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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153960
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】テープ貼着装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20221005BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20221005BHJP
   B65H 23/16 20060101ALI20221005BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B65H37/04 B
B65H41/00 C
B65H23/16
H05K3/32 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056753
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000149011
【氏名又は名称】株式会社大橋製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 尚克
(72)【発明者】
【氏名】冨田 明
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀昌
【テーマコード(参考)】
3F104
3F108
5E319
【Fターム(参考)】
3F104AA03
3F104EA10
3F108GA09
3F108HA07
3F108HA14
3F108JA06
5E319AA03
5E319AC01
5E319BB16
5E319CC12
5E319CD26
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】対象物に対して異方性導電テープをより高い精度で貼着させることができるテープ貼着装置を提供する。
【解決手段】テープ貼着装置1は、テープ部材Tを供給する供給手段と、テープ部材Tを送り出す駆動部とテープ部材Tに所定の張力を付加する張力付加部とを備えテープ部材Tを搬送して異方性導電テープt1における搬送方向先端に位置する部位を対象物Wの上方に位置させる搬送手段と、異方性導電テープt1を対象物Wに貼着させる貼着手段と、異方性導電テープt1からセパレータt2を剥離する剥離手段と、テープ部材Tを回収する回収手段とを備え、駆動部と張力付加部との間に設けられてテープ部材Tに接触する案内部材の全てと剥離手段におけるテープ部材Tに接触する案内部材の全ては、ともにテープ部材Tに対して回転不能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異方性導電テープとセパレータとを積層させたテープ部材を供給する供給手段と、
前記供給手段から供給される前記テープ部材を送り出す駆動部と、当該駆動部によって送り出される当該テープ部材に所定の張力を付加する張力付加部とを備え、当該テープ部材を搬送して前記異方性導電テープにおける搬送方向先端に位置する部位を対象物の上方に位置させる搬送手段と、
前記対象物に対して前記テープ部材を押し付けて前記異方性導電テープを当該対象物に貼着させる貼着手段と、
前記貼着手段により貼着された前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する剥離手段と、
前記剥離手段によってセパレータ単体となった前記テープ部材を回収する回収手段と、を備えるテープ貼着装置であって、
前記搬送手段における前記駆動部と前記張力付加部との間に設けられて前記テープ部材に接触する案内部材の全てと、前記剥離手段における当該テープ部材に接触する案内部材の全ては、ともに当該テープ部材に対して回転不能である、テープ貼着装置。
【請求項2】
前記案内部材の全ては、前記テープ部材に接触する部位に低摩擦処理が施されている、請求項1に記載のテープ貼着装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記テープ部材を挟持する駆動ローラ及び従動ローラと、当該駆動ローラが停止している間は当該従動ローラの回転を停止させるストッパと、を備える請求項1又は2に記載のテープ貼着装置。
【請求項4】
異方性導電テープとセパレータとを積層させたテープ部材を供給する供給手段と、
前記供給手段から供給される前記テープ部材を送り出す駆動部と、当該駆動部によって送り出される当該テープ部材に所定の張力を付加する張力付加部とを備え、当該テープ部材を搬送して前記異方性導電テープにおける搬送方向先端に位置する部位を対象物の上方に位置させる搬送手段と、
前記対象物に対して前記テープ部材を押し付けて前記異方性導電テープを当該対象物に貼着させる貼着手段と、
前記貼着手段により貼着された前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する剥離手段と、
前記剥離手段によってセパレータ単体となった前記テープ部材を回収する回収手段と、を備えるテープ貼着装置であって、
前記駆動部は、前記テープ部材を挟持する駆動ローラ及び従動ローラと、当該駆動ローラが停止している間は当該従動ローラの回転を停止させるストッパと、を備えるテープ貼着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電テープを対象物(電子部品を実装する基板等)に貼着するためのテープ貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子部品を基板等の対象物に実装するにあたっては、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含んだ異方性導電テープ(ACFテープ)を対象物に貼着させるテープ貼着装置が使用される。
【0003】
下記の特許文献1に示されているテープ貼着装置は、異方性導電テープとセパレータとを積層させたテープ部材を使用する。またこのテープ貼着装置は、テープ部材を供給する供給手段と、供給手段から供給されるテープ部材を搬送して異方性導電テープにおける搬送方向先端に位置する部位を対象物の上方に位置させる搬送手段と、対象物に対してテープ部材を押し付けて異方性導電テープを対象物に貼着させる貼着手段と、貼着手段により貼付けられた異方性導電テープからセパレータを剥離する剥離手段と、剥離手段によってセパレータ単体となったテープ部材を回収する回収手段と、を備えている。このようなテープ貼着装置を利用することによって、対象物に異方性導電テープを自動で貼着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-256007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年は、電子部品等を高密度で実装するべく、対象物に対して異方性導電テープをより高い精度で貼着させることが求められている。しかし従来のテープ貼着装置における対象物に対するテープ部材の送り精度は、様々な調整を行っても平均で±0.1mm程度のばらつきが生じていて、送り精度のばらつきをそれ以下に抑えることは困難であった。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決することを課題とするものであり、対象物に対して異方性導電テープをより高い精度で貼着させることができるテープ貼着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明におけるテープ貼着装置は、異方性導電テープとセパレータとを積層させたテープ部材を供給する供給手段と、前記供給手段から供給される前記テープ部材を送り出す駆動部と、当該駆動部によって送り出される当該テープ部材に所定の張力を付加する張力付加部とを備え、当該テープ部材を搬送して前記異方性導電テープにおける搬送方向先端に位置する部位を対象物の上方に位置させる搬送手段と、前記対象物に対して前記テープ部材を押し付けて前記異方性導電テープを当該対象物に貼着させる貼着手段と、前記貼着手段により貼着された前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する剥離手段と、前記剥離手段によってセパレータ単体となった前記テープ部材を回収する回収手段と、を備え、前記搬送手段における前記駆動部と前記張力付加部との間に設けられて前記テープ部材に接触する案内部材の全てと、前記剥離手段における当該テープ部材に接触する案内部材の全ては、ともに当該テープ部材に対して回転不能であることを特徴とする。
【0008】
このようなテープ貼着装置において、前記案内部材の全ては、前記テープ部材に接触する部位に低摩擦処理が施されていることが好ましい。
【0009】
また前記駆動部は、前記テープ部材を挟持する駆動ローラ及び従動ローラと、当該駆動ローラが停止している間は当該従動ローラの回転を停止させるストッパと、を備えることが好ましい。
【0010】
また、本発明のテープ貼着装置は、異方性導電テープとセパレータとを積層させたテープ部材を供給する供給手段と、前記供給手段から供給される前記テープ部材を送り出す駆動部と、当該駆動部によって送り出される当該テープ部材に所定の張力を付加する張力付加部とを備え、当該テープ部材を搬送して前記異方性導電テープにおける搬送方向先端に位置する部位を対象物の上方に位置させる搬送手段と、前記対象物に対して前記テープ部材を押し付けて前記異方性導電テープを当該対象物に貼着させる貼着手段と、前記貼着手段により貼着された前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する剥離手段と、前記剥離手段によってセパレータ単体となった前記テープ部材を回収する回収手段と、を備え、前記駆動部は、前記テープ部材を挟持する駆動ローラ及び従動ローラと、当該駆動ローラが停止している間は当該従動ローラの回転を停止させるストッパと、を備えるものでもある。
【発明の効果】
【0011】
このような構成になる本発明のテープ貼着装置によれば、対象物に対して異方性導電テープをより高い精度で貼着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るテープ貼着装置の第一実施形態を模式的に示した図である。
図2】本発明に係るテープ貼着装置の第二実施形態を模式的に示した図である。
図3図1に示したテープ貼着装置の比較例を模式的に示した図である。
図4図2に示したテープ貼着装置の比較例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るテープ貼着装置の第一実施形態(テープ貼着装置1)について、図1を参照しながら説明する。なお、図示した矢印Yに沿う向きは、テープ貼着装置1を操作する作業者から見て左右方向であり、矢印Zに沿う向きは、作業者から見て上下方向であり、矢印Yと矢印Zに対して直交する向き(紙面に対して直交する向き)は、作業者から見て前後方向であって、以下においては上記の方向で説明する。なお、左右方向についてはY方向、上下方向についてはZ方向、前後方向についてはX方向と称することがある。
【0014】
テープ貼着装置1は、ヘッド2を備えている。ヘッド2は、ベースプレート3に対して上下方向に移動可能に保持されている。ヘッド2を上下動させる駆動源は、モータやエアシリンダ等、種々のものが採用可能である。なおテープ貼着装置1は、不図示の制御部(例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)によって実現される)を備えていて、ヘッド2の駆動源を含めて以下に説明する各部の動作は、制御部によって制御される。なおヘッド2は、本明細書等における「貼着手段」に相当する部位である。
【0015】
ヘッド2の下方には、基板等の対象物Wがセットされる。本実施形態のテープ貼着装置1は、対象物Wを複数載置する不図示のステージを備えている。このステージは、後述する異方性導電テープt1を対象物Wに貼着させる際は、対象物Wをヘッド2の下方へ移動させ、貼着後は対象物Wをヘッド2から移動させるとともに新たな対象物Wをヘッド2の下方に移動させるよう動作する。
【0016】
本実施形態のテープ貼着装置1は、対象物Wに貼着させる異方性導電テープt1として、長尺状になるセパレータt2に対して長尺状になる異方性導電テープt1を積層させたテープ部材Tを使用する。本実施形態のテープ貼着装置1は、テープ部材Tを搬送する途中で異方性導電テープt1を所定の長さでハーフカット(セパレータt2に積層した状態で異方性導電テープt1のみを厚み方向にカット)する不図示のカット手段を備えていて、対象物Wへの貼着を行う前にカット手段により異方性導電テープt1を所定の長さにカットし、個片化された異方性導電テープt1を対象物Wへ貼着する。なおテープ部材Tは、予め個片化された異方性導電テープt1を長尺状のセパレータt2に積層させたものを使用してもよい。
【0017】
またテープ貼着装置1は、ベースプレート3に取り付けられた巻き出しリール4を備えている。巻き出しリール4には、巻き回された状態のテープ部材Tがセットされる。巻き出しリール4は、不図示のモータによって図1に示した矢印の向きに回転するよう構成されていて、テープ部材Tは、巻き出しリール4から後述する各部に向けて供給される。なお巻き出しリール4は、本明細書等における「供給手段」に相当する。
【0018】
またテープ貼着装置1は、図1に示すように巻き出しリール4の右側に位置する第一支持ローラ5と、第一支持ローラ5に対して左斜め下に位置する第二支持ローラ6と、第二支持ローラ6に対して左斜め下に位置するダンシングローラ7と、ダンシングローラ7に対して右斜め上に位置する第三支持ローラ8を備えている。第一支持ローラ5、第二支持ローラ6、及び第三支持ローラ8は、ベースプレート3に対して固定された軸部を中心として回転するよう構成されている。またダンシングローラ7は、ベースプレート3に対して上下方向に移動する不図示の移動体に対し、この移動体に固定された軸部を中心として回転するよう構成されている。
【0019】
更にテープ貼着装置1は、第三支持ローラ8の下方に位置する第一案内ピン9と、第一案内ピン9の下方に位置する第二案内ピン10と、第二案内ピン10に対して右斜め下に位置する第三案内ピン11と、第三案内ピン11に対して右斜め下に位置する第四案内ピン12を備えている。第一案内ピン9等は全て円柱状であって、ベースプレート3に対して固定されている。
【0020】
本実施形態の第一案内ピン9、第二案内ピン10、第三案内ピン11、及び第四案内ピン12の表面には、接触する相手物との摩擦力が低減される低摩擦処理が施されている。低摩擦処理の一例としては、第一案内ピン9等の表面に各種のメッキ(例えば硬質クロムメッキや無電解ニッケルメッキ)を施すことが挙げられるが、特にテフロン無電解ニッケルメッキを施すことが好ましい。なお「テフロン」は登録商標である。本実施形態の第一案内ピン9等の全てには、表面にテフロン無電解ニッケルメッキが施されている。
【0021】
第四案内ピン12の右側には、不図示の駆動源(モータ等)によって左右方向に移動する移動部材13が設けられている。移動部材13には、第四案内ピン12に対して略同一の高さに位置する第五案内ピン14と、第五案内ピン14に対して右斜め上に位置する第六案内ピン15が設けられている。第五案内ピン14と第六案内ピン15はともに円柱状であって、移動部材13に対して固定されている。また第五案内ピン14と第六案内ピン15の表面にも、テフロン無電解ニッケルメッキが施されている。なお、移動部材13、第五案内ピン14、及び第六案内ピン15は、本明細書等における「剥離手段」に相当する。
【0022】
移動部材13の右側には、円柱状であって、ベースプレート3に対して固定されている第七案内ピン16が設けられている。第七案内ピン16の表面にも、テフロン無電解ニッケルメッキが施されている。
【0023】
そして第七案内ピン16の右斜め上には、駆動ローラ17が設けられている。駆動ローラ17は、上述した制御部からの指令に基づいて動作する不図示のモータによって自転するよう構成されている。また駆動ローラ17は、軸部の前側端部と後側端部がともに支持されている。すなわち駆動ローラ17は、軸部が両端支持された状態で回転する。
【0024】
駆動ローラ17の上方には、従動ローラ18が設けられている。従動ローラ18の外周部は、弾性体(ゴム等)で形成されている。また従動ローラ18は、駆動ローラ17に向けて押し付けられるように構成されていて、駆動ローラ17が回転すると従動ローラ18も連れ回る。
【0025】
そして従動ローラ18の右側には、ストッパ19が設けられている。ストッパ19は、上述した制御部からの指令に基づいて動作する不図示のエアシリンダによって、従動ローラ18に対して接近又は離反するように揺動する。ストッパ19を従動ローラ18に対して接近するように揺動させた際、ストッパ19はエアシリンダの推力によって従動ローラ18の外周部に押し当たるため、従動ローラ18は回転しない状態で保持される。
【0026】
従動ローラ18の右斜め上には、円柱状であって、ベースプレート3に対して固定されている第八案内ピン20が設けられている。第八案内ピン20の表面にも、テフロン無電解ニッケルメッキが施されている。
【0027】
なお、上述した第一支持ローラ5、第二支持ローラ6、ダンシングローラ7、第三支持ローラ8、第一案内ピン9、第二案内ピン10、第三案内ピン11、第四案内ピン12、第七案内ピン16、駆動ローラ17、従動ローラ18、及び第八案内ピン20は、本明細書等における「搬送手段」に相当する。また第一案内ピン9等の案内ピンは、本明細書等の「案内部材」に相当する。そして、第一支持ローラ5、第二支持ローラ6、ダンシングローラ7、及び第三支持ローラ8は、本明細書等における「張力付加部」に相当し、駆動ローラ17、従動ローラ18、及びストッパ19は、本明細書等における「駆動部」に相当する。
【0028】
そして第八案内ピン20の上方には、テープ部材Tを吸引して回収することができる回収ユニット21が設けられている。なお回収ユニット21は、本明細書等における「回収手段」に相当する。
【0029】
このような第一支持ローラ5等に対し、巻き出しリール4から引き出されたテープ部材Tは、図1に示すように「張力付加部」である第一支持ローラ5、第二支持ローラ6、ダンシングローラ7、第三支持ローラ8に接触し、更に第一案内ピン9、第二案内ピン10、第三案内ピン11、第四案内ピン12に接触した後、そこからヘッド2の下方を水平方向に延在して、第五案内ピン14、第六案内ピン15、第七案内ピン16に接触する。更に第七案内ピン16に接触したテープ部材Tは、「駆動部」である駆動ローラ17と従動ローラ18に挟持された後、第八案内ピン20に接触して回収ユニット21に至る図示した経路上に案内される。この状態においてテープ部材Tには、ダンシングローラ7及び上述した移動体の自重によって所定の張力が付加される。また駆動ローラ17を回転させると、それに伴ってテープ部材Tが搬送されるとともに従動ローラ18も回転する。
【0030】
このようなテープ貼着装置1において対象物Wに異方性導電テープt1を貼着するにあたっては、駆動ローラ17を図1の矢印の向きに回転させる。これにより、駆動ローラ17と従動ローラ18に挟持されたテープ部材Tは、ヘッド2の下方において左から右に向かう向きに搬送される。そして、異方性導電テープt1における搬送方向先端に位置する個片化された異方性導電テープt1が対象物Wの上方に位置する状態で駆動ローラ17の回転を停止させる。その後、ヘッド2を下方に向けて移動させ、対象物Wに対してテープ部材Tを押し付けることにより、個片化された異方性導電テープt1を対象物Wに貼着させることができる。
【0031】
異方性導電テープt1を対象物Wに貼着させた後は、ヘッド2を上方に向けて移動させ、更に移動部材13を左側に移動させる。これにより、対象物Wに貼着させた個片化した異方性導電テープt1からセパレータt2が剥離される。その後、移動部材13を元の位置に戻し、駆動ローラ17を図1の矢印の向きに所定量回転させることによって、テープ部材Tにおける異方性導電テープt1から剥離してセパレータt2のみになった部位をヘッド2の下方から右側に移動させるとともに、次の対象物Wに貼着される個片化した異方性導電テープt1を対象物Wの上方に位置させることができる。なお、単体のセパレータt2になったテープ部材Tは、最終的に回収ユニット21で回収される。
【0032】
このように本実施形態のテープ貼着装置1によれば、複数の対象物Wに対して異方性導電テープt1を順次自動で貼着させることができる。またテープ貼着装置1によれば、対象物Wに対して異方性導電テープt1を、より高い精度で貼着させることができる。以下、テープ貼着装置1による対象物Wに対して高い精度で異方性導電テープt1を貼着できる点について、図3に示した比較例のテープ貼着装置101と対比しながら説明する。なお以下の説明において、テープ貼着装置1と同等の機能を有する部位は同一の名称を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
図3に示すようにテープ貼着装置101は、ヘッド102、ベースプレート103、巻き出しリール104、第二支持ローラ106、ダンシングローラ107、第三支持ローラ108、第一案内ローラ109R、第二案内ローラ110R、第三案内ローラ111R、第四案内ピン112、移動部材113、第五案内ピン114、第六案内ローラ115R、第七案内ローラ116R、第八案内ローラ120R、第九案内ローラ122R、駆動ローラ117、従動ローラ118、回収ユニット121、を備えている。なお、第一案内ローラ109R等の案内ローラは、ベースプレート103に対して固定された軸部を中心として回転するよう構成されている。また巻き出しリール104、第二支持ローラ106、及びダンシングローラ107は、回転軸がY方向を指向し、第三支持ローラ108は、回転軸がX方向を指向していて、巻き出しリール104から引き出されたテープ部材Tは、第二支持ローラ106とダンシングローラ107に巻きかけられた後、第三支持ローラ108に巻きかけられる途中で捩られるが、テープ部材Tの幅に対してダンシングローラ107が上下動する距離は長く、捻りの影響はほとんど認められない。すなわち、第二支持ローラ106、ダンシングローラ107、及び第三支持ローラ108により構成される「張力付加部」に相当する部位の機能は、テープ貼着装置1と同等である。
【0034】
このようなテープ貼着装置101において、巻き出しリール104から引き出されたテープ部材Tは、図3に示すように、「張力付加部」に相当する第二支持ローラ106、ダンシングローラ107、第三支持ローラ108に接触し、更に第一案内ローラ109R、第二案内ローラ110R、第三案内ローラ111R、第四案内ピン112に接触した後、そこからヘッド102の下方を水平方向に延在して、第五案内ピン114、第六案内ローラ115R、第七案内ローラ116R、第八案内ローラ120R、第九案内ローラ122Rに接触する。更に第九案内ローラ122Rに接触したテープ部材Tは、「駆動部」に相当する駆動ローラ117と従動ローラ118に挟持された後、回収ユニット121に至る図示した経路上に案内される。
【0035】
ところで、テープ貼着装置101において対象物Wに対するテープ部材Tの送り精度を確認したところ、様々な調整を行っても平均で±0.1mm程度のばらつきが生じていた。この点につき発明者が検討を重ねたところ、第一案内ローラ109R等の案内ローラは、軸部の偏心や案内ローラ外周部の偏心が比較的大きいことが認められた。また案内ローラが回転を開始するまでの抵抗にはばらつきがあり、テープ部材Tを搬送させた際に、案内ローラがテープ部材Tに追従して回転する場合と、案内ローラがテープ部材Tに追従できずにテープ部材Tが案内ローラに対して滑る場合があることが認められた。また、案内ローラが回転を開始するまでの抵抗と回転中の抵抗には差があるため、「張力付加部」に相当する部位を設けていても、テープ部材Tに作用する張力は案内ローラ間で相違することになり、これによりテープ部材Tの伸び量に差が出る現象が認められた。またテープ部材Tは、駆動ローラ117の回転に同期して搬送され、駆動ローラ117が停止している状態ではテープ部材Tも停止するものの、テープ貼着装置101やテープ部材Tに外乱(例えば振動)等が作用する状態、或いは異方性導電テープt1を対象物Wに貼着させるにあたってヘッド2を下方に向けて移動させてテープ部材Tがダンシングローラ107から引き出される状態にあっては、従動ローラ118がわずかに回転してテープ部材Tが動く現象が認められることがあった。
【0036】
そして、これらの要因で送り精度にばらつきが生じるとの推測の下、発明者が更に検討を重ねて、「張力付加部」と「駆動部」の間に設けられたテープ部材Tに接触する第一案内ローラ109R~第九案内ローラ122Rを、テープ貼着装置1の第一案内ピン9~第七案内ピン16のようにベースプレート3に対して固定する(すなわち、搬送されるテープ部材Tに対して回転不能とする)ことによって、送り精度のばらつきを抑えられることを見出した。また、第一案内ピン9~第七案内ピン16における少なくともテープ部材Tに接触する部位に低摩擦処理を施すと、送り精度のばらつきは更に抑制できることを見出した。また、テープ貼着装置1のようにストッパ19を設け、駆動ローラ17が回転する際はストッパ19を従動ローラ18から離反させ、駆動ローラ17が停止している状態ではストッパ19を従動ローラ18の外周部に押し当てることによっても、送り精度のばらつき抑制に効果的であることが見出された。テープ貼着装置1によれば、一例として対象物Wに対するテープ部材Tの送り精度を、平均で±50μm程度のばらつきに抑えることが可能であった。
【0037】
上述したテープ貼着装置1は、ヘッド2に対してテープ部材Tの搬送方向上流側に「張力付加部」を設け、搬送方向下流側に「駆動部」を設けた構成を採用しているが、図2に示したテープ貼着装置51のように、両者を入れ替えた場合にも送り精度のばらつきが抑制できることが認められた。この点につき、図4に示したテープ貼着装置151と対比しながら説明する。
【0038】
まず比較例であるテープ貼着装置151について説明する。テープ貼着装置151は、ヘッド152、ベースプレート153、巻き出し部材154、第一案内ローラ159R、駆動ローラ167、従動ローラ168、第三案内ローラ161R、第四案内ピン162、移動部材163、第五案内ピン164、第六案内ローラ165R、第七案内ローラ166R、第二支持ローラ156、ダンシングローラ157、第三支持ローラ158、巻き取り部材171を備えている。
【0039】
このようなテープ貼着装置151において、巻き出し部材154から引き出されたテープ部材Tは、図4に示すように、第一案内ローラ159Rに接触し、「駆動部」に相当する駆動ローラ167と従動ローラ168に挟持された後、第三案内ローラ161Rと第四案内ピン162に接触し、そこからヘッド152の下方を水平方向に延在して、第五案内ピン164、第六案内ローラ165R、第七案内ローラ166Rに接触する。更に第七案内ローラ166Rに接触したテープ部材Tは、「張力支持部」に相当する第二支持ローラ156、ダンシングローラ157、第三支持ローラ158に接触した後、巻き取り部材171に至る図示した経路上に案内される。なお、巻き出し部材154にはトルクリミッタが設けられている。また巻き取り部材171は、モータによって回転して単体のセパレータt2になったテープ部材Tを巻き取るように構成されている。
【0040】
このテープ貼着装置151で確認を行ったところ、図3に示したテープ貼着装置101と比較して対象物Wに対するテープ部材Tの送り精度のばらつきは抑えられていた。これは、「駆動部」に相当する駆動ローラ167と従動ローラ168が、テープ貼着装置101の駆動ローラ117と従動ローラ118よりも対象物Wに対して近い位置に設けられていることが一つの要因であると考えられる。但しテープ貼着装置151でも、テープ貼着装置1で得られる程の送り精度の高さを実現させることは困難であった。
【0041】
一方、図2に示したテープ貼着装置51は、ヘッド52、ベースプレート53、巻き出し部材54、第一案内ピン59、駆動ローラ67、従動ローラ68、ストッパ69、第三案内ピン61、第四案内ピン62、移動部材63、第五案内ピン64、第六案内ピン65、第七案内ピン66、第二支持ローラ56、ダンシングローラ57、第三支持ローラ58、巻き取り部材71を備えている。また第一案内ピン59、第三案内ピン61、第四案内ピン62、第五案内ピン64、第六案内ピン65、及び第七案内ピン66の表面には、低摩擦処理(本実施形態ではテフロン無電解ニッケルメッキ)が施されている。
【0042】
このようなテープ貼着装置51で確認を行ったところ、「駆動部」と「張力付加部」との間に設けられたテープ部材Tに接触する第三案内ピン61、第四案内ピン62、第五案内ピン64、第六案内ピン65、及び第七案内ピン66をベースプレート53に対して固定する(すなわち、搬送されるテープ部材Tに対して回転不能とする)ことによって、送り精度のばらつきが抑えられることが見出された。また第三案内ピン61~第七案内ピン66に低摩擦処理を施すことによって、送り精度のばらつきは更に抑制できることが見出された。また、駆動ローラ67が回転する際はストッパ69を従動ローラ68から離反させ、駆動ローラ67が停止している状態ではストッパ69を従動ローラ68の外周部に押し当てることによっても、送り精度のばらつき抑制に効果的であることが見出された。そしてテープ貼着装置51によれば、テープ貼着装置151よりも送り精度のばらつきが抑えられることが確認された。またテープ貼着装置51での送り精度のばらつきは、テープ貼着装置1と同等、或いはそれ以上に抑制することが可能であった。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0044】
1:テープ貼着装置
2:ヘッド(貼着手段)
4:巻き出しリール(供給手段)
5:第一支持ローラ(張力付加部、搬送手段)
6:第二支持ローラ(張力付加部、搬送手段)
7:ダンシングローラ(張力付加部、搬送手段)
8:第三支持ローラ(張力付加部、搬送手段)
9:第一案内ピン(案内部材、搬送手段)
10:第二案内ピン(案内部材、搬送手段)
11:第三案内ピン(案内部材、搬送手段)
12:第四案内ピン(案内部材、搬送手段)
13:移動部材(剥離手段)
14:第五案内ピン(案内部材、剥離手段、搬送手段)
15:第六案内ピン(案内部材、剥離手段、搬送手段)
16:第七案内ピン(案内部材、搬送手段)
17:駆動ローラ(駆動部、搬送手段)
18:従動ローラ(駆動部、搬送手段)
19:ストッパ(駆動部)
20:第八案内ピン(搬送手段)
21:回収ユニット(回収手段)
51:テープ貼着装置
52:ヘッド(貼着手段)
54:巻き出し部材(供給手段)
56:第二支持ローラ(張力付加部、搬送手段)
57:ダンシングローラ(張力付加部、搬送手段)
58:第三支持ローラ(張力付加部、搬送手段)
59:第一案内ピン(案内部材、搬送手段)
61:第三案内ピン(案内部材、搬送手段)
62:第四案内ピン(案内部材、搬送手段)
63:移動部材(剥離手段)
64:第五案内ピン(案内部材、剥離手段、搬送手段)
65:第六案内ピン(案内部材、剥離手段、搬送手段)
66:第七案内ピン(案内部材、搬送手段)
67:駆動ローラ(駆動部、搬送手段)
68:従動ローラ(駆動部、搬送手段)
69:ストッパ(駆動部)
71:巻き取り部材(回収手段)
T:テープ部材
t1:異方性導電テープ
t2:セパレータ
W:対象物
図1
図2
図3
図4