分散性の合成ゴム系重合体は、感光性樹脂層に適度なゴム弾性を付与するために用いられ、従来公知のゴム成分が使用可能である。水分散性の合成ゴム系重合体としては、ゴム弾性を付与するために室温で固形であることが好ましい。水分散性の合成ゴム系重合体の具体例としては、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリアクリロニトリル-ブタジエン、ポリアクリル、エピクロルヒドリン、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリスチレ-ンイソプレン共重合体、ポリスチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、ブチル重合体、塩素化ポリエチレンなどが挙げられ、これら重合体にアクリル酸やメタクリル酸などの他の成分を共重合して得られる重合体などを挙げることができる。水分散性の合成ゴム系重合体の中でも、現像性と物性の面より、ブタジエン骨格及び/又はスチレン骨格を有する水分散性の合成ゴム系重合体が好ましい。水分散性合成ゴム系重合体としては、水分散ラテックスが好ましい。水分散ラテックスとしては、ゲル化度で表される分子内に架橋構造を持つラテックスであっても構わない。分子内に架橋構造を持つラテックスを用いる場合には、重量平均ゲル化度20~80%の水分散ラテックスから得られる疎水性重合体であることが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併合して用いてもよい。なお、水分散性のラテックスとは、ゴムの重合体微粒子が水中に分散し、安定な懸濁液となっているものである。この水分散ラテックスから水を除去することにより、重合体が得られる。
【0017】
感光性樹脂組成物は、水不溶性の合成ゴム系重合体を性能に悪影響しない範囲で含有していてもよい。水不溶性の合成ゴム系重合体としては、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリアクリロニトリル-ブタジエン、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリスチレン-イソプレン共重合体、ポリスチレン-ブタジエン共重合体などが挙げられる。水不溶性の合成ゴム系重合体を含有することで、物性や耐水性が向上する。
【0018】
感光性樹脂組成物は、水分散性の合成ゴム系重合体以外に水溶性又は親水性のポリマー成分を含有していてもよい。水溶性又は親水性のポリマー成分としては、ポリアミドに親水基を導入した水溶性ポリアミドや水分散性ポリアミド、部分ケン化ポリ酢酸ビニルやその誘導体や、アニオン性アクリル系ポリマー等が挙げられる。
【0019】
感光性樹脂組成物に含まれる光重合性不飽和化合物は、紫外線により硬化架橋させるために含有させるものである。光重合性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を1つだけ有する化合物であってもよいし、エチレン性不飽和結合を2つ以上有する化合物であってもよい。光重合性不飽和化合物は、光重合性基を導入したオリゴマーや光重合性基を導入したポリマーを含有してもよい。光重合性不飽和化合物は、合成ゴム共重合体との相溶性の面から合成ゴム共重合体と共通骨格を持ったものを含有することが好ましい。これらの光重合性不飽和化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併合して用いてもよい。
【0020】
エチレン性不飽和結合を1つだけ有するエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-ヒドロキシ-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
エチレン性不飽和結合を2つ以上有するエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキルジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの多価(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンと付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多価(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0022】
感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤としては、光照射によって重合性の不飽和基を重合させることができるものであれば特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。特に、光吸収によって、自己分解や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましい。具体的には、例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などが挙げられる。光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併合して用いてもよい。
【0023】
本発明の処理方法に使用する現像液としては、水を50質量%以上含有する水系現像液であることが好ましい。水系現像液は、水のみからなってもよいが、現像速度や現像品質の安定性の面から水に可溶な現像促進剤を添加した水溶液であることが好ましい。現像促進剤としては、界面活性剤、酸、塩基、有機溶剤などが挙げられる。界面活性剤としては、市販の石鹸や洗剤を用いてもよく、化学構造としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。酸としては、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸やギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、セロソルブ、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトンなどが挙げられる。なお、現像液には、泡の発生を抑制するために消泡剤を添加してもよい。消泡剤は、水溶性であれば特に限定されず、例えば高級アルコール、脂肪酸誘導体、シリカ、アルマイト、シリコーンを使用することができる。
【0024】
本発明の処理方法に使用する現像装置は、現像部及び現像液タンクを有し、さらにリンス部を有することができる。現像部は、露光後に水系現像液を用いてフレキソ印刷原版の未硬化部の感光性樹脂組成物を洗い出し、レリーフ画像を形成できるものであれば特に限定されない。未硬化部の洗い出しは、例えば、現像液によりブラシで擦り出す方法、スプレー噴射とブラシを組合せて未硬化部の感光性樹脂組成物を擦り出す方法が挙げられる。現像液タンクは、現像液を貯蔵するタンクであり、現像で使用した現像液を処理して再生したものを循環して貯蔵することもできる。また、リンス部では、現像の後工程で印刷原版の表面に付着した樹脂分を含有する現像液やスカムと呼ばれる現像装置内の樹脂カスを洗い流すリンス工程を行う。リンス工程では、樹脂分を含有しない新しい現像液や新しい水を用いるのが一般的である。
【0025】
本発明の処理方法は、上記の構成の現像装置を用いて、フレキソ印刷原版を水系現像液で現像した後に得られる使用済現像液を遠心分離機によって母液と固形成分に分離する処理工程Aと、処理工程Aで得られた母液をクロスフロー濾過方式によって透過水と濃縮液に濾過分離する処理工程Bと、処理工程Bで得られた透過水を現像部又は現像液タンクへ戻す循環工程とを含むことを特徴とする。好ましくは処理工程Bで得られた透過水は、現像装置のリンス部へ戻して仕上げ洗いに利用することが行われる。
【0026】
処理工程Aでは、水系現像液で現像した後に得られる使用済現像液を遠心分離機によって母液と固形成分に分離する。処理工程Aに使用する遠心分離機は、回転部が高速回転して回転部内にある液に遠心力をかけることで分離する装置であり、従来公知のものを使用することができる。例えば、遠心力により樹脂成分を比重差で分離する遠心沈降型の遠心分離機や、回転部側面に穴が開いており、回転部内面に濾布が張られており、遠心力により濾過する遠心濾過型の遠心分離機や、回転部内にスクリューやインペラがあり、沈降成分と浮上成分に分ける遠心デカンタ型の遠心分離機が考えられる。遠心濾過型は、濾布の目詰まりが多発するため実用上は適さないが、遠心沈降型や遠心デカンタ型の各種方式は、現像液と樹脂の比重関係によって選択することが好ましい。回転部の形状は、円筒形状、円錐形状、又は円錐台が挙げられるが、円筒形状が処理効率の面より好ましい。
【0027】
遠心分離機は、向心加速度が200~4000Gの範囲で遠心分離することが好ましい。さらに好ましい向心加速度は500~2500Gの範囲である。遠心分離機が処理できる処理液量は、遠心分離機内の体積によって決まるが、現像機と接続して直接現像液を処理する場合は、現像機中の現像液量に対して最適な処理量の遠心分離機を準備すればよい。洗い出し液の量が50リットルの場合には、処理量が毎分2リットル以上であることが好ましく、洗い出し液の量が200リットルの場合には、処理量が毎分8リットル以上であることが好ましい。なお、本発明では、処理前により遠心分離効果を高めるために洗い出し液に凝集剤を添加することも可能ではあるが、洗い出し液の再利用を容易にするためには凝集剤を用いないことが好ましい。
【0028】
遠心沈降型の遠心分離機は、感光性樹脂凝集物を簡単に取り出すために遠心分離回転体内部に不織布又は樹脂製シートの袋を設けることができる。回転体内部に不織布又は樹脂製シートの袋を設けることで、回転体内部に蓄積した感光性樹脂凝集物を不織布又は樹脂製シートの袋と一緒に回転体の外へ取り出すことができる。凝集物を簡単に取り出す方法としては、不織布が好ましい。樹脂製シートの袋としては、微細な穴があることが好ましく、回転体内部壁面に添わせて固定する。
【0029】
処理工程Bでは、クロスフロー濾過方式のメンブレンフィルターを用いて、処理工程Aで処理した母液を、樹脂成分を分離した透過水と樹脂成分が濃縮された高濃度の濃縮液とに分離する。クロスフロー濾過の場合、濾過フィルターの負荷を下げるため、処理工程Bで得られた高濃度の濃縮液を貯蔵タンクに送り、更に処理工程B、即ち濾過フィルターによる濾過分離を繰り返し行うことが好ましい。一方、処理工程Bで得られた透過水は、樹脂成分が少ないため、現像装置の現像部又は現像液タンクに戻す前にリンス部へ循環させて印刷版の仕上げ洗い用の洗浄水として用いることもできる。また、処理工程A及び必要により複数回の処理工程Bを行なった後、処理工程Bで得られた濃縮液を処理工程Aで再度処理することも、濾過フィルターの負荷を下げるために好ましい。
【0030】
濾過フィルターの素材としては、例えばポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、酢酸セルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース等の有機膜やアルミナ、シリカ、酸化チタン、ジルコニアを主成分としたセラミック膜や合金類を焼結した金属膜等が挙げられる。また、モジュールの形態としては、有機膜では中空糸やチューブラー型、セラミック膜や金属膜ではチューブラー型やマルチルーメン型を用いることが好ましい。これらの中では、特にセラミック膜が水系現像液と相性が良い。
【0031】
処理工程Aで得られた母液や処理工程Bで得られた濃縮液を濾過フィルターに流す速度としては、濾過膜に対してこれらの液体の流速が1m/秒以上になるようにすることが好ましい。これより遅いと濾過膜が閉塞して濾過流量の低下が生じやすい。流速が速くて特に問題は無いが、装置の設計面でポンプや配管の選定に制約が出てくる。また、濾過膜にかかるこれらの液体の圧力は、膜の種類によって異なるが、1MPa以上であることが好ましい。これより低いと、十分な透過液流量が得られないおそれがある。一方、圧力が高くても特に問題は無いが、装置の設計面でポンプや配管の選定に制約が出てくるおそれがある。濾過フィルターは、処理流量を上げるために複数用いて濾過面積を上げるのが一般的であるが、用いた分だけコストが高くなる。
【0032】
濾過フィルターの孔径は、フィルター断面を光学顕微鏡で観察して測定される平均孔径が、0.05~2.0μmの範囲内であることが好ましい。かかる範囲内の孔径を有する濾過フィルターは、一般的に、精密濾過フィルターとして知られている。より好ましくは、0.1~1.8μm、さらに好ましくは、0.2~1.6μmである。孔径が上記範囲未満であると、フィルターが目詰まりしやすく、上記範囲を超えると、樹脂成分を十分に除去できず、印刷版やブラシが汚染するおそれがある。
【0033】
濾過フィルターは、逆洗可能な機構を備えることが好ましい。長期運転時などにフィルター等が目詰まりした場合、逆洗を行うことで容易に目詰まりを解消することができ、メンテナンスが容易となる。また、定期的に逆洗を行うことで、さらなる長時間の稼働が可能となる。逆洗可能な機構としては、例えば分離装置内に低濃度現像液を逆流させるポンプ等を備え、セラミックフィルター上に堆積した非水溶性ポリマーを除去するものが挙げられる。逆洗は、自動化されてもよいし、手動で行われてもよい。
【実施例0034】
本発明の処理方法の効果を以下の実施例によって示すが、本発明は、これらに限定されない。
【0035】
(1)感光性樹脂組成物の作製
ラテックスとしてブタジエンラテックス(日本ゼオン製、LX111NF、固形分濃度55%)91質量部、光重合性不飽和化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU-3:分子量2700)15質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT-3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後、トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物を得た。
【0036】
(2)保護層塗工液の調整
低ケン化度ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA405)と可塑剤(三洋化成工業製、サンフレックスSE270、脂肪族多価アルコール系ポリエーテルポリオール、固形分濃度85%)とNBRラテックス(日本ゼオン(株)製、SX1503A、固形分濃度42%)を、固形分重量比で35/35/30になるよう、水・イソプロピルアルコール混合液に溶解し、保護層塗工液を調製した。
【0037】
(3)感赤外線層塗工液の調製
カーボンブラック分散液(オリエント化学工業(株)製、AMBK-8)と共重合ポリアミド(東洋紡(株)製、PA223)を固形分重量比で63/37になるよう、メタノール・エタノール・イソプロピルアルコール混合液に溶解し、感赤外線層塗工液を調製した。
【0038】
(4)積層フィルムの作製
両面に離形処理を施した100μmのPETフィルム上に感赤外線層塗工液を適切な種類のバーコーターを用いて塗工し、120℃で5分間乾燥し、PETフィルム上に膜厚1.5μmの感赤外線層を積層した。この時の光学濃度は、白黒透過濃度計DM-520(大日本スクリーン製造(株))によって測定すると、2.3であった。次いで、上記感赤外線層の上に保護層塗工液を適切な種類のバーコーターを用いて塗工し、120℃で5分間乾燥し、PETフィルム上に膜厚1.5μmの感赤外線層と膜厚0.5μmの保護層がこの順に積層されている積層フィルムを得た。
【0039】
(5)感光性樹脂組成物を支持体上に有するフレキソ印刷原版の作製
共重合ポリエステル系接着剤を塗工した125μmのPETフィルム上に上記感光性樹脂組成物を配置し、その上から積層フィルムを重ね合わせた。ヒートプレス機を用いて100℃でラミネートし、PET支持体、接着層、感光性樹脂層、保護層、感赤外線層および離型処理PET保護フィルム(カバーフィルム)からなるフレキソ印刷原版を得た。版の総厚は1.14mmであった。
【0040】
<描画露光工程>
60W Philips 10R蛍光灯を30本並べた露光装置を用い、900mm×1200mmのサイズの上記のフレキソ印刷原版の125μmPET支持体側から紫外線を照射して土台を形成した後、カバーフィルムをはがし、ESKO社製CDI4835にフレキソ印刷版原版をセットして、
図1に示されるような150LPI 10%網点と100μm細線を有する評価用画像パターンを感赤外線層に描画した。
【0041】
<現像工程>
描画露光工程で作成したフレキソ印刷原版を粘着版の上に固定して、現像機に挿入することで現像した。現像機は、45mm/minの速度で版を長辺方向に移動させて、現像部、リンス部、乾燥部の順で通過するようにした。現像部では、現像タンクから循環供給される現像液で未露光部を除去し、現像液中に分散させるようにした。現像液は、オレイン酸ナトリウム1重量%水溶液を200L用い、40℃になるようにした。リンス部では、水道水かけ流し構造又は濾過フィルターで樹脂分が除去された透過水を循環利用した。乾燥部では、60℃の熱風が供給されるようにした。この現像機に10時間かけてフレキソ印刷原版を20枚連続で通し、以下の各評価を行った。
【0042】
<処理速度の測定>
濾過フィルターから現像装置へ流れる透過水の流量を20秒間カップに受けて体積(L)を測定し、その測定値を3倍にして処理速度(L/min)とした。
【0043】
<樹脂除去率の測定>
現像工程で現像する前の印刷原版の重量をあらかじめ測定しておき、さらに現像後の印刷版の重量を測定し、その差から“現像液に溶け出した樹脂量(kg)”を算出した。20枚現像後の現像液タンク内の現像液を採取し、アルミ箔の上に2g程度取り、80℃で2時間真空乾燥して水を除去し、真空乾燥の前後の重量を測定した。そして以下の数式から現像液タンク内の現像液樹脂濃度、現像液タンク内の樹脂量、樹脂除去量を順に算出した。
現像液タンク内の現像液樹脂濃度(%)=真空乾燥後重量(g)÷真空乾燥前重量(g)×100-1(オレイン酸ナトリウム濃度)
現像液タンク内の樹脂量(kg)=現像液タンク内の現像液樹脂濃度(%)×20枚現像後の現像液タンク液量(L)
樹脂除去率(%)=(現像液に溶け出した樹脂量(kg)-現像液タンク内の樹脂量(kg))÷現像液に溶け出した樹脂量(kg)×100
【0044】
<排出現像液水分率の測定>
現像作業終了後に排出する現像液をドラム缶にまとめて全体の重量を測定し、排出現像液量とした。この排出現像液からアルミ箔の上に2g程度取り、80℃で2時間真空乾燥して水を除去し、真空乾燥の前後の重量を測定し、以下の数式から水分率を算出した。
水分率(%)
=(真空乾燥前重量(g)-真空乾燥後重量(g))÷真空乾燥前重量(g)×100
【0045】
<印刷版汚れ>
20枚現像した最後の印刷版の表面を肉眼で観察して、印刷版上に非水溶性ポリマーの凝集体が確認されたか否かで判断した。確認された場合を「×」、確認されなかった場合を「〇」とした。
【0046】
<実施例1>
処理工程Aに用いる遠心分離機として、円筒形の回転体[内部直径R=30cm、円筒形の回転体の高さH=20cm、底部密閉型]の内部に、内壁を一周覆うように不織布を設けた向心加速度1000Gの向心加速度となる遠心分離機を準備した。処理工程Bに用いるクロスフロー濾過方式で濾過分離する装置は、ノリタケ社製MEMBRALOX、寸法対辺27mm六角形×500mm長、膜材質Al2O3、膜形状4φ×19穴のエレメントを7本まとめてクロスフロー濾過方式のろ過フィルターのモジュールとして用いた。モジュールに3MPaの圧力をかけて流速100L/minで通液した。フィルターエレメントの平均孔径1.4μmを準備した。現像部、リンス部及び現像液タンクを有する現像装置からの使用済み現像液が、貯蔵タンクを介して遠心分離機に入り、遠心分離機から出る母液が貯蔵タンクを介して濾過フィルターを有する濾過分離装置に入り、濾過分離装置から出る濃縮液が貯蔵タンクに戻り、透過水が現像装置に戻ることができるように、各装置を接続し、処理システムを構築した。
【0047】
この処理システムを用いて、現像工程で20枚現像したときに発生した使用済み現像液を処理工程Aで処理し、その後で処理工程Bで処理した。処理工程Bで得られた濃縮液は、処理工程Bで再度処理することを繰り返した。一方、処理工程Bで得られた透過水は、リンス部に戻し、印刷版の仕上げ洗い用の洗浄水として使用し、その後で現像液タンクに戻して再生現像液として使用するようにした。
【0048】
この時、処理工程Bで得られた透過水の流量から処理速度を測定した。印刷版汚れは、20枚現像した最後の印刷版の表面を肉眼で観察して評価を行った。現像液タンク内の現像液を採取し樹脂除去率を測定した。貯蔵タンク、遠心分離機内部の現像液をまとめて排出現像液として排出現像液水分率を測定した。これらの評価結果を表1に示す。
【0049】
実施例1は、処理工程Bの濾過フィルターで濃縮された高濃度の濃縮液を処理工程Bのクロスフロー濾過に繰り返し供することによって樹脂分の迅速な除去を行っているため、濾過フィルターの負荷を下げることができた。つまり、実施例1では、現像液の処理能力である処理液量は7.8L/minであり、高い処理能力を達成した。また、樹脂除去は、70%と高い除去率であった。その結果、現像部での樹脂付着による印刷版の汚れを低減できた。さらに、濾過フィルターの透過水をリンス部に供給することで、印刷版のリンス洗浄も良好であり、印刷版の汚れを低減できた。また、得られた透過水は、リンス部で使われた後に現像液タンクへ循環させて現像液として用いることができた。処理工程Aの遠心分離機には固形成分のみが蓄積され脱水が進んでおり、排出現像液水分率を77%まで低減することができた。その結果、水の使用量及び廃液量を大幅に削減することができた。
【0050】
<実施例2>
実施例2は、実施例1の処理工程Aで用いる遠心分離機を向心加速度2000Gの遠心分離機に変更した以外は実施例1と同様にして処理した。その評価結果を表1に示す。処理液は、遠心分離機の向心加速度を2000Gとすることで樹脂成分の除去率が向上していることから現像部での樹脂付着による印刷版汚れをさらに低減できた。そして、処理工程Bで処理した後に濃縮水を処理工程Bで繰り返し処理しているために、現像液の処理効率は8.9L/minの高い処理能力を達成した。さらに、実施例2は、濾過フィルターの透過水をリンス部に供給することも可能であり、循環工程として印刷版のリンス洗浄と共に現像液タンクに戻すことも可能であった。その結果、排出現像液水分率を74%まで低減することができた。
【0051】
<実施例3>
実施例3は、実施例1のメンブレン濾過フィルターの平均孔径を1.4μmから0.5μmに変更した以外は実施例1と同様にして処理した。その評価結果を表1に示す。処理速度はやや低下したものの、樹脂除去率は71%の高除去率を達成した。樹脂成分の除去率が高かったことにより、現像部での樹脂付着による印刷版の汚れをさらに低減できた。さらに、濾過フィルターの透過水をリンス部に供給することで印刷版の洗浄も可能であった。また、排出現像液水分率を78%まで低減することができた。
【0052】
<実施例4>
実施例4は、実施例1と同様の処理を行った後にさらに追加で処理工程Aを行った。これにより、貯蔵タンク内の濃度が下がり、廃棄せずとも再利用できる状態になるため、遠心分離機内部の現像液のみを排出現像液として排出現像液水分率を測定した。その評価結果を表1に示す。実施例4は、処理工程Bの処理で分離した濃縮水を処理工程Aの遠心分離機に再度供して樹脂成分を除去していることから、濾過フィルターへの負荷を下げられ、フィルター寿命を大幅に向上させることができた。そして、現像液中の樹脂成分を除去したことにより、現像部での樹脂付着による印刷版の汚れをさらに低減できた。現像液の処理効率は7.8L/minの高い処理能力であり、樹脂除去率も85%と高いものであった。
【0053】
<比較例1>
比較例1では、処理工程Bの濾過フィルターを用いずに処理工程Aの遠心分離機のみで現像液の処理を行った。それ以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。比較例1では、現像液タンクの樹脂除去速度が遅く、製版直後は一時的に樹脂濃度が上昇し、このため印刷版汚れが発生した。
【0054】
<比較例2>
比較例2では、処理工程Aの遠心分離機を用いずに処理工程Bの濾過フィルターのみで現像液の処理を行った。それ以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。比較例2は、遠心分離機による固体成分の濃縮がないために、排出現像液水分率を低減できなかった。また、濾過フィルターだけで現像液を処理しているために、フィルター詰まりが発生してフィルター交換の頻度が高く、作業性が悪かった。
【0055】
本発明の処理方法は、フレキソ印刷原版の現像に使用する水系現像液から樹脂成分を効率良く分離除去して使用済現像液を再生使用できるので、現像に使用する水の量や廃液量を大幅に削除することができる。