(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153992
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20221005BHJP
B60N 2/75 20180101ALI20221005BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60R16/02 630J
B60N2/75
B60J5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056798
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
(72)【発明者】
【氏名】成田 一真
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】 操作位置を一定させた車両の操作装置を提供する。
【解決手段】 操作装置は、車両に搭載され、乗員の腕を載置する上面、前面、乗員側を向く側面、及び下面を備えた板状の本体部を有するアームレストと、側面の前端部に設けられ、少なくとも1つの車載装置を操作するための乗員による操作を受け付けるための操作入力部と、下面の前端部に設けられ、乗員の手指を検出するための第1センサと、操作入力部、第1センサ及び車載装置に接続された制御装置とを有し、制御装置は、第1センサが乗員を検出している場合に操作入力部からの信号に基づいて車載装置を制御し、第1センサが乗員を検出していない場合に操作入力部からの信号に基づく車載装置の制御を禁止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操作装置であって、
前記車両に搭載され、乗員の腕を載置する上面、前面、前記乗員側を向く側面、及び下面を備えた板状の本体部を有するアームレストと、
前記側面の前端部に設けられ、少なくとも1つの車載装置を操作するための前記乗員による操作を受け付けるための操作入力部と、
前記下面の前端部に設けられ、前記乗員の手指を検出するための第1センサと、
前記操作入力部、前記第1センサ及び前記車載装置に接続された制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記第1センサが乗員を検出している場合に前記操作入力部からの信号に基づいて前記車載装置を制御し、前記第1センサが乗員を検出していない場合に前記操作入力部からの信号に基づく前記車載装置の制御を禁止する操作装置。
【請求項2】
前記下面の前記乗員側には下方に突出して前記側面を下方に拡張する延長壁が設けられている請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作入力部の前端は前記第1センサの後端より前方に配置され、かつ前記操作入力部の後端は前記第1センサの前端より後方に配置されている請求項1又は請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記下面には上方に向けて凹む凹部が設けられ、前記凹部に前記第1センサが設けられている請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記前面に前記乗員の手指を検出するための第2センサが設けられ、
前記制御装置は、前記第1センサ及び前記第2センサの両方が乗員を検出している場合に前記操作入力部からの信号に基づいて前記車載装置を制御し、前記第1センサ及び前記第2センサの少なくとも一方が乗員を検出していない場合に前記操作入力部からの信号に基づく前記車載装置の制御を禁止する請求項1~請求項4のいずれか1つの項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記アームレストの前部は、他の部分に対して上下方向における厚みが薄い請求項1~請求項5のいずれか1つの項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記アームレストの下面の前部は、他の部分に対して上方にオフセットし、前記アームレストの前部は他の部分に対して上下方向における厚みが薄い請求項1~請求項5のいずれか1つの項に記載の操作装置。
【請求項8】
前記アームレストは、前記車両のドアに設けられている請求項1~請求項7のいずれか1つの項に記載の操作装置。
【請求項9】
前記アームレストは、前記車両のシートに設けられている請求項1~請求項7のいずれか1つの項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアに、車載装置を操作するための操作スイッチ(例えば、タッチセンサなど)を備えた操作装置を設けたものが公知である(例えば、特許文献1)。この操作装置は、操作スイッチの誤操作を防止するために、アームレストの把持部を構成する凹部内に設けられ、乗員の手指を検出する第1センサと、把持部の本体部側面に設けられ、乗員の手指を検出する第2センサとを有する。車両用ドアの制御装置は、第1センサ及び第2センサが乗員の手指を検出した状態において、アームレストの車内側側面に設けられた操作スイッチが乗員に操作された場合に、車載装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチセンサは、例えば静電容量センサ等によって構成され、平面状に形成されることがある。この場合、乗員が操作すべき位置を認識し難いという問題がある。また、操作位置がずれた場合、誤った操作入力が検出される虞がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、操作装置において、操作位置を一定させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、前記車両に搭載され、乗員の腕を載置する上面、前面、前記乗員側を向く側面、及び下面を備えた板状の本体部を有するアームレストと、前記側面の前端部に設けられ、少なくとも1つの車載装置を操作するための前記乗員による操作を受け付けるための操作入力部と、前記下面の前端部に設けられ、前記乗員の手指を検出するための第1センサと、前記操作入力部、前記第1センサ及び前記車載装置に接続された制御装置とを有し、前記制御装置は、前記第1センサが乗員を検出している場合に前記操作入力部からの信号に基づいて前記車載装置を制御し、前記第1センサが乗員を検出していない場合に前記操作入力部からの信号に基づく前記車載装置の制御を禁止する車両の操作装置を提供する。
【0007】
この態様によれば、乗員は第1センサに手指を検出させた状態で操作入力を行うことができる。これにより、操作装置において、操作位置を一定させることができる。また、第1センサからの検出信号に基づいて乗員の手指の位置を比較的精度良く把握することができる。これにより、操作入力部への入力が乗員の意図によるものか、意図しない接触によるものかを判別することができる。よって、入力が乗員の意図によるものであるときにのみ車載装置を制御することができる。
【0008】
上記の態様において、前記下面の前記乗員側には下方に突出して前記側面を下方に拡張する延長壁が設けられているとよい。
【0009】
この態様によれば、側面が拡張される。これにより、操作入力部を大きくすることができる。よって、乗員が操作入力部を操作し易くなる。更に、乗員は、意図していないときには第1センサに触れ難くなる。よって、乗員による誤操作を確実に防止することができる。
【0010】
上記の態様において、前記操作入力部の前端は前記第1センサの後端より前方に配置され、かつ前記操作入力部の後端は前記第1センサの前端より後方に配置されているとよい。
【0011】
この態様によれば、操作入力部と第1センサとは、前後方向において少なくとも部分的に整合する位置に設けられる。よって、乗員は、第1センサに第2~4指を触れさせた状態で、操作入力部を第1指によって操作し易い。
【0012】
上記の態様において、前記下面には上方に向けて凹む凹部が設けられ、前記凹部に前記第1センサが設けられているとよい。
【0013】
この態様によれば、乗員の手指が凹部に沿って配置され、第1センサに接触し易くなる。よって、第1センサは乗員の指を適切に検出することができる。更に、乗員は、意図していないときには第1センサに触れ難くなる。よって、乗員による誤操作を確実に防止することができる。
【0014】
上記の態様において、前面に前記乗員の手指を検出するための第2センサが設けられ、制御装置は、前記第1センサ及び前記第2センサの両方が乗員を検出している場合に前記操作入力部からの信号に基づいて前記車載装置を制御し、前記第1センサ及び前記第2センサの少なくとも一方が乗員を検出していない場合に前記操作入力部からの信号に基づく前記車載装置の制御を禁止するとよい。
【0015】
この態様によれば、乗員が操作入力部を操作するためには、アームレストを所定の把持態様で把持し、第1センサ及び第2センサの両方に手指を検出させる必要がある。これにより、乗員が操作入力部に意図せず接触しても車載装置は操作されない。すなわち、乗員による誤操作を確実に防止することができる。
【0016】
上記の態様において、前記アームレストの前部は、他の部分に対して上下方向における厚みが薄いとよい。
【0017】
この態様によれば、乗員がアームレストの前部を把持し易い。更に、乗員によって把持されないアームレストの後部の上下方向の厚みを厚くすることができる。よって、アームレストの剛性を高めることができる。
【0018】
上記の態様において、前記アームレストの下面の前部は、他の部分に対して上方にオフセットし、前記アームレストの前部は他の部分に対して上下方向における厚みが薄いとよい。
【0019】
この態様によれば、乗員がアームレストの前部を把持し易い。更に、乗員によって把持されないアームレストの後部の上下方向の厚みを厚くすることができる。よって、アームレストの剛性を高めることができる。
【0020】
上記の態様において、前記アームレストは、前記車両のドアに設けられているとよい。
【0021】
この態様によれば、操作位置を一定させた操作装置を備えたドアを提供することができる。
【0022】
上記の態様において、前記アームレストは、前記車両のシートに設けられているとよい。
【0023】
この態様によれば、操作位置を一定させた操作装置を備えたシートを提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様は、前記車両に搭載され、乗員の腕を載置する上面、前面、前記乗員側を向く側面、及び下面を備えた板状の本体部を有するアームレストと、前記側面の前端部に設けられ、少なくとも1つの車載装置を操作するための前記乗員による操作を受け付けるための操作入力部と、前記下面の前端部に設けられ、前記乗員の手指を検出するための第1センサと、前記操作入力部、前記第1センサ及び前記車載装置に接続された制御装置とを有し、前記制御装置は、前記第1センサが乗員を検出している場合に前記操作入力部からの信号に基づいて前記車載装置を制御し、前記第1センサが乗員を検出していない場合に前記操作入力部からの信号に基づく前記車載装置の制御を禁止する車両の操作装置を提供する。
【0025】
この態様によれば、乗員は第1センサに手指を検出させた状態で操作入力を行うことができる。これにより、操作装置において、操作位置を一定させることができる。また、第1センサからの検出信号に基づいて乗員の手指の位置を比較的精度良く把握することができる。これにより、操作入力部への入力が乗員の意図によるものか、意図しない接触によるものかを判別することができる。よって、入力が乗員の意図によるものであるときにのみ車載装置を制御することができる。
【0026】
上記の態様において、前記下面の前記乗員側には下方に突出して前記側面を下方に拡張する延長壁が設けられているとよい。
【0027】
この態様によれば、側面が拡張される。これにより、操作入力部を大きくすることができる。よって、乗員が操作入力部を操作し易くなる。更に、乗員は、意図していないときには第1センサに触れ難くなる。よって、乗員による誤操作を確実に防止することができる。
【0028】
上記の態様において、前記操作入力部の前端は前記第1センサの後端より前方に配置され、かつ前記操作入力部の後端は前記第1センサの前端より後方に配置されているとよい。
【0029】
この態様によれば、操作入力部と第1センサとは、前後方向において少なくとも部分的に整合する位置に設けられる。よって、乗員は、第1センサに第2~4指を触れさせた状態で、操作入力部を第1指によって操作し易い。
【0030】
上記の態様において、前記下面には上方に向けて凹む凹部が設けられ、前記凹部に前記第1センサが設けられているとよい。
【0031】
この態様によれば、乗員の手指が凹部に沿って配置され、第1センサに接触し易くなる。よって、第1センサは乗員の指を適切に検出することができる。更に、乗員は、意図していないときには第1センサに触れ難くなる。よって、乗員による誤操作を確実に防止することができる。
【0032】
上記の態様において、前面に前記乗員の手指を検出するための第2センサが設けられ、制御装置は、前記第1センサ及び前記第2センサの両方が乗員を検出している場合に前記操作入力部からの信号に基づいて前記車載装置を制御し、前記第1センサ及び前記第2センサの少なくとも一方が乗員を検出していない場合に前記操作入力部からの信号に基づく前記車載装置の制御を禁止するとよい。
【0033】
この態様によれば、乗員が操作入力部を操作するためには、アームレストを所定の把持態様で把持し、第1センサ及び第2センサの両方に手指を検出させる必要がある。これにより、乗員が操作入力部に意図せず接触しても車載装置は操作されない。すなわち、乗員による誤操作を確実に防止することができる。
【0034】
上記の態様において、前記アームレストの前部は、他の部分に対して上下方向における厚みが薄いとよい。
【0035】
この態様によれば、乗員がアームレストの前部を把持し易い。更に、乗員によって把持されないアームレストの後部の上下方向の厚みを厚くすることができる。よって、アームレストの剛性を高めることができる。
【0036】
上記の態様において、前記アームレストの下面の前部は、他の部分に対して上方にオフセットし、前記アームレストの前部は他の部分に対して上下方向における厚みが薄いとよい。
【0037】
この態様によれば、乗員がアームレストの前部を把持し易い。更に、乗員によって把持されないアームレストの後部の上下方向の厚みを厚くすることができる。よって、アームレストの剛性を高めることができる。
【0038】
上記の態様において、前記アームレストは、前記車両のドアに設けられているとよい。
【0039】
この態様によれば、操作位置を一定させた操作装置を備えたドアを提供することができる。
【0040】
上記の態様において、前記アームレストは、前記車両のシートに設けられているとよい。
【0041】
この態様によれば、操作位置を一定させた操作装置を備えたシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】第1実施形態に係る操作装置を設けた車両用ドアの側面図
【
図5】第1実施形態に係る操作装置の操作入力部を操作するときの乗員の手指の位置を示す説明図
【
図6】第2実施形態に係る操作装置を設けた車両用シートの斜視図
【
図9】第2実施形態に係る操作装置の操作入力部を操作するときの乗員の手指の位置を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して、本発明に係る操作装置の実施形態を説明する。
【0044】
図1に示すように、第1実施形態に係る車両用ドア1は、骨格部材としてのドアパネル2と、ドアパネル2の車内側面を覆うように設けられたドアトリム3とを有する。ドアパネル2は、鋼板から形成されたインナパネル及びアウタパネルを有する。インナパネル及びアウタパネルは、上縁を除く、前縁、下縁、及び後縁においてアウタパネルに結合され、中央部に空間を形成している。
【0045】
ドアトリム3は、樹脂材料から形成されている。ドアトリム3は、面が左右を向き、ドアパネル2の車内側に配置されたトリム本体部3Aと、トリム本体部3Aの周縁からドアパネル2側に突出し、ドアパネル2の車内側面における縁部に当接するトリム縁壁部3Bとを有する。トリム縁壁部3Bは、トリム本体部3Aの周縁に沿って延びている。
【0046】
トリム本体部3Aの上部には、ドアを開閉するためのドアハンドル11が設けられている。トリム本体部3Aの前下部には、スピーカ12が設けられてもよい。また、トリム本体部3Aの下部においてスピーカ12の後方に位置する部分には、車内側に膨出したポケット部が設けられてもよい。
【0047】
トリム本体部3Aの車内側面の上下方向における中間部には、操作装置20が設けられている。操作装置20は、少なくとも1つの車載装置21を操作するために、乗員による入力操作を受け付ける装置である。
図3に示すように、車載装置21は、例えば、パワーウインドウ装置22、電動シート装置23、カーナビゲーション装置24、オーディオ装置25、空調装置26等を含む。
【0048】
電動シート装置23は、例えば、車体に対してシートを前後方向に移動させる前後調節機構23Aと、車体に対するシートの高さを変更する高さ調節機構23Bと、シートクッションに対するシートバックの角度を変化させるリクライニング機構23Cと、シートに設けられたヒータの温度を変化させるシートヒータ23Dとの少なくとも1つを含むとよい。前後調節機構23A、高さ調節機構23B、及びリクライニング機構23Cのそれぞれは、電動モータを含み、電動モータによって駆動される。シートヒータ23Dは、電熱線を含み、供給される電流に応じて温度を変化させる。
【0049】
図1及び
図2に示すように、操作装置20は、外殻をなし板状に形成された本体部31を有する。本体部31は、樹脂材料によって形成されている。本体部31は、トリム本体部3Aの車内側面の上下方向における中央部に取り付けられ、前後に延びている。本体部31は、トリム本体部3Aにねじ等によって結合されているとよい。また、本体部31は、トリム本体部3Aと一体に形成されてもよい。
【0050】
操作装置20の本体部31は、トリム本体部3Aに対して車内側に突出し、その上部に上方を向く上面32と、上面32の突出端から下方に延び乗員側を向く側面33と、上面32に対して反対側の下面34と、上面32の前端と下面34の前端とを接続する前面35とを有する。上面32は乗員の前腕部を支持することができる。前面35には乗員の手指を前方から引っ掛けることができる。本体部31は、アームレスト37の少なくとも一部として機能する。
【0051】
図2及び
図4に示すように、操作装置20の本体部31の下面34の乗員側には、下方に突出して側面33を下方に拡張する延長壁39が設けられている。本体部31の下面34の前端部には、下面34から上方に向けて凹んだ凹部41が設けられている。凹部41の上部は、上壁部42によって画定されている。凹部41は必須の構成ではなく、他の実施形態では省略してもよい。上壁部42の最も上側には、乗員の手指を検出するための第1センサ45が設けられている。本体部31の前面35には乗員の手指を検出するための第2センサ46が設けられている。第1センサ45及び第2センサ46は、乗員の手指の接触、又は接近を検出可能なセンサであり、例えば静電容量センサ、圧電センサ、メンブレンスイッチ、赤外線ビームスイッチ等であってよい。
【0052】
第1センサ45の表面が上壁部42の表面と面一となるように、第1センサ45は上壁部42に埋没されているとよい。第2センサ46の表面が前面35の表面と面一となるように、第2センサ46は前面35に埋没されているとよい。第2センサ46の乗員側の端部は第1センサ45の乗員側の端部よりも乗員側に配置され、かつ第2センサ46の車外側(すなわち、乗員側と反対側)の端部は第1センサ45の車外側の端部よりも車外側に配置されている。
【0053】
側面33の前端部には、操作入力部48が設けられている。操作入力部48は、少なくとも1つの車載装置21(
図3参照)を操作するために、乗員による操作を受け付ける。操作入力部48は、乗員の指によって操作されるスイッチであり、例えば静電容量センサ、圧電センサ、メンブレンスイッチ等によって形成されている。本実施形態では、操作入力部48は、静電容量型のタッチセンサであり、乗員の指によるタッチ操作を受け付ける。
【0054】
操作入力部48の前端は第1センサ45の後端より前方に配置され、かつ操作入力部48の後端は第1センサ45の前端より後方に配置されている。すなわち、操作入力部48と第1センサ45とは、前後方向において少なくとも部分的に整合する位置に設けられる。
図5に示すように、操作入力部48は乗員が本体部31の前端部を手のひら及び第2~第5指で把持した状態において、乗員が第1指で操作可能な位置に配置されていることが好ましい。
【0055】
図2に示すように、操作入力部48は、平面状に形成された複数のタッチセンサ48A、48B、48C、48Dを含む。各タッチセンサ48A、48B、48C、48Dの表面が側面33の表面と面一となるように、各タッチセンサ48A、48B、48C、48Dは側面33に埋没されているとよい。
【0056】
図3に示すように、第1センサ45、第2センサ46、操作入力部48及び車載装置21は、制御装置55に接続されている。制御装置55は、CPU等のハードウェアプロセッサを含む電子制御装置である。制御装置55は、本体部31の内部に配置されている。他の実施形態では、制御装置55は、ドアパネル2とドアトリム3(
図1参照)との間に配置されてもよく、車体に設けられてもよい。
【0057】
制御装置55は、操作入力部48からの信号に基づいて、複数の車載装置21の内から操作すべき車載装置21を選択する。制御装置55は、同種の車載装置21が複数存在する場合、その内の1つを選択できるように構成されているとよい。例えば、電動シート装置23が前右席及び前左席に設けられている場合、制御装置55は前右席の電動シート装置23及び前左席の電動シート装置23を独立して選択できるように構成されている。
【0058】
制御装置55は、第1センサ45からの信号に基づいて第1センサ45に乗員の手指が接触しているか、或いは第1センサ45の付近に乗員の手指が存在するか否かを検出する。また、制御装置55は、第2センサ46からの信号に基づいて第2センサ46に乗員の手指が接触しているか、或いは第2センサ46の付近に乗員の手指が存在するか否かを検出する。制御装置55は、第1センサ45及び第2センサ46の両方が乗員を検出している場合に、操作入力部48からの信号に基づいて、選択されている車載装置21を制御する。すなわち、第1センサ45からの信号に基づいて乗員の手指を検出し、かつ第2センサ46からの信号に基づいて乗員の手指を検出している場合に、操作入力部48からの信号に基づいて、選択されている車載装置21を制御する。一方、制御装置55は、第1センサ45及び第2センサ46の少なくとも一方が乗員を検出していない場合に操作入力部48からの信号に基づく車載装置21の制御を禁止する。すなわち、制御装置55は、第1センサ45からの信号に基づいて乗員の手指が検出されていない場合、及び第2センサ46からの信号に基づいて乗員の手指を検出されていない場合の少なくとも一方である場合に、操作入力部48からの信号に基づく車載装置21の制御を禁止する。
【0059】
本実施形態では、操作入力部48は、乗員によるタッチ操作を受け付ける。制御装置55は、操作入力部48からの信号に基づいて各タッチセンサ48A、48B、48C、48D(
図2参照)が操作されたことを検出する。制御装置55は、操作入力部48からの信号に基づいて、対応する車載装置21を制御する。
【0060】
制御装置55は、例えば前右席の電動シート装置23の前後調節機構23Aに対応するタッチセンサ48A(
図2参照)が操作された場合において、操作入力部48からの信号に基づいて、タッチ操作を検出した場合に、前後調節機構23Aを制御して電動シート装置23を前方に移動させるとよい。制御装置55は、電動シート装置23の前方への移動量をタッチ操作の継続時間に基づいて決定するとよい。
【0061】
制御装置55は、例えば左前席の電動シート装置23の高さ調節機構23Bに対応するタッチセンサ48B(
図2参照)が操作された場合において、操作入力部48からの信号に基づいて、タッチ操作を検出した場合に、高さ調節機構23Bを制御して電動シート装置23の高さを高くするとよい。制御装置55は、電動シート装置23の高さをタッチ操作の継続時間に基づいて決定するとよい。
【0062】
操作入力部48に対する乗員の操作と、乗員の操作に対する車載装置21の制御態様は任意に設定してよい。複数の車載装置21から、乗員が各タッチセンサ48A、48B、48C、48D(
図2参照)によって操作可能な1つを選択するための選択入力部(図示せず)が操作入力部48に隣接して設けられていてもよい。
【0063】
本実施形態に係る操作装置20によれば、乗員は第1センサ45及び第2センサ46に手指を検出させた状態で操作入力を行うことができる。これにより、操作装置20において、操作位置を一定させることができる。また、第1センサ45及び第2センサ46からの検出信号に基づいて乗員の手指の位置を比較的精度良く把握することができる。これにより、操作入力部48への入力が乗員の意図によるものか、意図しない接触によるものかを判別することができる。よって、入力が乗員の意図によるものであるときにのみ車載装置21を制御することができる。更に、本体部31に第1センサ45、第2センサ46、操作入力部48を設けたため、操作装置20を比較的小型にユニット化することができる。これにより、車両への搭載が容易な操作装置20を提供することができる。
【0064】
第1センサ45及び第2センサ46は本体部31の互いに異なる面に設けられているため、第1センサ45及び第2センサ46からの検出信号に基づいて乗員の手指の位置を比較的精度良く把握することができる。これにより、操作入力部48への入力が乗員の意図によるものか、意図しない接触によるものかを精度良く判別することができる。
【0065】
乗員は操作入力部48を操作するためには、
図5に示すように、本体部31を所定の把持態様で把持し、第1センサ45及び第2センサ46の両方に手指を検出させる必要がある。これにより、乗員が本体部31をアームレスト37の一部として使用している場合に、乗員が操作入力部48に意図せず接触しても車載装置21は操作されない。これにより、乗員による誤操作を確実に防止することができる。
【0066】
本体部31の下面34の乗員側には下方に突出して側面33を下方に拡張する延長壁39が設けられているため、側面33に設けられる操作入力部48を、上下方向に大きくすることができる。よって、乗員が操作入力部48を操作し易くなる。更に、延長壁39は乗員側に設けられるため、乗員は意図していないときには第1センサ45に触れ難くなる。よって、乗員による誤操作を確実に防止することができる。
【0067】
操作入力部48の前端は第1センサ45の後端より前方に配置され、かつ操作入力部48の後端は第1センサ45の前端より後方に配置されているため、操作入力部48と第1センサ45とは、前後方向において少なくとも部分的に整合する位置に設けられる。よって、乗員は、第1センサ45に第2~4指を触れさせた状態で、操作入力部48を第1指によって操作し易い。
【0068】
本体部31の下面34には上方に向けて凹む凹部41が設けられ、凹部41の上部を画定する上壁部42に第1センサ45が設けられているため、乗員の手指が凹部41に沿って配置され、第1センサ45に接触し易くなる。よって、第1センサ45は乗員の指を適切に検出することができる。更に、乗員は、意図していないときには第1センサ45に触れ難くなる。よって、乗員による誤操作を確実に防止することができる。
【0069】
次に、第2実施形態に係る操作装置120について説明する。操作装置120の構成において、第1実施形態に係る操作装置20と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
図6及び
図7に示すように、第2実施形態に係る車両用シート101は、車両の運転席又は助手席として使用され、シートクッション102、シートバック103及びヘッドレスト104を有し、車室のフロアに固定されてレールカバー105に覆われた左右一対のスライドレール(図示せず)によって支持される。シートバック103の車幅方向の外側(すなわち、車外側)の端部には、操作装置120が設けられている。
【0071】
操作装置120は、外殻をなし板状に形成された本体部131を有する。本体部131は、樹脂材料によって形成されている。本体部131は、シートバック103の上下方向における中央部に取り付けられ、前後に延びている。本体部131は、シートバック103にねじ等によってヒンジ結合されているとよい。また、本体部131は、シートバック103と一体に形成されてもよい。
【0072】
操作装置120の本体部131は、シートバック103に対して前方に突出し、その上部に上方を向く上面32と、上面32の突出端から下方に延び乗員側を向く側面133と、上面32に対して反対側の下面134と、上面32の前端と下面134の前端とを接続する前面135とを有する。上面32は乗員の前腕部を支持することができ、本体部131はアームレスト137の少なくとも一部として機能する。
【0073】
本体部131の前部は、本体部131の他の部分に対して上下方向における厚みが薄い。本実施形態では、本体部131の下面134の前部は、本体部131の他の部分に対して上方にオフセットしている。
【0074】
図7及び
図8に示すように、本体部131の下面134の前端部には、第1センサ145が設けられている。凹部41(
図4参照)は省略されている。第1センサ145の表面が下面134の表面と面一となるように、第1センサ145は下面134に埋没されているとよい。
【0075】
本体部131の側面133には、操作入力部148が設けられている。
図9に示すように、操作入力部148は乗員が本体部131の前端部を手のひら及び第2~第5指で把持した状態において、乗員が第1指で操作可能な位置に配置されていることが好ましい。
【0076】
図7に示すように、操作入力部148は、平面状に形成された複数のタッチセンサ148A、148Bを含む。各タッチセンサ148A、148Bの表面が側面133の表面と面一となるように、各タッチセンサ148A、148Bは側面133に埋没されているとよい。
【0077】
本実施形態に係る操作装置120によれば、本体部131の下面134の前部は本体部131の他の部分に対して上方にオフセットし、本体部131の前部は本体部131の他の部分に対して上下方向における厚みが薄い。これにより、乗員が本体部131の前部を把持し易い。更に、乗員によって把持されない本体部131の後部の上下方向の厚みを厚くすることができる。よって、本体部131の剛性を高めることができる。
【0078】
上記実施形態では、操作入力部48、148はタッチセンサであったが、これに限定されない。例えば、操作入力部48、148は、スワイプ操作を受け付けるタッチパネルディスプレイであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 :ドア
20 :操作装置
21 :車載装置
31 :本体部
32 :上面
33 :側面
34 :下面
35 :前面
37 :アームレスト
39 :延長壁
41 :凹部
45 :第1センサ
46 :第2センサ
48 :操作入力部
55 :制御装置
101 :シート
105 :側面
106 :側面
120 :操作装置
131 :本体部
133 :側面
134 :下面
137 :アームレスト
145 :第1センサ
148 :操作入力部