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特開2022-153961液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法
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  • 特開-液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法 図1
  • 特開-液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法 図2
  • 特開-液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法 図3
  • 特開-液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法 図4
  • 特開-液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153961
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20221005BHJP
   B65D 47/22 20060101ALI20221005BHJP
   B65D 47/40 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B65D47/20 210
B65D47/22
B65D47/40 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056754
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】520304491
【氏名又は名称】丸 知志
(74)【代理人】
【識別番号】100148851
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】丸 知志
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA07
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC02
3E084LD01
3E084LE07
(57)【要約】
【課題】よりシンプルな構造でありながら確実に計量を可能としつつ、計量を必要としない場合でも任意量をスムースに注ぎ出す事が可能な液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法を提供することを目的とする。
【解決手段】収容された液体から所定量を注ぎ出すことが可能な液体ボトルの計量注ぎ口であって、収容された液体の注ぎ出し時の流路上に設けられた狭い流路部と、
狭い流路部に対応して設けられ、外側面からの押圧力の有無によって狭い流路部を閉塞開通自在に構成された押圧止液栓部と、狭い流路部の下流側に設けられた、所定量を計量するための凹状の計量部と、計量部の下流側に設けられ、液体の注ぎ出し口を封鎖するキャップ栓と、を備液体ボトルの計量注ぎ口とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容された液体から所定量を注ぎ出すことが可能な液体ボトルの計量注ぎ口であって、
収容された前記液体の注ぎ出し時の流路上に設けられた狭い流路部と、
前記狭い流路部に対応して設けられ、外側面からの押圧力の有無によって前記狭い流路部を閉塞開通自在に構成された押圧止液栓部と、
前記狭い流路部の下流側に設けられた、前記所定量を計量するための凹状の計量部と、
前記計量部の下流側に設けられ、前記液体の注ぎ出し口を封鎖するキャップ栓と、を備える
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ口。
【請求項2】
請求項1に記載の液体ボトルの計量注ぎ口において、
前記押圧止液栓部が自然状態で押圧されていないことにより前記狭い流路部が開通されている状態で、収容された前記液体が前記狭い流路部を経由して前記計量部に一時蓄積されて計量される
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ口。
【請求項3】
請求項2に記載の液体ボトルの計量注ぎ口において、
前記計量部に一時蓄積されて計量された前記液体は、前記押圧止液栓部が押圧されて前記狭い流路部が閉塞されている状態かつ前記キャップ栓が開放された状態で、注ぎ出される
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ口。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液体ボトルの計量注ぎ口において、
前記押圧止液栓部を押圧しない場合には前記狭い流路部が開通されて、前記収容された前記液体が、前記狭い流路部をスムースに通過して、前記計量注ぎ口の計量にかかる前記所定量に拘わらず、任意の量だけ前記液体を注ぎ出すことが可能である
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ口。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体ボトルの計量注ぎ口において、
前記押圧止液栓部と前記狭い流路部と前記凹状の計量部とを含む前記収容された液体が接触する内側面は、角張る事無く滑らかな曲線で構成される
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ口。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液体ボトルの計量注ぎ口において、
前記計量部での前記液体の計量状態を視認可能なように、少なくとも一部が透明である
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ口。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の液体ボトルの計量注ぎ口において、
前記計量部は、前記液体ボトルの複数の傾き角度に対応して、前記所定量の蓄積位置を示す目印を複数備える
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ口。
【請求項8】
収容された液体から所定量を注ぎ出すことが可能な液体ボトルの計量注ぎ出し方法であって、
収容された前記液体の注ぎ出し時の流路上に設けられた狭い流路部を通過させる工程と、
前記狭い流路部の下流側に設けられた、前記所定量を計量するための凹状の計量部で前記液体を計量する工程と、
前記狭い流路部に対応して設けられ、外側面からの押圧力の有無によって前記狭い流路部を閉塞開通自在に構成された押圧止液栓部を押圧する工程と、
前記計量部の下流側に設けられ、前記液体の注ぎ出し口を封鎖するキャップ栓を開放して前記計量された液体を注ぎ出す工程と、を有する
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ出し方法。
【請求項9】
請求項8に記載の液体ボトルの計量注ぎ出し方法において、
前記押圧止液栓部が自然状態で押圧されていないことにより前記狭い流路部が開通されている状態で、収容された前記液体が前記狭い流路部を経由して前記計量部に一時蓄積されて計量される工程をさらに有する
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ出し方法。
【請求項10】
請求項9に記載の液体ボトルの計量注ぎ出し方法において、
前記計量部に一時蓄積されて計量された前記液体は、前記押圧止液栓部が押圧されて前記狭い流路部が閉塞されている状態かつ前記キャップ栓が開放された状態で、注ぎ出される工程をさらに有する
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ出し方法。
【請求項11】
請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載の液体ボトルの計量注ぎ出し方法において、
前記押圧止液栓部を押圧しない場合には前記狭い流路部が開通されて、前記収容された前記液体が、前記狭い流路部をスムースに通過して、前記計量注ぎ口の計量にかかる前記所定量に拘わらず、任意の量だけ前記液体を注ぎ出す工程を有する
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ出し方法。
【請求項12】
請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の液体ボトルの計量注ぎ出し方法において、
前記押圧止液栓部と前記狭い流路部と前記凹状の計量部とを含む前記収容された液体が接触する内側面は、角張る事無く滑らかな曲線で構成される
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ出し方法。
【請求項13】
請求項8乃至請求項12のいずれか一項に記載の液体ボトルの計量注ぎ出し方法において、
前記計量部での前記液体の計量状態を視認可能なように、少なくとも一部が透明である
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ出し方法。
【請求項14】
請求項8乃至請求項13のいずれか一項に記載の液体ボトルの計量注ぎ出し方法において、
前記計量部は、前記液体ボトルの複数の傾き角度に対応して、前記所定量の蓄積位置を示す目印を複数備える
ことを特徴とする液体ボトルの計量注ぎ出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大匙一杯のしょうゆや小匙一杯のウスターソース、その他の定量の計量を必要とする場合が想定される食用油・水・ラー油等ペットボトルやガラス瓶等の容器に収容されている種々の液体は、計量時には大匙や小匙等の計量容器を、その液体収納容器とは別に用意しておく必要があった。また、このような計量をより簡便な動作で迅速に可能とするべく、下記特許文献1にように液体収納容器のキャップ部分で計量を可能とするようなアイデアが複数提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、詰め替え用容器をそのまま使用しても、従来の本体容器と同等またはそれ以上の計量性能を得ることができ、使用者が扱いやすい液体の可変計量キャップを提供することを解決課題とする発明が開示されている。
【0004】
この特許公報によれば以下の構成が開示されている。すなわち、液体の可変計量キャップは、ノズル部1と、フィルター2と、キャップ3とを備えている。ノズル部1の側面には第1の突起11が設けられている。フィルター2は、開口部24が設けられた第1のフィルター21と、開口部25が設けられた第2のフィルター22とを重ね合わせて有している。第1のフィルター22は、側部に第2の突起23が設けられ、回転可能とされている。キャップ3の横溝32を第1の突起11に合わせて回転させることにより、縦溝31により第2の突起23が回転され、開口部24,25の少なくとも一部が重なってフィルター2が開くようになっている。
【0005】
この発明により期待できる効果として下記のように記載されている。
1.詰め替え用容器を吊るしておけば、片手で液体を計量、投入することができる。詰め替え用容器を台等につるして固定することによって、重力により液体は下側へと降りてくるため、使用者はキャップの操作を行うだけとなり、より操作が簡単となる。ノズル部出口に設けられた第1のフィルターおよび第2のフィルターにより、水道のように扱うことができる。
2.構造自体はシンプルなので、安価に製作できる。複雑な機構が用いられていないため、各部の構成は非常にシンプルなものとなっているため、製作コストが抑えられる。
3.詰め替え用容器のまま使用できるので、詰め替える必要がなくなる。元来、詰め替え用容器は、本体容器に入れる液体洗剤等の液体を保管するもので、液体洗剤等を使用する際には、本体容器に移して使用する必要性があった。この方式では、本体容器を用意するために別途コストが必要となり、詰め替える手間も存在した。しかし、本発明を用いれば、本体容器を用意せずとも液体洗剤等を取り出すことができ、詰め替える手間も必要ない。さらに、従来であれば液体洗剤等の種類を変えた際に本体容器も変える必要性があるが、本発明では水を通して洗うだけで再利用が可能となるため、この発明品一つで対応することが可能である。
【0006】
また、下記特許文献2には、容器に計量機能付きキャップを装着して、簡単かつ容易に計量して排出する液体計量キャップを提供することを目的として、液体計量キャップに、容器内の液体を計量する計量室と計量室に注ぐノズルを設け、更に、計量室に外気が入る空気孔を設け、且つ、計量室内に貯留した液体を流出する排出口を設けて一定の液量を計量できるようにした液体計量キャップとする発明が開示されている。
【0007】
さらに、下記特許文献3には、ボトル、包装袋等から、内容物が粉体状または粒体状であっても、あるいは液体状であっても、内容物を取り出す際に容易に一定量の計量が行え、一定量の内容物を取り出すことができ、また同じ操作を繰り返すことで一定量の取出しが繰り返し行える計量機能付きキャップを提供することを課題とする発明であって、キャップ本体と計量部と第1の蓋部とを有する計量機能付きキャップであって、前記キャップ本体は、円筒状の周壁の一端に天面板が設けられてなり、前記天面板には第1の注出口が開口し、前記計量部は、側壁と傾斜した底面を有し、開口した上端が前記天面板に内側から密着して前記キャップ本体に装着され、前記開口した上端は前記第1の注出口を囲い込む大きさであり、側壁の上端側に流入口が開口し、前記第1の蓋部は、前記天面板に装着され、薄肉ヒンジで回動して前記第1の注出口を開閉自在に封止し、前記第1の蓋部に前記流入口を封止する封止部材が設けられ、前記封止部材は、前記第1の蓋部が前記第1の注出口を封止した状態のときは前記流入口を封止しない位置となり、前記第1の蓋部が前記第1の注出口を開口した状態のときに前記流入口を封止する位置となる様に設けられていることを特徴とする計量機能付きキャップとすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6606798号公報
【特許文献2】特開2012-111554号公報
【特許文献2】特開2020-19541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献の提案や開示によっても、より簡便で安価な構成で確実に少量の計量を可能とする一方、少量の計量を必要としない場合であって例えばコップ一杯やジョッキ一杯等の少量では無いある程度のまとまった量をも注ぐことが可能な注ぎ口を備える液体収納容器は知られておらず、なお改善の余地があった。例えば、上記した特許文献1,2に開示される提案においては、確かに少量の一定量の計量は可能であることが開示されているものの、いかなる場合でも必ず定量計量されてから注ぎ出される構成を採用していることから、少量では無いある程度のまとまった量(例えばコップ一杯等)を一度にまとめて注ぎ出すことはできない。また、従来の開示構造においては、計量室やその周辺が複雑な構造であったり角張っていたりするため、例えば醤油が隅に張り付いて固まってしまう等の不具合が生じ易い欠点を有していた。さらに、特許文献3の構成では、複数の部品を組み合わせた複雑な構成としておりかつ液体と触れる内部にメカニカルな動作機構が設けられているので、液体等が内部隙間に残留したり固まって動かなくなったりする懸念を生じることは避けられない。
【0010】
本発明は、上述の問題点に鑑み為されたものであり、よりシンプルな構造でありながら確実に計量を可能としつつ、計量を必要としない場合でも任意量をスムースに注ぎ出す事が可能な液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、収容された液体から所定量を注ぎ出すことが可能な液体ボトルの計量注ぎ口であって、収容された液体の注ぎ出し時の流路上に設けられた狭い流路部と、狭い流路部に対応して設けられ、外側面からの押圧力の有無によって狭い流路部を閉塞開通自在に構成された押圧止液栓部と、狭い流路部の下流側に設けられた、所定量を計量するための凹状の計量部と、計量部の下流側に設けられ、液体の注ぎ出し口を封鎖するキャップ栓と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、好ましくは押圧止液栓部が自然状態で押圧されていないことにより狭い流路部が開通されている状態で、収容された液体が狭い流路部を経由して計量部に一時蓄積されて計量されることを特徴とする。
【0013】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは計量部に一時蓄積されて計量された液体は、押圧止液栓部が押圧されて狭い流路部が閉塞されている状態かつキャップ栓が開放された状態で、注ぎ出されることを特徴とする。
【0014】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは押圧止液栓部を押圧しない場合には狭い流路部が開通されて、収容された液体が、狭い流路部をスムースに通過して、計量注ぎ口の計量にかかる所定量に拘わらず、任意の量だけ液体を注ぎ出すことが可能であることを特徴とする。
【0015】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは押圧止液栓部と狭い流路部と凹状の計量部とを含む収容された液体が接触する内側面は、角張る事無く滑らかな曲線で構成されることを特徴とする。
【0016】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは計量部での液体の計量状態を視認可能なように、少なくとも一部が透明であることを特徴とする。
【0017】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは計量部は、液体ボトルの複数の傾き角度に対応して、前記所定量の蓄積位置を示す目印を複数備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
よりシンプルな構造でありながら確実に計量を可能としつつ、計量を必要としない場合でも任意量をスムースに注ぎ出す事が可能な液体の計量注ぎ口と液体ボトルの計量注ぎ出し方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の説明における図面は、本発明の例示であるところの実施形態の一例に過ぎず、本発明の技術思想の範囲内で公知の技術思想等を踏まえて、ここに明示していない他の態様等を当業者が想到できることは明らかである。
図1】(a)は本実施形態にかかる液体ボトルの計量注ぎ口を説明する概要図であり、(b)は図1(a)に示す液体ボトルの計量注ぎ口のA-A´断面を説明する断面図である。
図2】(a)がボトル本体から計量部へ液体を移動させる状態を説明する図であり、(b)が計量部で計量するとともに押圧止液栓部を軽く押圧して狭い流路部を閉塞させて、計量にかかる液体とボトル本体に残留する液体とを分離する状態を説明する図であり、(c)が計量部で計量された液体を注ぎ出し口から注ぎ出す状態を説明する図である。
図3図3はボトル本体の傾き具合に応じて複数位置の目盛を設ける場合について説明している図であり、(a)がボトル本体を水平に保っている傾き状態において所定量(例えば大匙1杯)を計量部で計量可能な目盛の位置を示す図であり、(b)がボトル本体を斜め45度に保っている傾き状態において所定量(例えば大匙1杯)を計量部で計量可能な目盛の位置を示す図であり、(c)がボトル本体を斜め60度に保っている傾き状態において所定量(例えば大匙1杯)を計量部で計量可能な目盛の位置を示す図である。
図4】液体ボトルの計量注ぎ口が装着されているボトル本体が図1とは異なる形状である場合について説明する図である。
図5】第一の実施形態にかかる液体ボトルの計量注ぎ口から液体を注ぎ出す場合の動作について詳細に説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一の実施形態)
図1(a)は本実施形態にかかる液体ボトルの計量注ぎ口1000を説明する概要図であり、図1(b)は図1(a)に示す液体ボトルの計量注ぎ口1000のA-A´断面を説明する断面図である。図1(a)に示すように、液体ボトルの計量注ぎ口1000は、液体が収容されるボトル本体1100の上方に装着される注ぎ口であって、最上面には埃や塵の侵入や付着を防ぎ暴露を防止するキャップ1500が設けられている。
【0021】
図1(a)においては、ボトル本体1100に対して液体ボトルの計量注ぎ口1000がネジ切りで脱着可能に装着される例を示しているが、ボトル本体1100と一体不可分に連続的に形成されるものとしても良い。また、キャップ1500は、液体ボトルの計量注ぎ口1000と一体不可分に形成されても良いし、液体ボトルの計量注ぎ口1000から分離取り外し可能に構成されていても良い。
【0022】
また、図1(a)に示すように、液体ボトルの計量注ぎ口1000は、片手でボトル本体1100を把持した場合にちょうど人差し指が当たる位置に、押圧止液栓部1200が設けられている。押圧止液栓部1200を押圧した場合には、押圧止液栓部1200の内壁が内側へ突出し、すなわち押圧力が加わる外壁側から見ると内側へ凹むことになり、狭い流路部1350を閉塞することができる。このため、押圧止液栓部1200はシリコンやエラストマー等の弾力性のある弾性体や可撓性の部材で構成されることが好ましい。
【0023】
また、狭い流路部1350は、押圧止液栓部1200への押圧力の印加に起因する当該箇所の内側への凹撓みによって閉塞可能な程度に狭く形成されていれば良く、このため図1(b)に示すようにA-A´断面において狭い流路部1350の周囲は液体が移動できないように、液体ボトルの計量注ぎ口1000を構成する材料1300等によって閉じられている。そして、図1(b)から理解できるようにA-A´断面においては、狭い流路部1350が円乃至楕円形の流路を呈していることが好ましい。これによって、押圧止液栓部1200への押圧力の印加による狭い流路部1350の閉塞特性が良好になるとともに、狭い流路部1350を閉塞しない場合の液体の移動もスムースに維持されることとできる。
【0024】
また、液体ボトルの計量注ぎ口1000は、狭い流路部1350の下流側(注ぎ出し側)に、大匙一杯や小匙一杯等の所定の液体量を計量可能な計量部1400を備えている。図1(a)において、計量部1400は滑らかな曲線を呈する内面を有するお椀状に構成されており、ボトルを傾けてボトル本体1100に収容される液体を狭い流路部1350を通過させて計量部1400に一時保持させることで不図示の目盛等で計量できるものとなる。
【0025】
計量が完了した場合には、押圧止液栓部1200を軽く押圧して狭い流路部1350を閉塞させて、計量済み液体をボトル本体1100に収容される液体から分離独立させた状態で、キャップ栓1500を開栓して計量した所望量の液体のみを注ぎ出すことができる。なお、図1(a)においては、狭い流路部1350を形成するための材料1300の側面視形状を滑らかな凸状に破線で示しているが、これに限定されるものではない。押圧止液栓部1200に対応する箇所で断面視楕円状等の狭い流路部1350を形成するように、狭い流路部1350の周辺の液体の流れが滑らかにスムースとなるようにボトル本体1100と計量部1400との間の液体流路を構成することが好ましい。
【0026】
図2は本実施形態の液体ボトルの計量注ぎ口1000を用いて計量した液体を注ぎ出す説明をしている図であり、図2(a)がボトル本体1100から計量部1400へ液体を移動させる状態を説明する図であり、図2(b)が計量部1400で計量するとともに押圧止液栓部1200を軽く押圧して狭い流路部1350を閉塞させて、計量にかかる液体とボトル本体1100に残留する液体とを分離する状態を説明する図であり、図2(c)が計量部1400で計量された液体を注ぎ出し口1550から注ぎ出す状態を説明する図である。
【0027】
図2(a)に示すように、ボトル本体1100に収容される液体の一部を、ボトルを横に傾けることによって、狭い流路部1350を通過させて計量部1400へ所望量だけ移動させる。この場合には、押圧止液栓部1200を押圧しないので狭い流路部1350は開通されていることから、液体はスムースかつ迅速な移動が可能である。
【0028】
計量部1400には不図示の計量用目盛が設けてあり、かつ計量部1400内の液体量を目視できるように(典型的には計量用目盛と液面レベルとの比較を目視できるように)、少なくともその一部が、例えば窓状に、透明または半透明に形成されている。目盛と液面との比較によって希望の所定量(例えば大匙一杯等)だけを計量部1400に移動できた場合には、図2(b)に示すように押圧止液栓部1200を押圧して狭い流路部1350を閉塞する。これにより、計量された液体は、ボトル本体に残留する液体と空間的に完全に分離独立されることとなって、互いに移動流通が不可能となる。
【0029】
その後、図2(c)に示すように、キャップ栓1500を空けて計量部1400に一時保留された計量済み液体を注ぎ出し口1550から注ぎ出す。この場合でも、押圧止液栓部1200が引き続き押圧されており狭い流路部1350が閉塞されている状態が保たれているので、ボトル本体1100に残留する未計量分の液体が注ぎ出されることはない。従って、大匙一杯や小匙一杯等々任意の所望の液体分のみを計量してそのまま注ぎ出すことが可能な液体ボトルの計量注ぎ口1000を実現できるものとなる。また、計量を必要とせず、あるいは計量部1400では計量不可能な量を注ぎ出したい場合等には、押圧止液栓部1200を押圧することなく狭い流路部1350を開通させた状態ままで、計量部1400を利用することなくスルーさせて、注ぎ出し口1550からボトル本体1100内の液体を注ぎ出すことも可能である。すなわち、計量部1400を備えながらも、計量したい場合と計量しない場合とのいずれに対しても、スムースかつ迅速に簡単な通常動作で対応可能なものとできる。
【0030】
また、図3はボトル本体1100の傾き具合に応じて複数位置の目盛1410,1420,1430を設ける場合について説明している図であり、図3(a)がボトル本体1100を水平に保っている傾き状態において所定量(例えば大匙1杯)を計量部1400で計量可能な目盛1410の位置を示す図であり、図3(b)がボトル本体1100を斜め45度に保っている傾き状態において所定量(例えば大匙1杯)を計量部1400で計量可能な目盛1420の位置を示す図であり、図3(c)がボトル本体1100を斜め60度に保っている傾き状態において所定量(例えば大匙1杯)を計量部1400で計量可能な目盛1430の位置を示す図である。
【0031】
ボトル本体1100内の液体を計量部1400に移動させる場合に、液体の残留量に依存して狭い流路部1350を通過させる場合のボトルの傾け程度が異なってくるものと考えられる。このため、計量部1400に液体を移動させ得る傾け程度において、計量が可能となるような目盛の位置とする事が好ましい。図3に典型例として示す3種類の傾け程度に対応した各目盛1410,1420,1430は、液体の残量の程度に応じてその残量が少なくなって行く過程においても適宜に正確な計量を可能とするものであるから好ましい。なお、図3においては各目盛1410,1420,1430を一つずつ目安として図示しているが、各一対の目盛としても良く、さらに多くの目盛を設けていても良く任意である。
【0032】
図5は、第一の実施形態にかかる液体ボトルの計量注ぎ口1000から液体を注ぎ出す場合の動作について順次に説明するフロー図である。
【0033】
(ステップS510)
まず、計量部1400で計量可能な所定量の計量をしてから注ぎ出すのか、または計量部1400で計量をする事無く所望量を注ぎ出したいのか、を自ら判断する。計量部1400で計量可能な所定量の計量をしてから注ぎ出す場合にはステップS520へと進み、計量部1400で計量をする事無く所望量を注ぎ出したい場合にはステップS560へと進む。
【0034】
(ステップS520)
ボトルを片手で持ち上げて傾けることで、計量部1400に液体を所望量だけ移動させることができ、傾け角度を調整したり複数回傾けることで、計量部1400に保持される液体量を増減調整可能である。これにより、計量部1400に設けられる目盛を目安として、所定量(例えば大匙一杯等)を計量部1400に移動させ計量保持するものとする。液体と接触するボトル本体1100の内壁面及び計量注ぎ口1000の内壁面が段差や鋭角や隅・角が存在しないように滑らかに構成されていること、さらに好ましくは撥水特性を有する内表面に構成されていることにより、この場合の液体の移動がよどむことなくスムースにできるので好ましい。
【0035】
(ステップS530)
計量部1400にて所定量の液体が計量できた場合にはステップS540へと進み、まだ計量途中である場合にはステップS520へと戻る。
【0036】
(ステップS540)
押圧止液栓部1200を人差し指で押圧して計量部1400とボトル本体との液体の流通を遮断する。これにより、計量部1400で計量された所定量の液体は、その後不本意に増減する事無く計量部1400に保持されてその後の注ぎ出し対象液体とすることができる。
【0037】
(ステップS550)
現実に計量済み液体を注ぎ出す場合には、キャップ栓1500を空けて、押圧止液栓部1200を人差し指で押圧した状態のまま、すなわち計量部1400とボトル本体との液体の流通を遮断状態に維持したまま、ボトルを傾けて液体を注ぎ出せば良い。
【0038】
(ステップS560)
この場合には、キャップ栓1500を空けてボトルを斜めにしてそのまま普通に任意量だけ注ぎ出すことが可能である。
【0039】
(第二の実施形態)
図4は、液体ボトルの計量注ぎ口1000(2)が装着されているボトル本体1100(2)が第一の実施形態とは異なる形状である場合について説明する図である。図4においては、ボトルの形状が異なることを除いて計量注ぎ口1000それ自体は第一の実施形態(典型的には図1乃至図3)で示す態様と同じであるので、それぞれ態様する符号を付して重複した
【0040】
第二の実施形態においては、ボトル本体1100(2)の外側面と液体ボトルの計量注ぎ口1000(2)の外側面とが段差無く面一に構成されており、その面一となる稜線上に押圧止液栓部1200(2)が配置されている。このため、片手でボトル本体1100(2)を把持しつつ押圧止液栓部1200(2)を押圧し、また押圧状態を保持する動作がさらに容易となるので好ましい。なお、ボトル本体1100(2)の外側面と液体ボトルの計量注ぎ口1000(2)の外側面とが、段差無く完全に面一に構成されているものでは無くても良く、その稜線上付近に押圧止液栓部1200(2)が、ボトルを保持する手の人差し指で容易に届く程度に、配置されていれば良い。
【0041】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、収容された液体から所定量を注ぎ出すことが可能な液体ボトルの計量注ぎ口であって、収容された液体の注ぎ出し時の流路上に設けられた狭い流路部と、狭い流路部に対応して設けられ、外側面からの押圧力の有無によって狭い流路部を閉塞開通自在に構成された押圧止液栓部と、狭い流路部の下流側に設けられた、所定量を計量するための凹状の計量部と、計量部の下流側に設けられ、液体の注ぎ出し口を封鎖するキャップ栓と、を備えることを特徴とする。
【0042】
これにより、計量部で液体を所定量だけ計量したい場合には、ボトル本体内部に収容されている液体を傾けて狭い流路部を通過させて計量部に導入させる一方、計量が完了した場合には押圧止液栓部を押圧して狭い流路部を閉塞させることで、計量部とボトル本体内部との間を分離遮断することが可能となる。このため、計量済みの液体がボトル本体内部に収容される液体と混ざることなく、計量後にそのまま外部へ注ぎ出すことが可能となる。また、ボトル本体内部に収容されている液体は、狭い流路部と計量部とを通過させてそのまま外部へ注ぎ出すことも可能であり、その場合には押圧止液栓部を押圧する事無く狭い流路部を連通させて開放しておけば良い。所定量の計量とは、例えば大匙一杯とか小匙一杯とかの計量とすることができる。また、押圧止液栓部の素材は、シリコンやエラストマー等の弾性体を用いることもできるし、その他の可撓性材料を用いることも可能である。
【0043】
また、液体の流通を止める機構としては、押圧により内部に凸状に押し出された押圧止液栓部の内面が、狭い流路の頂上部と接触して当接することで、液体の流通を阻止するものとしても良いし、いわゆる用水路等に設けられる水門のようにゲートを利用して開閉する仕組みとしても良い。この場合に、ゲートは、自然状態で押圧止液栓部内に収納しておいても良いし、自然状態で狭い流路部を形成する周辺部位内部に収納しておくものとし、押圧止液栓部が押圧された場合にゲートで狭い流路部を閉塞するように構成しても良い。本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、ボトル本体に分離不可能に一体不可分に形成される態様、すなわちボトル本体から注ぎ出し側への長尺首部分に本発明の計量機能を持たせる態様、としても良いし、図1等に示すようにボトル本体からはネジ回転等によって脱着自在な態様として形成しても良い。
【0044】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、好ましくは押圧止液栓部が自然状態で押圧されていないことにより狭い流路部が開通されている状態で、収容された液体が狭い流路部を経由して計量部に一時蓄積されて計量されることを特徴とする。
【0045】
これにより、計量時には押圧止液栓部を押圧することなくボトル本体を傾けるだけで本体内部に収容された液体が計量部へと移動して所定量だけ計量することが可能となるので、片手での簡単な動作も可能となる。
【0046】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは計量部に一時蓄積されて計量された液体は、押圧止液栓部が押圧されて狭い流路部が閉塞されている状態かつキャップ栓が開放された状態で、注ぎ出されることを特徴とする。
【0047】
これにより、狭い流路部が閉塞されている状態では、計量が完了した計量部内の液体が本体内部に収容された液体と分離されて、当該計量完了後の液体のみを注ぎ出すことが可能となる。この場合には、当然ではあるがキャップ栓を開放しておくことが前提となる。キャップ栓は、埃やゴミの付着や侵入を防止するとともに、予期せぬ不本意な液体の漏洩等を防止することにも有効である。
【0048】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは押圧止液栓部を押圧しない場合には狭い流路部が開通されて、収容された液体が、狭い流路部をスムースに通過して、計量注ぎ口の計量にかかる所定量に拘わらず、任意の量だけ液体を注ぎ出すことが可能であることを特徴とする。
【0049】
これにより、計量を望まないような場合であって例えば所定量よりも多いコップ一杯の量を注ぎ出したい場合等には、押圧止液栓部と計量部とを機能させることなく単に通過させて、ボトル本体に収容された液体を注ぎ出すことも可能となる。従来、注ぎ口周辺やキャップ等に計量機能を付加した場合には、注ぎ出す場合には必ず計量されることになってしまい計量をしない選択肢は存在しなかったが、本提案にかかる液体ボトルの計量注ぎ口においては、計量を希望しない場合においても対応可能である。これにより、例えばお酒や天然水等ある程度の多量注ぎ出しが必要とされる液体や場合でも、利用者の希望に応じて柔軟に対応可能となる。
【0050】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは押圧止液栓部と狭い流路部と凹状の計量部とを含む収容された液体が接触する内側面は、角張る事無く滑らかな曲線で構成されることを特徴とする。これにより、例えば醤油等の乾燥による固形物の付着等が懸念される液体であっても、隅や角が存在しないことから、固形物として付着することを防止でき、スムースな液体移動が維持可能となる。また、隅や角が存在しないのみならず、さらに好ましくは例えばシリコン樹脂やフッ素樹脂等の液体を弾く(例えば撥水性の)特性を有する内側面とすることで、乾燥した液体の固形物が付着することをより確実に防止可能となるので好ましい。このため、液体と接触する内面には撥水コーティング層を設けても良いし、また、液体が接触する内面部位には特に鋭角の隅や角を設けないことで、当該鋭角隅・角に表面張力等によって残留した醤油等の液体が、固形化したりこびりついてしまったり析出物等が沈着する事を回避できる。
【0051】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは計量部での液体の計量状態を視認可能なように、少なくとも一部が透明であることを特徴とする。少なくとも計量状態が視認できる程度であれば良く全てがシースルーである必要は無く、また半透明であっても良い。これにより、確認しながらより正確に計量を行えるものとなるので好ましい。
【0052】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ口は、さらに好ましくは計量部が、液体ボトルの複数の傾き角度に対応して、所定量の蓄積位置を示す目印を複数備えることを特徴とする。ボトル本体に収容される液体の残量程度に依存して、液体を計量部に移動させて計量しようとする場合のボトルの傾き角度の程度が異なることが想定される。
【0053】
このため、液体を計量部に移動させる場合のボトルの傾き程度(例えば3段階程度)に対応して、計量部に3段階に対応する計量目印(マーカー)をそれぞれ設けることが好ましい。例えば水平にボトルを傾けた場合と、水平より大きく傾けた場合と、水平より小さく傾けた場合と、の3段階においてそれぞれその傾き状態において計量部で計量可能なように目印を設けておくことが好ましい。
【0054】
本発明の液体ボトルの計量注ぎ出し方法は、上述した計量注ぎ口を用いて例えば図5に示すような手順に基づいて、所定の計量済み液体または任意量の液体を注ぎ出すことが可能である。
【0055】
上述の説明による液体ボトルの計量注ぎ口等は、実施形態での説明に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内かつ当業者に自明な範囲内で適宜構成や構造・素材・方法を変更したり、アレンジすることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、特にペットボトルや瓶ボトル・缶ボトル等であって、お酒やドリンク・各種調味料や計量が必要とされる液体が収容された液体ボトルの計量注ぎ口や液体ボトルの計量注ぎ出し方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1000・・液体ボトルの計量注ぎ口、1100・・ボトル本体、1200・・押圧止液栓部、1300・・液体ボトルの計量注ぎ口を構成する材料、1350・・狭い流路部、1400・・計量部、1500・・キャップ栓。
図1
図2
図3
図4
図5