(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153996
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】電動車両管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221005BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20221005BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06 350
G06Q30/06 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056802
(22)【出願日】2021-03-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】520416071
【氏名又は名称】Future株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【氏名又は名称】片寄 武彦
(72)【発明者】
【氏名】井原 慶子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
5L049BB68
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】交通のための決済に限定されることなく、サービス業も含めた幅広い決済に用いることが可能で、ユーザーの利便性が向上する電動車両管理システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る電動車両管理システムは、ユーザーに対する電動車両のシェアサービスの提供を行うための管理を行う電動車両管理システムであって、電動車両をシェアしたユーザーに対する費用を算出する電動車両費用算出部(ステップS1601)と、電動車両を利用してユーザーによって提供されたサービスに対する対価を算出するサービス対価算出部(ステップS1602)と、電動車両の利用に伴いユーザーが受けたサービスに対する費用を算出するサービス費用算出部(ステップS1603)と、前記電動車両費用算出部で算出された費用と、前記サービス対価算出部で算出された対価と、前記サービス費用算出部で算出された費用と、を併せて決裁する決裁部(ステップS1605)と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに対する電動車両のシェアサービスの提供を行うための管理を行う電動車両管理システムであって、
電動車両をシェアしたユーザーに対する費用を算出する電動車両費用算出部と、
電動車両を利用してユーザーによって提供されたサービスに対する対価を算出するサービス対価算出部と、
電動車両の利用に伴いユーザーが受けたサービスに対する費用を算出するサービス費用算出部と、
前記電動車両費用算出部で算出された費用と、前記サービス対価算出部で算出された対価と、前記サービス費用算出部で算出された費用と、を併せて決裁する決裁部と、を有することを特徴とする電動車両管理システム。
【請求項2】
電動車両をリロケートしたユーザーに対する対価を算出するリロケート対価算出部をさらに有し、
前記決裁部が、リロケート対価算出部で算出された対価も併せて決済することを特徴とする請求項1に記載の電動車両管理システム。
【請求項3】
前記サービスが、飲食業、小売業、宅配業、清掃業、警備業、金融・保険業、観光業、宿泊施設提供業、医療・福祉業のいずれかに属するもの又は行政サービスであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェア利用される電動車両を管理するために用いられる電動車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MaaS(Mobility as a Service)というキーワードが話題となる頻度が高い。その特徴は、個人所有の交通手段を用いずに、公共交通機関や、電動車両などのモビリティをシェアにより利用することで、シームレスな移動ができるようになること、そして、公共交通機関の利用やモビリティのシェアリングのための予約や支払いにICTを用いることで、ユーザーの利便性を大幅に高めることなどを挙げることができる。このようなMaaSによれば、都市部では、移動が効率化されることで交通渋滞や環境問題といった課題の解決に役立てることができる。また、地方では、交通弱者対策にもなり得る。
【0003】
Maasにおけるモビリティのシェアリングシステムとしては、例えば、特許文献1(特表2019-525719号公報)に、電動車両とドッキングステーションとからなり、ドッキングステーションには、電動車両をドッキングステーションに解除可能に固定するコネクタと、電動車両の補給を行う充電ユニットと、備えた電動車両のシェアリングシステムが開示されている。
【特許文献1】特表2019-525719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまで、例えば、特許文献1記載の電動車両のシェアリングの費用や、この電動車両のシェアリングとリンクさせた公共交通機関の利用の費用などを、トータル的にスマートフォン等を用いて決済する、ということは提案されていた。ところで、電動車両は移動の目的のみのために用いることに限定されるものではなく、移動が伴ったサービスの提供にも利用可能である。しかしながら、従来の概念では、電動車両のシェアリングの費用は、公共交通機関の利用の費用との組み合わせでの決済に限定されている、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するものであって、本発明に係る電動車両管理システムは、ユーザーに対する電動車両のシェアサービスの提供を行うための管理を行う電動車両管理システムであって、電動車両をシェアしたユーザーに対する費用を算出する電動車両費用算出部と、電動車両を利用してユーザーによって提供されたサービスに対する対価を算出するサービス対価算出部と、電動車両の利用に伴いユーザーが受けたサービスに対する費用を算出するサービス費用算出部と、前記電動車両費用算出部で算出された費用と、前記サービス対価算出部で算出された対価と、前記サービス費用算出部で算出された費用と、を併せて決裁する決裁部と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る電動車両管理システムは、電動車両をリロケートしたユーザーに対する対価を算出するリロケート対価算出部をさらに有し、前記決裁部が、リロケート対価算出部で算出された対価も併せて決済することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電動車両管理システムは、前記サービスが、飲食業、小売業、宅配業、清掃業、警備業、金融・保険業、観光業、宿泊施設提供業、医療・福祉業のいずれかに属するもの又は行政サービスであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電動車両管理システムは、電動車両をシェアしたユーザーに対する費用と、電動車両を利用してユーザーによって提供されたサービスに対する対価と、電動車両の利用に伴いユーザーが受けたサービスに対する費用とを併せて決裁する決裁部を有しているので、このような本発明に係る電動車両管理システムによれば、交通のための決済に限定されることなく、サービス業も含めた幅広い決済に用いることが可能となり、ユーザーの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1の概要を模式的に説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1で用いられるユーザーの情報処理端末装置の一例であるスマートフォン10のブロック図である。
【
図3】スマートフォン10のタッチパネル部30に表示される電動車両管理システム1の画面例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるアカウント作成・完了通知処理のフロー例を示す図である。
【
図5】アカウント作成時にユーザーデータベース110に登録されるデータ群の一例を示す図である。
【
図6】ユーザーデータベース110のデータ構造例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1の管理対象である電動車両200を説明する図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1のブレーキ制御部226の動作を説明する模式図である。
【
図9】車両データベース120のデータ構造例を示す図である。
【
図10】ユーザーの電動車両200利用のシチュエーションの違いによる呼称の違いを示す図である。
【
図11】電動車両200が運用される地域のマップの一例を示す図である。
【
図12】駐車スペースデータベース130のデータ構造例を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における電動車両200の予約から解錠までの処理のフロー例を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における電動車両200の移動終了後のシェア終了処理のフロー例を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における電動車両200の予約からシェア終了までの処理のフロー例を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケート要否判定処理のフローチャートを示す図である。
【
図17】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケーター候補ユーザー選定処理のフローチャートを示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケート先選定処理のフローチャートを示す図である。
【
図19】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における通知処理のフローチャートを示す図である。
【
図20】スマートフォン10のタッチパネル部30における画面表示例を示す図である。
【
図21】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケートのための電動車両200の解錠の処理のフロー例を示す図である。
【
図22】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケート終了後の処理のフロー例を示す図である。
【
図23】サービス業者データベース140のデータ構造例を示す図である。
【
図24】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケート兼配達案件選定処理のフローチャートを示す図である。
【
図25】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケーター兼ランナー候補ユーザー選定処理のフローチャートを示す図である。
【
図26】スマートフォン10のタッチパネル部30における画面表示例を示す図である。
【
図27】本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における口座データ決済処理のフローチャートを示す図である。
【
図28】スマートフォン10のタッチパネル部30における画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1の概要を模式的に説明する図である。
【0011】
本発明に係る電動車両管理システム1は、管理センター等において運営されるサーバー100と、このサーバー100とデータ通信を行うことができる多数のユーザーが所有・携帯する情報処理端末装置と、電動車両管理システム1の管理対象であり、サーバー100との間でデータ通信を行う複数の電動車両200と、レストランやデパートといったサービス業者が所有し、サーバー100との間でデータ通信を行う情報処理端末装置と、で構成される。
【0012】
電動車両200は、動力制御装置を介してバッテリーから供給された電力によりモーターを駆動させることで走行するものであれば、どのようなものでもよく、電動自動車や、電動スクータ、電動車椅子、電動アシスト自転車なども含まれる。本実施形態では、電動車両管理システム1によって同一規格の複数の電動車両200を管理する例に基づいて説明を行うが、電動車両管理システム1が異なる車種の電動車両200を管理するようにしてもよい。
【0013】
サーバー100としては、データ演算を行う機能、インターネット等通信回線を介してデータ通信を行う機能、データ記憶を行う機能、ユーザーインターフェース機能などを備えた一般的なコンピューターを用いることができる。
【0014】
また、ユーザーが利用する情報処理端末装置としては、例えば、現在広く普及しているスマートフォン10を用いることができる。しかしながら、本発明に係る電動車両管理システム1では、位置情報を取得することができる情報処理端末装置であれば、iPad(登録商標)などのタブレット型情報処理端末や携帯電話端末なども用いることができる。以下、本実施形態では、ユーザーの情報処理端末装置がスマートフォン10である場合を例に説明する。また、レストランやデパートといったサービス業者で用いられる情報処理端末装置としては、現在広く普及しているパーソナルコンピュータなどを利用することができる。
【0015】
スマートフォン10は、ユーザーが携帯することを想定しており、スマートフォン10からサーバー100に対しては、自らの現在の位置データを送信する。また、電動車両200は、現在の位置データと、電動車両200に搭載されるバッテリーの残量データとを、サーバー100に対して送信するようにされている。サービス業者は、提供する飲食物や商品を配達する(デリバリーする)ランナー(配達員)の募集に関するデータを、サーバー100に対して送信するようにされている。このようなデータには、ランナーの募集の有無に係るデータと、ランナーが飲食物や商品を配達する配達先に係るデータが含まれている。
【0016】
本発明に係る電動車両管理システム1のユーザーには、自身のスマートフォン10を所有し、電動車両管理システム1にユーザー登録を行い、自身のスマートフォン10を携帯することが想定される。
【0017】
管理センター等で運営されるサーバー100には、本発明に係る電動車両管理システム1を処理するプログラムソフトウェアがインストールされている。また、電動車両管理システム1のアカウントユーザーが所有・携帯するスマートフォン10には、本発明に係る電動車両管理システム1を処理するアプリケーションプログラムソフトウェアがインストールされている。また、サービス業者における情報処理端末装置にも、本発明に係る電動車両管理システム1を処理するアプリケーションプログラムソフトウェアがインストールされる。
【0018】
なお、サーバー100やスマートフォン10、サービス業者の情報処理端末装置にインストールされている上記プログラムソフトウェアの発明、当該プログラムソフトウェアによって実行される電動車両管理の処理方法に関する発明なども、本発明の範疇に含まれるものである。
【0019】
本発明に係る電動車両管理システム1で用いるサーバー100には、少なくともデータベース(以下、「DB」とも称する)として、ユーザーデータベース110、車両データベース120、駐車スペースデータベース130、サービス業者データベース140をその記憶部に保持している。
【0020】
ユーザーデータベース110では、本発明に係る電動車両管理システム1に登録されているアカウントユーザー個々の情報を記憶し、管理するデータベースである。このようなデータベースには、ユーザーの氏名や、ID、パスワードと言った一般的な項目に加え、現在位置データや、サーバー100からのプッシュ通信を許容するか否かに係るデータも含まれる。
【0021】
車両データベース120は、電動車両管理システム1の管理対象である全ての電動車両200に係るデータが記憶される。データとしては、例えば、それぞれの車両番号データや、現在の位置に係るデータ、電動車両200に搭載されるバッテリーの残量のデータなどが含まれる。
【0022】
本発明に係る電動車両管理システム1が、管理対象とする電動車両200は、ステーションなどにチェーンなどで固定(ロック)しておき、ユーザーが利用する際に、チェーンによるロックを解除するようなものではない。従って、電動車両200は任意の場所に配しておき、また、ユーザーは任意の場所で乗り捨てることができる。ただし、電動車両200の需要は駅などで大きいことが見込まれるので、ある程度の電動車両200の台数をそろえた駐車スペースを設ける。駐車スペースデータベース130は、このような駐車スペースに係るデータを記憶する。このようなデータには、例えば、駐車スペースがどの位置範囲にあるか係るデータなどが含まれる。
【0023】
サービス業者データベース140には、レストランやデパートのサービス業者に関するデータを記憶する。このデータには、サービス業者の所在地に係る位置データや、ランナーが飲食物や商品を配達する配達先の位置データなどが含まれる。
【0024】
サーバー100に記憶されているユーザーデータベース110、車両データベース120、駐車スペースデータベース130、サービス業者データベース140における個々のデータは、新規に作成されたり、また、適宜更新されたりするようになっている。いずれのデータベースも、以下の実施形態において、より詳細に説明する。
【0025】
次に、本発明に係る電動車両管理システム1において、情報処理端末装置として用いるスマートフォン10の概略構成について説明する。
図2は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1で用いられるユーザーの情報処理端末装置の一例であるスマートフォン10のブロック図である。
【0026】
制御部11は、中央演算処理装置(CPU)や、この中央演算処理装置上で動作するオペレーティングシステムなどの基本プログラムに相当する構成である。また、記憶部15は、データを記憶しておく揮発性や不揮発性のメモリである。この記憶部15においては、制御部11が書き込んだデータを保持したり、書き込まれているデータが制御部11によって参照されたり、或いは、制御部11が不要となったデータを消去したりすることができるようになっている。
【0027】
本発明に係る電動車両管理システム1は、このような記憶部15にインストールされたアプリケーションソフトウェアに基づいて、制御部11が各種処理を実行することで各種機能が実現されるようになっている。また、図において、制御部11と連結されたブロック構成(例えば、タッチパネル部30など)に対して各種制御指令を発したり、各種データを転送したり、また、当該ブロック構成で取得されたデータを受けたりすることができるようになっている。
【0028】
また、本発明に係る電動車両管理システム1では、このような記憶部15において、電動車両管理システム1のアプリケーションソフトウェアで生成された各種データを記憶するようになっている。
【0029】
通信部20は、無線通信によって外部の機器とデータ通信、音声通話を実現するものでる。通信部20は、制御部11の指令に基づいて、例えば、記憶部15に書き込まれたデータを外部機器に送信することなどができる。また、近接無線通信部21は、BLE、Bluetooth、ZigBeeなどの技術を用いた概ね20m以内の無線通信を想定したモジュールであ。
【0030】
GPS信号受信部23は、複数の衛星からのGPS(Global Positioning System)信号を受信することで、自らの緯度・経度(位置データ)を特定する構成である。このようなGPS信号を用いたシステムによる測位は一例であり、その他の全地球測位システムを用いることもできる。GPS信号受信部23で特定された緯度・経度(位置データ)は制御部11に送信される。制御部11は、記憶部15に記憶されている地図データ・アプリケーション(不図示)と連携することで、地図上におけるスマートフォン10自身の存在位置、ひいては、スマートフォン10を携帯していることが想定されるユーザーの位置を割り出す。
【0031】
撮像部25は、静止画像データや動画像データを取得する構成である。このような撮像部25で取得された静止画像データや動画像データは、必要に応じて記憶部15に保存される。本発明に係る電動車両管理システム1では、この撮像部25により二次元コードの一種であるQRコード(登録商標)を撮像し、当該コードに記録されている情報を読み取ることに利用される。なお、本実施形態ではQRコードを用いるようにしているが、QRコード以外の固有識別手段を用いることもでき、例えば、QRコードに代えて、NFCタグなどを利用することもできる。
【0032】
スマートフォン10に設けられているタッチパネル部30は、ユーザーインターフェースとして利用される。タッチパネル部30は、ユーザーの指の接触を検知することで、ユーザーが情報を入力できる入力部31と共に、ユーザーに対して情報を表示する表示部32とが一体となったものである。タッチパネル部30において、表示部32と入力部31とは重ねられるように設けられると共に、入力部31は透明とされているので、ユーザーは表示部32の表示に対して指を接触させることで、表示に基づいた入力を行うことができるようになっている。このようなタッチパネル部30に基づいたユーザーによる入力操作については、従来周知の技術が本発明に適用される。
【0033】
スマートフォン10におけるタッチパネル部30の操作で一般的に知られている「タップ」、「ダブルタップ」、「ロングタップ」、「フリック」、「スワイプ」、「ピンチ」と称される各入力操作は、本発明に係る電動車両管理システム1においても採用されている。
【0034】
本発明に係る電動車両管理システム1では、以上のような構成を有するスマートフォン10のタッチパネル部30における画面表示と、このタッチパネル部30からのユーザーによる入力操作とで、ユーザーインターフェースが構成されている。以下、タッチパネル部30におけるユーザーインターフェースのための画面表示例も交えながら、本実施形態の説明を進める。
【0035】
図3はスマートフォン10のタッチパネル部30に表示される電動車両管理システム1の画面例を示す図である。検索キーワード入力欄41には、スマートフォン10が通常有している文字入力システムで文字列が入力され、その文字列に基づいた検索が実行される。また、画面例には、バナー広告42が含まれてもよい。各種のアイコン50がユーザーによりタップされることで、ユーザーの目的に応じたタスクが実行される。本発明に係る電動車両管理システム1は「モビリティ」のアイコン50をタップすることで、そのアプリケーションソフトウェアが起動される。メニュー40をタップすることで、アカウントを新規に登録する際の画面や、ログイン画面を表示させることができる。
【0036】
本発明に係る電動車両管理システム1を利用する際に、ユーザーは、アカウントを新規に登録する際の画面を利用して、それぞれ自らのアカウントを作成する。次に、このようなアカウントの作成処理について説明する。
図4は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるアカウント作成・完了通知処理のフロー例を示す図である。以下、本実施形態では、
図4を含め種々フローを示すが、フローはいずれも、処理の一例を示すものであり、本発明に係る電動車両管理システム1の処理が、図示されたフローによる処理に限定されるものではない。
【0037】
図4のフローで示す処理において、左側はアカウントを作成しようとするユーザーのスマートフォン10による処理を示しており、右側がサーバー100による処理を示しいている。また、それらの間の処理はデータ通信を伴うものである。
【0038】
ステップS111で、ユーザーがアカウント作成要求をサーバー100側に送信する。ここで、アカウント作成要求時に、サーバー100に対して送信する新規登録データの一例を
図5に基づいて説明する。
図5は、スマートフォン10からサーバー100に対して送信されると共に、サーバー100側でユーザーのアカウント情報として記憶・保持されるデータセットを示している。
【0039】
図5に示すデータセットには、一例であるが、データとして、ユーザーの「氏名」データ、「氏名ふりがな」データ、「性別」データ、「生年月日」データ、「住所」データ、「固定電話番号」データ、「携帯電話番号」データなどの個人情報に関連するデータも含めることができる。
【0040】
また、当該データセットには、それぞれのユーザーで固有の「ID」データ、「メールアドレス」データ、「パスワード」データ、スマートフォン10自体それぞれに割り振られている「端末固有識別番号」データも含めることができる。
【0041】
さらに、当該データセットには、電動車両200をシェア利用した際の課金先である「クレジットカード」に関するデータ、ユーザーが自らの位置データをサーバー100に送信することを許容するかに係る「位置データ送信可否」データ、ユーザーがサーバー100から送信されるプッシュ通信の受信を許容するか否かに係る「プッシュデータ受信可否」データ、乗り捨てられた電動車両200のリロケート(駐車スペースへの再配置)を行うリロケーターを希望するか否か係る「リロケーター希望有無」データ、電動車両200を利用してランナーとして配達を行う希望があるか否かに係る「ランナー望有無」を含めることができる。
【0042】
さて、
図4のフローに戻り、上記のような新規登録に関するアカウント作成要求を受信したサーバー100は、ステップS121において、ユーザーデータベース110を参照し、当該新規登録データとユーザーデータベース110に登録済みのアカウントデータとを比較していく。
【0043】
ステップS122では、特にID、メールアドレスの観点で、当該新規登録データとユーザーデータベース110に登録済みのアカウントデータとが競合しないかが判定される。
【0044】
当該判定の結果がNOである、すなわち、競合があった場合には、Xを経由して、新規アカウント作成ユーザーに対して、再入力を行うように促す。当該判定の結果がYESである、すなわち、競合がない場合には、ステップS123に進む。
【0045】
ステップS123では、当該新規登録データをユーザーデータベース110に書き込み、新規のアカウント登録を完了し、その旨ステップS124で、ユーザーのスマートフォン10に送信する。ユーザーのスマートフォン10では、ステップS114でこれを受信する。
【0046】
ユーザーデータベース110には、以上のようなアカウント作成時に個々のユーザーが登録を行ったデータが記憶される。
図6は、ユーザーデータベース110のデータ構造例を示している。ユーザーデータベース110には、氏名データ、氏名ふりがなデータ、性別データ、・・・といったユーザー自身が登録したデータに加え、口座データやユーザー位置データとが少なくとも加えられる。
【0047】
口座データには、ユーザーが所有する価値交換媒体の残高が記憶される。ここで、本明細書においては、価値交換媒体は、現金などの通貨、地域に利用が限定された通貨、仮想通貨、ポイント、商品クーポン、割引クーポン、電動車両利用クーポンなどの、価値を有し、物・サービスとの交換が可能な媒介となるもの、として定義する。また、本明細書では、「費用」、「対価」などの通常、通貨に関連しても用いられる用語は、「価値交換媒体」に関連しても用いるものとする。なお、以下の実施形態では、価値交換媒体の一例としてポイントを用いて説明する。
【0048】
電動車両200をシェア利用したユーザーに対する費用は、上記のような口座データにおけるポイントによって、決済することができる。また、このような決済は、例えば、ユーザーのクレジットカードによって行うこともできる。
【0049】
また、ユーザー位置データには、ユーザーのスマートフォン10から送信される位置データが記憶される。ユーザーデータベース110に、このようなユーザー位置データが記憶されているユーザーは、自らの位置データをサーバー100に送信することを許容したユーザーである。
【0050】
次に、
図7を参照して、本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1の管理対象である電動車両200について説明する。なお、以下で説明する電動車両200の一例であり、本発明に係る電動車両管理システム1が管理する電動車両がこれに限定される分けではない。
図7(A)は、電動車両200の外観を示す図であり、
図7(B)は、電動車両200の制御系を示すブロック図である。
【0051】
電動車両200は、一人乗りが想定されている車両で、車体フレーム201の前方部には2つの前輪203と、車体フレーム201の後方部には一つの後輪204が設けられており、後輪204がモーター231によって駆動されることで前進する。また、2つの前輪203はステム205を介して設けられているハンドル206とも連結されている。ハンドル206が操作されることで、2つの前輪203が操舵され、電動車両200の進行方向が調整される。
【0052】
ステム205には前照灯207が設けられ夜間における利用を可能とする。また、ハンドル206には、ディスプレイ208が設けられており、速度表示、バッテリー残量表示、その他の情報の表示に供される。車体フレーム201の中にはバッテリー213が配されており、シート209の下方のカウル210の中には、ブロック図の主要部を構成するための各種モジュールが配されている。
【0053】
カウル210には、個々の電動車両200を特定するために唯一無二の車両番号211とQRコード212とが配されている。いずれも、本発明に係る電動車両管理システム1の運用において利用されるものである。
【0054】
図7(B)において、車両制御部230は、主として電動車両200の走行に関する制御を司り、管理制御部250は、主として本発明の電動車両管理システム1に関する制御を司る。いずれの制御部も演算処理装置(CPU、MPU、GPU、DSP等)と、各種のデータ及びプログラム230を記憶するメモリ(DRAM、SRAM、ROM、フラッシュメモリ等)とから構成されるコンピューターによって構成することができる。また、各制御部は、
図7(B)で接続されているブロックと、データや制御指令の送受を行い、協働してそれぞれの機能を発揮する。
【0055】
アクセルグリップセンサ233は、ハンドル206におけるグリップ部に設けられており、グリップ部の回転角度を検出し、これを車両制御部230に送信する。車両制御部230は、この回転角度に応じてモーター231の回転数を制御することで、電動車両200の速度が制御される。ブレーキ制御部226は、車両制御部230を介して、管理制御部250からの制御指令を受けて動作することで、電動車両200に通常設けられているブレーキを作動させて、電動車両200が走行しないようにロックをかける構成である。ブレーキ制御部226の詳細については、後述する。
【0056】
無線通信部251は、LTEや5Gの通信規格を用いたWWANであり、この無線通信部251を介して、サーバー100からデータ、制御指令を受信したり、管理制御部250から受けたデータをサーバー100に対して送信したりする。
【0057】
GPS信号受信部252は、複数の衛星からのGPS信号を受信することで、自らの緯度・経度(位置データ)を特定する構成である。このようなGPS信号を用いたシステムによる測位は一例であり、その他の全地球測位システムを用いることもできる。GPS信号受信部252で特定された緯度・経度(位置データ)は管理制御部250に送信される。管理制御部250は、このようにして取得された電動車両200の位置データを、無線通信部251を介して、サーバー100に送信する。
【0058】
近接無線通信部253は、BLE、Bluetooth、ZigBeeなどの技術を用いた概ね20m以内の無線通信を想定したモジュールであり、本発明に係る電動車両管理システム1では、管理制御部250が、ユーザーが携行しているスマートフォン10とのデータ通信を行うために設けられている。
【0059】
残量データ取得部255は、電動車両200の走行距離に関連するバッテリー213の残量に係るデータを取得して、これを管理制御部250に送信する。管理制御部250は、このデータを利用して、ディスプレイ208におけるバッテリー残量の表示を行ったり、また、無線通信部251を介してバッテリー残量データを、サーバー100に送信したりする。
【0060】
スピーカー制御部256は、管理制御部250からの制御に基づいて、スピーカー257を発音させる。このスピーカー257は、ブレーキ制御部226が動作している間(すなわち、電動車両200がロックされている間)、電動車両200が移動させられる(すなわち、GPS信号受信部252で取得される位置データが変化する)ようなことがあれば、スピーカー257が警報音を放音するように構成される。
【0061】
一般的に、シェア利用のための電動車両はドッキングステーションに解除可能に固定するように構成され、これにより電動車両の盗難などを防止するようにされている。ところが、ドッキングステーションに配置可能な電動車両の数には制限があったり、電動車両の返却場所がドッキングステーションに限られたりするので、ドッキングステーションを用いることなく電動車両の運用を行うことが好ましい。このためには、正規のユーザーが電動車両を利用しようとする場合には電動車両が解錠し、非正規のユーザーが電動車両を利用しようとする場合には電動車両の施錠を維持するようなロック機構を各電動車両に設けるようにしなければならないが、このようなロック機構を電動車両毎に設けるにはコストがかかる、という問題がある。そこで、本発明に係る電動車両管理システム1においては、ブレーキ制御部226の動作により、電動車両200に通常設けられているブレーキを作動させて、電動車両200が走行しないようにロックをかける。
【0062】
図8は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1のブレーキ制御部226の動作を説明する模式図である。
図8(A)は、ブレーキが作動していない状態を示しており、
図8(B)は、ブレーキが作動している状態を示しており、
図8(C)は、ブレーキ自体は作動していないが、ブレーキ制御部226が動作することで、電動車両200をロックしている状態を示している。
【0063】
電動車両200における通常のブレーキの構造を説明する。ハンドル206におけるグリップ215に近接して、ドライバーによる把持操作が可能なようにブレーキレバー216が設けられている。
図8(B)に示すように、ブレーキレバー216が支軸217を中心として回動することで、ブレーキレバー216によりブレーキワイヤ218をハンドル206側に引っ張ることができる
ようになっている。
【0064】
カム220は、不図示の機構により、ブレーキレバー216が操作されていないとき、
図8(A)の姿勢をとり、ブレーキレバー216が操作されたとき、
図8(B)の姿勢をとるようされている。摩擦材であるライニング224を保持している一対のブレーキシュー222は、支軸223を中心として回動可能とされていると共に、スプリング225により互いを引き寄せ合うように付勢されている。
【0065】
カム220が
図8(A)の姿勢の時は、前輪203や後輪204と連動しているドラム219は、ライニング224と離間しており、ドラム219は自由に回転することができるが、一方、ブレーキレバー216が操作され、カム220が
図8(B)の姿勢をとると、ドラム219に対して一対のライニング224が当接して、ドラム219の回転を規制することで、電動車両200を制動する。
【0066】
ブレーキ制御部226は、例えばプランジャーのようなアクチュエーターを用いることができる。ブレーキ制御部226が動作したとき、プランジャーの棹部が突出することでブレーキワイヤ218を
図8(C)に示すように引っ張り、カム220を
図8(B)と同様の状態として、実質的に電動車両200にブレーキがかかっている状態とすることができる。
【0067】
なお、本実施形態においては、ブレーキ制御部226としてアクチュエーターを用いたが、ブレーキ制御部226は他の部品を用いることもできる。例えば、ブレーキワイヤ218を巻き取るプーリとモーターなども用い得る。また、ブレーキがブレーキ液を用いるものである場合には、ブレーキ液の圧力を上昇させるシリンダ、ピストンなどを用いることもできる。
【0068】
このようなブレーキ制御部226の動作状態は、管理制御部250を介して、管理センター等において運営されるサーバー100側でコントロールができる。また、ブレーキ制御部226が動作し、電動車両200がロックされている間に、GPS信号受信部252で取得される位置データが変化するようなことがあれば、管理制御部250がスピーカー257を発音させる構成とされている。
【0069】
このように、本発明に係る電動車両管理システム1は、電動車両200自体に通常設けられているブレーキを、ロック機構として用い得るようにするブレーキ制御部226が設けられているので、このような本発明に係る電動車両管理システム1によれば、ロック機構を電動車両200毎に設けるコストが不要となる。また、本発明に係る電動車両管理システム1は、ドッキングステーションのような構成を用いることなく、運用することが可能となる。
【0070】
以上のように構成される電動車両200はシェア等のために、複数準備され運用される。サーバー100で管理されている車両データベース120には、運用されている全ての電動車両200についてのデータが記憶される。
【0071】
図9は、車両データベース120のデータ構造の一例を示すものである。車両データベース120の一つのデータセットには、それぞれの電動車両200の「車体番号」に係るデータ、それぞれの電動車両200に固有の「車両 ID」に係るデータ、それぞれの電動車両200に貼付されている「QRコード」に係るデータ、それぞれの電動車両200から定期的に送信され更新される電動車両200の現在の「車両位置データ」、それぞれの電動車両200から定期的に送信され更新される電動車両200の現在の「バッテリー残量データ」、また、それぞれの電動車両200の「状態」に係るデータを含めることができる。この状態データは、着目している電動車両200が、ユーザーによって「予約」されている状態であるのか、先のブレーキ制御部226が動作しておらず「解錠」の状態であるのか、ブレーキ制御部226が動作し「施錠」の状態であるのかをとることができる。また、当該データセットには、電動車両200がユーザーによって「予約」されている状態である場合、予約を行ったユーザーのIDを記憶する「予約ユーザーID」に係るデータを含めることができる。
【0072】
次に、以上のように構成される電動車両管理システム1の運用について説明する。ドッキングステーションが不要な電動車両200を運用する場合においても、ある場所では電動車両200の数が極端に少なくなる一方、別の場所では、電動車両200があふれてしまう、というような偏在の問題が発生する。そこで、本発明に係る電動車両管理システム1のユーザーに、電動車両の偏在の問題を解決してもらうようにし、代わりに、解決してくれたユーザーには、ポイントなどの価値交換媒体というリワードを付与する。ここで、リワードとは、電動車両200をリロケートしたユーザーの報酬(リロケート、という労働サービスの対価)である。
【0073】
図10はユーザーの電動車両200利用のシチュエーションの違いによる呼称の違いを示す図である。また、
図11は電動車両200が運用される地域のマップの一例を示す図である。本明細書では、ユーザーがどのようなシチュエーションで電動車両200を利用したかによって呼称を変更する。
【0074】
電動車両200を、通常にシェア利用した際のユーザーについては「シェアラー」という呼称も使うものとする。例えば、
図11に示すマップでユーザーAは、△コンビニエンスストアに赴き、駐車スペースAに駐車している電動車両200で、駅の駐車スペースBまで移動したとすると、このユーザーは「シェアラー」である。シェアラーに対しては、課金が発生する。
【0075】
一方、先のような電動車両の偏在の問題を解決するために、市中に乗り捨てられた電動車両200を駐車スペースに移動させたユーザーには、「リロケーター」という呼称も使うものとする。例えば、
図11に示すマップでユーザーBが、乗り捨て車両Aを駐車スペースAに戻したとすると、このユーザーは「リロケーター」である。リロケーターに対しては、ポイントなどのリワード・報酬が発生する。
【0076】
また、ユーザーは、上記のようなリロケーターと同時にランナーとなることもできる。例えば、
図11に示すユーザーCが、●○レストランで飲食物をピックアップして、乗り捨て車両Bで配達先に飲食物を配達し、その後、駐車スペースAに乗り捨て車両Bを戻すとすると、このユーザーは「リロケーター兼ランナー」である。リロケーター兼ランナーに対しても、ポイント、現金などのリワード・報酬が発生する。
【0077】
また、ユーザーは、シェアラーとして電動車両200を借りて、この電動車両200を利用して、配達先に飲食物を配達するランナーとなることもできる(
図10参照)。この場合、シェアラーとして課金が発生する一方、ランナーとしてリワード・報酬が発生する。
【0078】
図11中の駐車スペースAや駐車スペースBとして示される各々の駐車スペースの状況を把握するために、サーバー100は、駐車スペースデータベース130を記憶し、常時更新して、実際の駐車スペースの管理を行っている。
【0079】
図12は、駐車スペースデータベース130のデータ構造の一例を示すものである。駐車スペースデータベース130の一つのデータセットには、例えば、「△コンビニエンスストア前」などの「駐車スペース名」に係るデータ、それぞれの駐車スペースに割り当てられた固有の「駐車スペース ID」に係るデータ、その駐車スペースの「駐車スペース 位置データ」が含まれる。なお、駐車スペースは、所定の面積を有するので、駐車スペースの位置データは、ピンポイントの点というより、ある程度の領域が想定される。また、当該データセットには、駐車スペースにおける駐車台数がそれ以下となると、リロケートにより台数を増やす必要があるものと判定するときに用いる「台数閾値」データが含まれる。
【0080】
以上のように構成される電動車両管理システム1における各構成の処理について説明する。
図13は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における電動車両200の予約から解錠までの処理のフロー例を示す図である。まず、ユーザーがシェアラーとして、電動車両200を利用する例について説明する。
【0081】
図13のフローで示す処理において、シェアラーとなるユーザーのスマートフォン10による処理を示しており、中央がサーバー100による処理を示しており、右側が電動車両200による処理を示している。これらの間の処理はデータ通信を伴うものであり、データ通信は矢印によって図中に示される。
【0082】
シェアラーとなるユーザーのスマートフォン10からサーバー100に対して、ステップS211でログイン要求がなされると、続いて、サーバー100側ではステップS221において、ユーザーデータベース110を参照して、アカウントの照合を行い、ログイン要求が不正でないかを判定する。
【0083】
ステップS221における判定がNOであれば、ログイン不可であること、スマートフォン10に返信する。一方、ステップS221における判定がYESであれば、ログインを許可する。スマートフォン10はステップS212以降ログイン状態となる。
【0084】
ステップS213では、スマートフォン10からサーバー100に対して、利用可能な車両の照会が行われる。この照会は、例えば、「駐車スペースA」に存在する電動車両200のうち、利用可能なものは存在するか、といったように行うことができる。
【0085】
このような照会を受けたサーバー100は、ステップS222において、車両データベース120を参照し、予約状態でなく、施錠状態である電動車両200を抽出し、ステップS223で、抽出した電動車両200の車両番号211のリストを送信する。
【0086】
ステップS214で、サーバー100から当該リストを受信すると、スマートフォン10はタッチパネル部30にリストの表示を行うので、ユーザーはこのリストから、希望とする車両番号の電動車両を選択して、ステップS215で、当該電動車両の予約を行いたい旨のデータが、サーバー100に送信される。
【0087】
ステップS224では、予約が確定したことをスマートフォン10に送信すると共に、車両データベース120における該当車両番号の状態データを「施錠」から「予約」に変更する。
【0088】
さて、ステップS216で、スマートフォン10によって、該当車両のQRコードが撮像され、当該QRコードで読み取られた情報が、サーバー100側に送信される。これを受信したサーバー100は、ステップS225で、ユーザーデータベース110・車両データベース120を参照して、予約を行ったユーザーIDからのQRコードの送信であること、かつ、QRコードで読み取られた情報が該当車両のものであることを判定する。ステップS225の判定がYESであれば、該当する電動車両200のブレーキ制御部226の動作を止めて、ロックの解錠を行うように、解錠指令を電動車両200に対して送信する。これを受けて、ステップS232で、電動車両200のロックが解錠する。一方、ステップS225の判定がNOであれば、エラーである旨スマートフォン10側に送信する。
【0089】
以上のようなフローによって、シェアラーは電動車両200をシェア利用することが可能となる。さて、次に、シェアラーが電動車両200のシェア利用を止めて、電動車両200を返却するときの処理について説明する。
図14は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における電動車両200の移動終了後のシェア終了処理のフロー例を示す図である。本フローにおいては、左側がユーザーのスマートフォン10による処理を示しており、中央がサーバー100による処理を示しており、右側が電動車両200による処理を示している。これらの間の処理はデータ通信を伴うものであり、データ通信は矢印によって図中に示される。
【0090】
ステップS311において、スマートフォン10からサーバー100に対して、シェア終了処理要求が発信されると、サーバー100はこれを受けて、ステップS321において、該当する電動車両200に対して、施錠指令を送信する。
【0091】
これを受信した電動車両200側では、ステップS331で、ブレーキ制御部226を動作させて、ロックをかけて、電動車両200の走行を不能とする。特段の不調が検出されることがなければ、ステップS332で、サーバー100に対して、施錠完了報告を送信する。
【0092】
続いて、サーバー100側では、ステップS322において、ユーザーデータベース110を参照して、該当するユーザーのアカウントに基づいて、クレジットカードに対する課金処理、或いは、口座データのポイントから減算を行う決済処理を実行する。
【0093】
次に、サーバー100は、ステップS323において、スマートフォン10に対して、シェア終了処理が完了し、決済処理が完了した報告を送信する。このような報告には、ポイントの減算に伴う口座の残高なども含めることができる。ステップS312で、このような報告を受信したスマートフォン10は、タッチパネル部30で当該報告事項を表示する。
【0094】
また、サーバー100においては、車両データベース120における該当車両の状態データを、解錠から施錠に変更する。以上のような処理により、シェアラーによる電動車両200の返却が完了する。
【0095】
以上のようなフローの処理を実行し得る電動車両200は無線通信部251を用いることが前提であった。しかし、各々の電動車両200にLTEや5Gなどの無線通信部251を搭載すると、無線データ通信用のモジュールのコストや、通信費などのコストがかかる、という課題は有していた。
図15に示すフローは、電動車両200に無線通信部251を搭載することを不要とするものである。ここでは、ユーザーのスマートフォン10と近接通信する近接無線通信部253が用いられる。
【0096】
図15は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における電動車両200の予約からシェア終了までの処理のフロー例を示す図である。本フローにおいては、左側が電動車両200による処理を示しており、中央がユーザーのスマートフォン10による処理を示しており、右側がサーバー100による処理を示している。これらの間の処理はデータ通信を伴うものであり、データ通信は矢印によって図中に示される。また、本フローでは、ユーザーによって希望車両を予約すうるステップから開始することとする。
【0097】
図15において、スマートフォン10で表示される車両番号から、希望とする車両番号の電動車両を選択して、ステップ411で、当該電動車両の予約を行いたい旨のデータが、サーバー100に送信される。
【0098】
ステップS421では、予約が確定したことをスマートフォン10に送信すると共に、車両データベース120における該当車両番号の状態データを「施錠」から「予約」に変更する。
【0099】
ステップS412で、スマートフォン10によって、該当車両のQRコードが撮像され、当該QRコードで読み取られた情報が、サーバー100側に送信される。
【0100】
これを受信したサーバー100は、ステップS422で、車両データベース120を参照して、予約ユーザーIDからのQRコードの送信であること、かつ、QRコードで読み取られた情報が該当車両のものであることを判定する。
【0101】
ステップS422の判定がYESであれば、ユーザーのスマートフォン10に対して、該当する電動車両200のブレーキ制御部226の動作を止める解錠指令を生成するように依頼する。スマートフォン10は、これを受け、ステップS413で、電動車両200のブレーキ制御部226の動作を止める解錠指令を生成し、これを、電動車両200に対して、近接無線通信により送信する。
【0102】
このような近接無線による指令を受けて、電動車両200は、ブレーキ制御部226の動作を止めて、ロックが解錠される。
【0103】
以上のような処理で、ロックが解錠された電動車両200は、シェアラーとしてのユーザーによってシェア利用される。引き続き、このユーザーによって、電動車両200が返却される際の処理を説明する。
【0104】
ステップS414において、スマートフォン10からサーバー100に対して、シェア終了処理要求が発信されると、サーバー100はこれを受けて、ステップS321において、S423において、対象車両に対する施錠指令の生成及び送信の依頼をスマートフォン10に送信する。
【0105】
スマートフォン10は、これを受け、ステップS415で、電動車両200のブレーキ制御部226の動作を開始する施錠指令を生成し、これを、電動車両200に対して、近接無線通信により送信する。
【0106】
これを受信した電動車両200側では、ステップS432で、ブレーキ制御部226を動作させて、ロックをかけて、電動車両200の走行を不能とする。
【0107】
続く、電動車両200は、GPS信号受信部252で取得した位置データと、残量データ取得部255で取得したバッテリー残量データを、近接無線通信部253からスマートフォン10に送信する。これを受けたスマートフォン10は、電動車両200の位置データとバッテリー残量データとを、サーバー100に送信する。このような処理ステップを有するため、サーバー100は電動車両200が返却された際の位置データとバッテリー残量データとを把握することが可能となる。ステップS424では、これら位置データとバッテリー残量データとに基づいて、車両データベース120の対象車両のデータを更新する。また、車両データベース120における状態データも、解錠から施錠に変更される。
【0108】
サーバー100側では、ステップS424において、ユーザーデータベース110における、該当するユーザーのアカウントで、クレジットカードに対する課金処理を行うから、或いは、口座データのポイントから減算を行う決済処理を実行する。
【0109】
次に、サーバー100は、ステップS426において、スマートフォン10に対して、シェア終了処理が完了し、決済処理が完了した報告を送信する。このような報告には、ポイントの減算に伴う口座の残高なども含めることができる。ステップS417で、このような報告を受信したスマートフォン10は、タッチパネル部30で当該報告事項を表示する。
【0110】
以上、本発明に係る電動車両管理システム1は、電動車両200で取得されるデータは、ユーザーのスマートフォン10に近接無線通信部によって送信され、ユーザーのスマートフォン10が、当該データを車両管理のためのサーバー100に送信するように構成されており、このような本発明に係る電動車両管理システム1によれば、各々の電動車両にLTEや5Gなどの無線データ通信手段を搭載する必要はなく、無線データ通信用のモジュールのコストや、通信費などのコストを削減できる。
【0111】
次に、電動車両200が市中で遍在してしまったときの電動車両管理システム1の処理について説明する。このような処理においては、まず、電動車両管理システム1が管理している電動車両200それぞれについて、リロケートが必要であるか否かが判定される処理が実行される。
【0112】
図16は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケート要否判定処理のフローチャートを示す図である。
【0113】
図16において、ステップS1000でリロケート要否判定処理が開始されると、続いて、ステップS1001に進み、(最初の車両ID)を変数にセットする。
【0114】
ステップS1002では、車両データベース120から、変数にセットされた当該IDの電動車両200の位置データを取得する。
【0115】
ステップS1003では、取得された当該位置データが要リロケートエリアデータの範囲内であるか否かが判定される。ここで、
図11を参照して、要リロケートエリアデータについて説明する。要リロケートエリアは、そのエリア内に電動車両200が存在していたとしても、電動車両200の利用があまり期待できないエリアであり、例えば、市中の外れのエリアなどを挙げることができる。要リロケートエリアデータは、このようなエリアを規定するデータであり、
図11では、斜線部分のエリアが該当する。
【0116】
ステップS1003で、位置データが要リロケートエリアデータの範囲内であると、ステップS1004に進み、当該車両は要リロケートと判定される。このステップで要リロケートと判定される電動車両200は、
図11によれば、乗り捨て車両Aや乗り捨て車両Bが該当する。
【0117】
ステップS1003で、位置データが要リロケートエリアデータの範囲内ではないと、ステップS1005に進み、当該車両はリロケート不要と判定される。
図11によれば、駐車スペースAや駐車スペースBに駐車している電動車両200が該当する。
【0118】
ステップS1006では、全ての車両IDについて判定が完了したか否かが判定される。ステップS1006の判定がNOであれば、ステップS1007に進む。ステップS1007では、変数を次の車両IDに変更して、ステップS1002に戻りループする。
【0119】
ステップS1006の判定がYESであれば、ステップS1008に進み、リロケート要否判定処理が終了する。
【0120】
上記のようなリロケート要否判定処理によって、リロケートが必要な電動車両200が存在すると、続いて、リロケーターの候補となるユーザーの選定が行われる。
【0121】
図17は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケーター候補ユーザー選定処理のフローチャートを示す図である。
【0122】
図17において、ステップS1100で、リロケーター候補ユーザー選定処理が開始されると、次のステップS1101では、要リロケートと判定された電動車両200の車両位置データを車両データベース120から取得する。図において、左側がユーザーのスマートフォン10による処理を示しており、中央がサーバー100による処理を示しており、右側が電動車両200による処理を示している。これらの間の処理はデータ通信を伴うものであり、データ通信は矢印によって図中に示される。
【0123】
続いて、ステップS1102において、リロケーター希望有りのユーザー位置データをユーザーデータベース110から取得する。
【0124】
ステップS1103では、取得したユーザー位置データが、車両位置データから所定範囲内であるか否かが判定される。ステップS1103の判定がNOであれば、リロケーター候補ユーザーは存在しないので、処理を終了する。なお、本フローチャートによる処理を、所定時間間隔毎(例えば、10分程度毎)に実行することで、リロケーター候補ユーザーが後に選定されることは期待できる。
【0125】
一方、ステップS1103の判定がYESであれば、ステップS1104に進み、着目しているユーザーをリロケーター候補として選定し、ステップS1105に進み、リロケーター候補ユーザー選定処理を終了する。
【0126】
次に、リロケーターによって、要リロケートと判定された電動車両200を、どの駐車スペースに移動してもらうかについての選定、すなわち、リロケート先の選定を行う処理について説明する。
図18は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケート先選定処理のフローチャートを示す図である。
【0127】
図18において、ステップS1200でリロケート先選定処理が開始されると、続くステップS1201においては、所定の変数に(最初の駐車スペースID)がセットされる。
【0128】
ステップS1202では、車両データベース120に記憶される車両位置データと、駐車スペースデータベース130の駐車スペース位置データとに基づいて、駐車スペース毎の駐車台数の計数を実行する。
【0129】
次に、ステップS1203においては、駐車スペースデータベース130に、予め記憶される台数閾値データを取得する。
【0130】
ステップS1204では、計数された駐車台数と台数閾値データを比較し、(駐車台数)≦(台数閾値データ)の関係であるか否かが判定される。
【0131】
ステップS1204の判定結果がYESである場合には、ステップS1205に進み、着目している駐車スペースをリロケート先の候補として判定する。一方、ステップS1204の判定結果がNOである場合には、ステップS1206に進み、着目している駐車スペースをリロケート先の候補として判定しない。
【0132】
ステップS1207では、全ての駐車スペースIDを判定済みであるかが判定される。ステップS1207の判定がNOであると、ステップS1209に進み、変数を次の駐車スペースIDとして、ステップS1202に戻る。
【0133】
ステップS1207の判定がYESであると、ステップS1208に進み、リロケート先の候補として判定した駐車スペースのうち、最も要リロケートと判定された電動車両200に近いものを、移動先として選定し、ステップS1210に進み、リロケート先選定処理を終了する。
【0134】
以上のような一連の処理によって、要リロケートと判定された電動車両200、リロケートを依頼する候補となるユーザー、リロケート先の駐車スペースが決定するので、次に、これらの情報をリロケーター候補ユーザーに通知する処理を実行する。
【0135】
図19は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における通知処理のフローチャートを示す図である。
【0136】
図19において、ステップS1300で通知処理が開始されると、続いて、ステップS1301 に進み、ユーザーデータベース110からリロケーター候補として選定されたユーザーのユーザーデータを取得し、ステップS1302で、ユーザーデータベース110において、当該ユーザーはプッシュデータ受信可否の項目で「プッシュデータ受信可」として登録されているか否かを判定する。
【0137】
ステップS1303においては、要リロケート車両の車両位置データ、リロケート先を示したプッシュ通知を作成する。ここで、要リロケート車両の車両位置データは、適宜マップ等が参照されて、住所表記に変換する。ステップS1304で、作成したプッシュ通知を送信して、ステップS1305で通知処理を終了する。
【0138】
図20は上記のようなプッシュ通知を受信したユーザーのスマートフォン10のタッチパネル部30における画面表示例を示す図である。このようなプッシュ通知では、例えば、「○□町三丁目の乗り捨て車両を、9時までに△コンビニエンスストアの駐車スペースAにリロケートして、リワードを獲得しませんか?リワードは、500ポイントです。」などのメッセージが表示される。
【0139】
さて、上記のような通知を受信したユーザーは、リロケーターとしてリワードのポイントを獲得するかを判断するが、以下、この判断の結果、ユーザーがリロケーターを受諾した場合の処理の流れについて説明する。ここで、
図11のマップ中のユーザーBが、乗り捨て車両Aを、駐車スペースAに移動する例に基づいて、説明する。
【0140】
図21は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケートのための電動車両200の解錠の処理のフロー例を示す図である。図において、左側がユーザーBのスマートフォン10による処理を示しており、中央がサーバー100による処理を示しており、右側が電動車両200による処理を示している。これらの間の処理はデータ通信を伴うものであり、データ通信は矢印によって図中に示される。
【0141】
サーバー100が、先のようなメッセージのプッシュ通知を、リロケーター候補であるユーザーBのスマートフォン10に送信する。
【0142】
リロケーター候補であるユーザーBは、ステップS521でリロケート受諾の旨をサーバー100に送信すると共に、ステップS512で、スマートフォン10によって、要リロケート車両のQRコードを撮像し、当該QRコードで読み取られた情報をサーバー100側に送信する。
【0143】
これを受信したサーバー100は、ステップS522でユーザーデータベース110・車両データベース120を参照して、リロケーター候補のユーザーIDからのQRコードの送信であること、かつ、QRコードで読み取られた情報が要リロケート車両のものであることを判定する。
【0144】
ステップS522の判定がYESであれば、要リロケート車両である電動車両200のブレーキ制御部226の動作を止めて、ロックの解錠を行うように、解錠指令を電動車両200に対して送信する。これを受けて、ステップS532で、電動車両200のロックが解錠する。一方、ステップS522の判定がNOであれば、エラーである旨スマートフォン10側に送信する。
【0145】
さて、上記のような処理を経て解錠された要リロケート車両を、スペースAまで移動させたユーザーBは、サーバー100とデータ通信を行う。サーバー100は、リロケートが予定通り完了したかを判定し、リロケートが予定通り完了したと判定すると、ユーザーBの口座データにポイントを付与する。このようなリロケート終了後の処理について説明する。
【0146】
図22は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケート終了後の処理のフロー例を示す図である。左側がユーザーBのスマートフォン10による処理を示しており、中央がサーバー100による処理を示しており、右側が電動車両200による処理を示している。これらの間の処理はデータ通信を伴うものであり、データ通信は矢印によって図中に示される。
【0147】
ステップS611で、ユーザーBがスマートフォン10からサーバー100に対して、リロケート完了報告を送信すると、サーバー100側では、ステップS621で、車両データベース120
を参照して、該当の電動車両200の車両位置データを取得する。
【0148】
続いて、ステップS622では、取得した車両位置データが駐車スペースAの駐車スペース位置データ内であるか否かを判定する。ステップS622の判定結果がYESであれば、ステップS623に進み、リロケートが完了したものと判定する。一方、ステップS622の判定結果がNOであれば、エラーである旨ユーザーBのスマートフォン10に送信する。
【0149】
サーバー100は、ステップS623で電動車両200のリロケートが完了したものと判定すると、ステップS624において、該当する電動車両200に対して、施錠指令を送信する。
【0150】
これを受信した電動車両200側では、ステップS631で、ブレーキ制御部226を動作させて、ロックをかけて、電動車両200の走行を不能とする。特段の不調が検出されることがなければ、ステップS632で、サーバー100に対して、施錠完了報告を送信する。
【0151】
このような施錠完了報告を受信したサーバー100は、ステップS625において、ユーザーデータベース110における、該当するユーザーのアカウントの、クレジットカードに対して返金処理を行うか、或いは、口座データにポイントを付与する決済処理を実行する。
【0152】
次に、サーバー100は、ステップS626において、ユーザーBのスマートフォン10に対して、リロケートが完了し、決済処理が完了した報告を送信する。このような報告には、ポイントの減算に伴う口座の残高なども含めることができる。ステップS612で、このような報告を受信したスマートフォン10は、タッチパネル部30で当該報告事項を表示する。
【0153】
ステップS627では、車両データベース120の状態データを、解錠から施錠に変更する更新を実行する。これにより、ユーザーBによって、リロケートされた電動車両200は、駐車スペースAにおいて、再び予約の受付が可能な状態となる。
【0154】
以上のように、本発明に係る電動車両管理システム1は、リロケートが必要であると判定された電動車両200を、ユーザーにリロケートしてもらう仕組みを有しており、このような本発明に係る電動車両管理システム1によれば、夜間に偏在した電動車両をステーションに再配置するような作業は不要となり、コストを大幅に抑制することができる。
【0155】
これまで、電動車両のシェアリングの費用や、この電動車両のシェアリングとリンクさせた公共交通機関の利用の費用などを、トータル的にスマートフォン等を用いて決済する、ということは提案されていた。
【0156】
ところで、電動車両は移動の目的のみのために用いることに限定されるものではなく、移動が伴ったサービスの提供にも利用可能である。しかしながら、従来の概念では、電動車両のシェアリングの費用は、公共交通機関の利用の費用との組み合わせでの決済に限定されている、という課題があった。
【0157】
そこで、本発明に係る電動車両管理システム1においては、電動車両200のシェアのための費用と、それに関連したサービスの提供で発生する対価、或いは、電動車両200のシェアに伴い受けたサービスに対する費用などをトータル的に決済する構成とされている。
図10で示したように、ユーザーは課金が発生するシェアラーとなると同時に、リワード・報酬が発生するランナーとなることができる。また、ユーザーはリワード・報酬が発生するリロケーターとなると同時に、さらにリワード・報酬が発生するランナーとなることもできる。本発明に係る電動車両管理システム1においては、これら電動車両200の利用・リロケートと関連して発生する課金・リワード・報酬と、電動車両200を利用して行ったサービス提供の対価・受けたサービスの費用とを、ユーザーデータベース110における各ユーザーの口座データで総合的に決済することで、ユーザーの利便性を図るものである。
【0158】
実施形態では、サービス業として飲食業であるレストランの配達を、電動車両200を利用して行う例により説明するが、サービス業がこれに限定されるものではなく、サービス業には小売業、宅配業、観光業、金融・保険業、観光業、宿泊施設提供業、医療・福祉業なども含まれる。例えば、宅配業であれば、電動車両200を利用して図書や新聞の配達を行う、というサービスを提供することができる。当該図書が、市町村が管理する図書館に帰属するような場合には、電動車両200は行政サービスに関連して利用されるものともなり得る。
【0159】
また、例えば、電動車両200を利用してゴミの回収や移送を行えば、これには清掃業に関連したサービスの対価が発生する。また、電動車両200を利用して見回りなどを行えば、これには警備業に関連したサービスの対価が発生する。
【0160】
また、電動車両200の利用に伴いユーザーが、サービスを受けることがあるが、このような受けたサービスに対する費用についても、電動車両200のシェアの費用と共に、ユーザーデータベース110における各ユーザーの口座データで総合的に決済する。例えば、ユーザーは、ホテルに宿泊して、さらに電動車両200を使って周辺の観光を行う、というシチュエーションがあり得る。このようなケースでは、宿泊施設提供業や観光業に関連した費用が、電動車両200のシェアの費用と共に決済される。
【0161】
また、電動車両200を使って病院に行き治療を受ければ、その治療代も、電動車両200のシェアの費用と共に決済することができる。この場合、サービスは医療・福祉業に属するものとのある。
【0162】
以上のように、電動車両200は様々のサービス業と関連して利用され得るので、電動車両200のシェアのための費用と、それに関連したサービスの提供で発生する対価、或いは、電動車両200のシェアに伴い受けたサービスに対する費用などを、各ユーザーの口座データで総合的に決済する。
【0163】
以下、
図11を参照して、ユーザーが、リロケーターと同時にランナーとなる場合に基づいて説明する。
図11に示すユーザーCは、●○レストランで飲食物をピックアップして、乗り捨て車両Bで配達先に飲食物を配達し、その後、駐車スペースAに乗り捨て車両Bを戻すとすると、このユーザーは「リロケーター兼ランナー」である。
【0164】
図23は、サービス業者データベース140のデータ構造の一例を示すものである。サーバー100には、これまで説明したデータベースに加え、サービス業者データベース140が記憶される。サービス業者データベース140の一つのデータセットには、サービス業者の名称である「サービス業者名」に係るデータ、サービス業者毎で固有の「サービス業者 ID」に係るデータ、サービス業者の所在に係る「サービス業者位置データ」、そのサービス業者が現在ランナーを募集しているか否かに係る「ランナー募集データ」、現在ランナーを募集している場合には、ランナーが配達する予定の住所に係る「配達先位置データ」を含めることができる。なお、これらのデータの中で、「ランナー募集データ」と「配達先位置データ」は、一つのサービス業者に対応して複数存在することがある。
【0165】
次に、どのような条件で、リロケート兼配達案件が選定されるかについて、
図24を参照して説明する。
図24は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケート兼配達案件選定処理のフローチャートを示す図である。
【0166】
図24において、ステップS1400で、リロケート兼配達案件選定処理が開始されると、続く、ステップS1401においては、リロケート先として判定された駐車スペースの駐車スペース位置データを駐車スペースデータベース130から取得する。ここで、リロケート先の駐車スペースを判定する処理については、先に説明したものが用いられる。
【0167】
続く、ステップS1402においては、サービス業者データベース140から配達先位置データを取得する。ステップS1403では、駐車スペース位置データと、配達先位置データとの間の距離が所定距離以下の組み合わせを選定し、リロケート兼配達案件とし、ステップS1404でリロケート兼配達案件選定処理を終了する。
【0168】
さて、以上のような処理でリロケート兼配達案件されると、続いては、「リロケーター兼ランナー」の候補となり得るユーザーを選定する処理が実行される。
【0169】
図25は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1におけるリロケーター兼ランナー候補ユーザー選定処理のフローチャートを示す図である。
【0170】
図25において、ステップS1500で、リロケーター兼ランナー候補ユーザー選定処理が開始されると、続いて、ステップS1501に進み、要リロケートと判定された車両の車両位置データを車両データベース120から取得する。ここで、車両のリロケートの要否の判定はは、先に説明した処理を用いることができる。
【0171】
ステップS1502では、リロケーター・ランナー希望有りがアカウント情報として登録されているユーザーのユーザー位置データをユーザーデータベース110から取得する。
【0172】
ステップS1503では、リロケーター・ランナー希望有りがアカウント情報として登録されているユーザーのユーザー位置データをユーザーデータベース110から取得する。
【0173】
ステップS1504では、ユーザー位置データは、車両位置データから所定範囲内であるか否かについて判定する。ステップS1504の判定結果がNOであれば、ステップS1507に進み処理は終了となる。 一方、ステップS1504の判定結果がYESであれば、ステップステップS1505に進む。
【0174】
ステップS1505では、ユーザー位置データは、サービス業者位置データから所定範囲内であるか否かについて判定する。ステップS1505の判定結果がNOであれば、ステップS1507に進み処理は終了となる。 一方、ステップS1505の判定結果がYESであれば、ステップステップS1506に進む。
【0175】
ステップS1506では、当該ユーザーをリロケーター兼ランナー候補として選定し、ステップS1507に進み、リロケーター兼ランナー候補ユーザー選定処理を終了する。
【0176】
リロケーター兼ランナー候補ユーザーには、例えば、
図26に示すようなプッシュ通知がなされる。(プッシュ通知については、これまで説明した処理と同様に考えることができる。)
図26は上記のようなプッシュ通知を受信したユーザーのスマートフォン10のタッチパネル部30における画面表示例を示す図である。このようなプッシュ通知では、例えば、「○□町四丁目の乗り捨て車両で、デリバリーとリロケートをこなして、リワードを獲得しませんか?
・ピックアップ ●○レストラン
・リロケート先 △コンビニエンスストア
リロケート:500ポイント
デリバリー:500ポイント
トータルで1000ポイントを獲得できます。」などのメッセージが表示される。
【0177】
このようなメッセージを受けて、リロケーター兼ランナーの作業を受諾したユーザーCは、
図11に示すように、まず、乗り捨て車両Bのロックを解錠した上で、●○レストランで飲食物をピックアップし、まず、配達先に飲食物を配達する。続いて、乗り捨て車両Bを駐車スペースAに移動し、リロケートを完了する。これらの作業に付随するサーバー100との間の処理は、基本的に、これまで説明したものと同様のものを用いることができるが、一方、決済の処理については、電動車両200のリロケートと、電動車両200を利用して提供したサービス(デリバリーのサービス)の2つの報酬・リワードが発生するので、これらを勘案する必要がある。
【0178】
以下、上記のような決済の処理をより一般的にした処理について説明する。
図27は本発明の実施形態に係る電動車両管理システム1における口座データ決済処理のフローチャートを示す図である。
【0179】
図27において、ステップS1600で口座データ決済処理が開始されると、続いて、ステップS1601において、電動車両200のシェアによる費用が発生した場合、その費用(価値交換媒体の値)を算出する。このような処理が実行され電動車両管理システム1が(電動車両費用算出部)として動作する。(実施例では、この処理による算出値は0ポイント)
次に、ステップS1602においては、電動車両200の利用と共に、サービスによって対価が発生した場合、その対価(価値交換媒体の値)を算出する。このような処理が実行され電動車両管理システム1が(サービス対価算出部)として動作する。(実施例では、デリバリーの対価である500ポイント)
次に、ステップS1603においては、電動車両200の利用と共に、サービスを受けて費用が発生した場合、その費用(価値交換媒体の値)を算出する。このような処理が実行され電動車両管理システム1が(サービス費用算出部)として動作する。(実施例では、この処理による算出値は0ポイント)
次に、ステップS1604においては、電動車両200のリロケートによって対価が発生した場合、その対価(価値交換媒体の値)を算出する。このような処理が実行され電動車両管理システム1が(リロケート対価算出部)として動作する。(実施例では、リロケートの対価である500ポイント)
次に、ステップS1605においては、以上の各ステップで算出された費用、対価の全てを併せて決済を行い(実施例では、1000ポイント)、ステップS1606で口座データ決済処理を終了する。
【0180】
図28は上記のような決済処理の報告を受信したユーザーのスマートフォン10のタッチパネル部30における画面表示例を示す図である。このような報告の通知では、例えば、リロケート(500pts)&デリバリー(500pts)の総計の1000ptsを、ユーザーの口座に計上した旨のメッセージが表示される。
【0181】
以上、本発明に係る電動車両管理システム1は、電動車両200をシェアしたユーザーに対する費用と、電動車両200を利用してユーザーによって提供されたサービスに対する対価と、電動車両200の利用に伴いユーザーが受けたサービスに対する費用とを併せて決裁する決裁部を有しているので、このような本発明に係る電動車両管理システム1によれば、交通のための決済に限定されることなく、サービス業も含めた幅広い決済に用いることが可能となり、ユーザーの利便性が向上する。
【符号の説明】
【0182】
1・・・電動車両管理システム
10・・・スマートフォン(情報処理端末装置)
11・・・制御部
15・・・記憶部
20・・・通信部
23・・・GPS信号受信部(全地球測位システム信号受信部の一例)
25・・・撮像部
30・・・タッチパネル部
31・・・入力部
32・・・表示部
40・・・メニュー
41・・・検索キーワード入力欄
42・・・バナー広告
50・・・アイコン
100・・・サーバー
110・・・ユーザーDB(データベース)
120・・・車両DB(データベース)
130・・・駐車スペースDB(データベース)
140・・・サービス業者DB(データベース)
200・・・電動車両
201・・・車体フレーム
203・・・前輪
204・・・後輪
205・・・ステム
206・・・ハンドル
207・・・前照灯
208・・・ディスプレイ
209・・・シート
210・・・カウル
211・・・車両番号
212・・・QRコード(登録商標)
213・・・バッテリー
215・・・グリップ
216・・・ブレーキレバー
217・・・支軸
218・・・ブレーキワイヤ
219・・・ドラム
220・・・カム
222・・・ブレーキシュー
223・・・支軸
224・・・ライニング(摩擦材)
225・・・スプリング
226・・・ブレーキ制御部
230・・・車両制御部
231・・・モーター
233・・・アクセルグリップセンサ
250・・・管理制御部
251・・・無線通信部
252・・・GPS信号受信部(全地球測位システム信号受信部の一例)
253・・・近接無線通信部
255・・・残量データ取得部
256・・・スピーカー制御部
257・・・スピーカー