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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153939
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】浴室ドアユニット
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/48 20060101AFI20221005BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20221005BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20221005BHJP
   E05F 7/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
E06B3/48
A47K4/00
E06B3/70 C
E05F7/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056723
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】石間 敦
【テーマコード(参考)】
2D132
2E015
2E016
【Fターム(参考)】
2D132GA11
2E015AA04
2E015BA05
2E016HA04
2E016JA15
2E016JC02
2E016RA00
(57)【要約】
【課題】開閉検知を精度よくできる開閉検知部を備えた浴室ドアユニットを提供する。
【解決手段】浴室と脱衣所との出入口を形成する枠体と、前記枠体に対して開閉可能な障子と、前記障子の開閉状態を検知する開閉検知部と、を備えた浴室ドアユニットにおいて、前記開閉検知部は、磁石と、ケーシングと、前記ケーシングの内部に設けられ前記磁石の磁界を検出する素子と、を有するセンサユニットと、を有し、前記障子の戸先部には、前記磁石または前記センサユニットのいずれか一方の部材が設けられ、前記枠体には、前記障子の戸先部と対向する位置に、前記磁石または前記センサユニットの他方の部材が設けられることを特徴とする浴室ドアユニット。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室と脱衣所との出入口を形成する枠体と、
前記枠体に対して開閉可能な障子と、
前記障子の開閉状態を検知する開閉検知部と、
を備えた浴室ドアユニットにおいて、
前記開閉検知部は、
磁石と、
ケーシングと、前記ケーシングの内部に設けられ前記磁石の磁界を検出する素子と、を有するセンサユニットと、
を有し、
前記障子の戸先部には、前記磁石または前記センサユニットのいずれか一方の部材が設けられ、
前記枠体には、前記障子の戸先部と対向する位置に、前記磁石または前記センサユニットの他方の部材が設けられることを特徴とする浴室ドアユニット。
【請求項2】
前記磁石は、前記障子に設けられ、
前記センサユニットは、前記枠体に設けられることを特徴とする請求項1に記載の浴室ドアユニット。
【請求項3】
前記センサユニットに接続される制御部を備え、
前記制御部は、
前記障子が全閉状態よりも僅かに開いた状態の磁束密度閾値を有し、
前記素子により検出された磁界が前記磁束密度閾値以上となった場合に、前記障子が閉状態であると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の浴室ドアユニット。
【請求項4】
前記開閉検知部は、前記枠体と前記障子との上端側に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の浴室ドアユニット。
【請求項5】
前記磁石は、N極とS極とが軸方向に位置する円柱状に形成され、
前記磁石は、円形面である前記N極又は前記S極のいずれか一方が前記センサユニットに対向していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の浴室ドアユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に浴室ドアユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室空調機、浴槽洗浄装置、および浴室洗浄装置などの浴室内機器を備えた浴室が知られている。これら浴室内機器は、例えば浴室とは異なる部屋から遠隔操作できるようになっている。特許文献1では、浴室ドアの開閉状態を検知する開閉検知部(ドアセンサ)を設け、浴室ドアが閉まっている場合に浴室洗浄装置を作動させている。
(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-295894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、浴室ドアの開閉時の衝撃や開閉検知部が被水した場合には、浴室ドアが開いていても閉まっていると誤検知するおそれがある。浴室ドアが開いている状態で浴室内機器が作動すると、例えば浴室洗浄装置から吐出された洗浄水が脱衣所に漏れ出たり、浴室空調機による浴室の空調調整が不安定になったりするおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、開閉検知を精度よくできる開閉検知部を備えた浴室ドアユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、浴室と脱衣所との出入口を形成する枠体と、前記枠体に対して開閉可能な障子と、前記障子の開閉状態を検知する開閉検知部と、を備えた浴室ドアユニットにおいて、前記開閉検知部は、磁石と、ケーシングと、前記ケーシングの内部に設けられ前記磁石の磁界を検出する素子と、を有するセンサユニットと、を有し、前記障子の戸先部には、前記磁石または前記センサユニットのいずれか一方の部材が設けられ、前記枠体には、前記障子の戸先部と対向する位置に、前記磁石または前記センサユニットの他方の部材が設けられることを特徴とする浴室ドアユニットである。
【0007】
この浴室ドアユニットによれば、磁石の磁界を検出する素子により障子の開閉を検知しているので、障子の開閉による衝撃や、水の付着による影響により検知精度が悪化するのを抑制できる。従って、開閉検知を精度よくできる開閉検知部を備えた浴室ドアユニットを提供することができる。また、障子の戸先部と戸先部に対向する枠体に開閉検知部を設けているので、磁石と素子とを近接させることができる。従って、例えば枠体に隣接する形で磁性体からなる他の部材が配設されていたとしても、その磁性体による磁束密度の変化で検知精度が不安定になるのを抑制できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記磁石は、前記障子に設けられ、前記センサユニットは、前記枠体に設けられることを特徴とする浴室ドアユニットである。
【0009】
この浴室ドアユニットによれば、センサユニットを移動しない枠体側に設けているので、センサユニットに接続される信号線の配線を容易に行うことができる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記センサユニットに接続される制御部を備え、前記制御部は、前記障子が全閉状態よりも僅かに開いた状態の磁束密度閾値を有し、前記素子により検出された磁界が前記磁束密度閾値以上となった場合に、前記障子が閉状態であると判定することを特徴とする浴室ドアユニットである。
【0011】
この浴室ドアユニットによれば、制御部は、障子が完全に閉じた全閉状態だけでなく、障子が見かけ上で閉まっているような状態、すなわち、枠体と障子との間に僅かな隙間が空いている状態であっても、障子が閉じた閉状態と判定することができる。従って、例えば浴室内に設けられた浴室内機器の作動を障子の全閉状態だけでなく、障子が僅かに開いた状態でも作動させることができるので、使い勝手を向上できる。
【0012】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記開閉検知部は、前記枠体と前記障子との上端側に設けられていることを特徴とする浴室ドアユニットである。
【0013】
この浴室ドアユニットによれば、例えば上方から舞い落ちる砂鉄や埃などによる影響を小さくすることができる。また、開閉検知部を枠体と障子との上端側に配置することにより、例えばペースメーカを持った使用者への磁力の影響を小さくすることができる。
【0014】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記磁石は、N極とS極とが軸方向に位置する円柱状に形成され、前記磁石は、円形面である前記N極又は前記S極のいずれか一方が前記センサユニットに対向していることを特徴とする浴室ドアユニットである。
【0015】
この浴室ドアユニットによれば、矩形状の磁石に比べて、枠体と障子との位置ズレに対応しやすくなるので、開閉検知部を取り付けるときの作業の作業性を向上できる。そして、磁石から素子へ安定した磁束密度を与えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、開閉検知を精度よくできる開閉検知部を備えた浴室ドアユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る浴室ドアユニットを備えた脱衣所と浴室とを示す斜視図である。
図2】制御系統を示すブロック図である。
図3】浴室側から浴室ドアの上端側をみた正面図である。
図4図3中の開閉検知部を斜め上方から拡大してみた斜視図である。
図5】障子から磁石ケースと磁石とを取り外した状態を示す分解斜視図である。
図6図3中の開閉検知部を拡大して示す正面図である。
図7図6中の枠体、障子、および開閉検知部を矢示A-A方向からみた断面図である。
図8図7中の開閉検知部を拡大して示す断面図である。
図9図7中の枠体、障子、および開閉検知部を矢示B-B方向からみた断面図である。
図10】センサユニットを背面側からみた斜視図である。
図11】第1変形例に係る障子を備えた浴室ドアユニットを示す断面図である。
図12】第2変形例に係る障子を備えた浴室ドアユニットを示す断面図である。
図13】第3変形例に係るセンサユニットを備えた浴室ドアユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の態様による実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1図10は、本発明の実施形態に係る浴室ドアユニットを示している。
図1は、実施形態に係る浴室ドアユニットを備えた脱衣所と浴室とを示す斜視図である。
図2は、制御系統を示すブロック図である。
【0019】
脱衣所1は、例えば入浴するために服を脱いだりする部屋で、浴室6に隣接している。また、脱衣所1には、例えば洗面台2、洗濯機3、および脱衣所空調機4などが配設されていてもよい。すなわち、脱衣所1は、洗面所を兼ねていてもよい。脱衣所空調機4は、暖房機能、冷風機能、および換気機能などを有し、例えば第1リモコン5や浴室6内の第2リモコン13などにより脱衣所1内の温度や湿度などを調整することができる。
【0020】
浴室6は、脱衣所1と浴室6との出入口に設けられた浴室ドア30を介して脱衣所1に接続している。浴室6には、例えば浴槽7、吐水装置8、シャワ9などが配設されている。なお、浴室6は、浴槽7が配設されていないシャワルームでもよい。なお、本実施形態において、入浴とは浴槽浴やシャワ浴等の浴室利用を意味している。
【0021】
浴室6には、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12などの浴室内機器が必要に応じて設けられている。浴室空調機10は、暖房機能、冷風機能、換気機能、および乾燥機能などを有している。浴槽洗浄装置11は、洗浄水を吐出することにより、浴槽7内を洗浄および除菌する。浴室洗浄装置12は、洗浄水を吐出することにより、浴室6の床面や壁面などを洗浄および除菌する。浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12は、例えば第1リモコン5や第2リモコン13などにより浴室6内の温度や湿度などを調整することができる。
【0022】
第3リモコン15は、脱衣所1や浴室6とは異なる部屋(例えば、リビングなど)に設けられている。なお、第3リモコン15は、浴室6を使用する使用者が保有する携帯端末でもよい。使用者は、第3リモコン15を操作することにより、浴槽7に湯を溜めたり、脱衣所空調機4、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12などの浴室内機器を作動させたりすることができる。
【0023】
制御部80は、例えば脱衣所1や浴室6の天井裏や壁裏に設けられている。制御部80は、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、浴室洗浄装置12、第1~第3リモコン5、13、15および浴室ドア30に設けられたセンサユニット70に接続されている。制御部80は、センサユニット70から送信される検知信号に基づき、浴室ドア30の開閉状態を判定する。制御部80は、浴室ドア30が閉まっていると判定した場合に、第1~第3リモコン5、13、15の操作に基づき、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12を作動させる。制御部80が行う浴室ドア30の開閉判定制御については、後で説明する。
【0024】
次に、本実施形態に係る浴室ドアユニット20について説明する。
図3は、浴室側から浴室ドアの上端側をみた正面図である。
図4は、図3中の開閉検知部を斜め上方から拡大してみた斜視図である。
図5は、障子から磁石ケースと磁石とを取り外した状態を示す分解斜視図である。
図6は、図3中の開閉検知部を拡大して示す正面図である。
図7は、図6中の枠体、障子、および開閉検知部を矢示A-A方向からみた断面図である。
図8は、図7中の開閉検知部を拡大して示す断面図である。
図9は、図7中の枠体、障子、および開閉検知部を矢示B-B方向からみた断面図である。
図10は、センサユニットを背面側からみた斜視図である。
【0025】
浴室ドアユニット20は、浴室ドア30と、開閉検知部60と、を備えている。また、浴室ドアユニット20は、制御部80を備えている。浴室ドア30は、脱衣所1と浴室6との間に設置されている。そして、浴室ドア30は、枠体32と、障子40と、を備える。
【0026】
枠体32は、脱衣所1と浴室6との出入口32aを形成する。出入口32aは、例えば、略矩形状である。枠体32は、例えばアルミ材により形成された略矩形の枠状である。枠体32は、床面に配設される下枠部33と、下枠部33の長手方向の一側から上方に立ち上がる第1縦枠部34と、下枠部33の長手方向の他側から上方に立ち上がる第2縦枠部35と、第1縦枠部34と第2縦枠部35との上端を接続する上枠部36と、を有している。出入口32aは、下枠部33、第1縦枠部34、第2縦枠部35、および上枠部36により囲まれた部分となっている。第1縦枠部34は、例えば障子40の軸部側に位置して、上下方向に延びている。
【0027】
第2縦枠部35は、第1縦枠部34と横方向(水平方向)で対面している。第2縦枠部35は、障子40により開放される側に配設されている。第2縦枠部35は、浴室6側に位置して浴室6の壁部6aから横方向に延びる第1板部35aと、第1板部35aから脱衣所1側に向けて延びる第2板部35bと、を有する。第2縦枠部35は、第1板部35aと第2板部35bとにより横断面L字状に形成されている。
【0028】
第2縦枠部35は、第2板部35bが障子40の戸先部46に横方向で対面している。第2縦枠部35は、上端側(上枠部36側)に後述のセンサユニット70が取り付けられるユニット取付孔35c有している。
【0029】
図7に示すように、第2縦枠部35は、第1板部35aがジョイナ50により浴室6の壁部6aに接続されている。ジョイナ50は、例えば鉄やニッケルなどの磁性体により形成され、壁部6aと第1板部35aとの裏面側で上下方向に延びている。ジョイナ50は、壁部6aと第2縦枠部35とを接続するとともに、浴室6から外部に水が漏れるのを抑制している。
【0030】
障子40は、枠体32に対して開閉可能に支持される。障子40は、例えば第1扉部42と、第2扉部45と、を有する。第1扉部42は、枠体32に軸支される軸支部43を有する。軸支部43は、第1縦枠部34に沿って上下方向に延びている。軸支部43は、上下方向を軸に枠体32の下枠部33と上枠部36とに軸支される。
【0031】
第2扉部45は、軸支部43から横方向に離れた位置に設けられた戸先部46を有する。戸先部46は、第2縦枠部35に沿って上下方向に延びている。すなわち、障子40は、軸支部43が障子40の一方の側端に位置しており、戸先部46が障子40の他方の側端に位置している。障子40が閉じられた状態では、戸先部46が第2縦枠部35の第2板部35bに近接する。
【0032】
戸先部46は、上端部および下端部に上枠部36および下枠部33に摺動可能に係合する摺動部46aを有している(図5図6で上側の摺動部46aのみ図示)。障子40は、枠体32に対して軸支部43を軸にして、摺動部46aが第1縦枠部34側へ動くことで出入口32aを開閉する。
【0033】
また、戸先部46は、上端側に後述の磁石ケース61が取り付けられるケース取付孔46bを有している。ケース取付孔46bは、第2縦枠部35のユニット取付孔35cに対応する位置に設けられている。この例では、ケース取付孔46bは、障子40が閉まっている状態で、浴室6側に開口している。
【0034】
第1扉部42および第2扉部45は、例えば略矩形の平板状である。第1扉部42および第2扉部45の上下方向の長さは、出入口32aの上下方向の長さと実質的に同じか、僅かに短い程度である。第1扉部42および第2扉部45の横方向の長さは、出入口32aの横方向の長さの半分の長さと実質的に同じか、僅かに短い程度である。これにより、第1扉部42と第2扉部45とを横に並べて配置することで、出入口32aを閉じることができる。
【0035】
この例において、障子40は、第1扉部42と第2扉部45とが折曲可能な折り戸となっている。第1扉部42および第2扉部45は、開き位置に移動する場合に、浴室6側に向かって回動する。
【0036】
次に、開閉検知部60について説明する。
【0037】
開閉検知部60は、障子40の開閉状態を検知する。図3に示すように、開閉検知部60は、枠体32と障子40との上端側に設けられている。開閉検知部60は、例えば浴室6の床面から1800mm~1900mm位の高さ位置に設けられている。そして、開閉検知部60は、磁石62と、センサユニット70と、を有している。
【0038】
磁石ケース61は、第2扉部45のケース取付孔46bに取り付けられる。磁石ケース61は、例えば樹脂材料により形成されている。図5図7に示すように、磁石ケース61は、本体部61aと、本体部61aに設けられ、ケース取付孔46bに係合する係合部61bと、磁石62を収納する収納部61cと、を有する。
【0039】
磁石ケース61は、収納部61cに磁石62が収納された状態で、係合部61bをケース取付孔46bに係合させることにより、障子40の戸先部46に取り付けられる。すなわち、障子40の戸先部46には、磁石62が設けられる。
【0040】
磁石62は、例えばS極とN極とが軸方向(長手方向)に位置する円柱状に形成されている。そして、磁石62は、円形面62aが第2縦枠部35に対向するように、磁石ケース61の収納部61cに収納される。より具体的には、磁石62は、円形面62aが第2縦枠部35に取り付けられたセンサユニット70に対向している。磁石62は、例えばN極となっている円形面62aがセンサユニット70に対向している。これにより、図8に示すように、磁石62は、センサユニット70に向けて磁力線Mが発せられる。なお、磁石62は、センサユニット70が磁界を検知できればよく、S極がセンサユニット70に対向していてもよい。また、磁石62は、円柱状に限らず、角柱状に形成されていてもよい。
【0041】
センサユニット70は、枠体32に設けられている。具体的には、センサユニット70は、枠体32のうち、障子40の戸先部46に対向する第2縦枠部35の内部(裏面側)に設けられている。センサユニット70は、第2縦板部35のユニット取付孔35cにねじ止めされている。これにより、センサユニット70は、磁石62と横方向で対向している。そして、センサユニット70は、ケーシング71と、素子76と、を有する。
【0042】
ケーシング71は、例えば樹脂材料により形成されている。ケーシング71は、カバー72と、カバー72の裏面に設けられたセンサケース73と、を有する。ケーシング71は、第2縦板部35に取り付けられた状態で、カバー72がユニット取付孔35cを覆う。
【0043】
磁気センサ75は、センサケース73の内部に設けられている。この例では、図7に示すように、障子40の開閉方向C(摺動方向)に垂直な方向に並んで2個の磁気センサ75が設けられている。これら磁気センサ75は、ケースキャップ74によりセンサケース73に保持されている。磁気センサ75は、例えば素子76(ホール素子)を有するホールセンサとなっている。なお、磁気センサ75は、磁気抵抗効果素子を有するMRセンサでもよい。
【0044】
磁気センサ75の素子76は、磁石62の磁界を検出する。磁気センサ75は、信号線78により制御部80に接続され、検出した磁界を制御部80に送信する。障子40が閉まっている場合には、磁石62と素子76との間の距離が短いので、大きい値の磁界が検出される。一方、障子40が開いている場合には、磁石62と素子76との間の距離が長いので、小さい値の磁界が検出される。制御部80は、この磁界の値により、障子40が閉まっているか開いているかを判定する。
【0045】
ここで、素子76と磁石62との間には、磁性体により形成された部材が配設されていない。これにより、素子76は、磁石62から発せられる磁束が磁性体からなる他の部材に引っ張られることがない。従って、素子76から逃げるような磁束が発せられないので、安定して磁界を検出することができる。
【0046】
一方、素子76の背後には、磁性体からなるジョイナ50が配置されている。すなわち、センサユニット70を挟んで磁石62とは反対側には、磁性体からなるジョイナ50が設けられている。換言すると、磁石62、センサユニット70、およびジョイナ50は、横方向(開閉方向C)で並んで配置されている。
【0047】
この場合、ジョイナ50は、素子76全体の背後に位置している。換言すると、素子76を正面(開閉方向C)からみたときには、素子76全体がジョイナ50と重なっている。これにより、磁石62から発する多くの磁束をジョイナ50に向けることができるので、例えば磁石62の磁力が弱くても、素子76は安定して磁界を検出することができる。
【0048】
また、図7に示すように、ジョイナ50と素子76との間の寸法L1は、磁石62と素子76との間の寸法L2よりも短くなっている(L1<L2)。これにより、磁石62と素子76との間の距離が離れていても、素子76に向かう磁束を効率よく集めることができる。
【0049】
次に、制御部80が行う障子40の開閉判定制御について説明する。
【0050】
制御部80は、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12などの浴室内機器の作動を制御する。なお、制御部80は、脱衣所空調機4などの脱衣所内機器の作動を制御してもよい。制御部80は、第1リモコン5、第2リモコン13、および第3リモコン15の操作に基づき、浴室内機器を作動させる。
【0051】
ここで、障子40が開いた状態で浴室内機器を作動させた場合には、浴室内機器の効果を十分に発揮できないおそれがある。例えば、障子40が開いた状態で浴室空調機10を作動させた場合には、浴室6と脱衣所1とが連通しているので、浴室6の空調調整が十分にできないおそれがある。また、例えば、障子40が開いた状態で浴槽洗浄装置11や浴室洗浄装置12を作動させた場合には、浴室6から脱衣所1に洗浄水が漏れ出てしまうおそれがある。
【0052】
一方、浴室内機器は、障子40が完全に閉じた状態で作動させることが望ましいが、障子40がわずかに開いている状態で作動させても支障をきたさないこともある。浴室ドア30は、例えば枠体32と障子40との間に止水部材(図示せず)が設けられている場合もあるので、障子40が完全に閉じていなくても実質的に閉まっている状態の場合もある。
【0053】
障子40が完全に閉じた状態でなければ浴室内機器が作動できないとすると、例えば浴室6から離れた場所にある第3リモコン15により浴室内機器を作動させる場合に、浴室内機器を作動させることができないので、使い勝手が悪くなるおそれがある。
【0054】
そこで、制御部80は、障子40が僅かに開いている状態でも閉状態として判定する。具体的には、制御部80は、障子40が全閉状態よりも僅かに開いた状態の磁束密度閾値を有している。この磁束密度閾値は、制御部80の記憶部80aにあらかじめ記憶(格納)されている。磁束密度閾値は、全ての浴室内機器に共通するものでもよいし、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12ごとに個別に設定されたものでもよい。また、記憶部80aには、制御部80が行う開閉判定制御の処理プログラムが記憶されている。
【0055】
磁束密度閾値は、例えば浴室6の広さ、浴室内機器の配置箇所、および浴室内機器の性能などを考慮して、実験、シミュレーションにより設定することができる。例えば、磁束密度閾値は、障子40が全閉状態である場合の浴室内機器の機能効率と、障子40が開いている状態の機能効率と、を比較して最低許容範囲の機能効率での障子40の位置に基づいて設定することができる。
【0056】
浴室空調機10の場合には、障子40を全閉状態としたときの暖房効率、障子40を少し開いたときの暖房効率、および障子40をさらに開いたときの暖房効率を計測する。そして、浴室空調機10の暖房効率が最低許容範囲にあるときの障子40の位置で磁気センサ75が検出する磁石62の磁界を磁束密度閾値とすることができる。
【0057】
浴槽洗浄装置11および浴室洗浄装置12の場合には、浴槽洗浄装置11および浴室洗浄装置12の作動開始から終了までの間で、障子40を少し開いたときに脱衣所1に漏れ出る洗浄水の量、および障子40をさらに開いたときに脱衣所1に漏れ出る洗浄水の量を計測する。そして、脱衣所1に漏れ出た洗浄水の量が最低許容範囲にあるときの障子40の位置で磁気センサ75が検出する磁石62の磁界を磁束密度閾値とすることができる。
【0058】
磁気センサ75の素子76は、障子40の戸先部46に設けられた磁石62の磁界を検出する。障子40が全閉状態の場合には、磁石62と素子76との間の距離が最も小さくなるので、素子76は大きい値の磁界を検出する。障子40が全閉状態から開いていくと、磁石62と素子76との間の距離が大きくなるにつれて素子76が検出する磁界も徐々に小さくなる。磁気センサ75は、検出した磁界を制御部80に送信する。
【0059】
制御部80は、磁気センサ75の素子76により検出された磁界が磁束密度閾値以上である場合に、障子40が閉状態であると判定する。上述したように、この閉状態は、全閉状態に加えて僅かに開いた状態も含んでいる。そして、制御部80は、障子40が閉状態にあると判定した場合に、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12の作動を許可する。そして、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12は、第1リモコン5、第2リモコン13、および第3リモコン15の操作に基づき作動される。
【0060】
一方、制御部80は、障子40が開状態にあると判定した場合に、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12の作動を禁止する。この場合、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12は、第1リモコン5、第2リモコン13、および第3リモコン15の操作があっても作動しない。これにより、障子40が開いた状態で浴室内機器が作動するのを抑制できる。
【0061】
なお、第1リモコン5は脱衣所1に設けられ、第2リモコン13は浴室6に設けられているので、第1リモコン5や第2リモコン13を操作する場合には、使用者は障子40が閉まっているかを認識することができる。従って、制御部80の開閉判定制御による浴室内機器の作動禁止は、浴室6から遠隔にある第3リモコン15にのみになされてもよい。すなわち、脱衣所1にある第1リモコン5や浴室6にある第2リモコン13を操作して浴室内機器を作動させる場合には、障子40が開いていてもよい。
【0062】
かくして、本実施形態による浴室ドアユニット20によれば、浴室6と脱衣所1との出入口32aを形成する枠体32と、枠体32に対して開閉可能な障子40と、障子40の開閉状態を検知する開閉検知部60と、を備えている。そして、開閉検知部60は、磁石62と、ケーシング71と、ケーシング71の内部に設けられ磁石62の磁界を検出する素子76と、を有するセンサユニット70と、を有し、障子40の戸先部46には、磁石62またはセンサユニット70のいずれか一方の部材が設けられ、枠体32には、障子40の戸先部46と対向する位置に、磁石62またはセンサユニット70の他方の部材が設けられる。
【0063】
浴室ドア30は、素子76を有する磁気センサ75により障子40の開閉を検知しているので、障子40の開閉による衝撃や、水の付着による影響により検知精度が悪化するのを抑制できる。従って、開閉検知を精度よくできる開閉検知部60を備えた浴室ドアユニット20を提供することができる。また、障子40の戸先部46と戸先部46に対向する枠体32に開閉検知部60を設けているので、磁石62と素子76とを近接させることができる。従って、例えば浴室ドア30に隣接する形で磁性体からなる他の部材が配設されていたとしても、その磁性体による磁界の変化で検知精度が不安定になるのを抑制できる。
【0064】
また、磁石62は、障子40に設けられ、センサユニット70は、枠体32に設けられる。これにより、センサユニット70を移動しない枠体32側に設けているので、センサユニット70に接続される信号線78の配線を容易に行うことができる。
【0065】
また、センサユニット70に接続される制御部80を備え、制御部80は、障子40が全閉状態よりも僅かに開いた状態の磁束密度閾値を有し、素子76により検出された磁界が磁束密度閾値以上となった場合に、障子40が閉状態であると判定する。
【0066】
これにより、制御部80は、障子40が完全に閉じた全閉状態だけでなく、障子40が見かけ上で閉まっているような状態、すなわち、枠体32と障子40との間に僅かな隙間が空いている状態であっても、障子40が閉じた閉状態と判定することができる。従って、例えば浴室6内に設けられた浴室内機器の作動を障子40の全閉状態だけでなく、障子40が僅かに開いた状態でも作動させることができるので、使い勝手を向上できる。
【0067】
また、開閉検知部60は、枠体32と障子40との上端側に設けられている。これにより、例えば上方から舞い落ちる砂鉄や埃などによる影響を小さくすることができる。また、開閉検知部60を枠体32と障子40との上端側に配置することにより、例えばペースメーカを持った使用者への磁力の影響を小さくすることができる。
【0068】
また、磁石62は、N極とS極とが軸方向(長手方向)に位置する円柱状に形成され、磁石62は、円形面62aであるN極(またはS極)がセンサユニット70に対向している。これにより、矩形状の磁石に比べて、枠体32と障子40との位置ズレに対応しやすくなるので、開閉検知部60を取り付けるときの作業の作業性を向上できる。そして、磁石62から素子76へ安定した磁束密度を与えることができる。
【0069】
図11は、第1変形例に係る障子を備えた浴室ドアユニットを示す断面図である。
上述した実施形態では、浴室ドア30が折り戸である場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば図11に示す第1変形例のように、浴室ドア90は、矢示D方向に開閉する開き戸であってもよい。そして、浴室ドア90は、センサユニット70に横方向で対向する戸先部91の対向面部91aに、磁石92を収納した磁石ケース93を取り付けてもよい。
【0070】
図12は、第2変形例に係る障子を備えた浴室ドアユニットを示す断面図である。
また、図12に示す第2変形例のように、浴室ドア95は、矢示E方向に開閉する引き戸であってもよい。そして、浴室ドア95は、センサユニット70に横方向で対向する戸先部96の対向面部96aに、磁石97を収納した磁石ケース98を取り付けてもよい。また、センサユニット70の背後に磁性体99を設けてもよい。
【0071】
図13は、第3変形例に係るセンサユニットを備えた浴室ドアユニットを示す断面図である。
上述した実施形態では、磁気センサ75を2個設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば図13に示す第3変形例のように、センサユニット100は、1個の磁気センサ101を有していてもよい。この場合、磁気センサ101は、素子102が磁石62と開閉方向(横方向)で対向する位置に配設されるのが好ましい。これにより、素子102は、磁石62の磁界を効率よく検出することができる。
【0072】
また、上述した実施形態では、磁石62が障子40の戸先部46に設けられ、センサユニット70が枠体32に設けられた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば磁石62が枠体32に設けられ、センサユニット70が障子40に設けられていてもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、磁石62とセンサユニット70とが横方向に配設された場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば磁石62とセンサユニット70とを上下方向に配設してもよい。すなわち、枠体32の上枠部36と、障子40の戸先部46とに磁石62またはセンサユニット70を設けてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、素子76(センサユニット70)の背後に磁性体からなるジョイナ50を配設した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば素子76の背後に配設される磁性体は、ジョイナ50ではなく他の部材でもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、浴室内機器として、浴室空調機10、浴槽洗浄装置11、および浴室洗浄装置12を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば浴室内機器として、ミストサウナを発生させるサウナ装置や浴槽7への湯張りを行う湯張り装置など、浴室6内で機能を発揮する他の機器でもよい。すなわち、浴室内機器は、障子40が開いている状態で作動すると不都合なものであればよい。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室ドアユニットなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0077】
1 脱衣所
2 洗面台
3 洗濯機
4 脱衣所空調機
5 第1リモコン
6 浴室
6a 壁部
7 浴槽
8 吐水装置
9 シャワ
10 浴室空調機
11 浴槽洗浄装置
12 浴室洗浄装置
13 第2リモコン
15 第3リモコン
20 浴室ドアユニット
30 浴室ドア
32 枠体
32a 出入口
33 下枠部
34 第1縦枠部
35 第2縦枠部
35a 第1板部
35b 第2板部
35c ユニット取付孔
36 上枠部
40 障子
42 第1扉部
43 軸支部
45 第2扉部
46 戸先部
46a 摺動部
46b ケース取付孔
50 ジョイナ
60 開閉検知部
61 磁石ケース
61a 本体部
61b 係合部
61c 収納部
62 磁石
62a 円形面
70 センサユニット
71 ケーシング
72 カバー
73 センサケース
74 ケースキャップ
75 磁気センサ
76 素子
78 信号線
80 制御部
80a 記憶部
90 浴室ドア
91 戸先部
91a 対向面部
92 磁石
93 磁石ケース
95 浴室ドア
96 戸先部
96a 対向面部
97 磁石
98 磁石ケース
99 磁性体
100 センサユニット
101 磁気センサ
102 素子
M 磁力線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13